JPH10127751A - 乳酸系複合体及びその製造方法 - Google Patents

乳酸系複合体及びその製造方法

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JPH10127751A
JPH10127751A JP8288822A JP28882296A JPH10127751A JP H10127751 A JPH10127751 A JP H10127751A JP 8288822 A JP8288822 A JP 8288822A JP 28882296 A JP28882296 A JP 28882296A JP H10127751 A JPH10127751 A JP H10127751A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、生体活性
のあるリン酸カルシウム系化合物の欠点である、脆さ、
強度、弾性率、成形加工性などが改善され、保存安定
性、熱安定性に優れ、しかも、骨誘導能、骨伝導能を有
し、薬剤徐放性を持つ乳酸系複合体、及びその製造方法
を提供することにある。 【解決手段】 重合触媒を失活処理した、乳酸及び/又
はヒドロキシカルボン酸との重合体(A)と、リン酸カ
ルシウム系化合物(B)とを、その重量比(A)/
(B)が99/1部〜1/99部となる範囲で含むこと
を特徴とする乳酸系複合体、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人を含む動物の骨
や歯の置換材、接合材、修復材等の生体材料、薬剤徐放
性基材、医療機器用材料として有用な、成形加工性に優
れ、骨誘導能ないしは骨伝導能を有する乳酸又は乳酸と
ヒドロキシカルボン酸との重合体とリン酸カルシウム系
化合物から成る乳酸系複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】外傷や癌などによって骨などの生体が欠
損した場合の修復に利用される骨伝導能(骨組織をセラ
ミックスのある部位に入りこませる能力)や生体親和性
を有する材料としては、ヒドロキシアパタイト、リン酸
三カルシウム、チタン、アルミナ、ジルコニア等が知ら
れている。なかでも、骨はヒドロキシアパタイトとコラ
ーゲンからできていることから、人工骨等に使用する場
合には、安全性の点でヒドロキシアパタイトやそれに近
い組成を有するリン酸三カルシウムが優れ、また、骨誘
導能(骨組織のない部位に骨組織を誘導し吸収されて、
徐々に骨に置き換わる能力)を有する材料としては、リ
ン酸三カルシウムのみと考えられている。
【0003】リン酸カルシウム系化合物の焼結体の生体
材料としての使用については、セラミックス,10巻,
7号,469〜478頁,1975年に記載されている
ものをはじめ多数の報文があるが、脆く、成形加工性に
乏しい欠点がある。リン酸カルシウム系化合物に水、乳
酸などの硬化剤やポリマーを混合し、これを骨欠損部に
充填・固化させるリン酸カルシウム系化合物のセメント
については、特開昭61−17409号公報など、多数
の特許・報文があるが、強度が低いため、強度が要求さ
れる部位に使用することはできなかった。
【0004】ポリ乳酸とヒドロキシアパタイトやリン酸
三カルシウムなどとの溶融状態での複合化に関しては、
特開昭63−89166号公報に開示されており、ま
た、乳酸及び/又はグリコール酸のオリゴマーとリン酸
カルシウムとの複合体に関しては特公平4−50001
3号公報に開示されている。しかしながら、ポリ乳酸と
ヒドロキシアパタイトやリン酸三カルシウムなどとの溶
融状態での複合化に関しては、ポリ乳酸は概して熱安定
性に劣るため、溶融時に大幅な分子量低下を起こし、得
られた複合体は弾性率が低く、曲げ強度などの機械的物
性に劣り、また残留ラクタイドが多く、ロット振れもあ
るため生体内では分解速度が早すぎ、しかも安定した分
解性が得られず、応用面でかなりの制約を受ける。
【0005】また、乳酸及び/又はグリコール酸のオリ
ゴマーとリン酸カルシウム系化合物との複合体では、分
子量が200〜10,000程度と低いため、その複合
体は機械的強度が低く、弾性率も不十分で、実用性に欠
ける。特開平4−279520号公報には、薬剤と、乳
酸やグリコール酸などのポリマーまたはこれらの共重合
体を圧縮成形もしくは溶融後成形して得られる薬剤徐放
製剤や、或いは、その薬剤徐放製剤を顆粒状に粉砕後、
ヒドロキシアパタイトやβ−リン酸三カルシウムなどの
リン酸カルシウム系化合物の紛状或いは粒状物を混合
し、その後、圧縮成形して得られる薬剤徐放製剤が開示
されている。
【0006】また特開平6−298639号公報には、
薬剤と、乳酸、グリコール酸やラクトンなどのポリマー
またはこれらの共重合体と、ヒドロキシアパタイトやβ
−リン酸三カルシウムなどのリン酸カルシウム系化合物
との複合体について、薬剤量を変えたものを層状構造に
成形した球状の薬剤徐放製剤、或いは、その薬剤徐放製
剤を予め発泡剤などで発泡化させたものについて開示さ
れている。
【0007】しかしながら、これらの特許に開示されて
いるポリ乳酸或いはその共重合体と、リン酸カルシウム
系化合物との複合体による薬剤徐放製剤は、製造方法が
煩雑で、生産性に劣り、また、ポリ乳酸に由来する残留
ラクタイドが多く含有されているため、開環し乳酸の鎖
状二量体や乳酸などになり、それがポリ乳酸やその共重
合体などを分解させるため、分解速度が早く、保存安定
性や熱安定性に劣り、強度的にも低い問題を抱えてい
る。しかも、残留ラクタイドが多く、そのロット振れが
大きい為に、その生体内での分解性にバラツキがあり、
再現性に乏しい欠点を有している。
【0008】また、上記のリン酸カルシウム系化合物を
使用したときには、概して粒子径が大きいため、脆く、
強度も低く、また骨の誘導能に乏しく、生体骨への置換
は不十分で、しかも、使用中の強度低下や形状不適など
も起こり、その不具合から再手術を必要とされる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、生体活性のあるリン酸カルシウム系化合物
の欠点である、脆さ、強度、弾性率、成形加工性などが
改善され、保存安定性、熱安定性に優れ、しかも、骨誘
導能、骨伝導能を有し、薬剤徐放性を持つ乳酸系複合
体、及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、リン酸カルシウ
ム系化合物を、キレート剤及び/又は酸性リン酸エステ
ル類などで重合触媒を失活処理した、乳酸又は乳酸とヒ
ドロキシカルボン酸との重合体と複合化することによ
