JPH10111623A - 画像形成装置の熱定着器における加熱素子の電力消費量を調整して温度を制御するための装置 - Google Patents

画像形成装置の熱定着器における加熱素子の電力消費量を調整して温度を制御するための装置

Info

Publication number
JPH10111623A
JPH10111623A JP9226188A JP22618897A JPH10111623A JP H10111623 A JPH10111623 A JP H10111623A JP 9226188 A JP9226188 A JP 9226188A JP 22618897 A JP22618897 A JP 22618897A JP H10111623 A JPH10111623 A JP H10111623A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power
filament
voltage
switch
equation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9226188A
Other languages
English (en)
Inventor
Mark Hearst B
ビー・マーク・ハースト
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HP Inc
Original Assignee
Hewlett Packard Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hewlett Packard Co filed Critical Hewlett Packard Co
Publication of JPH10111623A publication Critical patent/JPH10111623A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/80Details relating to power supplies, circuits boards, electrical connections
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Control Of Resistance Heating (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Control Of Electrical Variables (AREA)
  • Dc-Dc Converters (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、電子写真式プリンタ及び複写
機の定着器が提示するフリッカ問題を劇的に低減する装
置を提供することにある。 【解決手段】本装置は、電源(D1)に接続されたインダク
タ(L)を備える。熱定着器(R)が、インダクタに接続さ
れ、コンデンサ(C)が、インダクタ及び電源に接続され
る。スイッチ(M)が、熱定着器、電源、及びコントロー
ラ(113)に接続される。コントローラは、スイッチをタ
ーンオフ、及びターンオンするパルス幅変調(PWM)信号
を制御して温度を維持するために、制御プログラムを実
行する。温度制御システムに、標準LMS(最小平均二
乗)アルゴリズムに類似し、利得スケジューリングと最
大デューティサイクル制限を備えた適応型制御システム
を用いて、新規の電力制御構成と結合することにより、
劇的なフリッカの低減と同時に、全世界仕様の汎用定着
システムが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、電力制御
システムに関し、更に詳細には、抵抗性加熱素子に供給
される電力量を制御すると共に、フリッカを低減する方
法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ほぼ1984年から、低価格のパーソナル・
レーザプリンタが利用できるようになった。現在全世界
で製造されているレーザプリンタの殆どすべては、提案
されているヨーロッパ規制文書IEC555−3に従っ
て測定されるように、過大なフリッカを被っている。フ
リッカは、その輝度又はスペクトル分布が時間と共に変
動する光刺激により誘導される、視覚の不安定さの感じ
と定義される。電力配電システムの場合、フリッカは、
配電システムのインピーダンスと反応する大きな電流変
化の結果であり、これにより電圧変動が生じる。これら
電圧変動は、電圧サグ及びサージの形態をとるが、白熱
灯の光出力を変動させ、蛍光灯を消灯させる可能性があ
る。白熱灯のフリッカは、白熱灯の光子放出が電圧源の
非線形関数であり、電圧偏差があれば白熱灯から放出さ
れる光強度のはるかに大きい偏差を生ずるので、目につ
き易い。光フリッカは、視覚的に刺激があり、又電力シ
ステムに乗る不要な高調波及び過渡電力を表す。
【0003】乾式電子写真式複写機及びプリンタはすべ
て、乾燥トナーを利用して現像を行う。通常のトナー
は、スチレンアクリル樹脂、顔料−通常はカーボンブラ
ック、及びトナーに、静電潜像を現像するための所望の
摩擦帯電性を付与する電荷制御染料、から構成されてい
る。スチレンアクリル樹脂は、熱可塑性樹脂であり、溶
融して、所望の媒体、通常は紙に融着可能である。
【0004】電子写真式プリンタ又は複写機における通
常の融着システムは、二つの加熱プラテンローラを備
え、これらは、現像画像を有する印刷媒体がそれらの間
を通過するとき、トナーを溶融し、融けた熱可塑性樹脂
を圧力により媒体に物理的に融着する。加熱は普通、高
電力のタングステンフィラメント石英水銀灯を、中空の
プラテンローラの内側に配置することにより行われる。
【0005】融着システムにおける加熱素子は、トナー
を媒体に適切に融着するのに十分な熱を与える。融着シ
ステムは、種々の媒体形式、周囲環境の温度変化だけで
なく、相対湿度の劇的変化についても補償しなければな
らない。相対湿度の変化は、印刷媒体及びトナー自身が
共に吸湿性であるため、融着システムに大きく影響す
る。相対湿度が高いと、媒体及びトナー双方の乾燥質量
の大部分が、融着プロセス中に本質的に気化するが、水
分を吸収し、従って媒体に吸着させるためのトナーを溶
融するのに利用できるエネルギ量が減少する。したがっ
て、融着システムは、非常に多様な環境条件ばかりでな
く、様々な媒体要求にも適合しなければならない。
【0006】現在、殆どのプリンタ及び複写機の融着シ
ステム及びそれらの温度制御システムは、様々な媒体形
式又は相対湿度の変化を補償するようには設計されてい
ない。通常の融着システムは、すべての予知される媒体
及び相対湿度条件を処理するのに十分な熱を与えること
ができる加熱素子を用いて設計されており、得られる電
力品質が貧弱になることには、殆ど又は全く関心がな
い。比較的新しいプリンタには、相対湿度センサを利用
して、印刷品位を調節し、又、光学センサを利用して、
紙とオーバヘッド投射用透明紙とを区別するものがあ
る。これら追加のセンサは、画像品質を向上させるため
に印刷機構に付加されているが、温度調整を改善するだ
けでなく、印刷システム全体の電力品質を改善するのに
も、融着器制御システムにより利用可能である。
【0007】更に積極的な仕方で、電子写真式プリンタ
又は複写機の融着システムのインテリジェント制御を行
うべき理由が数多く存在する。第1に、インテリジェン
ト制御を行えば、電力システムに関係なく、世界中のど
んな市場にも出荷可能である汎用融着器を得ることがで
きる。汎用融着器は、世界中のどんな低電圧公共電力シ
ステムにも接続できる融着システムである。第2に、フ
リッカの全く無い汎用融着器には、製造及び現地サービ
スでの双方について、交換に必要な部品が一つだけであ
るという魅力的な利点がある。製造業者は、110VAC
プリンタと220VACプリンタを製造するという重荷か
ら解放される。2種類のサービス部品を在庫する必要性
が省かれると、製品配送センタは、一つの製品だけを備
え、これは、再構成する必要なしに世界のどんな国にも
出荷可能である。販売、配送、及び製造の日程計画に関
する物流戦略の負担が軽減する。予想できるように、全
世界の消費に対して単一機種の製品だけを生産すること
により、大きな財政上の利点を得ることができる。
【0008】全世界で動作する乾式電子写真式融着シス
テムの場合、そのシステムは、50Hzから60Hzまでの周
波数で、90Vrmsから240Vrmsまでを供給するAC電力
システム上で満足に動作できなければならない。融着シ
ステムは、周囲の室温から動作温度まで、可能なかぎり
急速に発熱すると同時に、その消費電力レベルが変化す
る際に現れるフリッカは極めて小さくなければならな
い。融着システムは、電子写真式プリンタの電力電子装
置との釣り合いと結びつけた場合、国際電気委員会(I
EC)の電流高調波及びフリッカに関する規定IEC5
55−2及びIEC555−3に合致しなければならな
い。プリンタは、連邦通信委員会(FCC)の、電力線
伝導放出及び放射線放出に関するクラスB規定に合格し
なければならない。加えて、プリンタは、電力線伝導放
出及び放射線放出に関するCISPR B要求事項に合
格せねばならない。最後に、プリンタは、オフィス環境
において、人間の可聴範囲での過大なマルチトーン又は
単一トーン音響放出により不利を招いてはならない。融
着システムは、EPAエネルギ・スター計画が提示する
ように、エネルギ節約のために、電力低下又は電力遮断
へと切換えができなければならない。追加の電子装置の
絶対的費用は、多数の110VAC及び220VAC機種を在
庫しないというコスト利益を越えない程度に制限され
る。
【0009】融着システムの過渡電力負荷の測定によ
り、ヒューレット・パッカード社の「カラー・レーザジ
ェット」(R) プリンタの低温融着システムは、その融着
システムの融着器フィラメントが発熱し、その熱抵抗が
増大している間、数百ミリ秒間15kWを超える瞬時過渡
電力負荷を電力線にかけることがわかった。初期電力サ
ージが発生し、タングステン加熱フィラメントが動作温
度に近くなってから、動作速度で消費される平均電力
は、約350Wであり、そのピークは950を超える。これら
プリンタの平均アイドル電力も、融着システムのサイク
ルがオン及びオフする際に、約90Wであり、そのピーク
は950Wを超える。融着システムに最初に電力が供給さ
れる際、及び繰り返し電力が供給される間に発生する大
きな過渡電力が、主要フリッカ源である。
【0010】Barretに与えられた米国特許第5,483,149
号(以降Barretという)は、修正積分半サイクル(I
HC)電力コントローラを使用することにより汎用融着
器を得ることができることを示しているが、フリッカの
問題を解決していない。Barretが教示した方法は、幾
らかのフリッカ問題という不利を招くだけでなく、AC
電力システムに電流低調波が乗ることが分かっている。
現時点では、AC電流低調波量に関する規定は存在しな
い。注目に値するのは、AC電流低調波は、電力格子に
関して不要なものであり、4Hzから20Hzまでの範囲の
AC電流低調波は、電気装置により示されるフリッカレ
ベルにかなり寄与する、ということである。
【0011】IHC制御に基づく汎用融着器も、融着シ
ステムの初期の暖機時に大電流が引き出されることに起
因して、フリッカに関するIEC555−3要求事項に
合致するのは困難である。IHC及び疑似ランダムIH
Cコントローラは又、動作中、特に新しい低熱質量(熱
時定数が低い融着器)において、それらの電圧変動が、
提案されているフリッカ規定が最も厳しく、人間の目が
最も多くフリッカを知覚する8−10Hz近傍の領域にある
ので、フリッカ問題を生ずる。
【0012】トライアックの伝導角が比較的ゆっくり線
形上昇する、位相制御のような他の方法の場合、フリッ
カに関するIEC555−3仕様に合致するが、電流高
調波に関するIEC555−2仕様には未だ合格しな
い、汎用融着システムをもたらすことが立証されてい
る。トライアック開閉位相制御も、別の余分の電力フイ
ルタを追加しないかぎり、伝導電力線放出の仕様に合格
しない。Kaieda他に与えられた米国特許第4,928,055号
(以降Kaiedaという)は、AC加熱システムの位相遅
延ゲート化トライアック制御に基づく融着器電力制御シ
ステムを教示している。Kaiedaは、電力制御だけに関
心を示しているが、「電子写真式プリンタ及び複写機に
おけるフリッカを低減する方法」と称する同時係属出願
に教示されているように、適切な温度制御アルゴリズム
設計によって、彼らの解決法は、汎用融着器をもたらす
と共に、フリッカ問題を大幅に減らすことができるであ
ろう。しかし、この解決法では、電圧の大きさの詳細な
情報と、それに関連した犠牲だけでなく、適切なトライ
アック開閉制御用のゼロ交差情報も必要である。このシ
ステムは又、過大な電流高調波という不利を招くだけで
なく、大量の伝導放出を電力格子に乗せる。
【0013】多数の研究者が、人間の視覚系統の瞬時応
答の研究を行い、周囲光の変化の人間の視知覚を、強度
変化、変化率、及び変化の種類の関数として定量化して
いる。これら心理生理学的研究から、人間の視覚系統
は、8Hzから10Hz近辺での光強度の変化率に最も敏感
であることが分かった。中でもKendalは(「電力シス
テム電圧変動に関連する光フリッカ」、Proc.IEE、
1996、113(3)、p.472)(参照として本明細書に取り込
む)、周波数に対する種々の相対百分率電圧変化の知覚
フリッカレベルを、正弦波、三角波、及び方形波の電圧
変動について示している。Kendalの研究から、人間の
視覚系統は、方形波の電圧変動によるフリッカに最も敏
感であることが分かっており、彼の研究は、IEEE5
19及びIEC555−3の両文書に引用されている。
【0014】フリッカを規制するための提案されている
国際規格である、IEC555−3は、これらの研究に
基づいており、百分率電圧変化及び繰り返し速度に対す
る苛立ち度の人間の閾値のモデルを利用して、電気装置
が示す恐れのあるフリツカ量を測定し制限を与えてい
る。
【0015】現時点において、合衆国には、オフィスオ
ートメーション機器が人間に与えるフリッカの量を制限
する取締り要項は存在しない。IEEE519技術仕様
に具体化されているいるのは、電気アーク炉のような大
型産業用途による百分率電圧変動限界に対する推奨値で
ある。
【0016】提案されているヨーロッパのフリッカ規制
を概観することは、合衆国内の産業においては非常にわ
ずかの人々しかそれらについて馴染みがないという点で
有益である。提案されているフリッカに関する国際規格
は、IEC555−3文書に詳述されているように、50
Hzでの線路−中性点間220v及び250vの公共低電圧配
電システムに接続するための、1相あたり最大16アンペ
アの定格入力電流を有するすべての電気機器に適用でき
る。この規格は、ヒータ、ドライヤ、モータ、料理用コ
ンロ、コンピュータ周辺機器といった器具からの過渡電
力に起因した、低電圧公共配電システムに対するランプ
フリッカを低減することを目的としている。
【0017】この規格の制限は主として、電源電圧の変
動により230V60Wコイル巻きコイルフィラメントラン
プからの光に課される、フリッカの主観的苛酷さに基づ
いている。60Wコイル巻きコイルフィラメントランプ
は、この特定型式の白熱灯が、家庭用照明に普通に使用
されるランプの照度変化に対して最も短い時定数を示す
という理由で、フリッカに対する刺激曲線の標準閾値を
作るのに使用された。
【0018】提案されているフリッカ規制は、IEC7
25刊行物に規定されている標準家庭用配電インピーダ
ンスモデルに依存している。標準インピーダンスが必要
なのは、通常の家庭用線路インピーダンスが、国ごとに
非常に大きく変わるだけでなく、国の中でも地域によっ
て劇的に変わるという理由からである。又、標準インピ
ーダンスの値は、すべての国で使用するように製造され
た器具に対して、同じ制限条件を与える。
【0019】フリッカ測定だけでなく、電流高調波測定
に対しても標準インピーダンスは、IEC725文書に
より、すべてのヨーロッパ共同体について、50Hzでの
相−中性点間で、Zl=0.4Ω+j0.25Ωと指定されてい
る。現時点で、この標準となる基準インピーダンスは、
合衆国市場向け器具の製造には適用されないが、IEC
は、合衆国向けに、60Hzでの相−中性点間Zl=0.4Ω
+j0.3Ωの標準インピーダンスを提案している。本明
細書で後ほど例示するフリッカ測定のすべては、60H
z、120Vで動作するプリンタを利用して、Zl=0.4Ω+
j0.25Ωの基準インピーダンスで行われたものである。
【0020】単相測定用の標準フリッカ測定システムを
図1に示しており、これは、読者がフリッカ測定の基礎
を理解するのに役立つ。図1に示すフリッカ測定システ
ムから、及び後の説明において下記の定義を用いる。
【0021】 Un 公称電源電圧 U(t) 基本電圧の連続する半周期にわたり、段階的に評価したrms 電圧の時間関数 ΔU(t) 電圧が少なくとも一秒間定常状態にある場合の、周期と周期と の間のrms電圧変化の時間関数 ΔUmax 電圧変化特性の最大rms値と最小rms値との差 ΔUc 少なくとも一つの電圧変化特性により分離された、隣接する二 つの定常状態電圧の間の差 d(t) 相対電圧変化特性、d(t)=ΔU(t)/Unmax 最大相対電圧変化、dmax=ΔUmax/Unc 相対的な定常状態電圧変化、dc=ΔUc/Un EUT 被試験機器 フリッカ測定に関連する先に与えた用語を更に良く理解
するために、電圧変化特性、及び相対電圧変化特性を示
す波形が役立つ。IEC555−3文書は、これら双方
の場合に対する波形例を示しており、これらは、図2及
び図3に再現されている。
【0022】図2は、IEC555−3文書に与えられ
ているように、電圧変化特性だけでなく、フリッカの技
術用語に関連する先に規定した用語に対応する位置を示
している。図2の時間軸は、AC電圧の各半サイクルに
対応するヒストグラムに分割されており、時刻t1が、電
圧変化特性の始まりに対応する。時刻t2は、最大電圧変
化ΔUmaxが生ずる時刻であり、時刻t3は、電圧変化特
性が終わる時刻である。電圧変化特性の終わりt3で、被
試験機器EUTの端子電圧が、定常状態電圧変化ΔUc
に安定化している。t1からt3までの時間は、電圧変化特
性の評価期間と考えられる。
【0023】被試験機器の端子における時間関数の電圧
変化特性ΔU(t)は、フリッカ評価の基礎をなす。電圧
変化ΔU(t)は、被試験機器の複素基本入力電流変化に
より生ずる複素基準インピーダンスを横切る電圧降下の
変化に起因する。どんな電圧変化波形ΔU(t)について
も、相対電圧変化波形d(t)は次式で与えられる。
【0024】 d(t)=ΔU(t)/Un 式1 相対的電圧変化波形d(t)を次に、被試験機器が示す短
期フリッカPst、及び長期フリッカPltを評価するのに
利用する。
【0025】被試験機器が示す短期フリッカPstは、幾
つかの方法により見いだすことができる。フリッカは、
フリッカメータで直接測定することができ、又は規定の
電圧変化特性U(t)を与えるシミュレーションにより見
いだすことができる。フリッカは又、電圧変化特性が方
形波であれば、IEC555−3規定の刺激曲線の閾値
「Pst=1」を使用して見いだすこともできる。フリッ
カは又、1秒あたり1未満生ずる電圧変化特性に対し
て、分析的方法を使用して測定することができる。
【0026】短期フリッカに対する標準評価時間は、10
分間隔に対するものである。短期フリッカは、被試験装
置が最初オンになった時刻から、10分間の評価期間の終
わりまで測定される。
【0027】フリッカの直接測定は、フリッカの苛酷さ
評価に関するIEC868技術報告で与えられている仕
様に合致するフリッカメータで行うことができる。この
