JPH10110180A - ワイヤソーによる切断加工のための切削油、切削油組成物およびそれを用いた物品の切断方法 - Google Patents
ワイヤソーによる切断加工のための切削油、切削油組成物およびそれを用いた物品の切断方法Info
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- JPH10110180A JPH10110180A JP33888496A JP33888496A JPH10110180A JP H10110180 A JPH10110180 A JP H10110180A JP 33888496 A JP33888496 A JP 33888496A JP 33888496 A JP33888496 A JP 33888496A JP H10110180 A JPH10110180 A JP H10110180A
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Abstract
ン、金属およびセラミックス(ガラスを含む)などの各
種物品をワイヤソーにより切断する場合の前述の課題を
解決して、水可洗性、安全性、ウェーハ厚みのバラツキ
(TTV)および反り発生が防止できるとともに、高い
浸透性と潤滑性および砥粒の分散性に優れた切削油およ
び切削油組成物ならびにそれを用いた切断方法の提供。 【解決手段】 (a)鉱物油100重量部、(b)ベン
トナイト1〜5重量部、(c)脂肪酸アミン塩およびア
ルカリ金属塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
潤滑剤1〜10重量部、(d)スルフォネート系アニオ
ン界面活性剤1〜20重量部および(e)グリコール誘
導体1〜5重量部、とを含有することを特徴とするワイ
ヤソーによる切断加工のための切削油。これに砥粒を加
えた切削油組成物ならびにそれを用いた切断方法。
Description
半導体、アルミナ、カーボン、各種金属材料、セラミッ
クス(ガラスを含む)等各種工業製品又はその部材の切
断に使用される切削油および切削油組成物ならびにそれ
を用いた切断方法に関し、特に半導体産業において、半
導体結晶材料インゴットからウェーハを製造する際の、
あるいは通信機器、電子機器などの水晶製品(水晶発振
子、水晶センサー、水晶共振子、光デバイス等)の製造
において、単結晶水晶ランバートからウェーハを製造す
る際の、マルチワイヤソーによる切断(スライシング)
加工に好適な切削油および切削油組成物ならびにそれを
用いた切断方法に関するものである。
テク製品に使用される高性能デバイスチップは、ますま
す高集積度化が進みつつあり、これに伴いチップサイズ
の大型化が進行している。このチップサイズの大型化に
伴い、生産性低下及びコストアップ等問題が生じてお
り、ウェーハの周辺効果が要求されていた。
ることにより得られる。チップの歩留まり向上効果を言
う。例えば、チップサイズの大型化に対しウェーハの直
径をある程度大きくしないと、ウェーハ外周部に製品化
できない面積ばかりが増加し、結果としてウェーハ1枚
当たりのチップ歩留まりが低下してしまう。チップ歩留
まりを上げるには、ウェーハ直径をある程度大きくして
外周部のロス部分であった部分からもチップを取れるよ
うにすれば良い。この発想が、ウェーハサイズ大型化の
大きな要因である。
チまでの半導体結晶材料のインゴットの切断には、内周
刃タイプの切断装置が使用されてきた。これは、内周刃
タイプは、切断時に刃の「ぶれ」が比較的少なく加工精
度が良好で、生産性が優れていたことによる。しかし、
前述のように、ウェーハサイズはますます大型化してお
り、大直径半導体結晶材料のインゴット切断に対して
は、内周刃タイプでの対応が困難となってきている。つ
