JPH06278671A - 自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ及びその製造方法 - Google Patents
自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ及びその製造方法Info
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- JPH06278671A JPH06278671A JP2694592A JP2694592A JPH06278671A JP H06278671 A JPH06278671 A JP H06278671A JP 2694592 A JP2694592 A JP 2694592A JP 2694592 A JP2694592 A JP 2694592A JP H06278671 A JPH06278671 A JP H06278671A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 軽量で、高強度で、外径が一定で、両端部の
肉厚が厚く中央部の肉厚が薄い形状であり、かつパイプ
の端部においてパイプ内径が拡がることを防止し、同時
に最大曲げモーメントを持つ自転車フレーム用繊維強化
熱硬化性樹脂製パイプ自体及びその製造方法を提供す
る。 【構成】 一定の外径を持つ金属製マンドレル1の中央
部から両端部に向かう位置にわたって自己離型性材料2
を配し、該自己離型性材料2を配されたマンドレルに繊
維強化熱硬化性樹脂プリプレグを外径が一定となるよう
に巻回積層し、硬化成形し、金属製マンドレル1を脱芯
し、自己離型性材料2を除去することにより、外径が一
定で、両端部の肉厚が厚く、中央部の肉厚が薄い形状で
あり、かつ、該パイプ両端の肉厚部分において強化繊維
がパイプの軸方向及び周方向に配向されて強化された本
発明の繊維強化熱硬化性樹脂製パイプを得る。
肉厚が厚く中央部の肉厚が薄い形状であり、かつパイプ
の端部においてパイプ内径が拡がることを防止し、同時
に最大曲げモーメントを持つ自転車フレーム用繊維強化
熱硬化性樹脂製パイプ自体及びその製造方法を提供す
る。 【構成】 一定の外径を持つ金属製マンドレル1の中央
部から両端部に向かう位置にわたって自己離型性材料2
を配し、該自己離型性材料2を配されたマンドレルに繊
維強化熱硬化性樹脂プリプレグを外径が一定となるよう
に巻回積層し、硬化成形し、金属製マンドレル1を脱芯
し、自己離型性材料2を除去することにより、外径が一
定で、両端部の肉厚が厚く、中央部の肉厚が薄い形状で
あり、かつ、該パイプ両端の肉厚部分において強化繊維
がパイプの軸方向及び周方向に配向されて強化された本
発明の繊維強化熱硬化性樹脂製パイプを得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽量で高強度の自転車
フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ及びその製造
方法に関するものである。
フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自転車フレームは、各パイプをラグと呼
ばれる金属エンドに溶接、あるいは接着して製作され
る。このため各パイプにかかる荷重は、ラグを介しての
み作用し、その曲げモーメントはパイプの両端部で最大
になる。そのために自転車フレーム用パイプは、その両
端部ではこの最大モーメントに耐えられる肉厚が必要と
なるが、中央部では曲げモーメントが小さいのでそのよ
うな肉厚は不要である。したがって、鋼管製の自転車フ
レームパイプでは接合部分の両端の肉厚を厚く、中央部
分を薄くしたパイプが実用化されている。
ばれる金属エンドに溶接、あるいは接着して製作され
る。このため各パイプにかかる荷重は、ラグを介しての
み作用し、その曲げモーメントはパイプの両端部で最大
になる。そのために自転車フレーム用パイプは、その両
端部ではこの最大モーメントに耐えられる肉厚が必要と
なるが、中央部では曲げモーメントが小さいのでそのよ
うな肉厚は不要である。したがって、鋼管製の自転車フ
レームパイプでは接合部分の両端の肉厚を厚く、中央部
分を薄くしたパイプが実用化されている。
【0003】繊維強化熱硬化性樹脂製パイプは軽量で高
強度であるため自転車用のフレームに検討されている。
ところで、繊維強化熱硬化性樹脂製パイプの製造方法
は、通常、金属製のマンドレルに繊維強化熱硬化性樹脂
プリプレグを巻き付けることにより積層し、硬化成形
し、マンドレルを脱芯することにより行っている。しか
しながら、上記鋼管製のような両端が肉厚形状のパイプ