り、該重合体の柔軟性及びリン酸カルシウム系化合物と
の混ざり易さを活かして、リン酸カルシウム系化合物の
脆さ、強度、弾性率を改善し、しかも、生産性、再現
性、保存安定性、混練・成形加工時の熱安定性の優れ、
骨誘導能ないしは骨伝導能を有し、薬剤徐放性を持つ複
合体を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、重合触媒を失活処理し
た、乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸との重合体
(A)と、リン酸カルシウム(B)を、その重量比
(A)/(B)が99/1部〜1/99部となる範囲で
含むことを特徴とする乳酸系複合体であり、とりわけ、
重合触媒の失活処理にキレート剤及び/又は酸性リン酸
エステル類を用いることを特徴とする乳酸系複合体であ
る。
【0012】さらに、本発明は、重合触媒を失活処理し
た乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸との重合体
(A)がポリ乳酸であることを特徴とする乳酸系複合体
や、また、リン酸カルシウム系化合物(B)が、平均粒
子径0.1μm〜300μmのリン酸カルシウム系化合
物であることを特徴とする乳酸系複合体や、さらに、リ
ン酸カルシウム系化合物(B)がリン酸三カルシウムで
あることを特徴とする乳酸系複合体を含む。また、本発
明は、上記の乳酸系複合体から成る生体材料、薬剤徐放
性基材或いは医療機器用材料に関するものである。
【0013】また、本発明は、重合触媒を失活処理し
た、乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸との重合体
(A)と、リン酸カルシウム系化合物(B)を、該重合
体(A)の融点以上の温度で、(A)/(B)の重量比
が99/1部〜1/99部となる範囲で、混練すること
を特徴とする乳酸系複合体の製造方法や、重合触媒を失
活処理した、乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸との
重合体(A)に、該重合体(A)の融点以上の温度で、
リン酸カルシウム系化合物(B)と、薬剤(C)とを混
練することを特徴とする乳酸系複合体の製造方法であ
る。
【0014】さらに、本発明は、重合触媒の失活処理
に、特にキレート剤及び/又は酸性リン酸エステル類を
用いることを特徴とする乳酸系複合体の製造方法や、重
合触媒を失活処理した重合体(A)が特にポリ乳酸であ
ることを特徴とする乳酸系複合体の製造方法や、リン酸
カルシウム系化合物(B)が、平均粒子径0.1μm〜
300μmのリン酸カルシウム系化合物であることを特
徴とする乳酸系複合体の製造方法や、リン酸カルシウム
系化合物(B)が特にリン酸三カルシウムであることを
特徴とする乳酸系複合体の製造方法を含む。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の内容を詳細に説明
する。本発明に用いられる乳酸又は乳酸とヒドロキシカ
ルボン酸との重合体(A)は、重合の際に用いられる重
合触媒が、失活剤によって失活処理されていることを特
徴とするものである。重合触媒の失活処理は、乳酸又は
乳酸とヒドロキシカルボン酸との重合体の成形加工での
重合触媒による重合体の分解やラクタイドの生成を抑制
し、熱安定性を大幅に向上させる。
【0016】特に、本発明に用いられる乳酸又は乳酸と
ヒドロキシカルボン酸との重合体(A)として、重合触
媒の失活処理後、残留揮発成分、とりわけ残留ラクタイ
ドが脱揮、除去されたものは、曲げ強度、曲げ弾性率な
どの機械的特性、成形加工時の熱安定性などがさらに向
上される。
【0017】重合触媒の失活処理には種々の方法がある
が、特にキレート剤や酸性リン酸エステル類による失活
処理が効果的である。その失活処理は、キレート剤や酸
性リン酸エステル類を重合体の重合末期や終了後に添加
或いは接触させることにより、該重合体中に含有される
重合触媒の金属イオンと錯体を形成し、触媒活性を失わ
せるものである。
【0018】また、本発明に用いられる重合体(A)と
しては、ポリ乳酸の他、乳酸と、乳酸以外のヒドロキシ
カルボン酸成分、例えば、グリコール酸、ジメチルグリ
コール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、
4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−
ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒ
ドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキ
シ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシ
カプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキ
シカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロ
キシメチルカプロン酸などから選ばれた一種以上の共重
合成分との共重合体が挙げられる。
【0019】次に、本発明の重合触媒を失活処理した、
乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸との重合体
(A)、特にキレート剤及び/又は酸性リン酸エステル
類で失活処理した重合体(A)の製造方法について説明
する。重合触媒の失活処理されたポリ乳酸の製造方法と
しては、Polymer,20巻,1459頁(197
9年)に見られるように、乳酸の環状二量体のラクタイ
ドを開環重合触媒の存在下で開環重合した後、或いは特
開平6−172502号公報に開示されているように、
溶剤の共存下で、乳酸を直接脱水縮重合した後、キレー
ト剤及び/又は酸性リン酸エステル類を反応させ、その
後、残留揮発成分、とりわけ残留ラクタイドを除去して
製造される。
【0020】また、重合触媒の失活処理された、乳酸成
分と乳酸成分以外のヒドロキシカルボン酸成分とのコポ
リマーの製造方法としては、例えば、環状エステルとし
てはグリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ
−バレロラクトン、γ−ウンデカラクトン、ε−カプロ
ラクトンなどの環状エステルから選ばれた一種以上の共
重合成分と、ラクタイドとを開環重合触媒の存在下で共
重合やエステル交換反応させた後、或いは特開平7−1
