JPH10124108A - 周期性信号の適応制御方法 - Google Patents

周期性信号の適応制御方法

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JPH10124108A
JPH10124108A JP8276699A JP27669996A JPH10124108A JP H10124108 A JPH10124108 A JP H10124108A JP 8276699 A JP8276699 A JP 8276699A JP 27669996 A JP27669996 A JP 27669996A JP H10124108 A JPH10124108 A JP H10124108A
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Katsuhiro Goto
勝博 後藤
Hiroyuki Ichikawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 角振動数ωkの計測誤差のレベルがある程度
大きくなっても適用が可能な周期性信号の適応制御方法
を提供すること。 【解決手段】 周期性信号f(n)に対しその推定角振
動数ωハットの正弦波信号の適応信号y(n)を逆位相
で加えることによって、観測点で検知される誤差信号e
(n)を低減する周期性信号の適応制御方法である。角
振動数ωの計測値(ω+q)を供給する角振動数計測手
段と、推定角振動数ωハット・振幅a・位相φの適応信
号y(n)を発生させる適応信号発生アルゴリズムと、
振幅a・位相φを調整する適応係数ベクトル更新アルゴ
リズムと、推定角振動数ωハットの補償値q(n)を更
新して推定角振動数ωハットを推定する角振動数推定ア
ルゴリズムとを有する。角振動数推定アルゴリズムによ
り角振動数ωが推定され、周期性信号f(n)と適応信
号y(n)との同期が取れて誤差信号e(n)を抑制す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周期性信号の能動
抑制技術の技術分野に属する。例えば、周期性信号が振
動であれば能動制振の技術分野に属し、周期性信号が雑
音であればアクティヴ・ノイズ・サプレッションの技術
分野に属するなど、周期性信号の種類によって応用範囲
は広く拡がっている。
【0002】
【従来の技術】本発明に対する従来技術としては、特開
平8−44377号公報(特願平6−201384号)
には、DXHSアルゴリズムと名付けられた周期性信号
の適応制御方法が開示されている。DXHSアルゴリズ
ムは、周期性信号の基本周波数成分とその高調波成分と
の制御を行い、その観測点に及ぼす影響を抑制する適応
制御方法を実現するものである。DXHSアルゴリズム
では、その影響を抑制すべき制御対象信号(周期性信
号)と、これを相殺すべく発生させられる制御信号(適
応信号とも呼ぶ)とは、それぞれ正弦波で表記され、こ
の正弦波の角振動数、位相、およびゲインが主要な変数
として定義されていた。そして、周期性信号の影響を受
ける観測点で観測される誤差信号の二乗を評価関数とす
る最小二乗法を基本として、制御信号のゲインおよび位
相を適応的に調整して周期性信号の影響を最小化してい
た。また、制御対象システムの位相遅れ特性の変動にも
配慮し、テーブルデータの導入による制御対象システム
の特性の変動への適応能力の向上も図られていた。
【0003】このようなDXHSアルゴリズムは、上記
公報中で従来技術としたアルゴリズムに比べ、外乱の影
響を受けにくく、演算量が少ないという利点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来技
術においては、制御信号を観測点に伝達する制御対象シ
ステムの時間変動(所定の角振動数で伝達特性が経時変
化する)に対する適応能力が十分ではなかった。そこ
で、先行技術として発明者らはその改良アルゴリズム
(DXHS改アルゴリズム)を開発し、同アルゴリズム
によれば制御対象システムの伝達特性の大幅な変動に対
しても速やかに適応することができるという実験成果を
得た。この先行技術は、特願平7−129868号とし
て出願されている。
【0005】DXHS改アルゴリズムでは、周期性信号
および制御信号をそれぞれ調和関数で定義している点で
は従来技術と同様である。しかし、適応係数ベクトルW
(n)の成分に、制御信号の振幅および位相に加えて、
制御対象システムの位相遅れに関する適応係数が導入さ
れている点が異なっている。同適応係数の導入に伴い、
適応係数ベクトルW(n)を更新する適応係数ベクトル
更新アルゴリズムに、適応係数を調整する成分も含まれ
るようになっている。また、適応係数ベクトル更新アル
ゴリズムの適応係数を調整する成分に、位相調整パラメ
ータを付加することにより、その収束性を改善してい
る。
【0006】その結果、DXHS改アルゴリズムを用い
た周期性信号の適応制御方法によれば、制御対象システ
ムの伝達特性の経時変化に対する適応能力が飛躍的に高
まるという効果を得ている。ところで、前述の従来技術
および以上の先行技術のいずれにおいても、周期性信号
の角振動数ωkは、工学的に十分精密に計測され、角振
動数ωkの計測値を真値と等価に扱えるものとして理論
展開を行ってきた。それゆえ、角振動数ωkの計測誤差
がある程度大きくなり、無視し得ないレベルにまで達す
ると適応制御に支障を来すおそれがあった。
【0007】そこで、本発明は、角振動数ωkの計測誤