まり、内周刃タイプでは大直径インゴット切断に対して
は刃のぶれが大きくなり、これが加工精度の悪化やウェ
ーハの中央部が凸状になる「反り」発生等の問題を引き
起こし、その結果、ウェーハの歩留まりが低下してしま
う。このため、特にφ8インチ以上の大直径インゴット
の切断には、ワイヤソーが主流になりつつある。ワイヤ
ソーによるインゴット切断は、他の加工方法に比べ、よ
り均一な厚さでインゴットを切断することができ、カー
フロス(Curf loss:切断屑)の発生が少なく
なるだけでなく、一度に多数枚のウェーハ切断が可能と
なる。
動体通信機器製品に使用される水晶発振子は、ますます
高周波数化が進みつつあり、これに伴いウェーハ厚みは
薄板化が進行している。このウェーハの厚みの減少に伴
い、従来のバンドソー切断では極薄加工において問題が
生じている。すなわち、ウェーハ厚みのバラツキ(TT
V、Total Thickness Variati
on)、歩留まり低下、および生産性低下等が問題にな
ってきている。
例えば0.2mmまでの単結晶水晶ランバートの切断に
は、バンドソー切断装置が使用されてきた。これは、バ
ンドソーは、ウェーハを1枚1枚切断できるので「水晶
ウェーハの結晶軸の確認」が容易にでき、加工精度が優
れていたことによる。しかし、前述のように、ウェーハ
厚みはますます薄くなってきており、単結晶水晶ランバ
ート切断に対しては、バンドソーでの対応が困難となっ
てきている。
に対しては刃のぶれが大きくなり、これが加工精度の悪
化、すなわち、ウェーハのTTV増大やウェーハの中央
部が凸状になる「反り」発生等の問題を引き起こし、結
果ウェーハの歩留まりが低下してしまう。このため、特
に0.2mm以下の厚みのウェーハのスライシング加工
には、ワイヤソーが主流になりつつある。ワイヤソーに
よる単結晶水晶ランバート切断は、他の加工方法に比
べ、より均一な厚さで切断することができ、カーフロス
(Curf loss:切断屑)の発生が少なくなるだ
けでなく、一度に多数枚のウェーハ切断が可能となる。
に研磨材砥粒を分散させた切削油組成物が使用されてい
る。切削油は、切断時の潤滑及び冷却のほか、切断され
たウェーハの形状や表面粗さ等を向上させる目的で用い
られている。従来、ワイヤソーや内周刃等による切断で
使用されてきた切削油組成物は、その主成分が鉱物油で
あることにより、切断後のウェーハに付着した切削油組
成物等は当然水では洗い落としきれず、有機系溶剤(灯
油、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、塩化メチ
レン等)やフロン等に代表されるハロゲン化合物等の薬
剤を使用しなければならなかった。これら薬剤を使用し
たウェーハの洗浄においては、付着した切削油等はほぼ
完全に除去でき、かつ洗浄作業が容易となる等の長所が
あるが、以下のような問題点も指摘されていた。
物の指定を受けているものが多く、工場の敷地内及び建
屋内における収容に対しては量的制限が設けられてい
る。このため、ワイヤソーを増設することでウェーハの
生産量及び生産性の向上を図ろうとしても、洗浄におい
て必要となる薬剤はある一定量を超えると工場内に収容
できなくなるため、おのずとその生産量は決定されてし
まい、ワイヤソーの設置台数に制約を与えていた。すな
わち、工場内に収容できる薬剤の量がウェーハの生産量
を決定していた。このため、洗浄に使用する薬剤の量を
低減できるプロセスが求められていた。
は、発ガン性物質でもあるのみならず、オゾン層破壊に
代表される大気汚染や水質汚染等、環境破壊の問題を引
き起こす汚染源物質として最近使用が禁止され、より完
全な代替製品を開発することが地球規模で急務となって
いる。
は、切断に使用後、一般に産業廃棄物として焼却処理さ