を繊維強化熱硬化性樹脂を用いて製造するには、マンド
レルを脱芯することができず、成形が困難であった。こ
のため繊維強化熱硬化性樹脂製パイプは、材料の持つ高
い比強度、比弾性を生かしきれず、充分な軽量化効果を
得ることがきなかった。
強度であるため自転車用のフレームに検討されている。
ところで、繊維強化熱硬化性樹脂製パイプの製造方法
は、通常、金属製のマンドレルに繊維強化熱硬化性樹脂
プリプレグを巻き付けることにより積層し、硬化成形
し、マンドレルを脱芯することにより行っている。しか
しながら、上記鋼管製のような両端が肉厚形状のパイプ
を繊維強化熱硬化性樹脂を用いて製造するには、マンド
レルを脱芯することができず、成形が困難であった。こ
のため繊維強化熱硬化性樹脂製パイプは、材料の持つ高
い比強度、比弾性を生かしきれず、充分な軽量化効果を
得ることがきなかった。
【0004】また、自転車用繊維強化熱硬化性樹脂製パ
イプを金属エンドに取り付ける場合、接着剤により固定
する方法や、冷やしばめにより固定する方法がとられて
いる。このような方法で取り付けた場合、繊維強化熱硬
化性樹脂製パイプは、金属エンド固定部に比較して弾性
率が低いために、金属エンドにより伝わる荷重がパイプ
端部への局所荷重となり、パイプ内径を押し広げ破壊す
ることがあった。
イプを金属エンドに取り付ける場合、接着剤により固定
する方法や、冷やしばめにより固定する方法がとられて
いる。このような方法で取り付けた場合、繊維強化熱硬
化性樹脂製パイプは、金属エンド固定部に比較して弾性
率が低いために、金属エンドにより伝わる荷重がパイプ
端部への局所荷重となり、パイプ内径を押し広げ破壊す
ることがあった。
【0005】このような繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ
端部の破損を防止するためにパイプ端部を補強すること
が行われている。例えば、1.強化繊維を繊維強化熱硬化
性樹脂製パイプの周方向に配向した層を繊維強化熱硬化
性樹脂製パイプ内層全面に設ける方法、2.繊維強化熱硬
化性樹脂製パイプの両端の外周に肉厚の補強部を設ける
方法、3.繊維強化熱硬化性樹脂製パイプの両端部に金属
製の補強リングを設置する方法(特開平1−28978
2号公報)等が知られている。
端部の破損を防止するためにパイプ端部を補強すること
が行われている。例えば、1.強化繊維を繊維強化熱硬化
性樹脂製パイプの周方向に配向した層を繊維強化熱硬化
性樹脂製パイプ内層全面に設ける方法、2.繊維強化熱硬
化性樹脂製パイプの両端の外周に肉厚の補強部を設ける
方法、3.繊維強化熱硬化性樹脂製パイプの両端部に金属
製の補強リングを設置する方法(特開平1−28978
2号公報)等が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記1の方法によれ
ば、強化繊維を周方向に配向した層を繊維強化熱硬化性
樹脂製パイプ内層全面に設けることにより、パイプ端部
内径の押し広げを防止し、接合強度向上の効果は得られ
るが、パイプ中央部の周方向強化層は端部強度向上には
不要であり、この余分な層の形成により軽量化効果が損
なわれるという問題点があった。
ば、強化繊維を周方向に配向した層を繊維強化熱硬化性
樹脂製パイプ内層全面に設けることにより、パイプ端部
内径の押し広げを防止し、接合強度向上の効果は得られ
るが、パイプ中央部の周方向強化層は端部強度向上には
不要であり、この余分な層の形成により軽量化効果が損
なわれるという問題点があった。
【0007】上記2の方法では、パイプ接合部において
外側が肉厚になるため、繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ
の外径が一定でなくなり、補強部において段差が生じ外
観上好ましくないという問題があった。さらに段差部に
おいて、パイプの破断が生じやすいという問題があっ
た。上記3の方法によれば、補強効果も大きく、外径も
一定のパイプが得られるが、金属製リングの厚みの分だ
け曲げモーメントを受け持つ軸方向強化繊維層の厚さが
削られる。その結果、元来両端部に集中する曲げモーメ
ントを中央部分よりも薄い両端部の軸方向強化繊維層で
受け持つこととなり、そのために曲げ破壊を起こす原因
となるという問題点があった。さらに、金属製リング
は、その比重が大きいことから軽量化効果が損なわれる
という問題点があった。
外側が肉厚になるため、繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ
の外径が一定でなくなり、補強部において段差が生じ外
観上好ましくないという問題があった。さらに段差部に