差のレベルがある程度大きくなっても適用が可能な、換
言すれば角振動数ωkの計測誤差に対してロバストな周
期性信号の適応制御方法を提供することを解決すべき課
題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するために、発明者らは以下の各手段を発
明した。ここで、角振動数ωk、その補償値(計測誤差
の推定値)qk、および伝達特性G(推定ゲインAハッ
トおよび推定位相遅れΦハット)については、時刻nの
更新毎に変化している可能性があるので本来は(n)を
付して表記すべきとことであるが、煩瑣を避けるために
(n)を付さずに記載することがある。ただし、計測誤
差qkと補償値qk(n)とは異なる定義の値であり、補
償値qk(n)は計測誤差qkに収束していく。なお、通
常ハットまたはルーフと呼び慣わされている数式中の記
号は、明細書本文には電子出願上の制約でそのまま表記
できないので、「ハット」の接尾辞で代替している。
【0009】(第1手段)本発明の第1手段は、少なく
とも一つの角振動数ωk(1≦k≦K’、K’は自然
数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号
f(n)に対し、該角振動数ωkのうちK個の推定値で
ある推定角振動数ωkハット(1≦k≦K≦K’、Kも
自然数)の正弦波信号からなる適応信号y(n)を逆位
相で直接または間接的に加えることによって、該周期性
信号f(n)の特定成分の該観測点への影響を能動的に
除去し、該観測点で検知される誤差信号e(n)を低減
する周期性信号の適応制御方法において、該角振動数ω
kを計測し、計測誤差qkを含んだ計測値(ωk+qk)を
供給する角振動数計測手段と、時刻nにおいて、前記推
定角振動数ωkハットを角振動数とし振幅akおよび位相
φkの正弦波信号の少なくとも一つ以上が合成されてな
る適応信号y(n)を発生させる適応信号発生アルゴリ
ズムと、該適応信号y(n)の振幅akおよび位相φk
成分として含む適応係数ベクトルW(n)を、該適応信
号y(n)が前記観測点に伝達するまでの伝達特性Gの
位相遅れΦ、前記誤差信号e(n)および前記計測値
(ωk+qk)に基づいて時刻nの経過毎に更新すること
により、前記周期性信号f(n)の各角振動数成分での
角振動数ωkならびに振幅および位相の変動と該伝達特
性Gの変動とに対して、適応係数ベクトルW(n)の各
成分を適応的に調整する適応係数ベクトル更新アルゴリ
ズムと、前述の推定角振動数ωkハットの補償値q
k(n)を、該誤差信号e(n)、該計測値(ωk
k)、該位相φkおよび該位相遅れΦに基づいて時刻n
の経過毎に適応的に更新し、それぞれの該推定角振動数
ωkハット[すなわち計測値(ωk+qk)から補償値qk
(n)を差し引いた値]の推定精度を適応的に高める角
振動数推定アルゴリズムとを有し、更新された該適応係
数ベクトルW(n)の成分である該振幅akおよび該位
相φkと該推定角振動数ωkハットとをもって、該適応信
号y(n)の各正弦波信号の該推定角振動数ωkハット
ならびに該振幅akおよび該位相φkが更新されることを
特徴とする周期性信号の適応制御方法である。
【0010】本手段では、角振動数計測手段により、周
期性信号f(n)を発生させる振動源から、有意な計測
誤差qkが加わった角振動数ωkの計測値(ωk+qk)が
計測され、適応係数ベクトル更新アルゴリズムおよび角
振動数推定アルゴリズムに提供される。適応係数ベクト
ル更新アルゴリズムは、振幅akおよび位相φkを成分と
して含む適応係数ベクトルW(n)を誤差信号e(n)
等に基づいて適応的に更新し、適正な値に収束した振幅
kおよび位相φkを適応信号発生アルゴリズムに提供す
る。
【0011】一方、角振動数推定アルゴリズムは、誤差
信号e(n)や角振動数の計測値(ωk+qk)等に基づ
き、補償値qk(n)を逐次更新して計測誤差qkを推定
してゆく。計測誤差qkが十分に精密に推定されれば、
計測値(ωk+qk)から推定計測誤差qkを差し引くこ
とにより角振動数ωkを精密に割り出し、有意な誤差を
含まない角振動数ωkの推定値ωkハットを適応信号発生
アルゴリズムに提供することが可能になる。
【0012】なお、伝達特性Gの位相遅れΦの値は、適
正な推定値(一定値)で代替するか、テーブルデータを
用意して角振動数ωkに対して適正な値を用意する程度
でよく、多少の誤差は位相φ(n)の調整により吸収さ
れる。適応信号発生アルゴリズムは、各正弦波信号の角
振動数ωkを角振動数推定アルゴリズムから、振幅ak
よび位相φkを適応係数ベクトル更新アルゴリズムか
ら、それぞれ提供されて適応信号y(n)を発生する。
適応信号y(n)は、伝達特性Gを経てゲインAと位相
Φとが加わり、観測点に到達する。観測点では、周期性
信号f(n)の影響と適応信号y(n)の影響とが相殺
し、適応信号y(n)に選定されている周期性信号f
(n)の特定成分の影響が除去され、誤差信号e(n)
は低いレベルに抑制される。
【0013】したがって本手段によれば、周期性信号f
(n)の角振動数ωkの計測値(ωk+qk)に有意な計
測誤差qkが含まれていても、高い適応能力をもって誤
差信号e(n)を低レベルに収束させることができると
いう効果がある。 (第2手段)本発明の第2手段は、上記第1手段におい
て、前記角振動数計測手段は、前記周期性信号f(n)
の発生源から所定の位相時に発せられるパルス信号の時
間間隔を計測する周期センサ、または所定時間内の該パ
ルス信号の数を計測するパルスカウンタである、周期性
