JPH10119140A - 管体の製造方法 - Google Patents

管体の製造方法

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JPH10119140A
JPH10119140A JP8277897A JP27789796A JPH10119140A JP H10119140 A JPH10119140 A JP H10119140A JP 8277897 A JP8277897 A JP 8277897A JP 27789796 A JP27789796 A JP 27789796A JP H10119140 A JPH10119140 A JP H10119140A
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JP
Japan
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mandrel
tube
heat
sheet
shrinkable sheet
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Withdrawn
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JP8277897A
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English (en)
Inventor
Kenji Hirano
兼次 平野
Hiroyuki Uchino
洋之 内野
Masaki Shimada
政紀 島田
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp, Nippon Steel Chemical Co Ltd filed Critical Nippon Steel Corp
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  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造装置や管体自身の構造を複雑化すること
なく、形成後の管体からマンドレルの抜き取りを容易に
行なうことのできる管体の製造方法を提供する。 【解決手段】 マンドレルの周りに所定の温度で収縮す
る熱収縮性シートを巻き付け、その上に繊維束を巻き付
けて管体を形成し、次いで前記熱収縮性シートの外側に
形成されたこの管体を前記熱収縮性シートが収縮する温
度以上に加熱して前記熱収縮性シートを収縮させること
により該熱収縮性シートの外側表面と管体の内側表面と
を離間させた後、前記管体から前記マンドレルを引き抜
くという各工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管体の製造方法に
関し、特にガラス繊維や炭素繊維等の繊維束を芯材に巻
き付けて形成される管体の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】FRPやCFRP、或いはC/Cコンポ
ジット等の繊維強化複合材料を用いてパイプやタンクの
胴体部分等、中空円筒形状の完成品やそのプリフォーム
を形成する方法として「フィラメントワインディング
法」と呼ばれる方法がある。これは補強材としての繊維
束をマトリックス材料を含む液に含浸した後に「マンド
レル」と呼ばれる芯材に巻き付けて中空円筒形の管体を
形成し、これを加熱して繊維束に含浸させたマトリック
ス材料を硬化した後に前記マンドレルを引き抜いて目的
とする硬化後の管体を得る方法である。
【0003】このフィラメントワインディング法で管体
を製造する場合、マンドレル上に形成された管体からマ
ンドレルを引き抜く作業が必要であるが、前記繊維束は
このマンドレルの上に強く巻き付けられているため、容
易に引き抜くことができない場合がある。そのため、F
RPやCFRP製の管体の場合には、一般的にマンドレ
ルに巻き付けたままの状態で管体を加熱し、マトリック
ス材料が熱硬化した後に「脱芯機」と呼ばれる装置を用
いてマンドレルを引き抜いている。この脱芯機はマンド
レルより僅かに大きい直径の穴が開けられたドーナツ状
の部材をマンドレル上に形成された管体の端面の一方に
当て、この部材を介して管体の端面とマンドレルとの間
でマンドレルの軸方向の力を加えることにより管体をマ
