JPH07334165A - 車両の振動制御装置および振動制御方法 - Google Patents

車両の振動制御装置および振動制御方法

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JPH07334165A
JPH07334165A JP6123716A JP12371694A JPH07334165A JP H07334165 A JPH07334165 A JP H07334165A JP 6123716 A JP6123716 A JP 6123716A JP 12371694 A JP12371694 A JP 12371694A JP H07334165 A JPH07334165 A JP H07334165A
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vibration
vehicle
equation
control
frequency
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Hiroshi Uchida
博志 内田
Norihiko Nakao
憲彦 中尾
Masato Hirokawa
正人 廣川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フィルタ処理における計算量を大幅に軽減で
きた車両の振動制御装置及び方法を提案する。 【構成】 車両振動を低減するための制御振動をスピー
カから発生し、車両振動を示す振動信号をマイクにより
検出することにより、周期的な車両振動を低減する車両
の振動制御方法において、エンジンの基本振動数ωを検
出し、検出された基本振動数の高調波成分(ω,2ω…
Nω)のフーリエ級数に基づいて、車両振動を低減する
ための制御振動をスピーカから発生し、このスピーカと
前記マイクの周波数伝達関数(hcn,hsn)とに基づい
て、各高調波成分についての前記フーリエ級数の振幅成
分(fcn,fsn)を更新することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に設置され、例え
ばエンジンのような振動源から発生された周期的な振動
を低減制御させる車両の振動制御装置及び方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アクティブに車両振動や騒音を低減させ
る技術に、例えば、GB2201858Aや特開平3−
274897号や特表平1−501344号、さらには
特開平5−232969号の手法がある。 〈GB2201858A〉この従来技術は、フィルタ処
理の中に最小二乗法(Least Mean Square)を用いること
から、Filtered-x LMS法と呼ばれる。この手法の概略ブ
ロック図を図1に示す。同図において、能動的に騒音を
消すために、2つのスピーカから制御音を発生し、残留
騒音を3つのマイクで拾い、この残留雑音を2つのフィ
ルタを有するコントローラにフィードバックして、さら
に騒音を消すというものである。図中、フィルタ1は残
留騒音信号の振幅を最小化するように自動的に特性を変
える適応フィルタであり、フィルタ2はスピーカ・マイ
クロホン間の音響伝達特性と同じ特性を持つフィルタで
ある。騒音の逆位相信号すなわち制御信号は、エンジン
などの騒音源信号(例えば騒音のもとになる振動の波形
信号)を前述の両フィルタでフィルタリング処理するこ
とによって生成される。
【0003】フィルタ2は基準信号発生器からの信号を
フィルタ処理する。フィルタ1は、フィルタ2の出力信
号と残留騒音信号との積を入力し、その平均パワーが最
小になるようにフィルタ特性を変えていく。フィルタ1
は、スピーカ1つに対して1つ用意され、図1の例では
2つのフィルタが必要である。また、フィルタ2はスピ
ーカ・マイクロホン間の音響伝達特性と同じ特性を持つ
フィルタであるので、2つのスピーカと3つのマイクと
からなるシステムでは、6つのフィルタ2が必要とな
る。
【0004】LMS法は汎用性に富むなどの長所を有す
る反面、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの
現状の計算能力を超えた多くの計算を伴う場合が多いと
いう問題点を残している。特に車室内エンジン騒音制御
のように、複数のスピーカとマイクロホンとを用いて広
い空間範囲で騒音を低減しなければならない場合や、複
数の周波数成分を同時に制御しなければならない場合に
は、フィルタリング処理の計算量が増大し、単一のDS
P(digital signal processor)で制御を行うことが困難
になる。
【0005】〈特開平3−274897号〉特開平3−
274897号に開示された手法(便宜上「エラースキ
ャニング法」と呼ぶ)は上記LMS法の計算量を低減す
るために提案された。前述のLMS法では、毎サンプリ
ング毎に、乗算器における6つの残留雑音信号の乗算
と、6つの乗算結果信号を入力してフィルタ1において
行なわれるパラメータの更新処理とが行なわれることに
なるので、演算量が多かったものである。
【0006】一方、エラースキャニング法が適用される
システムは、LMS法が適用されるシステムと実質的に
同じであるが、1サンプリング時間毎に行なわれるフィ
ルタ処理が1つに限定される点において相異がある。即
ち、エラースキャニング法に於ては、2つのフィルタ1
と6つのフィルタ2とが用意され、あるサンプリング時
点では、3つのマイクからの信号のうちの1つだけを選