信号の適応制御方法である。
【0014】本手段では、角振動数計測手段が安価かつ
高信頼性のセンサであり、制御システム全体のコストダ
ウンになるという効果がある。なお、より精密に周期性
信号f(n)の発生源(例えばエンジン等)から角振動
数ωkを計測する必要がある場合には、角振動数計測手
段に光電式ロータリエンコーダやロータリ形インダクト
シンなどのより精密なセンサを使用することも可能であ
る。
【0015】(第3手段)本発明の第3手段は、上記第
1手段において、前記周期性信号f(n)のうち最も主
要な振動(角振動数ω)を制御する一入力一出力型の周
期性信号の適応制御方法であり、前記適応係数ベクトル
更新アルゴリズムおよび前記角振動数推定アルゴリズム
とはまとめて数7で表記され、適応信号発生アルゴリズ
ムは数8で表記される、周期性信号の適応制御方法であ
る。
【0016】
【数7】
【0017】
【数8】
【0018】本手段では、一入力一出力の制御系で抑制
すべき周波数成分が単一の場合に、極めて簡素な計算で
第1手段の適応制御が可能である。したがって本手段に
よれば、本手段をマイクロコンピュータ等で実施する際
に、演算量や演算速度および記憶容量の面で大幅なコス
トダウンが可能であるという効果がある。 (第4手段)本発明の第4手段は、上記第1手段におい
て、前記周期性信号f(n)の影響が及ぶ少なくとも一
つの上記観測点からL個の前記誤差信号el(n)(1
≦l≦L、Lは自然数)が入力として得られ、M個の前
記適応信号ym(n)(1≦m≦M、Mは自然数)を出
力する多入力多出力型の周期性信号の適応制御方法であ
り、前記適応係数ベクトル更新アルゴリズムは数9で表
記され、前記角振動数推定アルゴリズムは数10および
数11のうちいずれかで表記され、適応信号発生アルゴ
リズムは数12で表記される、周期性信号の適応制御方
法である。
【0019】
【数9】
【0020】
【数10】
【0021】
【数11】
【0022】
【数12】
【0023】本手段では、多入力多出力(一入力や一出
力も特殊な場合として含む)の制御系で、抑制すべき周
波数成分が複数の場合にも、第1手段の適応制御が可能
である。角振動数推定アルゴリズムとして、数10を採
用した場合には演算量を大幅に低減できるという効果が
あり、数11を採用した場合には全入力すなわち全ての
誤差信号el(n)を用いてより速やか適応することが
でき、適応できる範囲も拡がるという効果がある。
【0024】(第5手段)本発明の第5手段は、上記第
1手段から第4手段までのうちいずれかにおいて、前記
振幅ak(またはakm)および前記位相φk(または
φkm)ならびに前記伝達特性Gの推定値である推定ゲイ
ンAハットおよび推定位相遅れΦハットのうち少なくと
も一種類の値が、前記角振動数ωkの変動範囲内で該角
振動数ωkの区画毎に記憶されているテーブルデータを
有する、周期性信号の適応制御方法である。
【0025】本手段では、周波数毎に区画されたテーブ
ルデータに、周波数による影響が大きい各種数値のうち
いずれかが記憶されているので、周波数が変動し系の特
性が大きく変動した場合にも、テーブルデータの値を参
照することができる。したがって本手段によれば、周波
数が変動した場合にも、より速やかに適応制御して誤差
信号e(n)を抑制することができるという効果があ
る。
【0026】また、制御系に適応判定機能をも持たせ、
十分に適応した時点でテーブルデータの内容の値をアッ
プデートするテーブルデータ更新機能を有すれば、制御
対象の系の経時変化などにも対応して適応制御を施すこ
とができるという効果がある。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の周期性信号の適応制御方
法の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が
えらえるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明す
る。 [実施例1] (実施例1のシステム構成と理論展開)本発明の実施例
1としての周期性信号の適応制御方法を実施する系は、
図1に示すように、大きく分けて制御系1と物理系2と
の二つのブロックから構成されている。
【0028】制御系1は、適応信号y(n)を発生させ
る適応信号発生アルゴリズム11と、同アルゴリズム1
1に振幅a(n)、位相φ(n)および角振動数の推定
値ωハットを提供する適応係数ベクトル更新アルゴリズ
ム12および角振動数推定アルゴリズム13とから構成
されている。制御系1は一入力一出力形であり、誤差信
号e(n)が入力に該当し、適応信号y(n)が出力に
該当している。また、制御系1は、周期性信号f(n)
のうち単一の周波数成分(角振動数の真値はω)のみを
抑制すべき特定成分としている。
【0029】一方、物理系2は、周期性信号f(n)を
観測点24に加える周期性信号源21と、周期性信号源
21の角振動数ωを計測する角振動数計測手段22と、
適応信号y(n)を観測点24に伝達する伝達特性G
(符号は23)とから構成されている。周期性信号源2
1には、具体的には、例えばエンジンなどの振動源とそ
の振動を観測点24まで伝達する他の伝達特性G’(図
略)とが含まれている。角振動数計測手段22は、周期
性信号f(n)の角振動数ω(真値)を計測し、観測誤
差qが含まれている計測値(ω+q)を前述の適応係数
ベクトル更新アルゴリズム12および角振動数推定アル
