JPH10109344A - 射出成形機におけるノズル温度制御方法 - Google Patents

射出成形機におけるノズル温度制御方法

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JPH10109344A
JPH10109344A JP28289896A JP28289896A JPH10109344A JP H10109344 A JPH10109344 A JP H10109344A JP 28289896 A JP28289896 A JP 28289896A JP 28289896 A JP28289896 A JP 28289896A JP H10109344 A JPH10109344 A JP H10109344A
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nozzle
temperature
resin
heat source
tip
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JP28289896A
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English (en)
Inventor
Wataru Shiraishi
亘 白石
Satoshi Takatsugi
聡 高次
Osamu Fujioka
修 藤岡
Toshio Ishiguro
俊夫 石黒
Tatsuya Kawasaki
達也 川崎
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Fanuc Corp
Original Assignee
Fanuc Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸引きや鼻たれおよびノズル詰まり等を格別
の予算をかけることなく容易に防止することのできる射
出成形機におけるノズル温度制御方法を提供すること。 【解決手段】 ノズル1の先端部側に高出力熱源11を
配備すると共に基部側に低出力熱源12を配備し、ノズ
ル1の先端部の小孔7における先端側と基部側との間で
使用樹脂温度が溶融温度以上に切り替わるようにノズル
先端部の温度をフィードバック制御する。小孔7の長さ
の範囲内で樹脂を固化または高粘性状態から溶融状態に
変化させることにより、小孔7の先端部に樹脂の固化ま
たは高粘性部分を生成して糸引きおよび鼻たれを防止
し、同時に、小孔7の基部側の樹脂を溶融状態とするこ
とによって小孔7と大径の孔6との段差部に生じる樹脂
の食い付きをなくし、ノズル詰まりを解消する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形機におけ
るノズル温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】射出成形作業中にノズル内の樹脂温度が
高くなり過ぎると、糸引き(図5参照)または鼻たれ
(図6参照)といった現象が生じる。
【0003】糸引きは、型開き時に成形品のスプルーラ
ンナ部100とノズル101との間で延性に富んだ溶融
樹脂102が糸を引く現象であり、この糸が次の型締動
作の時に固定側金型103と可動側金型との間に挾み込
まれると、完全な型締が行われず、成形品にバリ等が発
生する危険がある。また、そこまでいかなくとも、次の
射出動作に使用される溶融樹脂の量が減少するので、成
形品の重量(比重)が不安定となる問題がある。更に、
最悪の場合は、スプルーランナ部100を始めとする成
形品部分が金型の投影面内に糸で吊られた状態のままで
型締動作が行われることもあり、金型保護機構が正常に
作動していても、繊細なコア等に破損が生じるといった
恐れがある。
【0004】また、鼻たれは、射出動作を行っていない
にも関わらず樹脂の背圧によって溶融樹脂102がノズ
ル101の先端から流出する現象である。連続成形作業
中にこのような現象が生じて金型スプルー104を越え
て樹脂が流出すると、やはり、前記と同様に樹脂が固定
側金型103と可動側金型との間に挾み込まれ、型締の
異常が生じる場合がある。また、金型スプルー104か
ら樹脂が流れ出すところまでいかなくても、金型スプル
ー104内に流出した樹脂は、それだけでも既に相当に
冷却されて粘性が増大し、または、固化しているので、
次の射出動作時にこの樹脂が金型のゲートを塞いだり樹
脂の回りを悪くしたりして、ショートショット等の問題
を引き起こす可能性があり、スプループレイク状態で鼻
たれが発生して樹脂が固化した場合には、この樹脂が固
定側金型103とノズル101との密着を疎外して正常