択し、その選択されたマイク信号と、6つのフィルタ2
のうちの選択された1つのフィルタ2からの出力との積
をフィルタ1に出力するものである。次のサンプリング
時点では、次のマイク信号と次のフィルタ2を選択す
る。即ち、マイク信号(エラー信号)とフィルタ2を順
にスキャニングすることから、「エラースキャニング
法」と呼ばれる。
【0007】このように、エラースキャニング法では、
各サンプリング時点では1つのマイクからの信号を処理
するということのために、フィルタ1における騒音低減
のための制御の収束が遅れることになるものの、フィル
タ1におけるパラメータの更新のための処理量が減ると
いう利点はある。しかしながら、ここのフィルタ1にお
ける演算は、実質的にLMS法と変わりはないので、期
待したほどには演算量の低減を達成することはできてい
ない。
【0008】〈特表平1−501344号〉上記3つの
手法は、デジタルフィルタを用いて、時間順に入力され
たエラー信号を時間領域においてフィルタ処理するとい
うものであった。これは、マイクが検出した誤差信号の
中で、制御上問題となるのは高調波成分であるので、こ
の高調波成分を取り出すために、図2に示すように、フ
ーリエ変換を行なう。即ち、特表平1−501344号
の手法は、前述のLMSの手法を周波数領域で行なうと
いうものである。そのために、図2に示すように、誤差
センサ(マイク)からの誤差信号をフーリエ変換して適
応型フィルタ処理を行ない、高調波成分を取り出し、さ
らに逆フーリエ変換してから第2音源(即ちスピーカ)
へ出力するというものである。
【0009】特表平1−501344号の手法を以下に
説明する。騒音信号の周波数領域における1つの高調波
について、或る順番の誤差信号の複素数値は次式で与え
られる。
【0010】
【数1】
【0011】但し、Alはアクティブ制御されないとき
のElの値であり、wmは第m番目の二次音源の複素振
幅、Clmは第l番目のセンサとm番目音源との間の複素
伝達関数である。数式表示すれば、
【0012】
【数2】
【0013】となる。ここで、
【0014】
【数3】
【0015】である。この場合のコスト関数を、J=E
HEと書くことができ、Hはベクトルまたはマトリクス
の複素共役転置を表すとすると、
【0016】
【数4】
【0017】従って、
【0018】
【数5】
【0019】となり、最急降下アルゴリズムは、
【0020】
【数6】
【0021】と記述される。ここで、WkとEkとは、夫
々、第k番目の反復におけるフィルタ特性と誤差出力で
ある。誤差信号eに対して作用するフーリエ変換演算を
一回行うことによってIm(ω0) におけるeの2次形
式の周波数成分を得ることを図3に示し、この際に、積
分回路(図中、Iで示す)と乗算回路(図中、Xで示
す)が使用される。
【0022】このように、特表平1−501344号に
おいては、フィルタ演算を行なうために、フーリエ変換
した信号に適応型処理を行ない、処理された信号のうち
のセンサにおける各高調波の複素係数に対して逆フーリ
エ変換を行なってスピーカへの出力信号としている。一
般に、フーリエ変換は結果を数回平均しなければ信頼で
きる結果が得られないので、特表平1−501344号
では、図3に示すように、積分回路を必要とすることと
なる。
【0023】しかしながら、積分回路を設けて平均化処
理を行なうことは制御に応答性の劣化が現われ、従って
応答性が要求される加速時等においては良好な追従性が
得られないことがある。 〈特開平5−232969号〉特表平1−501344
号における応答性の劣化の問題を解消するために、本出
願人は、特開平5−232969等で、演算量を大幅に
減らした新しい振動低減方法を提案した。この特開平5
−232969号の手法を以下に説明する。
【0024】先ず、簡単のために、図4に示すように、
騒音に対する逆位相音即ち制御音を1つのスピーカから
発し、その結果として残留する騒音を1つのマイクで観
測する1入力1出力系を考える。制御信号をu、残留騒
音信号をe、このeに含まれる元の騒音に起因する成分
をdとし、これら3者の関係は次の式で表される。
【0025】
【数7】
【0026】ここで、g(t)はスピーカ・マイク間イ
ンパルス応答関数、h(t)はg(t)から次の式8に
より求められる周期関数である。
【0027】
【数8】
【0028】この方法の特徴は、制御信号u、残留騒音
信号e、dのいずれもが周期Tの時間関数であると仮定
したことである。式1の右辺第2項を十分小さな時間幅
Δtで離散化してベクトル表現で表すと、式7は次の式
9によって与えられる。
【0029】
【数9】
【0030】但し、
【0031】
【数10】
【0032】であって、Nは (T/Δt)−1≦N<T/Δt を満足する整数である。式9では、制御信号変数uはす
でに時間の関数として扱われなくなっているので、uの
最適化を行なうことができる。最適化として最急降下法
を適用し、評価関数 J(u)=E[e2(t)](Eは期待値記号) を最小化するuを最適なuとする。Jをuで微分するこ
とにより、誤差信号eのパワーが最小となるようにuを
決定する。ここで、前述の特表平1−501344号で
は、評価関数(コスト関数)の最急勾配方向ベクトルの
平均値を用いているのに対し、この特開平5−2329
69号では、 M[dJ/du]T と表された推定瞬時値を用いることを特徴とする。この
瞬時値を最急勾配ベクトルの代わりとして用いながらΔ
tごとに制御信号uを更新することにすれば、uの最適
値は次の式11の漸化式を反復計算することにより得ら
れる。
【0033】
【数11】