仕様は、フリッカレベルを評価するために、多点累積確
率関数を利用して、視覚の機構及び心理整理学的人間研
究を考慮している。IEC868文書に記載の累積確率
関数を実施するコンピュータシミュレーションプログラ
ムを用いて、所定の電圧変化波形d(t)を有するフリッ
カを評価することができる。1つの例が、提案されたI
EC555−3に引用されている。
【0028】方形波電圧変化特性については、「Pst
1」曲線を使用して短期フリッカを評価することができ
る。Pst=1曲線は、人間の視覚の心理整理学的実験の
幾つかを融合したものであるが、百分率電圧変化と、電
圧変化繰り返し速度と、人間の苛立ち度の平均視覚フリ
ッカ閾値との間の関係を示す。参考のために、Pst=1
曲線を図4に再現する。
【0029】方形型電圧変化についてのPst=1曲線の
使用の一例として、公称電源電圧が220Vrmsで、ΔU
(t)=3Vrmsの方形波電圧変動が、回路の内外で切り換
わる抵抗性加熱負荷に起因して、毎分100回生じると想
定する。式1を利用すると、相対的電圧変化波形は、毎
分100回でd(t)=3/220又は1.36%である。図4のPst
=1曲線から、毎分100回の変化に対して、苛立ち度の
閾値は0.7%であることが見出され、この量をdlimと呼
ぶ。電圧変化d(t)に対応する短期フリッカ値Pstは、 Pst=d(t)/dlim 式2 であり、これは d(t)/dlim=1.36/0.7=1.94 式3 の短期フリッカPstを生ずる。
【0030】このフリッカレベルは、短期フリッカ限界
を大幅に超えており、このレベルの短期フリッカを生ず
る被試験機器は、再設計する必要があろう。
【0031】短期フリッカPstを評価するのに分析的方
法を使用すると、秒単位のフリッカ感受時間tfが、各相
対電圧変化特性について、10分の観察期間内に得られ
る。フリッカ感受時間対百分率相対電圧変化の図的表現
は、IEC555−3文書に与えられており、また図5
に再現してある。
【0032】計算目的で分析方程式を使用するのが更に
便利であり、フリッカ感受時間を計算するための方程式
が、IEC555−3文書において、 tf=2.3(F*dmax3.2 式4 と与えられている。ここで、dmaxは、公称電圧の百分
率としての最大相対電圧変化であり、Fは、電圧変化波
形の形状に関連した形状係数である。
【0033】全観察期間Tp内の秒単位の全評価期間の
フリッカ感受時間の合計Σtfは、Pst評価のための基礎
となる。次に、短期フリッカは、フリッカ感受時間の合
計から下記の方程式により計算される。
【0034】
【数5】
【0035】形状係数を用いて、相対電圧変化波形d
(t)が、フリッカ等価相対ステップ状電圧変化(F*d
max)に変換される。これは、電圧変化波形の面積を、
相対ステップ状電圧変化の等価面積に等しくすることに
より行われる。
【0036】IEC555−3文書は、モータ始動特
性、方形波と三角波の電圧特性、及び二重ステップとラ
ンプ状電圧特性に対する形状係数の詳細を示す幾つかの
プロットを与えている。ランプ状電圧特性に対する形状
係数を図6に再現してあるが、これは後での、低フリッ
カ、汎用融着器、温度制御システムの設計時に特に関心
があるからである。
【0037】図6のランプ状電圧特性に対する形状係数
曲線を見ると明らかであるが、フリッカ減少に関する最
大の利点は、ランプ時間Tが1秒を超えるランプ状電圧
変化特性を実現するのが可能である場合に得られる。少
なくとも1秒を超える電圧変化特性を生ずるランプ特性
は、0.2の形状係数Fを生ずる。この知識によって、後
に、電力制御ソフトウェアの設計時に有益であることが
立証され、これは、以下で与える新しい電力制御構成と
結合される。
【0038】長期フリッカは、電圧変化特性を、フリッ
カメータを用いて2時間連続測定することにより見いだ
される。内部で、フリッカメータは、10分短期フリッカ
の読み12個を取っており、次に立方則平滑化演算を行っ
ている。長期フリッカも、IEC868文書において、
【0039】
【数6】
【0040】として与えられる立方則平滑化方程式を利
用して、分析的方法により決定することができる。
【0041】長期フリッカの標準測定の場合には、Nを
12に設定して、10分短期フリッカの12個の観察を共に立
方則平滑化すると、2時間長期フリッカ値が得られる。
この方程式は又、長期フリッカ値の計算に関するIEC
868準拠のフリッカメータでも実施される。
【0042】IEC555−3文書は、220V被試験機
器の端子で測定した電圧変動及びフリッカについて下記
限界を指定している。
【0043】
【0044】短期及び長期フリッカの測定に関する更な
る試験条件は、すべての標準家庭用器具、オフィスオー
トメーション機器、及び種々の他の電気機器について、
IEC555−3V規格に指定されている。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電子
写真式プリンタ及び複写機の融着システムが示すフリッ
カを無くすか、又は少なくとも劇的に減らすことであ
る。簡潔に再度言えば、フリッカとは、低電圧公共配電
システムに電圧サグを誘導する大きい過渡電力負荷に起
因した、家庭又は仕事場の中での周囲光変動の不快な視
知覚である。本明細書に記載のフリッカ解決法を実施す
る重要な利点は、汎用の融着器が自動的に達成されるこ
とにある。
【0046】本明細書に記載の電力制御設計法によっ
て、フリッカ問題が解決され、汎用の融着システムがも
たらされ、線形電力制御がデューティサイクルの関数と
して行われ、実質上すべての電流高調波が排除され、ま
た、1に近い力率が低コストでAC電力システムに与え
られる。
【0047】
【課題を解決するための手段】本発明は、画像形成装置
に使用する熱定着器の温度を制御するための回路を提供
する。該回路は、電源に接続されたインダクタを備え
る。熱定着器は、インダクタに接続される。次に、コン
デンサが、インダクタ及び電源に接続される。スイッチ
が、熱定着器、電源、及びコントローラに接続される。
コントローラは、パルス幅変調によりスイッチをターン
オフ、及びターンオンし、それにより温度を制御する。
コントローラは、パルス幅変調信号を制御して温度を維
持するために、制御プログラムを実行する。制御プログ
ラムは、古典的な比例・積分(PI)コントローラのよ
うな慣用的なフィードバック制御構造で実施できる。適
応型制御が、温度制御システムにとって公然である別の
手段であり、慣用的なフィードバック制御システムにも
適合する構造である。インダクタ及びコンデンサは、電
源周波数より高い共振周波数を有する。最後に、PWM
周波数は、インダクタ及びコンデンサにより形成される
タンク回路の共振周波数より高い。
【0048】
【発明の実施の形態】添付図面と関連してなす以下の詳
細な説明を考察することにより、本発明を更に良く理解
することができよう。
【0049】本発明は、本明細書に例示する特定の実施
例に限定されるものではない。電子写真式複写機又はプ
リンタ(本明細書では、まとめてプリンタという)が示
すフリッカをなくすか、又は少なくとも劇的に減らすた
めには、フリッカ源を調べる必要がある。電子写真式プ
リンタにおけるフリッカの主な源は、融着システムが低
温状態にある間に、それに最初に電力が供給された時
と、その後プリンタが動作状態にある間に、電力が繰り
返し供給される全ての期間での過大な電力装荷に起因す
る。
【0050】対象とする融着システムには、120V950W
タングステンフィラメント石英ガラスランプ加熱素子が
ある。10台の115Vプリンタから取り外した融着システ
ムからの10個の石英ランプの非統計的調査により、融着
器フィラメントの平均冷温抵抗は約1.49オームであり、
偏差は0.000444Ωであることがわかった。フィラメント
抵抗の偏差が少ないため、一つの融着器ランプについて
のすべての測定が充分であると推定される。
【0051】まず、全電力をフィラメントに供給し、フ
ィラメントから除去する場合に、時間の関数としてのフ
ィラメント抵抗の特性を更に良く理解することは、読者
に役立つことになる。図7に概略示した装置は、フィラ
メントに電力を与えた後の時間にわたって、フィラメン
ト電流波形を測定すべく構築及び可能化した。これか
ら、全電力がランプに供給された場合のフィラメント抵
抗のモデルを構成した。
【0052】試験設備にある電流検出抵抗器R1は、生
じた電流により測定するのに充分大きい電圧を発生でき
ると同時に、フィラメント抵抗が増大する間に検出する
電流に起因して、フィラメントの電力低下が極小になる
ように選定した。
【0053】図7の試験回路を利用して、120Vrms電源
により約3秒間フィラメントに電力を与えながら、電流
波形をディジタルオシロスコープ(DSO)で記録し
た。適切な冷却時間を間に置いた3回の別々の試験で、
フィラメント電流に対する本質的に同一の曲線を得た
が、電流検出電圧測定値に幾らかの誤差があり、これ
は、ディジタルサンプリングオシロスコープの試験プロ
ーブにかかるコモンモードAC雑音だけでなく、低温フ
ィラメント抵抗が1.5Ωから1.8Ωに幾分わずか変化する
ためであった。低温抵抗のわずかな変化は、試験と試験
の間に十分な冷却時間を許可しなかったことによる。こ
の値は又、融着器電力配線抵抗のすべてを含んでおり、
この抵抗値は約0.13Ωであることがわかった。
【0054】この網羅的ではない試験により、簡単な1
次モデルが、加熱抵抗曲線に非常に良く適合することが
わかった。このモデルは以下の形態をとる。
【0055】 R=Rcold+(Rhot−Rhot*(1−e-t/τup)) 式7 ここで、Rcoldはフィラメントの低温抵抗であり、R
hotはフィラメントの高温抵抗であり、τupはフィラメ
ントが加熱される際の時定数測定値である。
【0056】測定データから直接計算することにより、
120Vrms電源に接続したときのフィラメントの「全電
力」抵抗曲線は、以下の式で表される。
【0057】 R=1.8 Ω+(10−10*(1-e-t*0.003))Ω 式8 ここで、tはミリ秒単位である。
【0058】試験により又、使用した特定のタングステ
ンフィラメント石英ランプ、すなわち東芝製の115V950
W石英ランプに関して、ランプに120Vrms電源から数秒
間だけ電力を加えた場合に、高温抵抗は、低温抵抗の6.
5倍であることが分かった。タングステンフィラメント
に非常に短時間電力を供給したときの抵抗変化係数の測
定値は、金属加工ハンドブックに与えられている係数に
非常に近い。
【0059】フィラメント抵抗の別の測定を、プリンタ
が正常動作温度で印刷している間に行ったが、これは、
プリンタが印刷中であり且つ融着システムが動作温度に
ある場合に、低温抵抗がどのように変化するかを知るた
めである。図8に示す曲線は、動作温度で融着システム
を標準トライアック電力コントローラによる制御のもと
で、フィラメントを加熱している間に、電流ピーク及び
電圧ピークを測定することにより得たものである。フィ
ラメントは殆ど純粋に抵抗性であるので、ピーク電流及
び電圧ピークを測定することは、フィラメント抵抗を測
定する非常に良い方法である。測定前に、プリンタを連
続して5分間毎分10ページの定格速度で印刷させた。プ
リンタにより、標準の20ポンド証券レターサイズ紙上
に、5%トナーを覆って印刷を行った。
【0060】図8から動作温度フィラメント抵抗を見る
と、やはり、単一時定数モデルが、温暖電力供給抵抗曲
線に非常に良く適合することがわかった。この温暖電力
供給に対するフィラメント抵抗を支配する方程式は、直
接計算によりほぼ以下のようになることが分かった。
【0061】 R=5Ω+(9−9*(1−e-t*0.378))Ω 式9 ここで、tは秒単位である。
【0062】低温フィラメントだけでなく、温暖フィラ
メントの加熱抵抗特性に対する時定数を比較すると、興
味深い注目点として、低温又は温暖電力供給に対するフ
ィラメント時定数の変化は非常に少ない点がある。
【0063】図8を見ながら、注目すべきは、電力を供
給すると、フィラメント抵抗は既に5.2Ωになっている
ことである。この理由は、フィラメントが最後に電力を
受けてから約10秒経っており、フィラメント抵抗は10秒
のオフ時間の間に14Ωから5.2Ωに下がっているためで
ある。フィラメント電力供給を繰り返すと、引き出され
るピーク電流は、最初の電力供給よりかなり低いので、
基準インピーダンスに関する誘導電圧変化特性は減少
し、従って、今は温かい融着システムが示すフリッカは
低減される。
【0064】全電力を除去したとき、フィラメント抵抗
を時間の関数として理解することも興味があった。図9
に詳細に示す非常に簡単な試験回路を組立て、フィラメ
ントを全電力まで加熱させ、次に分圧器回路網へと切り
換えた(SW2により)。10.5Vdc試験測定電圧、及び
試験回路の分圧器抵抗R2は、試験装置によりフィラメ
ントに供給される追加エネルギから、フィラメント抵抗
値プロファイルへの誤差が最小になるように選定した。
フィラメントをAC電源からDC試験電源に切り換えた
後、フィラメントに供給される最大電力は、以下のよう
になる。
【0065】 Pfilament=V2filament/(Rfilament+100.4オーム)2 式10 試験電圧10.5Vの場合式10を利用すれば、100.4Ωの
分圧器抵抗R2、及び14Ωの推定フィラメント抵抗は、
フィラメントが最初に試験回路に切り換えられる際に、
試験装置が118mWの電力をフィラメントに供給してい
ることを示す。フィラメントが冷え、その抵抗値が約3
Ωまで減少した後、試験装置が今や31mWの電力しかフ
ィラメントに供給していないことがわかる。これら非常
に低い電力レベルは、950Wランプのフィラメント抵抗
プロファイルをあまり変えないことになる。
【0066】フィラメントを横切る電圧対時間のプロフ
ァイルを記録し、この情報から、抵抗プロファイルを作
り、その後モデル化した。冷却フィラメント抵抗に対し
てだけでなく、モデル化抵抗に対しても、測定データを
図10に与えてある。
【0067】冷却フィラメント抵抗をモデル化している
間に集めた情報に基づき、冷却フィラメント抵抗は、4
本の個別の曲線をたどるように見える。第1の抵抗値軌
跡をたどるのは、フィラメントが強い白熱から赤熱まで
冷やされる際である。第2の軌跡は、フィラメントが赤
熱から深赤まで放射し続ける際に優位であると思われ
る。第3軌跡は、フィラメントが深赤から赤外領域に放
射する際に優位であると思われ、最後の軌跡は、フィラ
メントが赤外領域を通って室温まで放射する際に優位で
ある。やはり、単純なモデルを使用して、フィラメント
が冷える際のフィラメントの抵抗を記述することができ
る。
【0068】冷却フィラメント抵抗のモデルは、次式の
形態をとる。
【0069】 R=Rcold+(Δr1e-t/τ1)+(Δr2e-t/τ2)+(Δr3e-t/τ3)+(Δr4e-t/τ4) 式11 ここでRcoldは低温抵抗であり、Δr1は、フィラメン
トが白熱から赤熱まで冷える際の抵抗変化であり、τ1
は、Δr1低下に関連した時定数であり、Δr2は、フィ
ラメントが赤熱から近赤外まで冷える際の抵抗変化であ
り、τ2は、Δr2低下に関連した時定数であり、Δr3
は、近赤外から赤外までの抵抗変化であり、τ3は、Δ
r3低下に関連した時定数であり、Δr4は、フィラメン
トが赤外領域を通って室温近くまで冷え終わる際の抵抗
変化であり、τ4は、Δr4低下に関連した時定数であ
る。
【0070】冷却フィラメント抵抗に対する試験データ
から抽出した経験的モデルは、以下のようになることが
分かった。
【0071】 R=1.5+5.7*e-(t*0.7)+2.2345*e-(t*0.08)+1.5*e-(t*0.024) +1.5*e-(t*0.008) 式12 このタングステンフィラメントのモデルは、フィラメン
トの耐熱金属のエネルギ損失機構だけでなく、融着器プ
ラテンの熱質量及び周囲温度にも大きく影響される。最
初の二つの時定数は、タングステンフィラメントのエネ
ルギ損失機構に依存するように思われ、最後の二つの時
定数は、融着器プラテンの熱質量に蓄積された熱により
支配されるように思われ、自立白熱灯とは大きく異なる
であろう。本発明は、融着システムの抵抗特性に全体と
して興味があるので、融着システムの熱質量に無関係の
石英ランプについては、抵抗測定を行わなかった。融着
器プラテンの熱質量は、冷却タングステンフィラメント
抵抗の特性に大いに寄与し、フィラメントがもはや視覚
的に成長せず、極めて長い時定数を生ずる場合に、優位
となることに注目すれば充分である。
【0072】タングステンの表皮効果が、フィラメント
スイッチモード形式の電力コントローラの意図する20K
Hz動作周波数で重要になり始める、ということが観察
された。20KHzのスイッチング周波数で、低温フィラ
メントの自己インダクタンスは低下し始めるが、タング
ステンの正の温度係数が、表皮効果の寄与を減らし、ま
た、フィラメントが動作温度近くまで温まると、フィラ
メントの自己インダクタンスを回復するのに役立つ。
【0073】すべての要求事項を満たすために、好適実
施例は、スイッチモード変換器を用いる。最初に、幾つ
かの標準的な電力制御構成を簡潔に調べることにする。
次に、フリッカの全く無い汎用融着器に関する問題のす
べてに対処しようとする、本発明の好適実施例を紹介す
る。インピーダンスに基づく分析手法を紹介するだけで
なく、構成要素形式及び数値選択の方法をも紹介する。
最後に、好適実施例の物理的動作の考察を取り上げる。
【0074】図11の標準バック変換器は、フィラメン
トに与えられる平均電圧が、電源の電圧及びパルス幅変
調器のデューティサイクルの関数であるという点で魅力
的である。これにより、フィラメントの平均電力レベル
を制御しやすくなり、パルス幅変調器を遮断することに
より、フィラメントに供給する電力を完全に落とすこと
ができる。しかし、標準のDC-DCバック変換器の大
きい入力コンデンサC1によって、如何なる負荷に対し
ても相差率が1となる可能性がなくなるだけでなく、変
換器が、変換器のデューティサイクルにより劇的に影響
される大量の電流高調波を生成させられる。大きな電流
スイッチング過渡現象に起因して、標準バック構成も、
伝導及び放射放出に関する要求事項を満たすべきという
問題を提起する。接地負荷オフライン接続用のPMOS
又はPNP形スイッチM1も、変換器の効率に制限を加
える。勿論標準バック変換器を再構成して、N形スイッ
チを利用できるように、電流を高側ではなく低側で切り
換えるようにすることができるが、これにより、加熱素
子への電力供給を所望する場合に、電磁電力リレーを使
用して正のDC電圧を係合しないかぎり、終始フィラメ
ントに危険な高いDC電圧がかかることになろう。
【0075】図11に示すような標準のDC-DCバッ
ク変換器に関連した問題のため、融着システムが必要と
する大量の電力の直接制御について、全世界的用途には
受け入れることはできない。更に、費用を考えると、変
圧器分離されたフライバック変換器、及び順方向バック
変換器も同様に受け入れられない。
【0076】図12の標準DC-DCブースト変換器
は、多数の魅力的特徴を備えている。入力フィルタコン
デンサC2が最小サイズのものであれば、ブースト変換
器への入力はインダクタと見なせる。ブースト変換器
を、入力インダクタL1が常に連続導通しているように
設計されていれば、電流高調波は、スイッチ周波数に合
っており、容易に且つ自動的に濾波される。ブースト変
換器は又、N形スイッチM2を通常利用し、これは、図
11のバック変換器のP形スイッチよりコストが低く、
スイッチング損失が低く、且つ伝導損失が低い。
【0077】標準ブースト変換器の魅力的特徴と共に、
その魅力を下げる幾つかの性質が存在する。大きな入力
コンデンサC2は、ほぼ一定のDCスイッチ電圧を供給
するのに使用されるが、結果として、幾分貧弱な力率を
生じるだけでなく、大きい電流高調波をも生ずる。ブー
スト変換器は、線形負荷電圧又は電力制御をデューティ
