JP2958920B2 - 複合ローラおよびその製造方法 - Google Patents

複合ローラおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複合ローラおよびその製
造方法に係り、とくに外側が金属パイプから成るととも
に、その内側に繊維強化樹脂を複合した複合ローラとそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、比強度・比剛性に優れた繊維
強化樹脂は、その優れた特性を活かして、ロール状に成
形され、例えば巻取りシャフト、エアシャフト、ガイド
ローラ等に採用されている。しかし繊維強化樹脂表面を
そのままローラの表面として用いることは、繊維強化樹
脂の機械加工後の表面粗度が金属に比べて著しく劣るた
めに、実用上問題があった。
【0003】このようなことから、現在までに繊維強化
樹脂の表面に何等かの処理を施すことが提案されてい
る。すなわち繊維強化樹脂の表面にメッキ加工を行なっ
たり、繊維強化樹脂ローラの外側に金属パイプを圧入
し、接着剤を用いて両者を接着したり、金属パイプの内
側へ繊維強化樹脂を貼付けたりすることが試みられてい
る。
【0004】とくに繊維強化樹脂の表面にメッキを施す
方法については、特開平5−171494号公報、特開
平5−286057号公報、特開平4−175150号
公報等によって多くの提案がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに繊維強化樹脂
にメッキを施す場合に、多くの必須のメッキ処理工程が
存在し、作業性が劣るとともに、コストアップの問題を
生ずる。また繊維強化樹脂の表面に形成されたメッキは
その密着力が通常の金属の表面に形成されたメッキに比
較してかなり低いという問題がある。
【0006】金属パイプを繊維強化樹脂ローラの外側に
圧入する方法は、金属パイプの内径と繊維強化樹脂ロー
ラの外径の公差が小さい高精度の加工が必要となり、こ
れによってコストアップの問題がある。金属パイプと繊
維強化樹脂ローラとを接着剤を用いて接着する方法は、
金属パイプの圧入と同様な理由によってコストアップの
問題がある。また接着代が両者の間に存在するために、
偏芯や接着強度の面において問題がある。
【0007】特開昭55−20965号公報による金属
パイプの内側へ繊維強化樹脂を貼付ける方法は、金属パ
イプに対して軸方向の補強を行なうものであって、金属
パイプとの接着力の向上はある程度見込まれるが、繊維
強化樹脂層は同一軸方向により形成されているために、
熱収縮による繊維強化樹脂層内でのクラックおよび金属
パイプとの剥離の問題がある。また薄肉の金属パイプを
使用することは、成形時の圧力による変形等が発生し、
歩留りの低下を招き、結果的にコストアップの要因にな
る。
【0008】金属パイプと繊維強化樹脂パイプとの一体
成形の方法としては、特開平5−50511号公報等が
存在する。しかし内圧により繊維強化樹脂を外郭に押付
けて成形することは、公知の技術であり、とくに新しい
ものではない。また内部において直径が拡大する内筒体
への繊維強化樹脂の巻付け方向も、周方向に配向された
強化繊維が内筒体の拡大を阻害することになる。従って
軸方向に対して直交する方向、すなわち周方向に配列さ
れた繊維強化樹脂層を配設することができす、要求に対
して自由な繊維配向ができない。この結果最適な設計が
可能な繊維強化樹脂の特性が十分に活かせない欠点があ
る。また繊維強化樹脂層は成形前と成形後の外径の差が
大きいために、成形時の繊維の流動によって当初の繊維
配向が得らず、設計値と相違を生ずる。
【0009】
【発明の目的】本発明は、製造が容易で、しかも内部を
形成する繊維強化樹脂は成形時の繊維配向の乱れが少な
く、また少なくとも最外層および最内層にローラの周方
向に配向した繊維強化樹脂を配設させ、またその内部の
繊維配向を自由に設計でき、金属と繊維強化樹脂とがよ
り強固に接着され、ローラの表面の加工が従来の金属加
工技術で対応可能な、安価でしかも軽量な金属と繊維強
化樹脂から成る複合ローラおよびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る複合ローラ
は、外側が金属パイプから成り、内側が繊維強化樹脂か
ら成る複合ローラであって、上記繊維強化樹脂はローラ
の周方向に配列された連続繊維または短繊維から成る繊
維強化樹脂層を最内層と最外層とに有し、しかも繊維強
化樹脂は金属パイプの内側に成形接着されるようにした
ものである。
【0011】また本発明による複合ローラの製造方法
は、外側が金属パイプから成り、内側が繊維強化樹脂か
ら成る複合ローラの製造方法において、ローラの周方向