ンドレルの軸方向にずらして管体とマンドレルとを分離
する装置である。
【0004】しかるに、FRPやCFRP製の管体など
のように、マトリックス材料の硬化により補強繊維が固
められ、管体の形状が崩れ難くなっているものの場合に
は管体が十分な機械的強度を有するため、上記脱芯機に
より管体の端面に力が加わっても管体の形状を損なうこ
となくマンドレルを引き抜くことが可能であるが、FR
PやCFRP、或いはC/Cコンポジット製の管体のプ
リフォーム等のように未硬化の管体の場合には、マンド
レル上に巻き付けられた繊維束同士は互いに固着されて
おらず、単に重なり合っているだけであるため、脱芯機
が与えるような繊維束の巻き付け方向に対して横の方向
から力が加わると繊維束同士間で位置がずれてしまう。
【0005】また、C/Cコンポジット製の管体の製造
方法の一つとして、炭素繊維にマトリックス原料として
のコークス粉を付着させたものをマンドレル上に巻き付
けて管体を形成し、これを加熱処理により炭化して最終
製品としての管体を得る方法がある。この方法の場合、
繊維束はコークス粉を表面に付着させた状態で巻き付け
られているため、プリフォーム内には相当量のコークス
粉が含まれているが、このコークス粉は脆く、押圧力が
かかると容易に崩れてしまう。そのため、加熱処理前の
プリフォームは機械的強度が低く、プリフォームを脱芯
機にかけると中に含まれているコークス粉が崩れて、繊
維束の巻き付けにより形成した管体の形状が崩れてしま
うという問題があった。
【0006】この硬化前の管体の形状を損なうことなく
マンドレルを引き抜く方法としては、マンドレルの軸方
向に平行な平面で複数の部品に分割できる構造を有す
る、いわゆる分割型マンドレルを使用し、この分割型マ
ンドレル上に繊維束を巻き付けた後に分割型マンドレル
を分割して抜き取るという方法も考えられるが、マンド
レルの構造が複雑化してその製造コストが著しく高くな
り、また、分割型マンドレルを組み立てたり、分割する
工程が必要になるため、製造に手間がかかり、結果とし
て製造コストが高くなるという問題がある。
【0007】上記以外の方法としては、マンドレルの表
面に離型剤を塗布したり、或いは特開昭第63−235
784号に開示されているように、繊維強化プラスチッ
ク管の製造においてマンドレルの表面にシリコングリー
ス等の離型層を介して熱収縮性チューブを装着し、熱収
縮性樹脂チューブごとマンドレルを引き抜くという方法
もあるが、この方法では熱収縮性樹脂チューブに繊維束
を巻き付ける前に収縮させ、その上に繊維束を巻き付け
ており、管体を形成した後のマンドレルの引き抜きを容
易化させるのは離型層のみであり、従って、マンドレル
を引き抜くためには依然として大きな力を加えることが
必要であり、このマンドレルを引き抜く工程を作業性を
向上させるという効果は十分満足するものとはいえな
い。
【0008】また、この熱収縮性樹脂チューブは管体の
完成後も管体の内側表面として管体の一部を構成するも
のであり、得られる管体が必然的に二層構造になるた
め、繊維束のみからなる管体を形成する場合には使用で
きない。更に、管体の内側表面を構成するものであるか
ら、この熱収縮性樹脂チューブにもこの上に形成される
FRP等の複合材料と同等かそれ以上の強度が求めら
れ、そのためには特別の材料や製造工程を必要とするた
め、この熱収縮性樹脂チューブを予め別に製造するため
の手間とコストが余計にかかるという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、上記のような問題のない管体の製造方法について鋭
意研究を重ねた結果、マンドレルと、管体を構成する繊
維束との間に熱収縮性シートを介在させ、管体成型後に
熱収縮性シートの熱収縮温度以上に加熱することにより
管体の内側表面と熱収縮性シートの外側表面とを離間さ
せることができ、これによってマンドレルの引き抜き作
業を容易に行なうことができるようになることを見出し
て本発明を完成するに至った。
【0010】従って、本発明の目的は、製造装置や管体
自身の構造を複雑化することなく、形成後の管体からマ
ンドレルの抜き取りを容易に行なうことのできる管体の
製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、マンドレルの
周りに所定の温度で収縮する熱収縮性シートを巻き付
け、その上に繊維束を巻き付けて管体を形成し、次いで
