JPH1010780A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

電子写真用トナーの製造方法

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JPH1010780A
JPH1010780A JP16416896A JP16416896A JPH1010780A JP H1010780 A JPH1010780 A JP H1010780A JP 16416896 A JP16416896 A JP 16416896A JP 16416896 A JP16416896 A JP 16416896A JP H1010780 A JPH1010780 A JP H1010780A
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武明 大内
Yasuharu Morinishi
康晴 森西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真用トナーを生産するに際して付随し
て発生する微粉トナーを有効に再利用して、トナーの安
定消費量を保証するとともに、安定な画質が得られるト
ナーの製造方法を提供する。 【解決手段】 バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤な
どの原料を混合して溶融混練したものを冷却した後、粉
砕、分級する通常工程において生ずる所定粒径以下の微
粉トナーを再利用するために、この微粉トナーを上記の
原料とともに混合し、溶融混練したものを冷却した後、
粉砕、分級を行う製造方法であって、微粉トナーを原料
に混合する場合に、微粉トナーの原料に対する混合比率
を5wt.%以上10wt.%以下とし、かつ、帯電制御剤お
よび着色剤の混合比率が前記通常工程における混合比率
と同様となるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機などに用い
られる電子写真用トナーの製造方法に係り、特には、そ
の製造過程で生じる所定粒径以下の微粉トナーを有効に
再生して生産効率を向上するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子写真式の複写機などで用い
られるトナーは、図1に示す工程によって製造されてい
る。
【0003】すなわち、まず、バインダー樹脂、着色
剤、オフセット防止剤、帯電制御剤(CCA)等を計量す
る。バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチ
レンアクリル樹脂などが代表的であり、着色剤としては
カーボンブラックやアセチレンブラックなどの顔料が多
用され、オフセット防止剤としてはポリプロピレン樹脂
などが使用される。また、帯電制御剤としてはニグロシ
ン系、4級アンモニュウム塩、アミノシラン類などの染
料が多く用いられる。
【0004】そして、これらをミキサーによって混合し
た後、たとえば二軸押し出し式混練機によって溶融混練
する。その後、この混練生成物を冷却して、一旦、板状
に固形化されたものとする。続いて、この混練生成物を
最初にlmm前後に粗く粉砕し、さらに、引き続いて、衝
突板を利用した粉砕方式(ジェットミル粉砕)によって1
0μm程度に細粒化してトナーとしている。
【0005】この細粒化の工程において生じる所定粒径
以下(たとえば8μm以下)の微粉トナーは、電子写真の
かぶり等の不具合の原因となって製品の品質を低下させ
ることから、分級して取り除く必要がある。
【0006】そして、この取り除かれた微粉トナーは、
従来より、回収して再生することによって、生産効率を
向上させている。
【0007】従来、このような微粉トナーの再生のため
に、たとえば次の方法が提案されている。
【0008】 回収した微粉トナーをブリケットマシ
ーンに投入し、所定圧力を加えて造粒化した後、再び混
合工程に戻して、他のトナーの原料とともに混合し、混
練、粉砕、分級して製品化する。
【0009】 微粉トナーを混練工程でできた混練生
成物中に均一に撒きかけて混入し、この混練生成物の保
有熱で微粉トナーを溶解させた後、冷却、粉砕、分級す
る(たとえば、特開平6−186775号公報参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来技術で
は、次の課題がある。
【0011】(1) 従来ののように、微粉トナーを一
旦加圧して造粒化するには、ブリケットマシーンが別途
必要になるとともに、主工程とは全く別の工程が必要と
なるために、作業が複雑になる。
【0012】(2) 一方、従来ののような微粉トナー
の再生方法では、微粉トナーを均一に撒布するための設