【0034】ただし、μは周期T,時間幅Δt,ステッ
プ幅などにより決まる定係数である。この特開平5−2
32969の動作原理を図4に示す。図4において、同
じ周期Tを有する周期関数であるu,hを「リング」で
表した。式11によると、マイクが検出した信号eに−
μが乗ぜられ、−μeにhが乗ぜられて制御信号uが生
成される。式5の漸化式表現は図4においては、uとh
の「リング」上を回転することにより模されている。
【0035】具体的には、Δtをサンプリング周期とし
て、先ず、 u(0),u(Δt),u(2Δt),… の順で、制御信号uの各要素を周期的に出力する。図4
において、この順次の出力を「リング」上の回転として
模してある。次に、11式に従ってu1を演算し、 u1(0),u1(Δt),u1(2Δt),… を順に出力する。制御信号uを式11に従って反復的に
更新し出力することにより、騒音が低減されてゆく。こ
のとき騒音の周波数成分のうち、基本周期Tの成分、言
い換えれば周波数1/Tの全高調波成分が同時に低減さ
れる。このような騒音の低減はエンジン騒音の制御には
適している。また、この特開平5−232969号で
は、畳み込み計算を全く用いず、殆ど式11のみの計算
で制御を行うために、計算量が少なく、DSPを利用し
た実用的なシステムを容易に実現できるという利点もあ
る。
【0036】制御信号u(t)の周期T、言い換えれば
制御信号ベクトルuの要素数は、制御対象とする次数成
分の種類とエンジン回転数とに基づいて調整する必要が
ある。この特開平5−232969における制御信号の
周期調整方法について説明する。制御対象の次数との関
係では、例えば4気筒エンジンの場合、0.5次,1次,
2次の全高調波成分を制御対象とするには、夫々Tをエ
ンジン回転周期の2倍,1倍,0.5倍に一致させなけれ
ばならない。しかしながら、エンジン回転周期は変動す
る。そこで、補間法などを用いてuのデータ波形が相似
形を維持するように要素数Nを変更するか、あるいは単
にサンプリング周期Δtを変化させる。周期を変更させ
るのが図4においては周期調整器である。
【0037】図6は要素数Nを変更する方法を模式的に
説明する。即ち、図6は、要素数Nを変更する簡単な例
として、6個の要素からなる旧制御信号データ(即ち、
T=6Δt側)を8個の要素からなる新制御信号データ
(即ち、T=8Δt’側)に変換した場合を説明したも
のである。図中、黒小丸は実際にuに格納されている6
個のデータの値を、黒小三角は1次補間により求められ
た値を示す。即ち、T=8Δt’側において、番号2の
データは、番号1のデータからΔt’の位置に於て、T
=6Δt側の番号1と番号2のデータの線形補間により
計算される。この補間方法によれば信号波形の概略形状
を維持したまま信号周期を変更できる。この方法を用い
る場合の制御の安定性等については、自動車エンジン程
度の周期変動率の下であれば、μの値を適当に調整する
ことのみによって制御信号uの安定かつ良好な収束を確
保できる。
【0038】図4〜図6に示された特開平5−2329
69の手法を用いて広い空間範囲にわたって騒音低域効
果を発揮する振動制御システムを構築するには、図7に
示すように、複数のスピーカとマイクロホンを音響空間
内に配置する必要がある。L個のスピーカとM個のマイ
クロホンを含む多入出力系における第mマイクロホンの
出力信号、即ち、第mマイクが拾った残留騒音信号em
は、式9を拡張して得られる式12で表される。
【0039】
【数12】
【0040】ここで、mは1,2,3…Mの整数で、u
lは第l番目のスピーカに入力される信号レベルであ
り、hlmは第l番目のスピーカと第m番目のマイクとの
間でのインパルス応答関数glmから式2の同じようにし
て求められる周期関数の離散値からなるベクトルであ
る。従って最小化すべき評価関数を式13のように、
【0041】
【数13】
【0042】定めれば、制御信号ベクトルulkは、漸化
式表現により表される式14のアルゴリズムで最適化、
即ちJを最小化することができる。
【0043】
【数14】
【0044】式14の制御信号ベクトルulkは、第l番
目のスピーカに対するk番目のサンプリング時点での入
力信号を表す。式14のアルゴリズムでは、毎回のサン
プリング時点で全てのマイクロホン信号を用いて制御信
号ベクトルの更新を行うが、この代わりに、図7に示す
ように、1サンプリング時点で1つのマイクからの情報
のみを用いる式15を用いても統計的にほぼ等価な効果
が得られる。
【0045】
【数15】
【0046】ただし、m(k)は1,2,…,Mの各々
の出現確率が等しくなるような任意の整数系列である。
特開平5−232969の手法に前述のエラースキャニ
ング法(特開平3−274897号)を適用した場合の
計算量は、式15から明らかなように、マイクロホンを
複数個用いる場合でもマイクロホン1個の場合と等しく
なり、大幅に低減される。これに対してLMS方式で
は、エラースキャニング法を適用した場合でも、図1中
のフィルタ1の特性変更計算が軽減されるだけで、計算
量の大半を占めるフィルタリング処理には全く影響がな
いため、アルゴリズム全体への計算量低減効果は本手法
の場合ほど大きくない。
【0047】図8に、特開平5−232969の手法と
LMSの1サンプリングあたりの計算量を比較した結果
を示す。表中、Nadd,Nmulはそれぞれ加減算と乗算の
回数を、Ninsは代表的DSPの一種であるTMS32
0C30で計算を行なった場合の命令サイクル数を示
す。比較の条件として、いずれの手法もES法を低起用
した場合の主要計算部分のみを考え、本手法ではuの要