サイクルの関数として示さず、これもその魅力を制限し
ている。ブースト変換器の構成も、全世界で動作させる
には、115V定格の加熱素子からはるかに大きい電圧定
格の加熱素子に変える必要がある。ブースト変換器の高
出力電圧は又、放射及び伝導放出を発生するため望まし
くない。高電圧高電力MOS電力スイッチも法外に高価
である。しかし、コストが低く、且つ電流サージ容量の
高いIGBT電力スイツチが利用可能であり、これは、
電力制御用としての我々の選択肢を多くする。加熱素子
への電力をブースト変換器のスイッチでオフにすること
はできず、追加の外部スイッチが必要である。
【0078】図13の回路は、本発明の簡略実施例を示
しているが、ブースト変換器構成の入力インダクタLを
利用して、変換器より引き出される電力を平均化し、こ
れにより、AC線路に与えられる電流高調波が大幅に減
少する。回路内外で負荷を切り換えると、バック変換器
構成の変化をもたらす。この構成は、負荷Rにより引き
出される平均電流を線形に制御し、したがって負荷によ
り引き出される平均電力が、デューティサイクルととも
に直線的に変化する。コンデンサCは、フィラメントR
がPWM113により回路から切り離される(スイッチM
を介して)と、入力フィルタインダクタLの電流のため
の連続した電流経路を与える。
【0079】標準DC-DC電圧変換器は、その必要電
力が変化する際の負荷電力を、パルス幅変調器のデュー
ティサイクルを修正することにより制御するが、それと
は異なり、この変換器は、プリンタの融着システムの加
熱素子Rに供給されるAC電力を、したがって融着シス
テムの温度を制御する。
【0080】フィルタ構成要素L及びC、また充分大き
い抵抗性電力負荷Rを適切に選択すると、Rは、入力線
基本周波数の半サイクルごとにフィルタコンデンサCを
完全に放電させ、入力インダクタLをほぼAC半サイク
ル全体にわたり連続導通させるので、AC電源側から
は、本質的に抵抗性負荷、すなわち、AC電圧源と位相
の合った優勢な電流に見える。その結果、1に近い力率
が、広い範囲のデューティサイクル、及びそれらに関連
した電力レベルに対して得られることになる。
【0081】新しい電力変換器構成に関して、抵抗性負
荷Rが、回路の内外にAC半サイクルあたり数百回切り
換えられ、それにより、実効的に抵抗性負荷と見なされ
る。実効負荷の導出を行うために、フィルタ構成要素が
取り外されて、電力変換器は今や、パルス幅変調器113
の電力スイッチMと、完全整流された正弦波AC電圧源
に接続された抵抗性負荷Rという単純例となる。
【0082】抵抗性負荷Rが、デューティサイクルdの
パルス幅変調器113の電力スイッチMにより、半サイク
ルあたりN回、回路内に切り換えられ、また回路から切
り離されるものと考える。そうすると、図14に示すよ
うなN=4及びd=0.5の例が、正弦波電圧源から引き
出されるパルス電流波形を可視化するのに役立つ。
【0083】抵抗性負荷Rにより消費される瞬時電力
は、次式のようになる。
【0084】
【数13】
【0085】平均電力積分は、抵抗性負荷Rが回路内に
切り換えられ、電力が消費され、次に回路から切り離さ
れる間の多数の時間間隔から成り立っている。平均電力
積分は、これら電力パルスのすべてを含むので、以下の
ような積分和の表記を用いることができる。
【0086】
【数14】
【0087】ここで、Nは積分の期間中の電流パルスの
数であり、変数aは、スイツチMがオンのとき1であ
り、スイッチMがオフのとき0である。1つのAC半サ
イクルを評価するために積分期間を0からπまでに設定
すると、すべての積分に対する限界を、総和の形で下記
のように容易に見いだすことができる。
【0088】
【数15】
【0089】標準的な解法で三角関数積分を置換し、積
分の限界を評価すると、次式が得られる。
【0090】
【数16】
【0091】類似項をまとめると、結果として次式とな
る。
【0092】
【数17】
【0093】三角関数でない部分に関して級数加算を行
うと、次式が得られる。
【0094】
【数18】
【0095】次に、以下の倍角正弦三角関数公式を思い
起こす。
【0096】 sin(2θ)=2sin(θ)cos(θ) 式19 倍角公式を式18に代入すると、次式が得られる。
【0097】
【数20】
【0098】この式は次のように書き直すことができ
る。
【0099】
【数21】
【0100】やはり、追加として以下の三角関数公式を
思い起こす。
【0101】 sin(a−b)=sin(a)cos(b)−cos(a)sin(b) 式22 cos(a−b)=cos(a)cos(b)+sin(a)sin(b) 式23 この追加の公式を代入すると、幾分長い結果であるが、
次式が得られる。
【0102】
【数24】
【0103】次に、総和関数とは無関係である正弦及び
余弦項を有する得られた式の部分を検討する。
【0104】以下の正弦及び余弦関数は、総和変数iと
は無関係である。
【0105】
【数25】
【0106】先行の正弦項について、Nがπよりはるか
に大きいと、正弦演算の結果は0に非常に近い。同様に
余弦項で、Nがπよりはるかに大きければ、余弦項は1
と評価される。電源周波数が50Hzで、変換器周波数が2
0KHzの検討対象の電力変換器の場合、50Hzサイクル
の半周期における電流パルスの数は、以下のようにな
る。
【0107】N=(20000サイクル/秒)・(1周期/(50サイ
クル/秒))・(1/2周期) 式26この数により、50Hz電
源についてN=200が、60Hz電源についてN≒167が得
られ、したがって正弦項及び余弦項についての仮定は非
常に正確である。近似的に正弦項及び余弦項を置換する
と次式が得られる。
【0108】
【数27】
【0109】級数和の項を調べると、加算の結果として
値が0になることがわかる。この実行の結果は以下のよ
うになる。
【0110】 Pavg=(1/π)(V2/R)(d・π/2) 式28 これを書き直すと次式が得られる。
【0111】 Pavg=(V2/2R)d 式29 この結果は、電流低調波が存在しないという望ましい例
外があり、多数のAC半サイクルにわたり積分半サイク
ルのコントローラ有効負荷を検討する場合に得られるも
のと同一である。
【0112】式29における電圧Vはピーク電圧であ
り、電力変換器側からは正弦波の電圧源として見えてい
るので、V2/2を、後の計算に使用するために等価なR
MS電圧で置換可能なことが立証せずとも言えて、次式
の平均電力が得られる。
【0113】 Pavg=(Vrms2/R)d 式30 が得られる。
【0114】実効抵抗性負荷は、抵抗性負荷に供給され
る平均電力を、デューティサイクルパルス幅変調の抵抗
性負荷により消費される電力に等しいと置くことにより
見いだすことができ、やはり、電源コントローラにより
AC電源に示される実効抵抗性負荷は、次のようにな
る。
【0115】 Reff=R/d 式31 このようにして、入力インダクタが常に連続導通してい
るかぎり、AC電源側からは、値がPWMのデューティ
サイクルにより制御される抵抗として見える。この特徴
により、電力コントローラは、ランプフィラメントによ
り消費される電力を、フィラメントを回路内にただ配置
し、フリッカという不要な影響を生ずる大電流を引き出
させるのではなく、滑らかに直線上昇及び下降させるこ
とができる。
【0116】この提案した電力制御の実施形態が、何故
有用であるかを理解するためには、低周波の50Hz-60H
zAC電源側からは、電力変換器構成がどのように見え
るのかを調べるのが最も良い。入力電流濾波インダクタ
が、ACサイクル全体にわたり連続導通していると仮定
すると、電力変換器入力における、図13に示すブリッ
ジ整流器を削除することができる。上記で分かるよう
に、デューティサイクルdで動作するパルス幅変調の電
力スイッチ、及びタングステンフィラメント加熱石英水
銀灯に関連した抵抗を、等価な実効抵抗Reffで置換可
能である。これらの仮定の結果は、相と中性点間接続点
で、AC電源側からは等価なRLC負荷として見えるこ
とであり、図15に概略図示されている。
【0117】図15の等価AC負荷の相と中性点間接続
点から見たインピーダンスを調べれば、等価負荷インピ
ーダンスZINは、次式のように表現できる。
【0118】 ZIN=XL+Reff・XC/(Reff+XC) 式32 XL及びXCを、それらの周波数領域の等価量で置換
し、AC電源の周波数をラジアンωで表現すると、負荷
インピーダンスは、次式のように表現できる。
【0119】 ZIN=jωL+(Reff・1/jωC)/(Reff+1/jωC) 式33 これは次のように書き直すことができる。
【0120】 ZIN=jωL+Reff/(jωC・Reff+1) 式34 負荷の抵抗性部分の大きさが、容量性部分のインピーダ
ンスの大きさよりはるかに小さい、すなわち Reff≪|1/jωC| 式35 であると、AC負荷インピーダンスは、次式により正確
に近似することができる。
【0121】 ZIN=jωL+Reff 式36 負荷の抵抗性部分の大きさが、誘導性部分のインピーダ
ンスの大きさよりはるかに大きい、すなわち |jωL|≪Reff 式37 であると、AC電源側から見た負荷は、次のようにな
る。
【0122】 ZIN=Reff 式38 殆ど純粋に抵抗性である等価AC負荷を得たいという希
望から、AC電力フィルタ構成要素の選択にあたり、下
記の設計判定基準が得られる。
【0123】 |jωL|≪Reff≪|1/jωC| 式39 抵抗負荷Reffは、以下のデューティサイクルによって
決まる抵抗負荷で置換可能である。
【0124】 |jωL|≪R/d≪|1/jωC| 式40 フィルタインダクタL、及びコンデンサCの選択には、
抵抗性負荷が種々の電力レベルについて変化できる範囲
を考慮しなければならない。電力制御構成のそれぞれの
構成要素のインピーダンスを、少なくとも一桁の大きさ
だけ分離することにより、電力コントローラのインピー
ダンスを、AC電源に対する抵抗性負荷と見なすことが
可能になる。後ほど示すが、低電力レベルで、負荷及び
電力スイッチデューティサイクルで決まる実効抵抗R
effの大きさが、フィルタコンデンサの大きさと同程度
になり始めると、式39の判定基準はもはや満足され
ず、電力品質が悪くなり始める。
【0125】電子写真式プリンタの融着システムに関連
した電力レベル、これは約950Wであるが、その電力レ
ベルを信頼性良く制御するためには、構成要素の選択に
特別の注意が必要である。フィルタ構成要素の選択は
又、電流高調波を制御する必要性、入力電力周波数、ス
イッチング周波数だけでなく、フィルタ構成要素のコス
トをも考慮に入れなければならない。
【0126】最初に考慮すべき構成要素は電力スイッチ
Mである。電力スイッチMは、融着システムの低温の加
熱フィラメントが最初に電力の供給を受けるとき、フィ
ラメント抵抗が約1.5Ωであるので、非常に高い電流パ
ルスを被る。120Vrmsシステムの場合、電流パルスの大
きさは、約√2*120V/1.5Ω、又は約113アンペアとな
る。この初期電流パルスの大きさは、電力コントローラ
を220Vrms電源に接続すると、2倍になる。これらの大
きな電流サージには、非常に頑丈なスイッチ、又は最小
でも、短時間過渡電流に対して大きい定格電流を有する
スイッチが必要である。電源配線及び加熱フィラメント
の寄生インダクタンスは、電流パルスの大きさを減らす
のに役立ち、やはり、別のバルクインダクタンスを付加
して、低温の加熱フィラメントが、最初に低デューティ
サイクルで電力供給される際に、電力スイッチが被る電
流パルスの大きさを制限することができる。加熱素子が
動作温度まで上がると、フィラメント抵抗は13Ω程度に
なり、これには、少なくとも9アンペアの連続電流を通
すことができる電力スイッチが必要になる。
【0127】電力スイッチMは又、オフ状態で高電圧に
耐えることができねばならない。全世界的に、公共の低
電圧での供給電圧には、日本の90Vrmsからヨーロッパ
地域での最大240Vの範囲となる広い可変性がある。最
悪の場合、電力スイッチMは、√2*240、又は339ボル
トのピーク電圧に耐えることができねばならない。スイ
ッチを、MOV装置をスイッチと並列に、又はフィルタ
コンデンサの両端間に接続して、過大な過渡電圧に対し
て保護することも適切である。MOV装置の仕様は、実
際の生産機種設計の場合に適切であるので、本明細書で
は詳述しない。
【0128】電力スイッチMにより消散される電力を制
限するには、「オン電圧」又は「オン抵抗」は、費用が
許すかぎり低く選択すべきである。ターンオン及びター
ンオフ遷移時に、スイッチにより消散される電力を制限
するには、スイッチは、可能なかぎり最小のターンオン
及びターンオフ時間について指定すべきである。
【0129】すべての要求事項を満足する一つの可能な
スイッチは、モトローラ社の型名MTY30N50EのNチ
ャネル電力MOSFETトランジスタである。このスイ
ッチは、0,15Ωのオン抵抗Rdsで指定されており、30ア
ンペアの連続電流負荷が可能で、オフ状態で最小500ボ
ルトに耐えることができる。このデバイスは、86アンペ
アの繰り返し電流パルスを搬送ことができ、オン及びオ
フの状態から約100nSで切り換わる。この装置は又、ヒ
ートシンクに適切に接続された場合に、300Wを超える
連続電力消費の定格となる。この装置は、120Vrms電源
で動作するのに良く適しているが、220Vrmsシステムで
予想される電流サージを処理するのに、フィラメント電
流経路にバルクインダクタンスを設けないと処理できな
い。残念ながら、このスイッチの高電流、高電圧、及び
高電力定格が、おそらくはこの装置を大量生産に対して
あまりにも割高にしている。絶縁ゲート・バイポーラト
ランジスタIGBTのファミリーから選定した電力スイ
ッチは、スイッチ要求事項のすべてに合致するだけでな
く、はるかに経済的でもある。適切なIGBTスイッチ
の一つは、連続26A、ピーク184Aでの600VmaxDC動
作、及び立ち上がり時間と立ち下がり時間がそれぞれ30
nS及び200nSという定格である、International Recti
fier社のIRGBC20Uであろう。
【0130】電力スイッチから電力を除去する際に、連
続したフィラメント電流経路を与えるには、フィラメン
ト並列防止フライバックダイオードD2が必要である。
予想される動作条件に合わせるために、逆回復時間trr
が35nSのモトローラ社のMUR1530超高速ダイオード
を選定した。この特定のダイオードは、連続電流15アン
ペアの定格であり、30アンペアの繰り返し電流を流すこ
とができ、非繰り返しサージ電流150アンペアに耐える
ことができ、また300Vの逆方向バイアス電圧に耐え
る。全世界で使用するには、フライバックダイオードの
逆方向バイアス定格を増大させる必要があろう。
【0131】最適動作のために、電流フィルタ・インダ
クタLは幾つかの属性を持っていなければならない。イ
ンダクタLは負荷の全電流を処理するので、第1の属性
は、極めて低い直列抵抗であり、これは、i2*R損失
を最小にするのに必要である。第2の属性は、インダク
タLを比較的小さくすることであり、インダクタンス値
を高くする場合には、鉄又はフェライトの磁芯が必要で
ある。第3に、インダクタLは、非常に高い飽和電流を
持っていなければならない。入力インダクタLは、約14
アンペアピークの周期電流を流し、この電流を飽和なし
で流さなければならない。大電流及びその結果得られる
磁束密度を飽和なしで処理するために、鉄の磁芯でイン
ダクタが構成される。第4に、伝導放出を最小限に抑え
るために、インダクタは、あり得る内部配線寄生容量を
最低に設計せねばならない。最後に、インダクタの磁芯
は、磁芯損失が最小になるように設計すべきである。
【0132】新しい変換器構成のフイルタコンデンサに
は、コンデンサ形式及びコンデンサが持たなければなら
ない定格に影響する激しい要求が課される。フィルタコ
ンデンサは、339ボルトを超える連続電圧に耐えること
ができねばならず、また、160アンペアより大きい繰り
返し電流サージに耐えなければならない。フィルタコン
デンサは、電力スイッチの電力供給及び電力除去ごと
に、高電流サージを繰り返し受ける。コンデンサの余分
な加熱及び電力消費を避けるに、フィルタコンデンサ
は、極めて低い等価直列抵抗ESRを示すべきである。
コンデンサが示すキャパシタンスは又、変換器デューテ
ィサイクルが変化する際にコンデンサが受ける周波数の
範囲全体にわたって、ほぼ一定のままであるべきであ
る。これらの要求事項を満たすために、モータ駆動形式
のコンデンサが理想的である。この形式のコンデンサ
は、その属性を考えると、比較的廉価であり、産業用モ
ータ用途に世界の至る所で大量に使用されている。
【0133】図13の新しい電力制御構成のフィルタ構
成要素は、以下の固有周波数ω0を有する共振タンク回
路を形成する。
【0134】 ω0=1/√(L・C) 式41 高調波電流量が極めて低いという所望の利点を得るため
に、電力フィルタの共振周波数ω0を、可能なかぎり入
力電力周波数ωpから遠くにとらなければならない。更
に、電力フィルタ構成要素により形成される共振回路を
励振しないようにするために、電力スイッチのスイッチ
ング周波数ωsを、電力フィルタの共振周波数から可能
なかぎり遠くにとるべきである。電力フイルタの共振周
波数を、入力電力周波数よりも、少なくとも一桁上の大
きさにとり、スイッチング周波数を、電力フィルタの共
振周波数よりも、少なくとも一桁上の大きさにとったと
すれば、提案した電力変換器構成は、あらゆる電流高調
波を非常に良く制御するだけでなく、電力フィルタのタ
ンク回路の過大な励振が誘導されない。フィルタ共振周
波数の設定に関するこれら判定基準は、次のように表現
される。
【0135】 ωp≪ω0≪ωs 式42 加えて、抵抗性に近い負荷をAC電源に示すためには、
式39の判定基準を満足しなければならない。ここで想
起されたいのは、電源周波数50Hz又は60Hzにおける入
力インダクタのインピーダンスの大きさは、予想される
抵抗性負荷よりはるかに小さくしなければならない点、
及びフィルタコンデンサのインピーダンスの大きさは、
予想される抵抗性負荷よりはるかに大きくしなければな
らない点である。式39をフィルタ構成要素の第2の判
定基準として再び掲げる。
【0136】 |jωL|≪Reff≪|1/jωC| 式39 式41、42、及び39は、電力フィルタ構成要素の値
の選択に対する基礎を形成する。
【0137】フィルタコンデンサCの第1段階の選択
は、電力品質が低下し始める非常に低い負荷で行うこと
ができる。仮定として、電力コントローラは、120V電
源に接続されており、約30ワットを引き出しているとす
る。これは、500Ωの抵抗性負荷と同等であり、高温フ
ィラメント抵抗値の約40倍である。フイルタコンデンサ
Cのインピーダンスが、この電力レベルで抵抗性負荷に
等しく設定されると、コンデンサの開始値を見いだすこ
とができる。これは次のように行われる。
【0138】 1/(2π・fC)=500Ω 式43 ここで、fは電源の周波数であり、60Hzであると仮定
する。容量値について解くと、C=5.3μFが得られ
る。標準市販品の値として、5μFが利用可能である。
【0139】フィルタインダクタLの第1段階の選択
は、どんな負荷でも行うことができる。第1段階の選択
は、以前の係数40を利用し、インダクタのインピーダン
スを低温フィラメント抵抗の1/40に等しく設定するこ
とにより、次のように行われる。
【0140】 2π・fL=1.5/40 Ω 式44 インダクタンスについて解くと、約100μHのインダク
タの値が得られる。飽和電流が14アンペアで、直列抵抗
が0.004Ωである150μHインダクタは容易に入手可能で
あるので、Lを150μHと指定した。実際には、指定で
きるインダクタの値が大きいほど、その結果得られる濾
波電流は良好になる。しかし、不必要な費用を避けるた
めに、フィルタインダクタを可能なかぎり小さくすべき
である。やはり、伝導放出を最小限に抑えるために、イ