に配列された連続繊維または短繊維から成る繊維強化樹
脂層を最内層と最外層に含む積層体を芯部材上に設け、
積層体を外周部に備える上記芯部材を金属パイプ内に挿
入し、芯部材を半径方向外周側に拡張させながら積層体
を加熱成形して金属パイプの内周面に成形接着するよう
にしたものである。
【0012】このような方法において、芯部材は円周方
向に沿って複数枚に分割された押圧板から構成され、こ
れらの押圧板が押圧手段によって半径方向外周側に拡張
されるように構成される。また内側に繊維強化樹脂が成
形接着された金属パイプの表面を切削または研磨するこ
とにより、外層金属が薄肉になる。
【0013】本発明を図面によってより具体的に説明す
る。図1および図2は本発明の複合ローラの一例を示し
ている。この複合ローラは金属パイプ10と、その内側
に成形接着されている繊維強化樹脂11とから構成され
る。しかも繊維強化樹脂11は図3に示すようにその最
内層14と最外層16とがともにこのローラの周方向に
強化繊維を配列した繊維強化樹脂層から構成されるのに
対し、中間層15は軸方向に対して任意の角度に強化繊
維を配列した層から構成されている。
【0014】複合ローラの外側部分を構成している金属
パイプ10は、通常市販されているものが用いられてよ
い。すなわち材質としてはとくに限定されるものではな
く、金属パイプの製造方法についてもとくに限定される
ものではない。好ましくは継目なしパイプが用いられ
る。継目を有するパイプは、内径面に凸状の継目が存在
するために、複合ローラのバランス異常や繊維強化樹脂
との接着異常の原因になる可能性がある。継目ありパイ
プを使用する場合には、予め内径加工を施すのが好まし
い。
【0015】複合ローラの内側を構成している繊維強化
樹脂成形体は、繊維強化樹脂を積層して構成される。強
化繊維は炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミ
ナ繊維、セラミック繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、
高分子量ポリエチレン繊維、高強力ポリアクリレート繊
維、ポリアラミド繊維等である。強化繊維の使用形態は
一方向引き揃えタイプ、平織物、繻子織物、編物、組
紐、ストランド等である。繊維はフィラメント状のもの
を使用することが好ましい。
【0016】このような強化繊維によって強化される樹
脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等
の熱硬化性樹脂が用いられてよい。あるいはまたポリス
ルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、
ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド、芳香
族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテ
ルイミド、ポリアリレンオキシド、熱可塑性ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、
ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が用い
られてよい。
【0017】このような熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性
樹脂は、強化繊維の一方向引き揃え、織物、編物、組
紐、ストランドのプリプレグを1種類または2種類以上
を使用して成形される。
【0018】樹脂の使用量は、成形前の段階で、樹脂を
20〜90重量%含むものが好ましい。とくに好ましく
は、30〜50重量%である。20重量%未満の場合に
は、繊維内への樹脂の未含浸部分が多くなり、強化繊維
同士が干渉するために、物性が低下するとともに金属パ
イプとの接着力が低下する。90重量%を超える場合に
は、プリプレグの取扱い性が悪く、成形時に必要以上の
樹脂をフローさせなければならなくなる。
【0019】成形後の繊維量は、10〜80体積%含む
ものが好ましい。とくに好ましくは40〜60体積%で
ある。10体積%未満の場合には、強化繊維の特性を十
分に発揮できない。80体積%を超えた場合には、繊維
間の樹脂が少なくなり、強化繊維同士が干渉するため
に、物性が低下する。
【0020】複合ローラの内側を構成する繊維強化樹脂
成形体は、図3に示すように、その最内層14と最外層
16とにそれぞれローラの周方向に繊維が配列された層
を備えている。このような最内層14と最外層16と
は、例えば図4に示すような繊維シート17が用いられ