備が必要となり、コストの上昇を招く。また、微粉トナ
ーと混練生成物との分散性が悪く、微粉を再利用しない
トナーと比較して特性の点で劣る。しかも、この微粉ト
ナーを原材料に一定比率以上(たとえば10wt.%以上)
そのまま投入して混合すると、微粉トナーには、所定粒
径のトナーに比べてカーボン量が多く混在しているの
で、帯電量が低下してトナーの飛散やかぶりが生じ易く
なる。逆に、微粉トナーの混合比率が少な過ぎると、帯
電量の低下を抑えることができるが、微粉トナーの消費
量が僅かになるため、生産効率の向上に寄与することが
できない。
【0013】本発明は、これら(1),(2)の諸問題を解
決するためになされたもので、電子写真用トナーを生産
するに際して付随して発生する微粉トナーを有効に再利
用して、トナーの安定消費量を保証するとともに、安定
な画質が得られるトナーの製造方法を提供することを課
題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述したように、微粉ト
ナーには、所定粒径内のトナーよりも着色剤が多く含ま
れているため、微粉トナーを通常工程の混合過程で単に
添加するだけでは、着色剤の混合比率が、通常工程の場
合のそれと比較して多くなる。
【0015】そして、着色剤は、その添加量が多すぎる
と、トナーの帯電量が低下して、かぶりやトナーの飛散
が生じ易くなる。一方、添加量が少ないと、トナーの帯
電量が増加して、転写が困難となり画像濃度の低下をも
たらす。また、帯電制御剤は、その添加量を増やせばト
ナーの帯電量が増加し、添加量を減らせばトナーの帯電
量が減少するため、添加量を加減することでトナーの帯
電量を調整することができる。
【0016】本発明は、このような事象に着目してなさ
れたもので、上記の課題を解決するため、電子写真用ト
ナーの製造のために次の方法を採用している。
【0017】すなわち、請求項1記載に係る発明では、
微粉トナーを原料とともに混合し、溶融混練したものを
冷却した後、粉砕、分級を行う。しかも、微粉トナーを
原料に混合する場合に、微粉トナーの原料に対する混合
比率を5wt.%以上10wt.%以下とし、かつ、帯電制御
剤および着色剤の混合比率が前記通常工程における混合
比率と同様となるようにする。
【0018】請求項2記載に係る発明では、微粉トナー
を原料とともに混合し、溶融混練したものを冷却した
後、粉砕、分級を行う。しかも、微粉トナーを原料に混
合する場合に、微粉トナーの混合比率を10wt.%以上
20wt.%以下とし、かつ、着色剤の混合比率を通常工
程における着色剤の混合比率と同じにするとともに、帯
電制御剤の混合比率を通常工程での混合比率の1.5倍
以上2倍以下とする。
【0019】請求項3記載に係る発明では、微粉トナー
を上記の原料とともに混合し、溶融混練したものを冷却
した後、粉砕、分級を行う。しかも、微粉トナーを原料
に混合する場合に、微粉トナーの混合比率を10wt.%
以上20wt.%以下とし、かつ、帯電制御剤の混合比率
を通常工程における帯電制御剤の混合比率と同じにする
とともに、着色剤の混合比率を通常工程での混合比率の
0.66倍以上0.83倍以下とする。
【0020】請求項4記載に係る発明では、微粉トナー
を上記の原料とともに混合し、溶融混練したものを冷却
した後、粉砕、分級を行う。しかも、微粉トナーを原料
に混合する場合に、微粉トナーの混合比率を10wt.%
以上15wt.%以下とし、かつ、帯電制御剤の混合比率
を通常工程での混合比率の1.6倍以上1.8倍以下とす
るとともに、着色剤の混合比率を通常工程での混合比率
の0.7倍以上0.75倍以下とする。
【0021】
【発明の実施の形態】実施形態1 バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤などの原料を混合
して溶融混練したものを冷却した後、粉砕、分級する工
程(以下、これを通常工程と称する)において生ずる所定
粒径以下の微粉トナーを再利用するために、この微粉ト
ナーを上記の原料とともに混合し、溶融混練したものを
冷却した後、粉砕、分級を行う工程(以下、これを利用
工程と称する)を採用する。
【0022】この利用工程において、微粉トナーを原料
に混合する場合に、微粉トナーの原料に対する混合比率
を5wt.%以上10wt.%以下とし、かつ、帯電制御剤お
よび着色剤の混合比率が前記通常工程における混合比率
と同様となるようにする。
【0023】このようにすると、かぶりおよびトナー飛
散における規準値を満たし、かつ画像濃度も適切なもの
となり、安定した特性と画質が得られる。
【0024】実施形態2 通常工程において生ずる所定粒径以下の微粉トナーを再
利用するために、この微粉トナーをバインダー樹脂、着
色剤、帯電制御剤などの原料とともに混合し、溶融混練
したものを冷却した後、粉砕、分級を行う利用工程を採