ンダクタは、あり得る配線間寄生キャパシタンスが最低
となるように設計すべきである。
【0141】インダクタの値の選定は、式41から直
接、電力フィルタの所望の共振周波数を、それが式42
の要求事項に合うことを確認しながら、単純に指定する
ことにより行うことができる。また、インダクタの磁
場、及びコンデンサの電圧場に貯えられるエネルギ平衡
には幾らかの兼ね合いも存在するが、これらは、本明細
書では考察しないことにする。
【0142】フィルタインダクタL及びコンデンサCに
対する選択値により、約5.8KHzの共振周波数が得ら
れ、この周波数は式42の要求事項を満足するが、スイ
ッチング周波数に少し近いので、タンク回路はある程度
の励振を受ける。
【0143】全世界で用いるために、ブリッジ整流器D
1も適切に指定しなければならない。ブリッジ整流器の
電圧定格は、電力スイッチの電圧定格と同じ特性のもの
とすべきである。ブリッジは又、融着システムが全電力
で動作している場合に、予想最大電流を連続的に流すこ
とができなければならない。これら二つの判定基準を満
たすために、電力コントローラの原型の構造について、
定格が600Vで15Armsのブリッジ整流器を選定した。し
かし、ブリッジ整流器のダイオードは、電力フイルタの
大型入力インダクタが高速電流パルスをダイオードを通
過させない程には、高速のターンオン/オフ定格を持つ
必要はない。この属性によって、あまり高価でない整流
器を入力ブリッジ整流器に利用可能となる。
【0144】先に述べたように、存在する可能性のある
どんな電流高調波も、LC電力フィルタの共振周波数で
始まる。図16の好適実施例の場合、第1電流高調波
は、50HzACシステムでは第116高調波の近くで、60H
zACシステムでは第97高調波の近くで始まる。他の電
流高調波は、20KHzのスイッチ周波数で始まるが、こ
の周波数は、50HzACシステムでの第400高調波、及び
60HzACシステムでの第333高調波である。電流高調波
の始まりをこれらの高い周波数にとることにより、伝導
放出の要求事項を満たすために、高次の差動モード又は
共通モード高調波を濾波することがはるかに容易である
ばかりでなく、費用も少なくなる。予想小振幅上側の高
調波量が小振幅であると予想され、また、構成要素選択
が、抵抗性負荷を電源に示すための式39の要求事項を
満たすと、この電力制御構造によって、デューティサイ
クル及び電力レベルの広範囲にわたって、電力品質、す
なわち力率が所望の高レベルであるシステムがもたらさ
れる。
【0145】電力コントローラが、50Hz又は60HzのA
C電源により供給されると、電力フィルタLCタンクの
構成要素の共振周波数は5.8KHzに近くなる。これは、
AC電源周波数より約2桁上の大きさであり、電力フィ
ルタの共振周波数が、入力電力周波数より少なくとも1
桁上の大きさであるという要求事項を満足する。
【0146】PWMスイッチ周波数が20KHzに指定さ
れ、また、電力フィルタの共振周波数とスイッチ周波数
との間に、約1桁の大きさをとるのが望ましいと想定す
れば、電力フィルタの共振周波数を数千Hz低く、又は
スイッチ周波数を数万Hz高くすることが望ましいであ
ろう。低い方の電力フィルタ共振周波数では、更に大き
く且つ高価な入力インダクタ、又は更に大きく且つ高価
なフィルタコンデンサが必要であろう。通常のレーザプ
リンタで利用可能な空間が制限されている場合、フィル
タ構成要素の物理的サイズ又はコストを増大させること
は非常に望ましくない。更に、5μFの指定値よりはる
かに大きいコンデンサは、フィルタにより引き出される
ピーク電流に影響を与え始め、変換器の力率が全体とし
て低下する。また更に困難なのは、フィルタコンデンサ
を、AC電力の半サイクルごとに低いデューティサイク
ルで完全に放電させることであり、また、後で分かる
が、これは、スイッチングデバイスのスイッチング損失
に悪影響を与えることがある。代替として、スイッチ周
波数を、40KHz又は50KHzにとることができるが、勿
論電力スイッチは、更に大量の周波数依存スイッチング
損失を受け始めることになる。電力スイッチでのスイッ
チング損失が高くなることは望ましくない。というの
は、熱の形での追加のエネルギ損失により、それに関連
したファンという出費を伴う一層積極的な強制空冷が恐
らく必要になるためである。
【0147】パルス幅変調器デューティサイクルを修正
することにより出力電圧を制御する標準DC-DC電圧
変換器と異なり、この変換器は、電子写真式プリンタ又
はゼログラフ式複写機の融着システムに供給されるAC
電力、したがって融着システムの温度を制御している。
融着器制御プログラムを設計する場合には、加熱フィラ
メントの抵抗が、加熱及び冷却するにつれて変化するこ
との検討、及び人間の目がフリッカをどう知覚するかの
知識を考慮に入れることになる。
【0148】この好適実施例の構成は、融着器加熱フィ
ラメントへの電力を制御して線形上昇させることを考慮
している。パルス幅変調器のデューティサイクルの線形
上昇率を制御することにより、この装置は、低温加熱フ
ィラメントにより引き出される通常の突入電流を排除し
ている。電流の大きさ、及び電流の変化率を非常に精密
に制御できるという理由により、この電力コントローラ
は、融着システムが発生するフリッカを大幅に低減す
る、という前述の目標を達成することが可能となる。
【0149】融着システムの加熱フィラメントを考えた
場合、この電力制御構成は、本質的に、「バック(Buc
k)」、又はステップダウン変換器であり、これは、加熱
素子に供給される電力量を制御するために、フィラメン
トをAC負荷へと切り換え、またAC負荷から切り離
す。この電力コントローラは、デューティサイクルを制
限しやすい、電流及び電圧双方のステップダウン変換器
であるので、この電力コントローラの設計により、汎用
融着システムという所要目標をも達成される。好適実施
例の構成は、大きい入力インダクタだけでなく、順方向
変換器でもあるため、電力スイッチが閉じているときは
何時でもフィラメントに電力が供給されるという点で、
ブースト変換器にも似ている。これら他の形式の変換器
とは異なり、この構成では、フィルタコンデンサを、A
C電源の半サイクルごとに完全に放電することが望まし
い。また望ましく且つ必要なのは、加熱素子が大きなリ
ップル電流を受けることである。というのは、この構成
は、融着システムへの電力及びその結果生じる温度を制
御するものであって、DC電圧又は電流を制御するもの
ではないためである。
【0150】図13、図15、及び図16を再び参照し
て、好適実施例の電力制御構成の解析を、導通及び非導
通状態の電力スイッチと関連した電流経路を検討するこ
とにより始める。仮定として、PWMのデューティサイ
クルは0であり、フィルタコンデンサはピーク線路電圧
に完全に充電されるとする。PWMのデューティサイク
ルが直線上昇を開始するにつれて、ランプフィラメント
は、フィルタコンデンサと並列に及び並列外に切り換え
られる。フィラメントが回路内に切り換えられると、電
流がフィラメントに流れ始め、コンデンサがフィラメン
トを通して放電を始め、電流がインダクタに流れ始め
る。フィラメントを回路外に切り換えると、フライバッ
クダイオードがフィラメント電流を導通し始め、入力イ
ンダクタの電流がフィルタコンデンサに電圧を充電し始
める。コンデンサの電圧が、電力フィルタタンク回路の
共振周波数で、感知し得る大きさだけ増大できる前に、
また、インダクタの電流が感知し得るほど減少できる前
に、フィラメントは回路内に切り換えられて戻り、工程
が繰り返される。
【0151】コンデンサCは、フィラメントに電力が供
給されるときのためのエネルギ貯蔵だけでなく、フィラ
メントが回路外に切り換えられたときのインダクタLに
対する連続電流経路をも与えている。インダクタLは、
フィラメントにより引き出される電流を平均しているた
め、AC電源側から見ると、本質的に、非常にきれい
な、高調波量の低いAC電流を、電力変換器が引き出し
ている。
【0152】フィルタ構成要素を適切に選定すると、提
案する構成によって、本質的に抵抗性の負荷をAC電源
に負わせることが可能となる。インピーダンスだけでな
く、融着システムに供給される電力が変わるにつれて、
AC電源側から、デューティサイクルの関数と見える位
相角も調べることは興味深い。以前に示したことである
が、熱フィラメント抵抗は13Ωの近傍にある。シミュレ
ーションを行ったが、これは、タングステンフィラメン
トモデルを、動作電力の広い範囲にわたりフィラメント
抵抗にまさに等しい13Ωの一定抵抗で置き換えることに
よる。
【0153】変換器入力インピーダンスについての、図
15に関する式34から前に導出した式を利用して、パ
ルス幅変調フィラメントを、導出した等価な実効抵抗性
負荷で置き換えると、AC電源側から見た負荷入力イン
ピーダンスが次式のように得られる。
【0154】 ZIN=jωL+(R/d)/(jωC・(R/d)+1)) 式45 第2項の分子及び分母に、第2項の分母の複素共役を乗
ずることにより、ZINは、次のように書き直すことがで
きる。
【0155】 ZIN=jωL+(R/d)/(1−jωC(R/d))/(1+ω222/d2) 式46 式46を利用して、フィラメント抵抗及びフィルタ構成
要素に対する値を代入することにより、AC負荷インピ
ーダンス対デューティサイクル及び角周波数のシミュレ
ーションを導くことができ、図17にグラフで示してあ
る。
【0156】入力インピーダンスについては、デューテ
ィサイクル及び角周波数の関数としてのインピーダンス
の位相角φが、インピーダンスの実数部分に対する虚数
部分の比の逆タンジェントを取ることにより見いださ
れ、これは次のように表現される。
【0157】 φ=arctan(Im(Zin)/Re(Zin)) 式47 負荷インピーダンスに対する前の式から、実数部分及び
虚数部分を分離すると、インピーダンスの位相角に関す
る次式が得られる。
【0158】
【数48】
【0159】式48を利用して、13Ωのフィラメント抵
抗、及び5μF及び150μHのフィルタ構成要素に対す
る値を代入することによって、AC負荷インピーダンス
の位相角対デューティサイクル及び角周波数のシミュレ
ーションを行ない、これを図18に示す。
【0160】デューティサイクルが変化する際の、50H
z又は60HzAC電源側から見た実効負荷のインピーダン
スは、図17から容易に分かる。図17のシミュレーシ
ョンが示すのは、トナーを適切に融着するための温度を
維持するのに必要であるデューティサイクルの範囲に対
して、新しい電力構成が、指定の構成要素と共にほとん
ど純粋の抵抗性負荷をAC電源に与えることである。図
18のインピーダンスシミュレーションも同様にこれを
裏付けている。これらの結果は、この新しい制御構成
が、適切なフィルタ構成要素の選択と結び付けると、如
何に理想に近いかを示している。
【0161】図18のインピーダンス位相シミュレーシ
ョンは又、デューティサイクルが低い構成要素、及びそ
の結果得られる電力負荷に対して、電力制御構成のイン
ピーダンスが一層容量性に見え始めること、及び力率が
劣化し始めることを示している。これら低いデューティ
サイクルにおいて、デューティサイクル変調の加熱素子
の実効抵抗は、フィルタコンデンサのインピーダンスに
比較して大きくなり、式39の判定基準は、もはや適切
な余裕をもって満足されない。
【0162】高負荷で非常に良好な電力品質を有する能
力により、電力品質がそれほど重要でない低負荷での電
力品質の減退が相殺される。勿論、フィルタ構成要素を
更に最適化して、低デューティサイクルに対する負荷イ
ンピーダンスの更なる改善を達成することができる。フ
ィルタ構成要素の選定を更に改良することにより、この
構成は、100Wより下から1キロワットを充分超える範
囲にわたる電力レベルについて、また50Hzから60Hzま
での範囲のAC電源について、更に90Vrmsから240Vrm
sを超える範囲にわたる電源電圧について、AC負荷を
殆ど純粋に抵抗性であるように見せることができる。
【0163】変換器の電力品質、すなわち力率が、デュ
ーティサイクルの関数として如何に変わるかを理解する
ことも役に立つ。図18から、50Hz又は60Hの入力電
力周波数においてAC電源側から見たインピーダンス位
相角を調べ、電力品質が、インピーダンス位相角だけの
関数であると仮定することにより、力率をデューティサ
イクルの関数としてシミュレートすることが可能とな
る。
【0164】電力フィルタのインダクタが、ほぼAC半
サイクル全体にわたり連続導通状態にあるかぎり、力率
は、殆ど完全に相差率に支配される。また、電力フィル
タ共振周波数、及びフィラメントスイッチ周波数が充分
離れてとられるかぎり、スイッチング電流高調波に起因
した電流歪みは最小となり、電流歪み係数cdfは1に近
くなる。
【0165】力率PFは通常、相差率dpfに電流歪み係
数cdfを乗算したものから成り、以下のように表現され
る。
【0166】 PF=dpf・cdf 式49 ここで相差率は、インピーダンスの位相角の余弦cos
(φ)と定義する。
【0167】電流歪みが存在しない、すなわちcdf=1
と仮定すれば(後に立証される仮定である)、力率は、
完全に相差率に依存し、負荷インピーダンスの位相角φ
から容易に計算され、したがって力率は、以下のように
仮定されることになる。
【0168】 PF=cos(φ) 式50 60HzAC電源について、力率対デューティサイクルを
シミュレートした結果を図19にグラフで示してある。
50HzAC電源についても、本質的に同一の結果が得ら
れ、これらも図19に入っている。図19の結果は、式
48、電力フィルタインダクタンス150μH、及び電力
フィルタキャパシタンス5μFを用いて、加熱素子に対
して一定のフィラメント抵抗13オームを仮定し、電力変
換器に50Hz及び60Hz120Vrms電源を供給した状態で得
られたものである。
【0169】インピーダンス位相角、及びその結果得ら
れる力率を見直すと、明らかであるが、電力フイルタに
図16で指定したより小さいコンデンサを選択すれば、
更に低いデューティサイクル及び関連する電力レベル
で、力率が更に改善される。3μFのフィルタコンデン
サは恐らく優れた選定であろう。フィルタキャパシタン
スを減らすと、電力フィルタの共振周波数が上昇する。
フィルタの共振周波数とスイッチング周波数の間の適切
な分離を維持するためには、電力フィルタのインダクタ
ンスを増大させねばならず、フィルタインダクタンスを
300μHにまで増大すると、フィルタの共振周波数は、
入力電力周波数の数百ヘルツ近くにシフトされる。必然
的に伴う兼ね合いは、フィルタ構成要素のコストとそれ
らの物理的なサイズを釣り合わせることである。フェラ
イト磁芯インダクタのインダクタンスを、その物理的サ
イズ及びコストに与える影響を非常に少なくして極めて
廉価に、数百マイクロヘンリだけ増大させることができ
る。高電力フィルタコンデンサのサイズを小さくする
と、その結果一般に、コストが節約されるばかりでな
く、フィルタの物理的サイズもかなり減少する。したが
ってフィルタのキャパシタンスを減らし、フィルタのイ
ンダクタンスを増大させれば、コストの観点及び物理的
サイズの観点から有益である。しかし、設計を最適化す
ることは、将来作業の主題である。
【0170】デューティサイクルの関数としてシミュレ
ートしたフィラメント電力は、もう一度再現する式30
から見いだすことができる。
【0171】 Pavg=Vrms2・d/R 式30 ここで、Vrmsは供給電圧のrms値であり、Rはフィラメ
ント抵抗であり、dはパルス幅変調器のデューティサイ
クルである。
【0172】式30を利用し、電源電圧が120Vrmsであ
り、またフィラメント抵抗が13Ωであると仮定すること
により、先の力率シミュレーションでフィラメントによ
り消散される電力は、デューティサイクルが0.033から
1.0に変わるにつれて、36Wから1100Wの範囲となるが
わかる。0.8の力率は、36Wの電力レベルで達成され、
電力レベルが72Vに上昇したとき力率は0.95である。力
率は、更に高いすべての電力レベルに対して本質的に1
となる。
【0173】力率が、相差率により支配されているとい
う前の仮説を試験するために、力率測定を原型の電力変
換器で、デューティサイクルを変えて行った。電力変換
器及びプリンタの融着システムを121Vrms60Hz電源に
接続し、PWMのデューティサイクルを手動で変えた。
力率対PWMデューティサイクルの測定結果を図20に
示してある。
【0174】図20に与える力率対PWMデューティサ
イクルの結果は、図19で与えた力率に対する一定抵抗
シミュレーションにより推定したものよりわずかに良
い。これは、一定な13Ωのフィラメント抵抗を、デュー
ティサイクル及び関連する電力レベルが変化するにつれ
て、実際のフィラメント抵抗は極めて劇的に変化すると
して仮定した際の誤差に起因する。
【0175】力率は、相差率と電流歪み係数の両方の関
数、すなわちPF=dpf*cdfであるので、測定力率を相
差率で割ることにより、電流歪み係数を得ることができ
る。これは、電流歪み係数が、デューティサイクルが変
化する際の電流高調波量の理解を与え、又すべての実用
的負荷に対して電流歪み係数が1(cdf=1.0)であると
いう仮定を立証するので役に立つ。図20及び式49か
らのデータを利用して、デューティサイクルの関数とし
ての電流歪み係数を計算し、その結果を図21にグラフ
で示した。
【0176】図21のデータを分析すると、パルス幅変
調器が0.033より低いデューティサイクルになるまで、
電流歪みが本質的に存在しないことがわかる。0.033よ
り低いデューティサイクルでは、電力変換器は、もはや
十分なエネルギを消費しておらず、AC半サイクルごと
にフィルタコンデンサを完全に放電させることはない。
また、低デューティサイクルでは、入力インダクタは、
ACサイクルの非常に小さい部分でしか導通しておら
ず、小レベルの電流高調波歪みが発生し始めている。
【0177】図21のデータは、融着システムにより使
用されるPWMデューティサイクルの範囲にわたり、本
質的に電流歪みが存在しないという前の仮定が正しいこ
とを立証している。図21は又、AC電圧ゼロ交差にお
ける電流歪みを無視できるという仮定を立証している。
【0178】フィラメントが電力スイッチにより回路の
内外に切り換えられる際に、フィラメント側から見たイ
ンピーダンスを調べることも興味がある。フィラメント
側から見たインピーダンスは、入力電力フィルタタンク
のインピーダンスである。電力フィルタタンクの励振を
最小にするために、フィラメントにとって、電力スイッ
チのスイッチ周波数をできるかぎり、フィルタタンク共
振周波数の共振ピークのかなり上方にとることが望まし
い。これは又、伝導放出及び放射線放出を、フィラメン
ト側から可能なかぎり低いインピーダンスと見えるよう
に、最小限に抑える際にも役立つ。
【0179】やはりフィラメント側から見たインピーダ
ンスは、並列LC共振タンク回路であり、そのインピー
ダンスは以下により与えられる。
【0180】 Z=sL(1/sC)/(sL+(1/sC)) 式51 式51を並べ変えると、次式が得られる。
【0181】 Z=s・(1/C)/(s2+(1/LC)) 式52 周波数の関数としての式52を利用して、電力フィルタ
インピーダンスのシミュレーションを、図16のフィル
タ構成要素についてだけでなく、フィルタ構成要素の他
の値についても行い、図22にグラフ示した。上記の力
率分析で示した3μF及び300μHという示唆されたフ
ィルタ値を使用する効果も同様に、図22に含まれてい
る。
【0182】スイッチング周波数20KHzで、フィラメ
ント側から見たインピーダンスを調べると、明らかであ
るが、図22で指定したフィルタ構成要素について、フ
ィラメント側からは約1.7Ωのインピーダンスに見えて
おり、またそれは、殆ど純粋に容量性である。切り換え
られる抵抗性負荷と並列のコンデンサは、フィラメント