なノズルタッチが行われなくなり、樹脂洩れが生じると
いった可能性もある。
【0005】逆にノズル101内の樹脂の温度が低すぎ
ると、ノズル詰まり(図4参照)といった現象が生じ
る。
【0006】ノズル詰まりは、固定側金型103と接触
しているノズル101の先端から大量に熱が奪われ、ノ
ズル先端部の温度が低下して樹脂が必要以上に固化し、
固化した樹脂107がノズル101の小孔105を塞い
で正常な射出動作を妨げるという現象である。また、完
全にノズル101が詰まらないまでも、射出成形作業に
用いられる樹脂は固化/溶融の相変化において温度変化
に大きく依存するので、僅かな温度低下であってもその
粘性が大幅に増大し、射出開始時、つまり、粘性の高い
樹脂を吐き出す時の射出圧力が極端に大きくなったり、
各ショット毎の射出圧力に大きなバラツキが発生したり
するという問題がある。
【0007】特に、結晶性樹脂等では温度変化に対して
粘性が敏感に変化するので、成形可能な温度範囲が狭く
なる。
【0008】そこで、糸引きや鼻たれが頻発する場合
は、ノズル101およびバレル106の先端部の設定温
度を低下させて、溶融樹脂を固化させ、または、その粘
性を高め、型開き時においてスプルーランナ部100と
ノズル101との間で樹脂を容易に破断できるようにし
て糸引きを防止し、同時に鼻たれを防止するのが普通で
ある。
【0009】しかし、ノズル101およびバレル106
の先端部の設定温度を低下させるとノズル101内の樹
脂の粘性が全体的に大きくなり、ノズル101内の樹脂
の流動抵抗が急激に上昇し、射出圧力が不安定となって
金型の内圧にバラツキが生じ、成形品の密度や重量が不
安定となって不良成形品が多発する。また、粘性の増大
や固化に行き過ぎが生じてノズル詰まりが発生する場合
もある。
【0010】このように、射出成形作業における樹脂の
温度には成形可能な上限値と下限値とがあり、特に、結
晶性樹脂等を用いた成形作業や精密品の成形作業では、
その許容範囲が狭いので、糸引きや鼻たれとノズル詰ま
りとを同時に解消して良品を得るのが非常に困難になる
場合がある。
【0011】このような問題を解決するため、ノズルの
軸方向に複数のヒータを装着し、各々のヒータを個別に
温度制御する方法が実開昭63−154210として提
案されているが、この方法では各ヒータ毎に温度センサ
および制御装置が必要となり、製造コストがかさむとい
った問題がある。
【0012】また、ノズル先端から熱が逃げにくいスプ
ルーブレイク状態においてはノズル先端のヒータを間欠
的にON/OFF制御して発熱量を減らす一方、ノズル
が金型と接触して大量の熱が奪われるノズルタッチ状態
ではノズル先端のヒータに定常的に給電して発熱量を増
やすといった試みも特公平7−108544等で提案さ
れているが、連続成形作業中におけるノズル先端の温度
制御ができず、金型の温度変化や成形工場内の温度変化
等の外乱が連続的に作用すると、不良品が大量に成形さ
れるといった危険性があった。
【0013】更に、ノズルの軸方向に複数のヒータを装
着し、最先端部のヒータの加熱量を他のヒータの加熱量
よりも大きく設定して、ノズルの中央部または基部側に
設けた温度センサによって検出される温度に基いてノズ
ル全体の温度をフィードバック制御する方法も特公平7
−108545として提案されているが、この方法では
ノズル先端の温度を正確に制御することは不可能であ
り、糸引きや鼻たれおよびノズル詰まり等を確実に防止
することはできない。また、複数のヒータを配備する必
要上、製造コストの問題も生じる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、糸引
きや鼻たれおよびノズル詰まり等を格別の予算をかける
ことなく容易に防止することのできる射出成形機におけ
るノズル温度制御方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、ノズルの先端
部側に高出力熱源を配備し、基部側に低出力熱源を配備
すると共に、ノズルの先端部に温度センサを配備し、前
記ノズルの先端部の小孔における先端と基部との間で使
用樹脂温度が溶融温度以上に切り替わるような温度を目
標温度として設定し、前記温度センサで検出される温度
が該目標温度と一致するように温度のフィードバック制
御を行うことを特徴とする構成により前記目的を達成し
た。
【0016】金型と接触するノズル先端部の小孔の先端
側の温度が樹脂の溶融温度以下となるため、その部分の
樹脂が固化するか、または、その粘性が相当に高くな
る。従って、糸引きおよび鼻たれが防止される。また、
小孔の基部側の温度は樹脂の溶融温度と同等か、また
は、それ以上となるので、小孔の基部側では樹脂が完全
