JP3429041B2 - 通気性・通水性を有する金属素材の製造方法 - Google Patents

通気性・通水性を有する金属素材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通気性・通水性を有す
る金属素材の製造方法に係り、プラスチック射出成形
用、真空成形用、ブロー成形用、加飾成形用等の金型部
材として、あるいはエアフロート・テーブル、気体軸受
け等機械部品など、通気性・通水性を必要とする部分に
使用される。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形用金型用通気性素材の
製造方法として、金属繊維に金属粉末および炭素粉を混
合し、CIP(cold static press)成形した後、真空ま
たは雰囲気炉中で焼結する方法がある(特開平2−1011
02号参照、従来例の1)。一方、機械工具、部品等用通
気性鋳物として、樹脂ポリマーネットにセラミックを注
入固化したのち、溶解した鉄を鋳造し、ポリマーネット
から発生するガスにより、ポーラスな鋳物を製造する方
法が取られている(従来例の2)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来例において、
従来例の1は主としてプラスチック成形用金型のガス抜
きを目的としているため、機械加工仕上げの表面性状を
重視しており、粒子と繊維が複雑に絡み合い、空間率に
対応するだけでの通気性を得難い欠点があった。さらに
所定の形状に加工する過程で目詰まりを生じないよう、
機械加工に制約が設けられ、使用条件も制限されている
のが実情である。
【0004】一方、従来例の2は鋳造材であるため、開
孔の平均径が 100μm 前後と大きく、機械加工の表面性
状も悪い。プラスチック成形においては、射出成形時の
金型内のガス抜き、インモールドでのフイルム固定等、
樹脂と接触するような場合には、開孔部への樹脂の進入
も生じ、用途として適さないのが実情である。それらを
改善するために、溶射により表面改質を図る手段も取ら
れているが、コスト高となる。
【0005】本発明は、かゝる問題点に鑑み、通気性・
通水性を確保しつつ使用面の性状を満足させるものであ
り、本来粉末製品の無欠陥、高密度化を目的に使用され
るHIP(hot isostatic press) 成形技術を使った新し
い製造プロセスを提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために、次の技術的手段を講じている。すなわ
ち、請求項1に係る本発明は、ヒーター3 を有する圧力
容器1 に、金属系粒子11を脱気封入したカプセル8 を装
入するとともに前記圧力容器1 にガス圧媒を導入して前
記カプセル8 を熱間等方圧で加圧処理するに際して、前
記ヒーター3 による加熱昇温過程において所定の焼結温
度に到達する以前に、前記ガス圧媒の圧力のピークまた
はプラトー(台地)を形成し、所定の焼結温度に到達し
たら前記圧力を零近くまで下げて前記金属系粒子11を互
いに拡散接合し、少なくとも10%以上の空隙率でかつ外
部に連続する空隙孔をもった通気性・通水性を有する金
属素材の製造方法である。
【0007】また、請求項2に係る本発明は、ヒーター
3 を有する圧力容器1 に、金属系粒子11を脱気封入した
カプセル8 を装入するとともに前記圧力容器1 にガス圧
媒を導入して前記カプセル8 を熱間等方圧で加圧処理す
るに際して、前記ヒーター3による加熱昇温過程におい
て所定の焼結温度保持時間内に、前記ガス圧媒の圧力の
ピークまたはプラトー(台地)を形成した後、急速に前
記圧力を零近くまで下げて前記金属系粒子11を互いに拡
散接合し、少なくとも10%以上の空隙率でかつ外部に連
続する空隙孔をもった通気性・通水性を有する金属素材
の製造方法である。
【0008】更に、請求項3に係る本発明は、ヒーター
3 を有する圧力容器1 に、金属系粒子11を脱気封入した
カプセル8 を装入するとともに前記圧力容器1 にガス圧
