JPH10120824A - セルロースエステルフィルム及び液晶表示用部材 - Google Patents

セルロースエステルフィルム及び液晶表示用部材

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JPH10120824A
JPH10120824A JP27234296A JP27234296A JPH10120824A JP H10120824 A JPH10120824 A JP H10120824A JP 27234296 A JP27234296 A JP 27234296A JP 27234296 A JP27234296 A JP 27234296A JP H10120824 A JPH10120824 A JP H10120824A
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weight
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cellulose ester
plasticizer
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JP27234296A
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Isamu Michihashi
勇 道端
Koichi Nagayasu
浩一 永安
Toru Kobayashi
徹 小林
Hitoshi Nara
仁司 奈良
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロースエステルフィルムの更なる寸法安
定性の向上及び高度な耐久性を実現し、高耐久性の液晶
表示用部材を提供する。 【解決手段】 セルロースエステルに対する全可塑剤の
含有量が1重量%以上かつ10重量%以下であり、かつ
凝固点が20℃以下の可塑剤がセルロースエステルに対
して、1重量%以上かつ10重量%以下含有されている
セルロースエステルフィルム及びそれを用いた液晶表示
用部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセルロースエステル
フィルムに係り、詳しくは寸法安定性に優れ、かつ加工
性にも優れたセルロースエステルフィルム及び前記セル
ロースエステルフィルムを用いて作製された液晶表示用
部材に係り、詳しくは耐久性に優れた液晶表示用部材に
関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースエステルフィルムは写真用、
光学用など種々の用途に利用されている。例えば光学用
としての液晶モジュール部材に用いる場合、様々な環境
(温度、湿度条件など)下での耐久性が要求されるが、
そのひとつとしてプラスチックフィルム自体の伸縮が少
ないことが挙げられる。セルロースエステルフィルム
は、この寸法安定性という点において充分なものとはい
いきれなかったが、透明性など要求される他の性能に優
れるため従来広く実用されてきていた。
【0003】本発明者らは、この寸法安定性を達成する
手段として、セルロースエステルフィルムの可塑剤に着
目したものである。
【0004】セルロースエステルフィルムの可塑剤とし
ては、セルロースエステルに含有される可塑剤の内、リ
ン酸エステル系可塑剤の含有量を40重量%以下に規定
した特開平8−29619号があるが、これはセルロー
スエステルフィルム自身の高温高湿下での耐久性向上を
主目的とするもので、セルロースエステルフィルムの寸
法安定性に対しては不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光学用途に用いられる
セルローストリエステルフィルムにはその需要も更に高
まり、従来の寸法安定性では不足し、またより高度な耐
久性も要求されている。
【0006】本発明者はセルロースエステルフィルムの
更なる寸法安定性を実現するために鋭意検討し、そのセ
ルロースエステルフィルムに含有される可塑剤において
種々の工夫を重ねた結果本発明を見いだすに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、セルロースエ
ステルに対する全可塑剤の含有量が1重量%以上かつ1
0重量%以下であり、かつ凝固点が20℃以下の可塑剤
がセルロースエステルに対して、1重量%以上かつ10
重量%以下含有されているセルロースエステルフィルム
であってこれにより寸法安定性に優れたフィルムを提供
することができるのである。
【0008】本発明は、セルロースエステルに対する全
可塑剤の含有量が1重量%以上かつ10重量%以下であ
り、かつ凝固点が20℃以下の可塑剤がセルロースエス
テルに対して、1重量%以上かつ10重量%以下含有さ
れているセルロースエステルフィルムであって、これに
より寸法安定性に優れたフィルムを提供することができ
るのである。
【0009】また本発明は前記セルロースエステルフィ
ルムに含有される可塑剤が少なくともフタル酸エステル
系、グリコール酸エステル系から選ばれる少なくとも1
種の可塑剤であって、これにより寸法安定性に優れ、か
つ高温高湿下におけるフィルム自身の加水分解耐久性に
も優れたフィルムを提供することができるのである。
【0010】また本発明は前記セルロースエステルフィ
ルムを用いて作製した液晶表示用部材であって、これに
より耐久性に優れた液晶表示用部材を提供することがで
きるのである。
【0011】まず本発明に係る概要を述べる。
【0012】本発明で用いることのできる可塑剤として
は特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェ
ニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジ
ルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフ
ェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオク
チルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル
酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエ
チルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシル
フタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセ
チン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレー
ト、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリ
ルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレ
ート等を単独あるいは併用するのが好ましい。フタル酸
エステル系やグリコール酸エステル系の可塑剤がセルロ
ースエステルフィルムの加水分解を引き起こしにくく耐
久性に優れるため、特に好ましい。
【0013】凝固点20℃以下の可塑剤としては、凝固
点が20℃以下であれば特に限定されず、上記可塑剤の
中から選ぶことができる。例えば、トリクレジルホスフ
ェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブチル
ホスフェート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−
2−エチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチル
フタリルエチルグリコレート等をあげることができる。
これらの可塑剤を単独あるいは併用するのが好ましい。
【0014】本発明中の凝固点とは、共立出版株式会社
出版の化学大事典に記載されている真の凝固点を凝固点
としている。
【0015】これらの可塑剤の使用量は、寸法安定性の
観点からセルロースエステルに対して全可塑剤の含有量
が1重量%以上かつ10重量%以下である。全可塑剤の
含有量は少ない方が寸法安定性がよく好ましいが、1%
未満だとセルロースエステルフィルムが硬く、もろくな
るため好ましくない。
【0016】またセルロースエステルに対して凝固点が
20℃以下の可塑剤の含有量は1重量%以上かつ10重
量%以下であり、3重量%以上かつ7重量%以下がさら
に好ましい。全可塑剤のうち凝固点が20℃以下の可塑
剤の占める割合は多い方が、セルロースエステルフィル
ムの柔軟性が良化し加工性に優れるため好ましい。ま
た、可塑剤の全てが凝固点20℃以下の可塑剤であるこ
とが最も好ましい。
【0017】セルロースエステルに対して全可塑剤の含
有量が重量比で10%以下も、凝固点が20℃を越える
可塑剤のみを使用するか又は、20℃以下の可塑剤の含
有量が1%未満であるとセルロースエステルフィルムが
硬く、もろくなり、加工性が悪化するため好ましくな
い。凝固点が20℃以下の可塑剤を使用することによ
り、セルロースエステルフィルムの柔軟性が良化し加工
性に優れるため好ましい。14℃以下の可塑剤を使用す
ると加工性がさらに良く好ましい。
【0018】加工性とはベースフィルムや液晶表示部材
をスリット加工や打ち抜き加工する際のことで、加工性
が悪いと切断面がノコギリ状になり切り屑が発生し、製
品に付着して欠陥となるため良くない。
【0019】本発明に係るセルロースエステルとして
は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテー
ト、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセ
テートプロピオネートなどが挙げられ、特に重合度25
0〜400、結合酢酸量が54〜62%のセルロースト
リアセテートが好ましい。
【0020】本発明に係るセルロースエステルの溶剤と
しては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピル
アルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノ
ールなどの低級アルコール類、シクロヘキサンジオキサ
ン類、メチレンクロライドのような低級脂肪族炭化水素
塩化物類などを用いることができる。
【0021】溶剤比率としては例えば、メチレンクロラ
イド70〜95重量%、その他の溶剤は30〜5重量%
が好ましい。又セルロースエステルの濃度は10〜50
重量%が好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用
溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度
が好ましく例えば60℃以上、80〜110℃の範囲に
設定するのが好適である。又、圧力は設定温度におい
て、溶剤が沸騰しないように定められる。
【0022】溶解後は冷却しながら容器から取り出す
か、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器など
で冷却し、これを製膜に供する。
【0023】本発明に於けるセルロースエステルフィル
ムの製造方法は特に制限はなく、当業界で一般に用いら
れている方法でよく、例えば米国特許2,492,97
8号、同2,739,070号、同2,739,069
号、同2,492,977号、同2,336,310
号、同2,367,603号、同2,607,704
号、英国特許64,071号、同735,892号、特
公昭45−9074号、同49−4554号、同49−
5614号、同60−27562号、同61−3989
0号、同62−4208号等に記載の方法を参考にする
ことができる。