に溶融する。結果的に、固化した樹脂または粘性の増大
した樹脂は小孔の先端側にのみ存在することになるの
で、糸引きおよび鼻たれ防止のためのシール手段として
十分であり、また、固化した樹脂または粘性の増大した
樹脂とノズルの拡径部との間に引っ掛かりを生じること
もないので、ノズル詰まりの原因とならない。ノズルの
先端部に温度センサを配備しているので、ノズルの先端
部の小孔における先端と基部との間で使用樹脂温度が溶
融温度以上に切り替わるように温度制御をすることは容
易である。
【0017】また、ノズルの先端側に密に巻回した発熱
線により高出力熱源を構成する一方、ノズルの基部側に
同じ発熱線を疎に巻回して低出力熱源を構成するように
しているので、ノズルを加熱するヒータや温度センサお
よび制御装置が1つで済み、製造コストが軽減される。
発熱線の巻回密度によってノズルの軸方向の各部の発熱
量を加減するようにしているので、発熱線が1本であっ
てもノズル軸方向の発熱量の分布を自由に調整すること
ができる。
【0018】ノズルの基部側の低出力熱源は、高出力熱
源に連絡する熱伝導率の高い金属板をノズルに密着して
配備することで代替することが可能である。
【0019】更に、ノズル基部の温度が必要以上に上昇
してしまうような場合は、ノズルの先端部側にのみ高出
力熱源を配備し、基部側を放熱部とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態を説明する。図1は本発明のノズル温度制御方
法を適用した射出成形機のノズル1の周辺を示す断面図
である。ノズル1は、射出スクリュー2を内嵌して外周
部に複数のバンドヒータ3,4を巻回したバレル5の先
端に螺合され、バレル5に対して一体的に固着されてい
る。なお、図では一体的に記載している。
【0021】ノズル1には、バレル5の計量部に連絡す
る大径の孔6が設けられ、更に、その先端部には、ノズ
ルタッチ時に金型スプルーと連絡して樹脂を射出するた
めの小孔7が穿設されている。小孔7の形状は、図5お
よび図6に示す金型スプルー104と同様、樹脂の流れ
方向に向けて徐々に拡径するテーパ穴である。このテー
パ穴は金型スプルー104においては主に抜きテーパと
して機能し、また、小孔7においては専ら樹脂詰まりの
防止手段として機能する。
【0022】また、ノズル1の外周部上面には軸方向に
向けて延びるセンサ取付溝8が刻設され、その中に温度
センサ9が埋設されている。温度センサ9の感応部は先
端部の楔状部分9aのみであり、他の部分は全くの不感
帯である。温度センサ9によって温度を検出すべきノズ
ル1内の位置は、実際には、図1に示す点Sの近傍、要
するに、樹脂を固化状態もしくは相当に粘性が高い状態
から溶融状態へと切り替えるべき切り替え点(小孔7の
軸方向中央部の位置)であるが、ノズル1の形状からい
ってその位置に温度センサ9を配備することが技術的に
困難であるため、この実施形態では温度センサ9の感応
部9aを図示の位置にオフセットして配備している。
【0023】更に、ノズル1の先端部には、発熱線10
を隙間なく稠密に巻回して高出力熱源部11を構成し、
また、ノズル1の中央部から基部側にかけては、発熱線
10を所定のピッチで螺旋状に巻回して低出力熱源部1
2を構成している。図1に示す例では、結果的に、温度
センサ9の感応部9aが高出力熱源部11の中央に位置
することになる。
【0024】温度センサ9からのリード線13および発
熱線10の電力供給線14は、特開平7−125032
号等に示される従来例と同様にして、PID制御のため
の温度調整器および電力供給源に接続され、温度センサ
9で検出されるノズル温度が設定目標温度と一致するよ
うに温度のフィードバック制御が行われる。
【0025】温度制御自体に関しては既に公知であるの
で特に説明しない。ここで重要なのは、ノズル温度をフ
ィードバック制御する目標温度の値である。
【0026】既に述べた通り、この実施形態において
は、図1の切り替え点Sに温度センサ9の感応部9aを
配備すべきところを技術上の制限からバレル5寄りの位
置にオフセットして配備しており、しかも、「従来の技
術」の項でも述べた通りノズル1の先端部では固定側金
型103によって大量の熱が奪われてノズル温度が急激
に降下するので、ノズル1にどのような状態で発熱線1
0が巻回されていようとも、切り替え点Sの周辺の温度
は必然的に温度センサ9の感応部9aで検出される温度
よりも低くなる。従って、まず、この温度降下分を見込
んで、切り替え点Sで必要とされる温度、つまり、樹脂
の変態温度よりも高い値にフィードバック制御の目標温
度を設定しなくてはならない。
【0027】当然、ノズル1に必要とされる最低の温度