媒を導入して前記カプセル8 を熱間等方圧で加圧処理す
るに際して、前記ヒーター3による加熱昇温過程におい
て、前記ガス圧媒の圧力上昇を遅らせ、所定の焼結温度
保持直後に、前記ガス圧媒の圧力のピークまたはプラト
ー(台地)を形成し、その後、急速に前記圧力を零近く
まで下げて前記金属系粒子11を互いに拡散接合し、少な
くとも10%以上の空隙率でかつ外部に連続する空隙孔を
もった通気性・通水性を有する金属素材の製造方法であ
る。
【0009】また、請求項4は、ヒーター3 を有する圧
力容器1 に、金属系粒子11を脱気封入したカプセル8 を
装入するとともに前記圧力容器1 にガス圧媒を導入して
前記カプセル8 を熱間等方圧で加圧処理するに際して、
前記ヒーター3 による加熱昇温過程において所定の焼結
温度に到達する以前に、前記ガス圧媒の圧力のピークま
たはプラトー(台地)を形成し、所定の焼結温度に到達
したら前記圧力を低下させ、該低圧を保持した状態で前
記金属系粒子11を互いに拡散接合し、少なくとも10%以
上の空隙率でかつ外部に連続する空隙孔をもった通気性
・通水性を有する金属素材の製造方法である。
【0010】更に、請求項5に係る本発明は、前記請求
項1〜4において用いるカプセル8の上部もしくは底部
に、あるいは上部と底部両方に金属系粒子11による微粒
子層を形成し、他を前記微粒子層より平均粒子径の大き
な粗粒子層で充填していることを特徴とするものであ
る。
【0011】
【作用】本発明によれば、少なくとも10%以上の空隙率
でかつ外部に連続する空隙孔をもった通気性・通水性を
有する金属素材を製造できる。
【0012】
【実施例】以下、図を参照して本発明の実施例を説明す
る。図1(A)(B)〜図4は、請求項1に係る本発明
の実施例を示しており、図1(A)において、HIP装
置は、圧力容器1 内に、倒立コップ形状の断熱層2とヒ
ーター3 を有して炉を構成しており、圧力容器1 は、高
圧円筒4 とこの上下に挿脱自在に嵌合した上・下蓋5,6
を備え、上・下蓋5,6 には図外のプレスフレームが係脱
自在とされて蓋に作用するプレス軸力を担持可能であ
る。
【0013】炉内のサポート7 上には被処理物であるカ
プセル8 が載置されており、真空装置9 を介して炉内を
真空にした後、高圧ガス発生装置10によってアルゴン、
窒素等のガス圧媒を導入するとともにヒーター3 による
高温加熱によって前記カプセル8 を熱間等方圧で加圧処
理可能とされている。前記真空装置9 は、閉塞弁9Aと真
空ポンプ9B等からなり、高圧ガス発生装置10は、ガス集
合ボンベ10A 、高圧弁10B 、ガス圧縮機10C 等よりな
り、図では差圧回収形を例示しているが、強制回収形、
非回収形等であってもよい。
【0014】カプセル8 は軟鋼、ステンレス等よりな
り、その中には、金属系粒子11が充填され脱気封入され
た状態で圧力容器1 の炉内に装入されて以下に示す温度
パターンと圧力パターンによる熱間等方圧で加圧処理さ
れる。すなわち、請求項1に係る本発明では、ヒーター
3 による加熱昇温過程において所定の焼結温度に到達す
る以前に、前記ガス圧媒の圧力のピークまたはプラトー
(台地)を形成し、所定の焼結温度に到達したら前記圧
力を零近くまで下げて前記金属系粒子11を互いに拡散接
合し、少なくとも10%以上の空隙率でかつ外部に連続す
る空隙孔をもった通気性・通水性を有する金属素材を製
造するのである。
【0015】図1(B)に示す第1実施例では、金属系
粒子はステンレス系ガスアトマイズ粉であり、これを軟
鋼又はステンレスよりなる内径120mm で高さ100mm のカ
プセルに真空封入し、このカプセルを圧力容器に装入し
て図1(B)に示した圧力パターンと温度パターンによ
って熱間等方圧の加圧処理するのである。すなわち、圧
力のピークは100Mpaであり、約1時間でピークに昇圧し
た後に約1時間で10Mpa に急速に降圧してから約1時間
30分で圧力を零にする圧力パターンであり、一方、加熱
温度は、約2時間で1000℃の焼結温度に到達させ、その