側から見たインピーダンスが、スイッチング周波数が増
大すれば減少することを意味している。したがって、電
源が受ける電流高調波の大きさは、スイッチング周波数
の増大、又は電力フィルタ構成要素の共振周波数の減少
に対して、減少することになる。この構成は、直列LC
フィルタの長所を与えて、電流高調波を低く保つのに役
立つだけでなく、伝導放出を最小限に抑えるのに充分な
濾波を行うことができる。したがって、図16に指定し
たフィルタ構成要素の値について、指定された20KHz
スイッチング周波数より高いスイッチング周波数を利用
するのが望ましい。スイッチング周波数が増大すると、
そのスイッチング周波数での電流高調波の大きさが更に
減少し、別の電流高調波(伝導放出)を更に高い周波数
に押上げ、この場合それらは、更に低いコストのフィル
タ構成要素で、更に容易に濾波される。
【0183】図23のフィラメント抵抗計算値対デュー
ティサイクルが正確であることを立証するために、実験
データの数点を、プログラム可能な高電力DC源を利用
して、実際の電力レベル及び関連するフィラメント抵抗
について集めた。DC電流レベルをプログラムし、その
結果得られたDC電圧レベルを測定し、関連する平均電
力及びフィラメント抵抗を計算した。平均電力に関し
て、電圧、フィラメント抵抗、及びデューティサイクル
の関数として、前に与えた式30を利用することによ
り、所定のrms電源に関する同じ平均電力をd=P*R/
√2から得るために、電力変換器が必要とする等価デュ
ーティサイクルを計算することが可能である。この分析
を測定電力レベルについて行い、その結果を表1に示し
てある。表1は、新しい電力制御システムについて、12
0VAC電源に接続した場合の、電力負荷測定値、抵抗
測定値、デューティサイクル計算値、及び実効抵抗AC
負荷を示している。
【0184】
【表1】
【0185】表1の実際のフィラメント抵抗、及びデュ
ーティサイクル計算値を、図23のフィラメント抵抗計
算値対デューティサイクルと比較すると、少数の実験的
に測定したフィラメント抵抗とフィラメント抵抗計算値
について非常に良い関係があることが分かる。
【0186】低デューティサイクルでの実際のフィラメ
ント抵抗を推定するために、低電力DC実験を行った。
これは、フィラメント端子を直接DC電源に接続し、D
C電圧源を幾つかの異なる電圧に設定し、その結果得ら
れるフィラメント抵抗を測定して行った。フィラメント
抵抗、及び電力レベルを安定させるために、各電圧レベ
ルで数分の動作が必要であった。この実験から表2のデ
ータを集めた。
【0187】
【表2】
【0188】表2の低電力フィラメント抵抗のデータ、
及び図23のフィラメント抵抗計算値を利用することに
より、低デューティサイクルに対するフィラメント抵抗
を、標準グラフ法により推定した。結果得られたフィラ
メント抵抗対デューティサイクルデータを図24にグラ
フで示す。
【0189】図24のフィラメント抵抗対デューティサ
イクルは、120Vrmsに近いAC電源電圧についてだけ有
効である。たとえば、同じ950W115V定格の融着器加熱
ランプを、更に高いAC電圧システム、たとえば220V
に使用する場合、一定抵抗を仮定し、各電圧レベルでの
平均電力を等しくし、デューティサイクルの尺度を計算
することにより、デューティサイクルの尺度を正規化し
直すことができる。
【0190】一例として、この新しい電力制御構成を有
し、同じ融着システム加熱ランプを有するプリンタに、
アメリカ合衆国における60Hz121VrmsAC電源ではな
く、ヨーロッパにおける50Hz220VrmsAC電源により
電力を供給するものと想定する。ヨーロッパで米国と同
じフィラメント電力レベルを生ずるデューティサイクル
を見つけるために、以下のように進める。
【0191】各電圧レベルでの電力を等しいとおくと、
次式が得られる。
【0192】 Pavg1=Pavg2 式53 先に導出したデューティサイクルに依存した電力の式に
代入すると、一定抵抗を仮定する電源電圧で次式が得ら
れる。
【0193】 (V1rms2・d1/R=(V2rms2・d2/R 式54 両辺を第2電源電圧の2乗で割り、両辺に抵抗値を乗ず
ると、次式が得られる。
【0194】 d2=(V1rms2・d1/(V2rms2 式55 電圧項の2乗の比は、電圧項の比の2乗と同じであるの
で、新しい電源電圧での等価デューティサイクルは、以
下のようになる。
【0195】 d2=(V1rms/V2rms2・d1 式56 新しい電圧レベル及びデューティサイクルで動作するた
めのデューティサイクル及び対応するフィラメント抵抗
は、図24を得るのに用いた121V電圧、及び変換しよ
うとする図24のフィラメント抵抗のデューティサイク
ルを、新しい電圧の値に代入することにより見いだすこ
とができる。
【0196】一例として、220VrmsAC電源に接続した
場合の950Wの加熱素子について、14Ωのフィラメント
抵抗を得るのに必要なデューティサイクルを推定したい
ものと想定する。式56及び最初の電源電圧121Vrms、
及び14Ωのフィラメント抵抗を得た0.81のデューティサ
イクルを利用すると、220Vrmsシステムの場合の0.245
の新しいデューティサイクルが得られる。
【0197】デューティサイクルの関数としての非線形
フィラメント抵抗は、121Vrms60Hzシステムに対して
既知であるので、結果として、スイッチでの電力損失は
容易に判明する。電力変換器が、非線形電力に依存した
フィラメント抵抗性負荷ではなく、一定抵抗負荷を駆動
していれば、変換器は、デューティサイクルが1から0.
0まで減少する際に、一定なスイッチング損失、及び直
線的に減少する伝導損失を生ずる。
【0198】通常の電力スイッチは、二つの電力損失機
構という不利を招く。第1は、スイッチの「オン状態」
電圧に、スイッチを流れる電流を乗じたものに起因した
「伝導損失」であり、第2は、周波数依存の「スイッチ
ング損失」に起因する。電力MOSFET(又はIGB
T)スイッチのオン抵抗に起因した伝導損失だけでな
く、スイッチング損失も幾分詳細に検討して、これらの
損失を確実に許容可能としなければならない。
【0199】本明細書で考慮する電力制御構成の場合、
スイッチがオンであると、スイッチのオン電圧だけでな
く、スイッチの電流も、AC電源とともに周期的に変化
する。電力MOSFETスイッチにおいて、オン電圧
は、スイッチを流れる電流I0に、MOSFETスイッ
チの「オン抵抗」Rdsonを乗じたものの関数である。
【0200】スイッチのオン抵抗、及びフィラメント抵
抗は、単純な2直列抵抗回路を形成し、これにより、ス
イッチ抵抗を横切る電圧だけでなく、回路を流れる全電
流をも、オームの法則を直接適用して容易に見いだすこ
とが可能となる。
【0201】スイツチを流れる電流は、 Irms=Vrms/(R+Rdson) 式57 であり、スイッチを横切る電圧は、以下のようになる。
【0202】 Vonrms=Irms・Rdson=Vrms・Rdson/(R+Rdson) 式58 スイッチを流れる電流は、AC電圧源と共に周期的に変
化しているので、スイッチの平均電源オン損失を、以下
のように表現すると都合が良い。
【0203】 Pon=(Vrms/(R+Rdson))Vrms・(Rdson/(R+Rdson))d 式59 ここで、dはデューティサイクルであり、VはAC電圧
源のRMS値であり、Rはフィラメント抵抗の値であ
り、Rdsonは電力スイッチの「オン抵抗」である。この
電力コントローラが一定抵抗負荷を駆動する場合には、
スイッチの電源オン損失は、デューティサイクルととも
に直線的に減少する。しかし、本明細書で考慮する融着
システムに対するフィラメント抵抗は、デューティサイ
クルの非線形関数であり、低デューティサイクルで電源
オン時スイッチ損失を、一定抵抗の場合に予想されるよ
り高くする。
【0204】図16のMOSFETのオン抵抗は、製造
業者により0.15Ωと与えられている。供給電圧121Vrms
を指定し、121Vrms電源用である図24からのフィラメ
ント抵抗対デューティサイクルの情報、及びMOSFE
Tスイッチの式59のオン抵抗を利用すると、新しい電
力制御構成の電力スイッチの伝導損失を計算することが
可能となる。新しい電力制御構成のスイッチ伝導損失
を、非線形フィラメント損失対デューティサイクルで計
算し、図25にグラフで示した。非線形フィラメント抵
抗に依存したスイッチ損失のものとの比較ができるよう
にも実施される米国特許第5,196,895 号で利用されるよ
うな、一定抵抗負荷を使用する融着システムの場合に対
して、伝導損失対デューティサイクルの計算を行うこと
ができる。一定抵抗負荷の場合の伝導損失の計算の結果
を、比較のため図25に非線形伝導損失の計算と共に示
す。
【0205】図25のデータは、非線形フィラメント抵
抗に関する伝導損失が、低デューティサイクル時の一定
抵抗負荷の場合よりも高いことを示している。このよう
に、電力スイッチは、通常の比例制御型のトライアック
電力制御システムに比較して、わずかに高い温度で動作
している。
【0206】PWMデューティサイクルを、発振比例コ
ントローラとしての融着器温度制御システムで、0から
0.95まで急速に上昇させ、所定期間保持し、次に急速に
0まで低下させると、スイッチ温度が辛うじて認め得る
程度上昇することが観察された。この事例は、現在の比
例制御型トライアックと同様である。逆に、PWMデュ
ーティサイクルを低デューティサイクルに固定して、融
着器温度を維持すると、スイッチ温度ははるかに高くな
り、したがって、スイッチの伝導損失及びスイッチング
損失がトライアックの損失より高くなった。
【0207】スイッチング損失の分析を始めるため、図
16の電力スイッチがしばらくオフであったと仮定す
る。ターンオン遷移260の期間中、フィラメントの自己
インダクタンスの電流は、電流立ち上がり時間triの間
に、0からその最終値I0までほぼ直線的に増加する。
スイッチを流れる電流が最終値になってから、スイッチ
電圧は、電圧立ち下がり時間tfvで降下し始める。大き
な値のスイッチ電圧及び電流が、ターンオ ン・クロス
オーバ期間tc(on)中同時に存在し、このtc(on)は、電流
立ち上がり時間と電圧立ち下がり時間との和であり、図
26にグラフで示してある。
【0208】ターンオン遷移260の期間中スイッチで消
費されるエネルギは、下記のように近似することができ
る。
【0209】 Wc(on)=(1/2)Vd・I0・tc(on) 式60 スイッチが、オン状態からオフ状態への遷移を始める
と、スイッチを横切る電圧は、電圧立ち上がり時間Trv
で、オン電圧V0から電源電圧まで上昇する。スイツチ
にかかる電圧がその最終値に達すると、図16のフライ
バックダイオードが導通し始め、スイッチの電流が、電
流立ち下がり時間tfiで0まで降下する。やはり大きな
値の電圧及び電流が、ターンオフ・クロスオーバ期間t
c(off)中同時に存在し、このtc(off)は、電圧立ち上が
り時間と電流立ち下がり時間との和であり、図26にグ
ラフで示してある。
【0210】ターンオフ遷移261の期間中にスイッチで
消費されるエネルギは、下記のように近似することがで
きる。
【0211】 Wc(off)=(1/2)Vd・I0・tc(off) 式61 参照として本明細書に取り込むが、Undelund,T.、Mo
han,N.、及びRobbins,W.著の「電力電子装置:変換
器、応用、及び設計」(ISBN 0-471-61442-8 (198
9))(本明細書では、Undelundという)には、スイッ
チング遷移に起因した平均スイッチング電力損失P
sを、以下のように近似できることが示されている。
【0212】 Ps=(1/2)Vd・I0・fs(tc(on)+tc(off)) 式62 ここで、Vdは電源電圧であり、I0は誘導性素子を流れ
る電流であり、fsはスイッチング周波数であり、t
c(on)はターンオン・クロスオーバ期間であり、tc(off)
はターンオフ・クロスオーバ 期間である。
【0213】新しい電力変換器構成において、非線形フ
ィラメント抵抗に依存したスイッチング損失を推定する
ためには、フィラメント抵抗、及びそのスイッチ電流に
及ぼす影響を考慮しなければならない。式62の電流I
0を、非線形デューティサイクルに依存したフィラメン
ト抵抗と、式57のスイッチ抵抗との直列組合せによ
り、電圧源から引き出される等価電流で置き換えること
により、電力スイッチのスイッチ損失を、デューティサ
イクルの関数として推定することが可能となる。
【0214】これら置換を実行すると、以下の推定スイ
ッチ損失の式が得られる。
【0215】 Ps=(1/2)Vrms(Vrms/(Rdutycycle+Rdson))fs(tc(on)+tc(off)) 式63 上式を用いて、スイッチ損失を、デューティサイクルの
関数として推定することができる。ここで、R
dutycycleは、図24に示すような問題とする特定のデ
ューティサイクルでのフィラメント抵抗であり、Rdson
は定数と考えられる。
【0216】上で指定した特定のスイッチ(MTY30N
50E)は、製造業者により0.15Ωと指定されている典型
的なオン抵抗Rdsonを有する。電流立ち上がり時間、及
び立ち下がり時間はそれぞれ、通常100nSであると指定
されているが、電圧立ち上がり時間、及び立ち下がりの
時間については、利用できる情報が無い。総合ターンオ
ン/ターンオフ・クロスオーバ期間を推定するために、
電圧立ち上がり時間、及び立ち下がり時間を全体で100n
Sと推定した。
【0217】121Vrms電源に関する図24からの、フィ
ラメント抵抗対デューティサイクルのデータを式63と
共に使用して、推定スイッチ損失をデューティサイクル
の関数として計算した。デューティサイクルの関数とし
ての推定スイッチ損失だけでなく、図25の非線形抵抗
伝導損失、及びこれら二つの推定スイッチ損失の合計も
図27に示してある。
【0218】図27は、電力スイッチのスイッチング損
失が、低デューティサイクル時の非線形フィラメント抵
抗により、どんな影響を受けるかを示している。変換器
の全スイッチ損失は、低デューティサイクル時のフィラ
メント抵抗の非線形効果により強く支配され、この結果
として、スイッチにより消費される平均電力が、高デュ
ーティサイクル時よりも低デューティサイクル時に高く
なる。
【0219】電力制御システムの全体効率は、次式によ
り与えられる。
【0220】 %効率={(Ptotal−Ploss)/Ptotal}・100 式64 ここで、Ptotalは全消費電力であり、Plossはスイッ
チでの電力損失である。
【0221】電力スイッチの伝導損失、及びスイッチン
グ損失は、システムの損失を支配し、従って、フライバ
ックダイオードの損失は無視されることになる。フィル
タ構成要素の選択及び指定に注意を払ったため、入力イ
ンダクタ及びフィルタコンデンサの損失も、重要ではな
いので無視できる。デューティサイクルの関数としての
全消費電力測定値に関する図21のデータ、デューティ
サイクルの関数としての全スイッチ損失のシミュレーシ
ョン値、及び式64を利用することにより、電力コント
ローラの、デューティサイクルの関数としての効率を計
算し、図28に図グラフで示した。
【0222】図28のグラフは、電力変換器構成の全体
効率を示し、又低電力レベルでのフィラメントの非線形
抵抗が、変換器の効率を如何に劣化させるかを示してい
る。
【0223】0.1より上のすべてのデューティサイクル
で、フィルタコンデンサの電圧波形が、0ボルトから√
2*121ボルトまで正弦的に増加し、次に0にまで正弦的
に減少し、これを繰り返す、無歪み全整流AC波形とし
て現われることが観察された。0.1より下のデューティ
サイクルでは、コンデンサの電圧波形は依然として、無
歪み全整流AC波形として現われるが、その波形は今度
は、数ボルトだけDCバイアスされ、フィルタコンデン
サにかかる最大電圧は、やはり√2*121ボルトであっ
た。デューティサイクルが減少し続けるにつれて、DC
バイアスは増加し続けるが、フィルタコンデンサにかか
る最大電圧は、√2*121ボルトのままであった。これ
は、整流器フィルタ設計で考慮しなければならない周知
の現象である。図29は、AC電源のピーク電圧、及び
コンデンサにかかる最小電圧が、AC正弦波のゼロ交差
にあるときに、高負荷されたフィルタコンデンサに現わ
れる、古典的な全波整流正弦半波を示す。
【0224】非常に低いデューティサイクルd<0.015
では、フィルタコンデンサの電圧波形は、ほぼ一定の√
2*120ボルトDCとなって現われ、リップル量は、デュ
ーティサイクルが0に近づくにつれて減少した。デュー
ティサイクルの関数として、最小フィルタコンデンサ電
圧に関するデータを図30に示す。
【0225】融着器加熱ランプのフィラメント、及びそ
れに関連した電力配線は、幾分大量の約2.8μHの寄生
インダクタンスを示すが、これは、電力スイッチのター
ンオフ損失を増大させる傾向がある。したがって、スイ
ッチにターンオフ・スナバが必要な場合がある。しか
し、図16に指定したMOSFETスイッチングトラン
ジスタの定格は、適切なヒートシンクを設けた場合に、
300Wを超える電力消散に対して決められている。廉価
な電力スイッチを利用したければ、外部スナバの方が、
スイッチのファミリー間のコスト差より廉価に実施で
き、これが次いで、電力変換器設計全体のコスト低減の
部分になるであろう。それでスナッバは、スイッチのタ
ーンオフ期間中、フィラメントインダクタンスに起因し
た追加エネルギを消散する。Undelundだけでなく他の
者も、ターンオフ中にスイッチにより消散されるエネル
ギを減らすために、誘導性負荷ターンオフ・スナバを設
計する方法を提示している。
【0226】Undelundが提示するターンオフ・スナバ
設計は、電力変換器のスイッチが完全にオフになると、
誘導性負荷に電流を流すことになる、誘導性負荷に対し
て並列防止のフリーホイーリング・ダイオードを想定し
ている。図16の電力変換器の初期設計時に、電力スイ
ッチがオフになるとフィラメント電流を流すために、フ
リーホイーリング・ダイオードDfが必要になるであろ
うと仮定した。図31の概略図は、電力変換器の原型の
電力スイッチと組み合わせた、Undelundのターンオフ
・スナバ構成を示す。
【0227】Undelundは、スナバコンデンサCs、及
びスナッバ抵抗器Rsの値の選択方法を提示している。
Undelundが提示する式は、DC電圧源、及び誘導性負
荷に流入するDC電流に関する。電源電圧及び負荷電流
は、DCではなく正弦状であるという事実により、電力
スイッチにより消散され、スナバによりスイッチから解
放される平均電力が不変であるので、本明細書で考慮す
る電力変換器に関するその使用に変更はない。
【0228】ターンオフスナバを変更して、寄生インダ
クタンスLfilの磁界に貯えられているすべてのエネル
ギを捕らえると、高価なフリーホイーリング・ダイオー
ドDfを除去することができる。これは、ターンオフス
ナバの構成要素の値をわずか変えることにより容易に行
われる。
【0229】好適実施例の電力変換器構成の場合、時定
数の3倍の時間がフィラメントの時定数を超えた後、誘
導性負荷Lfilを流れる電流は、単純に以下のようにな
る。
【0230】 I0=Vd/Rfil 式65 ここで、Rfilはフィラメントの抵抗である。フィラメ
ントの寄生インダクタンスLfil、及び電力配線の磁界
に貯えられているエネルギは、次式で与えられる。
【0231】 W=L・(I0)2/2 式66 スナバコンデンサCsの電界に貯えられているエネルギ
は、次式で与えられる。
【0232】 W=Cs・Vd2/2 式67 式66を式67と等しいとおき、フィラメントを流れる
電流に関する式65に代入すると、スナバコンデンサC
sの以下の選択値が得られる。
【0233】 Cs=L/(Rfil) 式68 2.8μHの寄生インダクタンスを代入し、フィラメント
抵抗を8Ωと仮定すれば、スナバのキャパシタンス0.04