前記熱収縮性シートの外側に形成されたこの管体を前記
熱収縮性シートが収縮する温度以上に加熱して前記熱収
縮性シートを収縮させることにより該熱収縮性シートの
外側表面と管体の内側表面とを離間させた後、前記管体
から前記マンドレルを引き抜く工程からなる、管体の製
造方法である。
【0012】本発明において「管体」とは、マンドレル
の回りに補強繊維の繊維束を巻き付けることにより形成
される中空円筒形状の管状体をいい、樹脂等のマトリッ
クス材料を含まない補強繊維のみからなるもの、及び、
マトリックス材料を含む補強繊維からなるものの双方を
含む。また、繊維束がマトリックス材料を含む場合、加
熱等によりマトリックス材料を硬化させたもの、及び未
硬化のものの双方を含む。
【0013】本発明において使用するマンドレルは管体
を形成する際の芯材になるものであり、管体に対して適
切な内側の形状を与え得るものであれば良く、既知のも
のが使用できる。例えば、マンドレルの形状としては、
円柱形のものや、楕円柱のもの、三角柱や四角柱等マン
ドレルの軸に垂直な平面で切ったときの断面が多角形の
ものの他、マンドレルの軸方向の中間部分から端部にか
けて細くなるようにテーパーがかかっておりマンドレル
の軸に平行な平面で切ったときの断面が楔型になったも
のや、この断面が曲線を描くようなテーパーがかかった
もの等が挙げられる。
【0014】また、マンドレルの材質としては繊維束を
巻き付けることにより形成された管体を保持でき、管体
の形成後に熱収縮性シートの収縮温度以上に加熱するこ
とができる材質であれば良く、特に限定されないが、代
表的には、鉄やステンレス、アルミニウム等の金属から
なるものが挙げられる。
【0015】本発明で使用する熱収縮性シートは、繊維
束を巻き付けて管体を形成する際、芯材の表面部分とし
て機能するものである。またそれと同時に、管体形成後
は加熱により収縮して管体の内側表面と芯材の外側表面
とを離間させ、管体からマンドレルの引き抜きを容易に
させるためのものである。
【0016】従って、この熱収縮性シートにはこれをマ
ンドレルに巻き付けることができる程度の可撓性が要求
されるため、収縮温度以下の温度では、適度な固さを備
えていることが必要であり、具体的には、繊維束を巻き
付ける際にこの繊維束から圧力が作用してもこの圧力に
抗して変形しない程度の固さを有することが必要であ
る。
【0017】一方、熱収縮温度以上に加熱された場合に
は、加熱前の状態より収縮する性質を備えていることが
必要である。そしてこの熱収縮温度は300°C以下で
あれば良く、特に限定されないが、一般的には100〜
200°Cの範囲内の温度であるのがよい。また、加熱
により収縮する収縮率としては加熱収縮前の体積を10
0%とした場合、加熱収縮後の体積が10〜90%まで
収縮するものが好ましい。ここで収縮率の上限を90%
としたのは、収縮率が90%より大きくては、熱収縮後
の熱収縮シート外面と管体内面との隙間が小さくて、脱
芯を容易にする効果が不十分になる虞れがあるからであ
り、反対に、収縮率の下限を10%としたのは、収縮率
が10%より小さいような熱収縮シートは、柔らかすぎ
て繊維束を巻き付けたときに収縮し、管体に歪みが生じ
てしまうという問題があるからである。
【0018】これらの条件を満たすものであれば、熱収
縮性シートの材質や形状等は特に限定されない。代表的
な材質としては、発泡倍率が5倍〜10倍の発泡性ポリ
エチレンや発泡性ポリプロピレン等を挙げることができ
る。
【0019】ここで、熱収縮性シートの発泡倍率は5倍
〜10倍のものが好ましい。それは、発泡倍率が5倍よ
り低いと熱収縮性シートの可撓性が不足してマンドレル
に巻き付けたときに局所的な歪みが生じてしまうという
問題があるからであり、一方、発泡倍率が10倍より高
いと熱収縮性シートが柔らかすぎて補強材としての繊維
束を巻き付けたときに熱収縮性シートが必要以上に収縮
して管体に歪みを生じてしまうという問題があるからで
ある。
【0020】また、FRPやCFRP等のように繊維束
にマトリックス樹脂を含浸させた後にマンドレル上に巻
き付け、これを加熱硬化して管体を得る場合には、加熱
硬化前の管体の変形を防止するため、マトリックス樹脂
の硬化温度より高い温度で収縮する材質の熱収縮性シー
トを用いるのが好ましい。
【0021】更に、マンドレル上に熱収縮性シートを巻
き付ける際には、直接マンドレル上に熱収縮性シートを
