JPH10120547A - デスモソーム分解促進剤 - Google Patents

デスモソーム分解促進剤

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JPH10120547A
JPH10120547A JP29793996A JP29793996A JPH10120547A JP H10120547 A JPH10120547 A JP H10120547A JP 29793996 A JP29793996 A JP 29793996A JP 29793996 A JP29793996 A JP 29793996A JP H10120547 A JPH10120547 A JP H10120547A
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JP
Japan
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acid
desmosome
skin
stratum corneum
formula
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JP29793996A
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Junko Sato
純子 佐藤
Yoshiko Masuda
嘉子 増田
Junichi Koyama
純一 小山
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Shiseido Co Ltd
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Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 健全な皮膚の状態を維持するための調製物の
提供。 【解決手段】 式 R(CHOH)nCOOH 式中、Rは水素原子、アルキル基、またはアルデヒド基
であり、nは1〜8の整数であり、ヒドロキシメチレン
基はカルボニル基であってもよい、で示される化合物を
有効成分として含む皮膚外用剤、特にデスモソーム分解
促進剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロキシカルボ
ン酸またはその誘導体を有効成分として含むデスモソー
ム分解促進剤に関する。本発明は、主として化粧料の技
術分野で利用される。
【0002】
【従来の技術】乾燥しドライスキンの発生した皮膚に対
して保湿剤が有効に働くことはこれまでの研究で明らか
にされている(例えば、尾沢達也他、皮膚保湿における
保湿剤の役割、皮膚、27、276〜288(198
5)。しかし、ドライスキンの特徴である落屑の改善
が、保湿剤によるどのような機構に基づくものであるか
については、具体的な説明がなされていないものの、現
に、多種多様の保湿剤が皮膚外用化粧料に使用され、一
定の効果が得られることも確認されている。
【0003】これらの保湿剤または皮膚柔軟剤の代表的
なものとしては、α−ヒドロキシカルボン酸に分類され
る乳酸が広く使用されている。また、特に角質層の柔軟
作用を有する化粧料にα−ヒドロキシカルボン酸に分類
される上記乳酸を初め、メチル基より長鎖のアルキル基
を有するα−ヒドロキシカルボン酸や、置換基としてカ
ルボキシル基をも有するクエン酸や酒石酸等を配合する
ことも知られている(特開昭58−8007号公報)。
さらに、皮膚科学的老化徴候を緩和するための組成物と
して、2−(またはα−)ヒドロキシカルボン酸または
その関連化合物の使用も知られている(特開平5−13
9947号公報)。さらに、特定のヒドロキシカルボン
酸もしくはケトカルボン酸またはそれらのエステルとセ
ラミド等の脂質成分を含む乾皮症状態の治療のための組
成物も提供されている(特開平6−157283号公
報)。さらに、一定のヒドロキシカルボン酸は、化粧料
に使用される特定の活性物質の作用を増強することも知
られている(特許第2533339号公報)。
【0004】特開昭58−8007号公報は、α−ヒド
ロキシカルボン酸類が角層片の弾性率を改善することか
ら皮膚に対する柔軟効果を奏することを示唆している。
一方、特開昭5−139947号公報は、2−(または
α−)ヒドロキシカルボン酸が角質層における角質細胞
凝集を減少する作用を有するが、角質層の外側層では効
果がないことを示唆している。また、特開平6−157
283号公報は、上記組成物が生体内効力試験で視覚的
に乾皮症を改善することを示唆している。
【0005】ところで、角層(または角質細胞の層状構
造物)の接着には脂質が関与しているという説が一般的
であったが、最近になって、電顕的な知見に基づきデス