ゴリズム13に供給する。伝達特性Gは、所定の角振動
数ωにおいて所定のゲインAおよび位相遅れΦを発揮す
る。
【0030】ここで、制御系1の各アルゴリズム11,
12,13は、以下のようにして導き出すことができ
る。先ず仮に、周期性信号f(n)=Fcos(ωT
n)であるとする。ここで、Fは所定の振幅、Tは更新
周期(またはサンプリング周期)、nはT刻みの各時刻
(ステップ)である。一方、適応信号y(n)を仮にy
(n)=a(n)cos{(ω+Q)Tn+φ(n)}
とすると、伝達特性G[A,Φ](符号は23)を経て
観測点24に加えられる相殺信号z(n)は、z(n)
=Aa(n)cos{(ω+Q)Tn+φ(n)−Φ}
である。
【0031】すると、誤差信号e(n)は、e(n)=
F(n)+z(n)=Fcos(ωTn)+Aa(n)
cos{(ω+Q)Tn+φ(n)−Φ}である。これ
を指数関数表現に書き改めると、誤差信号e(n)=F
exp[jωTn]+Aa(n)exp[j{(ω+
Q)Tn+φ(n)−Φ}]=Fexp[jωTn]×
[1−(1/F)Aa(n)expj{QTn+φ
(n)−Φ}]である。
【0032】ここで仮に誤差信号e(n)=0の場合、
外力である周期性信号f(n)と伝達関数およびフィル
タ係数との間で、次の数式で表される関係が成り立つ。 f = Fexp(jωft) = AaXexp{j(ωft+φ−Φ)} 一方、何らかの原因で、適応信号y(n)を算出する際
に用いる角振動数ωと周期性信号f(n)の角振動数ω
fとの間に角周波数差Qが発生すると、誤差信号e
(n)はゼロではなくなり、その値は次式で表現され
る。
【0033】 e(n) = −[−AaXexpj{ωft+φ−Φ} +AaXexpj{(ωf+Q)t+φ−Φ}] = AaX{1−exp(jQt)} ・exp{j(ωft+φ−Φ)} = B(t){1−exp(jQt)} = B(t){1−(cosQt+jsinQt)} ただし、B(t)=AaXexp{j(ωft+φ−Φ)}である。
【0034】ここで、周期性信号f(n)と相殺信号z
(n)とが同期していることは、制御系1が完全に適応
して誤差信号e(n)が定常的に零[e(n)≡0]で
あることの必要条件である。すなわち、角振動数の誤差
Q=0においてのみ、誤差信号e(n)≡0であり得
る。特に、Qが零の近似領域にある場合には、誤差信号
e(n)は次のように展開される。
【0035】 したがって、誤差信号e(n)の二乗期待値E[e
2(n)]は、所定時間Tに渡って上式の右辺[jB
(t)Q]の絶対値の二乗を時間積分し、所定時間Tで
割って平均化することにより求められる。所定時間Tが
十分に長い時間であれば、B(t)が周期性関数である
ことを考慮して誤差信号e(n)の二乗期待値は次式で
表される。
【0036】E[e2(n)] = αQ2 (αは正
の比例常数) それゆえ、誤差信号e(n)の二乗の期待値E[e
2(n)]は、近似的に角振動数の誤差Qの二乗値Q2
比例関係にある。すなわち、角振動数ωkの誤差Qを小
さくすることは、誤差信号e(n)の期待値を小さくす
ることの必要条件である。
【0037】そこで、E[e2(n)]とQ2 との近似
的な比例関係、またはQ2の増加に関しQ2が十分に小さ
い範囲ではE[e2(n)]は単純増加の傾向にあるこ
とを利用して、逐次近似法を導入する。すなわち、角振
動数ωの計測値(ω+q)に補正項(補償値q(n)に
相当)を導入して、補償値q(n)を勾配法(最小二乗
法的アプローチ)で逐次的に求めることにする。補償値
q(n)が求まれば、角振動数ωの推定値ωハットは計
測値(ω+q)から補償値q(n)を差し引くことによ
ってで求まり、もって角振動数ωの真値を推定すること
ができる。なお、上記勾配法においては、ステップサイ
ズパラメータを適正に定めることにより、適応速度を調
整することが可能であり、収束を速やかにすることがで
きる。
【0038】角振動数の補償値をqとし、適応係数ベク
トルW(n)が振幅a(n)および位相φ(n)のみを
成分とするものと定義すると、前述のDXHSアルゴリ
ズムによる適応係数ベクトル更新アルゴリズム12は、
数13で表記される。
【0039】
【数13】
【0040】一方、角振動数推定アルゴリズム13は、
以下のようにして導き出される。すなわち、評価関数を
瞬時の(当該時刻nの)誤差信号e(n)の二乗値e2
(n)と定めると、評価関数e2(n)の補償値q
(n)に対する勾配Dqは、次の数式で定義される。 Dq ≡ ∂e2(n)/∂q(n) すると、補償値q(n)を逐次更新して求める更新式
は、次の数式で表現される。
【0041】 q(n+1) = q(n)+μq’(−Dq) ところで、上記数13の第2成分から、次の近似式が導
き出される。 ∂φ(n)/∂Tn ≒ {φ(n+1)−φ(n)}
/T= e(n)μφcos{(ω+q)Tn+φ
(n)−Φ}/T それゆえ、二乗誤差e2(n)と(∂φ(n)/∂T
n)とは瞬時ではほぼ比例関係にあると見なすことがで
きる。
【0042】また、位相φ(n)と補償値q(n)との
間には、次の数式に示す線形関係があることが経験的に
分かっている。 ∂φ(n)/∂Tn = −αq(n)+β (α,
β:定数) 以上の関係に基づいて、上記勾配Dq は数14のように
展開される。
【0043】
【数14】
【0044】上記勾配Dq は数14のように簡略に表記
することができるので、補償値q(n)の更新式である
角振動数推定アルゴリズム13は、前述のq(n+1)
=q(n)+μq’(−Dq)に基づいて数15のように