巻き付けてもよいが、マンドレル上に離型剤等を塗布し
たり、シリコン樹脂等を焼付けておくことにより、管体
の製造後マンドレル上から収縮した熱収縮性シートを除
去する際に容易に除去できるため、離型剤等を塗布して
おくのが好ましい。
【0022】また、本発明で使用する熱収縮性シートを
用いて製造される管体の内径を制御することができる。
即ち、管体はマンドレル上に離型紙と熱収縮性シートと
を巻き付けたものを芯材とし、これらの上に繊維束を巻
き付けることにより形成されるため、出来上がる管体の
内径はマンドレルの外径に離型紙と熱収縮性シートとの
厚さを加えた値となる。
【0023】従って、この熱収縮性シート一枚当たりの
厚さを変えたり、熱収縮性シートを重ね巻きして熱収縮
性シートが形成する層の厚さを適宜変化させることがで
き、この厚さを変化させれば、この上に形成される管体
の内径を変化させることができるため、一つのマンドレ
ルを用いて内径の異なる管体を何種類も製造することが
できる。そして、一般にマンドレルの製造コストに比べ
て熱収縮性シートは安価なため、一つのマンドレルを用
い、熱収縮性シートの厚さや、重ね巻きをすることによ
り内径の異なる管体を作り分けるようにすれば、管体一
本当たりの製造コストを大きく低減することができる。
【0024】繊維束は管体の本体部分を構成するもので
ある。この繊維束の形状はいわゆる「フィラメント」と
呼ばれる微細な繊維を束ねて一本の長い糸状にしたもの
であり、「ヤーン」と呼ばれるものや、「ロービング」
と呼ばれるものである。そしてその太さや断面形状等は
製造する管体の用途やマトリックス材料の材質等の諸条
件に従って適宜使い分ける。繊維束の材質については、
前記熱収縮性シートの収縮温度で溶融する等の支障を来
すことのないものであればどのようなものでも良く、炭
素繊維、ガラス繊維、炭化珪素繊維、アラミド繊維等の
複合材料用のもののみならず、これら以外のものも用い
ることができる。
【0025】繊維束はマンドレル上に形成された熱収縮
性シートの上に巻き付けられるのであるが、この巻き付
ける方法としては、既知の種々の方法が挙げられる。そ
してこの繊維束を巻き付ける際には、熱収縮性シートの
上に直接巻き付けても良いが、熱収縮性シートの上に離
型紙を適用してから繊維束を巻き付けるようにすれば、
加熱して収縮性層を収縮させる際に収縮性層の外側表面
と、管体の内側表面とが剥がれ易くなってマンドレルを
引き抜き易くなり、また、管体の内側表面が滑らかにな
るため、離型紙を適用してから繊維束を巻き付けるのが
好ましい。
【0026】また、この繊維束は繊維束のみを熱収縮性
シート或いはその上の離型紙の上から巻き付けることに
よっても管体を得ることができるが、FRPやCFRP
等のような複合材料製の管体等を形成する場合には、熱
硬化性樹脂に代表されるマトリックス材料を溶剤に溶か
した溶液槽を用意し、繊維束を一旦この中に潜らせてマ
トリックス材料を含浸させた後にマンドレル上の熱収縮
性シートの周りに巻き付け、これを加熱する方法により
所期の製品を得る方法も考えられる。そして、ここで用
いられるマトリックス材料としては、ポリエステル、エ
ポキシ樹脂等の既知のマトリックス材料が挙げられる。
【0027】本発明の管体を用いてFRPやCFRP等
の補強繊維間をマトリックス材料で固めた製品を製造す
る場合には、炭素繊維のみをマンドレルの回りに巻き付
けて管体を形成し、炭素繊維の端がほどけないように結
んだ後、これをマンドレルごと加熱して熱収縮性シート
を収縮させてマンドレルを抜き取り、得られた管体にマ
トリックス材料を含浸させて硬化する方法と、同じよう
に炭素繊維のみを巻き付けて得た管体について、マンド
レル上に保持された状態でマトリックス材料を含浸さ
せ、次いで加熱してマンドレルを抜いた後に加熱してマ
トリックス材料を硬化させる方法とがある。更に、後者
の場合にマンドレルの抜き取りとマトリックス材料の硬
化の順序を逆にして、マトリックス材料を硬化させた後
にマンドレルを抜いても良い。
【0028】また、FRP等を作る際の別法として、炭
素繊維にマトリックス材料を含浸させ、これをマンドレ
ルの回りに巻き付けて管体を形成する、いわゆるフィラ
メントワインディング法を用いることもできる。この場
合、マンドレル上にマトリックス材料を含浸させた補強
繊維を巻き付け、マンドレルを抜いた後にマトリックス
材料を硬化する方法と、マンドレル上に管体が保持され
た状態のものをマトリックス材料を硬化させた後にマン