モソームが角質細胞の接着のための本質的な構造である
との示唆も見られる(例えば、北島、香油会誌、Vo
l,15,No.4(1991)、225〜230ペー
ジ参照)。さらに北島は、前記論文でプロテアーゼによ
るデスモソーム(接着斑)の消化が角層剥離の第一要素
であるとの推論も提起している。さらに、A. Lundstroe
m らは、Acta Derm Venereol(Stockh)1991:7
1:471−474において、イン・ビボ(in vivo
条件下の落屑に関し角層に存在するとみなされる分子量
25kDaのキモトリブシン様酵素が一定の役割を果た
したものと示唆している。
【0006】他方、本発明者らは、角層の落屑について
検討した結果、落屑に関与する可能性のある内因性プロ
テアーゼとして、前記トリプシン様酵素以外に分子量約
30kDaのトリプシン様酵素も存在することを明らか
にした(Arch. Dermatol, Res.(1994)286:2
49−253)。また、保湿剤が皮膚、殊にデスモソー
ムにおける上記2種の酵素活性の発現に必要な場(すな
わち、水性環境)を整えることにより健全な皮膚を保つ
ことも明らかにした(例えば、FRAGRANCE JOURNAL(1
995)13−18)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような乾皮症の
患者の皮膚に限らず、特に健常人の皮膚が健全かつ美し
い外観を維持するには、表皮細胞の死細胞である角質細
胞から構成される角層の形成とその生理学的剥離による
脱落に調和がとれていることが必要である。
【0008】たしかに保湿剤は、上述のとおり、角層の
落屑に関与し健全な皮膚を維持する上で一定の役割を担
っている。しかしながら、前記2種の酵素活性が低下し
ている個体には、それらの活性を発現するための環境を
保湿剤によって整えるだけでは十分な角層の剥離が達成
できないであろう。
【0009】したがって本発明の目的は、保湿の目的だ
けでなく、より積極的に、すなわち少なくとも前記2種
の酵素活性そのものを増強しうる調製物を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、角層の落
屑がデスモソーム内のタンパク質、少なくともデスモグ
レインの前記酵素による分解を介してもたらされること
を見い出した。このような角層の落屑機序は、前記特開
平5−139947号公報に記載される化合物類が角質
層の外側層での作用に依存しないことと対照的であり、
まったく新規なものである。
【0011】さらに本発明者らは、上述したような一部
の化合物については、既に保湿剤または皮膚柔軟化剤と
して使用されているα−ヒドロキシカルボン酸を包含す
るヒドロキシカルボン酸誘導体が上記デスモソーム、殊
に角層中のタンパク質の分解活性を増強しうることを見
い出した。
【0012】したがって、本発明によれば、式 R(CHOH)nCOOH (I) [式中、Rは水素原子、C1-21アルキル基またはアルデ
ヒド基を表し、nは1〜8の整数であり、nが2以上の
場合には、ヒドロキシメチレン基の1つはカルボニル基
であることができる]で示されるヒドロキシカルボン
酸、あるいはそれらのグリコリドもしくはラクチドまた
はラクトンを、有効成分として少なくとも1種以上含む
ことを特徴とするデスモソーム分解促進剤が提供され
る。
【0013】
【発明の具体的な態様】本発明のデスモソームの分解促
進剤は、単に角層の落屑に達する水性の環境を皮膚に付
与するだけでなく、デスモソーム中に存在する蛋白質、
少なくともデスモグレイン、場合により、さらにはデス
モコリン、を分解する活性能そのものを増強することが
できる。このような作用は、上述したトリプシン様酵素
活性および/またはキモトリプシン様酵素活性を候補化
合物または成分が適当な水分含有環境下で増強しうるこ
とを意味する。また、このような酵素活性は前記環境下
に一定期間保持されたデスモソーム内のデスモグレイン
および/またはデスモコリンの残存率を候補物質がどの
程度低下しうるかにより評価することができる。
【0014】したがって、以下に詳述する本発明に従う
化合物は、前記デスモグレインの残存率を有意に低下す
ることができる。このような化合物として、前記式
(I)で表される化合物が挙げられるが、これらの化合
物は、場合により、ナトリウム、リチウム、等のアルカ
リ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金
属またはアンモニウムとの無機金属塩として、あるい
は、生理学的に許容される有機アミン類との塩として使
用することができる。
【0015】式(I)のC1-21アルキル基としては、直
