JPH1012828A - 半導体装置の保護回路 - Google Patents

半導体装置の保護回路

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JPH1012828A
JPH1012828A JP9078421A JP7842197A JPH1012828A JP H1012828 A JPH1012828 A JP H1012828A JP 9078421 A JP9078421 A JP 9078421A JP 7842197 A JP7842197 A JP 7842197A JP H1012828 A JPH1012828 A JP H1012828A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1個のパッドに対して1個のクランプ素子
(MISFET)によって、正および負の極性を持つ静
電気等によるサージ電圧を、ブレークダウンを用いるこ
となく小さい電圧にクランプできるようにする。 【解決手段】 パッド10と内部回路3との間にMIS
FET5によるクランプ回路部6を設け、そのクランプ
回路部6に接続するゲート回路部8とによって保護回路
を構成する。そのMISFET5のソース端子及びバル
ク端子はパッド10と内部回路3とに接続し、ドレイン
端子は第1の電源端子11と接続し、ゲート端子は上記
ゲート回路部8を構成するゲート回路抵抗15の一方の
端子とコンデンサ16の一方の端子とに接続し、そのゲ
ート回路抵抗15の他方の端子は第2の電源端子12に
接続し、コンデンサ16の他方の端子は第1の電源端子
11に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体集積回路
(IC,LSI等)などの半導体装置の保護回路に関
し、この種の半導体装置の外部回路との接続端子となる
パッドに、不測に印加される静電気等による高い電圧か
ら内部回路を保護するために、半導体装置に設けられる
保護回路に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の内部回路を静電気等の高い
電圧から保護するための保護回路としては、種々の構成
のものが用いられているが、その一例を図24に示す。
この図24は、一般的な保護回路9と内部回路3とを備
える半導体装置の入力回路の一例を示す回路図である。
【0003】保護回路9はダイオード91,92と抵抗
4とからなり、内部回路3はPチャネルMIS型電界効
果トランジスタ1とNチャネルMIS型電界効果トラン
ジスタ2とから構成されている。ここで、MIS型電界
効果トランジスタは、MOS型電界効果トランジスタを
含む(金属−絶縁膜−半導体)構造の電界効果トランジ
スタを総称するものであり、以後これを「MISFE
T」と略称する。
【0004】この半導体装置の入力回路において、パッ
ド10は、保護回路9を構成するダイオード91のアノ
ード端子と抵抗4の一方の端子とに接続している。その
抵抗4の他方の端子は、ダイオード92のカソード端子
と内部回路3を構成するPチャネルMISFET1及び
NチャネルMISFET2の各ゲート端子とに接続して
いる。
【0005】また、第1の電源端子11は、Pチャネル
MISFET1の一方の端子と、ダイオード91のカソ
ード端子とに接続し、第2の電源端子12は、Nチャネ
ルMISFET2の一方の端子とダイオード92のアノ
ード端子とに接続している。ここで、第1の電源端子1
1には基準電位(VDD)が供給され、第2の電源端子1
2には負の電源電位(VSS)が供給される。
【0006】そして、PチャネルMISFET1の他方
の端子とNチャネルMISFET2の他方の端子は、共
に出力端子13に接続している。静電気は、数KVから
十数KVの電圧で正負の極性をもっており、保護回路9
はパッド10に不測に印加されるこの静電気から内部回
路3を保護する必要がある。
【0007】そのため、正極性の静電気がパッド10に
印加され、ダイオード91のアノード端子と抵抗4との
接続点に到達すると、ダイオード91が順方向動作を行
ない、第1の電源端子11に電流を流す。このダイオー
ド91に電流が流れはじめる電圧をしきい値電圧とい
う。パッド10に印加された正極性の電圧は、ダイオー
ド91の順方向のしきい値電圧値でクランプされるた
め、内部回路3には、この順方向のしきい値電圧以上の
電圧は印加されない。
【0008】一方、負極性の静電気がパッド10に印加
され、抵抗4を介してダイオード92のカソード端子に
到達すると、ダイオード92が順方向動作を行ない、抵
抗4を介してパッド10に電流を流す。したがって、パ
ッド10に印加された負極性の電圧は、ダイオード92
の順方向のしきい値電圧値でクランプされるため、内部
回路3には、絶対値がこの順方向のしきい値電圧以上の
電圧は加わらない。
【0009】また抵抗4は、パッド10と内部回路3と
の間に直列に挿入されているため、静電気による立ち上
がりの鋭いノイズ成分をなまらせる役割を果たしてい
る。ところで、近年のMISFETの微細化に伴ない、
MISFETを構成するゲート絶縁膜はますます薄膜化
する傾向にある。MISFETを構成するゲート絶縁膜
が薄膜化すると、その破壊耐量も低下することから、保
護回路の重要性はさらに高くなってきている。
【0010】上述のような2個のダイオードを用いた従
来技術の保護回路は、そのダイオードのPN接合の面積
に保護能力が依存する。すなわち、図24に示した半導
体装置において、保護回路9によって内部回路3を保護
し、内部回路3を構成するMISFET1,2の破壊耐
量を向上するためには、保護回路9を構成するダイオー
ド91,92のPN接合の面積を増加させればよい。
【0011】その理由は、ダイオード91,92を構成
するPN接合の面積を増加させれば、このダイオード9
1,92に単位時間当りに大きな電流を流すことがで
き、さらにダイオード91,92を構成するPN接合の
単位面積当たりの通電量が減少することから、保護回路
の保護能力は向上する。また、ダイオード91,92を
構成するPN接合の単位面積当たりの通電量が減少する
ということは、このPN接合に流れる電流による熱の発
生を抑制できることになる。そのため、ダイオード9
1,92の熱破壊を防止することができ、それによって
保護回路9自身の破壊を防止することになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダイオ
ード91,92のPN接合の面積を増加することには大
きな問題がある。すなわち、それは半導体装置における
保護回路9が占有する面積を増加することになる。図2
4に示した従来の保護回路9は、パッド10に印加され
る静電気による高い電圧をクランプして内部回路3を保
護するためには、正と負との極性を持つ静電気に対応
し、各極性の電圧に対して別のクランプ素子であるダイ
オード91,92を必要とする。
【0013】そのため、クランプ素子であるダイオード
のPN接合の面積を増加することによって保護回路の保
護能力を向上させようとすると、保護回路の占有する設
置面積は非常に大きなものになる。さらに、その両ダイ
オードに高電圧によるサージ電流を流し得る異なる極性
の電源配線を形成するスペースも必要になる。これは、
パッド10の周辺に設置する保護回路9以外の他の回路
の設置面積を圧迫し、ひいては半導体装置全体の面積増
加につながる。したがって、この手段は半導体装置の面
積を縮小してコストダウンを図る要求に逆行するので、
好ましくない。
【0014】そのため、半導体装置全体の面積が増加し
ないように、保護回路9の占有する設置面積を縮小する
と、保護回路9を構成するダイオード91,92のPN
接合の面積が充分確保できなくなり、パッド10に印加
される静電気から内部回路3を保護する能力が低下する
ばかりか、保護回路9の各電源配線の幅も狭くなるため
電流容量が低下し、保護回路9自身も破壊される恐れが
ある。
【0015】そこで、図25に示すように、保護回路
9′を構成するクランプ素子をダイオード91のみにし
て、パッド10に負の高電圧が印加されたときには、こ
のダイオード91のブレークダウン電圧でその電圧をク
ランプするようにした保護回路も使用されている。この
ようにすれば、1個のパッドに対して1個のクランプ素
子で済み、その電源配線も一方の極性だけよいため、そ
のクランプ素子であるダイオードのPN接合の面積を増
加し、その電源配線の幅も広くして耐久性を高めること
が可能になる。