素数を50(エンジン回転数1200rpm,サンプリ
ング周期1msのときのエンジン回転1周期分に相当す
る)とし、LMSではすべてのフィルタのタップ長を1
28(サンプリング周期1msで500Hz以下の車室
内スピーカ・マイクロホン間インパルス応答波形を表現
するには、最低限この程度のタップ長が必要である)と
した。また本手法におけるuのデータ長調整法として
は、前述の1次補間法による方法を用いた。表より、本
手法は、演算回数でLMSの14〜30%、寿命サイク
ル数で約30〜50%の計算量で済むことがわかる。
【0048】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、本出
願人による特開平5−232969の手法は、誤差信号
eを最小化するのに、M[dJ/du]Tと表された推
定瞬時値を用いているために、過去のデータを参照する
必要性がなくなり、喩えマイクが複数を擁するシステム
であっても1つのマイクのシステムと同じになる故に、
特表平1−501344号の手法よりも計算量において
も低減され、制御の応答性は向上している。
【0049】しかしながら、それでも実際の加速時にお
いては、特開平5−232969の手法によっても騒音
低減に応答性の悪い場合がある。これは、式9において
は、フィルタ演算において更新される必要のあるパラメ
ータの数が多数に昇り、まだまだ演算に時間がかかって
いることにある。さらに、図6に関連して説明したよう
に、騒音周期Tの変動に伴う制御の変更を線形補間を用
いていたが、補間後の周期性の形状が実際とは離れてし
まい、これも加速時の応答性の劣化の原因となるのであ
る。
【0050】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の目的
は、フィルタ処理における計算量を大幅に軽減できた車
両の振動制御装置及び方法を提案する。上記課題を達成
するための本発明の構成は、周期的な車両振動を低減す
る車両の振動制御装置において、前記車両振動の基本振
動数を検出する検出手段と、検出された基本振動数の高
調波成分のフーリエ級数に基づいて、車両振動を低減す
るための制御振動を発生するための制御信号を発生する
発生手段と、この制御信号に基づいて振動を発生するア
クチュエータ手段と、車両振動を示す振動信号を検出す
るためのセンサ手段と、検出された振動信号と、前記ア
クチュエータ手段と前記センサ手段間の周波数伝達関数
とに基づいて、各高調波成分についての前記フーリエ級
数の振幅成分を更新する更新手段とを備えたことを特徴
とする。
【0051】同課題を達成するための本発明の他の構成
は、車両振動を低減するための制御振動をアクチュエー
タ手段から発生し、車両振動を示す振動信号をセンサ手
段により検出することにより、周期的な車両振動を低減
する車両の振動制御方法において、前記車両振動の基本
振動数を検出し、検出された基本振動数の高調波成分の
フーリエ級数に基づいて、車両振動を低減するための制
御振動を前記アクチュエータ手段から発生し、前記アク
チュエータ手段と前記センサ手段間の周波数伝達関数と
に基づいて、各高調波成分についての前記フーリエ級数
の振幅成分を更新することを特徴とする。
【0052】
【作用】前記制御振動は、検出された基本振動数の高調
波成分のフーリエ級数に基づいて決定される。振動抑制
の精度はフーリエ級数の次数に左右されるが、このフー
リエ級数の振幅成分は、時間に依存する成分(Ci
i)と位相成分(fci,f si)という4つの成分のみ
となり、必要次数をNとすれば、振動低減のために必要
なパラメータの数は4N個となる。
【0053】
【実施例】以下、本発明の実施例について添付図面を参
照しながら詳細に説明する。 〈原理〉図9は、実施例の原理を説明するために、1ス
ピーカ、1マイクのシステムのブロック図である。変数
名u,d,g,eなどは図2のシステムと同じである。
即ち、騒音dを打ち消すための制御変数uがスピーカか
ら発生された場合に、その変数uはマイクによって応答
g(即ち、スピーカ・マイク間インパルス応答関数)と
して認識され残留騒音(誤差騒音)eとして検出され
る。この誤差信号eはコントローラに入力され、以下の
手法によりコントローラは制御変数uを計算する。
【0054】先ず、u,d,eが全て周期Tの時間関数
であるとすると、eは
【0055】
【数16】
【0056】で表される。応答gが周期Tの関数であれ
ば、次のようなgの級数h(t)を導入することによ
り、
【0057】
【数17】
【0058】式16は、
【0059】
【数18】
【0060】と変形することができる。本実施例の大き
な特徴は、制御変数uと応答関数hとを次のようにフー
リエ級数で表すことにある。即ち、
【0061】
【数19】
【0062】
【数20】
【0063】である。式19,20を導入することによ
り、u,hを求めることは未知数ai,ψi,bj,φj
求めることに帰結する。式20は、周波数伝達関数hが
ωによって表されている。換言すれば、式20を定義す
ることによって、そのときのエンジン回転の周波数に対
応する伝達関数の成分を用いてフィルタ演算における逐
次演算を行なうことが可能となる。
【0064】式19,20を式18に代入すると、
【0065】
【数21】
【0066】
【数22】
【0067】ここで、ω1,ω2,…,ωNは全て2π/
Tの整数倍であるから、上式の第1項と第2項は0とな
り、次の式23が得られる。
【0068】
【数23】
【0069】23式において、
【0070】
【数24】
【0071】
【数25】
