JPH1012074A - 放電電極及びその製造方法 - Google Patents

放電電極及びその製造方法

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JPH1012074A
JPH1012074A JP8185554A JP18555496A JPH1012074A JP H1012074 A JPH1012074 A JP H1012074A JP 8185554 A JP8185554 A JP 8185554A JP 18555496 A JP18555496 A JP 18555496A JP H1012074 A JPH1012074 A JP H1012074A
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arc
discharge electrode
electrode
discharge
conductivity
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JP8185554A
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Masashi Takahashi
雅士 高橋
Masahiro Saito
正弘 齋藤
Takahiko Shindou
尊彦 新藤
Yoshiyasu Ito
義康 伊藤
Tadashi Mori
正 森
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐アーク性及び電気伝導性を両立させ、機器と
しての安全性及び信頼性をより一層高める。 【解決手段】放電電極30は、アーク放電可能な電極基
体31を有し、この電極基体31の内のアーク放電下で
アークに晒される部位32を耐アーク性に優れた材料
(W−Cu合金)で形成し、電極基体31の内のアーク
に晒されない部位33を電気伝導性に優れた材料(Cu
−Cr合金)で形成した。両材料を高圧力を使用した直
接接合法(摩擦圧接法)で互いに接合した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、発電所や変電所
で使用される大容量電流遮断用の電力用ガス遮断器等に
使用される放電電極及びその製造方法に係り、特に放電
電極材料の工夫に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、発電所や変電所で使用される電
力用ガス遮断器は、主に地震や火災などの緊急時に電力
を遮断するもので、優れた安全性のほか、高い信頼性が
要求されている。この電力用ガス遮断器の一般的な構造
を図8〜図11に示す。
【0003】図8に示す電力用ガス遮断器1は、絶縁ガ
スが封入された容器2内に消弧室3を収納したもので、
この消弧室3内には固定部4及び可動部5が互いに対向
して配置される。固定部4には、通常電流を通電する固
定通電電極6、固定放電電極7、固定側シールド8及び
これら要素を支持する固定支持部9が、また可動部5に
は、通常電流を通電する可動通電電極10、可動放電電
極11、絶縁ノズル12、操作ロッド13及びパッファ
シリング14が夫々、配設されている。
【0004】また、この容器内2には、可動部5の動作
を支持する指示絶縁筒15及び可動支持部16のほか、
圧縮室をパッファシリング14と共に構成するパッファ
ピストン17が配設され、この内、可動支持部16が極
間絶縁筒18を介して固定部4に連結されている。
【0005】このように電力用ガス遮断器1(特に、定
常時の通電電流値が大きい遮断器)には、一般に、通電
用の対を成す電極、即ち固定通電電極6および可動通電
電極10(以下、便宜上、「対を成す通電電極」と呼
ぶ)と、電流遮断用の対を成す電極、即ち固定放電電極
7及び可動放電電極11(以下、便宜上、「対を成す放
電電極」と呼ぶ)との互いに用途が異なる2セットの電
極が装備されている。
【0006】この電力用ガス遮断器1は、図8に示す投
入状態での電流通電時には、一方の導体19からの電流
を固定部4(固定支持部9、固定通電電極6)及び可動
部5(可動電極10、パッファシリング14、可動支持
部16)間を介して他方の導体20に供給する。
【0007】この通電状態から緊急時等に電流を遮断す
る場合を考えると、まず、図9に示すように、操作ロッ
ド13の動作により可動部5を軸方向に引いて対を成す
通電電極6、10を互いに離間させることにより、その
通電電極6、10間を介して固定部4及び可動部5間を
流れる電流が固定支持部9から対を成す放電電極7、1
1間を介してパッファシリング14に向かう経路に転流