【0016】しかしながら、この保護回路9′によれ
ば、パッド10に正極性の電圧が印加された場合のクラ
ンプ電圧は、ダイオード91の順方向のしきい値電圧値
であるが、パッド10に負極性の電圧が印加された場合
のクランプ電圧は、ダイオード91のブレークダウン電
圧(約50V)となるため、かなり大きな電圧になる。
しかも、ダイオードがブレークダウンを繰り返すと劣化
するという問題もあり、やはり好ましくなかった。
【0017】この発明は、このような問題を解決するた
めになされたものであり、1パッドにつき1個のクラン
プ素子で、ブレークダウンを使用せずに、静電気による
正極性及び負極性の高い電圧が半導体装置のパッドに印
加されても、内部回路を確実に保護できるようにし、且
つ半導体装置における保護回路以外の回路を設置する面
積を圧迫することなく、保護回路自身の破壊も生じない
ようにした半導体装置の保護回路を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するため、半導体装置のパッドと内部回路との間に
設けるクランプ回路部と、そのクランプ回路部に接続す
るゲート回路部とによって保護回路を構成する。そのク
ランプ回路部はMIS型電界効果トランジスタ(MIS
FET)を有し、ゲート回路部はゲート回路抵抗とコン
デンサとを有する。
【0019】そして、クランプ回路部のMISFETの
ソース端子とバルク端子とは、上記パッドと内部回路と
に接続する。そのMISFETのドレイン端子は第1の
電源端子と接続し、ゲート端子はゲート回路部を構成す
るゲート回路抵抗の一方の端子とコンデンサの一方の端
子とに接続する。そのゲート回路抵抗の他方の端子は第
2の電源端子に接続し、前記コンデンサの他方の端子は
前記第1の電源端子に接続する。
【0020】この半導体装置の保護回路によれば、正極
性のサージ電圧がパッドに印加されると、MISFET
の一方の端子から半導体基板に電流を流し、MISFE
Tのバルク端子及びドレイン端子を介して第1の電源に
電流を流す。それによって、正のサージ電圧はPN接合
の順方向のしきい値電圧にクランプされる。
【0021】また、負極性のサージ電圧がパッドに印加
されると、MISFETのソース端子に加わる静電気に
よる負のサージ電圧と、ゲート回路抵抗を介して第2の
電源に接続するMISFETのゲート端子との間の電位
差により、このMISFETがオンする。それによっ
て、第1の電源からMISFETのドレイン端子及びソ
ース端子を介してパッドへ電流を流す。したがって、負
のサージ電圧は、このMISFETのオン時のソース・
ドレイン間の電位差にクランプされる。
【0022】半導体装置が、複数のパッドと該複数の各
パッドを介して信号のやり取りを行なう複数の内部回路
とを有する場合には、上記クランプ回路部をその複数の
パッドと複数の内部回路との間にそれぞれ設け、その各
クランプ回路部のMISFETゲート端子を、1つのゲ
ート回路部のゲート回路抵抗の一方の端子とコンデンサ
の一方の端子とに共通に接続すればよい。
【0023】また、上記クランプ回路部に、パッドとM
ISFETのソース端子及びバルク端子との間に介挿さ
れる第1の抵抗と、そのソース端子及びバルク端子と内
部回路との間に介挿される第2の抵抗とを設けることに
より、その保護性能を高めることができる。その第1の
抵抗と前記第2の抵抗のうち、少なくとも前記第1の抵
抗を薄膜抵抗によって構成することにより、ラッチアッ
プ防止効果を得ることができる。
【0024】また、上記クランプ回路部のMISFET
として、高耐圧MISFETを使用することによって、
上記ゲート回路部を省略して、高耐圧MISFETのゲ
ート端子を直接第2の電源端子に接続することが可能に
なる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、この発明に
よる半導体装置の保護回路の幾つかの実施形態を説明す
る。
【0026】〔第1の実施形態〕図1は、この発明の第
1の実施形態の半導体装置の保護回路と内部回路とを示
す回路図であり、前述した従来例の図24と同じ部分に
は同じ符号を付してある。この図1に示す保護回路は、
半導体装置のパッド10と内部回路3との間に設けたク
ランプ回路部6と、そのクランプ回路部6に接続するゲ
ート回路部8とから構成される。
【0027】パッド10は半導体装置の内部回路3と外
部の回路などとの間で電気信号をやり取りするための端
子の役割を持ち、半導体装置に用いるアルミニウムなど
からなる金属配線と同一の材質で形成されている。クラ
ンプ回路部6は、NチャネルのMIS型電界効果トラン
ジスタ(MISFET)5で構成され、このクランプ回
路部6に接続するゲート回路部8は、ゲート回路抵抗1
5とコンデンサ16とによって構成されている。
【0028】そして、この図1に示す保護回路におい
て、クランプ回路部6のMISFET5のソース端子S
とバルク端子Bとの接続端子は、パッド10と、内部回
路3を構成するPチャネルMISFET1のゲート端子
とNチャネルMISFET2のゲート端子とに接続して
いる。MISFET5のドレイン端子Dは第1の電源端
子11と接続し、ゲート端子Gはゲート回路部8を構成
するゲート回路抵抗15の一方の端子とコンデンサ16
の一方の端子とに接続し、そのゲート回路抵抗15の他
方の端子は第2の電源端子12に接続し、コンデンサ1
6の他方の端子は第1の電源端子11に接続している。
【0029】その第1の電源端子11には基準電位(V
DD)が供給され、第2の電源端子12には負の電源電位
(VSS)が供給される。図2及び図3は、図1に示した
クランプ回路部6を模式的に示す断面図であり、図2は
正のサージ電圧をクランプする場合の動作を説明するた
めの図、図3は負のサージ電圧をクランプする場合の動
作を説明するための図である。
【0030】図1乃至図3に示すNチャネルのMISF
ET5は、そのソース,ゲート,ドレイン,バルクの各
端子を、S,G,D,Bの各記号で示している。これら
はそれぞれMISFETを構成するものであり、それぞ
れの端子の英字頭文字を記号として示している。
【0031】図2及び図3に示すクランプ回路部6は、
N型の半導体基板100に、その半導体基板100と異
なる導電型の不純物の領域を形成するP型のウェル10
1を設け、そこにNチャネルのMISFET5を構成し
ている。すなわち、そのP型のウェル101内に、MI
SFET5のバルク端子Bを形成するP型の拡散層53
と、ソース端子Sを形成する半導体基板100と同じ導
電型の不純物のN型の拡散層52と、このN型の拡散層
52から離間してドレイン端子Dを形成するN型の拡散
層51とを設け、その拡散層52と拡散層51との間の
上部にゲート端子Gを形成するゲート電極50を設けて
いる。
【0032】ここで、NチャネルのMISFET5のゲ
ート端子Gを形成するゲート電極50は、多結晶シリコ
ンで構成する。N型の半導体基板100のP型のウェル
101の周囲には、N型の拡散層55を形成し、それを
第1の電源端子11に接続している。MISFET5の
ドレイン端子Dを形成するN型の拡散層51も第1の電
源端子11に接続している。
【0033】MISFET5のバルク端子Bを形成する
P型の拡散層53とソース端子Sを形成するN型の拡散
層52は共通の接続端子56を介して図1に示したパッ
ドに接続される。ゲート端子Gを形成するゲート電極5
0は、ゲート接続端子57を介して図1に示したゲート
回路部8に接続し、そのゲート回路抵抗15を介して第
2の電圧端子に接続される。
【0034】図4は、図1におけるクランプ回路部6を
模式的に示す平面図である。この図4において、多数の
小さい正方形のドットは、それぞれ下側の拡散層又は電
極と上側の端子(配線)とを接続するコンタクトホール
を示している。
【0035】図5は、図4のA−A線に沿う実際形状に
近い拡大断面図である。この図5において、59は半導
体基板100及びウェル101上に形成したフィールド
酸化膜で、各拡散層51,52,53,55を互いに絶
縁している。60は第1の電源端子11,接続端子5
6,およびゲート電極50を互いに絶縁する絶縁層であ
る。54はゲート電極50とウェル101の上面との間
に形成したゲート絶縁層である。
【0036】つぎに、この半導体装置の保護回路の動作
を主に図1乃至図3を用いて説明する。まず、保護回路
を構成するクランプ回路部6の電圧クランプ特性につい
て説明する。まず、正極性の静電気が図1に示すパッド
10に印加されると、その正のサージ電圧がパッド10