【0072】
【数26】
【0073】
【数27】
【0074】
【数28】
【0075】
【数29】
【0076】である。fci,fsiは制御変数uの振幅a
iの位相成分と考えることができ、fc i,fsiは応答関
数hの振幅biの位相成分と考えることができる。式2
3を行列表現、ベクトル表現、複素数表現を用いて書き
改めると、
【0077】
【数30】
【0078】となる。ここで、行列x,ベクトルh,ベ
クトルfは、
【0079】
【数31】
【0080】
【数32】
【0081】
【数33】
【0082】である。4N個の未知数、ai(i=1〜
N),ψi(i=1〜N),bi(i=1〜N),φ
i(i=1〜N)を求めることは、式30に最急降下法
を適用して、4N個の未知数fci(i=1〜N),fsi
(i=1〜N),hci(i=1〜N),hsi(i=1〜
N)を求めることに帰結する。式30において、Re
(行列X・ベクトルf)は制御信号uを表す。従って、
1スピーカ1マイク系では、ある時刻kにおける制御信
号出力ukは、その時刻kにおける式26,式27で定
義した適応パラメータfci,fsiを用いて、
【0083】
【数34】
【0084】となる。後にさらに詳しく説明する、制御
手順では、時刻kに於て生成した制御信号ukをスピー
カから出力し、同時にマイクから入力した残留騒音信号
kに基づいて、次の時刻k+1における適応パラメー
タfci,fsiを決定する。
【0085】
【数35】
【0086】式35は、誤差信号のパワーが最小になる
ように前述の最急降下法を用いて得た。式35におい
て、周波数伝達関数hc,hsを含む行列は式28,29
によって演算される。また、Cn,Snを含むベクトルは
式24,25によって決定される。従って、式35に基
づいて時刻kにおける適応パラメータfci,fsiから時
刻k+1における適応パラメータfci,fsiが決定され
る。
【0087】〈L×Mシステムへの拡張〉以上は、1ス
ピーカ、1マイクからなるシステムにおける手法の説明
である。この手法を、図5に示されたようなL個のスピ
ーカとM個のマイクからなるシステムに拡張すると、式
30の代わりに、
【0088】
【数36】
【0089】が得られる。ここで、ベクトルe,ベクト
ルdは夫々、M個のマイクが検出したM個の残留騒音
e、M個の外部雑音dであり、
【0090】
【数37】
【0091】
【数38】
【0092】また、ベクトルhiをk番目のスピーカに
与えられる応答関数hkの振幅bについての式32に対
応するベクトルとすると、即ち、
【0093】
【数39】
【0094】となり、さらにベクトルfiをk番目のス
ピーカに与えられる制御変数ukの振幅aについての式
33に対応するベクトルとすると、即ち、
【0095】
【数40】
【0096】となる。従って、式36において、行列H
は、
【0097】
【数41】
【0098】である。ここで、行列H中の要素であるベ
クトルhは、1スピーカ1マイク系で得られた式32の
ベクトルhを拡張したもので、例えばベクトルh11は、
1番目マイクと1番目のスピーカとの間のその瞬間での
伝達特性である。また、行列Xは、
【0099】
【数42】
【0100】となり、ベクトルハットfは、
【0101】
【数43】
【0102】となる。1スピーカ1マイクのシステムを
Lスピーカ、Mマイクのシステムの特種形態と考えれ
ば、式36〜式43が一般的な騒音低減システムを表す
こととなる。そこで、評価関数
【0103】
【数44】
【0104】を最小化すべく、式43に対して最急降下
法を適用する。即ち、各マイクで検出される騒音の平均
パワーが最小になるようにする。但し、勾配ベクトルと
して、その真の値を用いず瞬時推定値を用いる。する
と、
【0105】
【数45】
【0106】であるから、
【0107】
【数46】
【0108】が得られる。尚、*は共役の転置を表す。
従って、ベクトルハットfを最適化するためには、
【0109】
【数47】
【0110】であればよい。尚、式36において、行列
H(または2/T・H)は、スピーカ/マイク間の伝達
特性と考えることができる。従って制御uは、
【0111】
【数48】
【0112】となる。また、マイクで検出される制御音
yを、
【0113】
【数49】
【0114】と定義すれば、
【0115】
【数50】
【0116】と表すことができる。 〈システムの構成〉図10,図11は、本発明を車両に
適用した場合の騒音低減システムの構成を示す。この実
施例のシステムは、4スピーカ(20a〜20d)と4
マイク(30a〜30d)の構成からなる。騒音の基本
周期Tを検出するために、エンジン11の回転周期を検
出する点火コイル10からの信号IGを用いる。図10の
コントローラ100の詳細な構成を図11に示す。図1
1において、信号IGは波形成形器によって波形成形さ
れ、DSP102によって取り込まれる。4つのマイク
からの信号eはA/D変換されてDSP102が取り込
む。また、DSP102は、スピーカ出力信号uをDA
変換してスピーカから出力する。
【0117】〈制御手順〉1スピーカ、1マイクシステム(=1×1システム) 図12は、説明の簡略化上、1スピーカと1マイクを用
いたときのDSP102における制御手順を示す。そこ
で、ステップS2では、波形成形器101を介して点火
時期信号IGを入力し、ステップS4で、点火時期信号IG
に基づいて騒音の基本周波数ωを演算する。ここで、 ω=2π/T である。ステップS6では制御出力信号の位相角θk
次式に従って決定する。
【0118】
【数51】