はノズル1のどの部分を取ってみても樹脂の相変態温度
よりも高くなくてはならないが、成形に適した上限の温
度というものもあるので、切り替え点Sの温度を変態温
度とするために感応部9a近傍のノズル温度が適性温度
の上限を越えてしまったのでは意味がない。従って、高
出力熱源部11および感応部9aと切り替え点Sとの間
で生じる温度降下を減らす必要があり、感応部9aと高
出力熱源部11は、技術的に可能な限り小孔7に近接さ
せて設けるようにする(図1参照)。
【0028】また、小孔7の長さA(図2参照)は無駄
な流動抵抗をなくすためにも短くするに越したことはな
いが、同時に、この長さの範囲で樹脂の変態を完了さ
せ、ノズル1のシールに必要とされる固化部または高粘
性部の厚みを確保する必要があるので、極端に短くする
こともできない。もし、小孔7の長さAを極端に短くし
たならば、長さAの全長に亘って樹脂が固化または高粘
性化するか、もしくは、その全長に亘って樹脂が完全な
溶融状態となってしまう。図2に示すように、小孔7の
先端部で樹脂が固化または高粘性化する一方、小孔7の
基部側では樹脂が溶融状態となるのが理想である。
【0029】また、低出力熱源部12における発熱線1
0の巻回密度は、高出力熱源部11からバレル5側に向
けて伝達される熱量およびバレル5側のバンドヒータ
3,4等からノズル1に向けて伝達される熱量と、発熱
線10自体の単位長さ当たりの発熱量とを考慮し、ノズ
ル1の中央部から基部にかけての温度が樹脂の成形に適
合したノズル温度となるように決める。従って、中央部
から基部にかけて発熱線10が同一ピッチで巻回される
とは限らない。中央部から基部にかけてのノズル部分は
高出力熱源部11から伝達される熱とバンドヒータ3,
4等から伝達される熱とを受けて予熱されるので、発熱
線10の巻回密度は高出力熱源部11のそれに比べて相
当に稀薄(疎)になる。
【0030】また、高出力熱源部11やバンドヒータ
3,4等から伝達される熱で中央部から基部にかけての
ノズル部分の温度が必要以上(樹脂の成形に適合したノ
ズル温度以上)に上昇してしまうような場合には、この
部分に発熱線10を巻回せずに、その表面を放熱手段と
して使用する。また、高出力熱源部11に連絡する熱伝
導率の高い金属板をノズル1の中央部から基部側にかけ
て密着して配備することにより低出力熱源部12を構成
する場合もある。
【0031】この実施形態の構成によれば、固定側金型
103によって大量の熱を奪われるノズル1の先端部に
高出力熱源部11から重点的に熱が供給されるので、ノ
ズル1の先端部を高温化して小孔7の長さの範囲内(固
定側金型103によって強制冷却される小孔7の最先端
部と小孔7の基部との間)で樹脂の変態を完了させるこ
とができ、しかも、低出力熱源部12における発熱線1
0の巻き加減を調整することによってノズル1の中央部
から基部にかけての温度を樹脂の成形に適した温度に維
持することができる。
【0032】ノズル1における温度分布の理想的な例を
図3の線図Q1で示す。図3の例では線図Q1のフラッ
トな部分が成形に適したノズル設定温度T(成形温度)
に一致し、かつ、小孔7の長さAの範囲内で樹脂の変態
を完了させるための設定目標温度R1(温度センサ9の
感応部9aの位置に対する設定目標温度であって切り替
え点Sの位置で必要とされる変態温度ではない)がノズ
ル設定温度Tに略一致しているが、必ずしも両者をノズ
ル設定温度Tに一致させられるとは限らない。
【0033】一致させられない場合には、糸引きや鼻た
れおよびノズル詰まり等を防止することを優先して、設
定目標温度R1を小孔7の長さAの範囲内で樹脂の変態
を完了させるための温度に合わせ、ノズル1の中央部か
ら基部にかけての温度が可能な限りノズル設定温度Tと
一致するように低出力熱源部12における発熱線10の
巻回密度等を調整するようにする。
【0034】ノズル1の先端部に高出力熱源部11から
重点的に熱が供給される結果、ノズル1の最先端部から
ノズル1の基部に向かう温度の立上り勾配を急激にする
ことができるので、結果的に、樹脂の変態に必要とされ
る小孔7の長さAも短く設計することができ、射出時の
流動抵抗の軽減等にも役立つ。なお、図3では変態温度
が200°C弱である場合に必要とされる小孔7の長さ
Aについて例示している。
【0035】これに対し、図3の線図Q2では、従来方
式、例えば、ノズル1に単体のバンドヒータ等を巻回し
てノズル1の温度制御を行った場合について示してい
る。通常のバンドヒータを使用した場合ではノズル1の
各部が均等に予熱されることになるので、特に、ノズル
1の先端部に生じる温度降下を補償するといった機能が
欠如し、ノズル1の中央部から先端部にかけて灘らかに