する(図中の矢印参照)。
【0008】続いて、図10に示すように、更に可動部
5を軸方向に引いて今度は対を成す放電電極7、11を
互いに離間させることにより、この放電電極7、11間
にアーク21が発生する。このとき、パッファシリング
14とパッファピストン17間で圧縮されたガスが絶縁
ノズル12を介してアーク21に吹き付けられ、その結
果、放電電極7、11間で発生したアーク21が冷却さ
れて消弧し、図11に示す開極状態で電流が完全に遮断
される。
【0009】このような電力用ガス遮断器1は、近年、
上記安全性及び信頼性の要求のほか、電力需要の増大に
伴う大容量化と、資源の有効利用や土地の有効活用を背
景とする小型化とへのニーズが急速に高まり、これを踏
まえた研究開発等の試みが精力的に行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のガス遮断器を大容量化及び小型化しようとする
と、定常運転時の通常電流の絶対値や通電電流密度が増
大し、即ち遮断電流の絶対値や遮断電流密度が増大する
傾向にあり、放電電極間の電流や、電流遮断時に発生す
るアークエネルギーが大きくなるため、高い絶対値又は
密度の電流を遮断可能な装置を開発する必要があった。
【0011】特に、放電電極に要求される特性として
は、アーク損傷防止のために大きなエネルギーのアーク
にも耐え得る良好な耐アーク性と、電流ロス防止のため
に抵抗発熱による温度上昇を抑制可能な優れた導電性と
が必須であった。
【0012】例えば、アーク損傷防止に関しては、耐ア
ーク性材料の適用やアークの発生を抑制させる形状的な
改善等の、また電流ロス防止に関しては、Cu等の導電
性材料の適用等の試みがある。しかしながら、いずれの
試みであっても、上述の耐アーク性と導電性とを同時に
満足させ、機器としての信頼性等を得ることは殆ど困難
であった。
【0013】また、耐アーク性と導電性とを両立させる
試みとしては、耐アーク性材料と導電性材料を一体化さ
せるアイデアも想至されるが、この場合には両材料の界
面での抵抗発熱や熱膨張差に起因した熱応力による割
れ、はく離、脱落などの問題点も多く、これも実用化に
至っていない。
【0014】この発明は、このような問題を考慮してな
されたもので、耐アーク性及び電気伝導性を両立させ、
機器としての安全性及び信頼性をより一層高めた放電電
極及びその製造方法を提供することを、主要な目的とす
る。また、大容量化及び小型化を志向する電力用ガス遮
断器等に最適な放電電極及びその製造方法を提供するこ
とを、別の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため、放電電極に関して、アークに直接晒さ
れる部位を耐アーク性に優れた材料で、またアークに晒
されない部位を電気伝導性に優れた材料で夫々形成し、
この2つの部位に分けて機能を分離させることで耐アー
ク性と電気伝導性を両立させる知見を得て、以下の発明
を完成するに至った。
【0016】即ち、この発明の最大の特徴は、アーク放
電可能な電極基体を有し、この電極基体の内の当該アー
ク放電下でアークに晒される部位を耐アーク性に優れた
材料で形成すると共に、上記電極基体の内の上記アーク
に晒されない部位を電気伝導性に優れた材料で形成した
放電電極にある。
【0017】請求項2記載の発明では、前記耐アーク性
に優れた材料は、2500℃以上の融点を有するW、R
e、Nb、Μo、Τa、この複数の成分の少なくとも1
種の炭化物、及びグラファイトの内の少なくとも1種を
主成分とし、Cu、Αg、Αl、Auを含む複数の成分
の内の少なくとも1種を複合し、30%IACS以上の
導電率を有する材料である。
【0018】請求項3記載の発明では、前記電気伝導性
に優れた材料は、50%IΑCS以上の導電率を有する
Cu、Αg、Al、Auの内の少なくとも1種を主成分
とし、合金添加による固溶強化又は析出強化で引張り強
度を400MPa以上とした材料である。
【0019】上記のようにアークに直接晒される部位に
は、W、Re、Nb、Μo、Τa、この複数の成分の少
なくとも1種の炭化物、及びグラファイトの内の少なく
とも1種を主成分とした耐熱・耐アーク性に優れた材料
を使用し、またアークに直接晒されることがない部位に
は、Cu、Ag、Al、Auを主成分とした高い導電率
を有する材料を使用し、即ち2つの部位で機能を分離す
ることにより、耐アーク性と電気伝導性とを両立させた
放電電極材料を形成できる。
【0020】請求項4記載の発明では、前記電極基体の
2つの部位の間に傾斜組成層を形成している。「傾斜組
成層」は、アークに晒される部位を成す耐熱・耐アーク