72425号公報に開示されているように乳酸と、グリ
コール酸、ジメチルグリコール酸、2−ヒドロキシ酪
酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒ
ドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−
ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、
【0021】4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉
草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプ
ロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカ
プロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシ
メチルカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸成分から
選ばれた一種以上の共重合成分とを触媒や溶剤の共存在
下で、縮重合させた後、キレート剤及び/又は酸性リン
酸エステル類を反応させ、その後、残留揮発成分、とり
わけ残留ラクタイドを除去して製造される。
【0022】さらに、ラクタイドを原料として得られた
ポリ乳酸や、乳酸を溶剤の共存或いは非存在下に縮重合
して得られたポリ乳酸と、上記のラクタイド以外の環状
エステルや乳酸以外のヒドロキシカルボン酸成分から成
るポリエステルとをエステル交換触媒の共存下でエステ
ル交換させた後、キレート剤及び/又は酸性リン酸エス
テル類を反応させ、その後、残留揮発成分、とりわけ残
留ラクタイドを除去して製造される。或いはキレート剤
及び/又は酸性リン酸エステル類で処理したポリ乳酸
と、上記のラクタイド以外の環状エステルや乳酸以外の
ヒドロキシカルボン酸成分から成るポリエステルとをエ
ステル交換触媒の共存下でエステル交換させ、その後、
残留揮発成分、とりわけ残留ラクタイドを除去して製造
される。
【0023】次に、本発明の重合体(A)の製造時に使
用される乳酸成分、乳酸成分との共重合成分、キレート
剤、酸性リン酸エステル類などについて説明する。本発
明に用いる乳酸成分としては、乳酸及び乳酸の脱水環状
二量体のラクタイドが挙げられる。乳酸は、光学異性体
を有するモノマーで、L−乳酸、D−乳酸が存在する。
また、ラクタイドにはL−ラクタイド、D−ラクタイ
ド、MESO−ラクタイドの異性体がある。そのため、
乳酸系ポリエステルはこれら二種の乳酸或いは三種のラ
クタイドを組み合わせることによって好ましいポリマー
特性を実現できる。
【0024】特に、本発明の重合体(A)では、高い耐
熱性を実現するためには、乳酸として、光学活性は高い
方が好ましい。具体的には乳酸として、総乳酸中、L体
或いはD体が70重量%以上含まれることが好ましい。
更に優れた耐熱性を得るためには、乳酸としてL体或い
はD体が85重量%以上含まれることが好ましい。ま
た、ラクタイドについてもL−ラクタイド或いはD−ラ
クタイドを総ラクタイド中、70重量%以上含むことが
好ましい。更に優れた耐熱性を得るためには、L−ラク
タイド或いはD−ラクタイドの含量は、総ラクタイド
中、85重量%以上である。商業的にはL−乳酸の方が
発酵合成により安価で高純度のものが得られるため、乳
酸系ポリエステルの乳酸としてはL−乳酸を、ラクタイ
ドとしてはL−ラクタイドを使用することが有利であ
る。
【0025】本発明の重合体(A)の製造時に使用され
る共重合成分として、乳酸以外のヒドロキシカルボン酸
成分としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、
2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロ
キシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシ
プロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉
草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、
2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン
酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロ
ン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチ
ルカプロン酸などが挙げられる。
【0026】本発明には、ラクタイド以外の環状エステ
ルとして、グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクト
ン、γ−バレロラクトン、γ−ウンデカラクトン、ε−
カプロラクトンなど、また、その他に酢酸ビニル、エチ
レンとポリビニルアルコールとの共重合体なども用いる
ことができる。乳酸以外のヒドロキシカルボン酸成分、
ラクタイド以外の環状エステルなどは、乳酸とヒドロキ
シカルボン酸との共重合体100重量部に対して1〜8
0重量部、好ましくは1〜40重量部を加えることが好
ましい。これらの共重合成分は、本発明の重合体(A)
の柔軟性や加工性を向上させると共に、本発明の乳酸系
複合体の脆さや加工性も改善させ、リン酸カルシウム系
化合物をより高い比率で複合化できる。
【0027】また本発明の重合触媒を失活させるために
用いるキレート剤には、有機系キレート剤と無機系キレ
ート剤がある。有機系キレート剤は、吸湿性が少なく、
熱安定性に優れる。本発明に使用できる有機系キレート
剤は、特に、限定されないが、アミノ酸、フェノール
類、ヒドロキシカルボン酸、ジケトン類、アミン類、オ
キシム、フェナントロリン類、ピリジン化合物、ジチオ
化合物、配位原子としてN含有フェノール、配位原子と
してN含有カルボン酸、ジアゾ化合物、チオール類、ポ
ルフィリン類などが挙げられる。
【0028】具体的には、アミノ酸としてはグリシン、
ロイシン、アラニン、セリン、α−アミノ酪酸、アセチ
ルアミノ酢酸、グリシルグリシン、グルタミン酸など、
フェノール類としてはアリザリン、t−ブチルカテコー
ル、4−イソプロピルトロポロン、クロモトロープ酸、
タイロン、オキシン、没食子酸プロピルなど、ヒドロキ
シカルボン酸としては酒石酸、蓚酸、クエン酸、クエン
酸モノオクチル、ジベンゾイル−D−酒石酸、ジパラト