れるが、この際有毒ガス等を発生するため大気汚染の一
因となっており、その代替品の開発が待たれていた。
使用してシリコンインゴットを切断すると、切断速度の
上昇とともにウェーハの中央部が凸状になる「反り」が
発生しやすくなる。例えば、ワイヤソーにおいて、φ6
インチのシリコン単結晶インゴットを、切断速度1mm
/min以上で切断すると反りが20μmを越えること
があった。このような大きな反りは、次工程以降、シリ
コンウェーハを製造加工していく際の障害になるのみな
らず、結果として、その歩留りを低下させる原因にもな
っていた。
晶水晶ランバートを切断する場合にも、切断速度の上昇
とともにウェーハのTTV増大や中央部が凸状になる
「反り」が発生しやすくなる。例えば、ワイヤソーにお
いて、55mm角の単結晶水晶ランバートを切断速度3
00mm/min以上で切断するとウェーハのTTVが
20μmを越え、反りが10μmを越えることがあっ
た。このような大きなTTV、反りは、次工程以降、単
結晶水晶ウェーハを研磨、ラッピング、ポリッシング加
工していく際の障害になるのみならず、結果として、そ
のウェーハの歩留まりを低下させる原因にもなってい
た。
晶、シリコン、半導体、アルミナ、カーボン、金属およ
びセラミックス(ガラスを含む)などの各種物品をワイ
ヤソーにより切断する場合の前述の課題を解決して、水
可洗性、安全性、ウェーハ厚みのバラツキ(TTV)お
よび反り発生が防止できるとともに、高い浸透性と潤滑
性および砥粒の分散性に優れた切削油および切削油組成
物ならびにそれを用いた切断方法を提供する点にある。
鉱物油100重量部、(b)ベントナイト1〜5重量
部、(c)脂肪酸アミン塩および脂肪酸アルカリ金属塩
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の潤滑剤1〜1
0重量部、(d)スルフォネート系アニオン界面活性剤
1〜20重量部および(e)グリコール誘導体1〜5重
量部、とを含有することを特徴とするワイヤソーによる
切断加工のための切削油に関する。
砥粒を分散させたことを特徴とする切削油組成物に関す
る。
成物を用い、水晶、シリコン、半導体、アルミナ、カー
ボン、金属およびセラミックス(ガラスを含む)よりな
る群から選ばれた物品をワイヤソーにより切断すること
を特徴とする物品の切断方法に関する。
物油に、スルフォネート系アニオン界面活性剤を添加混
合し、これに脂肪酸を加え、50〜60℃に加温後、ア
ミンそれ自体を徐々に添加する。中和反応後、グリコー
ル誘導体を添加し、40℃以下に冷却し、必要に応じて
メタノールなどの保潤剤を少量(例えば0.3wt%)
添加する。ついで、ベントナイトのようなレオロジー添
加剤を撹拌しながら添加分散する(約30〜40分)。
製法〕鉱物油に、スルフォネート系アニオン界面活性剤
を添加混合し、これに脂肪酸を加え、50〜60℃に加
温後、アルカリ金属水酸化物水溶液を加えて、ケン化反
応させた後、グリコール誘導体を添加し、40℃以下に
冷却し、これに、ベントナイトのようなレオロジー添加
剤を撹拌しながら添加し、均一に分散させる(30〜4
0分間)。前記アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度は2
0〜40wt%、好ましくは30〜40wt%である。
剤である水を系に加えた後、界面活性剤を添加する必要
があるとされており、その理由は、界面活性剤が、有機
ベントナイトの活性化および分散化に干渉しないように
するためであった。これに対して、本発明の添加順序
は、脂肪酸アミン塩を用いる場合でも脂肪酸アルカリ金
属塩を用いる場合でも、いずれも界面活性剤も水も共に
存在している系に有機ベントナイトを加えるものであ
る。
主原料と各種補助剤との組合せにより構成されるが、こ