用する。
【0025】この利用工程において、微粉トナーを原料
に混合する場合に、微粉トナーの混合比率を10wt.%
以上20wt.%以下とする。このとき、微粉トナーに
は、所定粒径内のトナーよりも着色剤が多く含まれてい
るため、単に微粉トナーを混合するだけでは、着色剤の
混合比率が、通常工程の場合のそれと比較して多くな
り、トナーの帯電量が低下して、かぶりやトナーの飛散
を生じるおそれがある。
【0026】そこで、着色剤の混合比率が通常工程にお
ける着色剤の混合比率と同様になるように設定したとき
には、帯電制御剤(CCA)の混合比率を通常工程におけ
る帯電制御剤の混合比率の1.5倍以上2倍以下となる
ように、通常工程の場合よりも多く添加する。すると、
着色剤の混合比率の増加に伴う帯電量の低下が、帯電制
御剤の混合比率の増加によって回復される。
【0027】このため、かぶりやトナー飛散が防止され
て規準値内になるとともに、画像濃度も適切なものとな
り、安定した特性、画質が得られる。
【0028】実施形態3 通常工程において生ずる所定粒径以下の微粉トナーを再
利用するために、この微粉トナーをバインダー樹脂、着
色剤、帯電制御剤などの原料とともに混合し、溶融混練
したものを冷却した後、粉砕、分級を行う利用工程を採
用する。
【0029】この利用工程において、微粉トナーを原料
に混合する場合に、微粉トナーの混合比率を10wt.%
以上20wt.%以下とする。このとき、微粉トナーに
は、所定粒径内のトナーよりも着色剤が多く含まれてい
るため、単に微粉トナーを混合するだけでは、着色剤の
混合比率が、通常工程の場合のそれと比較して多くな
り、トナーの帯電量が低下して、かぶりやトナーの飛散
を生じるおそれがある。
【0030】そこで、帯電制御剤(CCA)の混合比率が
通常工程における帯電制御剤(CCA)の混合比率と同様
になるように設定したときには、着色剤の混合比率を通
常工程における着色剤の混合比率の0.66倍以上0.8
3倍以下となるように、通常工程の場合よりも少なく添
加する。すると、着色剤の混合比率は通常工程の場合と
同様なものとなるので、帯電量の低下が抑制される。
【0031】このため、かぶりやトナー飛散が防止され
て規準値内になるとともに、画像濃度も適切なものとな
り、安定した特性、画質が得られる。
【0032】実施形態4 通常工程において生ずる所定粒径以下の微粉トナーを再
利用するために、この微粉トナーをバインダー樹脂、着
色剤、帯電制御剤などの原料とともに混合し、溶融混練
したものを冷却した後、粉砕、分級を行う利用工程を採
用する。
【0033】この利用工程において、微粉トナーを原料
に混合する場合に、微粉トナーの混合比率を10wt.%
以上15wt.%以下とする。このとき、微粉トナーに
は、所定粒径内のトナーよりも着色剤が多く含まれてい
るため、単に微粉トナーを混合するだけでは、着色剤の
混合比率が、通常工程の場合のそれと比較して多くな
り、トナーの帯電量が低下して、かぶりやトナーの飛散
を生じるおそれがある。
【0034】そこで、帯電制御剤(CCA)の混合比率が
通常工程における帯電制御剤(CCA)の混合比率を通常
工程の場合の混合比率の1.6倍以上1.8倍以下となる
ように、通常工程の場合よりも多く添加するとともに、
着色剤の混合比率を通常工程における着色剤の混合比率
の0.7倍以上0.75倍以下となるように、通常工程の
場合よりも少なく添加する。
【0035】すると、着色剤の混合比率が通常工程の場
合よりも増加するのが抑えられるとともに、帯電制御剤
が通常工程の場合よりも多く添加されるので、通常工程
の場合と同じ帯電量の特性を有するトナーが得られる。
【0036】このため、かぶりやトナー飛散が防止され
て規準値内になるとともに、画像濃度も適切なものとな
り、安定した特性、画質が得られる。
【0037】
【実施例】実施例1 微粉混入トナーの製造方法 原料を構成するバインダ樹脂としてスチレンアクリル共
重合体樹脂、着色剤としてカーボンブラック、オフセッ
ト防止剤としてポリプロピレン樹脂、帯電制御剤として
4級アンモニュウム塩を使用し、バインダ樹脂100重
量部、着色剤6重量部、帯電制御剤2.5重量部、オフ
セット防止剤1.5重量部の割合に設定する。そして、
これらの原料を混合した後、二軸押し出し式混練機によ
って溶融混練したものを冷却し、ジェットミル粉砕後、
さらに分級することによって所定粒径5.0μm以下の
トナーを取り除いたものを、外添することによって微粉
を混入しない所定粒径のトナーを作る。
【0038】このトナー製造の通常工程において生じる
所定粒径以下の微粉トナーを原材料とともに混合に投入
し、混合後、上記の通常工程と同様の製法を行うことに
よって微粉トナーが混入したトナーを作る。
【0039】評価用微粉混入トナーの製造方法 表1に示すように、試料番号1〜16のものについて