状態を約0.5hr 保持させ (これが温度のプラトー (台
地) である)、その後約1時間の冷却を施す温度パター
ンであり、これによれば、23.6%の空隙率を有しかつ外
部に連続した無数の空隙孔が略均一に形成された。
【0016】図2に示した第2実施例は、前記第1実施
例において圧力のピークを50Mpa としたもので、その他
は第1実施例と同様であり、この第2実施例では、空隙
率が25.8%となり、実施例1よりも隙間が大きい金属素
材を製造できた。更に、図3に示す第3実施例は、前記
第1実施例において焼結時間を60分延長したものであ
り、その他の条件は第1実施例と同じとしたとき、空隙
率は19.5%となり、実施例1よりも緻密化された。
【0017】また、図4に示す第4実施例では、第1実
施例において圧力ピークの保持時間を30分としてプラト
ーを形成した処、その他の条件は第1実施例と同じとし
たとき、空隙率は21.5%となった。以上説明した通り、
圧力、温度そして両者の保持時間を個々に変動させ、望
みの空隙率の焼結体を作ることができる。
【0018】特に、低温側で高圧を掛けることにより、
ランダム充填された粒子が互いに、より接近し、焼結後
欠陥となる恐れのある無駄な空隙が減少すると共に、接
触点が増えることで、後の焼結が促進される。図5〜図
8は、請求項2に係る本発明の実施例を示している。な
お、請求項2に係る本発明の実施例に際して、図1
(A)で示したHIP装置を用いるものとする。
【0019】すなわち、請求項2に係る本発明は、前記
ヒーター3 による加熱昇温過程において所定の焼結温度
保持時間内に、前記ガス圧媒の圧力のピークまたはプラ
トーを形成した後、急速に前記圧力を零近くまで下げて
前記金属系粒子11を互いに拡散接合し、少なくとも10%
以上の空隙率でかつ外部に連続する空隙孔をもった通気
性・通水性を有する金属素材を製造する方法であり、焼
結温度範囲で、従来のように高圧を保持し続けると、焼
結と同時に粒子の塑性変形が進み、極端な緻密化が進
み、目的とする多孔質金属焼結体が得られないことか
ら、請求項2に係る本発明では、高圧負荷の時期を昇温
あるいは焼結温度保持と連動させず、焼結温度保持範囲
内で、最大値もしくは最大圧の短時間のプラトーを形成
させ、充填された金属粒子を互いに、より接近させなが
ら焼結を進行・促進させるのである。
【0020】まず、図5に示した第1実施例の温度パタ
ーンは、約2時間で焼結温度1000℃に到達させ、そのプ
ラトーを30分維持させてから約1時間で冷却工程に移行
するものであり、一方、圧力パターンは、約2時間で50
Mpa の圧力ピークにして徐々に降圧させるパターンであ
り、前述した請求項1で用いたと同じ粒子を充填したカ
プセルを加圧処理した処、空隙率16.2%にできた。
【0021】図6に示した第2実施例は、圧力のピーク
を30Mpa とし、約30分で圧力を10Mpa に降下させてから
圧力零にしたものであり、その他の条件は第1実施例と
同様とした処、20.5%の空隙率にできた。図7に示した
第3実施例は、前記第1実施例において焼結温度を950
℃と下げ、その他の条件は第1実施例と同じとした処、
空隙率は20.2%となり、隙間が大きくなり、圧力を下げ
たと同じ効果が得られた。
【0022】図8に示した第4実施例は、圧力ピークを
30Mpa とし、その状態を30分維持してプラトーを形成し
た圧力パターンであり、その他の条件は第1実施例と同
じとした処、空隙率は17.2%となった。図9〜図12は
請求項3に係る本発明の第1〜4実施例であり、加圧処
理対象は、請求項1に係る本発明の各実施例と同じカプ
セルで、かつHIP装置も同じである。
【0023】すなわち、前記ヒーター3 による加熱昇温
過程において、前記ガス圧媒の圧力上昇を遅らせ、所定
の焼結温度保持直後に、前記ガス圧媒の圧力のピークま
たはプラトーを形成し、その後、急速に前記圧力を零近
くまで下げて前記金属系粒子11を互いに拡散接合し、少
なくとも10%以上の空隙率でかつ外部に連続する空隙孔