てよい。このような繊維シート17は炭素繊維から成る
短繊維を一方向に引き揃えるとともに、炭素繊維間に介
在する樹脂によって含浸結合させたものである。
【0021】そしてこのようなシート17は図5に示す
ように繊維が周方向に配列されるように巻かれるととも
に、巻始め部分と巻終り部分との端部が10mm程度重
なるようにオーバレイアップされる。これによって半径
方向外周側に拡張されたときにおいても、シート17の
端部が互いに離れないようにする。あるいはまた図6に
示すように、短繊維が周方向に配列されるように円形に
巻かれた繊維シート17を半径方向外周側に拡張させた
ときに、周方向に伸長し、これによって巻始め部分と巻
終り部分とが突合わされた状態を保持し、当該部分に隙
間が生じないようにする。
【0022】最内層14と最外層16における周方向に
配列される繊維の角度は、軸線方向の繊維の角度を0°
とし、周方向の繊維の角度を90°としたときに、70
〜110°の範囲内にシート17内の炭素繊維が配向し
ていればよく、好ましくは80〜100°の範囲内に炭
素繊維が配向していることが好ましい。すなわち必ずし
も最内層14と最外層16の繊維の配向方向が周方向と
全く同一な90°である必要はなく、実質的に同方向に
向うものであればよい。
【0023】従って図7に示すように組紐から成る繊維
シート18を最内層14と最外層16とに用いることが
できる。このような組紐は例えば炭素繊維から構成さ
れ、組紐間を樹脂で含浸させてシートにしたものであ
る。このような組紐から成るシート18は、半径方向外
周側に拡張するように変形されたときに、その内部の繊
維の配向方向が周方向になるように傾斜し、これによっ
て繊維の配向方向が70〜110°の範囲内、より好ま
しくは80〜100°の範囲内に入るようにしたもので
ある。従ってこのような組紐から成るシート18を用い
ると、繊維の配向方向の変更によって半径方向外周側へ
の拡張を吸収することが可能になる。
【0024】このように最内層14と最外層16とに周
方向に繊維が配列された層を有する繊維強化樹脂パイプ
11は例えば図8に示すように、芯棒20の外周部に配
されている押圧板21から成る芯部材上に所定の枚数積
層される。この場合に樹脂の積層体は、金属パイプ10
の内径よりも小さな外径となるように設定される。そし
て芯部材20上に配設された繊維強化樹脂積層体は金属
パイプ10内に挿入される。
【0025】この後に図9および図10に示すように、
例えば芯棒20の長さ方向の両端から拡張コーン25等
を押圧板21と芯棒20との間に強制的に挿入する。拡
張用コーン25はその楔作用によって押圧板21を半径
方向外周側に押し広げるようになり、これによって図9
に示すように、積層体は金属パイプ10の内周面に圧着
される。このように状態において加熱されることによ
り、金属パイプ10の内側に繊維強化樹脂11が成形接
着される。
【0026】芯部材を構成する押圧板21の軸線方向の
中間部分が撓むのを防止するために、図10および図1
1に示すように、この押圧板21の内周側にリブ22を
設け、その断面形状をT字状にするとよい。また拡張用
コーン25を引出したときに押圧板21が半径方向中心
側へ戻るように、この押圧板21は両端が互いに逆向き
の傾斜面23、24を備えるようにしている。従って図
12に示すように拡張された後に、拡張用コーン25を
除去すると、図11に示すように押圧板21はその端部
が折重なるようにして中心側へ収縮される。
【0027】図13に示す芯部材は芯棒20の外周面に
軸線方向に沿って複数の拡張用カム28を備えるととも
に、これらの拡張用カム28に対応し、押圧板21の内
周側であってそのリブ22の内側の端部にはほぼ3角形
をなす被押圧部29が形成されるようになっており、こ
のような被押圧部29が拡張用カム28によって押圧さ
れ、外周側へ拡張されるようになっている。
【0028】半径方向外周側に拡張される芯部材を使用
することは、外側の金属パイプ10の内径を考え、この
パイプ10の内周面と繊維強化樹脂の積層体11との間
に図8に示すような隙間を形成するために必要なことで
ある。芯部材上に積層される繊維強化樹脂の外径を左右
する当初の積層体外周部の外径は、成形前のプリプレグ
の厚みによって容易に求められ、外径が調整可能に拡張
する芯部材によって、その外径を自由に設定できる。
【0029】芯部材上に積層される繊維強化樹脂層の外
径を金属パイプ10の内径、すなわち成形時の外径とほ
ぼ等しくしておくことは、繊維強化樹脂11の成形時の
繊維の流動を最小限に押え、繊維配向の乱れをなくし、
これによって設計値との差異を最小限に押えることが可
能になる。また繊維を周方向に配列した最内層14と最
外層16とを設けても、繊維の流動がこれらの層14、