【0119】位相角θkは式19,20における位相角
に相当するもので、φ等が未知故にθkで置き換えたも
のである。また、引き数kは時刻を表す。時刻の原点を
イグニッションキーが投入されたときに取れば、時刻k
=0においてθ0=0である。また、本発明では制御変
数uや伝達関数が周期性を有していることを前提にして
いるので、θkの範囲を、 −π≦θk<π とした。従って、時刻k=1においては、θ1=ωΔt
である。
【0120】ステップS8では、逐次的に、式24,2
5で定義されたパラメータCn+1,Sn+1を決定する。パ
ラメータCn+1,Sn+1のnは高調波の次数を表す。エン
ジンからの騒音を制御することを目的とする場合には、
5次の高長波を制御すれば十分である。パラメータC
n+1,Sn+1は、式23から明らかなように、一般的に次
の漸化式によって決定される。
【0121】
【数52】
【0122】時刻k=1では、式24,25から明らか
に、1次の高調波についてのパラメータに対しては、
【0123】
【数53】
【0124】が得られ、二次については、
【0125】
【数54】
【0126】を解くことによって得られる。二次のパラ
メータC,Sが得られれば、順にN次までのパラメータ
が得られる。式26,27によって定義されたN次まで
のパラメータを、fc1,fs1,fc2,fs2,…,fcN
sNと表記し、そのパラメータの初期値(即ち、時刻k
=1における)fc1,fs1,fc2,fs2,…,fcN,f
sNが与えられていれば、n=1〜Nについての、Cn
nはステップS8で求められているから、時刻k=1
における制御変数出力u1は式34によって与えられ
る。即ち、ステップS10で、
【0127】
【数55】
【0128】である。ステップS12ではこのようにし
て決定されたu1をスピーカに入力する。そして、ステ
ップS14では、マイクから信号ek(即ちe1)を入力
する。ステップS16では、基本周波数オメガに対応す
る周波数伝達関数hcn,hsnをメモリから読み出す。ス
テップS18では、式35に従って、次の時刻k+1に
おける(即ち、時刻k=2における)、1次からN次
(n=1〜N)までの適応パラメータfc1,fs1
c2,fs2,…,fcN,fsNを決定する。式35におい
て、k=1におけるfc1,fs1,fc2,fs2,…,
cN,fsNは与えられている。また、k=1における、
n=1〜NについてのCn,Snも既にステップS8にお
いて求められているから、周波数伝達関数hさえ求める
ことができれば、時刻k=2のための、1次からN次
(n=1〜N)までの適応パラメータfc1,fs1
c2,fs2,…,fcN,fsNを決定することができる。
【0129】ステップS16の周波数伝達関数hcn,h
snについて説明する。スピーカマイク間の、ある周波数
ωに対する周波数伝達関数をH(ω)と表せば、この伝
達関数H(ω)を前もって測定することが可能である。
そして、この伝達関数を、フーリエ変換することにより
その高調波成分H(2ω),H(3ω)…H(Nω)を
求めることができる。そして、このような各高調波成分
に対する実数部分と虚数部分を、hc,hsと表記すれ
ば、
【0130】
【数56】
【0131】とおくことにより、各高調波に対する
cn,hsn(n=1〜N)を前もってコントローラ内の
メモリに記憶しておくことができる。このようにして、
式35によって、時刻k=2のための、適応パラメータ
fを決定することができる。時刻k=2になれば、ステ
ップS2,S4において、騒音の基本周波数ωが求めら
れる。そして、制御出力uの位相角θ2が決定され、ス
テップS8で、1次からN次までのパラメータCn,Sn
が決定され、ステップS12で制御出力u2が決定さ
れ、ステップS14でu2が出力され、ステップS16
でマイクから騒音信号e2が出力され、ステップS18
で式35に従って時刻k=3のための適応パラメータf
が決定される。
【0132】一般的に、時刻k−1の制御サイクルの終
了時点で、式35にしたがって時刻kの制御サイクルの
ための適応パラメータfkが決定されるから、時刻kの
時点の制御サイクルでは、ステップS2,S4におい
て、騒音の基本周波数ωが求められる。そして、制御出
力ukの位相角θkが決定され、ステップS8で、1次か
らN次までのパラメータCnk,Snkが決定され、ステッ
プS12で制御出力ukが式34に従って決定され、ス
テップS14でukが出力され、ステップS16でマイ
クから騒音信号ekが出力され、ステップS18で式3
5に従って時刻k+1のための適応パラメータfk+1
決定される。
【0133】このようにして、逐次的に、その時刻に適
したパラメータに従って決定された制御信号uがスピー
カから出力され、その結果がマイク信号eによってモニ
タされ、その結果はパラメータfの更新に反映される。
以上説明した本実施例の方法の最大の特徴は、式19,
20を導入したことにより、フィルタ演算処理において
更新されるパラメータの数が大幅に減したことにある。
即ち、エンジン騒音においては5次の高調波成分まで求
めれば足りるとされているが、前述の特開平5−232
969号の手法では例えば5次の高調波成分まで求めよ
うとした場合には50個程度の適応パラメータの更新演
算がを必要であったが、本手法を用いれば、fc1
s1,fc2,fs2,…,fc5,fs5とC1,S1,C2
2,…,C5,S5の合計20個のパラメータの更新演
算で足りることである。パラメータ数が低減されても、
収束速度が向上するために、結果的には、騒音低減の精
度は劣化しない。従って、加速時などの過渡期において