性に優れた材料と、アークに晒されない部位を成す電気
伝導性に優れた材料(高導電率材料)との材料界面での
組成を連続的に変化させたものであり、通電時の抵抗発
熱や遮断時のアーク加熱等の温度上昇時の熱膨張差に起
因した熱応力を緩和可能となる。
【0021】また請求項5記載の発明に係る放電電極の
製造方法は、電極基体の内のアーク放電下でアークに晒
される部位を成す基材を耐アーク性に優れた材料で作製
すると共に、上記電極基体の内の上記アークに晒されな
い部位を成す基材を電気伝導性に優れた材料で作製し、
その後、所定の接合法を用いて上記2つの基材を互いに
接合することを特徴とする。
【0022】請求項6記載の発明では、前記接合法とし
て、電気伝導性に優れたろう材を使用した真空ろう付接
合法を用いている。「真空ろう付接合法」を使用するこ
とで、材料界面での導電率を高め、通電時の抵抗発熱を
効果的に低減する。
【0023】請求項7記載の発明では、前記電気伝導性
に優れたろう材として、Cu、Ag、Αl、Auの内の
少なくとも1種を含み且つ50%ITCS以上の導電率
を有する材料を用いている。このようにCu、Ag、Α
l、Αuを主成分とした高導電性のろう材を用いて耐熱
・耐アーク性に優れた材料と高導電率材料とを互いにろ
う付接合することにより、界面での抵抗発熱や抵抗ロス
の低減効果をより最大限に発揮させる。
【0024】請求項8記載の発明では、前記接合法とし
て、高圧力を使用した直接接合法を用いている。「高圧
力を使用した直接接合法」として、摩擦圧接法、爆着
法、熱間等方性加圧(HIP)接合法等のインサート材
を使用しない方法を使用すれば、材料界面での異種材料
の生成を極力抑制でき、抵抗発熱や抵抗損失も効果的に
低減し、材料界面での導電率を高めることができる。
【0025】また請求項9記載の発明に係る放電電極の
製造方法は、電極基体を成す基材を電気伝導性に優れた
材料で作製し、所定のコーティング方法を用いて上記電
極基体の内のアーク放電下でアークに晒される部位を成
す上記基材の表面部を耐アーク性に優れた材料で被覆す
ることを特徴とする。例えば、電気伝導性に優れた材料
で基材を作製し、この基材の内のアークに直接晒される
部位の表面部のみを耐アーク性に優れた材料、例えば2
500℃以上の融点を有するW、Re、Νb、Mo、Τ
a、この複数の成分の少なくとも1種の炭化物、及びグ
ラファイトの内の少なくとも1種を主成分とした材料で
コーティングする。
【0026】請求項10記載の発明では、前記コーティ
ング方法として、金属塩化物又は金属フッ化物を原料と
した気相反応法を用いている。例えば、金属塩化物また
は金属フッ化物を原料とした熱分解や水素還元などの気
相反応法を用いることにより、W、Re、Νb、Mo、
Ta、この複数の成分の少なくとも1種の炭化物、及び
グラファイトの内の少なくとも1種を主成分とした材料
を基材上に一体に形成する。
【0027】請求項11記載の発明では、前記コーティ
ング方法として、高温のガス又はプラズマを熱源とした
溶射法を用いている。例えば、粉末を原料として高温の
ガスやプラズマで溶融させた後、基材表面に高速で吹き
付ける放射法を用いることにより、W、Re、Νb、M
o、Ta、この複数の成分の少なくとも1種の炭化物、
及びグラファイトの内の少なくとも1種を主成分とした
材料を基材上に一体に形成する。
【0028】上記のように金属塩化物または金属フッ化
物を原料とした熱分解や水素還元などの気相反応法や、
粉末を原料として高温のガスやプラズマで溶融させた
後、基材表面に高速で吹き付ける溶射法を用いることに
より、Cu、Ag、Al、Auを主成分とした高導電率
基材上に、W、Re、Νb、Mo、Ta、この複数の成
分の少なくとも1種の炭化物、及びグラファイトを主成
分とした耐熱・耐アーク性に優れた材料を一体に形成す
る。
【0029】請求項12記載の発明では、前記基材の表
面部を被覆する工程として、所定のコーティング方法を
用いて上記表面部を傾斜組成層で被覆し、その傾斜組成
層を耐アーク性に優れた材料で被覆する工程を用いてい
る。例えば、電気伝導性に優れた材料で基材を作製し、
この基材上からアークに晒される部位の表面材料までの
組成を連続的に変化させて傾斜組成層を形成することに
より、通電時やアークに晒された時の熱膨張差による熱
応力を緩和させる。ここで、コーティング方法として
は、上述の溶射法が望ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)以下、この発明の第1実施形態を図1
〜図4に基づいて説明する。ここで、従来と同様の構成
要素については、同一符号を付してその説明を省略す
る。