16において最小限になるために、芯部材の半径方向外
周側への拡張を阻止することがない。
【0030】繊維強化樹脂成形体11の少なくとも最外
層16と最内層14にローラの周方向に配向した繊維強
化樹脂層を配設することは、成形後の繊維強化樹脂層の
周方向の熱収縮を押え、繊維強化樹脂ローラの層内での
クラックの発生を防止する点で効果的である。
【0031】繊維強化樹脂と比較して熱膨張係数が大き
い金属パイプ10内において繊維強化樹脂11を加熱し
て接着成形することは、熱膨張係数が繊維強化樹脂より
も大きな金属パイプ10の成形後の熱収縮によって、熱
圧入と同じ効果をもたせ、これによって金属パイプ10
に対する繊維強化樹脂成形体11のより強固な接着構造
が達成される。換言すれば、繊維強化樹脂を構成する繊
維強化樹脂層の様々な繊維の配向の中で、ローラの周方
向の熱収縮が最小となる周方向の繊維配向を最外層に配
することによって、より大きな熱圧入効果をもたせ、よ
り確実な成形接着を達成することになる。
【0032】このようにして金属パイプ10の内側に繊
維強化樹脂成形体11を複合した複合ローラは、例えば
図14に示すように、その外周側および内周側について
適宜機械加工が施されるとともに、両端にフランジ33
が嵌着される。フランジ33はその中心部に支軸34を
備えている。あるいはまた図15に示すように、中心部
にベアリング嵌合穴35が設けられているフランジ33
が嵌着される。
【0033】
【実施例】
【実施例1】図11に示すように、芯棒20の回りに複
数の押圧板21を有する芯部材を用い、この芯部材21
を図12に示すように拡張コーン25によって所定の外
径に設定した。そしてこのような押圧板21の外周面に
図4に示すような繊維シートから成る繊維強化樹脂プリ
プレグを積層した。用いたプリプレグは、炭素繊維束
(東邦レーヨン株式会社製ベスファイトOR 7μm×
12000本)を一方向に引き揃え、ビスフェノール系
エポキシ樹脂を含浸させたプリプレグである。
【0034】このようなプリプレグを図12に示す押圧
板21上において、ローラの軸方向に対して内層から、
90°−1層/0°−5層/90°−1層/0°−5層
/90°−1層の順に積層した。ここで90°とあるの
は周方向であって、0°とあるのが軸線方向である。こ
のようにして外径が97mmの積層体が押圧板21上に
形成された。
【0035】このような積層体を図8に示すように、内
径が98mmの金属パイプ10内にに挿入した。この金
属パイプ10は一般配管用継目なし鋼パイプである。積
層体は金属パイプ10内にぴったり挿入された。そして
この後に拡張コーン25を図10に示すようにその両端
から中間側へねじの力を利用して圧入することにより、
押圧板21を半径方向外周側に拡張させながら、130
℃で2時間加熱し、熱硬化樹脂プリプレグから成る繊維
強化樹脂11の成形と金属パイプ10の内周面への接着
とを同時に行なった。
【0036】成形後に拡張用コーン25を互いに離間す
るように引き戻し、押圧板21の直径を収縮させ、得ら
れた複合ローラを取外した。この複合ローラは外側の金
属パイプ10と内側の繊維強化樹脂成形体11とが強固
に接着され、繊維配向が乱れておらず、設計通りの特性
を備えている。このような複合ローラはその後に通常実
施されている金属加工と同様な方法で、外側の金属パイ
プ10の外周面の切削・研削加工を施し、その後にハー
ドクロムメッキを施した。そして図14に示すように、
支軸34を有するフランジ33を両端に嵌着して巻取り
ローラを製作した。
【0037】
【実施例2】芯部材として図13に示す構造のものを用
いた。この芯部材は押圧板21の内周側に間欠的に被押
圧部29が設けられるとともに、このような被押圧部2
9を押圧するように芯棒20の外周面上に拡張用カム2
8が間欠的に設けられた構造のものである。
【0038】このような構造の芯部材上に上記第1の実
施例と同様のプリプレグを第1の実施例と同じ仕様で積
層した。これによって外径が97mmの積層体を得、内
径が98mmの金属パイプ10内に挿入し、上記第1の
実施例と同様の条件で加熱することにより、金属パイプ
10の内側に繊維強化樹脂11を成形接着して複合ロー
ラを得た。
【0039】このような複合ローラはこの外側の金属パ
イプ10の外周面を通常の金属のローラと同様に加工を
行ない、さらにクロムメッキを施すとともに、必要に応
じて内側の繊維強化樹脂成形体11の内周面の加工を行
ない、図15に示すように、ベアリング嵌合穴35を備
えるフランジ33を両端に嵌着してガイドローラを製作
した。
【0040】
【発明の効果】本発明に係る複合ローラは、ローラの周
方向に配列された連続繊維または単繊維から成る繊維強