4μFが得られる。
【0234】スナバのキャパシタンスCsが分かったの
で、スナバ抵抗Rsは、スイッチの最小予想オン時間内
で、スナバキャパシタンスCsを放電させる抵抗を選択
することにより、容易に指定できる。抵抗は又、スイッ
チMに電力が再供給される場合に、スナバ抵抗Rsを流
れるサージ電流を制限できる程十分大きくすべきであ
る。スナバ抵抗Rsを20Ωに選定すると、スナバのRC
時定数は0.88μSになる。時定数の3倍の時間又は2.7
μS後、スナバコンデンサCsが、本質的に完全に放電
される。前記2.7μSは、スイッチの予想最小オン時間
よりはるかに短いので、満足である。
【0235】スナバ抵抗Rsで消費される電力は又、設
計者に、スナバコンデンサの選択を修正させる場合があ
る、重要な考慮事項である。スナバ抵抗Rsにより消費
される電力は、スナバコンデンサCsに貯えられる全電
力に、スイッチ周波数を乗じたものでり、次式のように
なる。
【0236】 P=Cs・Vd2・fs/2 式69 供給電圧が120Vrmsで、スイッチング周波数が20KHz
で、スナバコンデンサが0.044μFである場合、スナバ
抵抗Rsにより消費される平均電力は、式69から6.34
Wであると分かる。これは又、電力スイッチのスイッチ
ング損失の低減でもある。同じ設計で、240Vrms電源か
ら電力を供給しようとすれば、スナバ抵抗により消費さ
れる電力は25.34Wになる。これは劇的な増加であり、
高電力抵抗は、物理的に大きく高価となる。スナバキャ
パシタンスCsを0.022μFに減らすとすれば、スナバ
抵抗Rsにより消費される平均電力は、120Vrmsで3.17
Wに、240Vrmsで12.67Wに減少する。
【0237】これら低い電力レベルにより、廉価なスナ
バ抵抗が利用可能となる。この変更により、スナバキャ
パシタンスを、負荷インダクタンスと共振させることも
できる。負荷インダクタンスの磁界中の余分なエネルギ
によって、スナバコンデンサの電圧が、電源電圧をオー
バーシュートする。電流が、インダクタを通ってスナバ
コンデンサに流入するのを止めた後、電流の流れは、ス
ナバコンデンサにかかる電圧が電源電圧に等しくなるま
で逆になる。
【0238】この、ターンオフスナバを最適化して、タ
ングステンフィラメント加熱素子、及びそれに関連した
電力配線の寄生インダクタンスに貯えられているエネル
ギを抑える手法は、高速、高電圧、高電流の並列防止フ
ライバック・ダイオードを使用するより、はるかに安上
がりである。この手法は又、回路のdv/dtとdi/dtの双方
を低減するので、放射線放出を最小にするだけでなく、
伝導放出の発生源を最小にするのにも役立つ。
【0239】この振動の周波数は、負荷インダクタンス
filと、スナバキャパシタンスCsから直接次のよう
に推定できる。
【0240】 f=1/2π√(L・Cs) 式70 負荷インダクタンスLfilと、スナバキャパシタンスC
sに対する新しい値を代入すると、約641KHzの共振周
波数が得られ、これは、この振動の波長が467メートル
と長いため、放射線放出又は伝導放出の観点から、あま
り問題ではない。フィラメントから、フリーホイーリン
グダイオードDfilを除去した修正ターンオフスナバを
図32に示す。
【0241】MOSFETの大きなピーク電流処理能力
に起因して、120VACの原型開発目的のために図16
に指定したスイッチに、ターンオフスナバを必要としな
いことを決定した。220VACシステムに同じ電力MO
SFETを利用しようとすれば、スイッチに流入するピ
ーク電流を制限するために、ターンオンスナバが必要に
なるであろう。代替として、IGBTスイッチを利用す
ることもでき、これは、その元来高いサージ電流定格に
より、ターンオンスナバの必要性が減るか、又は全く無
くなる。
【0242】図16に指定したスイッチの電圧定格に起
因して、また、ターンオフスナバのキャパシタンスの値
が大きいため、120VAC原型開発目的のための図16
に指定したスイッチに、過電圧スナバを必要としないこ
とを決定した。500Vの最大ドレイン・ソース間電圧定
格によって、同様に220Vシステムの場合でも、過電圧
スナバを必要としない。
【0243】次に、融着システムの温度を制御するため
の例としての制御システムを提示する。この制御システ
ムは、電力をフィラメントに加えて融着システムを動作
温度まで上げる速度を制御するために、融着器フィラメ
ントの加熱特性の知識を、人間の目がほぼ8Hzから10
Hzの速度までの瞬時変化に最も敏感であるという知識
と共に利用するだけでなく、形状係数の概念をも利用し
ている。フィラメントの電気特性の研究から分かってい
るのは、フィラメント抵抗が、加熱時に、330mSの熱時
定数を示す、ということである。また、フリッカ規制の
要約から分かっているのは、フリッカを最も良く減少す
るのが、ランプ状電圧変化を、少なくとも1秒のランプ
時間で実施する場合である、ということである。
【0244】制御システムには、フリッカを最小にする
のに電流をゆっくり変化させるという要求事項と、融着
器温度を、現存するトライアックに基づくシステムと同
等以上に維持する温度制御システムを設計する必要性と
がある。フリッカレベルを、適切な融着器温度制御に対
して釣り合わせることは、融着器温度制御システムの設
計における重要な二律相反性である。
【0245】制御システムは、ディジタルコンピュータ
により実行されるソフトウエア又はファームウエア内に
常駐する。次に図33を参照すると、制御システム全体
の一実施例を示す流れ図が示されている。まず、制御シ
ステムは、入力電圧を決定しなければならない。デュー
ティサイクルは、1秒の期間にわたって、0から0.25直
線に上昇される(ステップ1000)。直線上昇間隔は、短
くすることも長くすることもできるが、少なくとも1秒
の時間によって、最大のフリッカ低減が得られる。ま
た、0.25の最終値は、220Vrmsの最高指定入力電圧に対
するデューティサイクルの最大値と相関がある。他の融
着システムでは、最大電圧に関連した異なる値を備える
ことができる。
【0246】デューティサイクルは、融着器温度が上昇
する際に、所定時間0.25に保持される(ステップ100
1)。時間の正確な量は、それが融着システムの熱質量
及び給送遅れに依存するので、各用途について決定しな
ければならない。被試験プリンタの融着システムに対し
て、20秒の時間を用いた。温度勾配は、時間間隔及び融
着器温度から決定される(ステップ1002)。この勾配か
ら、電源電圧が決定できる(ステップ1003)。
【0247】融着器の安全動作を保証するために、最大
デューティサイクル(DMAX)が、電源電圧に基づき割
り当てられる(ステップ1004)。好適実施例において、
MAXは、電源電圧が≦110Vrmsであれば、DMAX=1.0
と、電源電圧=127Vrmsであれば、DMAX=0.75と、電
源電圧=220Vrmsであれば、DMAX=0.25となるよう
に、経験的に決定される。デューティサイクルがまだD
MAXになっていない場合(ステップ1005)、1秒の期間
にわたって、デューティサイクルをDMAXまで直線上昇
させる(ステップ1006)。デューティサイクルがDMAX
に達した後、適切な温度を維持するための温度制御プロ
セスを呼び出す。この工程は、以下で更に詳細に説明す
る。
【0248】印刷が終了すると、融着器は、DMAXを50
%だけ直線降下させて、アイドルモードに入る(ステッ
プ1008)。プリンタは、アイドルモードを出て(ステッ
プ1010)、印刷モードか、又は省電力モードに入ること
ができる。プリンタが省電力モードに入る場合(ステッ
プ1011)、デューティサイクルを0まで下げる(ステッ
プ1013)ことにより、融着器への電力をターンオフす
る。省電力モードか、又はアイドルモードを出るために
は、DMAXを、ステップ1004で決定したその元の値にリ
セットしなければならない(ステップ1012)。
【0249】温度制御システム1007を図34に更に詳細
に示す。このシステムは、通常の制御手法で設計して、
離散時間領域へと変換することができ、又は離散時間領
域で完全に設計することもできる。制御システムは、古
典的な比例・積分(PI)コントローラといった慣用的
なフィードバック制御構造で実施される。適応型制御
が、温度制御システムに公開されている別の手段であ
り、慣用的なフィードバック制御システムにも適合する
構造である。
【0250】フィードバック制御の慣用的な基礎を、図
35にブロック図の形で示してあるが、そこで、システ
ムへの入力は、所望の融着器温度dtempであり、フィー
ドバック量は、融着器温度測定値tmeasである。温度誤
差信号が、コントローラ300に入力として供給され、
コントローラ300の出力WKが、電力電子装置ブロッ
ク301内のパルス幅変調器のデューティサイクルを直接
制御する。
【0251】図35のコントローラ300は、比例、P
I、PID、又は適応型とすることができ、それには、
融着システムの動特性の詳細モデルを含めることも可能
である。電力電子装置301は、高速動特性を備えた線形
電力増幅器と見なすことができる。他方で、融着器302
は、かなり低速の動特性を備え、実行性又は安定性とい
う理由のために、これらの動特性を、温度コントローラ
設計に含めることが必要となる場合もある。
【0252】本発明の好適実施例は、Widrow,B.&St
erns,Sが「適応型信号処理」(ISBN0-13-004029-0
1(1985))(参照として本明細書に取り込む)で教示
しているような、LMS(最小平均二乗)形式のアルゴ
リズムを用いて、適応型線形結合器に基づく適応型制御
システムを使用する。適応型制御システムは、それ自身
で問題に適応するので、制御しようとするシステムにつ
いて、非常にわずかしか知らなくても実施できるという
点で、非常に魅力的である。適応型制御システムは、高
速又は低速適応に容易に修正でき、したがって、システ
ムを制御下に置き、次いで所望の設定点の周りで精密に
制御するために、低速適応に切り換えるよう迅速に適応
できる。
【0253】好適実施例は、単一重みの適応型構造、及
びLMS形式のアルゴリズムを使用する。単純な単一重
み方法には、多数の利点があり、その一番の利点は、必
要以上のプロセッサオーバーヘッドがなく、現存する制
御システムを置き換えることができる、という点にあ
る。これにより、大量生産プリンタ又は複写機に実施で
きる可能性が最高になる。
【0254】温度制御システムの装置と、パルス幅変調
器401、電源、電力電子装置301、融着システム302、及
びコントローラ400を示す物理的なコンポーネント構成
とを図36に示す。図36の温度制御システムは、一つ
のフィードバック量、すなわち融着システム302の温度
しか利用しない。この結果として、制御システム400を
実施するのに極めて低価格のマイクロコントローラ(図
34の4001)を使用できるので、最低費用の実施形態と
なる。プリンタ及び複写機のほとんどの制御コンピュー
タは、融着システムの温度測定を既に行っているので、
市販の実施形態での最良の手法は、プリンタ又は複写機
エンジンのマイクロプロセッサ4001により既に使用され
ている、現存のA/D変換器4000を利用することであ
る。通常、温度センサは、負温度係数のサーミスタを備
え、これは、高周波雑音を除去する1次低域フィルタに
結合された分圧回路内にある。サーミスタ及び低域フィ
ルタの帯域幅は、比較的低く、約20Hzであるが、融着
システムの帯域幅よりはるかに高い。
【0255】Widrow による記載の標準的なLMS適応
型システムを用いた実験によって、本システムは安定で
あり、問題解決に向けて収束することが分かった。しか
し、融着器温度が、所望温度に等しくならないことが判
明した。これは、Widrow が教示するような適応型シス
テムによる、測定温度の重み換算に起因する。したがっ
て、所望温度dk を、適応型線形結合器の出力と次元的
に同等にするには、システムを修正する必要がある。こ
れは、所望温度に、現在の重みベクトルwk を乗ずるこ
とにより容易に行うことができ、その結果として、重み
が変わるにつれて絶えず変化する、新しい所望の信号が
得られる。これは、適応型システムの設計方法論に少し
も背いていない。重み換算された新しい所望温度は、シ
ステム用の所要信号として処理され、重み換算された測
定温度と次元的に同等である。代替として、補正した温
度測定値の重み換算を省略して、もとの所望温度を利用
することもできる。この手法は、適応型線形結合器の形
態を変え、またその性能面での変更をなすが、非常に容
易に実施される。
【0256】補正した測定温度の適応重みベクトルによ
る乗算を除去し、その代わりに、重みベクトルを直接パ
ルス幅変調器に供給した。適応型線形結合器の出力yk
は、今やまさに、補正された正の温度係数を有する融着
器温度測定値xk である。このシステムのブロック図を
図37に示す。
【0257】この修正した適応型システムの瞬時誤差信
号εk は今や、 εk=dk−x 式71 の形態をとり、又瞬時二乗誤差εk 2は今や、以下の形態
をとる。
【0258】 εk 2=(dk−xk2=(dk2−2(dk・xk)+(xk2 式72 これは、放物線をなすが、システムの重みwkに依存し
ない。これは、Widrow法とは異なり、Widrow法に準拠
しないのは明らかである。
【0259】融着器の定常状態温度は、融着器に配給さ
れる電力と周囲環境に対する融着器の熱抵抗Rθ との
積であり、すなわち以下のようになる。
【0260】 T=P・Rθ=(V2・d/R)・Rθ 式73 さしあたり融着システムの熱抵抗の動特性は無視できる
ので、修正LMSシステムの誤差表面につき検討するこ
とができる。
【0261】図36及び図38を参照すると、好適実施
例において、制御システムの重みwk は、その最大出力
が5ボルトであるマイクロ・コントローラ4001制御のD
/A変換器4002により、アナログ電圧へと変換される。
D/A変換器からのアナログ電圧は、次いで、その出力
電圧が5ボルトに等しい場合に、デューテイサイクルが
1に設計される線形電圧制御パルス幅変調器401に供給
される。電力電子装置301は、パルス幅変調器401のデュ
ーテイサイクルの関数として、電力を線形に制御する。
したがって、パルス幅変調器のデューテイサイクルは、
制御システムの重みの一次関数として、以下のように表
現できる。
【0262】 d=wk/5 式74 式74を式73に代入すると、融着器温度が以下のよう
に得られる。
【0263】 T=V2・Rθ・wk/R・5 式75 これは、適応型線形結合器への正の温度係数入力であ
り、次式のようになる。
【0264】 xk=T=V2・Rθ・wk/R・5 式76 したがって、定常状態において、入力信号は、システム
定数c倍の重みベクトルと見なすことができ、すなわち
以下のようになる。
【0265】 xk=c・w 式77 また、式72の誤差表面は、システムがほぼ定常状態に
ある場合、埋め込み重み乗算を有する二次式である。こ
れは、システムの応答に対応するシステム定数cを有す
るWidrowのモデルに適合する。システムの設計のた
め、温度測定値xk には既に重みベクトルが乗ぜられて
いる。この推論の方針に基づき、この修正システムに対
して標準LMS勾配推定法を利用するのが適切である。
【0266】システム定数cは、AC電源電圧の変化に
対して、加熱素子抵抗の変化に対して、融着システムの
熱抵抗の変化に対して、その回転速度が変化するにつれ
て、周囲の相対湿度が変化するにつれて、周囲の環境温
度が変化するにつれて、また、媒体負荷が融着器プラテ
ンに出入りするにつれて、変化する。
【0267】この1つの重みの適応型システムに対する
修正LMS重み更新方程式は、以下のようになる。
【0268】 Wk+1=Wk+2μεkk 式78 ここで、Wk+1 はシステムの重みの次の状態値であり、
k はシステムの重みの現在値であり、μは適応係数で
あり、εk は誤差信号(これは、所望温度から測定温度
を差し引いたものである)であり、xk は現在の測定温
度であり、変数kは時間指標である。
【0269】適応係数μの選定は、コントローラ重みW
k+1 の直線的な1秒間上昇を、適応型制御システムが生
成するようになされる。融着システムの位相遅れは、制
御システムの誤差信号εk 、及び測定温度xk を本質的
に一定のままにせしめ、それにより、コントローラ重み
の直線上昇が自動的に生成される。また想起されたいの
は、適応型コントローラ重みWk+1 が、パルス幅変調器
のデューテイサイクルを直接制御することと、パルス幅
変調器のデューテイサイクルが、融着システムに供給さ
れる電力を直線的に制御することである。
【0270】融着器302は又、大量の純粋な時間遅れを
も示す。融着器302が、その入力電力の変化後に所定時
間だけ純粋な時間遅れ(すなわち、位相遅れ)を示して
いる状態で、制御システムの温度、したがって誤差信号
は一定のままである。誤差は一定であるが、融着器に配
給される平均電力を制御している、式78の次の適応重
み(Wk+1) は直線的に増減する。位相遅れは、高利得
の比例コントローラと同様に、温度コントローラを発振
させる。
【0271】短期フリッカ測定を、標準トライアックの
制御下にあり、また新しい電力制御構成に結合された修
正1重みLMSコントローラの制御下にあるプリンタで
行った。これらフリッカ測定は、120Vrms60Hz電源を
用い、その定格速度毎分10ページで連続して印刷するプ
リンタで行った。5分間短期フリッカ試験での標準トラ
イアックに基づく融着システムに対するフリッカ測定値
は、Pst5min=3.86であった。10分フリッカは、P
st10min=1.35 であることがわかった。1秒でデューテ
イサイクルが直線上昇する単純な1重み修正LMSコン
トローラを有する新しい電力コントローラに対する第1
パスフリッカ測定値は、Pst5min=0.875 で、10分フリ
ッカは、Pst10min=0.77 であった。この改善により、
現時点では提案されているヨーロッパのフリッカ限界に
失格するこのプリンタが合格することになった。
【0272】競合するレーザプリンタ及び複写機を互い
に比較するのに使用される判定基準の一つは、融着機構
が、「低温」状態から適切な融着に必要な温度にまで加
熱するのに必要な時間である。融着器プラテンの熱質量
に起因して、融着システムを妥当に可能なかぎり速く動
作温度まで上げるには、大量のエネルギが必要である。
また、全世界での使用に利用できる最大電力レベルが12
00ワットである、家庭用又はオフィス用低電圧配電シス
テムから引き出すことができる利用可能な電力レベルに
は限界がある。
【0273】融着器302が動作温度になった後、温度を
維持し、且つトナーを印刷媒体に適切に融着するのに十
分なエネルギを供給するのに必要なエネルギの量は大幅
に減少する。したがって、融着器302に供給する最大電
力を減らすことができる。勿論、必要な平均電力は、異
なる紙の重量及びサイズだけでなく、オーバヘッド投射
用透明紙のような異なる媒体形式といった、各種媒体の
熱負荷に依存して大幅に変化する。適切な融着に必要な
平均電力レベルは又、紙の中の水分量が、相対湿度の変
化とともに変わることによっても変化する。
【0274】利得スケジューリング(図34のステップ
1103)により、融着器302が動作温度に近づくと、温度
の上昇速度が減速される。また、融着器302に供給され
る最大電力が、パルス幅変調器401の最大デューティサ
イクルを制限することにより、低減される。融着器302
が動作温度に達した後に、最大許容デューティサイクル
を設定することは、温度制御プログラムを実施するアル
ゴリズムで非常に容易に行われる。
【0275】融着器温度制御(ステップ1007)では、融
着システムが発生するフリッカを更に減らすために、融
着器302がその適正動作温度に達すると(ステップ110
2)、利得スケジューリング及び最大デューティサイク
ル制限(ステップ1103)が用いられる。利得スケジュー