からクランプ回路部6を構成するNチャネルのMISF
ET5のソース端子Sとバルク端子Bとの接続端子56
(図2)に到達する。
【0037】図2に示すNチャネルのMISFET5の
バルク端子Bを形成するP型の拡散層53とP型のウェ
ル101とは同一導電型であるため、P型のウェル10
1は瞬時にP型の拡散層53と同電位になる。そのP型
のウェル101と、NチャネルのMISFET5のドレ
イン端子Dを形成するN型の拡散層51とによってPN
接合を形成している。
【0038】NチャネルのMISFET5のソース端子
Sとバルク端子Bに到達する正極性のサージ電圧によ
り、P型のウェル101とN型の拡散層51とによって
形成されるPN接合が順方向となる電界が加わる。PN
接合のしきい値電圧は、前述のようにPN接合に電流が
流れはじめる電圧のことをいう。特に、PN接合に順方
向に電界をかけた場合に電流が流れ始める電圧を、順方
向のしきい値電圧という。PN接合のしきい値電圧はP
型半導体とN型半導体との不純物濃度で決まり、不純物
濃度が濃い程しきい値電圧が低くなることはよく知られ
ている。
【0039】通常は、NチャネルのMISFET5のバ
ルク端子Bを形成するP型の拡散層53や、ドレイン端
子Dを形成するN型の拡散層51の不純物濃度は、P型
のウェル101に比較して濃く、したがってこれらで構
成するPN接合の順方向のしきい値電圧は低い。
【0040】パッド10に印加される正極性の静電気に
よる電圧は、P型のウェル101とN型の拡散層51と
の間に構成されるPN接合の順方向のしきい値電圧より
はるかに高いため、このPN接合は順方向動作を行な
い、図2に矢印線で示すように、基準電位を供給する第
1の電源端子11に正のサージ電流Ispを流す。
【0041】また、P型のウェル101とN型の半導体
基板100との間にもしきい値電圧が幾分高いPN接合
が形成されており、それも順方向動作をするため、若干
の電流は図2に矢印破線で示すように、そのPN接合面
及びN型の拡散層55を通して第1の電源端子11に流
れる。それによって、パッド10に印加される正極性の
サージ電圧は、このPN接合の低いしきい値電圧でクラ
ンプされ、図1に示す内部回路3にはそれ以上の電圧が
印加されることはない。
【0042】次に、負極性の静電気が図1に示すパッド
10に印加された場合の動作を、図3を用いて説明す
る。負極性の静電気による負のサージ電圧は図1に示す
パッド10からクランプ回路部6を構成するNチャネル
のMISFET5のソース端子Sとバルク端子Bとに到
達する。
【0043】すると、正の極性の静電気による正のサー
ジ電圧が印加されたときと同様に、P型のウェル101
はたちまちP型の拡散層53と同電位になる。Nチャネ
ルのMISFET5のドレイン端子Dを形成するN型の
拡散層51は、基準電位を供給する第1の電源11に接
続しているため、P型のウェル101とN型の拡散層5
1で構成するPN接合には逆方向の電界が加わる。
【0044】ところで、PN接合に逆方向に電界をかけ
た場合に電流が流れ始める電圧を逆方向のしきい値電圧
といい、一般的にはブレークダウン電圧という。とくに
PN接合に逆方向の電界がかかり電流を流す現象をブレ
ークダウン現象という。PN接合のブレークダウン電圧
は、P型半導体とN型半導体との不純物濃度で決まる
が、一般的に通常のMISFETの動作に影響しないよ
うに、MISFETがオンする電圧をはるかに超える電
圧である。
【0045】P型のウェル101とMISFET5のド
レイン端子Dを形成するN型の拡散層51とによって構
成されるPN接合は、前述のように逆方向の電界が加わ
る。しかし、MISFET5のゲート端子Gには、ゲー
ト回路部8を構成するゲート回路抵抗15を介して第2
の電源端子12の負の電源電位が加わっている。このゲ
ート端子Gに加わる負の電源電位に対して、ソース端子
Sとバルク端子Bとに加わる負のサージ電圧ははるかに
大きな負の電位であるため、この電位差によりたちまち
NチャネルのMISFET5はオンする。
【0046】このため、P型のウェル101とドレイン
端子Dを形成するN型の拡散層51とによって構成され
るPN接合がブレークダウン現象により電流を流すより
前に、NチャネルのMISFET5のソース端子Sを形
成するN型の拡散層52とドレイン端子Dを形成するN
型の拡散層51とが導通する。したがって、図3に矢印
線によって示すように、拡散層51に接続している基準
電位を供給する第1の電源端子11から拡散層52及び
接続端子56を介してパッド10へ、負のサージ電流I
snを流す。
【0047】NチャネルのMISFET5がオンする時
の、ソース端子Sとドレイン端子Dとの間の導通抵抗は
小さいために、ソース端子Sとドレイン端子Dとの間に
生ずる電位差も小さい。したがって、この小さい電位差
でサージ電圧をクランプするために、第1図に示す内部
回路3にはこれ以上の電位差が加わることはない。次
に、保護回路を構成するゲート回路部8のクランプ回路
部6に対する保護特性について説明する。
【0048】図1に示すゲート回路部8を構成するゲー
ト回路抵抗15とコンデンサ16とは、負の電源電位を
供給する第2の電源端子12に重畳される静電気などに
よるノイズ性の電圧変動に対して、クランプ回路部6を
構成するNチャネルのMISFET5のゲート端子Gを
保護する役割をもっている。ゲート回路部8は、クラン
プ回路部6を構成するNチャネルのMISFET5のゲ
ート端子Gにゲート回路抵抗15を介して、負の電源電
位を供給する第2の電源端子12と接続している。
【0049】第2の電源端子12に供給される負の電源
電位に、静電気などによるノイズ性の電圧変動が重畳さ
れる場合がある。すなわち、第2の電源端子12に、正
あるいは負の極性を持つ静電気などによる電圧が直接的
に印加される場合と、半導体装置を構成する回路等を伝
達して間接的に印加される場合とがあり、これらがノイ
ズ性の電圧変動として負の電源電位に重畳される。
【0050】これらのいずれの場合であっても、クラン
プ回路部6を構成するNチャネルのMISFET5のゲ
ート端子Gは、第2の電源端子12に直接接続している
と、前述のノイズ性の電圧変動がゲート端子Gに印加さ
れ、NチャネルのMISFET5を誤動作させてしま
う。具体的には、パッド10を介して内部回路3がやり
取りする正常な電気信号を、NチャネルのMISFET
5がオンすることにより、基準電位を供給する第1の電
源端子11との間でクランプしてしまう。
【0051】それによって、内部回路3に正常な電気信
号のやり取りがなされなくなり、誤動作が生じる。ま
た、負の電源電位を供給する第2の電源端子12に重畳
されるノイズ性の電圧変動の強度によっては、Nチャネ
ルのMISFET5のゲート端子Gが破壊されてしまう
ことがある。
【0052】そのため、ゲート回路部8を構成するゲー
ト回路抵抗15とコンデンサ16とが、負の電源電位を
供給する第2の電源端子12と、基準電位を供給する第
1の電源端子11と、クランプ回路部6を構成するNチ
ャネルのMISFET5のゲート端子Gとの間にそれぞ
れ接続されている。
【0053】このコンデンサ16の持つ容量成分とゲー
ト回路抵抗15の持つ抵抗成分とによって構成されるC
R時定数により、負の電源電位を供給する第2の電源端
子12に重畳されるノイズ性の電圧変動を減衰させる。
それにより、クランプ回路部6を構成するNチャネルの
MISFET5のゲート端子Gの誤動作や破壊を防止す
る。
【0054】ゲート回路部8を構成するコンデンサ16
の容量成分は、内部回路3を構成するPチャネルMIS
FET1やNチャネルMISFET2のゲート端子に寄
生する浮遊容量の数倍程度でよい。一例をあげると5倍
程度でよく、好ましくはこのコンデンサ16の容量は大
きければ大きいほどよい。以上説明したこの発明の第1
の実施形態の半導体装置の保護回路による特徴的な動作
をまとめると、以下に記すようなものである。
【0055】正極性の静電気によるサージ電圧がパッド
10に印加されると、クランプ回路部6を構成するNチ
ャネルのMISFET5のP型のウェル101とN型の
ドレイン端子D及びN型の半導体基板100とによっ
て、それぞれ構成されるPN接合が順方向にバイアスさ
れ、その順方向動作によって基準電位を供給する第1の
電源端子11に正のサージ電流を流す。そのため、正極
性のサージ電圧は、このPN接合の低いしきい値電圧で
クランプされる。
【0056】また、負極性の静電気によるサージ電圧が