ドレルを抜き取る、二つの方法が考えられる。
【0029】更に、C/Cコンポジット等のような複合
材料のプリフォームを形成する場合には、粉末コークス
等のマトリックス原料を水等に分散させた分散液槽を用
意し、繊維束を一旦この中に潜らせてマトリックス原料
を繊維束の表面に付着させた後にマンドレル上の熱収縮
性シートの周りに巻き付ける。ここで用いられるマトリ
ックス原料としては、粉末コークス以外にも、ピッチ粉
末、黒鉛粉等の既知のマトリックス原料が挙げられる。
【0030】このようにして得たC/Cコンポジット管
体のプリフォームは次いで、以下の工程を経て最終的な
管体となる。即ち、溶融ピッチ槽に管体のプリフォーム
を沈めて減圧脱泡してピッチを含浸させた後、不活性雰
囲気中で1000°C程度まで昇温することにより焼成
して炭化する。更に必要に応じてピッチ含浸・炭化の繰
り返しによる高密度化、及び2500°C以上の高温熱
処理による黒鉛化処理を行なって、C/Cコンポジット
の管体が得られる。
【0031】更に、前記熱収縮性シートの上に繊維束を
巻き付けて管体を形成する際、前記熱収縮性シートの上
に、通常の方法では抜き取ることができなくなる形状、
例えば、自動車のプロペラシャフトの共振防止用として
の需要がある、外径が一様でない管体を形成することも
できる。その場合には、例えば、外径がマンドレルの径
に熱収縮性シートの厚さを加えた寸法より大きく、内径
がマンドレルの径に熱収縮性シートの厚さを加えた寸法
に略等しく、かつ、マンドレルの軸方向の寸法がマンド
レルの軸方向の寸法より短い管状の形の中子をマンドレ
ルに熱収縮性シートを巻き付けた上から取り付けてお
き、この上から繊維束を巻き付けて管体を形成する方法
が挙げられる。
【0032】このような中子を使用して繊維束の巻き付
けを行なった場合には、この中子を取り付けた部分だけ
内側表面に凹部が形成された管体を形成することができ
る。なお、この場合の中子は中子自体が容易に消失する
ものを用いたり、マンドレルの軸に平行な平面で分割可
能なものを用い、管体形成後に加熱により消失させた
り、分割して管体から取り外すことができる。或いは、
中子自体、管体の一部として機能し、管体形成後も管体
の内部に残るものを用いても良い。
【0033】上記のようにして得た管体は次いで加熱さ
れる。この加熱の方法としては、前記熱収縮性シートの
収縮温度に均一に加熱できる方法であれば良く、特に限
定されない。一般的には電気やガス等により加熱するオ
ーブンが用いられ、この中にマンドレルごと入れて加熱
する。この加熱により前記熱収縮性シートは収縮して外
径が小さくなるため熱収縮性シートの外側表面と管体の
内側表面とが剥がれ、この熱収縮性シートの外側表面と
管体の内側表面との間に隙間が形成される。
【0034】このようにして隙間が形成されると管体に
対してマンドレルを容易に動かし得るようになるので、
脱芯機等を用いて大きな力を掛けなくてもマンドレルを
容易に引き抜くことができるようになる。
【0035】また、FRPやCFRP等のような複合材
料製の管体の場合には、このオーブン内で加熱する際に
前記熱収縮性シートの収縮と、前記管体のマトリックス
材料の硬化とを同じオーブンの中で行なうこともでき
る。なお、この場合には、マトリックス材料の硬化温度
と、前記熱収縮性シートの収縮温度との間に差を設け、
マトリックス材料の硬化温度より高い温度で熱収縮性シ
ートの収縮が起こるようにマトリックス材料と熱収縮性
シートの材質とを選択するのが好ましい。これは、マト
リックス材料の硬化温度より低い温度で熱収縮性シート
の収縮が起こるようにマトリックス材料と熱収縮性シー
トの材質を選択してしまうと、オーブン中で加熱する際
に、管体のマトリックス材料が硬化する前に熱収縮性シ
ートの収縮が起こり、管体の部分が変形して所期の形状
の管体が得られなくなる虞れがあるため、このような不
都合が起こるのを未然に防止するためである。
【0036】
【発明の実施の形態】
(第一の実施形態)以下、本発明の第一の実施形態であ
る管体の製造方法に基づいて本発明を説明する。図1は
本実施形態の方法に従って管体を製造する際の各工程
と、加熱により熱収縮性シートが収縮する様子をを模式
的に描いた図であり、マンドレルの上に、熱収縮性シー
ト、及び繊維束をこの順で巻き付けた様子をマンドレル
の軸に平行な平面で切断した断面を描いた図である。
【0037】本実施形態では、図1(a)に示したよう