おいて、パイプの破断が生じやすいという問題があっ
た。上記3の方法によれば、補強効果も大きく、外径も
一定のパイプが得られるが、金属製リングの厚みの分だ
け曲げモーメントを受け持つ軸方向強化繊維層の厚さが
削られる。その結果、元来両端部に集中する曲げモーメ
ントを中央部分よりも薄い両端部の軸方向強化繊維層で
受け持つこととなり、そのために曲げ破壊を起こす原因
となるという問題点があった。さらに、金属製リング
は、その比重が大きいことから軽量化効果が損なわれる
という問題点があった。
【0008】そこで本発明は、軽量で、高強度で、外径
が一定で、両端部の肉厚が厚く中央部の肉厚が薄い形状
であり、かつパイプの両端部分の強化繊維がパイプの軸
方向及び周方向に配向されているため、周方向強化層が
パイプの内径が拡がるのを防止し、同時に軸方向強化層
が肉薄部分の軸方向強化層と併せて曲げモーメントを受
け持つため曲げ応力を小さくできる繊維強化熱硬化性樹
脂製パイプ自体、及びこのような繊維強化熱硬化性樹脂
製パイプの製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
が一定で、両端部の肉厚が厚く中央部の肉厚が薄い形状
であり、かつパイプの両端部分の強化繊維がパイプの軸
方向及び周方向に配向されているため、周方向強化層が
パイプの内径が拡がるのを防止し、同時に軸方向強化層
が肉薄部分の軸方向強化層と併せて曲げモーメントを受
け持つため曲げ応力を小さくできる繊維強化熱硬化性樹
脂製パイプ自体、及びこのような繊維強化熱硬化性樹脂
製パイプの製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るために、本発明は、外径が一定で両端部の肉厚が厚
く、中央部の肉厚が薄い形状の繊維強化熱硬化性樹脂製
パイプであり、かつ、該パイプ両端の肉厚部分において
強化繊維がパイプの軸方向及び周方向に配向されて強化
されたことを特徴とする自転車フレーム用繊維強化熱硬
化性樹脂製パイプとする。
るために、本発明は、外径が一定で両端部の肉厚が厚
く、中央部の肉厚が薄い形状の繊維強化熱硬化性樹脂製
パイプであり、かつ、該パイプ両端の肉厚部分において
強化繊維がパイプの軸方向及び周方向に配向されて強化
されたことを特徴とする自転車フレーム用繊維強化熱硬
化性樹脂製パイプとする。
【0010】本発明の自転車フレーム用繊維強化熱硬化
性樹脂製パイプの製造方法は、一定の外径を持つマンド
レルの中央部から両端部に向かう位置にわたって自己離
型性材料を配し、該自己離型性材料が配されたマンドレ
ルに繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグを巻回積層し、硬
化成形し、マンドレルを脱芯し、自己離型性材料を除去
して製造する。
性樹脂製パイプの製造方法は、一定の外径を持つマンド
レルの中央部から両端部に向かう位置にわたって自己離
型性材料を配し、該自己離型性材料が配されたマンドレ
ルに繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグを巻回積層し、硬
化成形し、マンドレルを脱芯し、自己離型性材料を除去
して製造する。
【0011】本発明の自転車フレーム用繊維強化熱硬化
性樹脂製パイプ及びその製造方法を図面によってさらに
詳細に説明する。図1は本発明の自転車フレーム用繊維
強化硬化性樹脂製パイプの製造工程(a)〜(e)を示
す概念図である。図2は本発明に係るパイプの断面図で
ある。図1において、1は金属製マンドレル、2は自己
離型性材料、3は繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグ巻回
層、4は繊維強化熱硬化性樹脂層である。
性樹脂製パイプ及びその製造方法を図面によってさらに
詳細に説明する。図1は本発明の自転車フレーム用繊維
強化硬化性樹脂製パイプの製造工程(a)〜(e)を示
す概念図である。図2は本発明に係るパイプの断面図で
ある。図1において、1は金属製マンドレル、2は自己
離型性材料、3は繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグ巻回
層、4は繊維強化熱硬化性樹脂層である。
【0012】まず、図1(a)で示す金属性マンドレル
1を用意する。次に、図1(b)で示すように、この金
属性マンドレル1の中央部から両端部に向かう位置にわ
たる金属製マンドレル1上に自己離型性材料2を嵌合、
ラッピング等によって目的の厚さに成形する。この自己
離型性材料2は、その両端部分がテーパ状になってお
り、両端部以外の部分は同じ厚みとなるようにする。こ
の自己離型性材料2には、例えば、熱可塑性樹脂テー