ルオイル−D−酒石酸などが挙げられる。
【0029】ジケトン類としてはアセチルアセトン、ヘ
キサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、
テノイルトリフルオロアセトン、トリフルオルアセチル
アセトンなど、アミン類としてはエチレンジアミン、ジ
エチレントリアミン、1,2,3−トリアミノプロパ
ン、チオジエチルアミン、トリエチレンテトラミン、ト
リエタノールアミン、テトラエチレンペンタミン、ペン
タエチレンヘキサミンなど、オキシムとしてはジメチル
グリオキシム、α,α−フリルジオキシム、サリチルア
ルドキシムなどが挙げられる。
【0030】フェナントロリン類としてはネオクプロイ
ン、1,10−フェナントロリンなど、ピリジン化合物
としては2,2−ビピリジン、2,2’,2”−テルピ
リジルなど、ジチオ化合物としてはキサントゲン酸、ジ
エチルジチオカルバミン酸、トルエン−3,4−ジチオ
ールなど、配位原子N含有フェノールとしてはο−アミ
ノフェノール、オキシン、ニトロソR塩、2−ニトロソ
−5−ジメチルアミノフェノール、1−ニトロソ−2−
ナフトール、8−セレノキノリンなどが挙げられる。
【0031】配位原子N含有カルボン酸としてはキナル
ジン酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン二酢酸、ヒ
ドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジア
ミン四酢酸、trans−シクロヘキサンジアミン四酢
酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラ
ミン六酢酸、アニリン二酢酸、2−スルホアニリン二酢
酸、3−スルホアニリン二酢酸、4−スルホアニリン二
酢酸、2−アミノ安息香酸−N,N−二酢酸、3−アミ
ノ安息香酸−N,N−二酢酸、4−アミノ安息香酸−
N,N−二酢酸、メチルアミン二酢酸、β−アラニン−
N,N−二酢酸、
【0032】β−アミノエチルスルホン酸−N,N−二
酢酸、β−アミノエチルホスホン酸−N,N−二酢酸な
ど、ジアゾ化合物としてはジフェニルカルバゾン、マグ
ネソン、ジチゾン、エリオクロムブラックT、4−(2
−チアゾリルアゾ)レゾルシン、1−(2−ピリジルア
ゾ)−2−ナフトールなど、チオール類としてはチオオ
キシン、チオナリド、1,1,1−トリフルオロ−4−
(2−チエニル)−4−メルカプト−3−ブテン−2−
オン、3−メルカプト−p−クレゾールなど、
【0033】ポルフィリン類としてはテトラフェニルポ
ルフィン、テトラキス(4−N−メチルピリジル)ポル
フィンなど、その他としてクペロン、ムレキシド、ポリ
エチレンイミン、ポリメチルアクリロイルアセトン、ポ
リアクリル酸など及びそれらの混合物を挙げることがで
きる。
【0034】なかでも、効率よく乳酸系ポリエステル中
に含まれる触媒の金属イオンと配位結合し、ポリマー末
端の切断を抑制する有機系キレート剤としては、ニトリ
ロ三酢酸、エチレンジアミン二酢酸、テトラエチレンペ
ンタミン、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、
エチレンジアミン四酢酸、trans−シクロヘキサン
ジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエ
チレンテトラミン六酢酸などの配位原子N含有カルボン
酸、酒石酸、ジベンゾイル−D−酒石酸、ジパラトルオ
イル−D−酒石酸、クエン酸、クエン酸モノオクチルな
どのヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
【0035】特に、上記の配位原子N含有カルボン酸は
熱安定性や貯蔵安定性に優れ、ヒドロキシカルボン酸は
着色が少ない特徴を有している。無機系キレート剤は、
吸湿性が高く、吸湿すると、効果がなくなるため、取り
扱いに注意を要する。具体的には、リン酸、亜リン酸、
ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸類を挙げることが
できる。
【0036】また、本発明で使用される酸性リン酸エス
テル類は、乳酸系ポリエステル中に含有される触媒の金
属イオンと錯体を形成し、触媒活性を失わせ、ポリマー
鎖の切断を抑制する効果を示す。酸性リン酸エステル類
としては、酸性リン酸エステル、ホスホン酸エステル、
アルキルホスホン酸など及びその混合物を指すもので、
次にその一般式を示す。
【0037】
【化1】
【0038】(式中、R1はアルキル基又はアルコキシ
ル基、R2はアルキル基又はアルコキシル基又はヒドロ
キシル基を示す。)
【0039】具体的には、酸性リン酸エステルとして
は、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエ
チル、リン酸ジエチル、リン酸モノプロピル、リン酸ジ
プロピル、リン酸モノイソプロピル、リン酸ジイソプロ
ピル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸モノ
ペンチル、リン酸ジペンチル、リン酸モノヘキシル、リ
ン酸ジヘキシル、リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチ
ル、リン酸モノ2−エチルヘキシル、リン酸ジ2−エチ
ルヘキシル、リン酸モノデシル、リン酸ジデシル、リン
酸モノイソデシル、リン酸ジイソデシル、リン酸モノウ
ンデシル、リン酸ジウンデシル、リン酸モノドデシル、
リン酸ジドデシル、リン酸モノテトラデシル、リン酸ジ
テトラデシル、リン酸モノヘキサデシル、
【0040】リン酸ジヘキサデシル、リン酸モノオクタ
デシル、リン酸ジオクタデシル、リン酸モノフェニル、
リン酸ジフェニル、リン酸モノベンジル、リン酸ジベン
ジルなど、ホスホン酸エステルとしては、ホスホン酸モ
ノメチル、ホスホン酸モノエチル、ホスホン酸モノプロ
ピル、ホスホン酸モノイソプロピル、ホスホン酸モノブ
チル、ホスホン酸モノペンチル、ホスホン酸モノヘキシ
ル、ホスホン酸モノオクチル、ホスホン酸モノエチルヘ
キシル、ホスホン酸モノデシル、ホスホン酸モノイソデ
シル、ホスホン酸モノウンデシル、ホスホン酸モノドデ
シル、ホスホン酸モノテトラデシル、ホスホン酸モノヘ
キサデシル、ホスホン酸モノオクタデシル、ホスホン酸
モノフェニル、ホスホン酸モノベンジルなど、
【0041】アルキルホスホン酸としては、モノメチル
ホスホン酸、ジメチルホスホン酸、モノエチルホスホン
酸、ジエチルホスホン酸、モノプロピルホスホン酸、ジ