れら主原料および各種補助剤について以下に説明する。
て、砥粒の分散性を向上させるためのレオロジー添加剤
である。ベントナイトのなかでもとくにモンモリナイト
の結晶層間に主として介在する水や交換性カチオンが、
有機極性化合物や有機カチオンで置換された粘土有機複
合体である有機ベントナイトは、強い親油性を示し、膨
潤してゲルを形成する性質があるので好ましい材料であ
る。有機ベントナイトつまり有機粘土複合体は、有機イ
オンの炭化水素数が大きくなると無極性溶媒に強い親和
性をもつようになり、大きな膨潤性・チキソトロピー性
を示す。このようなレオロジー添加剤の具体例として
は、ベントンSD−1、ベントンSD−2、ベントン3
4またはベントン38(いずれもRHEOX社製の商品
名)である。特に、好ましいのは、ベントンSD−1で
ある。
は、この切削油組成物の潤滑成分であると同時に、摩擦
係数低減剤(潤滑性向上剤)、防錆剤としても作用す
る。通常、脂肪酸としては不飽和脂肪酸の含有量90重
量%以上のものを用いることが好ましく、この不飽和脂
肪酸としては、オレイン酸、デセン酸、エルシン酸、リ
ノール酸、リノレン酸などの高級脂肪酸を挙げることが
できる。とりわけオレイン酸が好ましく、例えばオレイ
ン酸と樹脂酸との混合物の形で使用することができる。
脂肪酸の使用量は1〜10重量部、好ましくは3〜5重
量部である。
金属塩に変性するためには、前述のように本発明の切削
油を製造する工程中において脂肪酸とアミン化合物それ
自体またはアルカリ金属水酸化物水溶液を加えて反応を
実施する。この反応における脂肪酸の使用量は前述のと
おりであるが、アミンまたは前記水酸化物の使用量は1
〜5重量部である。この工程中においては極く少量の水
が水溶液の形で加えられたり、前記塩の形成反応により
極く少量の水が生成されるが、この水分はとくにベント
ナイトとして有機ベントナイトを用いる場合には、ベン
トナイト薄片間に必要とされる水素結合や架橋反応を促
進させるうえで、大切な役割を果しており、通常全量に
対し、0.1〜2.0重量%の割合で存在している。
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、トリイソプロパノールアミンなどをあげることがで
き、アルカリ金属の水酸化物としてはNaOH、KOH
などを挙げることができる。
めに他の潤滑成分、例えば炭素数12以上の不飽和、飽
和脂肪酸のグリセリン部分エステル、あるいはトリメチ
ロールプロパンやペンタエリスリトールとの部分エステ
ルを50重量部以下、好ましくは20〜40重量部を添
加することもできる。
ニオン界面活性剤(分散剤や防錆剤として作用する)
は、アルキルサルフェート、アルキルベンゼンスルフォ
ネート、スルホコハク酸ジアルキルエステルなどをはじ
め、各種のスルフォネート系アニオン界面活性剤が使用
できるが、とりわけ石油系オレフィンサルフェート(ス
ルフォン酸塩)(1957年3月20日 槙書店発行、
小田良平外1名著「界面活性剤の合成と其応用」p42
〜43)、石油系高級アルコール硫酸エステル塩(同書
p31〜32)、石油スルフォン酸塩(同p64〜6
5)などで代表される石油スルフォン酸のアルカリ金属
塩が好ましく、とくに平均分子量400以上の石油スル
フォン酸のナトリウム塩が好ましい。その使用量は一般
に1〜20重量部、好ましくは5〜20重量部、とくに
好ましくは10〜15重量部である。
を併用することができる。その例としては非イオン界面
活性剤や他のアニオン界面活性剤を挙げることができ
る。非イオン活性剤としては例えばポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテルなどのようなポリオキシエチレ
ンアルキルフェノール、その他のエチレンオキサイド系
非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
すなわち、切削油の親水性を補足するための補助剤(カ
ップリング剤)として作用する。グリコール誘導体の例
としては、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコ
ールが挙げられるが、とりわけジプロピレングリコール
が好ましい。その使用量は1〜20重量部であるが、通
常1〜5重量部で充分目的を達成することができる。
ナフテン系鉱物油単独、イソパラフィン系鉱物油単独あ
るいはこれらの混合物などを挙げることができる。とく
に臭気、皮膚刺激性、溶解性の点からいうとイソパラフ
ィン系鉱物油が好ましい。
用いられている各種添加剤、例えばシリコーン系やアル
コール系の消泡剤、メタノールなどの保潤剤などを使用
することができる。
ため、またワイヤーの断線やウェーハなどの物品のやけ
等を防止するため、各種の砥粒(研磨材)が併用でき
る。
いては研磨材であれば特に制限されないが、SiC〔商
品名:GC、C、(株)フジミインコーポレーテッド
製〕、アルミナ〔商品名:PWA、WA、A、(株)フ
ジミインコーポレーテッド製〕、FO〔商品名:(株)
フジミインコーポレーテッド製〕等が好ましい。
る緑色炭化ケイ素、商品名Cは黒色炭化ケイ素で、いず
れも2000℃以上の電気抵抗炉でケイ石とコークスを
熱反応して得られるα型の炭化ケイ素研磨材である。
度99.2%以上の高純度アルミナの板状結晶で構成さ
れている。商品名WAは、溶融アルミナを粉砕し整粒し
たものである。αタイプのコランダム結晶で構成されて
おり、アルミナ純度99.2%以上である。商品名A
は、ボーキサイトを電溶炉にて2000℃の高温で溶融
させて得られるアルミナ純度90%以上のコランダム結
晶と、数%のチタンで構成されている。商品名FOは、
アルミナ質の精密ラッピング材である。
は1〜60μm、好ましくは8〜25μmであり、1μ
m未満であると切断効率が極端に低く実用的でないばか
りか、ワイヤーの断線やウェーハにやけが発生する等の
問題を生じる。逆に60μmを超えると、切断されたウ
ェーハは、後工程のラッピングで修正しきれないほど表
面粗さが大きくなりすぎてしまう。
中の含有量は、通常切削油1kgに対して0.25〜2
kg、好ましくは0.5〜1.5kgである。この量が
あまりに少ないと切断効率が低くなり、逆に、あまりに
多いとスラリー粘度が過大となって取り扱いが困難とな
る。
のインゴットの切断用に特に有効であるが、水晶、シリ
コン、アルミナ、カーボン、各種金属材料、セラミック
ス(ガラスを含む)等の切断にも広く使用することがで
きる。
装置としては、ワイヤソー、これを多重化したマルチワ
イヤソーの場合にとくに顕著な効果を発揮するが、バン
ドソーやアルチバンドソー、更には、外周刃や内周刃の
切断装置にも転用が可能である。
る半導体結晶材料等のインゴットなどの物品の切断にお
いて、あるいはワイヤソーによる単結晶水晶ランバート
などの切断において、インゴットの切断部、ランバート
の切断部又はワイヤー部に供給することにより所期の効
果を発揮する。
するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
下の手順により切削油を調製した。精製鉱物油(ISO
粘度番手8及び56混合ナフテン系基油)にベントナイ
トを添加して十分保潤・分散させる。さらに、石油スル
フォネートNa塩を添加しアルカリ性とすることによ
り、前記ベントナイトの分散状態を更に均一化する。次
に、高級脂肪酸であるオレイン酸及び樹脂酸を添加し、
ついでこれにアミン化合物それ自体をまたは苛性カリウ
ムの水溶液を加えて反応させ、脂肪酸アミン塩又は脂肪