な断面形状を有する、外径150mmの鉄製マンドレル
1を用い、これに熱収縮性シートとして厚さ2mm、発
泡倍率10倍の発泡ポリエチレンシート2(積水化学工
業(株)製、ソフトロン♯1002)を1層巻き、この
シートの合わせ目をポリイミド接着テープで固定した。
この状態の断面を図示したのが図1(b)である。次い
で、炭素繊維のみからなる管体を製造すべく、東レ
(株)製のT300の炭素繊維3(繊維束)をマンドレ
ル1の軸に対する角度60度で3mmの厚さに巻き付
け、更に軸に対する角度90度で3mmの厚さに前記炭
素繊維3を巻き付けて軸方向の長さが200mmの管体
を形成した。炭素繊維の末端は巻き戻らないように結び
止めた。この状態の断面を図示したのが図1(c)であ
る。この段階では炭素繊維3は発泡ポリエチレンシート
2を介してマンドレル1に強く巻き付いており、マンド
レル1の引き抜きはできなかった。
【0038】次いで炭素繊維3が巻き付いたままの状態
のマンドレル1を150°Cのオーブン中に1時間保持
した後、室温まで冷却した。その結果、図1の(d)に
示すように、発泡ポリエチレンシート2は厚さ約1mm
に収縮してマンドレル1に張り付き、管体との間に約1
mmの隙間ができたため、管体の内側表面部分を構成す
る炭素繊維3の繊維表面を毛羽立たせることもなく容易
に管体からマンドレル1を引き抜くことができた。得ら
れた管体の内径を測定したところ154mmであった。
次いで、この炭素繊維のみからなる管体を、真空容器に
入れられたエポキシ樹脂に沈め、減圧脱泡してエポキシ
樹脂を管体に含浸させた後に管体を取り出し、これをオ
ーブン中で1°C/分の速度で昇温し、150°Cで3
時間保持し、エポキシ樹脂を硬化させたところ、CFR
P(炭素繊維強化プラスチック)の管体が得られた。
【0039】(第二の実施形態)外径150mmの鉄製
マンドレルに厚さ0.1mmの離型紙を1層巻いた上
に、厚さ3mm、発泡倍率10倍の発泡ポリエチレンシ
ート(積水化学工業(株)製、ソフトロン♯1003)
を1層巻き、さらにその上に離型紙を1層巻いた。シー
トの合わせ目はいずれもポリイミド接着テープで固定し
た。炭素繊維のみからなる管体を製造すべく、炭素繊維
(東レ(株)製、T300)をマンドレルの軸に対する
角度60度で3mmの厚さ、更に90度で3mmの厚さ
に巻き付けて軸方向の長さが200mmの管体を形成し
た。炭素繊維の末端は巻き戻らないように結び止めた。
【0040】この段階では炭素繊維はマンドレルに強く
巻き付いており、マンドレルの引き抜きはできなかった
が、150°Cで1時間熱処理したところ発泡ポリエチ
レンシートが収縮して、管体との間、正確には発泡ポリ
エチレンシートと離型紙との間に約2mmの隙間ができ
たため、管体の内側表面部分を構成する炭素繊維の繊維
表面を毛羽立たせることもなく容易に管体からマンドレ
ルを引き抜くことができた。なお、離型紙は脱芯後管体
の内面に付着しているが、これは破いて容易に取り除く
ことができた。このようにして得られた管体の内径を測
定したところ156.4mmであった。この炭素繊維の
みからなる管体に、第一の実施形態と同様にしてエポキ
シ樹脂を含浸し、硬化させたところ、CFRPが得られ
た。
【0041】比較例1 炭素繊維のみからなる管体を製造すべく、外径150m
mの鉄製マンドレルに実施例1と同様に炭素繊維の巻き
付けを行なって管体を形成した。この段階では炭素繊維
はマンドレルに強く巻き付いており、マンドレルの引き
抜きはできなかった。また、150°Cで1時間熱処理
しても変化は生じなかった。そこで脱芯機を用いてマン
ドレルの引き抜きを試みたところ、管体は破壊してしま
った。
【0042】(第三の実施形態)第二の実施形態と同様
にして、外径150mmのマンドレルを用い、この上に
発泡ポリエチレンシートと離型紙とを巻いておく。次
に、炭素繊維強化炭素材料のプリフォーム管体を製造す
べく、粒径約10μmの生コークス粉を水中に分散させ
た分散液が入った含浸槽をマンドレルの手前の位置に配
置し、炭素繊維(東レ(株)製、T300)をその中に
通して生コークス粉を付着させながら角度60度で3m
mの厚さに巻き付け、さらに90度で3mmの厚さに炭
素繊維の巻き付けを行なって軸方向の長さが200mm
の管体を形成した。この段階ではマンドレルの引き抜き
を行なうことはできなかったが、150°Cで1時間処
理したところ、脱芯機を用いなくても僅かな力で容易に