プロピルホスホン酸、モノイソプロピルホスホン酸、ジ
イソプロピルホスホン酸、モノブチルホスホン酸、ジブ
チルホスホン酸、モノペンチルホスホン酸、ジペンチル
ホスホン酸、モノヘキシルホスホン酸、ジヘキシルホス
ホン酸、イソオクチルホスホン酸、ジオクチルホスホン
酸、モノエチルヘキシルホスホン酸、ジエチルヘキシル
ホスホン酸、モノデシルホスホン酸、ジデシルホスホン
酸、モノイソデシルホスホン酸、ジイソデシルホスホン
酸、モノウンデシルホスホン酸、ジウンデシルホスホン
酸、モノドデシルホスホン酸、ジドデシルホスホン酸、
【0042】モノテトラデシルホスホン酸、ジテトラデ
シルホスホン酸、モノヘキサデシルホスホン酸、ジヘキ
サデシルホスホン酸、モノオクタデシルホスホン酸、ジ
オクタデシルホスホン酸などや、モノフェニルホスホン
酸、ジフェニルホスホン酸、モノベンジルホスホン酸、
ジベンジルホスホン酸など、及びそれらの混合物を挙げ
ることができる。
【0043】酸性リン酸エステル類成分は有機溶剤との
溶解性がよいため作業性に優れ、乳酸系ポリエステルと
の反応性に優れる。なかでも酸性リン酸エステルは触媒
の失活に大きな効果を示す。更に、重合触媒の失活処理
に用いるキレート剤及び/又は酸性リン酸エステル類の
添加量は、その種類、乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボ
ン酸との重合体中に含まれる触媒の種類、量によって異
なるが、乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸との重合
体100重量部に対して、0.001〜5重量部を添加
することが好ましい。いずれのキレート剤、酸性リン酸
エステル類もポリマー鎖の切断を最小に抑えることがで
き、また、有機系キレート剤、無機系キレート剤、酸性
リン酸エステル類を混合して使用しても差し支えない。
【0044】しかしキレート剤や酸性リン酸エステル類
を過剰に添加すると、保存中に重合体(A)のポリヒド
ロキシカルボン酸鎖が切断され、低分子量化、低粘度化
して、本発明の性能が得られないことがあるため、上述
の適正量を添加する必要がある。
【0045】本発明の乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボ
ン酸との重合体(A)の製造時に使用される重合触媒と
しては、公知慣用の開環重合触媒、エステル化触媒、エ
ステル交換触媒などの重合触媒であり、錫、亜鉛、鉛、
チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、コバ
ルトなどの金属及びその化合物が挙げられ、金属化合物
については、特に、金属有機化合物、炭酸塩、ハロゲン
化物が好ましい。
【0046】具体的にはオクタン酸錫、塩化錫、塩化亜
鉛、酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、ジアセト
アセトキシオキシチタン、テトラエトキシチタン、テト
ラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、酸化ゲル
マニウム、酸化ジルコニウムなどが適している。その添
加量は反応成分100重量部に対して0.001〜2重
量部が好ましい。反応速度、着色などから、その添加量
は、0.002重量部〜0.5重量部が更に好ましい。
【0047】本発明に用いる乳酸又は乳酸とヒドロキシ
カルボン酸との重合体(A)を製造するときの反応温度
は、乳酸成分、共重合成分などの種類、量、組合せなど
により異なるが、通常125℃〜250℃、好ましくは
140℃〜230℃、更に好ましくは150℃〜200
℃である。
【0048】また、重合工程での粘度を下げ、攪拌効率
を高め、良好な品質を得るため、溶剤を使用することが
できる。使用できる溶剤としては、特に限定されない
が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、
シクロヘキサノン、イソプロピルエーテル、ジフェニー
ルエーテルなどが好ましい。その添加量は製造方法、製
造条件、反応成分の種類、組成などにより異なるが、反
応成分100重量部に対して通常100重量部以下、好
ましくは50重量部以下が工業上好ましい。
【0049】重合体の分解、着色を抑制するため、反応
は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、外部大
気と触れることなく、しかも使用原料は反応前に水分を
除去し、乾燥させておくことが好ましい。このようにし
て得られた乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸との重
合体(A)は、ある程度高い分子量であることが好まし
く、具体的に重量平均分子量で3万〜40万であり、更
に好ましくは5万〜35万である。その値は要求される
本発明の乳酸系複合体の強度、生体内での分解速度、リ
ン酸カルシウム系化合物との混練性などによって異な
る。3万未満では機械的強度が不十分であり、40万を
越えると成形加工上、生産効率上問題があり好ましくな
い。
【0050】本発明の乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボ
ン酸との重合体(A)は、通常の反応装置を使用して製
造できる。スタティックミキサーをはじめ、連続攪拌槽
式反応機、いわゆるCSTRによる連続重合、CSTR
とスタティックミキサーとの組合せによる連続重合、二
軸押出機などによる連続反応も有効である。これらの反
応も外部の大気に全く触れることなく、原料仕込みか
ら、反応、ポリマー化まで行うことができる。
【0051】得られた乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボ
ン酸との重合体(A)中の未反応成分、溶剤、臭気成分
などの揮発成分は、脱揮槽、フィルムエバポレーター、
ベント付押出機などの反応工程後に取付けられた脱揮装
置を用いて除去するとか、良溶剤に溶解後、貧溶剤中に
析出させることによって除去するとか、アルコール、ケ
トン、炭化水素などの溶剤を用いて、溶解させずに、浸
漬或いは分散後抽出させて除去することが、乳酸系複合
体の成形加工性、耐熱性、貯蔵安定性などを向上させる
ことから好ましい。
【0052】これらの脱揮方法により、乳酸又は乳酸と
ヒドロキシカルボン酸との重合体(A)酸中の未反応成
分、溶剤、臭気成分などの揮発成分を大幅に低減でき
る。重合体(A)中に通常2〜6重量%程度残留してい
るラクタイドを1.0重量%以下に、必要に応じて0.