をもった通気性・通水性を有する金属素材を製造するも
のである。
【0024】この請求項3に係る本発明によれば、従来
のHIP成形のように、焼結温度範囲で高圧を保持し続
けると、焼結と同時に粒子の塑性変形と極端な緻密化が
進み、目的とする多孔質の焼結体が得られない。そのた
め、圧力上昇を昇温過程と連動させず、昇圧を遅らせ、
高圧負荷の時期をずらす(焼結温度保持の終了時点以降
に、圧力の最大値もしくは最大圧の短時間のプラトーを
形成させ、除荷する)ことにより、高い圧力の負荷以前
に、所定の温度に到達するため、予備焼結の役割を果た
しながら、充填された金属粒子層の内部まで温度の分布
が均一となる。その後の加圧で粒子が互いに接近した状
態で焼結を進行・促進させても、温度ムラによる過焼結
あるいは未焼結部分のない、均一な多孔質焼結金属体を
つくることができる。
【0025】まず、図9に示した第1実施例の温度パタ
ーンは、約2時間で950 ℃の焼結温度に到達させ、この
状態を30分だけ保持してから約1時間で冷却工程に移行
するパターンであり、一方、圧力パターンは、約2時間
30分で50Mpa の圧力ピークに到達させ、その後、急速に
圧力を零近くに下げるパターンであり、これによると、
空隙率16.2%で外部に挿通する空隙孔を有する素材を得
た。
【0026】図10に示した第2実施例は、前記第1実
施例において圧力ピークを30Mpa としたもので、その他
の条件は第1実施例と同じとした処、空隙率は20.5%と
なった。図11に示した第3実施例は、圧力のピークを
50Mpa で、焼結温度を900 ℃に下げた処、空隙率は20.2
%と増加し、隙間が大きくなり、圧力を下げたと同じ効
果が得られた。
【0027】図12に示した第4実施例は、焼結温度は
950 ℃で、30Mpa の圧力ピークの保持時間を30分とした
処、空隙率は17.2%となり、ここでも圧力、温度そして
両者の保持時間を個々に変動させ、望みの空隙率の焼結
体を、より早く作ることができる。図13〜図16は請
求項4に係る本発明の第1〜4実施例であり、加圧処理
対象は、請求項1に係る本発明の各実施例と同じカプセ
ルでかつHIP装置も同じである。
【0028】すなわち、請求項4に係る本発明は、前記
ヒーター3 による加熱昇温過程において所定の焼結温度
に到達する以前に、前記ガス圧媒の圧力のピークまたは
プラトーを形成し、所定の焼結温度に到達したら前記圧
力を低下させ、該低圧を保持した状態で前記金属系粒子
11を互いに拡散接合し、少なくとも10%以上の空隙率で
かつ外部に連続する空隙孔をもった通気性・通水性を有
する金属素材を製造するのである。
【0029】この請求項4に係る本発明によれば、低温
側で高圧を掛けることにより、カプセル内に充填された
粒子が互いにより接近し、焼結後欠陥となる恐れのある
無駄な空隙が減少すると共に、接触点が増えることに加
え、所定の焼結温度域で、低圧ながら加圧されているの
で、焼結がさらに加速進行する。まず、図13に示した
第1実施例は、ステンレス系ガスアトマイズ粉を、内径
120mm で高さ100mm のカプセルに真空封入し、このカプ
セルを図1(A)に示したHIP装置の圧力容器に装入
して、以下に述べる温度パターンと圧力パターンでHI
P焼結するのである。
【0030】温度パターンは、約2時間で焼結温度1000
℃に加熱し、0.5hr の保持時間をおいて約1時間で降温
させる冷却工程に移行し、一方、圧力パターンは、約1
時間で100Mpaの圧力のピークに到達させてから約1時間
で20Mpa に降圧させ、0.5hrの保持時間をおいてから零
近くに降圧させるパターンであり、この第1実施例によ
れば、空隙率18.4%で外部に連続する無数の空隙孔を有
する金属素材を得ることができた。
【0031】図14の第2実施例は、圧力パターンを圧
力ピークから10Mpa に下げたもので、その他の条件は第
1実施例と同じとした処、空隙率は22.4%の素材を得る
ことができた。図15の第3実施例は前述の第2実施例
と同じ圧力パターンで、温度パターンを焼結温度1000℃