ノズル1の温度が下降することになる。前記と同様、樹
脂の変態温度が200°弱であるとするなら、この従来
方式でノズル詰まり等を防止するためには小孔7の長さ
をBまで延長しなければならないが、それでは射出時の
流動抵抗が大幅に増大して射出圧力にバラツキを生じて
しまう。
【0036】しかも、このような従来技術においてノズ
ル1の先端部の温度を高温側にシフトさせてノズル詰ま
りを防止するためには、ノズル設定温度Q2を成形作業
に適した温度T(理想的なノズル設定温度)よりも遥か
に高めに設定しなくてはならず、樹脂の熱分解等による
成形異常を生じる危険がある。
【0037】本実施形態によれば、ノズル1の先端部に
設けられた温度センサ9により敏感にフィードバック制
御される高出力熱源部11の強力な発熱作用でノズル1
の先端部の温度の立上りを急激な勾配とすることができ
るので、ノズル1の小孔7の長さを従来のものに比べて
短く形成してもその長さの範囲内で樹脂の変態を行わせ
て糸引きや鼻たれおよびノズル詰まりを防止することが
でき、しかも、ノズル1の中央部から基部にかけては単
位長さ当たりの発熱量の調整が可能な低出力熱源部12
を設けるようにしているので、ノズル1内の樹脂が必要
以上に加熱されて熱分解等を生じるといった危険もな
い。
【0038】更に、高出力熱源部11と低出力熱源部1
2とが一本の連続した発熱線10によって構成され、し
かも、温度センサ9はノズル1の先端に1つのみ設けれ
ばよいから、製造上のコスト問題も解消することができ
る。
【0039】固定側金型103の熱容量は極めて大きい
ので、高出力熱源部11の発熱量を相当に大きくしても
小孔7の最先端部の温度はそれほど高くはならず(図3
参照)、容易に糸引きや鼻たれが発生するという心配は
ない。
【0040】なお、固定側金型103の大きさや材質、
および、樹脂の種別や、固定側金型103が温調機で加
熱または冷却されているか否か等により、ノズル1の先
端部から奪われる熱量に差が生じ、また、成形に適した
ノズル設定温度Tや小孔7の長さの範囲内で樹脂の相変
態を完了させるための設定目標温度R1の値にも差がで
るので、設定目標温度R1、および、ノズル設定温度T
を達成するための低出力熱源部12における発熱線10
の巻回密度等は、様々な成形条件に対処して実験的に求
めておく必要がある。
【0041】無論、製造コストの増大を厭わずに高出力
熱源部11と低出力熱源部12とを独立構成として、そ
の各々に温度センサや温度調整器を設けるのであれば、
少なくとも、低出力熱源部12における発熱線10の巻
回密度の調整に関しては省略することが可能である(高
出力熱源部11の通電状態に低出力熱源部12の発熱状
態が依存しなくなるため低出力熱源部12における発熱
線10の巻回密度の調整が不要となる)。
【0042】ホットランナ金型の一部には、2次ノズル
を構成するホットチップ・ブッシングの最先端部にスピ
アヘッドヒータを設け、これを成形サイクルに合わせて
ON/OFF制御することで樹脂の溶融と固化(または
高粘性化)を行って2次ノズル先端からの樹脂洩れを防
止するようにしたシステムが既に公知であるが、本発明
のノズル温度制御方法は、ノズル1における小孔7の基
部側の温度を常ONのフィードバック制御によって樹脂
の変態温度以上に保持してノズル詰まりを防止し、更
に、固定側金型103との接触による冷却効果によって
小孔7の最先端部の樹脂を固化または高粘性化して鼻た
れを防止するものであって、ホットランナ金型における
樹脂洩れ防止方法とでは構成および作用原理が全く異な
る。
【0043】
【発明の効果】本発明のノズル温度制御方法は、ノズル
の先端部側に高出力熱源を配備すると共に基部側に低出
力熱源を配備し、ノズルの先端部の小孔における先端側
と基部側との間で使用樹脂温度が溶融温度以上に切り替
わるようにノズル先端部の温度をフィードバック制御す
るようにしているので、ノズル先端部の小孔の長さの範
囲内で樹脂を固化または高粘性状態から溶融状態に変化
させることが可能となり、ノズル先端の糸引きおよび鼻
たれとノズル詰まりとを同時に解消することができる。
【0044】しかも、ノズル先端側の高出力熱源と基部
側の低出力熱源とを巻回密度を変えた同じ発熱線によっ
て構成しており、フィードバック制御のための温度セン
サはノズル先端部に1つのみ配備すればよいので、ノズ
ルに複数のヒータや温度センサを配備する従来の方法と
は相違し、製造コストが高くなるといった問題は発生し
ない。
【0045】また、ノズル中央部から基部にかけての温
度は低出力熱源を構成する発熱線の巻回密度を変えるこ
とにより自由に調整することができるので、成形作業に
適したノズル温度を得ることができ、必要以上の高温に