酸カリ塩を形成させる。この反応が十分に進行した後、
前記カップリング剤であるジプロピレングリコールを添
加し、充分混合する。なお、さらに洗浄性向上剤である
ポリエチレングリコール及び防錆剤であるノニフェニル
エーテル、消泡剤であるシリコーン化合物および/また
は高級アルコールなどを添加することもできる。
り、従来型の切削油に較べ、水可洗性及び沈降性が優れ
ている。比較例1は従来型の水可洗性切削油で、水可洗
性は優れているが、沈降性は劣る。比較例2も従来型の
非水可洗性切削油で有機ベントナイトを含むと言われて
いるものであるが、沈降性は優れているものの水可洗性
は劣る。
実施例1、比較例1〜2に示された切削油に対し、各砥
粒を表2に示す割合で混合、分散させ、シリコン、アル
ミナ、カーボンの各インゴットの切断を行った。この場
合の各種切削性能試験条件を表2に示す。
て、実施例1、比較例1、2の各切削油組成物(切削
油:砥粒の割合は表2参照)を用いて試験を行った結果
を表3に示す。
に研磨材砥粒GCを分散させた切削油組成物を使用し、
シリコンインゴットの切断試験を行った場合、ウェーハ
のTTV(Total Thickness Vari
ation)は、25μm以下、切断されたウェーハの
Warp(反り)は10μm以下であった。これに対
し、比較例1は実施例1と同等であったが、比較例2の
切削油組成物で切断した場合の反りは15μm以下であ
り、実施例1の切削油組成物の方が優れていた。なお、
TTVはウェーハ面の最高高さと最低部との差を示すも
のであり、Warp(うねり)はウェーハ裏面における
基準面からウェーハ中心面の最大変位と最小変位の差を
表わすものである。
実施例1、比較例1、2の各切削油組成物(切削油:砥
粒の割合は表2参照)を用いて試験を行った結果を表4
に示す。
に研磨材砥粒Cを分散させた切削油組成物を使用し、シ
リコンインゴットの切断試験を行った場合も、切断試験
1による場合の結果と同様、本発明の切削油組成物は、
従来の水可洗性切削油組成物(比較例1)とは同等結果
が得られ、非水可洗性切削油組成物(比較例2)よりは
優れた切断結果を得ることができた。
実施例1、比較例1、2の各切削油組成物(切削油:砥
粒の割合は表2参照)を用いて試験を行った結果を表5
に示す。
に研磨材砥粒GCを分散させた切削油組成物を使用し、
焼結密度100のアルミナインゴットの切断試験を行っ
た場合も、切断試験1及び2の結果と同様、本発明の切
削油組成物は、従来の水可洗性切削油組成物(比較例
1)とは同等の結果が得られ、非水可洗性切削油組成物
(比較例2)よりは優れた切断結果を得ることができ
た。
実施例1、比較例1、2の各切削油組成物(切削油:砥
粒の割合は表2参照)を用いて試験を行った結果を表6
に示す。
磨材砥粒GCを分散させた切削油組成物を使用しカーボ
ンインゴットの切断試験を行った場合、本発明の切削油
組成物は、従来の水可洗性切削油組成物(比較例1)及
び非水可洗性切削油組成物(比較例2)と同等の優れた
切断結果を得ることができた。
要な条件である分散安定性、水可洗性および付着性の試
験を、下記の条件で行った。
沈降性試験方法により評価した。200mlのビーカー
に、実施例1、比較例1または2の切削油150gと所
定の砥粒150gをそれぞれ計り取る。これを、室温で
5分間ディゾルバーで撹拌しスラリーを調製する。この
スラリーを、共栓付きメスシリンダーに100ml計り
取る。1、3、24時間後のスラリー表面への油の分離
量を目視で観察する。
価するため、以下の試験を実施した。200mlのビー
カーに、実施例1、比較例1または2の切削油150g
と所定の砥粒150gをそれぞれ計り取る。これを、4
0℃で30分間加熱撹拌し、スラリーを調製する。室温
に放置後、油温が35℃の時にすばやく洗浄した冷間圧