【0031】図1に示す放電電極30は、上述の電力用
ガス遮断器1用の固定放電電極7に代表される高電圧、
高電流用の放電電極に適用したもので、アーク放電可能
な電極基体31を備える。この電極基体31は、アーク
に晒される部位32を耐アーク性に優れた材料で、また
アークに晒されない部位33を導電率(電気伝導性)に
優れた材料で夫々、形成している。
【0032】耐アーク性に優れた材料としては、融点が
3600℃を越え、耐アーク性に優れ、熱電子放出も少
ないWを主成分とし、これに高導電率材料のCuを微量
添加することで導電率を上げ且つアーク温度の低減可能
な「W−Cu合金」を、また導電率に優れた材料として
は、導電率に優れたCuを主成分とし、これにCrを添
加することで強化(固溶強化)した「Cu−Cr合金」
を用いている。2つの部位32、33の間、即ち2種の
合金の界面34には、中間層や反応層が殆ど存在しな
い。これは、両合金を直接接合法を用いて一体化したた
めである(後述参照)。
【0033】ここで、この放電電極の製造方法を説明す
る。
【0034】まず、アークに晒される部位32を成すW
−Cu合金を焼結溶浸法、液相焼結法等の方法を用いて
作製する。例えば、焼結溶浸法の場合には、W粉末を成
形及び焼結してW焼結体を形成し、その焼結体に残存す
る気孔中にCuを溶浸させてW−Cu合金を作製する。
また、焼結溶浸法の場合には、WとCuの両粉末を互い
に混合したものを成形し、両者の内の融点が低いCuを
液相状態で焼結してW−Cu合金を作製する。
【0035】この合金中のWとCuとの組成比率に関し
ては、上記いずれの作製法でも容易に制御できる。例え
ば、焼結溶浸法の場合には、W焼結体に残存する気孔中
にCuを溶浸させて一体化するため、WとCとの組成比
率として気孔割合をそのまま使用し、その気孔率をW粉
末の粒径、焼結温度、成形圧等の製造条件で調整するこ
とにより、また液相焼結法の場合には、焼結前の両粉末
の混合割合を調整することにより、WとCuの組成比率
を制御できる。
【0036】このように作製したW−Cu合金について
は、高導電性材料であるCuが網目状組織として存在し
ているため、導電性に優れると共に、そのCuの高延性
及び軟質の特性を活用して純Wの欠点とされる機械加工
性を大幅に改善させた特性が得られた。
【0037】次いで、アークに晒されない部位33を成
すCu−Cr合金を溶解圧延や鍛造等の方法を用いて作
製する。この合金に使用するCuとCrとの組成比率
は、図2に示す導電率(%IACS)及び引張り強度
(MPa)に基づいて設定した。即ち、要求される引張
り強度S(例えば、S=400MPa以上)の条件を満
足する組成比率の範囲内で最大導電率Maxを示すCr
量x(%)を選定したため、このCu−Cr合金につい
ては、通電時の抵抗率が少ない特性が得られた。
【0038】上記の2種の合金作製が終了すると、その
両合金を互いに摩擦圧接法(直接接合法)を用いて一体
化し、電極基体31を作製する。ここで、摩擦圧接法
は、摩擦熱を有効利用した接合法であるため、その接合
部に溶融、凝固した部分が殆ど生じないといった利点が
ある。この利点を実際に検証するため、図3に示すよう
に、Cu−Cr合金と純Cuとを摩擦圧接法を用いて互
いに接合して作製した試料の接合部をミク口組織写真で
調べたところ、両者の界面には中間層の生成量が極めて
少ないことが確認された。このことは、W−Cu合金と
Cu−Cr合金との接合部の場合にも同様であった。つ
まり、このように作製した電極基体30によれば、上記
の両合金の夫々の特性に加え、その界面の中間層や反応
層に起因する導電率の低下を各段に抑えた特性が得られ
た。
【0039】ここで、このような電極基体31を有する
放電電極30の耐久性を図4に示す破損寿命(回)の試
験結果を用いて検討した。この試験は、本実施形態の放
電電極(本発明品)のほか、従来品の代表として2種の
放電電極(Cu電極、Wと軟鋼とのネジ止め接合電極)
を対象としたものである。この両者を比較した結果、図
8に示すように、本発明品の方が従来品よりも耐久性が
より一層優れていることが確認された。
【0040】従って、この実施形態によれば、アークに
晒される部位には耐アーク性、またアークに晒されない
部位には高い導電率・強度を夫々発揮させるように機能
を分担させたため、耐アーク性、導電率、強度の全ての
条件を同時に満足させることができ、しかも耐久性を従
来よりも大幅に高めた放電電極を提供できる。
【0041】なお、この実施形態では、耐アーク性に優
れた材料としてW−Cu合金を、また電気伝導性に優れ
た材料としてCu−Cr合金を夫々使用してあるが、こ
の発明はこれに限定されるものではなく、着想点を逸脱