化樹脂層を最内層と最外層とに備える繊維強化樹脂を金
属パイプの内側に成形接着して成るものである。このよ
うな複合ローラによれば、外側が金属パイプから構成さ
れているために、軽量で大きな強度を有するローラを提
供できるようになる。また従来と同様の外径加工を外側
の金属の部分に行なうことが可能になるとともに、必要
に応じてメッキを施すことが可能になる。
【0041】本発明に係る複合ローラの製造方法は、ロ
ーラの周方向に配列された連続繊維または短繊維から成
る繊維強化樹脂層を最内層と最外層に含む積層体を芯部
材上に設け、積層体を外周部に備える芯部材を金属パイ
プ内に挿入し、芯部材を半径方向外周側に拡張させなが
ら積層体を加熱成形して金属パイプの内周面に成形接着
するようにした方法に関するものである。
【0042】このような方法によれば、金属パイプの内
側に直接繊維強化樹脂を成形接着するために、別々に製
作して後から接着等によって結合する必要がなく、製造
工程がシンプルになるとともに、コストの低減を図るこ
とが可能になる。また内側の繊維強化樹脂成形体と外側
の金属パイプとの芯ずれを最小限にすることが可能にな
り、高精度の複合ローラを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合ローラの縦断面図である。
【図2】複合ローラの図1におけるA−A´断面を示す
横断面図である。
【図3】複合ローラの要部拡大横断面図である。
【図4】最内層と最外層とに積層される繊維シートの斜
視図である。
【図5】最内層または最外層を形成する繊維シートの断
面図である。
【図6】最内層または最外層を形成する繊維シートの断
面図である。
【図7】組紐から成るシートを半径方向外周側へ拡張し
たときの変化の状態を示す平面図である。
【図8】積層体を外周部に備える芯部材を金属パイプ内
に挿入した状態の横断面図である。
【図9】芯部材を半径方向外周側に拡張させながら加熱
成形している状態を示す横断面図である。
【図10】同縦断面図である。
【図11】収縮した芯部材の横断面図である。
【図12】所定の寸法まで拡張した芯部材の横断面図で
ある。
【図13】変形例の芯部材を示す縦断面図である。
【図14】出来上った複合ローラの縦断面図である。
【図15】出来上った複合ローラの縦断面図である。
【符号の説明】
10 金属パイプ 11 繊維強化樹脂 14 最内層 15 中間層 16 最外層 17 繊維シート 18 組紐から成るシート 20 芯棒 21 押圧板 22 リブ 23、24 傾斜面 25 拡張用コーン 28 拡張用カム 29 被押圧部 33 フランジ 34 支軸 35 ベアリング嵌合穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 英男 静岡県駿東郡長泉町上土狩字高石234番 地 東邦レーヨン株式会社三島工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16C 13/00 B29C 69/00 B29D 31/00 B29K 105:08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外側が金属パイプから成り、内側に繊維強
    化樹脂が複合された複合ローラであって、 ローラの周方向に配列された連続繊維または短繊維から
    成る繊維強化樹脂層を前記繊維強化樹脂の最内層と最外
    層とに有し、 しかも前記繊維強化樹脂は金属パイプの内側に成形接着
    されている、 ことを特徴とする複合ローラ。
  2. 【請求項2】外側が金属パイプから成り、内側が繊維強
    化樹脂から成る複合ローラの製造方法において、 ローラの周方向に配列された連続繊維または短繊維から
    成る繊維強化樹脂層を最内層と最外層に含む積層体を芯
    部材上に設け、 前記積層体を外周部に備える芯部材を金属パイプ内に挿
    入し、 前記芯部材を半径方向外周側に拡張させながら前記積層
    体を加熱成形して前記金属パイプの内周面に成形接着す
    る、 ようにした複合ローラの製造方法。
  3. 【請求項3】前記芯部材が円周方向に沿って複数枚に分
    割された押圧板から構成され、押圧手段によって半径方
    向外周側に拡張されるようにしたことを特徴とする請求
    項2に記載の複合ローラの製造方法。
  4. 【請求項4】内側に繊維強化樹脂が成形接着された金属
    パイプの表面を切削または研磨して外層金属を薄肉にし
    たことを特徴とする請求項3に記載の複合ローラの製造
    方法。
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