プ、その具体例としてはポリプロピレンテープ、離型処
理が施されたポリエチレンテレフタレートテープ、及び
シリコンゴム等が代表的に使用できるが、プリプレグに
用いられる熱硬化性樹脂の硬化温度に耐えられ、離型性
を有するものであれば如何なるものでも使用できる。
1を用意する。次に、図1(b)で示すように、この金
属性マンドレル1の中央部から両端部に向かう位置にわ
たる金属製マンドレル1上に自己離型性材料2を嵌合、
ラッピング等によって目的の厚さに成形する。この自己
離型性材料2は、その両端部分がテーパ状になってお
り、両端部以外の部分は同じ厚みとなるようにする。こ
の自己離型性材料2には、例えば、熱可塑性樹脂テー
プ、その具体例としてはポリプロピレンテープ、離型処
理が施されたポリエチレンテレフタレートテープ、及び
シリコンゴム等が代表的に使用できるが、プリプレグに
用いられる熱硬化性樹脂の硬化温度に耐えられ、離型性
を有するものであれば如何なるものでも使用できる。
【0013】次に、図1(c)に示すように、マンドレ
ルに繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグを巻回積層して繊
維強化熱硬化性樹脂プリプレグ巻回層3を形成する。こ
のプリプレグを構成する強化繊維には、炭素繊維、ガラ
ス繊維、アラミド繊維、高強力ポリエチレン繊維、ボロ
ン繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、ステンレス繊
維、アモルファス合金繊維から選ばれた1種又は2種以
上を組み合わせて使用できる。また、これらのプリプレ
グを構成するマトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂に
は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエ
ステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、架橋ポ
リエステルアミド樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂から
選ばれた1種又は2種以上の組み合わせが使用できる。
ルに繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグを巻回積層して繊
維強化熱硬化性樹脂プリプレグ巻回層3を形成する。こ
のプリプレグを構成する強化繊維には、炭素繊維、ガラ
ス繊維、アラミド繊維、高強力ポリエチレン繊維、ボロ
ン繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、ステンレス繊
維、アモルファス合金繊維から選ばれた1種又は2種以
上を組み合わせて使用できる。また、これらのプリプレ
グを構成するマトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂に
は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエ
ステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、架橋ポ
リエステルアミド樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂から
選ばれた1種又は2種以上の組み合わせが使用できる。
【0014】また、前記繊維強化熱硬化性樹脂プリプレ
グの形態としては、一方向プリプレグ、織物プリプレ
グ、編物プリプレグ、組紐プリプレグ、ストランドプリ
プレグから選ばれた1種又は2種以上の組み合わせが使
用できる。これらプリプレグはその形態によって積層方
法が異なる。特に、マンドレル上に自己離型性材料が配
されているため、プリプレグが積層されるべきマンドレ
ルに段差が形成されているのと同じ状態となっている。
この段差部分に対して予め、テーパーカットしたプリプ
レグを巻回積層するか、或いはストランドプリプレグを
フィラメントワインドするか、或いは組紐プリプレグを
被せる等によって段差部分を無くすように均一にしてお
き、その後、設計された形状に上記プリプレグを巻回積
層する。
グの形態としては、一方向プリプレグ、織物プリプレ
グ、編物プリプレグ、組紐プリプレグ、ストランドプリ
プレグから選ばれた1種又は2種以上の組み合わせが使
用できる。これらプリプレグはその形態によって積層方
法が異なる。特に、マンドレル上に自己離型性材料が配
されているため、プリプレグが積層されるべきマンドレ
ルに段差が形成されているのと同じ状態となっている。