書き表される。
【0045】
【数15】
【0046】したがって、数13の適応係数ベクトル更
新アルゴリズム12と、数15の角振動数推定アルゴリ
ズム13とをひとまとめにして、適応係数ベクトル更新
アルゴリズム12および角振動数推定アルゴリズム13
を数16で表記できる。
【0047】
【数16】
【0048】また、適応信号発生アルゴリズム11は、
その定義に従って数17で表記される。
【0049】
【数17】
【0050】以上のように、図1に示されている系は、
物理系2および制御系1ともに構成を定式化することが
できる。 (実施例1の作用効果)本実施例の周期性信号の適応制
御方法は、以上のように構成されいるので、以下の二つ
の作用効果を有する。
【0051】第1に本実施例では、角振動数計測手段2
2により、周期性信号f(n)を発生させる周期性信号
源21から、有意な計測誤差qが加わった角振動数ωの
計測値(ω+q)が計測され、適応係数ベクトル更新ア
ルゴリズム12および角振動数推定アルゴリズム13に
提供される。両アルゴリズム12,13は、上記数16
にまとめられているが、振幅a(n)および位相φ
(n)の第1および第2成分と補償値q(n)である第
3成分とは性格が異なるので、両者を各アルゴリズム1
2,13に分けて作用を説明する。
【0052】適応係数ベクトル更新アルゴリズム12
は、振幅a(n)および位相φ(n)を成分とする適応
係数ベクトルW(n)を誤差信号e(n)等に基づいて
適応的に更新する。適応係数ベクトル更新アルゴリズム
12の作用で適正な値に収束した振幅a(n)および位
相φ(n)は、適応信号発生アルゴリズム11に提供さ
れる。
【0053】一方、角振動数推定アルゴリズム13は、
誤差信号e(n)や角振動数の計測値(ω+q)等に基
づき、補償値q(n)を逐次更新して計測誤差qを推定
してゆく。計測誤差qが十分に精密に推定されれば、計
測値(ω+q)から推定計測誤差q(または補償値q
(n))を差し引くことにより、角振動数ωを精密に推
定することができる。その結果、有意な誤差を含まない
角振動数ωの推定値ωハット=(ω+q)−q(n)
が、角振動数推定アルゴリズム13から適応信号発生ア
ルゴリズム11に提供される。
【0054】ここで、数16中の伝達特性Gの位相遅れ
Φの値は、入出力特性の周波数掃引試験により予め設定
されている。なお、位相遅れΦに実際の伝達特性G(符
号は23)と多少の誤差があっても、位相φ(n)の調
整により吸収されるので適応性に問題は生じない。さ
て、適応信号発生アルゴリズム11は、各正弦波信号の
角振動数となる推定値ωハットを角振動数推定アルゴリ
ズム13から、振幅a(n)および位相φ(n)を適応
係数ベクトル更新アルゴリズム12から、それぞれ提供
されて適応信号y(n)を発生する。適応信号y(n)
は、伝達特性G(符号は23)を経てゲインAと位相Φ
とが加わり、相殺信号z(n)となって観測点24に到
達する。観測点24では、周期性信号f(n)と相殺信
号z(n)とが相殺し、適応信号y(n)に選定されて
いる周期性信号f(n)の主要成分(角振動数ω)の影
響が除去され、誤差信号e(n)は低いレベルに抑制さ
れる。
【0055】したがって本実施例の周期性信号の適応制
御方法によれば、周期性信号f(n)の角振動数ωk
計測値(ωk+qk)に有意な計測誤差qkが含まれてい
ても、高い適応能力をもって誤差信号e(n)を低レベ
ルに収束させることができるという効果がある。第2に
本実施例では、制御系1が一入力一出力形であり、周期
性信号f(n)のうち抑制すべき周波数成分が単一であ
るから、制御系1が極めて簡素なアルゴリズム11,1
2,13(数16および数17)にまとめられている。
それゆえ、極めて簡素な計算で本実施例の周期性信号の
適応制御方法が実施できる。したがって本実施例によれ
ば、制御系1をマイクロコンピュータ等で実現する際
に、演算量や演算速度および記憶容量の面で大幅な節約
ができるという効果がある。
【0056】(実施例1の数値シミュレーションによる
評価)例えば自動車のエンジンの振動を抑制する車載制
振システムなど、現実のシステムでは、周期性信号源2
1(エンジン)から計測誤差qなしに角振動数ωの真値
を観測することはできない。ここで仮に、角振動数計測
手段22が、上記エンジンのイグニッションパルスを計
測値(ωk+qk)の信号源としている場合を想定しよ
う。この場合、同エンジンが直列4気筒4ストロークサ
イクル型であれば、クランクシャフトの一回転につき二
つの割合でイグニッションパルスが得られる。
【0057】制御系1のサンプリング頻度が2000H
zであるとすれば、エンジンの回転数が600rpmの
場合、イグニッションパルスの間隔は100サンプリン
グであり、サンプリングパルス一つのカウント誤差は、
1%程度でしかない。この際、角振動数計測手段22
は、サンプリングパルスのパルスカウンタである。しか
し、エンジンの回転数が十倍の6000rpmになる
と、イグニッションパルスの時間間隔には10サンプリ
ングパルスしかカウントされないので、一つのカウント
誤差が10%にも達することになる。すなわち、角振動
数計測手段22の角振動数ωの計測誤差qは、平均して
角振動数ωの数%程度のレベルに達し、従来の角振動数
ωの計測誤差を考慮していない周期性信号の適応制御方
法では、計測誤差qによる制御成績への悪影響があるこ
とが予想される。
【0058】そこで発明者らは、数値シミュレーション
を行い、前述の従来技術(DXHSアルゴリズム)と比