パッド10に印加されると、クランプ回路部6を構成す
るNチャネルのMISFET5のバルク端子Bとソース
端子Sとに対して、ゲート端子Gが接続しているゲート
回路部8から供給される負の電源電位との間で、このN
チャネルのMISFET5をオンする電界が加わるた
め、そのソース端子Sとドレイン端子Dとの間が導通
し、基準電位を供給する第1の電源端子11からパッド
10にサージ電流を流す。そのため、負極性のサージ電
圧は、MISFET5のソース端子Sとドレイン端子D
との間に生ずる小さい電位差にクランプされる。
【0057】この第1の実施形態の半導体装置の保護回
路は、従来の保護回路に比べて大きな特徴をもつ。すな
わち、図24に示した従来の保護回路は、パッド10に
印加される正と負のサージ電圧をクランプするために、
クランプ素子として2個のダイオードが必要であった。
しかしながら、図1に示す半導体装置の保護回路によれ
ば、パッド10に印加される正と負のサージ電圧をクラ
ンプするためのクランプ回路部6には、クランプ素子と
して1個のNチャネルのMISFET5を設けているだ
けである。
【0058】さらに、図24に示した従来の保護回路の
保護能力を向上させるためには、2個のダイオード9
1,92のPN接合を大きくする必要がある。しかし、
それは前述のとおり、半導体装置内の保護回路が占有す
る面積が大きくなって、他の回路を設置する面積を圧迫
するという問題があった。
【0059】これに対し、図1に示す半導体装置の保護
回路の保護能力を向上させるためには、NチャネルのM
ISFET5を大きくすればよい。具体的には、図2乃
至図5に示したNチャネルのMISFET5を構成する
バルク端子B,ソース端子S,およびドレイン端子Dに
各々対応する、P型の拡散層53,N型の拡散層52,
およびN型の拡散層51と、N型の半導体基板100の
設置面積を大きくすればよい。
【0060】これは、図24に示した従来の保護回路の
ダイオード91,92のPN接合の面積を増加させるの
と同様な効果がある。ところが、この図24に示した従
来の保護回路と比較して、この発明による図1乃至図5
に示した半導体装置の保護回路は、パッド1個に対して
クランプ素子がMISFET一つでよいため、半導体装
置におけるクランプ素子の設置面積は非常に小さくて済
む。したがって、このMISFET5が充分な保護能力
を持つように設置しても、他の回路を設置する面積を圧
迫するという問題は生じない。
【0061】この保護回路を構成するクランプ素子が一
つであることによる利点はさらにある。すなわち、図2
4に示した従来の保護回路においては、電源系の配線と
して、基準電位を供給する配線と負の電源電位を供給す
る配線とが必要であった。この発明による図1に示す半
導体装置の保護回路に必要な電源系の配線も、基準電位
を供給する第1の電源端子11用と負の電源電位を供給
する第2の電源端子12用とが必要である。
【0062】しかし、従来の保護回路の動作は、前述の
とおり図24に示したクランプ素子であるダイオード9
1,92に電流を流してなされる。このダイオード9
1,92には、パッド10に印加される静電気等による
高い電圧をクランプするため、非常に大きな電流が流れ
る。
【0063】半導体装置における配線は、一般にアルミ
ニウムなどの金属配線を用いる。そして、その金属配線
に通電する電流が多い場合は、金属配線の幅寸法を広く
するなどの配線の配置手法を用い、通電による発熱など
のストレスで生じる金属配線の溶断に対処する。このよ
うな理由によって、図24に示した従来の保護回路を実
現するためには、ダイオード91と第1の電源端子1
1、ダイオード92と第2の電源端子12とをそれぞれ
接続する金属配線は非常に幅の広いものが必要であっ
た。
【0064】これに対し、この発明による図1に示す半
導体装置の保護回路は、その保護動作において、負の電
源電位を供給する第2の電源端子12には電流を流すこ
とはない。したがって、負の電源電位を供給する第2の
電源端子12に接続する配線である、MISFET5の
ゲート端子Gとゲート回路部8を構成するゲート回路抵
抗15と第2の電源端子12とを接続する金属配線は、
大電流の通電に耐える必要なく、通常の内部回路の配線
に用いる金属配線と同等の幅寸法でよい。
【0065】したがって、この発明の第1の実施の形態
の半導体装置の保護回路は、ひとつのクランプ素子で半
導体装置に印加される正と負の2種類の極性のサージ電
圧を、1本の金属配線で第1の電源端子11に通電して
吸収することができる。
【0066】すなわち、印加されるサージ電圧の極性に
関係なくクランプ素子はひとつでよいため、非常にコン
パクトな保護回路を構成できる。しかも、図25に示し
た従来例のように、一方の極性のサージ電圧に対してク
ランプ素子のブレークダウン動作によって保護を計るよ
うなことはないので、クランプ電圧が高くなったり、ク
ランプ素子の劣化を早めたりする恐れもない。
【0067】〔第2の実施形態〕次に、この発明の第2
の実施形態の半導体装置の保護回路を図6によって説明
する。図6において、図1と同じ部分には同一の符号を
付している。図6に示す半導体装置は、複数のパッド1
0a...10nと、その各パッドを介して信号のやり
とりを行なう複数の内部回路3a...3nとを有す
る。
【0068】そして、保護回路は、複数のパッド10
a...10nと複数の内部回路3a...3nとの間
にそれぞれ設けられた複数のクランプ回路部6a...
6nと、その各クランプ回路部6a...6nに接続さ
れるひとつのゲート回路部8とによって構成されてい
る。
【0069】複数のクランプ回路部6a...6nは、
それぞれNチャネルのMISFET5a...5nで構
成され、ゲート回路部8はゲート回路抵抗15とコンデ
ンサ16とによって構成されている。このクランプ回路
部8の構成は、前述した第1の実施形態における図1に
示したクランプ回路部8の構成と同じである。
【0070】つぎに、この半導体装置の保護回路の各構
成要素の接続状態を説明する。図6に示すように、複数
のパッド10a...10nは、それぞれクランプ回路
部6a...6nを構成するNチャネルのMISFET
5a...5nのソース端子Sとバルク端子Bの接続端
子と、内部回路3a...3nを構成するPチャネルの
MISFET1及びNチャネルのMISFET2の各ゲ
ート端子とに接続し、NチャネルのMISFET5
a...5nの各ドレイン端子Dは、それぞれ第1の電
源端子11に接続する。
【0071】NチャネルのMISFET5a...5n
の各ゲート端子Gは、それぞれゲート回路部8を構成す
るゲート回路抵抗15の一方の端子とコンデンサ16の
一方の端子に接続し、そのゲート回路抵抗15の他方の
端子は第2の電源端子12に接続し、コンデンサ16の
他方の端子は第1の電源端子11に接続する。
【0072】この第2の実施形態の半導体装置の保護回
路は、図1に示した第1の実施形態の半導体装置の保護
回路の特徴的な機能を有しつつ、さらに保護回路として
の面積を低減することが可能である。すなわち、半導体
装置の複数のパッド10a...10nと複数の内部回
路3a...3nとの間に、それぞれ設けるクランプ回
路部6a...6nに対して、その各クランプ回路部6
a...6nに接続するゲート回路部8は一つだけ設け
ているからである。
【0073】ゲート回路部8は、各クランプ回路部6
a...6nを構成するNチャネルのMISFET5
a...5nのゲート端子Gに電位を供給するものであ
るから、半導体装置のある部分に一つだけ設けてもなん
ら問題ない。したがって、この第2の実施形態の半導体
装置の保護回路によれば、前述した第1の実施形態の場
合と同じ効果が得られるが、さらに、パッド回りの保護
回路が占有する設置面積を低減できるので、パッド周辺
に設ける保護回路以外の他の回路の占有する設置面積を
圧迫することがないため、半導体装置の低面積化に非常
に効果的である。
【0074】〔第3の実施形態〕次に、この発明の第3
の実施形態の半導体装置の保護回路を図7によって説明
する。図7において、図1と同じ部分には同一の符号を
付してあり、それらの説明は省略する。この図7に示す
半導体装置の保護回路において、図1に示した半導体装
置の保護回路と相違するのは、クランプ回路部6をNチ
ャネルのMISFET5と第1の抵抗41及び第2の抵
抗42とによって構成した点のみである。
【0075】そして、その第1の抵抗41は、パッド1
0とNチャネルのMISFET5のソース端子Sとバル
ク端子Bの接続端子との間に介挿され、第2の抵抗42