この段差部分に対して予め、テーパーカットしたプリプ
レグを巻回積層するか、或いはストランドプリプレグを
フィラメントワインドするか、或いは組紐プリプレグを
被せる等によって段差部分を無くすように均一にしてお
き、その後、設計された形状に上記プリプレグを巻回積
層する。
【0015】本発明の繊維強化熱硬化性樹脂製パイプの
両端の肉厚部分において、強化繊維の配向は、繊維強化
熱硬化性樹脂製パイプ両端部の接合強度及びパイプ全体
にかかる曲げモーメントを考慮して、繊維強化熱硬化性
樹脂製パイプの軸方向及び周方向に配向して積層するこ
とが必要である。その理由は、周方向強化層がエンド部
材挿入時にパイプ内側からかかる内圧増加による要因と
自転車使用時の振動と衝撃によるエンド部におけるパイ
プ内側から局所荷重による要因とから、パイプの拡張に
よる破損を防ぐ効果があるために、パイプとエンド部材
との接合強度を高めることができるからである。このた
め周方向強化層の繊維角度はパイプ軸に対して±75°
〜90°が好ましく、より好ましくは±85°〜90°
が好ましい。軸方向強化層は両端部にかかる最大曲げモ
ーメントを、薄肉部の軸方向強化層と併せて受け持つた
め曲げ応力を減少させることができる。このため軸方向
強化層の繊維角度はパイプ軸に対して±15°以内が好
ましく、より好ましくは±5°以内が望ましい。中央の
薄肉部を構成する部分の積層構成はパイプに必要とされ
る曲げ剛性、ねじり剛性を考慮してパイプの軸方向及び
/または軸に対して±45°方向に適宜積層することが
好ましい。
両端の肉厚部分において、強化繊維の配向は、繊維強化
熱硬化性樹脂製パイプ両端部の接合強度及びパイプ全体
にかかる曲げモーメントを考慮して、繊維強化熱硬化性
樹脂製パイプの軸方向及び周方向に配向して積層するこ
とが必要である。その理由は、周方向強化層がエンド部
材挿入時にパイプ内側からかかる内圧増加による要因と
自転車使用時の振動と衝撃によるエンド部におけるパイ
プ内側から局所荷重による要因とから、パイプの拡張に
よる破損を防ぐ効果があるために、パイプとエンド部材
との接合強度を高めることができるからである。このた
め周方向強化層の繊維角度はパイプ軸に対して±75°
〜90°が好ましく、より好ましくは±85°〜90°
が好ましい。軸方向強化層は両端部にかかる最大曲げモ
ーメントを、薄肉部の軸方向強化層と併せて受け持つた
め曲げ応力を減少させることができる。このため軸方向
強化層の繊維角度はパイプ軸に対して±15°以内が好
ましく、より好ましくは±5°以内が望ましい。中央の
薄肉部を構成する部分の積層構成はパイプに必要とされ
る曲げ剛性、ねじり剛性を考慮してパイプの軸方向及び
/または軸に対して±45°方向に適宜積層することが
好ましい。
【0016】以上のようにしてマンドレル1に繊維強化
熱硬化性樹脂プリプレグをレイアップして繊維強化熱硬
化性樹脂プリプレグ巻回層3が形成されたパイプ状予備
成形体(プリフォーム)を得、パイプ形成の常法に従
い、このパイプ状予備成形体の外周にポリプロピレン又
は離型処理済ポリエチレンテレフタレート等のテープを
巻付け、次いで加熱処理してマトリックス樹脂を硬化さ
せて、繊維強化熱硬化性樹脂層4を得る。その加熱処理
温度はマトリックス樹脂の組成、種類によって決められ
る。加熱処理装置としては、熱風循環式の熱処理炉等が
使用される。
熱硬化性樹脂プリプレグをレイアップして繊維強化熱硬
化性樹脂プリプレグ巻回層3が形成されたパイプ状予備
成形体(プリフォーム)を得、パイプ形成の常法に従
い、このパイプ状予備成形体の外周にポリプロピレン又
は離型処理済ポリエチレンテレフタレート等のテープを
巻付け、次いで加熱処理してマトリックス樹脂を硬化さ
せて、繊維強化熱硬化性樹脂層4を得る。その加熱処理
温度はマトリックス樹脂の組成、種類によって決められ
る。加熱処理装置としては、熱風循環式の熱処理炉等が
使用される。
【0017】マトリックス樹脂の硬化後、図1(d)に
示すように、常法により徐冷し、金属製マンドレル1を
脱芯する。脱芯後、図1(e)に示すように、繊維強化
熱硬化性樹脂層4から自己離型性材料2を適当な器具に
よって掻き出すか、或いは、水流、空気流等を使用し、
除去して、本発明の自転車フレーム用繊維強化熱硬化性
樹脂製パイプを得る。
示すように、常法により徐冷し、金属製マンドレル1を
脱芯する。脱芯後、図1(e)に示すように、繊維強化
熱硬化性樹脂層4から自己離型性材料2を適当な器具に
よって掻き出すか、或いは、水流、空気流等を使用し、
除去して、本発明の自転車フレーム用繊維強化熱硬化性
樹脂製パイプを得る。
【0018】
【実施例1】外径24.3mm×長さ1000mmのマ
ンドレル中央部に、シリコンゴムからなる自己離型性材