よる樹脂の熱分解やガスの発生等による成形異常を未然
に防止することができる。
【0046】更に、ノズル先端温度を糸引きおよび鼻た
れやノズル詰まりの防止に適した温度に保持したままの
状態で低出力熱源のみを調整することにより、ノズル中
央部から基部にかけての温度を、実質的に、ノズル先端
部の温度と独立させて自由に調整することができるの
で、ノズルに対して成形温度として設定できる温度の幅
が広がり、成形条件出しが容易に行えるようになる。つ
まり、これまでは糸引きおよび鼻たれやノズル詰まり等
の異常を招く可能性があるために利用することができな
かった温度条件も成形条件として試して見ることができ
るようになるということである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノズル温度制御方法を適用した一実施
形態の射出成形機のノズルの周辺を示した断面図であ
る。
【図2】同実施形態の作用原理を示した概念図である。
【図3】同実施形態の作用原理と従来例の作用原理とを
比較した線図である。
【図4】ノズル詰まりの発生を例示した模式図である。
【図5】糸引きの発生を例示した模式図である。
【図6】鼻たれの発生を例示した模式図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 射出スクリュー 3 バンドヒータ 4 バンドヒータ 5 バレル 6 大径の孔 7 小孔 8 センサ取付溝 9 温度センサ 9a 感応部 10 発熱線 11 高出力熱源部 12 低出力熱源部 13 リード線 14 電力供給線 100 スプルーランナ部 101 ノズル 102 溶融樹脂 103 固定側金型 104 金型スプルー 105 小孔 106 バレル 107 固化した樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤岡 修 山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580番 地 ファナック株式会社内 (72)発明者 石黒 俊夫 山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580番 地 ファナック株式会社内 (72)発明者 川崎 達也 山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580番 地 ファナック株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルの先端部側に高出力熱源を配備
    し、基部側に低出力熱源を配備すると共に、ノズルの先
    端部に温度センサを配備し、前記ノズルの先端部の小孔
    における先端と基部との間で使用樹脂温度が溶融温度以
    上に切り替わるような温度を目標温度として設定し、前
    記温度センサで検出される温度が該目標温度と一致する
    ように温度のフィードバック制御を行うようにしたこと
    を特徴とする射出成形機におけるノズル温度制御方法。
  2. 【請求項2】 前記ノズルの先端側に密に巻回した発熱
    線により前記高出力熱源を構成すると共に、前記ノズル
    の基部側に疎に巻回した発熱線により前記低出力熱源を
    構成したことを特徴とする請求項1記載の射出成形機に
    おけるノズル温度制御方法。
  3. 【請求項3】 前記ノズルの先端側に配備した高出力熱
    源に連絡する熱伝導率の高い金属板を前記ノズルの基部
    側に密着して配備することにより前記低出力熱源を構成
    したことを特徴とする請求項1記載の射出成形機におけ
    るノズル温度制御方法。
  4. 【請求項4】 ノズルの先端部側にのみ高出力熱源を配
    備し、基部側を放熱部とすると共に、ノズルの先端部に
    温度センサを配備し、前記ノズルの先端部の小孔におけ
    る先端と基部との間で使用樹脂温度が溶融温度以上に切
    り替わるような温度を目標温度として設定し、前記温度
    センサで検出される温度が該目標温度と一致するように
    温度のフィードバック制御を行うようにしたことを特徴
    とする射出成形機におけるノズル温度制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007098815A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Toshiba Mach Co Ltd 射出成形機のノズル温度制御装置及び制御方法
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