マンドレルの引き抜きを行なうことができた。このプリ
フォームを窒素雰囲気中1000°Cまで昇温して炭化
させ、更にピッチを含浸させる工程と炭化させる工程と
を2回繰り返して高密度化した後、窒素雰囲気中250
0°Cで熱処理してC/Cコンポジットの管体を得た。
【0043】比較例2 炭素繊維強化炭素材料のプリフォーム管体を製造すべ
く、厚さ0.1mmの離型紙を1巻きずつ2枚巻いた外
径150mmの鉄製マンドレルに、実施例3と同様にし
て炭素繊維の巻き付けを行なった。炭素繊維がマンドレ
ルにきつく巻き付いており、マンドレルの引き抜きをす
ることはできなかった。150°Cで1時間熱処理を行
なったが、変化は見られなかった。そこで脱芯機を用い
てマンドレルの引き抜きを試みたところ、管体は破壊し
てしまった。
【0044】(第四の実施形態)第二の実施形態と同様
にして、外径150mmのマンドレルに発泡ポリエチレ
ンシートと離型紙とを巻いておく。CFRP(炭素繊維
強化プラスチック)製の管体を製造するべく、エポキシ
樹脂が入った含浸槽をマンドレルの手前の位置に配置
し、炭素繊維(東レ(株)製、T300)をその中に通
してエポキシ樹脂をこの炭素繊維に付着させながら、角
度60度で3mmの厚さ、更に90度で3mmの厚さに
フィラメントワインディング法で巻き付けを行ない、軸
方向の長さが200mmの管体を形成した。得られた管
体をマンドレル上に保持したままオーブン中に入れ、オ
ーブン内の温度を1°C/分の速度で昇温し、150°
Cで3時間保持し、エポキシ樹脂を硬化させると同時に
発泡ポリエチレンシートを収縮させたところ、脱芯機を
使用しなくても僅かな力でマンドレルの引き抜きを行な
うことができた。
【0045】比較例3 CFRP製管体を製造するべく、厚さ0.1mmの離型
紙を1巻きずつ2枚巻いた外径150mmの鉄製マンド
レルを用い、実施例4と同様にしてフィラメントワイン
ディング法による炭素繊維の巻き付けをした後、加熱硬
化を行なった。その結果、脱芯機を使用しないとマンド
レルの引き抜きを行なうことは出来なかった。
【0046】
【発明の効果】本発明の方法によれば、マンドレルの上
に繊維束を巻き付けることにより製造した管体は、繊維
のみからなる管体のように強度が低くても容易にマンド
レルの引き抜きを行なうことができる。また、FRPや
CFRPの場合にも脱芯機などマンドレルの引き抜きの
ための特別な装置を必要とすることがなく、マンドレル
の引き抜き作業も容易に行なうことができるので、管体
の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施形態の製造方法で形成し
た管体の断面図
【符号の説明】
1…マンドレル、2…熱収縮性シート、3…炭素繊維
(繊維束)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:04 105:08 B29L 23:00 (72)発明者 島田 政紀 東京都千代田区大手町2−6−3、新日本 製鐵株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マンドレルの周りに所定の温度で収縮す
    る熱収縮性シートを巻き付け、その上に繊維束を巻き付
    けて管体を形成し、次いで前記熱収縮性シートの外側に
    形成されたこの管体を前記熱収縮性シートが収縮する温
    度以上に加熱して前記熱収縮性シートを収縮させること
    により該熱収縮性シートの外側表面と管体の内側表面と
    を離間させた後、前記管体から前記マンドレルを引き抜
    くことを特徴とする、管体の製造方法。
  2. 【請求項2】 繊維束はマトリックス材料又はマトリッ
    クス原料を含む液に含浸した後に巻き付ける、請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 熱収縮性シートは発泡倍率が5〜10倍
    の発泡ポリエチレン又は発泡ポリプロピレンからなるシ
    ートである、請求項1又は2に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009210266A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Ibiden Co Ltd 管状体
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