は、MISFET5のソース端子Sとバルク端子Bの接
続端子と内部回路3を構成するPチャネルMISFET
1及びNチャネルMISFET2の各ゲート端子との間
に介挿されている。その他の構成は、図1に示したこの
発明の第1の実施形態の半導体装置の保護回路と同じで
ある。
【0076】この第3の実施形態において、クランプ回
路部6に設けた第1の抵抗41と第2の抵抗42とは電
流制限素子として働き、NチャネルのMISFET5と
内部回路3とを保護する役割をもっている。正あるいは
負のいずれの極性を持つ静電気がパッド10に印加され
る場合でも、クランプ回路部6を構成するNチャネルの
MISFET5に電流が流れる。したがって、第1の抵
抗41はそのMISFET5に流れる電流を制限し、M
ISFET5自体の破壊を防止する。
【0077】クランプ回路部6を構成する第2の抵抗4
2は、NチャネルのMISFET5と内部回路3との間
に設けている。これにより、パッド10からクランプ回
路部6をぬけて内部回路3に流れる電流を制限し、内部
回路3の破壊を防止する。このように、この図7に示す
第3の実施形態の半導体装置の保護回路は、図1に示し
た第1の実施形態の半導体装置の保護性能をさらに向上
させることができる。
【0078】その上、第1の抵抗41がクランプ回路6
を、第2の抵抗42が内部回路3を保護しているため、
クランプ回路6にかかる負担は第1の実施形態と比べて
小さくなり、クランプ回路全体をより小さくすることが
できる。
【0079】ただし、このクランプ回路部6の第1の抵
抗41と第2の抵抗42とは、パッド10と内部回路3
との間に直列に接続されているため、内部回路3が高速
動作する場合の妨げとなる。そこで、この半導体装置の
設計に際しては、内部回路3がパッド10を介して外部
回路と高速で信号のやり取りを行なうことを考慮して、
第1の抵抗41と第2の抵抗42の抵抗値として、その
信号伝達の妨げにならない範囲の抵抗値を選ぶ必要があ
る。
【0080】〔第4の実施形態〕次に、この発明の第4
の実施形態の半導体装置の保護回路を図8によって説明
する。図8において、図6及び図7と同じ部分には同一
の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0081】この図8に示すこの発明の第4の実施の形
態の半導体装置の保護回路は、複数のパッド10
a...10nと複数の内部回路3a...3nとの間
に、それぞれ設けたクランプ回路部6a...6nと、
それらに接続する一つのゲート回路部8とによって構成
している。これは、図6に示した第2の実施形態と同じ
である。但し、各クランプ回路部6a...6nは、N
チャネルのMISFET5a...5nと第1の抵抗4
1及び第2の抵抗42によって構成しており、この点は
図7に示した第3の実施形態と同じである。
【0082】したがって、この第4の実施形態の半導体
装置の保護回路によれば、図3に示した第2の実施形態
の半導体装置の保護回路と同様に、パッド回りの保護回
路が占有する設置面積を低減できるので、半導体装置の
低面積化に非常に効果的であり、且つ図7に示した第3
の実施形態の半導体装置の保護回路と同様に半導体装置
の保護性能を高めることができる。
【0083】〔第5の実施形態〕次に、この発明の第5
の実施形態の半導体装置の保護回路を図9乃至図18に
よって説明する。図9は、この発明の第5の実施形態の
半導体装置の保護回路と内部回路とを示す回路図であ
り、図1と同じ部分には同一の符号を付してある。この
図9に示す半導体装置の保護回路において、パッド10
と内部回路3との間に接続するクランプ回路部6′は、
Nチャネルの高耐圧MISFET5′で構成する。
【0084】そして、図1に示した半導体装置の保護回
路におけるゲート回路部8を省略して、クランプ回路部
6′を構成するNチャネルの高耐圧MISFET5′の
ゲート端子Gを、直接第2の電源端子12に接続する。
その他の回路構成は、図1に示した第1の実施形態と同
様である。したがって、この第5の実施形態の半導体装
置の保護回路によっても、図1に示した第1の実施形態
の半導体装置の保護回路と同様な機能が得られ、さらに
ゲート回路部が不要になるだけ、その設置面積を低減す
ることができる。
【0085】そのため、この第5の実施の形態の半導体
装置の保護回路では、クランプ回路部6′を構成するク
ランプ素子として、高耐圧MISFET5′を使用して
いる。この高耐圧MISFET5′は、そのゲート端子
Gの構成が、第1乃至第4の実施形態で使用したMIS
FET5と若干異なっている。そこで、以下にこのNチ
ャネルの高耐圧MISFET5′の構造例を説明する。
【0086】(第1の例)図10及び図11は、その第
1の例を示す図4及び図5と同様な平面図及び断面図で
あり、図4及び図5と必ずしも同じではないが対応する
部分には同じ符号を付している。
【0087】MISFET5の破壊の主な要因は、その
ゲート端子Gを構成するゲート電極とゲート絶縁膜であ
る。そこで、この図10及び図11に示す高耐圧型のN
チャネルのMISFET5′は、ゲート絶縁層54とし
てフィールド酸化膜59を使用し、さらに絶縁層60を
介して、その上にアルミニウムなどの金属配線によるゲ
ート電極50を設けている。このように構成することに
よって、第2の電源端子12の電圧に重畳する静電気に
よるノイズ性の電圧変動に対する破壊耐量が著しく向上
する。
【0088】(第2の例)図12及び図13は、Nチャ
ネルの高耐圧MISFET5′の第2の例を示す図4及
び図5と同様な平面図及び断面図であり、図4及び図5
と必ずしも同じではないが対応する部分には同じ符号を
付している。
【0089】この例では、ゲート電極50を図4及び図
5に示したMISFET5と同様に多結晶シリコンによ
って形成しているが、ゲート絶縁層54としてフィール
ド酸化膜59を用い、その多結晶シリコンによるゲート
電極50の全長に亘ってアルミ配線によるゲート接続端
子57を載せ、両者を接続するコンタクトホール61を
ゲート部全体に多数配置している。
【0090】このように、MISFET5′のゲート端
子Gを構成することによっても、その破壊耐量を向上す
ることができる。なお、ゲート電極50を多結晶シリコ
ンに代えてアルミゲートにしてもよい。それによって、
応答速度を速め、しきい値電圧を下げることができる。
【0091】(第3の例)図14は、Nチャネルの高耐
圧MISFET5′の第3の例を示す図13と同様な断
面図であり、図13と必ずしも同じではないが対応する
部分には同じ符号を付している。
【0092】この例では、ゲート電極50は多結晶シリ
コンによって形成しており、ゲート絶縁層54も、図1
に示したNチャネルのMISFET5と同様に薄い絶縁
膜である。しかし、ソース端子Sを形成するN型の拡散
層52及びドレイン端子Dを形成するN型の拡散層51
と、ゲート電極50との間に間隔を設けたオフセットゲ
ート構造としている。このように構成することによって
も、MISFET5′のゲート端子Gを構成するゲート
絶縁層54の破壊耐量を向上することができる。
【0093】(第4の例)図15及び図16は、Nチャ
ネルの高耐圧MISFET5′の第4の例を示す図4及
び図5と同様な平面図及び断面図であり、図4及び図5
と必ずしも同じではないが対応する部分には同じ符号を
付している。
【0094】この例も、ゲート電極50は多結晶シリコ
ンによって形成しており、ゲート絶縁層54も、図1に
示したNチャネルのMISFET5と同様に薄い絶縁膜
である。しかし、ソース端子Sを形成するN型の拡散層
52及びドレイン端子Dを形成するN型の拡散層51
と、ゲート電極50との間に、ソースLDD(lightly dop
ed) 領域(薄い不純物拡散領域)152及びドレインL
DD領域151を設けている。 このように構成すること
によっても、MISFET5′のゲート端子Gを構成す
るゲート絶縁層54の破壊耐量を向上することができ
る。
【0095】(第5の例)図17及び図18は、Nチャ
ネルの高耐圧MISFET5′の第5の例を示す図4及
び図5と同様な断面図であり、図4及び図5と必ずしも
同じではないが対応する部分には同じ符号を付してい
る。
【0096】この高耐圧MISFET5′は、N型の半
導体基板100にP型のウェル101を設け、その上部
にゲート絶縁層54を介してゲート電極50を設けてい
る。このゲート電極50の両側に、ソース端子Sを形成
するN型の拡散層(以下「ソース拡散層」という)52