【0024】本発明に係るセルロースエステルフィルム
の厚さは、10〜500μmで40〜100μmが好ま
しく、70〜85μmが特に好ましい。
【0025】また本発明に係るセルロースエステルフィ
ルムには、他に必要ならマット剤として酸化珪素のよう
な微粒子などを加えても支障はない。
【0026】本発明のセルロースエステルフィルムに
は、紫外線吸収剤を用いることが好ましく、紫外線吸収
剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以
下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点
より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少な
いものが好ましく用いられる。一般に用いられるものと
しては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾ
トリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、
ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合
物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これら
に限定されない。
【0027】本発明においてはこれら紫外線吸収剤の1
種以上用いていることが好ましく、異なる2種以上の紫
外線吸収剤を含有してもよい。
【0028】本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤
は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノ
ン系紫外線吸収剤等である。不要な着色がより少ないベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をセルロースエステル
フィルムに添加するという態様が特に好ましい。
【0029】本発明に係る偏光板の作製方法は特に限定
されず、一般的な方法で作製することができる。例え
ば、セルローストリエステルフィルムをアルカリ処理
し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面
に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて
貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開
平6−94915号,特開平6−118232号に記載
されているような接着性を高める方法を使用しても良
い。
【0030】液晶表示用部材とは液晶表示装置に使用さ
れる部材のことで、例えば、偏光板、偏光板用保護フィ
ルム、位相差板、反射板、視野角向上フィルム、防眩フ
ィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルムなどがあげ
られる。
【0031】その中でも寸法安定性に対して厳しい要求
のある偏光板、偏光板用保護フィルム、位相差板、視野
角向上フィルムにおいて、本発明を適用することがより
好ましい。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】実施例1 〈本発明試料1〉 (ドープ組成物A) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 トリフェニルホスフェート 5重量部 エチルフタリルエチルグリコレート 5重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全
に溶解した。ベルト流延装置を用い、ドープ温度33℃
でステンレスバンド支持体上に均一に流延した。ステン
レスバンド支持体を25℃になるようにコントロールし
ながら溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から
剥離した。その後、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送さ
せながら乾燥を終了させ、膜厚80μmのトリアセチル
セルロースフィルムの本発明試料1を得た。
【0034】〈本発明試料2〉本発明試料1のドープ組
成物Aをドープ組成物Bに変更した以外は同じにして、
本発明試料2を得た。
【0035】 (ドープ組成物B) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 トリフェニルホスフェート 2.5重量部 エチルフタリルエチルグリコレート 2.5重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈本発明試料3〉本発明試料1のドープ組成物Aをドー
プ組成物Cに変更した以外は同じにして、本発明試料3
を得た。
【0036】 (ドープ組成物C) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 エチルフタリルエチルグリコレート 10重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈本発明試料4〉本発明試料1のドープ組成物Aをドー
プ組成物Dに変更した以外は同じにして、本発明試料4
を得た。
【0037】 (ドープ組成物D) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 エチルフタリルエチルグリコレート 5重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈本発明試料5〉本発明試料1のドープ組成物Aをドー
プ組成物Eに変更した以外は同じにして、本発明試料5
を得た。