延鋼板(SPCC)を浸漬し、1分後静かに引き上げ2
4時間油切りする。24時間後、試験片のスラリー付着
量を測定する。次に、1000mlのトールビーカーに
温水(30℃)を500ml計り取る。これに前述の油
付試験片を浸漬し前後に軽く浸透しながら、90秒間洗
浄脱脂する。それぞれの時間洗浄した試験片をドライヤ
ーで乾燥後、スラリーの付着量を測定し、以下の式より
脱脂率を計算する。
io ・W0 :洗浄前付着量(g) ・W1 :洗浄後付着量(g)
た。200mlのビーカーに加工油150gと所定の砥
粒150gを計量後、室温で5分間ディゾルバーで撹拌
しスラリーを調製する。これに洗浄した銅片を浸漬し、
1分後静かに引き上げ油切りする。10分後の試験片の
スラリー付着量を測定し、以下の式より付着量を計算す
る。また、銅片(45×120×2.0tmm)は、所
定の方法で研磨・洗浄したものを再度使用する。
評価試験の各試験結果を、表7に示す。
物は、沈降性、水可洗性及び付着性に関し、比較例1の
切削油組成物に較べてはるかに優れた結果を示した。
下の手順により切削油を調製した。イソパラフィン系溶
剤にベントナイトを添加して十分保潤・分散させる。さ
らに、石油スルフォネートNa塩を添加しアルカリ性と
することにより、前記ベントナイトの分散状態を更に均
一化する。次に、高級脂肪酸であるオレイン酸及び樹脂
酸を添加し、ついでこれにアミン化合物それ自体をまた
は苛性カリウムの水溶液を加えて反応させ、脂肪酸アミ
ン塩又は脂肪酸カリ塩を形成させる。この反応が十分に
進行した後、前記カップリング剤であるジプロピレング
リコールを添加し、充分混合する。なお、さらに洗浄性
向上剤であるポリエチレングリコール及び防錆剤である
ノニフェニルエーテル、シリコーン系消泡剤あるいは高
級アルコール系消泡剤を添加することもできる。
り、従来型の切削油に較べ、水可洗性及び沈降性が優れ
ている。比較例3は従来型の水可洗性切削油で、水可洗
性は優れているが、沈降性は劣る。比較例4も従来型の
非水可洗性切削油で有機ベントナイトを含むと言われて
いるものであるが、沈降性は優れているものの水可洗性
は劣る。
実施例2、比較例3〜4に示された切削油に対し、各砥
粒を表9に示す割合で混合、分散させ、単結晶水晶ラン
バートおよびガラス(BK−7)の切断を行った。この
場合の各種性能試験条件を表9に示す。
て、実施例2、比較例3、4の各切削油組成物(切削
油:砥粒の割合は表9参照)を用いて試験を行った結果
を表10に示す。
大うねりを表わし、ろ波最大うねりとは、ろ波うねり曲
線から基準長さだけ抜き取った部分の最大波高をマイク
ロメートル単位(μm)で表わしたものである。
油に研磨材砥粒GCを分散させた切削油組成物を使用
し、単結晶水晶ランバートの切断試験を行った場合、ウ
ェーハのTTV(Total Thickness V
ariation)は、4μm以下、切断されたウェー
ハのWcmは5μm以下であった。これに対し、比較例
3は実施例2と同等であったが、比較例4の切削油組成
物で切断した場合のTTVは5μm以上であり、実施例
2の切削油組成物の方が優れていた。なお、TTVはウ
ェーハ面の最高高さと最低部との差を示すものである。
実施例2、比較例3、4の各切削油組成物(切削油:砥
粒の割合は表9参照)を用いて試験を行った結果を表1
1に示す。
油に研磨材砥粒Cを分散させた切削油組成物を使用し、
単結晶水晶ランバートの切断試験を行った場合も、切断
試験5による場合の結果と同様、本発明の切削油組成物
は、従来の水可洗性切削油組成物(比較例3)とは同等
結果が得られ、非水可洗性切削油組成物(比較例4)よ
り優れた切断結果を得ることができた。
実施例2、比較例3、4の各切削油組成物(切削油:砥