鎖もしくは分枝したものであることができ、例えばメチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、sec.−ブチル、tert.−ブチル、n−ペンチ
ル、等の低級アルキル基からデシル、エイコシル等の高
級アルキル基を挙げることができる。これらの置換基ま
たは水素原子を有する式(I)の化合物は、本発明の目
的に沿うかぎり、ヒドロキシメチレン(−HCOH−)
基の数、すなわちnが1〜8のいずれをとることもでき
る。
【0016】一般的には、n数が1である化合物が好ま
しい。これらの化合物の具体的なものとしては、グリコ
ール酸、乳酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ
カプロン酸、2−ヒドロキシエナント酸、2−ヒドロキ
シカプリル酸、2−ヒドロキシペラルゴン酸、2−ヒド
ロキシカプリン酸、2−ヒドロキシウンデカン酸、2−
ヒドロキシラウリン酸、2−ヒドロキシトリデカン酸、
2−ヒドロキシミリスチン酸、2−ヒドロキシペンタデ
カン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシ
マルガリン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒド
ロキシノナデカン酸、2−ヒドロキシアラキジン酸、2
−ヒドロキシベヘン酸が挙げられる。これらの酸から、
同一もしくは異なる化合物2分子が脱水縮合して形成す
るグリコリド、ラクチド等の2分子縮合物も本発明の有
効成分として使用できる。
【0017】一方、式(I)のRが水素原子を表す化合
物は、ヒドロキシメチレン基を複数個、すなわちn数が
1〜8個のいずれの化合物も、本発明で好ましく使用す
ることができる。これらの化合物の具体的なものとして
は、前記グルコール酸や、天然もしくは合成アルドース
例えば、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソ
ース、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコース、
のアルデヒド基がカルボキシル基に酸化された各種アル
ドン酸、例えば、限定されるものでないが、グルコン酸
が挙げられる。これらの化合物のうち、n数が3以上の
ものは、とくに分子内で脱水環化したラクトンの形態に
おいても本発明で使用できる。
【0018】式(I)のRがアルデヒド基を表す化合物
が特に好ましい。一般的には、これらの化合物は、上記
アルドースにおける炭素末端のヒドロキシメチル基がカ
ルボキシル基に酸化されたカルボン酸に相当し、具体的
には、アルドトリオース、アルドテトロース、アルドペ
ントース、アルドヘキソースのヒドロキシメチル基がカ
ルボキシル基に酸化されたものが挙げられる。またこれ
らのラクトンも本発明で使用することができる。
【0019】式(I)のヒドロキシメチレン(−HCO
H−)基の数(すなわちn)が2以上の場合は、上記ア
ルドン酸またはアルドースにおける炭素末端のヒドロキ
シメチル基がカルボキシル基となっている化合物として
は、ヒドロキシメチレン基がカルボニル(=CO)基で
ある、それぞれ対応するケトアルドン酸も、好ましく本
発明で使用することができる。また、これらのラクトン
も本発明で使用できる。
【0020】以上、式(I)で示される化合物は、場合
により、1個以上の不斉炭素を有し、複数の立体異性体
として存在しうるが、本発明によれば、これらの立体異
性体混合物またはいずれか特定の立体異性体のすべてを
使用することができる。
【0021】入手容易である等との観点からは、天然産
の化合物を使用するのがよい。Rが水素原子またはアル
デヒド基を表し、nが5または4である化合物を例示す
ると、限定されるものでないが、D−グルコン酸、D−
グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、D−マンヌロン
酸、L−イズロン酸、2−ケト−L−グロン酸、5−ケ
ト−D−グルコン酸、等を挙げることができる。
【0022】以上により特定される式(I)の化合物
は、本発明の目的に沿う限り、医薬または化粧料の技術
分野で使用されている希釈剤、助剤、その他の活性物質
と共に配合して調製物(剤)とすることができる。限定
されるものでないが、代表的な希釈剤、助剤等として
は、保湿剤、界面活性剤、アルコール、水、緩衝剤、キ
レート剤、皮膚賦活剤を挙げることができる。
【0023】本発明のデスモソーム分解促進剤中、式
(I)で示される化合物は、化合物の物性に応じて、
0.01〜20重量%となるように調製できる。また、
適用は、主として皮膚への直接適用によるが、式(I)
の化合物の用量は、処置を受けるヒトの年齢、または皮
膚の症状に応じて、適宜調節できる。
【0024】こうして、本発明の製剤を使用すれば、病