料を、厚さ0.4mm×長さ200mmの均一な厚み部
分と、その両端に長さ100mmで厚さが0.4mmか
ら漸次0mmにまで減少したテーパー部分とになるよう
に配置した。
ンドレル中央部に、シリコンゴムからなる自己離型性材
料を、厚さ0.4mm×長さ200mmの均一な厚み部
分と、その両端に長さ100mmで厚さが0.4mmか
ら漸次0mmにまで減少したテーパー部分とになるよう
に配置した。
【0019】該シリコンゴムからマンドレルの両端方向
にそれぞれ100mmの巾の位置に、ガラス繊維織物
〔WE18K:商品名,日東紡績(株)製〕にフェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを
繊維方向が0°/90°になるように、0.2mm厚さ
で1層だけ巻回積層する。さらに高強度炭素繊維束[ベ
スファイト:商品名,東邦レーヨン(株)製、7μm×
6000本]を一方向に引揃え、これにフェノールノボ
ラック型エポキシ樹脂を、Vf60%になるように含浸
させた一方向プリプレグをシリコンゴムと同じ厚さにな
るように0.2mm厚さにマンドレル軸に対し0°方向
に巻回積層した。
にそれぞれ100mmの巾の位置に、ガラス繊維織物
〔WE18K:商品名,日東紡績(株)製〕にフェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを
繊維方向が0°/90°になるように、0.2mm厚さ
で1層だけ巻回積層する。さらに高強度炭素繊維束[ベ
スファイト:商品名,東邦レーヨン(株)製、7μm×
6000本]を一方向に引揃え、これにフェノールノボ
ラック型エポキシ樹脂を、Vf60%になるように含浸
させた一方向プリプレグをシリコンゴムと同じ厚さにな
るように0.2mm厚さにマンドレル軸に対し0°方向
に巻回積層した。
【0020】次いで全体の長さ600mmにマンドレル
の軸に対し0°方向に外径が25.9mmになるように
0.4mm厚さに一方向プリプレグを巻回積層した。こ
のようにして、プリプレグをマンドレルに積層した予備
成形体に、ポリプロピレンテープを巻付けた後、130
℃に設定された熱風循環式乾燥機内で2時間、加熱硬化
せしめた後、マンドレルを脱芯し、次に、硬化成形管状
体からシリコンゴムを取り除いて、長さ600mm、外
径25.9mm、両端部肉厚0.8mm、中央部肉厚
0.4mm、重さ44.4gの両端部肉厚、中央部薄肉
の自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプを得
た。このパイプは図2に示す断面形状であった。
の軸に対し0°方向に外径が25.9mmになるように
0.4mm厚さに一方向プリプレグを巻回積層した。こ
のようにして、プリプレグをマンドレルに積層した予備
成形体に、ポリプロピレンテープを巻付けた後、130
℃に設定された熱風循環式乾燥機内で2時間、加熱硬化
せしめた後、マンドレルを脱芯し、次に、硬化成形管状
体からシリコンゴムを取り除いて、長さ600mm、外
径25.9mm、両端部肉厚0.8mm、中央部肉厚
0.4mm、重さ44.4gの両端部肉厚、中央部薄肉
の自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプを得
た。このパイプは図2に示す断面形状であった。
【0021】このパイプを片持ち梁で支持し、先端に1
0kgの荷重を加えた時の先端部の変位を測定した結果
は18.6mmであった。また10kgの荷重を加えた
時のこのパイプにかかる最大曲げ応力を計算すると1
9.5kg/mm2 となる。これらの結果を後記の表1
に示す。
0kgの荷重を加えた時の先端部の変位を測定した結果
は18.6mmであった。また10kgの荷重を加えた
時のこのパイプにかかる最大曲げ応力を計算すると1
9.5kg/mm2 となる。これらの結果を後記の表1
に示す。
【0022】
【実施例2】自己離型性材料としてポリプロピレンテー
プを巻回積層した以外は実施例1と同様にしてガラス織
物プリプレグ、炭素繊維一方向プリプレグを巻回積層し
て、加熱硬化、脱芯して後、硬化成形管状体からポリプ
ロピレンテープを除去して、長さ600mm、外径2
5.9mm、両端部肉厚0.8mm、中央部肉厚0.4
mm、重さ45gである図2と同じ形状のパイプを得
た。このパイプの片持ち梁での先端部変位を実施例1記
載と同じ条件で測定した結果、18.8mmであった。
また10kgの荷重を加えた時のこのパイプにかかる最
大曲げ応力を計算すると、19.5kg/mm2 とな
る。これらの結果を後記の表1に示す。
プを巻回積層した以外は実施例1と同様にしてガラス織
物プリプレグ、炭素繊維一方向プリプレグを巻回積層し