較して、本実施例の周期性信号の適応制御方法の性能を
評価した。その際、イグニッションパルスの頻度に相当
する想定周波数は25Hz(回転数750rpmに相
当)、想定サンプリング頻度は1000Hzとした。ま
た。角振動数ωの真値に対する計測誤差qが0%から−
5%まで、1%刻みに6ケースを数値シミュレーション
した。
【0059】その結果、次の表1にまとめて示すよう
に、定常状態での誤差信号e(n)の分散E[e
2(n)]は本実施例では桁違いに改善されていること
が明らかになった。すなわち、従来技術での上記分散
は、計測誤差qが増大するに連れて指数関数的に増大し
ているのに比較して、本実施例での上記分散は計測誤差
qが0%の場合から−5%に達するまで、一定して低い
レベルにある。つまり、本実施例の周期性信号の適応制
御方法によれば、角振動数ωの計測誤差qのレベルが少
なくとも数%程度である限り、その影響は制御成績に及
ばないことを表1から読みとることができる。
【0060】
【表1】 ───────────────────────────── q/ω 本実施例の分散 従来技術の分散 ───────────────────────────── 0% 1.0×10-8以下 1.0×10-8以下 −1% 同上 7.7×10-6 −2% 同上 2.9×10-5 −3% 同上 6.0×10-5 −4% 同上 9.4×10-5 −5% 同上 1.2×10-4 ───────────────────────────── 上記数値シミュレーションの各ケースの誤差信号e
(n)のグラフを、本実施例のものと従来技術のものと
を対比しつつ、図2(a),(b)〜図7(a),
(b)に示す。
【0061】その結果、図2(a)と図7(a)とを比
較して分かるように、実施例1の適応制御の結果、計測
誤差qが角振動数ωの−5%に至るまで、誤差信号e
(n)のレベルが低いだけではなく、その収束速度も全
く悪化していない。一方、図2(b)から図7(b)ま
でを順に比較していくと、従来技術による適応制御では
収束しきらず、準定常状態でも計測誤差qの大きさによ
って高い誤差信号e(n)レベルに留まっていることが
わかる。ただし、準定常状態にまで収束する速度(経過
時間)は、計測誤差qが−5%にまで拡大しても目に見
える変化はない。
【0062】以上の数値シミュレーション結果から、本
実施例の周期性信号の適応制御方法によれば、角振動数
ωの計測誤差qが数%にも及ぶ劣悪な条件であっても、
計測誤差qが無い場合とほとんど変わることなく適応制
御することが可能であることが証明された。その結果、
計測誤差qが無い場合に比較して遜色無く、速やかに誤
差信号e(n)を収束させることができ、そのレベルも
極めて低いことがわかった。
【0063】したがって本実施例によれば、角振動数ω
の計測誤差qのレベルがある程度大きくなっても制御性
能が劣化せず、計測誤差qに対してロバストな周期性信
号の適応制御方法を提供することができるという効果が
ある。また、かなりの程度まで角振動数ωの計測誤差q
が許容されるので、角振動数計測手段22に高価なセン
サを別途設けなくても、イグニッションパルスからパル
スカウンタで割り出す程度の簡便な角振動数計測手段2
2でこと足りる。それゆえ、角振動数計測手段22が安
価で済み、製品全体のコストダウンにも寄与するという
効果もある。
【0064】(実施例1の変形態様)図8に示すよう
に、実施例1の制御系1に加えて、伝達特性G(図1中
の符号23)の位相遅れΦならびに振幅aおよび位相φ
を内容とするテーブルデータ14を備えている制御系
1’を有する変形態様を構成することも可能である。す
なわち本変形態様は、適応信号y(n)の取るべき適正
な振幅aおよび位相φ、ならびに伝達特性Gの位相遅れ
Φの測定値の値が、周期性信号f(n)び角振動数ωの
変動範囲内で角振動数ωの区画毎に記憶されているテー
ブルデータ14を有する。ここで、伝達特性Gのゲイン
特性Aは、上記振幅aのとる値の中に吸収してしまうこ
とができるので、テーブルデータ14に上記ゲイン特性
Aを含んでいる必要はない。
【0065】本変形態様では、角振動数ω毎に区画され
たテーブルデータ14に、周波数による影響が大きい数
値(振幅a、位相φ、位相遅れΦ)が記憶されている。
テーブルデータ14は、角振動数ωの推定値ωハット
が、テーブルデータの周波数区画を越えて変動した場合
に、スイッチ15が閉じて適応係数ベクトル更新アルゴ
リズム12および角振動数推定アルゴリズム13に上記
数値を供給する。その際に、角振動数ω(真値は未知)
の代わりにその推定値ωハットを参照してテーブルデー
タ14内の所定の区画の上記数値を読み出す。
【0066】すると、角振動数ωの変動により系の特性
(すなわち、振幅a、位相φ、位相遅れΦ)が大きく変
動した場合にも、テーブルデータ14の値を参照するこ
とにより、両アルゴリズム12,13の適応を待つこと
なく上記数値を適正に設定することができる。それゆえ
本変形態様によれば、周期性信号f(n)の角振動数ω
が変動した場合にも、より速やかに適応制御して誤差信
号e(n)を抑制することができるという効果がある。
【0067】また、適応判定機能をも持たせ、十分に適
応して時点でテーブルデータの内容の値をアップデート
するテーブルデータ更新機能をも有する変形態様も可能
である。この変形態様によれば、制御対象の系の経時変
化などにも対応して適応制御を施すことができるという
効果がある。なお、テーブルデータ14は、装置として