で保持時間を 1hrとしたもので、空隙率19.5%の素材を
得ることができた例である。
【0032】図16の第4実施例は、前述の第3実施例
において焼結温度保持時間を0.5hrとするとともに、低
圧保持時間を 1hrとしたもので、これによると空隙率2
0.1%の素材を得ることができた。ここで、金属粒子の
焼結過程について図17〜図19を参照して言及する。
金属粒子11の焼結過程は、図17(A)に示されるよう
に、第1段階では、粒子の接触部周辺の表面拡散によっ
て、2粒子間のネック部11A の面積が増大して接着が起
こる。この場合は未だ寸法変化はなく焼結体の強度も低
い。第2段階においては、図17(B)のように粒子間
で多くの質量移動が起こり、中心間距離が減少して収縮
を生ずる。当然ネック部11A は太くなり、強度は増大し
ていく。この現象は粒子内の空孔 (原子の欠落した空
間) が粒子表面に移動するいわゆる原子空孔拡散現象と
言われ、結果として2粒子間ひいては粒子層全体が収縮
する。さらに焼結が進むと、図18のように初めから存
在していた粒子間の空隙11Bが空孔を取り込みながら次
第に丸みを帯びつゝ合体し、さらに粒界11C を伝わり外
部に放出されて、収縮を続け緻密化する。なお、図18
において11E は原子の拡散束を示している。
【0033】焼結には焼結温度と時間とが影響するが、
通常は何らかの手段で、前もって加圧成形体を造り、真
空炉あるいは雰囲気炉中で焼結する。高温側とするかあ
るいは焼結時間を長くすれば、焼結はより進行する。ホ
ットプレスやHIP成形のように、加圧しながら成形と
焼結を同時に行なう場合は、既述したように温度の上昇
と共に粒子が塑性変形しやすくなり、焼結初期の段階で
粒子間の接触面積が増え、焼結が進行する。この際圧力
が高くて焼結温度が低ければ、見掛けの密度増えるもの
ゝ、図19(A)のように粒子11が塑性変形11D するだ
けで、図19(B)に比べ、強度や表面加工性が劣った
り、焼結の進行に時間を要することもあり、目的とした
製品が得られないことがある。
【0034】従って温度と圧力制御により成形と焼結を
同時に行なう本発明では、温度を焼結開始温度以上とす
る必要がある。通常焼結開始温度は、粒子寸法によって
違いはあるものゝ、絶対温度で溶融温度の 0.4〜0.5 と
され、鉄であれば 630℃、銅で400 ℃前後となる。以上
説明した請求項1〜4に係る本発明の各実施例において
は、カプセルに充填される金属粒子は、平均粒度が 100
μm ( 最大寸法 220μm)の粗粉と平均粒度が45μm の微
粉の範囲で、単層充填又は混合充填することを基本とす
るが、望ましくは、カプセル8 の上部もしくは底部に、
あるいは上部と底部両方に金属系粒子11による微粒子層
を形成し、他を前記微粒子層より平均粒子径の大きな粗
粒子層で充填したカプセル8 を採用することもできる。
【0035】すなわち、本発明で使用した粉体は、ステ
ンレス系のガスアトマイズ粉で、粗粉は平均粒度が 100
μm(最大寸法 220μm)のものを試験に供し、微粉は平均
粒度45μm の粉体とした。これら粉体の粒度はレーザー
式粒度分析計にて測定した。市販の測定器で一般化され
ており、測定方法・測定データは信頼できるものであ
る。
【0036】製造プロセスは、ステンレス製のカプセル
(寸法φ 120×120mm)に粉体を詰め、中心に脱気層の付
いた円板状の蓋を溶接し、真空脱気ののち脱気管を溶接
封印する。この際、カプセル底部から粗粉層を形成し
て、カプセルに振動を与え、内部の粉体充填層をできる
かぎり最密充填に近づける。その後上層部に微粉層を形
成したあと、HIP装置内にセットし、既述した圧力パ
ターンと温度パターンに従って、雰囲気ガスにより、カ
プセルの外部から均等な圧力を負荷し、所定の温度まで
一気に昇温、その温度で一定時間保持したのち、カプセ
ルをガス冷却した。
【0037】一方微粉層を底部のみに形成したり、底部
・上部両方に形成したりしてみた。尚、HIP成形条件
は圧力が100kgf/cm2、温度1000℃で実施し、断面形状の