て、加熱硬化、脱芯して後、硬化成形管状体からポリプ
ロピレンテープを除去して、長さ600mm、外径2
5.9mm、両端部肉厚0.8mm、中央部肉厚0.4
mm、重さ45gである図2と同じ形状のパイプを得
た。このパイプの片持ち梁での先端部変位を実施例1記
載と同じ条件で測定した結果、18.8mmであった。
また10kgの荷重を加えた時のこのパイプにかかる最
大曲げ応力を計算すると、19.5kg/mm2 とな
る。これらの結果を後記の表1に示す。
【0023】〔比較例1〕(自己離型性材料不使用の製
造例) 外径24.5mm、長さ1000mmのマンドレル上
に、実施例1記載と同じガラス織物プリプレグを0°/
90°方向に1層0.2mm厚さに積層し、さらに一方
向プリプレグを軸方向に対し0°方向に外径25.9m
mになるように0.5mm厚さに巻回積層し、130℃
で、2時間加熱硬化して後、脱芯して外径25.9m
m、長さ600mm、肉厚0.7mm、重さ55gのパ
イプを得た。このパイプの断面形状を図3に示す。
造例) 外径24.5mm、長さ1000mmのマンドレル上
に、実施例1記載と同じガラス織物プリプレグを0°/
90°方向に1層0.2mm厚さに積層し、さらに一方
向プリプレグを軸方向に対し0°方向に外径25.9m
mになるように0.5mm厚さに巻回積層し、130℃
で、2時間加熱硬化して後、脱芯して外径25.9m
m、長さ600mm、肉厚0.7mm、重さ55gのパ
イプを得た。このパイプの断面形状を図3に示す。
【0024】このパイプを実施例1に記載の方法により
先端部変位を測定した結果、18.3mmであった。ま
た10kgの荷重を加えた時のこのパイプにかかる最大
曲げ応力を計算すると、23.3kg/mm2 となっ
た。これらの結果を表1に示す。
先端部変位を測定した結果、18.3mmであった。ま
た10kgの荷重を加えた時のこのパイプにかかる最大
曲げ応力を計算すると、23.3kg/mm2 となっ
た。これらの結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1から明らかな如く、本発明の両端部が
肉厚で中央部が薄肉のパイプは肉厚一定のストレートパ
イプよりも大巾に軽量になっているにもかかわらず、片
持ち梁での先端部変位量は同等であり、また曲げ応力も
小さいパイプとなっていることがわかる。
肉厚で中央部が薄肉のパイプは肉厚一定のストレートパ
イプよりも大巾に軽量になっているにもかかわらず、片
持ち梁での先端部変位量は同等であり、また曲げ応力も
小さいパイプとなっていることがわかる。
【0027】
【発明の効果】本発明の自転車フレーム用繊維強化熱硬
化性樹脂製パイプは、外径が一定で、両端部の肉厚が厚
く、中央部の肉厚が薄い形状の繊維強化熱硬化性樹脂製
パイプであり、かつ、該パイプ両端の肉厚部分において
強化繊維がパイプの軸方向及び周方向に配向されて形成
されているので、パイプの接合強度が高く、周方向強化
層がパイプの内径が拡がるのを防止し、同時に軸方向強
化層が肉薄部分の軸方向強化層と併せて曲げモーメント
を受け持つため曲げ応力を小さくでき、先端に荷重をか
けた時の変位が、同等の肉厚一定のストレートパイプよ
りも大巾に軽量で、安全係数の大きい自転車フレーム用
繊維強化熱硬化性樹脂製パイプとすることができる。
化性樹脂製パイプは、外径が一定で、両端部の肉厚が厚
く、中央部の肉厚が薄い形状の繊維強化熱硬化性樹脂製
パイプであり、かつ、該パイプ両端の肉厚部分において
強化繊維がパイプの軸方向及び周方向に配向されて形成
されているので、パイプの接合強度が高く、周方向強化
層がパイプの内径が拡がるのを防止し、同時に軸方向強
化層が肉薄部分の軸方向強化層と併せて曲げモーメント
を受け持つため曲げ応力を小さくでき、先端に荷重をか
けた時の変位が、同等の肉厚一定のストレートパイプよ
りも大巾に軽量で、安全係数の大きい自転車フレーム用
繊維強化熱硬化性樹脂製パイプとすることができる。
【図1】本発明の自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹
脂製パイプの製造工程(a)〜(e)を示す概念図。
脂製パイプの製造工程(a)〜(e)を示す概念図。
【図2】実施例1及び2で得られた自転車フレーム用繊
維強化熱硬化性樹脂製パイプの断面図。
維強化熱硬化性樹脂製パイプの断面図。
【図3】比較例1による肉厚一定のストレートパイプの
断面図。
断面図。
1 金属製マンドレル 2 自己離型性材料 3 繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグ巻回層 4 繊維強化熱硬化性樹脂層
Claims (2)