5重量%以下にすることができる。
【0053】次に本発明に使用されるリン酸カルシウム
系化合物(B)について説明する。本発明のリン酸カル
シウム系化合物とは、リン酸に由来する部分とカルシウ
ム原子の合計が50重量%以上含まれるものを言い、具
体的にはリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、
炭酸アパタイト、マグネシウム含有アパタイト、フッ素
アパタイト等がある。とりわけ、骨への置換性、成形加
工性、機械的強度などからリン酸三カルシウムが好まし
い。また、その結晶構造は如何なるものでもよく、非晶
質であってもよい。
【0054】本発明に用いる粉体のリン酸カルシウム系
化合物は、特に、平均粒子径が0.1μm〜300μm
のものが好ましく、球体におさまる大きさのリン酸カル
シウム系化合物の塊の集合体をさし、塊の形状は特に制
限されないが、具体的には球状、多孔質、無定形でもよ
く、微粉末から顆粒までを含み、粒度分布は如何なるも
のでもよい。また本発明に用いるヒドロキシアパタイト
の製法は特に特定されないが、具体的には乾式法、水熱
法、湿式法、アルコキシド法があり、熱処理を行っても
よい。またリン酸三カルシウムの製法も特に特定されな
いが、具体的には乾式法、水熱法、湿式法があり、熱処
理を行ってもよい。
【0055】本発明の乳酸系複合体の、好ましい乳酸又
は乳酸とヒドロキシカルボン酸との重合体(A)対リン
酸カルシウム系化合物の重量比は、99/1〜1/99
である。リン酸カルシウム系化合物に対する乳酸又は乳
酸とヒドロキシカルボン酸との重合体(A)の量が多く
なると弾性率が低下する傾向があり、乳酸又は乳酸とヒ
ドロキシカルボン酸との重合体(A)の量が少なくなる
と混練がし難くくなり、得られる乳酸系複合体が脆くな
る傾向がある。
【0056】適切な乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン
酸との重合体(A)対リン酸カルシウム系化合物の重量
比は、それぞれの用途により必要とされる強度、弾性
率、生体中での吸収速度、骨の再生速度といった性能が
異なり、一概に特定できないが、通常は95/5〜5/
95が好ましい。
【0057】本発明の製造方法は、特に制限はないが、
具体的には、溶剤に乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン
酸との重合体(A)を溶かした溶液にリン酸カルシウム
系化合物を分散させた液を添加・混合して溶剤を揮発・
除去する方法や、乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸
との重合体(A)を溶融させた状態で混練する方法があ
る。溶融・混練する方法は溶剤を使用する方法に比べて
一般的に生産性が高く、且つ溶剤残留の心配がないとい
う利点がある。
【0058】次に、本発明の乳酸系複合体の製造装置に
ついて説明する。その製造装置としては、特に、限定さ
れないが、乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸との重
合体(A)とリン酸カルシウム系化合物(B)などの混
練には、押出機、リアクター、ニーダー、ロールやそれ
らの組合せなどを使用することができる。
【0059】押出機としては、単軸押出機或いは二軸押
出機を使用できるが、混練状態から二軸押出機が好まし
い。更に、混練後、引き続いて残留揮発成分などを減圧
下で除去するためにはベント口が付いているものが好ま
しい。リアクターとしては、通常の反応釜を使用できる
が、混練物質は粘度が高く、攪拌剪断応力により生ずる
攪拌熱による分子量低下や着色などから、剪断応力が小
さく、しかも均一に混合できるスタテック・ミキサーの
使用が好ましい。
【0060】具体的な混練条件としては、温度を重合体
(A)の融点以上とし、130〜250℃、好ましくは
150〜200℃で混練する。また、乳酸又は乳酸とヒ
ドロキシカルボン酸との重合体(A)とリン酸三カルシ
ウム系化合物との複合体中の残留揮発成分、とりわけ、
残留ラクタイドを除去するため混練しながら、或いは混
練後、減圧度0.01〜50torrで行うことが好ま
しい。さらに混練機内は、不活性ガス雰囲気下で大気に
触れることなく混練することが好ましい。
【0061】また本発明の乳酸系複合体による薬剤徐放
性基材として使用するときの薬剤(C)としては、公知
慣用のものを使用することがことができるさらに、本発
明の乳酸系複合体には、その特性を損なわない範囲で公
知慣用の添加剤を添加してもよく、具体的には、公知慣
用の酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤等を添加してもよ
い。
【0062】また本発明の乳酸系複合体は、いかなる方
法で成形してもよく、具体的にはプレス成形、射出成
形、押出成形等が挙げられ、また切削、研磨を行っても
よい。更に、本発明の乳酸系複合体の耐熱性の向上とし
ては、成形後、熱処理して結晶化させてもよい。また本
発明の乳酸系複合体は、他のいかなる材料と組み合わせ
て使用してもよく、具体的には金属、金属酸化物、ヒド
ロキシアパタイト焼結体、炭素繊維と組み合わせて使用
してもよい。
【0063】本発明の乳酸系複合体は、柔軟性、機械的
強度、弾性率、成形加工性などに優れるため、幅広い用
途に使用することができる。その用途は、特に制限され
ないが、具体的には、人を含む骨の置換材・接合材・修
復材などの生体材料、骨粗鬆症・骨肉腫などの薬剤徐放
性基材、カテーテルなどの医療機器用材料が挙げられ
る。人工骨として使用する場合には、生体骨に置換され
ない材料は生体骨と同等の強度や弾性率が要求される
が、生体骨に置換される材料については、多くの場合、
置換されるまでの期間だけ、ある程度の強度や弾性率を
有していれば適用できる。皮質骨の曲げ強度の低いもの
の値は500kg/cm2前後で、またその弾性率の低い
ものの値は60000kg/cm2前後である。
【0064】本発明の乳酸系複合体で、リン酸カルシウ
ム系化合物を高い比率で複合化したものは、皮質骨相当
の曲げ強度、曲げ弾性率が得られ、皮質骨にも適用でき
る優れた人工骨用材料を得ることができる。さらに、薬
剤徐放性基材に要求される性能としては、薬剤の徐放性
の他に、組織親和性があり、また、筋肉等に適用する場
合などには柔軟性が要求される。更に、生体内に埋め込
む場合、取り出す必要のないものであることが好まし
い。本発明の乳酸系複合体を使用することにより、生体
からの取り出しが不要で有ることはもとより、組織親和
性が高く、且つ柔軟性、強度、成形加工性などに優れる
ため、薬剤徐放性基材としての適用が期待される。
【0065】また抗生物質や抗癌剤などの薬剤を徐放性
を有する人工骨として使用する場合には、組織親和性、
薬剤の徐放性の他に、強度、弾性率、成形加工性、再現
性をバランスよく有していることが好ましく、本発明の
骨誘導能ないしは伝導能を有する薬剤徐放可能な乳酸系
複合体により、これらの点をバランスよく有した薬剤徐
放性を有する人工骨用材料に使用することができる。
【0066】
【実施例】以下に、本発明を参考例、比較参考例、実施
例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明する
が、もとより本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、例中の部は特に記載のない限り全て重量基準
である。また、分子量、残留ラクタイド、融点及び熱安
定性は次の方法により測定した。
【0067】分子量はゲルパーミエーションクロマトグ
ラフ(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値とし
て示した。残留ラクタイドは高速液体クロマトグラフに
より測定した。融点はセイコー社製示差走査型熱量計D
SC−200型を用い、昇温速度10℃/分の条件で測
定し、得られた融解吸熱曲線から求めた。熱安定性は2
20℃、5torrの減圧下で10分間放置後の重量及