ミクロ観察では、微粒子層と粗粒子層の層間は連続的に
つながり、微粒子層に乱れや弯曲はあるものの厚みは確
保されている。底部に微粒子層を形成すると平滑表面が
得られやすい。
【0038】
【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、圧力
と温度を制御することによって、少なくとも空隙率が10
%以上で外部に挿通した空隙孔を全面に均一に分布で
き、しかも、使用面に微粉層を用いることによって鏡面
加工性が優れ、複雑形状のプラスチック成形品用金型
で、脱ガス困難や引け等の成形不良の原因となる部位、
さらにシボ加工性、寸法精度を要求される金型材として
適する。また加飾インモールド成形 (プラスチック製品
への印刷・装飾を言う) での加飾用フイルムの吸引固定
用、機械部品等としてはエアテーブル、気体軸受けなど
通気性を利用した部品・機器に応用して有益な通気性・
通水性を有する金属素材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る本発明の第1実施例であり、
(A)はHIP装置の概念図、(B)は加圧・焼結パタ
ーンの説明図である。
【図2】請求項1に係る本発明の第2実施例を示した加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図3】請求項1に係る本発明の第3実施例を示した加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図4】請求項1に係る本発明の第4実施例を示した加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図5】請求項2に係る本発明の第1実施例を示す加圧
・焼結パターンの説明図である。
【図6】請求項2に係る本発明の第2実施例を示す加圧
・焼結パターンの説明図である。
【図7】請求項2に係る本発明の第3実施例を示す加圧
・焼結パターンの説明図である。
【図8】請求項2に係る本発明の第4実施例を示す加圧
・焼結パターンの説明図である。
【図9】請求項3に係る本発明の第1実施例を示す加圧
・焼結パターンの説明図である。
【図10】請求項3に係る本発明の第2実施例を示す加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図11】請求項3に係る本発明の第3実施例を示す加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図12】請求項3に係る本発明の第4実施例を示す加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図13】請求項4に係る本発明の第1実施例を示す加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図14】請求項4に係る本発明の第2実施例を示す加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図15】請求項4に係る本発明の第3実施例を示す加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図16】請求項4に係る本発明の第4実施例を示す加
圧・焼結パターンの説明図である。
【図17】金属粒子の接着モデルを示し、(A)は中心
間距離不変、(B)は中心間距離減少のときである。
【図18】焼結過程での拡散模型を示す説明図である。
【図19】加圧に伴う焼結モデルを示し、(A)は通常
HIPの状態、(B)は本発明の状態である。
【符号の説明】