- 【請求項1】 外径が一定で、両端部の肉厚が厚く、中
央部の肉厚が薄い形状の繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ
であり、かつ、該パイプ両端の肉厚部分において強化繊
維がパイプの軸方向及び周方向に配向されて強化された
ことを特徴とする自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹
脂製パイプ。 - 【請求項2】 一定の外径を持つマンドレルの中央部か
ら両端部に向かう位置にわたって自己離型性材料を配
し、該自己離型性材料が配されたマンドレルに繊維強化
熱硬化性樹脂プリプレグを外径が一定となるように巻回
積層し、硬化成形し、マンドレルを脱芯し、自己離型性
材料を除去することを特徴とする自転車フレーム用繊維
強化熱硬化性樹脂製パイプの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2694592A JPH06278671A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | 自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2694592A JPH06278671A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | 自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06278671A true JPH06278671A (ja) | 1994-10-04 |
Family
ID=12207296
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2694592A Pending JPH06278671A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | 自転車フレーム用繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06278671A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012111135A (ja) * | 2010-11-25 | 2012-06-14 | Tenryu Composite Co Ltd | 中空材の製造方法、及びこれに使用する肉取板 |
CN104276245A (zh) * | 2014-09-01 | 2015-01-14 | 张红明 | 一种酚醛硬质泡沫缠绕加胶玻璃纤维车架及其制备方法 |
KR20150137238A (ko) * | 2014-05-28 | 2015-12-09 | 주식회사 티포엘 | 복합소재를 이용한 자전거 프레임 및 그 제조방법 |
CN105605332A (zh) * | 2016-01-21 | 2016-05-25 | 中国石油大学(北京) | 一种基于碳纤维的穿越活动断层区管道增强圈 |
KR101692905B1 (ko) * | 2015-08-17 | 2017-01-17 | 에이치엘비 주식회사 | Gre 파이프 및 상기 gre 파이프의 제조방법 |
-
1992
- 1992-02-13 JP JP2694592A patent/JPH06278671A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012111135A (ja) * | 2010-11-25 | 2012-06-14 | Tenryu Composite Co Ltd | 中空材の製造方法、及びこれに使用する肉取板 |
KR20150137238A (ko) * | 2014-05-28 | 2015-12-09 | 주식회사 티포엘 | 복합소재를 이용한 자전거 프레임 및 그 제조방법 |
CN104276245A (zh) * | 2014-09-01 | 2015-01-14 | 张红明 | 一种酚醛硬质泡沫缠绕加胶玻璃纤维车架及其制备方法 |
KR101692905B1 (ko) * | 2015-08-17 | 2017-01-17 | 에이치엘비 주식회사 | Gre 파이프 및 상기 gre 파이프의 제조방법 |
CN105605332A (zh) * | 2016-01-21 | 2016-05-25 | 中国石油大学(北京) | 一种基于碳纤维的穿越活动断层区管道增强圈 |
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