も追随性良く騒音を低減することができる。また、本手
法は、振動の基本周期T(即ち、周波数ω)に変動が有
っても、その変動はステップS8で求められるパラメー
タC1,S1,C2,S2,…,CN,SNに反映される。換
言すれば、エンジン回転数が急激に変化する、即ち振動
の基本周期が急激に変化する加速時においても、図5,
図6に示したような制御出力uの線形補間(この補間は
精度の低い)が不要となり、結果的に加速時の振動低減
が向上する。
【0134】なお、DSP内の不図示のメモリに記憶さ
れている周波数伝達関数hcn,hsnについて補足する。
この周波数伝達関数hcn,hsnは、前もって、所定の基
本周波数毎に設定されている。その基本周波数をω0
すれば、
【0135】
【数57】
【0136】となる。しかし、ステップS4で検出され
た周波数ωがメモリに記憶されている周波数と必ずしも
一致するとは限らない。メモリ内に、例えば、ω0,ω1
について記憶されていて、エンジンの周波数ω’(ω0
<ω’<ω1)であった場合には、ω0について記憶され
ているhcn,hsnと、ω1について記憶されている
cn,hsnとに基づいて線形補間を適用して、ω’につ
いてのhcn,hsnを求める。
【0137】L個のスピーカ、M個のマイクのシステム
(=L×Mシステム) L個のスピーカから制御信号1u,2u,…,Luを出力
し、M個のマイクから残留騒音em(k)を入力するシステ
ムに、前述の1×1の手法を拡張的に適用する。図13
にL×Mシステムの制御手順を示す。ステップS22〜
ステップS28は、1×1システムの制御手順と同じで
ある。ステップS30では、式48に基づいて制御出力
uを決定する。式48を、L×M系の適応パラメータ1
c11s12c12s1,…,Lc1Ls1を用い
て変形すると、l番目(l=1〜L)のスピーカからの
制御出力luは、
【0138】
【数58】
【0139】となる。ここで、Cn,Snは1×1システ
ムのそれと同じである。また、1c11s12c12
s1,…,Lc1Ls1の演算については後述する。ス
テップS32では、DSP102は、L個のスピーカに
制御出力lu(l=1〜L)を同時にあるいは順に出力
する。ステップS34ではM個のマイクから順に、騒音
信号em(k)を入力する。但し、m(k)は時刻kにおけ
る整数列で、1,2,…,Mである。ステップS36で
は、基本周波数ωについての周波数伝達関数
1m(k)c11m(k)s11m(k)cN1m(k)sN2m(k)
c12m(k)s1 2m(k)cN2m(k)sN,…,Lm(k)
c1Lm(k)s1Lm(k)cNLm(k)sNをメモリから読
み込む。
【0140】1番目のスピーカとm(k)番目のマイク
との間についての、1次からN次までの周波数伝達関数
hは、
【0141】
【数59】
【0142】に良って、また、2番目のスピーカとm
(k)番目のマイクとの間についての周波数伝達関数h
は、
【0143】
【数60】
【0144】によって、同様にして、L番目のスピーカ
とm(k)番目のマイクとの間についての周波数伝達関
数hは、
【0145】
【数61】
【0146】によって前もって決めておくことができ
る。ステップS38では、これらの周波数伝達関数hを
用いて、時刻k+1のための適応パラメータlcls
を式47に基づいて求める。式47は周波数伝達関数を
用いて、
【0147】
【数62】
【0148】但し、n=1〜N、l=1〜Lである。 〈従来例との比較〉本実施例の演算を、従来のLMS法
と特開平5−232969号の手法とを比較し、定性的
比較を図14に、定量的比較を図15に示した。なお、
エンジン回転数を1200rpm、サンプリング周波数
1kHz、1〜5時の全次数成分を演算した。
【0149】〈他の実施例〉上記実施例では、1×1系
により、また、L×M系により、エンジン騒音を低減す
るシステムを説明したが、本発明は、エンジン騒音に限
られず、例えば排気音の低減、さらには、車両振動の低
減にも適用できる。図16に、本発明を、振動低減のた
めのアクティブエンジンマウントに適用した例を示す。
このマウント50は、エンジン40と車体間に作用する
力を発生するためのアクチュエータを内蔵しており、加
速度センサ60で検出された車体フロア振動のパワーが
最小になるようにアクチュエータが制御される。これに
より、アイドル振動や加速時の振動など、乗員にとって
不快な車体振動が抑制される。
【0150】
【発明の効果】以上説明した本発明において、振動を抑
制するためにアクチュエータ手段(例えばスピーカ)か
ら発生される制御振動は、検出された基本振動数ω(例
えばエンジン回転数)の高調波成分のフーリエ級数に基
づいて決定される。振動抑制の精度はフーリエ級数の次
数に左右されるが、このフーリエ級数の振幅成分は、時
間に依存する成分(Ci,Si)と位相成分(fci
si)という4つの成分のみとなり、必要次数をNとす
れば、振動低減のために必要なパラメータの数は4N個
となる。
【0151】一方、特開平5−232969号において
は、図6に示すように、制御振動u、周波数伝達関数と
もに、必要なデータ数はT/Δt(=50個前後)だけ
必要であった。本発明の振動制御装置若しくは振動制御
方法では、大幅に演算量を低減することができ、その結
果、振動制御が速やかに収束することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のLMS法を適用した騒音低減システムの
構成を示すブロック図。
【図2】従来のLMS法を周波数領域において適用した
騒音低減システムの構成を示すブロック図。