リングは、動作温度に達すると、適応係数μを変え、適
応型コントローラの最大許容重みを変えることにより容
易に行われる。初期の暖機運転期間(ステップ1100、11
01)の後、融着システムがその動作温度に達すると(ス
テップ1102)、最大デューティサイクルが20%だけ低減
され、上昇速度が約1.25秒から約6秒に低減される(ス
テップ1103)。その後、適応型温度制御工程(ステップ
1104)が続く。融着器は今や動作温度の近くにあり、熱
損失及び紙の熱負荷を補償するのにそれほど多くの電力
を必要としないので、フリッカを減らすために最大フィ
ラメント電力を下げられる。
【0276】利得スケジューリング及びデューティサイ
クル制限のために修正された温度コントローラによっ
て、電力変動が、10秒毎から外れた4秒間で950W であ
ったのが、30秒毎の26秒間で約440W に変更された。融
着システムが発生するフリッカは、Pst10min=0.22 に
低下した。ここで想起されたい点は、利得スケジューリ
ング及びデューティサイクル制限を使用しない前記の実
施形態では、短期フリッカの測定値がPst10min=0.77
であった点である。利得スケジューリング及び最大デュ
ーティサイクル制限だけでなく、コントローラ発振速度
のシフトによっても達成されたフリッカ低減の結果を図
39に示す。
【0277】更なる修正は、プリンタが連続して印刷し
ている場合に、温度コントローラも、前に説明した最大
デューティサイクルに関連して、許容最小デューティサ
イクルを実施するというように行うこともできる。単純
な温度コントローラに対するこれら可能な改善はすべ
て、経験的試験を通じて、最良の最小デューティサイク
ル、最大デューティサイクル、及び最良の融着器温度制
御のための適応係数を決定することにより行うことがで
きる。これら可能な改善により、プリンタエンジンのフ
ァームウェア設計者は、更に精巧な制御システムを実施
せずとも、システムの位相遅れを補償することが可能に
なる。これら経験的方法は、プリンタ設計に幅広く利用
されるが、それは、顧客ユーザが、毎日の印刷ニーズに
対して用いる紙の重量、幅、及び長さが多種多様なため
である。
【0278】再度、注目に値する点として、利得スケジ
ューリング及び最大デューティサイクル制限に修正を加
えたとしても、温度コントローラは依然として、発振す
る比例温度コントローラのように振る舞っている、とい
う点を挙げる。勿論、その所持するフリッカは、非常に
望ましい極めて低ベルのものである。また、温度性能も
許容可能であった。これら修正LMS形式コントローラ
は、紙をプリンタ融着システムを通して送る際に満足な
温度制御性能を得るために、比較的高い適応係数を使用
しなければならない。これら高い適応係数LMS形式コ
ントローラ、及び融着システムの固有の純粋な時間遅れ
により、それらは、温度が維持されている際に電力レベ
ルが変動する古典的な比例コントローラと非常に良く似
た行いをする。適応係数μを更に減少すると、温度コン
トローラが安定するはずであるが、融着器を通過する印
刷媒体の未知の熱負荷への応答が悪化するという犠牲が
ある。
【0279】また、今にも生じ得る熱負荷を検出するた
めに、大型のトランスバースフィルタを備えて重みを追
加した、更に厳密に設計されたLMS形式の適応型制御
システムによって、電力変動の問題を解決することがで
きるが、追加プロセッサ・オーバーヘッド、及び制御コ
ンピュータにおける更なる犠牲が必要になる。これらオ
プションはいずれも、現時点では実行不可能である。と
いうのは、通常のプリンタエンジンは、すべての紙経路
のタイミング、電子写真式プロセス制御、融着器温度制
御、ファン速度といったすべての周辺回路の制御に対し
て、一つの制御コンピータを利用して、最終的には、ラ
スタ化印刷画像データを発生しているコンピュータと通
信しなければならないためである。印刷エンジン制御コ
ンピュータ内に既に設計済みであるこのオーバーヘッド
はすべて、更に精巧な融着器温度制御アルゴリズム用に
は、多大な追加プロセッサ時間を考慮していない。
【0280】当業者は、上記の開示を読み且つ理解した
後には、各々独自の用途に対して必要なように修正を行
うことができる。たとえば、伝導放出を律する国際的要
求事項を満たすために、複写機とプリンタの双方の電力
入力回路には、共通モード及び差動モードのフィルタが
含まれる。これらフィルタは、プリンタ又は複写機内の
電力変換回路により発生される、過剰な高周波電流成分
を濾波する。この回路は、プリンタ又は複写機の内部に
既にあるので、それを用いて、新しい融着器電力制御回
路とするのが有利である。図40の概略図は、代替実施
例の詳細を示し、現存する電力濾波回路を利用して、融
着器の加熱素子をパルス幅変調することにより発生され
る電流高調波の大部分が濾波される。
【0281】フィルタの入力共通モード部分は、コンデ
ンサC10、C11、C5、及びC6から構成され、差動フィ
ルタは、C8、L1、及びC9を使用する。C7を利用し
て、過大レベルの放射線放出が阻止される。コンデンサ
Cが更に、スイッチM1及びブリッジ整流器D1のスイ
ッチング遷移により発生される雑音を濾波することによ
り、伝導放出及び放射線放出が発生するのを低減する。
【0282】この代替実施例のこの動作は、現存する差
動モード電流フィルタ、及び共通モード電流フィルタ
が、融着器の加熱素子Rのパルス幅変調スイッチングに
より発生する電流高調波を濾波するという点を除けば、
先に説明した回路と本質的に同じである。現存する共通
モード及び差動モードフィルタは、コンデンサCと共
に、加熱素子RをスイッチM1により回路の内外に切り
換える際に、連続した伝導経路を与える。
【0283】本発明の好適実施例を例示しその形態を説
明したことで、当業者には容易に明らかであろうが、本
発明の精神から、又は特許請求の範囲から逸脱すること
なく、本発明に各種の修正を加えることができる。
【0284】以下に、本発明の実施態様を列挙する。
【0285】1.加熱素子が消費する電力量を調整する
ための装置において、電源と、該電源に接続され、上記
加熱素子が接続されるインダクタと、該インダクタと上
記電源に接続されるコンデンサと、上記加熱素子と上記
電源に接続されるスイッチと、該スイッチに接続され、
該スイッチをターンオフ、及びターンオンし、それによ
り上記加熱素子に供給される電力量を調整するためのコ
ントローラ手段と、からなることを特徴とする装置。
【0286】2.前記加熱素子の温度を検出する手段か
ら更になり、前記コントローラ手段は、上記検出手段に
従って、前記スイッチをターンオフ、及びターンオンす
ることを特徴とする、前項1に記載の装置。
【0287】3.加熱素子を所望温度にまで加熱する装
置において、電源と、上記加熱素子と上記電源に接続さ
れるスイッチと、上記電源に接続され、上記加熱素子が
接続されるインダクタと、該インダクタと上記電源に接
続されるコンデンサと、上記加熱素子の上記所望温度と
上記加熱素子の温度との間の誤差を定量化するための誤
差検出手段と、上記誤差を最小にするパルス幅変調信号
を発生するために、制御プログラムを実行するプロセッ
サであって、上記パルス幅変調信号が、上記スイッチを
制御するプロセッサと、からなることを特徴とする装
置。
【0288】4.前記加熱素子は、白熱灯であることを
特徴とする、前項3または1に記載の装置。
【0289】5.画像形成装置用の熱定着器の温度を制
御するための装置において、電源に接続され、上記熱定
着器が接続されるインダクタと、該インダクタと上記電
源に接続されるコンデンサと、上記熱定着器と上記電源
に接続されるスイッチと、該スイッチに接続されて、該
スイッチをターンオフ、及びターンオンし、それにより
上記温度を制御するためのコントローラ手段と、からな
ることを特徴とする装置。
【0290】6.前記熱定着器は、熱定着器の温度を検
出する手段から更になり、前記コントローラ手段は、上
記検出手段に従って、前記スイッチをターンオフ、及び
ターンオンすることを特徴とする、前項5に記載の装
置。
【0291】7.前記電源は、第1の周波数で動作する
ことと、前記インダクタと前記コンデンサは、上記第1
の周波数よりも高い共振周波数を有することと、前記コ
ントローラ手段は、上記共振周波数よりも高いPWM周
波数で、前記スイッチをパルス幅変調すること、を特徴
とする、前項2、3、または5に記載の回路。
【0292】8.前記コントローラ手段は更に、前記加
熱素子の前記所望温度と前記加熱素子の温度との間の誤
差を定量化するための誤差検出手段と、上記誤差を最小
にするために、制御プログラムを実行してパルス幅変調
を制御するプロセッサと、からなることを特徴とする、
前項7に記載の装置。
【0293】9.前記コントローラ手段は更に、前記熱
定着器の所望温度と前記熱定着器の温度との間の誤差を
定量化するための誤差検出手段と、上記誤差を最小にす
るために、制御プログラムを実行してパルス幅変調を制
御するプロセッサと、からなることを特徴とする、前項
7に記載の装置。
【0294】10.前記スイッチのスイッチング時に、
過剰エネルギを吸収するための手段から更になることを
特徴とする、前項1、3、または5に記載の装置。
【0295】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したので、電
子写真式プリンタ及び複写機の融着システムが示すフリ
ッカが排除又は劇的に低減され、自動的に汎用の融着シ
ステムがもたらされ、線形電力制御がデューティサイク
ルの関数として行われ、実質上すべての電流高調波が排
除され、また、1に近い力率が低コストでAC電力シス
テムに与えられる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】単相システム用の標準フリッカ測定モデルであ
る。
【図2】電圧変化特性を示す。
【図3】相対電圧変化特性を示す。
【図4】苛立ち度「Pst=1」曲線の閾値を示す。
【図5】百分率相対電圧変化の関数としてのフリッカ感
受時間のグラフである。
【図6】ランプ状電圧特性に対する形状係数をグラフで
示す。
【図7】フィラメント「発熱」抵抗曲線を特徴付けるた
めの試験装置の概略図である。
【図8】全電力で電力を受ける温フィラメント用の抵抗
曲線を示す図である。
【図9】高温フィラメントの「冷却」抵抗曲線を特徴付
けるための試験装置の概略図である。
【図10】高温フィラメント冷却抵抗を時間に対してグ
ラフで示す。
【図11】標準「バック(buck)」DC-DC変換器の概
略図である。
【図12】標準ブーストDC-DC変換器の概略図であ
る。
【図13】本発明による実施例の概略図である。
【図14】デューティサイクルdのチョップ型PWM抵
抗性負荷により引き出される正弦波電流の一例である。
【図15】AC電源側から見た等価負荷のモデルであ
る。
【図16】本発明による実施例の概略図である。
【図17】デューティサイクルの関数としての、AC電
源側から見た負荷インピーダンスのシミュレーションを
示す。
【図18】AC電源側から見た負荷インピーダンス位相
角のシミュレーションを示す。
【図19】負荷力率対デューティサイクルのシミュレー
ションを示す。
【図20】測定力率対相差率をデューティサイクルの関
数として示す図である。
【図21】測定電流歪み率をデューティサイクルの関数
として示す図である。
【図22】フィラメント側から見たインピーダンスを周
波数の関数として示す図である。
【図23】フィラメント抵抗計算値をデューティサイク
ルの関数として示す図である。
【図24】補正済みフィラメント抵抗をデューティサイ
クルの関数として示す図である。
【図25】スイッチの伝導損失をデューティサイクルの
関数として示す図である。
【図26】スイッチ波形及び瞬時スイッチ電力損失に対
するモデルをグラフで示す。
【図27】推定スイッチ損失をデューティサイクルの関
数として示す図である。
【図28】変換器効率を121Vrms電源に対するデューテ
ィサイクルの関数として示す図である。
【図29】所定のデューティサイクルでの電力フィルタ
最小電圧を示す。
【図30】電力フィルタ最小電圧をデューティサイクル
の関数として示す図である。
【図31】誘導性スイッチング・ターンオフ・スナバを
示す。
【図32】本発明による好適実施例に使用されるターン
オフ・スナバの簡略図を示す。
【図33】制御工程全体を示す流れ図である。
【図34】適応型温度制御工程を示す流れ図である。
【図35】慣用的なフィードバック融着器温度制御シス
テムのブロック図である。
【図36】本発明に使用される融着温度制御システム全
体のブロック図である。
【図37】修正した単一入力単一重みの適応型温度制御
システムを示す。
【図38】図36のコントローラのブロック図である。
【図39】利得スケジューリング及び最大デューティサ
イクル制限が有る場合、及び無い場合の、トライアック
及び線形融着器電力制御に対するフリッカレベルを示
す。
【図40】本発明による代替実施例を示す。
【符号の説明】
C コンデンサ D1 電源 L インダクタ M スイッチ R 加熱素子 113 コントローラ手段(PWMコントローラ)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱素子が消費する電力量を調整するた
    めの装置において、 電源と、 該電源に接続され、前記加熱素子が接続されるインダク
    タと、 該インダクタと前記電源に接続されるコンデンサと、 前記加熱素子と前記電源に接続されるスイッチと、 該スイッチに接続され、該スイッチをターンオン、及び
    ターンオフし、それにより前記加熱素子に供給される電
    力量を調整するためのコントローラ手段と、からなるこ
    とを特徴とする装置。
JP9226188A 1996-08-23 1997-08-22 画像形成装置の熱定着器における加熱素子の電力消費量を調整して温度を制御するための装置 Withdrawn JPH10111623A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/704,216 US5789723A (en) 1996-08-23 1996-08-23 Reduced flicker fusing system for use in electrophotographic printers and copiers
US704216 1996-08-23

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10111623A true JPH10111623A (ja) 1998-04-28

Family

ID=24828573

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9226188A Withdrawn JPH10111623A (ja) 1996-08-23 1997-08-22 画像形成装置の熱定着器における加熱素子の電力消費量を調整して温度を制御するための装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US5789723A (ja)
JP (1) JPH10111623A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013037813A (ja) * 2011-08-04 2013-02-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ヒータ制御装置及び方法並びにプログラム
KR20150043252A (ko) * 2015-03-16 2015-04-22 오석주 Led의 정전압 전원공급 회로
JP2015180139A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 コーセル株式会社 スイッチング電源装置
JP2020027164A (ja) * 2018-08-10 2020-02-20 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置

Families Citing this family (64)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3399786B2 (ja) * 1996-06-04 2003-04-21 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト 原動機付き車両内の回路装置
JP3437410B2 (ja) * 1997-06-02 2003-08-18 シャープ株式会社 ヒータ制御装置
US5867016A (en) * 1997-09-25 1999-02-02 Tektronix, Inc. Duty cycle based AC power control with reduced voltage fluctuations
US6111230A (en) * 1999-05-19 2000-08-29 Lexmark International, Inc. Method and apparatus for supplying AC power while meeting the European flicker and harmonic requirements
US6246831B1 (en) * 1999-06-16 2001-06-12 David Seitz Fluid heating control system
US6160975A (en) * 1999-09-09 2000-12-12 Lexmark International, Inc. Closed loop ramping control and method of fusing temperature, and optimizing first copy time
AU2001283169A1 (en) * 2000-08-10 2002-02-25 University Of Southern California Multiphase resonant pulse generators
US6512913B2 (en) 2001-03-28 2003-01-28 Hewlett-Packard Company Fusing system including a heat storage mechanism
US6721530B2 (en) 2001-03-28 2004-04-13 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Fusing system having electromagnetic heating
US6853831B2 (en) 2001-03-28 2005-02-08 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Fusing system including an external heater
US6445902B1 (en) 2001-03-28 2002-09-03 Hewlett-Packard Company Simplified fusing system
US6580895B2 (en) 2001-03-28 2003-06-17 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Fusing system including a heat distribution mechanism
WO2003007657A2 (en) * 2001-07-09 2003-01-23 Rosemary Ann Ainslie Power supply for electrical resistance operated installations and appliances