はROMまたはRAMなどの高速メモリーで実現され
る。
【0068】[実施例2] (実施例2のシステム構成)本発明の実施例2としての
周期性信号の適応制御方法は、図9に示すように、実施
例1を多入力多出力系に拡張したもので、周期性信号f
(n)も複数の周波数成分(角振動数ωk)をもつもの
に一般化されている。すなわち本実施例は、周期性信号
f(n)の影響が及ぶ少なくとも一つの観測点24”か
らL個の前記誤差信号el(n)(1≦l≦L、Lは自
然数)が入力として得られ、M個の前記適応信号y
m(n)(1≦m≦M、Mは自然数)を出力する多入力
多出力型の周期性信号の適応制御方法である。ただし、
その特殊な場合として、一入力系および一出力系ならび
に単一の角振動数ω成分しかない周期性信号f(n)な
ども、本実施例の範疇に含まれる。
【0069】実施例1と同様に、本実施例のシステム構
成は大きく分けて、多入力多出力の制御系1”と、少な
くとも一つの正弦波成分からなる周期性信号f(n)を
発生する物理系2”とからなる。物理系2”は、周期性
信号源21”と角振動数計測手段22”と伝達特性Gm
(符号は23”)とから構成されている。一方、制御系
1”は、適応信号発生アルゴリズム11”と適応係数ベ
クトル更新アルゴリズム12”と角振動数推定アルゴリ
ズム13”とから構成されている。
【0070】適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”
は数18で表記され、角振動数推定アルゴリズム13”
は数19で表記され、適応信号発生アルゴリズム11”
は数20で表記される。ここで、適応係数ベクトル更新
アルゴリズム12”(数18)と角振動数推定アルゴリ
ズム13”(数19)とは、各要素の計算法の形式が共
通しているので、実施例1のようにひとまとめにして表
記しても良い。
【0071】
【数18】
【0072】
【数19】
【0073】
【数20】
【0074】(実施例2の作用効果)本実施例では、制
御系1”が多入力多出力(入力である誤差信号e
l(n)はL個、出力である適応信号ym(n)はM個)
の制御系であり、かつ、抑制すべき周波数成分が複数
(K個)の場合にも適用できる。その結果、複数の周波
数成分を抑制する他入力多出力系でありながら、周期性
信号f(n)の角振動数ωkを計測する際に計測誤差qk
が混入するにも係わらず、複数の誤差信号el(n)を
速やかに収束させ、周期性信号f(n)の特定成分の影
響を抑制することができる。
【0075】また、角振動数推定アルゴリズム13”
は、上記数19に示されているように、全ての誤差信号
l(n)を観測して補償値qk(n)を更新するので、
補償値qk(n)の収束が迅速かつ正確に行われる。同
様の理由で、計測誤差qkやノイズ等が大きい場合に
も、より広い範囲で補償値qk(n)を収束させること
が可能になる。
【0076】したがって本実施例によれば、周期性信号
f(n)の複数の角振動数ωkの計測誤差qkにも係わら
ず、多入力多出力系で複数の振動成分の影響を抑制する
ことが可能になり、その収束範囲も広いという効果があ
る。 (実施例2の変形態様1)実施例2の制御系1”の角振
動数推定アルゴリズム13”として、上記数19に替え
て数21を使用する変形態様が可能である。
【0077】
【数21】
【0078】本変形態様では、角振動数推定アルゴリズ
ム13”で各補償値qk(n)を更新するに当たり、各
々一つだけの誤差信号el(n)に基づいて更新が行わ
れており、全ての誤差信号el(n)を参照してはいな
い。それゆえ、本変形態様では角振動数推定アルゴリズ
ム13”での演算量が激減しており、制御系1を実現す
るプロセッサーの負担を軽減したり、安価なプロセッサ
ーで済ませてコストダウンしたりすることができるとい
う効果がある。
【0079】なお、上記数21に供給される誤差信号e
l(n)は、L個ある誤差信号el(n)のうち、補償値
k(n)が該当する角振動数ωkの周波数成分の影響が
最も大きい(または各周波数成分中での比率が大きい)
ものが選定されていることが好ましい。 (実施例2の変形態様2)本実施例においても、実施例
1に対するその変形態様のように、振幅akmおよび位相
φkmならびに位相遅れΦkmを各角振動数ωkの区分毎に
格納しているテーブルデータを有する変形態様が可能で
ある。本変形態様によっても、実施例1の変形態様と同
様に、角振動数ωkが変動して系の特性が大きく変動し
た場合にも、より速やかに適応がなされるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のシステム構成を示すブロック線図
【図2】 実施例1の計測誤差なしでの効果を示す組図 (a)実施例1の制御結果 (b)従来技術の制御結果
【図3】 実施例1の計測誤差1%での効果を示す組図 (a)実施例1の制御結果 (b)従来技術の制御結果
【図4】 実施例1の計測誤差2%での効果を示す組図 (a)実施例1の制御結果 (b)従来技術の制御結果
【図5】 実施例1の計測誤差3%での効果を示す組図 (a)実施例1の制御結果 (b)従来技術の制御結果
【図6】 実施例1の計測誤差4%での効果を示す組図 (a)実施例1の制御結果 (b)従来技術の制御結果
【図7】 実施例1の計測誤差5%での効果を示す組図 (a)実施例1の制御結果 (b)従来技術の制御結果
【図8】 実施例1の変形態様1の制御系の構成を示す
ブロック線図
【図9】 実施例2のシステム構成を示すブロック線図
【符号の説明】