【図3】図2の従来例において積分回路が必要となる理
由を説明する図。
【図4】特開平5−232969号の騒音低減システム
の構成を示すブロック図。
【図5】特開平5−232969号の騒音低減の原理を
説明する図。
【図6】特開平5−232969号における線形補間を
説明する図。
【図7】特開平5−232969号にエラースキャニン
グ法を適用した場合のシステム図。
【図8】特開平5−232969号とLMS法とを比較
した結果を示す図。
【図9】本発明を1×1系に適用した実施例の概略構成
を示した図。
【図10】本発明を4×4系に適用した実施例の構成を
示した図。
【図11】図9の実施例のコントローラ100の構成を
示す図。
【図12】1×1系の制御手順を示すフローチャート。
【図13】L×M系の制御手順を示すフローチャート。
【図14】実施例の騒音低減に必要な演算を従来の手法
と定性的に比較した結果を示す図。
【図15】実施例の騒音低減に必要な演算を従来の手法
と定量的に比較した結果を示す図。
【図16】本発明を騒音低減に適用した実施例のシステ
ムを示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16F 15/02 B 9138−3J G10K 11/16 H03H 21/00 8842−5J

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期的な車両振動を低減する車両の振動
    制御装置において、 前記車両振動の基本振動数を検出する検出手段と、 検出された基本振動数の高調波成分のフーリエ級数に基
    づいて、車両振動を低減するための制御振動を発生する
    ための制御信号を発生する発生手段と、 この制御信号に基づいて振動を発生するアクチュエータ
    手段と、 車両振動を示す振動信号を検出するためのセンサ手段
    と、 検出された振動信号と、前記アクチュエータ手段と前記
    センサ手段間の周波数伝達関数とに基づいて、各高調波
    成分についての前記フーリエ級数の振幅成分を更新する
    更新手段とを備えたことを特徴とする車両の振動制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記検出手段はエンジンの回転を検出
    し、その回転周波数を振動の基本振動数とすることを特
    徴とする請求項1に記載の車両の振動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記更新手段は、前記センサ手段が検出
    した振動信号の平均パワーが最小になるように、各高調
    波成分についての前記フーリエ級数の振幅成分を更新す
    ることを特徴とする請求項1に記載の車両の振動制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記センサ手段は複数の振動検知センサ
    を有し、前記アクチュエータ手段は複数の振動アクチュ
    エータを有し、 前記複数の振動検知センサの1つと前記複数の振動アク
    チュエータの1つを選択する手段とを具備し、 前記更新手段は、1サンプリング期間において、選択さ
    れた1つのセンサと1つのアクチュエータとの間の周波
    数伝達関数に基づいて各高調波成分についての前記フー
    リエ級数の振幅成分を更新することを特徴とする請求項
    1に記載の車両の振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記センサ手段はマイクロフォンであ
    り、前記アクチュエータ手段はスピーカであることを特
    徴とする請求項1に記載の車両の振動制御装置。
  6. 【請求項6】 車両振動を低減するための制御振動をア
    クチュエータ手段から発生し、車両振動を示す振動信号
    をセンサ手段により検出することにより、周期的な車両
    振動を低減する車両の振動制御方法において、 前記車両振動の基本振動数を検出し、 検出された基本振動数の高調波成分のフーリエ級数に基
    づいて、車両振動を低減するための制御振動を前記アク
    チュエータ手段から発生し、 前記アクチュエータ手段と前記センサ手段間の周波数伝
    達関数とに基づいて、各高調波成分についての前記フー
    リエ級数の振幅成分を更新することを特徴とする車両の
    振動制御方法。
  7. 【請求項7】 エンジンの回転周波数を振動の基本振動
    数とすることを特徴とする請求項6に記載の車両の振動
    制御方法。
  8. 【請求項8】 前記更新工程において、前記センサ手段
    が検出した振動信号の平均パワーが最小になるように、
    各高調波成分についての前記フーリエ級数の振幅成分を
    更新することを特徴とする請求項6に記載の車両の振動
    制御方法。
  9. 【請求項9】 前記センサ手段は複数の振動検知センサ
    を有し、前記アクチュエータ手段は複数の振動アクチュ
    エータを有し、 前記複数の振動検知センサの1つと前記複数の振動アク
    チュエータの1つを選択し、 1サンプリング期間において、選択された1つのセンサ
    と1つのアクチュエータとの間の周波数伝達関数に基づ
    いて各高調波成分についての前記フーリエ級数の振幅成
    分を更新することを特徴とする請求項6に記載の車両の
    振動制御方法。
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