しない範囲内であれば、上述した各種成分を適宜に組み
合わせた材料を適用できる。
【0042】また、この実施形態では高圧力を使用した
直接接合法として摩擦圧接法で接合してあるが、この発
明はこれに限定されるものではなく、爆着法、HIP接
合法等でもよい。また、直接接合法のほか、上述した気
相反応法でもよい。
【0043】(第2実施形態)次に、この発明の第2実
施形態を図5〜図7に基づいて説明する。
【0044】図5に示す放電電極30aは、耐アーク性
に優れた材料及び電気伝導性に優れた材料として、上記
と同様のW−Cu合金及びCu−Cr合金を使用し、ア
ーク放電可能な電極基体31aを形成している。
【0045】この電極基体31aは、Cu−Cr合金で
基材33aを形成し、この基材33aの内のアークに晒
される部位32aの表面にW−Cu合金を、また両合金
の界面部には、通電時の抵抗発熱や電流遮断時のアーク
加熱等の温度上昇時の熱膨脹差に起因する熱応力をより
一層緩和させる目的で、基材33aを成すCu−Cr合
金からアークに晒される部位32aを成すW−Cu合金
まで連続的に組成を変化させた傾斜組成層35を夫々、
一体に形成している。
【0046】次に、この放電電極の製造方法を説明する
と、まず、基材33aを成すCu−Cr合金を上記と同
様の溶解後圧延や鍛造等の方法で作製する。
【0047】次いで、この基材33aの内のアークに晒
される部位32aに相当する表面部に傾斜組成層35を
一体に形成する。具体的には、プラズマ又は燃焼ガスを
熱源とした溶射法を用いて、CuとWの両粉末を溶融
し、その状態で表面部に向けて高速で吹き付けて溶射皮
膜を形成する。この皮膜中のCuとWの組成比率は、図
6に示すように、CuとWの両粉末の供給割合を調整す
ることで制御できる。そこで、この実施形態では、所望
のCuとWの組成比率となるように両粉末の供給割合を
連続的に変化させながら、基材33a上に溶射する方法
を用いた。
【0048】次いで、この傾斜組成層35上にアークに
晒される部位32aを成すW−Cu合金を上記溶射法を
用いて一体に形成する。即ち、傾斜組成層35上に所定
のWとCuの組成比率を有する溶射皮膜、即ち耐アーク
性に優れたW−Cu合金の表面層を形成し、電極基体3
1aを作製する。
【0049】ここで、このような電極基体31aを有す
る放電電極30aの耐久性を、上記と同様の破損寿命
(回)の試験結果を用いて検討したところ、図7に示す
ように、上記各種方法で直接接合した場合よりも、耐久
性がより一層優れていることが確認された。
【0050】従って、この実施形態によれば、上記効果
に加え、放電電極としての耐久性をより一層高め、熱膨
脹差に起因した熱応力をより一層緩和でき、熱応力によ
る割れ、はく離の発生の低減効果もより一層発揮させる
ことができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、アークに晒される部位を耐アーク性に優れた材料
で、またアークに晒されない部位を電気伝導性に優れた
材料で形成することを要部としたため、耐アーク性と電
気伝導性を両立させ、機器としての安全性と信頼性をよ
り一層高めた放電電極を提供できる。この効果は、特に
大容量化及び小型化を志向した電力用ガス遮断器等に適
用することで最大限に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る放電電極の構成
を示す概略断面図。
【図2】Cu−Cr合金中のCu及びCrの組成比率
と、導電率及び引張り強度との関係を説明するグラフ。
【図3】Cu−Cr合金と純Cuとの接合界面のミクロ
組織を示す顕微鏡写真。
【図4】第1実施形態の耐久性(破損寿命)の効果を説
明するグラフ。
【図5】この発明の第2実施形態に係る放電電極の構成
を示す概略断面図。
【図6】傾斜組成層用の溶射粉末の供給割合と、溶射皮
膜中の組成比率との関係を説明するグラフ。
【図7】第2実施形態の耐久性(破損寿命)の効果を説
明するグラフ。
【図8】従来の電力用ガス遮断器の構造を説明する概略
断面図。
【図9】図8の通電状態から緊急遮断時に通電電極を切
り離した状態を説明する電力用ガス遮断器の概略断面
図。
【図10】図9の状態から放電電極を切り離した状態を
説明する電力用ガス遮断器の概略断面図。
【図11】図10の状態から完全に電流が遮断した時の
電力用ガス遮断器の開閉状態を説明する概略断面図。
【符号の説明】