と、ドレイン端子Dを形成するN型の拡散層(以下「ド
レイン拡散層」という)51を設けている。
【0097】そのソース拡散層52は、バルク端子Bを
形成するP型の拡散層53と共に接続端子56に接続さ
れている。ドレイン拡散層51は、ドレイン電極を兼ね
た第1の電源端子11に接続されている。
【0098】さらに、ソース拡散層52及びドレイン拡
散層51の不純物濃度より低い不純物濃度の不純物拡散
層からなるライトドープ拡散層58a,58bを、それ
ぞれソース拡散層52とドレイン拡散層51を囲むよう
に設けている。また、ゲート電極50とライトドープ拡
散層58a,58bとの間に、それぞれゲート絶縁層5
4より厚い電界緩和酸化シリコン膜であるフィールド酸
化膜59a,59bを設けている。その他の構成は、図
4及び図5に示したMISFET5と同様である。
【0099】一般に、MISFETの耐圧は主に高濃度
の不純物拡散層からなるドレイン領域と半導体基板のP
N接合に生じる空乏層の伸びで決まり、特に、ゲート電
極の電界の影響が大きい半導体基板の表面近傍におい
て、空乏層はより伸びにくくなる。
【0100】したがって、MISFETの耐圧向上のた
めには、PN接合に生じる空乏層を伸びやすくしてやれ
ばよく、一般に、PN接合における不純物濃度が低いほ
ど空乏層は伸びやすくなるので、ドレイン領域より低濃
度の不純物拡散層をドレイン領域と半導体基板の間に形
成することがよく行なわれる。
【0101】図17及び図18に示した高耐圧MISF
ETでは、ソース拡散層52とドレイン拡散層51を囲
むように、それぞれソース拡散層52及びドレイン拡散
層51の不純物濃度より低い不純物濃度の不純物拡散層
からなるライトドープ拡散層58a,58bを設けるこ
とにより、PN接合における不純物濃度を低下させ、空
乏層が伸びやすくなっている。
【0102】ここで、ゲート絶縁層54としては、膜厚
80nm程度の酸化シリコン膜を用いると良い。ゲート
電極50は、膜厚450nm程度の多結晶シリコン(ポ
リシリコン)からなる。ソース拡散層52に用いる不純
物はN型であればリン原子,P型であればボロン原子を
用いると良い。ゲート電極50のソース拡散層52及び
ドレイン拡散層51とそれぞれ対向する端部に形成する
フィールド酸化膜59a,59bは、膜厚700nm程
度の酸化シリコン膜からなる。ライトドープ拡散層58
a,58bに用いる不純物はN型であればリン原子,P
型であればボロン原子を用いると良い。
【0103】ドレイン拡散層51に用いる不純物もN型
であればリン原子,P型であればボロン原子を用いると
良い。このように構成することによっても、MISFE
T5′のゲート端子Gを構成するゲート絶縁層54の破
壊耐量を向上することができる。
【0104】〔第6の実施形態〕次に、この発明の第6
の実施形態の半導体装置の保護回路を図19によって説
明する。この図19において、図9と同じ部分には同一
の符号を付している。この図19に示す半導体装置の保
護回路において、図9に示した半導体装置の保護回路と
相違するのは、クランプ回路部6′をNチャネルの高耐
圧MISFET5′と第1の抵抗41及び第2の抵抗4
2とによって構成した点のみである。
【0105】そして、その第1の抵抗41は、パッド1
0とNチャネルの高耐圧MISFET5′のソース端子
Sとバルク端子Bとの接続端子との間に介挿され、第2
の抵抗42は、その接続端子と内部回路3を構成するP
チャネルMISFET1及びNチャネルMISFET2
の各ゲート端子との間に介挿されている。その他の構成
は、図9に示したこの発明の第5の実施形態の半導体装
置の保護回路と同じである。
【0106】この第6の実施形態において、クランプ回
路部6′に設けた第1の抵抗41と第2の抵抗42とは
電流制限素子として働き、高耐圧MISFET5′と内
部回路3とを保護する役割をもっている。したがって、
図7に示した第3の実施形態の半導体装置の保護回路と
同様に、図9に示した第5の実施形態の半導体装置の保
護性能をさらに向上させることができる。
【0107】〔補足説明〕以上、この発明の第1乃至第
6の実施形態の構成および動作について述べてきたが、
この発明はこれらに限定されるものではない。この発明
の第1乃至第4の実施形態におけるゲート回路部8を構
成するゲート回路抵抗15、および第3,第4,第6の
実施形態におけるクランプ回路部6又は6′を構成する
第1の抵抗41と第2の抵抗42は、拡散抵抗あるいは
薄膜抵抗のどちらか、あるいはその両方を組み合わせて
用いてもよい。
【0108】その抵抗の材料としては、薄膜抵抗の場合
には、タングステンやチタン等の高融点金属、多結晶シ
リコン、あるいは多結晶シリコンと高融点金属の積層体
などを用いるとよい。あるいは、それ以外の抵抗を構成
する材料を自由に用いることもできる。さらに、これら
の抵抗の抵抗値は、半導体装置の動作速度に制限を加え
ない範囲で自由に選択することができる。
【0109】たとえば、図7に示したこの発明の第3の
実施形態の半導体装置の保護回路において、パッド10
と内部回路3との間に直列に接続する第1の抵抗41と
第2の抵抗42とは、これらの抵抗の大きさを選択する
ことにより半導体装置に加わる信号の伝達速度に大きく
影響することから、半導体装置の設計者は回路の動作速
度を考慮してその抵抗値を選べばよい。
【0110】なお、第1の抵抗42を薄膜抵抗で構成す
ることによって、ラッチアップの防止に効果がある。そ
の理由を以下に説明する。まず、ラッチアップ現象につ
いて説明する。MISFETを用いた半導体装置におい
ては、構造上バイポーラトランジスタが寄生的に存在
し、これらのバイポーラトランジスタでサイリスタ構造
の回路を構成している。
【0111】このため、静電気による外部からの高い電
圧やノイズ等がトリガーとなって、このサイリスタ構造
の回路がオンすると過大な電源電流が流れる。一度この
過大な電源電流が流れるとサイリスタ構造の回路をオン
させる原因を取り除いても電流は流れ続ける。
【0112】また、多くの寄生的に存在するバイポーラ
トランジスタをオンにして流れるため、正常動作時の電
源電流に比べて数10倍もの過大な電流値となり、金属
配線の溶断や接合破壊等を引き起こし、最終的には半導
体装置が破損してしまうことがある。この現象はラッチ
アップと呼ばれ、このラッチアップの防止対策は、MI
SFETを用いた半導体装置にとって重要である。
【0113】次に、ラッチアップの発生機構を図を用い
て説明する。図20はラッチアップを説明するための図
であり、PチャネルのMISFET71とNチャネルの
MISFET72とで構成する半導体装置のインバータ
回路の回路図である。
【0114】このインバータ回路は、PチャネルのMI
SFET71のゲート端子G1とNチャネルのMISF
ET72のゲート端子G2とを各々接続して入力端子I
Nとする。また、PチャネルのMISFET71のドレ
イン端子D1とNチャネルのMISFET72のドレイ
ン端子D2とを各々接続して出力端子OUTとする。そ
して、PチャネルのMISFET71のソース端子S1
とバルク端子B1とを第1の電源VDDに接続し、Nチ
ャネルのMISFET72のソース端子S2とバルク端
子B2とを第2の電源VSSに接続する。
【0115】図21は、このインバータ回路を模式的に
示す平面図である。図22は、図21のC−C線に沿う
断面図であり、その内部に寄生的に存在するバイポーラ
トランジスタによるサイリスタ構造を示す等価回路を示
している。図23はその等価回路のみを示す図である。
【0116】主として、図22に示す断面図を用いて、
この半導体装置の構成を説明する。この半導体装置は、
N型の半導体基板100にPチャネルのMISFET7
1を形成し、N型の半導体基板100内に形成したP型
のウェル101にNチャネルのMISFET72を形成
し、MISFETを用いたインバータ回路を構成してい
る。
【0117】これらのMISFET71,72によるイ
ンバータ回路は、同一の半導体基板100上にP型とN
型との不純物拡散領域を形成するため、寄生的にPNP
型バイポーラトランジスタQ1,Q2と、NPN型バイ
ポーラトランジスタQ3,Q4とが存在する。さらにN
型の半導体基板100とP型のウェル101とには各々
寄生的に抵抗r1と抵抗r2とが存在する。
【0118】そのPNP型バイポーラトランジスタQ1
は、ベースをN型の半導体基板100とし、エミッタを
PチャネルのMISFET71のソース端子S1とし、
コレクタをP型のウェル領域101としている。PNP