【0038】 (ドープ組成物E) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 エチルフタリルエチルグリコレート 1重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈本発明試料6〉本発明試料1のドープ組成物Aをドー
プ組成物Fに変更した以外は同じにして、本発明試料6
を得た。
【0039】 (ドープ組成物F) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 ジエチルフタレート 5重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈本発明試料7〉本発明試料1のドープ組成物Aをドー
プ組成物Gに変更した以外は同じにして、本発明試料7
を得た。
【0040】 (ドープ組成物G) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 ジブチルフタレート 5重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈本発明試料8〉本発明試料1のドープ組成物Aをドー
プ組成物Hに変更した以外は同じにして、本発明試料8
を得た。
【0041】 (ドープ組成物H) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 ジ−2−エチルヘキシルフタレート 5重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈本発明試料9〉本発明試料1のドープ組成物Aをドー
プ組成物Iに変更した以外は同じにして、本発明試料9
を得た。
【0042】 (ドープ組成物I) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 トリクレジルホスフェート 5重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈比較試料1〉本発明試料1のドープ組成物Aをドープ
組成物Jに変更した以外は同じにして、比較試料1を得
た。
【0043】 (ドープ組成物J) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 トリフェニルホスフェート 15重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈比較試料2〉本発明試料1のドープ組成物Aをドープ
組成物Kに変更した以外は同じにして、比較試料2を得
た。
【0044】 (ドープ組成物K) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 トリフェニルホスフェート 11重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈比較試料3〉本発明試料1のドープ組成物Aをドープ
組成物Lに変更した以外は同じにして、比較試料3を得
た。
【0045】 (ドープ組成物L) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 トリフェニルホスフェート 5重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈比較試料4〉本発明試料1のドープ組成物Aをドープ
組成物Mに変更した以外は同じにして、比較試料4を得
た。
【0046】 (ドープ組成物M) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈比較試料5〉本発明試料1のドープ組成物Aをドープ
組成物Nに変更した以外は同じにして、比較試料5を得
た。
【0047】 (ドープ組成物N) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 エチルフタリルエチルグリコレート 12重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 〈比較試料6〉本発明試料1のドープ組成物Aをドープ
組成物Oに変更した以外は同じにして、比較試料6を得
た。
【0048】 (ドープ組成物O) トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル フェニル)ベゾトリアゾール 8重量部 トリフェニルホスフェート 6重量部 エチルフタリルエチルグリコレート 6重量部 メチレンクロライド 475重量部 エタノール 50重量部 以上のようにして作成した本発明試料1〜9及び比較試
料1〜6について以下の性能評価を行った。
【0049】評価方法 〈フィルム耐久性〉10cm×5cmの大きさに裁断し
たセルロースエステルフィルム試料5枚を、80℃、9
0%RHの空気に置換された容量500ミリリットルの
ビンに入れて密封し、80℃、90%RHの高温・高湿
の条件下に1000時間放置後、着色、クラック等のお
かされを評価した。○以上であれば、問題なく使用でき
るレベルである。
【0050】◎:殆ど変化なし。透明シート状。
【0051】○:やや黄色の着色がおこる。透明シート
状。
【0052】△:茶色に着色がおこる。不透明シート
状。
【0053】×:茶色に着色がおこる。折り曲げると粉
状になる。
【0054】〈加工性〉20cm×20cmの大きさに
裁断したセルロースエステルフィルム試料を、8等分に
折り畳んで20cm×2.5cmにし、押し切り式のペ
ーパーカッターDN−3(コクヨ株式会社製)で10c
m×2.5cmに切断し、その断面を評価し、下記のレ
ベルに分けた。○以上であれば、問題なく使用できるレ
ベルである。
【0055】◎:切断面が透明で、指で触ってもざらつ
き感がない。
【0056】○:切断面は透明だが、指で触るとややざ
らつき感がある。
【0057】△:切断面が白く不透明で、指で触るとざ
らついている。
【0058】×:切断面が白い粉を吹いたようになり、
指で触るとひどくざらついている。