1 圧力容器 3 ヒーター 8 カプセル 11 金属系粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 勝 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (56)参考文献 特開 平1−242707(JP,A) 特開 昭57−104602(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 3/11,3/15 C22C 1/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒーター(3) を有する圧力容器(1) に、
    金属系粒子(11)を脱気封入したカプセル(8) を装入する
    とともに前記圧力容器(1) にガス圧媒を導入して前記カ
    プセル(8) を熱間等方圧で加圧処理するに際して、前記
    ヒーター(3)による加熱昇温過程において所定の焼結温
    度に到達する以前に、前記ガス圧媒の圧力のピークまた
    はプラトー(台地)を形成し、所定の焼結温度に到達し
    たら前記圧力を零近くまで下げて前記金属系粒子(11)を
    互いに拡散接合し、少なくとも10%以上の空隙率でかつ
    外部に連続する空隙孔をもった通気性・通水性を有する
    金属素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 ヒーター(3) を有する圧力容器(1) に、
    金属系粒子(11)を脱気封入したカプセル(8) を装入する
    とともに前記圧力容器(1) にガス圧媒を導入して前記カ
    プセル(8) を熱間等方圧で加圧処理するに際して、前記
    ヒーター(3)による加熱昇温過程において所定の焼結温
    度保持時間内に、前記ガス圧媒の圧力のピークまたはプ
    ラトー(台地)を形成した後、急速に前記圧力を零近く
    まで下げて前記金属系粒子(11)を互いに拡散接合し、少
    なくとも10%以上の空隙率でかつ外部に連続する空隙孔
    をもった通気性・通水性を有する金属素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 ヒーター3 を有する圧力容器(1) に、金
    属系粒子(11)を脱気封入したカプセル(8) を装入すると
    ともに前記圧力容器(1) にガス圧媒を導入して前記カプ
    セル(8) を熱間等方圧で加圧処理するに際して、前記ヒ
    ーター(3) による加熱昇温過程において、前記ガス圧媒
    の圧力上昇を遅らせ、所定の焼結温度保持直後に、前記
    ガス圧媒の圧力のピークまたはプラトー(台地)を形成
    し、その後、急速に前記圧力を零近くまで下げて前記金
    属系粒子(11)を互いに拡散接合し、少なくとも10%以上
    の空隙率でかつ外部に連続する空隙孔をもった通気性・
    通水性を有する金属素材の製造方法。
  4. 【請求項4】 ヒーター(3) を有する圧力容器(1) に、
    金属系粒子(11)を脱気封入したカプセル(8) を装入する
    とともに前記圧力容器(1) にガス圧媒を導入して前記カ
    プセル(8) を熱間等方圧で加圧処理するに際して、前記
    ヒーター(3)による加熱昇温過程において所定の焼結温
    度に到達する以前に、前記ガス圧媒の圧力のピークまた
    はプラトー(台地)を形成し、所定の焼結温度に到達し
    たら前記圧力を低下させ、該低圧を保持した状態で前記
    金属系粒子(11)を互いに拡散接合し、少なくとも10%以
    上の空隙率でかつ外部に連続する空隙孔をもった通気性
    ・通水性を有する金属素材の製造方法。
  5. 【請求項5】 カプセル(8) の上部もしくは底部に、あ
    るいは上部と底部両方に金属系粒子(11)による微粒子層
    を形成し、他を前記微粒子層より平均粒子径の大きな粗
    粒子層で充填していることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載の通気性・通水性を有する金属素材の製
    造方法。
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