型バイポーラトランジスタQ2は、ベースをN型の半導
体基板100とし、エミッタをPチャネルのMISFE
T71のドレイン端子D1とし、コレクタをP型のウェ
ル101とする。
【0119】同様に、NPN型バイポーラトランジスタ
Q3は、ベースをP型のウェル101とし、エミッタを
NチャネルのMISFET72のソース端子S2とし、
コレクタをN型の半導体基板100としている。NPN
型バイポーラトランジスタQ4は、ベースをP型のウェ
ル101とし、エミッタをNチャネルのMISFET7
2のドレイン端子D2とし、コレクタをN型の半導体基
板100とする。
【0120】この構造の特徴は、PNP型バイポーラト
ランジスタQ1とQ2のコレクタと、NPN型バイポー
ラトランジスタQ3とQ4のベースとが、P型のウェル
101で共通となり、同様にPNP型バイポーラトラン
ジスタQ1とQ2のベースと、NPN型バイポーラトラ
ンジスタQ3とQ4のコレクタとが、N型の半導体基板
100で共通となることである。これらのバイポーラト
ランジスタQ1,Q2,Q3,Q4と抵抗r1,r2と
によって、サイリスタ構造の回路を構成している。
【0121】図22の断面図と図23のサイリスタ構造
の等価回路図とを用いて、ラッチアップの発生動作を説
明する。まず、出力端子OUTに外部からの高い電圧や
ノイズ等が印加される場合を説明する。
【0122】図23に示す出力端子OUTに第1の電源
VDD以上の電圧を印加すると、図22に示すPチャネ
ルのMISFET71のドレイン端子D1とN型の半導
体基板100とが順バイアスとなり、PNP型バイポー
ラトランジスタQ2のエミッタとベースに電流が流れ、
エミッタとコレクタ間が導通する。これにより抵抗r2
に電流が流れ、抵抗r2の両端に電圧が発生する。
【0123】この抵抗r2の両端に発生する電圧は、N
PN型バイポーラトランジスタQ3のベース電位とな
り、このベース電位が正方向に電圧上昇し、NPN型バ
イポーラトランジスタQ3のエミッタとコレクタ間が導
通し、このNPN型バイポーラトランジスタQ3はオン
状態になる。NPN型バイポーラトランジスタQ3に電
流が流れると、抵抗r1の両端に電圧が発生し、それに
よってPNP型バイポーラトランジスタQ1のベース電
位が下降し、PNP型バイポーラトランジスタQ1がオ
ンする。
【0124】このため、PNP型バイポーラトランジス
タQ1のエミッタとベースおよび抵抗r2とを通して電
流が流れ、抵抗r2の両端に再び電圧が発生し、NPN
型バイポーラトランジスタQ3のオン状態を維持し、出
力端子OUTに印加する電圧を取り除いても、第1の電
源VDDと第2の電源VSSとの間で過大な電流が流れ
続ける。
【0125】また、出力端子OUTに第1の電源VDD
以下の電圧を印加すると、NチャネルのMISFET7
2のドレイン端子D2とP型のウェル101とが順バイ
アスとなり、NPN型バイポーラトランジスタQ4のベ
ースとエミッタに電流が流れ、エミッタとコレクタ間が
導通する。これにより抵抗r1に電流が流れ、抵抗r1
の両端に電圧が発生して、PNP型バイポーラトランジ
スタQ1がオンする。
【0126】これによって、抵抗r2の両端に電圧が発
生し、NPN型バイポーラトランジスタQ3がオンす
る。このため抵抗r1の両端に再び電圧が発生し、PN
P型バイポーラトランジスタQ1のオン状態を維持し、
出力端子OUTに印加する電圧を取り除いても、第1の
電源VDDと第2の電源VSSとの間で過大な電流が流
れ続ける。
【0127】この状態は、出力端子OUTに第1の電源
VDD以上の電圧を印加した場合と同様に、NPN型バ
イポーラトランジスタQ3とPNP型バイポーラトラン
ジスタQ1の各コレクタ電流がベース電流を供給し合う
ことになり、第1の電源VDDと第2の電源VSSとの
間に給電する電源電圧を切断するまで、電流が流れ続け
る。
【0128】ラッチアップの発生機構は上記の例に限定
されるものではなく、多くの要因が考えられる。いずれ
の場合においても、MISFETを設けるN型の半導体
基板やP型のウェル内に電流が流れ、内部の抵抗r1と
抵抗r2との電圧降下が一定限界値を越えるとラッチア
ップが発生する。
【0129】図23の等価回路図によれば、抵抗r1と
抵抗r2の両端の電圧が、PNP型バイポーラトランジ
スタQ1とNPN型バイポーラトランジスタQ3のベー
スとエミッタ間の電圧VEBと等しくなる電圧値が一定限
界値となる。これはラッチアップ発生の条件のひとつで
ある。
【0130】したがって、ラッチアップの発生要因をま
とめると、半導体装置の半導体基板あるいはウェルに流
れる過大な電流、すなわち半導体基板あるいはウェルに
注入するキャリアが、バイポーラトランジスタをオンさ
せ、これらで構成するサイリスタ構造の回路動作によっ
てラッチアップが発生する。
【0131】このラッチアップを防止する手段は多くあ
るが、前述の説明で明らかなように、半導体基板あるい
はウェルに注入するキャリアが、ラッチアップを発生さ
せるトリガーとなることから、キャリアの半導体基板あ
るいはウェルへの注入を制限することが、ラッチアップ
を防止する有効な手段である。
【0132】ところで、拡散抵抗は半導体基板あるいは
ウェルに、半導体基板やウェルと反対の導電型の不純物
拡散層を選択的に設けて構成するため、拡散抵抗にはP
N接合を有するダイオードが寄生的に存在する。一方、
薄膜抵抗は半導体基板あるいはウェル上のフィールド酸
化膜や絶縁層上に設けるため、拡散抵抗のようにダイオ
ードが寄生することはない。
【0133】図24に示したような従来の半導体装置の
保護回路において、抵抗4に拡散抵抗を用いる場合は、
この拡散抵抗に寄生的に存在するダイオードをクランプ
素子のダイオード91,92として用いることが多い。
この理由は、電流制限素子である抵抗4と電圧クランプ
素子であるダイオード91,92とを同一の素子として
造り込むことができるために、保護回路全体の省スペー
ス化を図れるためである。
【0134】このように、保護回路の抵抗に積極的に拡
散抵抗を用いる場合を除き、純粋に電流制限素子として
抵抗成分を必要とする場合は、半導体基板あるいはウェ
ルにキャリアの注入が発生し、ラッチアップのトリガー
となる拡散抵抗より薄膜抵抗を用いる方がよい。
【0135】したがって、この発明の第3,第4,及び
第6の実施形態において、クランプ回路部6あるいは
6′を構成する第1の抵抗41と第2の抵抗42として
は、クランプ素子であるNチャネルのMISFET5あ
るいは高耐圧MISFET5′と内部回路3とに流れる
電流を制限し、これらを破壊から保護する電流制限抵抗
であるために、これらの抵抗を薄膜抵抗で構成すること
によってラッチアップの防止効果を得ることができる。
【0136】すなわち、第1の抵抗41を拡散抵抗で構
成すると、正あるいは負の極性の静電気による高い電圧
やノイズ等がパッド10に印加されると、第1の抵抗4
1に寄生的に存在するダイオードを介して半導体基板や
ウェルへの通電がなされ、半導体基板やウェルにキャリ
アが注入してしまい、ラッチアップの発生原因になって
しまう。
【0137】しかし、この第1の抵抗41を薄膜抵抗で
構成することにより、半導体基板やウェル領域にキャリ
アを注入する経路を持たない純粋な抵抗として用いるこ
とができ、静電気による高い電圧やノイズ等による半導
体装置の破壊とラッチアップの発生とを防止する保護回
路を提供することができる。
【0138】さらに、この発明の第1乃至第5の実施形
態で説明したクランプ素子であるNチャネルのMISF
ET5は、N型の半導体基板100にP型のウェル10
1を設け、このP型のウェル101にNチャネルのMI
SFET5のバルク端子Bを形成するP型の拡散層53
と、ソース端子Sを形成するN型の拡散層52と、ドレ
イン端子Dを形成するN型の拡散層51とを設けてい
る。
【0139】しかしながら、P型のウェル101を設け
ずに、P型の半導体基板100にNチャネルのMISF
ETのバルク端子Bとソース端子Sとドレイン端子Dと
を形成する拡散層を各々設けても、この発明の特徴を具
備した保護回路を提供することが可能である。
【0140】いずれの場合も、この発明の主旨を逸脱し
ない範囲で種々の変更が可能である。また、図24に示
した従来の保護回路9とこの発明による保護回路とを組
み合わせる構成を採用してもよい。具体的には、図24
に示した保護回路9と内部回路3との間、あるいは保護
回路9とパッド10との間にこの発明の保護回路を設け
るようにしてもよい。