【0059】〈寸法安定性〉セルロースエステルフィル
ム試料表面の2箇所(MD方向、長尺方向に)に十文字
型の印を付し、熱処理(条件:80℃90%RH,20
0時間)を施し、工場顕微鏡で印間の距離を測定した。
【0060】熱処理前の距離をa1とし、熱処理後の距
離をa2として、下記式で寸法変化率を算出した。
【0061】 寸法変化率(%)=〔(a1−a2)/a1〕×100 尚、寸法安定性としては、比較試料1の寸法変化率を1
00%とした時の各々の寸法変化率を相対値で算出し
た。値は小さいほど良好。
【0062】〈偏光板耐久性〉以下に示す方法により偏
光板を作成し、その耐久性を評価した。
【0063】(偏光板の作成)試料フィルムを40℃の
2.5N−水酸化ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ
処理し、3分間水洗して鹸化処理層を形成し、アルカリ
処理フィルムを得た。
【0064】次に厚さ120μmのポリビニルアルコー
ルフィルムを沃素1重量部、ホウ酸4重量部を含む水溶
液100重量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光
膜を作った。この偏光膜の両面に前記アルカリ処理試料
フィルムを完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液
を粘着剤として各々貼り合わせ偏光板試料を作成した。
【0065】(偏光板耐久性テスト)10cm×10c
mの偏光板試料2枚を熱処理(条件:90℃、50時
間)し、直行状態にした時の縦又は横の中心線部分のど
ちらか大きいほうの縁の白抜け部分の長さを測定し、下
記のレベルに判定した。縁の白抜けとは直行状態で光を
通さない偏光板の縁の部分が光を通す常態になること
で、目視で判定できる。偏光板の状態では縁の部分の表
示が見えなくなる故障となる。
【0066】◎:縁の白抜けが5%未満(偏光板として
問題ないレベル) ○:縁の白抜けが5%以上10%未満(偏光板として問
題ないレベル) △:縁の白抜けが10%以上20%未満(偏光板として
何とか使えるレベル) ×:縁の白抜けが20%以上(偏光板として問題のある
レベル) 評価結果を表1に示す。尚、各試料に用いた可塑剤の融
点を表2に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】以上の結果から次のことが言える。
【0070】セルロースエステルに含まれる全可塑剤の
含有量が10重量%以下でかつ凝固点20℃以下の可塑
剤の含有量が1重量%以上であれば、寸法安定性に優
れ、かつ加工性にも優れていることが本発明試料1〜9
と比較試料1〜6を比べるとわかる。また本発明試料1
〜9の偏光板耐久性が優れていることが本発明試料1〜
9と比較試料1,2,5,6を比べるとわかる。
【0071】セルロースエステルに含まれる全可塑剤の
含有量が10重量%以下は寸法安定性に優れ、偏光板耐
久性にも優れていることが本発明試料1〜5と比較試料
1,2,5,6を比べるとわかる。
【0072】凝固点20℃以下の可塑剤の含有量が10
重量%以下は寸法安定性に優れ、偏光板耐久性にも優れ
ていることが本発明試料3と比較試料5を比べるとわか
る。またセルロースエステルに含まれる凝固点20℃以
下の可塑剤の含有量が1重量%以上は、加工性に優れる
ことが本発明試料4,5と比較試料3,4を比べるとわ
かる。
【0073】凝固点20℃以下の可塑剤の含有量が3〜
7重量%の方が、寸法安定性と偏光板耐久性にもさらに
優れ、かつさらに加工性にも優れている好ましい態様で
あることが本発明試料4と本発明試料3,5を比べると
わかる。
【0074】フタル酸エステル系、グリコール酸エステ
ル系の可塑剤だけを使用すると、寸法安定性、偏光板耐
久性、加工性に優れ、かつフィルム耐久性にも優れてい
る好ましい態様であることが本発明試料3〜8と本発明
試料1,2,9及び比較試料1〜3を比べるとわかる。
【0075】凝固点20℃以下の可塑剤の含有量が3〜
7重量%で、かつフタル酸エステル系、グリコール酸エ
ステル系の可塑剤だけを使用すると、さらに寸法安定
性、偏光板耐久性、加工性に優れ、かつフィルム耐久性
にも優れているもっとも好ましい態様であることが本発
明試料4,6,7,8と本発明試料1,2,3,5,9
及び比較試料1〜3を比べるとわかる。
【0076】
【発明の効果】寸法安定性に優れ、耐久性に優れたセル
ロースエステルフィルムを得ることができ、高耐久性の
液晶表示用部材を得ることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奈良 仁司 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースエステルに対する全可塑剤の
    含有量が1重量%以上かつ10重量%以下であり、かつ
    凝固点が20℃以下の可塑剤がセルロースエステルに対
    して、1重量%以上かつ10重量%以下含有されている
    ことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 セルロースエステルに含有される可塑剤
    が少なくともフタル酸エステル系、グリコール酸エステ
    ル系から選ばれる少なくとも1種の可塑剤であることを
    特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルフィル
    ム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載されたセルロー
    スエステルフィルムを用いて作製された液晶表示用部
    材。
JP27234296A 1996-10-15 1996-10-15 セルロースエステルフィルム及び液晶表示用部材 Pending JPH10120824A (ja)

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