び分子量の減少率を測定した。
【0068】(参考例1)L−ラクタイド95部と、D
L−ラクタイド5部と、溶媒としてトルエン15部とを
反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下、170℃で1時
間、溶融混合し、オクタン酸錫を0.03部加えて、1
75℃で6時間反応させた後、リン酸モノヘキサデシル
とリン酸ジヘキサデシルとの混合物0.1部を加え、さ
らに30分間反応させ、次いで200℃に昇温後、5t
orrの減圧下で脱揮し、ペレット化した。得られたペ
レットの重量平均分子量は189,000であった。そ
の外観は透明で、臭いがなく、残留ラクタイドは0.1
%以下であった。また、融点は161℃、熱安定性試験
での重量及び分子量の減少率はいずれも1%以下であ
り、極めて安定性に優れていた。
【0069】(参考例2)L−ラクタイド76部と、D
−ラクタイド2部と、グリコリド22部と、溶媒として
トルエン15部とを反応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気
下、170℃で1時間、溶融混合し、オクタン酸錫を
0.03部加えて、175℃で6時間反応させた後、ア
ルミニウムイソプロポキシド0.8部、酒石酸0.1部
を加え、さらに30分間反応させ、次いで200℃に昇
温後、5torrの減圧下で脱揮し、ペレット化した。
得られたペレットの重量平均分子量は183,000で
あった。その外観は半透明で、臭いがなく、残留ラクタ
イドは0.1%であった。また、融点は156℃、熱安
定性試験での重量及び分子量の減少率はそれぞれ1%、
1%で、かなり安定性に優れていた。
【0070】(参考例3)L−ラクタイド98部と、D
−ラクタイド2部と、溶媒としてトルエン15部とを反
応釜に仕込み、不活性ガス雰囲気下、170℃で1時
間、溶融混合し、オクタン酸錫を0.03部加えて、1
75℃で6時間反応させた後、脱揮し、ペレット化し
た。そのポリ乳酸のペレット70部と、ポリカプロラク
トン(ダイセル製プラクセルH7)30部と、アルミニ
ウムイソプロポキシド0.5部と、クエン酸0.1部と
をブレンド後、180℃に設定のベント付二軸押出機に
供給、溶融混練し、減圧度5torrで脱揮しながら押
出し、ペレット化した。得られたペレットの重量平均分
子量は126,000であった。その外観は不透明で、
臭いがなく、残留ラクタイドは0.1%であった。ま
た、融点は160℃、熱安定性試験での重量及び分子量
の減少率はそれぞれ1%、1%であり、かなり安定性に
優れていた。
【0071】(参考例4)90%のL−乳酸100部を
反応釜に仕込み、150℃、50torrの減圧下で、
3時間脱水後、錫粉末0.2部を加え、同温度、30t
orrの減圧下で2時間脱水した。次いで、溶剤とし
て、ジフェニールエーテル350部、錫粉末1部を加
え、更にモレキュラーシーブを100部充填した塔に、
還流により留出する溶剤が通って系内に戻るように組み
立て、130℃、12torrで、55時間脱水縮合し
た。
【0072】反応終了後、trans−シクロヘキサン
ジアミン四酢酸1.5部を加え、30分間攪拌後、得ら
れたポリマー溶液をクロロホルムに溶解し、メタノール
中に析出、ろ過後、200℃、5torrの減圧下で脱
揮した。その後、180℃に設定のベント付押出機に供
給、溶融し、減圧度5torrで脱揮しながら押出し、
ペレット化した。得られたペレットの重量平均分子量は
112,000であった。その外観は透明で、臭いがな
く、残留ラクタイドは0.1%以下であった。また、融
点は170℃、熱安定性試験での重量及び分子量の減少
率はいずれも1%以下であり、極めて安定性に優れてい
た。
【0073】(参考例5)激しく撹拌した水酸化カルシ
ウム懸濁液にリン酸水溶液を徐々にpHが7になるまで
滴下し生成した沈殿を、800℃で3時間焼成して得た
リン酸三カルシウムをさらに乳鉢で粉砕した。
【0074】(参考例6)激しく撹拌した水酸化カルシ
ウム懸濁液にリン酸水溶液を徐々にpHが9になるまで
滴下し生成した沈殿を、800℃で3時間焼成して得た
ヒドロキシアパタイトをさらに乳鉢で粉砕した。
【0075】(比較参考例1)リン酸モノヘキサデシル
とリン酸ジヘキサデシルの混合物を除く以外は、参考例
1と同様の方法で乳酸系ポリエステルのペレットを得
た。その重量平均分子量は166,000であった。そ
の外観は透明黄色で、臭いがあり、残留ラクタイドは
3.9%であった。また、融点は160℃、熱安定性試
験での重量及び分子量の減少率はそれぞれ12%、11
%でかなり安定性に劣っていた。
【0076】(比較参考例2)アルミニウムイソプロポ
キシドとクエン酸とを除く以外は、参考例3と同様の方
法で重合体のペレットを得た。そのペレットの重量平均
分子量は112,000であった。その外観は不透明黄
色で、臭いがあり、残留ラクタイドは3.6%であっ
た。また、融点は158℃、熱安定性試験での重量及び
分子量の減少率はそれぞれ10%、9%でかなり安定性
に劣っていた。
【0077】(比較参考例3)trans−シクロヘキ
サンジアミン四酢酸を添加しない以外は、参考例4と同
様の方法で重合体のペレットを得た。その重量平均分子
量は74,000であった。その外観は透明な黄色で、
臭いがあり、残留ラクタイドは3.6%であった。ま
た、融点は151℃、熱安定性試験での重量及び分子量
の減少率はそれぞれ14%、12%でかなり安定性に劣
っていた。
【0078】(実施例1)参考例1で得られた重合体2
0部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム80部
とを180℃にセットした東洋精機製ラボプラストミル
ミキサーで10分間混練し、取り出した。続いて、熱プ
レスにより温度180℃、圧力200kgf/cm2
条件で2分間プレスした後、冷却プレスで急冷し、曲げ
試験用の試験片を作製した。得られた試験片をJIS−
K−7127に基づき、曲げ強度、曲げ弾性率を測定し
た。試験の結果を表1に示す。
【0079】(実施例2)参考例1で得られた重合体7
0部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム30部
とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行った。試
験の結果を表1に示す。
【0080】(実施例3)参考例2で得られた重合体2
5部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム75部
とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行った。試
験の結果を表1に示す。
【0081】(実施例4)参考例2で得られた重合体2
0部と、参考例6で得られたヒドロキシアパタイト80
部とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行った。
試験の結果を表1に示す。
【0082】(実施例5)参考例3で得られた重合体4
0部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム60部
とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行った。試
験の結果を表1に示す。
【0083】(実施例6)参考例3で得られた重合体8
0部と、参考例6で得られたヒドロキシアパタイト20
部とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行った。
試験の結果を表1に示す。
【0084】(実施例7)参考例4で得られた重合体2
5部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム75部
とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行った。試
験の結果を表1に示す。
【0085】(実施例8)参考例4で得られた重合体2