【0141】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、半導体装置の各パッド毎に1個のクランプ素子
で、静電気による正極性及び負極性の高い電圧が半導体
装置のパッドに印加されても、ブレークダウンを使用せ
ずに、内部回路を確実に保護できる。しかも、その配置
スペースを小さくすることができるので、半導体装置に
おける保護回路以外の回路を設置する面積を圧迫するこ
となく、保護回路自身の破壊も生じないようにすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の半導体装置の保護
回路と内部回路とを示す回路図である。
【図2】図1に示したクランプ回路部6を模式的に示す
断面図で、パッドに正極性の高電圧が印加された場合の
電流の流れを示す図である。
【図3】図1に示したクランプ回路部6を模式的に示す
断面図で、パッドに負極性の高電圧が印加された場合の
電流の流れを示す図である。
【図4】同じくそのクランプ回路部6を模式的に示す平
面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う実際形状に近い拡大断面
図である。
【図6】この発明の第2の実施形態の半導体装置の保護
回路と内部回路とを示す回路図である。
【図7】この発明の第3の実施形態の半導体装置の保護
回路と内部回路とを示す回路図である。
【図8】この発明の第4の実施形態の半導体装置の保護
回路と内部回路とを示す回路図である。
【図9】この発明の第5の実施形態の半導体装置の保護
回路と内部回路とを示す回路図である。
【図10】図9における高耐圧MISFET5′の第1
の例を示す平面図である。
【図11】図10のA−A線に沿う断面図である。
【図12】図9における高耐圧MISFET5′の第2
の例を示す平面図である。
【図13】図12のA−A線に沿う断面図である。
【図14】図9における高耐圧MISFET5′の第3
の例を示す図13と同様な断面図である。
【図15】図9における高耐圧MISFET5′の第4
の例を示す平面図である。
【図16】図15のA−A線に沿う断面図である。
【図17】図9における高耐圧MISFET5′の第5
の例を示す平面図である。
【図18】図17のA−A線に沿う断面図である。
【図19】この発明の第6の実施形態の半導体装置の保
護回路と内部回路とを示す回路図である。
【図20】ラッチアップを説明するための半導体装置の
インバータ回路の回路図である。
【図21】図20のインバータ回路を模式的に示す半導
体装置の平面図である。
【図22】図21のC−C線に沿う断面図であり、その
内部に寄生的に存在するバイポーラトランジスタによる
サイリスタ構造を示す等価回路を示している。
【図23】同じくその等価回路のみを示す回路図であ
る。
【図24】従来の半導体装置の保護回路と内部回路の一
例を示す回路図である。
【図25】従来の半導体装置の保護回路と内部回路の他
の例を示す回路図である。
【符号の説明】
1:PチャネルのMIS型電界効果トランジスタ 2,5,5a,5n:NチャネルのMIS型電界効果ト
ランジスタ 5′:高耐圧MIS型電界効果トランジスタ 3,3a,3n:内部回路 6,6a,6n,6′:クランプ回路部 8:ゲート回路部 10,10a,10n:パッド 11:第1の電源端子 12:第2の電源端子 13:出力端子 15:ゲート回路抵抗 16:コンデンサ 41:第1の抵抗 42:第2の抵抗 50:ゲート電極 51,52,,55:N型の拡散層 53:P型の拡散層 54:ゲート絶縁層 56:接続端子 57:ゲート接続端子 58a,58b:ライトドープ拡散層 59:フィールド酸化膜 59,,59a,59b:フィールド酸化膜(電界緩和
酸化シリコン膜) 60:絶縁層 61:コンタクトホール 100:半導体基板 101:P型のウェル 151:ドレインLDD領域 152:ソースLDD領域

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体装置のパッドと内部回路との間に
    設けるクランプ回路部と、そのクランプ回路部に接続す
    るゲート回路部とからなる保護回路であって、 前記クランプ回路部はMIS型電界効果トランジスタを
    有し、 前記ゲート回路部はゲート回路抵抗とコンデンサとを有
    し、 前記クランプ回路部のMIS型電界効果トランジスタの
    ソース端子とバルク端子は前記パッドと前記内部回路と
    に接続し、ドレイン端子は第1の電源端子と接続し、ゲ
    ート端子は前記ゲート回路部を構成するゲート回路抵抗
    の一方の端子とコンデンサの一方の端子とに接続し、そ
    のゲート回路抵抗の他方の端子は第2の電源端子に接続
    し、前記コンデンサの他方の端子は前記第1の電源端子
    に接続していることを特徴とする半導体装置の保護回
    路。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体装置の保護回路
    であって、 前記半導体装置が、複数のパッドと該複数の各パッドを
    介して信号のやり取りを行なう複数の内部回路とを有
    し、 前記クランプ回路部が、前記複数のパッドと複数の内部
    回路との間にそれぞれ設けられ、その各クランプ回路部
    の前記MIS型電界効果トランジスタのゲート端子が、
    1つのゲート回路部の前記ゲート回路抵抗の一方の端子
    と前記コンデンサの一方の端子とに共通に接続されてい
    ることを特徴とする半導体装置の保護回路。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の半導体装置の保
    護回路であって、 前記クランプ回路部が、前記パッドと前記MIS型電界
    効果トランジスタのソース端子及びバルク端子との間に
    介挿される第1の抵抗と、該MIS型電界効果トランジ
    スタのソース端子及びバルク端子と前記内部回路との間
    に介挿される第2の抵抗とを有していることを特徴とす
    る半導体装置の保護回路。
  4. 【請求項4】 半導体装置のパッドと内部回路との間に
    設けるクランプ回路部からなる保護回路であって、 前記クランプ回路部は高耐圧MIS型電界効果トランジ
    スタを有し、 該高耐圧MIS型電界効果トランジスタのソース端子及
    びバルク端子は前記パッドと内部回路とに接続し、ドレ
    イン端子は第1の電源端子と接続し、ゲート端子は第2
    の電源端子と接続していることを特徴とする半導体装置
    の保護回路。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の半導体装置の保護装置
    であって、 前記高耐圧型のMIS型トランジスタは、 半導体基板上に設けたゲート絶縁層と、 該ゲート絶縁層の上部に設けたゲート電極と、 該ゲート電極の一方の側に隣接して設けたソース端子を
    形成するソース拡散層と、 前記ゲート電極の他方の側に隣接して設けたドレイン端
    子を形成するドレイン拡散層と、 前記ソース拡散層及びドレイン拡散層の不純物濃度より
    低い不純物濃度の不純物拡散層からなり、前記ソース拡
    散層及びドレイン拡散層をそれぞれ囲むように設けたラ
    イトドープ拡散層と、 前記ゲート電極と前記各ライトドープ拡散層との間にそ
    れぞれ設けた、前記ゲート絶縁層より厚いフィールド酸
    化膜からなる電界緩和酸化シリコン膜と、 を備えていることを特徴とする半導体装置の保護回路。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載の半導体装置の保
    護装置であつて、 前記クランプ回路部が、前記パッドと前記高耐圧MIS
    型電界効果トランジスタのソース端子及びバルク端子と
    の間に介挿される第1の抵抗と、該高耐圧MIS型電界
    効果トランジスタのソース端子及びバルク端子と前記内
    部回路との間に介挿される第2の抵抗とを有しているこ
    とを特徴とする半導体装置の保護回路。
  7. 【請求項7】 請求項3又は6に記載の半導体装置の保
    護回路であって、 前記第1の抵抗と前記第2の抵抗のうち、少なくとも前
    記第1の抵抗が薄膜抵抗であることを特徴とする半導体
    装置の保護回路。
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