1,1’,1”:制御系 11,11”:適応信号発生アルゴリズム 12,12”:適応係数ベクトル更新アルゴリズム 13,13”:角振動数推定アルゴリズム 14:テーブルデータ 15:スイッチ 2,2”:物理系 21,21”:周期性信号源 22,22”:角振動数計測手段 23,23”:伝達特性G[A,Φ],Gm[Am
Φm] 24,24”:観測点 f(n):周期性信号 e(n),el(n):誤差信号(1≦l≦L) y(n),ym(n):適応信号(1≦m≦M) z(n),zm(n):相殺信号 ω,ωk:角振動数(1≦k≦K) (ω+q),
(ωk+qk):計測値 q,qk:計測誤差 q(n),qk(n):補償値 ωハット,ωkハット:角振動数の推定値 a(n),akm(n):適応信号の振幅 φ,φkm
適応信号の位相 A,Am:伝達特性のゲイン Φ,Φm:伝達特性の位
相遅れ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一つの角振動数ωk(1≦k≦
    K’、K’は自然数)の信号成分を含み観測点に影響を
    及ぼす周期性信号f(n)に対し、該角振動数ωkのう
    ちK個の推定値である推定角振動数ωkハット(1≦k
    ≦K≦K’、Kも自然数)の正弦波信号からなる適応信
    号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えることに
    よって、該周期性信号f(n)の特定成分の該観測点へ
    の影響を能動的に除去し、該観測点で検知される誤差信
    号e(n)を低減する周期性信号の適応制御方法におい
    て、 該角振動数ωkを計測し、計測誤差qkを含んだ計測値
    (ωk+qk)を供給する角振動数計測手段と、 時刻nにおいて、前記推定角振動数ωkハットを角振動
    数とし振幅akおよび位相φkの正弦波信号の少なくとも
    一つ以上が合成されてなる適応信号y(n)を発生させ
    る適応信号発生アルゴリズムと、 該適応信号y(n)の振幅akおよび位相φkを成分とし
    て含む適応係数ベクトルW(n)を、該適応信号y
    (n)が前記観測点に伝達するまでの伝達特性Gの位相
    遅れΦ、前記誤差信号e(n)および前記計測値(ωk
    +qk)に基づいて時刻nの経過毎に更新することによ
    り、前記周期性信号f(n)の各角振動数成分での角振
    動数ωkならびに振幅および位相の変動と該伝達特性G
    の変動とに対して、適応係数ベクトルW(n)の各成分
    を適応的に調整する適応係数ベクトル更新アルゴリズム
    と、 前述の推定角振動数ωkハットの補償値qk(n)を、該
    誤差信号e(n)、該計測値(ωk+qk)、該位相φk
    および該位相遅れΦに基づいて時刻nの経過毎に適応的
    に更新し、それぞれの該推定角振動数ωkハット[すな
    わち計測値(ωk+qk)から補償値qk(n)を差し引
    いた値]の推定精度を適応的に高める角振動数推定アル
    ゴリズムとを有し、 更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分である該
    振幅akおよび該位相φkと該推定角振動数ωkハットと
    をもって、該適応信号y(n)の各正弦波信号の該推定
    角振動数ωkハットならびに該振幅akおよび該位相φk
    が更新されることを特徴とする周期性信号の適応制御方
    法。
  2. 【請求項2】前記角振動数計測手段は、前記周期性信号
    f(n)の発生源から所定の位相時に発せられるパルス
    信号の時間間隔を計測する周期センサ、または所定時間
    内の該パルス信号の数を計測するパルスカウンタであ
    る、 請求項1記載の周期性信号の適応制御方法。
  3. 【請求項3】前記周期性信号f(n)のうち最も主要な
    振動(角振動数ω)を制御する一入力一出力型の周期性
    信号の適応制御方法であり、 前記適応係数ベクトル更新アルゴリズムおよび前記角振
    動数推定アルゴリズムとはまとめて数1で表記され、 適応信号発生アルゴリズムは数2で表記される、 請求項1記載の周期性信号の適応制御方法。 【数1】 【数2】
  4. 【請求項4】前記周期性信号f(n)の影響が及ぶ少な
    くとも一つの上記観測点からL個の前記誤差信号e
    l(n)(1≦l≦L、Lは自然数)が入力として得ら
    れ、M個の前記適応信号ym(n)(1≦m≦M、Mは
    自然数)を出力する多入力多出力型の周期性信号の適応
    制御方法であり、 前記適応係数ベクトル更新アルゴリズムは数3で表記さ
    れ、 前記角振動数推定アルゴリズムは数4および数5のうち
    いずれかで表記され、 適応信号発生アルゴリズムは数6で表記される、 請求項1記載の周期性信号の適応制御方法。 【数3】 【数4】 【数5】 【数6】
  5. 【請求項5】前記振幅ak(またはakm)および前記位
    相φk(またはφkm)ならびに前記伝達特性Gの推定値
    である推定ゲインAハットおよび推定位相遅れΦハット
    のうち少なくとも一種類の値が、前記角振動数ωkの変
    動範囲内で該角振動数ωkの区画毎に記憶されているテ
    ーブルデータを有する、 請求項1〜4のうちいずれかに記載の周期性信号の適応
    制御方法。
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