1 電力用ガス遮断器 2 容器 3 消弧室 4 固定部 5 可動部 6 固定通電電極 7 固定放電電極 8 固定側シールド 9 固定支持部 10 可動通電電極 11 可動放電電極 12 絶縁ノズル 13 操作ロッド 14 パッファシリング 15 指示絶縁筒 16 可動支持部 17 パッファピストン 18 極間絶縁筒 19、20 導体 21 アーク 30、30a 放電電極 31、31a 電極基体 32、アークに晒される部位(基材) 32a アークに晒される部位(表面層) 33、33a アークに晒されない部位(基材) 34 界面 35 傾斜組成層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 義康 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株式 会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 森 正 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク放電可能な電極基体を有し、この
    電極基体の内の当該アーク放電下でアークに晒される部
    位を耐アーク性に優れた材料で形成すると共に、上記電
    極基体の内の上記アークに晒されない部位を電気伝導性
    に優れた材料で形成したことを特徴とする放電電極。
  2. 【請求項2】 前記耐アーク性に優れた材料は、250
    0℃以上の融点を有するW、Re、Nb、Μo、Τa、
    この複数の成分の少なくとも1種の炭化物、及びグラフ
    ァイトの内の少なくとも1種を主成分とし、Cu、Α
    g、Αl、Auを含む複数の成分の内の少なくとも1種
    を複合し、30%IACS以上の導電率を有する材料で
    ある請求項1記載の放電電極。
  3. 【請求項3】 前記電気伝導性に優れた材料は、50%
    IΑCS以上の導電率を有するCu、Αg、Al、Au
    の内の少なくとも1種を主成分とし、合金添加による固
    溶強化又は析出強化で引張り強度を400MPa以上と
    した材料である請求項1又は2記載の放電電極。
  4. 【請求項4】 前記電極基体の2つの部位の間に傾斜組
    成層を形成した請求項1乃至3のいずれか1項記載の放
    電電極。
  5. 【請求項5】 電極基体の内のアーク放電下でアークに
    晒される部位を成す基材を耐アーク性に優れた材料で作
    製すると共に、上記電極基体の内の上記アークに晒され
    ない部位を成す基材を電気伝導性に優れた材料で作製
    し、その後、所定の接合法を用いて上記2つの基材を互
    いに接合することを特徴とする放電電極の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記接合法として、電気伝導性に優れた
    ろう材を使用した真空ろう付接合法を用いた請求項5記
    載の放電電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記電気伝導性に優れたろう材として、
    Cu、Ag、Αl、Auの内の少なくとも1種を含み且
    つ50%ITCS以上の導電率を有する材料を用いた請
    求項6記載の放電電極の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記接合法として、高圧力を使用した直
    接接合法を用いた請求項5記載の放電電極の製造方法。
  9. 【請求項9】 電極基体を成す基材を電気伝導性に優れ
    た材料で作製し、所定のコーティング方法を用いて上記
    電極基体の内のアーク放電下でアークに晒される部位を
    成す上記基材の表面部を耐アーク性に優れた材料で被覆
    することを特徴とする放電電極の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記コーティング方法として、金属塩
    化物又は金属フッ化物を原料とした気相反応法を用いた
    請求項9記載の放電電極の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記コーティング方法として、高温の
    ガス又はプラズマを熱源とした溶射法を用いた請求項9
    記載の放電電極の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記基材の表面部を被覆する工程とし
    て、所定のコーティング方法を用いて上記表面部を傾斜
    組成層で被覆し、その傾斜組成層を耐アーク性に優れた
    材料で被覆する工程を用いた請求項9記載の放電電極の
    製造方法。
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