粒の割合は表9参照)を用いて試験を行った結果を表1
2に示す。
油に研磨材砥粒GCを分散させた切削油組成物を使用
し、ガラス(BK−7)の切断試験を行った場合も、切
断試験5及び6の結果と同様、本発明の切削油組成物
は、従来の水可洗性切削油組成物(比較例3)及び非水
可洗性切削油組成物(比較例4)と同等の切断結果を得
ることができた。
要な条件である分散安定性、水可洗性および付着性の試
験を、下記の条件で行った。
沈降性試験方法により評価した。200mlのビーカー
に、実施例2、比較例3または4の切削油200gと所
定のGC♯1000の砥粒300gをそれぞれ計り取
る。これを、室温で5分間ディゾルバーで撹拌しスラリ
ーを調製する。このスラリーを、共栓付きメスシリンダ
ーに100ml計り取る。1、3、24時間後のスラリ
ー表面への油の分離量を目視で観察する。
価するため、以下の試験を実施した。200mlのビー
カーに、実施例2、比較例3または4の切削油200g
と所定のGC♯1000の砥粒300gをそれぞれ計り
取る。これを、40℃で30分間加熱撹拌し、スラリー
を調製する。室温に放置後、油温が35℃の時にすばや
く洗浄した冷間圧延鋼板(SPCC)を浸漬し、1分後
静かに引き上げ24時間油切りする。24時間後、試験
片のスラリー付着量を測定する。次に、1000mlの
トールビーカーに温水(30℃)を500ml計り取
る。これに前述の油付試験片を浸漬し前後に軽く浸透し
ながら、90秒間洗浄脱脂する。それぞれの時間洗浄し
た試験片をドライヤーで乾燥後、スラリーの付着量を測
定し、前述の数1の式より脱脂率を計算する。
た。200mlのビーカーに、実施例2、比較例3また
は4の加工油200gと所定のGC♯1000の砥粒3
00gを計量後、室温で5分間ディゾルバーで撹拌しス
ラリーを調製する。これに洗浄した銅片を浸漬し、1分
後静かに引き上げ油切りする。10分後の試験片のスラ
リー付着量を測定し、前述の数2の式より付着量を計算
する。また、銅片(45×120×2.0tmm)は、
所定の方法で研磨・洗浄したものを再度使用する。
評価試験の各試験結果を、表14に示す。
物は、沈降性、水可洗性及び付着性に関し、比較例3の
切削油組成物に較べてはるかに優れた結果を示した。
ウェーハに大きな反りを発生させることなく大直径の単
結晶シリコン、単結晶水晶、アルミナおよびカーボンな
どの各インゴットのワイヤソーによる高速切断を達成で
き、切断後のウェーハの洗浄においては有機系溶剤では
なく水洗浄により付着したスラリーを除去し得ると同時
に、組成物中の砥粒の沈降安定性についても優れた効果
を示す。
の1例を示す概略図である。
への切削油組成物の供給手段の1例を示す概略図であ
る。
状況を示す概念図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 (a)鉱物油100重量部、(b)ベン
トナイト1〜5重量部、(c)脂肪酸アミン塩および脂
肪酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれた少なくとも
1種の潤滑剤1〜10重量部、(d)スルフォネート系
アニオン界面活性剤1〜20重量部および(e)グリコ
ール誘導体1〜5重量部、とを含有することを特徴とす
るワイヤソーによる切断加工のための切削油。 - 【請求項2】 請求項1記載の切削油に砥粒を分散させ
たことを特徴とする切削油組成物。 - 【請求項3】 請求項2記載の切削油組成物を用い、水
晶、シリコン、半導体、アルミナ、カーボン、金属およ
びセラミックス(ガラスを含む)よりなる群から選ばれ
た物品をワイヤソーにより切断することを特徴とする物
品の切断方法。
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