0部と、参考例6で得られたヒドロキシアパタイト80
部とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行った。
試験の結果を表1に示す。
【0086】(実施例9)参考例1で得られた重合体2
5部と、参考例6で得られたヒドロキシアパタイト75
部とを180℃にセットした東洋精機製ラボプラストミ
ルミキサーで10分間混練し、取り出した。続いて、熱
プレスにより温度180℃、圧力200kgf/cm2
の条件で2分間プレスした後、冷却プレスで急冷し、曲
げ試験用の試験片を作製し、100℃の乾燥機中に20
分間放置して結晶化させた。得られた試験片をJIS−
K−7127に基づき、曲げ強度、曲げ弾性率を測定し
た。試験の結果を表1に示す。
【0087】(実施例10)参考例3で得られた重合体
20部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム80
部とを使用し、実施例9と同様の操作・試験を行った。
試験の結果を表1に示す。
【0088】(実施例11)参考例1で得られた重合体
40部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム60
部とを180℃にセットした東洋精機製ラボプラストミ
ルミキサーで10分間混練し、5−フルオロウラシル5
部を添加して、更に3分間混練した後、取り出した。熱
プレスで厚さ250μmのシートを成形し冷却プレスで
急冷した。柔軟性試験として、10cm×10cmに切
り出したシートの両端を手で持ち、上下に曲げる操作を
20回繰り返したときの破損しやすさを以下の3段階の
基準で評価した。結果を表2に示す。
【0089】 ◎:全く変化が無かった。 ○:わずかにひびが入った。 ×:割れた。
【0090】徐放性試験として、作成したシートを37
℃、pH7.4のリン酸緩衝液中に静置した場合の5−
フルオロウラシルの放出率を経時的に測定した結果を表
3に示す。
【0091】(比較例1)比較参考例1で得られた重合
体20部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム8
0部とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行っ
た。試験の結果を表1に示す。
【0092】(比較例2)比較参考例2で得られた重合
体80部と、参考例6で得られたヒドロキシアパタイト
20部とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行っ
た。試験の結果を表1に示す。
【0093】(比較例3)比較参考例3で得られた重合
体25部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム7
5部とを使用し、実施例1と同様の操作・試験を行っ
た。試験の結果を表1に示す。
【0094】(比較例4)比較参考例2で得られた重合
体20部と、参考例5で得られたリン酸三カルシウム8
0部とを使用し、実施例9と同様の操作・試験を行っ
た。試験の結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【発明の効果】本発明は、生体活性のあるリン酸カルシ
ウム系化合物の欠点である、脆さ、強度、弾性率と成形
加工性などが改善され、しかも、骨誘導能、伝導能を有
する薬剤徐放可能な乳酸系複合体、及び該複合体を用い
た生体材料、薬剤徐放性基材、医療機器用材料及びその
製造方法を提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 末次 寧 茨城県つくば市春日1−11−4 204−805 (72)発明者 菊池 正紀 千葉県流山市三輪野山963−6

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合触媒を失活処理した、乳酸又は乳酸
    とヒドロキシカルボン酸との重合体(A)と、リン酸カ
    ルシウム系化合物(B)とを、その重量比(A)/
    (B)が99/1部〜1/99部となる範囲で含むこと
    を特徴とする乳酸系複合体。
  2. 【請求項2】 重合触媒の失活処理にキレート剤及び/
    又は酸性リン酸エステル類を用いることを特徴とする請
    求項1に記載の乳酸系複合体。
  3. 【請求項3】 乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン酸と
    の重合体(A)が、ポリ乳酸であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の乳酸系複合体。
  4. 【請求項4】 リン酸カルシウム系化合物(B)が、平
    均粒子径0.1μm〜300μmのリン酸カルシウム系
    化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    一つに記載の乳酸系複合体。
  5. 【請求項5】 リン酸カルシウム系化合物(B)がリン
    酸三カルシウムであることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか一つに記載の乳酸系複合体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一つに記載の乳
    酸系複合体から成る生体材料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか一つに記載の乳
    酸系複合体から成る薬剤徐放性基材。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれか一つに記載の乳
    酸系複合体から成る医療機器用材料。
  9. 【請求項9】 重合触媒を失活処理した、乳酸又は乳酸
    とヒドロキシカルボン酸との重合体(A)と、リン酸カ
    ルシウム系化合物(B)とを、重合体(A)の融点以上
    の温度で、(A)/(B)の重量比が99/1部〜1/
    99部となる範囲で、混練することを特徴とする乳酸系
    複合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 重合触媒を失活処理した、乳酸又は乳
    酸とヒドロキシカルボン酸との重合体(A)に、該重合
    体(A)の融点以上の温度で、リン酸カルシウム系化合
    物(B)と、薬剤(C)とを混練することを特徴とする
    乳酸系複合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 重合触媒の失活処理にキレート剤及び
    /又は酸性リン酸エステル類を用いることを特徴とする
    請求項9又は10に記載の乳酸系複合体の製造方法。
  12. 【請求項12】 重合触媒を失活処理した、乳酸又は乳
    酸とヒドロキシカルボン酸との重合体(A)がポリ乳酸
    であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つ
    に記載の乳酸系複合体の製造方法。
  13. 【請求項13】 リン酸カルシウム系化合物(B)が、
    平均粒子径0.1μm〜300μmのリン酸カルシウム
    系化合物であることを特徴とする請求項9〜12のいず
    れか一つに記載の乳酸系複合体の製造方法。
  14. 【請求項14】 リン酸カルシウム系化合物(B)がリ
    ン酸三カルシウムであることを特徴とする請求項9〜1
    3のいずれか一つに記載の乳酸系複合体の製造方法。
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JP2013257193A (ja) * 2012-06-12 2013-12-26 Ebara Corp 廃イオン交換樹脂集合固化体の製造方法

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