的な皮膚の肥厚化を予防および治療でき、さらに健常人
にあっては、角層の形成とその生理学的剥離による脱落
を調和させることができる。
【0025】
【実施例】以下、具体例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0026】評価方法:角質層シート中のデスモグレイ
ンの残存率 本評価方法は、角質層シート中のデスモグレインのトリ
プシン様酵素およびキモトリプシン様酵素による分解の
程度、すなわち角層の剥離の程度を評価することができ
る。デスモグレインの残存率が低ければ低い程、前記酵
素活性がより強く増強されることを示す。
【0027】健常人から採取したシート状の角層を防腐
防黴溶液(カナマイシン60μl/ml、0.5%Na
3)に30秒間浸漬した。取出した2mgの角層の両
面を下記表Iに示す化合物の5%水溶液を5μl塗布し
た。化合物を含まない溶液を塗布したものを対照とし、
以上の溶液を塗布しないもの(無塗布)のサンプルにつ
いても、以下の操作を行った。
【0028】以上により調製した角層をデスモソームの
分解が不十分となる角質水分量30%以下の条件下に3
7℃で1週間放置した。その後、それぞれの角層を9M
尿素、2%SDS、1%メルカプトエタノールを含有す
る0.1Mトリス緩衝液(pH9)0.5mlを使用し、
37℃で15時間抽出した。次いで、抽出液にSDS−
PAGE用サンプル緩衝液(2倍濃度の Laemmii 溶
液)0.7mlを加え、15分間加熱した。これらの溶
液を各10μlとり、7.5%濃度のゲルにて電気泳動
を行った。泳動後、PVDFに転写し、抗デスモグレイ
ン抗体を使用する免疫染色を行い、蛋白質の量を測定し
た。結果は3回試行の平均値として下記表Iにまとめ
る。
【0029】表I 被検化合物 デスモグレイン残存率(%) 対照 100.0 無塗布 88.0 グリコール酸 93.0 乳酸 55.0 グルコン酸 76.6 グルコン酸ナトリウム 58.7 グルクロン酸 12.1 ガラクツロン酸 17.3 グリセリン酸 42.4 グリセリン酸カルシウム 65.89 製剤例 成分 重量(%) 1,3−ブチレングリコール 6.0 グリセリン 4.0 オレイルアルコール 0.1 POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 0.5 POE(15)ラウリルアルコールエーテル 0.5 エタノール 10.0 D−グルクロン酸 10.0 精製水 68.9調製 精製水に1,3−ブチレングリコールおよびグリセリン
を室温にて溶解し水相とする。エタノールに他の成分を
溶解し、先の水相に混合可溶化する。次いで、濾過、充
てん(填)を行い、化粧水を得た。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、特に、角層の生理学的
剥離を促進するのに役立つ皮膚外用剤が提供される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 R(CHOH)nCOOH [式中、Rは水素原子、C1-21アルキル基またはアルデ
    ヒド基を表し、nは1〜8の整数であり、nが2以上の
    場合には、ヒドロキシメチレン基の1つはカルボニル基
    であることができる]で示されるヒドロキシカルボン
    酸、あるいはそれらのグリコリドもしくはラクチドまた
    はラクトンを、有効成分として少なくとも1種以上含む
    ことを特徴とするデスモソーム分解促進剤。
  2. 【請求項2】 Rがアルデヒド基であり、nが1〜4の
    整数である請求項1記載のデスモソーム分解促進剤。
JP29793996A 1996-10-22 1996-10-22 デスモソーム分解促進剤 Withdrawn JPH10120547A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9545368B2 (en) 2013-08-09 2017-01-17 The Chemours Company Fc, Llc Skin care compositions having cyclic diesters and methods thereof

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9545368B2 (en) 2013-08-09 2017-01-17 The Chemours Company Fc, Llc Skin care compositions having cyclic diesters and methods thereof

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Effective date: 20040106