US6445165B1 (en) 2001-09-21 2002-09-03 International Business Machines Corporation Circuit for limiting inrush current to a power source
US20030080723A1 (en) * 2001-10-31 2003-05-01 Qing Chen Average current estimation scheme for switching mode power supplies
JP2004078155A (ja) * 2002-06-21 2004-03-11 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
US6777653B2 (en) 2002-09-26 2004-08-17 Emerson Electric Co. Igniter controller
US6927368B2 (en) * 2003-03-27 2005-08-09 Lexmark International, Inc. Method and apparatus for controlling power to a heater element using dual pulse width modulation control
US6847016B2 (en) 2003-05-06 2005-01-25 Hewlett-Packard Development Company, L.P. System and method for controlling power in an imaging device
US6870140B2 (en) 2003-05-21 2005-03-22 Lexmark International, Inc. Universal fuser heating apparatus with effective resistance switched responsive to input AC line voltage
US7193180B2 (en) * 2003-05-21 2007-03-20 Lexmark International, Inc. Resistive heater comprising first and second resistive traces, a fuser subassembly including such a resistive heater and a universal heating apparatus including first and second resistive traces
US6943326B2 (en) * 2003-10-20 2005-09-13 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Circuit for controlling a fusing system
JP4460578B2 (ja) * 2004-03-10 2010-05-12 パナソニック株式会社 像加熱装置
KR100608017B1 (ko) * 2004-12-14 2006-08-02 삼성전자주식회사 순시적으로 전력을 제어하는 정착장치
KR100608016B1 (ko) * 2004-12-14 2006-08-02 삼성전자주식회사 플리커 특성이 개선된 정착 장치
JP2006320056A (ja) * 2005-05-11 2006-11-24 Fujinon Corp モータ駆動回路
EP1727401B1 (en) * 2005-05-25 2008-12-31 Barco N.V. Projector lamp control for increased lamp life
US7233112B2 (en) * 2005-05-26 2007-06-19 Electronic Theatre Controls, Inc. PWM switching power supply control methods
US7166964B2 (en) * 2005-06-15 2007-01-23 Osram Sylvania Inc. Lamp containing pulse width modulated voltage conversion circuit
US7170236B2 (en) * 2005-06-15 2007-01-30 Osram Sylvania Inc. Method of setting desired RMS load voltage in a lamp
US7170231B2 (en) * 2005-06-15 2007-01-30 Osram Sylvania Inc. Lamp that sets desired RMS load voltage with variable pulse width modulation
US7277654B2 (en) * 2005-06-24 2007-10-02 Lexmark International, Inc. Electrophotographic power supply configuration for supplying power to a fuser
US7189949B1 (en) * 2005-09-27 2007-03-13 Lexmark International, Inc. Power control system and method for regulating power provided to a heating device
TWI275226B (en) * 2005-10-05 2007-03-01 Ablerex Electronics Co Ltd Active adjusting device having alternating-current load character
TWI316319B (en) * 2006-04-07 2009-10-21 Delta Electronics Inc Power supply with ripple attenuator
US7904264B2 (en) * 2007-11-12 2011-03-08 International Business Machines Corporation Absolute duty cycle measurement
US8032850B2 (en) * 2007-11-12 2011-10-04 International Business Machines Corporation Structure for an absolute duty cycle measurement circuit
TWI367629B (en) * 2007-11-16 2012-07-01 Delta Electronics Inc Motor device and related speed controlling system
JP5538960B2 (ja) * 2010-03-09 2014-07-02 キヤノン株式会社 電磁誘導加熱方式の定着器を有する画像形成装置
US20110279097A1 (en) * 2010-05-13 2011-11-17 David Wise System and method for using condition sensors/switches to change capacitance value
US8860385B2 (en) * 2011-01-30 2014-10-14 The Boeing Company Voltage controlled current source for voltage regulation
DE102011011366B4 (de) * 2011-02-16 2012-08-23 Borgwarner Beru Systems Gmbh Elektrische Heizung und Baueinheit hierfür
US9152517B2 (en) * 2011-04-21 2015-10-06 International Business Machines Corporation Programmable active thermal control
JP5365882B2 (ja) * 2011-05-25 2013-12-11 ウシオ電機株式会社 放電ランプ点灯装置
US20130112367A1 (en) * 2011-11-08 2013-05-09 Lincoln Global, Inc. System and method for real-time adjustment and operation of cooling fan in welding or cutting system
DE102012106628B4 (de) * 2012-07-20 2023-12-21 OSRAM Opto Semiconductors Gesellschaft mit beschränkter Haftung Verfahren zur Identifizierung von Umgebungslichtschwankungen und Halbleiterbauelement zur Identifizierung von Umgebungslichtschwankungen
US20160352322A1 (en) * 2013-07-31 2016-12-01 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Digital pulse width modulation control for load switch circuits
WO2015183274A1 (en) 2014-05-29 2015-12-03 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Power management
EP3212136B1 (en) * 2014-10-29 2020-10-07 Koninklijke Philips N.V. System and method for controlling a temperature
CN107155352B (zh) * 2014-10-30 2018-06-15 株式会社辰巳菱机 负载试验装置
US9825522B2 (en) * 2015-04-09 2017-11-21 Ford Global Technologies, Llc Method and apparatus for coupling cancellation
JP6304131B2 (ja) * 2015-06-08 2018-04-04 コニカミノルタ株式会社 定着装置及び画像形成装置
US9507299B1 (en) * 2015-09-17 2016-11-29 Kabushiki Kaisha Toshiba Fixing device and image forming apparatus
JP6642144B2 (ja) * 2016-03-11 2020-02-05 コニカミノルタ株式会社 電源制御装置及び画像形成装置
EP3615337B1 (en) * 2017-04-27 2022-01-05 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Sequencing of loads using temperature
WO2018203871A1 (en) * 2017-05-01 2018-11-08 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Flicker control
US11269275B2 (en) 2018-08-31 2022-03-08 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Sequencing and stacking group selection for heating components
US11852995B2 (en) 2018-08-31 2023-12-26 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Reduce zero power events of a heated system
WO2020046394A1 (en) 2018-08-31 2020-03-05 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Power delivery smoothing in device state transitions
WO2020112079A1 (en) * 2018-11-26 2020-06-04 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Machine functionality adaptation based on power source impedance
US20220019274A1 (en) * 2018-12-14 2022-01-20 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Power control based on cumulative error
CN111342735A (zh) * 2018-12-19 2020-06-26 厦门市必易微电子技术有限公司 单相电机无级调速电路及调速方法
US20220050413A1 (en) * 2019-04-30 2022-02-17 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Control of printer heating elements based on input voltages
US20220376612A1 (en) * 2019-11-07 2022-11-24 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Snubber circuit

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3763395A (en) * 1971-07-30 1973-10-02 Rca Corp Interference suppression circuits
US4873618A (en) * 1987-04-16 1989-10-10 Camera Platforms International, Inc. Power supply for D.C. arc lamps
JPH02166490A (ja) * 1988-11-25 1990-06-27 Nippon Kentek Kaisha Ltd 画像形成装置に用いる熱定着装置用制御回路
US5101142A (en) * 1990-09-05 1992-03-31 Applied Lumens, Ltd. Solid-state ballast for fluorescent lamp with multiple dimming
KR950004851B1 (ko) * 1992-05-22 1995-05-15 삼성전자 주식회사 온도센서의 이상감지회로
US5483149A (en) * 1993-10-28 1996-01-09 Hewlett-Packard Company Resistive heating control system and method that is functional over a wide supply voltage range
US5623187A (en) * 1994-12-28 1997-04-22 Philips Electronics North America Corporation Controller for a gas discharge lamp with variable inverter frequency and with lamp power and bus voltage control

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013037813A (ja) * 2011-08-04 2013-02-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ヒータ制御装置及び方法並びにプログラム
US9198231B2 (en) 2011-08-04 2015-11-24 Mitsubishi Heavy Industries Automotive Thermal Systems Co., Ltd. Heater control device, method and program
JP2015180139A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 コーセル株式会社 スイッチング電源装置
KR20150043252A (ko) * 2015-03-16 2015-04-22 오석주 Led의 정전압 전원공급 회로
JP2020027164A (ja) * 2018-08-10 2020-02-20 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
US5789723A (en) 1998-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10111623A (ja) 画像形成装置の熱定着器における加熱素子の電力消費量を調整して温度を制御するための装置
JP3359141B2 (ja) 電力制御装置
JP4106109B2 (ja) 複数負荷のための汎用電源
JP3469080B2 (ja) 電力制御装置
JP2009505616A (ja) 電圧安定化装置
JP6452105B2 (ja) 画像形成装置
JPH1091043A (ja) 印刷装置におけるフリッカ低減方法
JP3316170B2 (ja) 定着ヒータの制御方法および画像形成装置
JP2002050450A (ja) ヒータ制御方法および画像形成装置
US6049071A (en) Device for the power supply of a non-linear load, especially a magnetron of a microwave oven
JPH09218720A (ja) Ac制御装置
US20210176832A1 (en) Cooking apparatus
KR0129233B1 (ko) 고주파 가열 장치의 인버터 제어회로
JP2000324692A (ja) 電源制御装置、電源制御方法およびプログラムとデータを記憶した記憶媒体
JP4285320B2 (ja) 誘導加熱調理器
JPH08297429A (ja) 交流負荷通電制御装置
KR200310609Y1 (ko) 직류전원을 이용한 열선제어장치
KR0162402B1 (ko) 유도가열조리기
Hirst et al. Low flicker universal power converter for filament-based heating processes
KR100266616B1 (ko) 고출력 유도가열조리기
JPS6046710B2 (ja) 温度制御装置
JPH11162623A (ja) インバータ装置
JP3545877B2 (ja) 電力制御装置
JP2976248B2 (ja) 基準電圧発生回路
JP2000321920A (ja) 電源制御装置、電源制御方法およびプログラムとデータを記憶した記憶媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040818

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040818

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20070201