は、評価用の微粉混入トナーの混合比率を5、10、1
5、20、25wt.%とし、また、帯電制御剤の混合比
率は、微粉トナー中に既に混在する帯電制御剤を考慮に
入れて、通常工程の混合比率の1倍、1.5倍、2倍、
2.5倍となるように変化させて、評価用微粉混入トナ
ーとした。この時のトナーの平均粒径は10.0μmとな
るようにし、混合はスーパーミキサーによって行った。
【0040】また、試料番号1'のものは、比較例とし
て、微粉トナーを混入しない通常工程で作成されたトナ
ーを用いた場合である。
【0041】
【表1】
【0042】評価方法 (a)かぶり(BG)の評価方法 シャープ株式会社製複写機(SD・2060)のトナーホ
ッパー内に、表1に示した処方により製造した試料番号
1〜16,1'の各トナーをセットし、1枚目および1
0万枚目のかぶり(BG)のチェックをして、評価を行
う。
【0043】チェックは、露光調整によって定められた
ノーマルモードの適正露光において、シャープ社によっ
て定められた直径5.5mmの黒円および直径4.0mmの白
円を含む原稿を、A4判のコピー紙に3枚複写する。そ
して、白度計[商品名:ハンター白度計(日本電色工業社
製)]を用いて、原稿および複写した各コピー紙の白色
部分の白度をそれぞれ測定し、コピー紙の白度から原稿
の白度を引いたものをかぶり(BG)とした。
【0044】なお、かぶり(BG)の値は、複写した3枚
のかぶり(BG)を平均したものである。また、この試験
では、1枚目のチェックにおいてかぶりの値が規準値
(≦1.0)を満たしていないときには、10万枚目のか
ぶりの評価は行わなかった。
【0045】(b)トナー飛散の評価方法 シャープ株式会社製複写機(SD・2060)のトナーホ
ッパー内に、表2の試料番号1〜12,1'の処方によ
って製造されたトナーをそれぞれセットし、シャープ社
によって定められた印字率7%の原稿を10万枚複写し
た後、複写機内の現像槽を取り出す。取り出した現像槽
に付着したデベロッパー(現像剤)を払い落として、その
量を測定する。
【0046】(c)画像濃度(ID)の評価方法 シャープ株式会社製複写機(SD・2060)のトナーホ
ッパー内に、表2の試料番号1〜16,1'の処方によ
って製造されたトナーをそれぞれセットし、1枚目およ
び10万枚目の面像濃度(ID)をチェックをし、評価を
行う。
【0047】チェックは、露光調整によって定められた
ノーマルモードの適正露光において、シャープ社によっ
て定められた直径5.5mmの黒円および直径4.0mmの白
円を含む原稿を、A4判のコピー紙に3枚複写する。そ
して、複写したコピー紙の黒色部分の5箇所をマクベス
社製の画像濃度計を用いて測定し、その平均値を画像濃
度値とする。
【0048】なお、1枚目の画像濃度(ID)のチェック
において、画像濃度(ID)が規準値(≧1.3)を満たし
ていないときは、10万枚目の画像濃度の評価は行わな
かった。
【0049】評価結果 上述の方法により、かぶり(BG)、トナー飛散量、およ
び画像濃度(ID)をそれぞれ測定した結果を表2に示
す。
【0050】
【表2】
【0051】表2から分かるように、試料番号1、5、
9および13のものは、利用工程の帯電制御剤の混合比
率を、通常工程の帯電制御剤の混合比率と同様とし、利
用工程における微粉トナーの混合比率を5、10、20
および25wt.%と変化させたもので、帯電制御剤の混
合比率を通常工程と同様としたときの微粉の混合比率の
上限を調べたものである。
【0052】この場合、微粉トナーの混合比率が10w
t.%を超えた場合、かぶりが悪く、基準値を超えたトナ
ー量の飛散もみられるが、混合比率が10wt.%以下で
あれば、かぶり(BG)、トナー飛散量、および画像濃度
(ID)のすべてにおいて、規準値を満たしている。
【0053】また、試料番号1、2、5、6、9、1
0、13および14のものは、利用工程における微粉ト
ナーの混合比率を5wt.%、10wt.%、20wt.%、お
よび25wt.%とし、かつ、利用工程の帯電制御剤の混
合比率を通常工程の混合比率の1倍および1.5倍と変
化させたもので、利用工程の帯電制御剤の混合比率の下
限を調べたものである。
【0054】この場合、利用工程における帯電制御剤の
混合比率が1倍の時は、上記の通りであるが、1.5倍
とすると、利用工程における微粉トナーの混合比率が2
5wt.%のときは、初期のかぶりで規準値(≦1.0)を満
たしておらず、一方、5wt.%のときは、かぶりやトナ
ー飛散は規準値を満たしているが、画像濃度が規準値
(≧1.3)を満たしていない。
【0055】試料番号3、4、7、8、11、12、1
5、および16のものは、利用工程の帯電制御剤の混合
比率の上限を限定するために、利用工程における微粉ト
ナーの混合比率を5wt.%、10wt.%、20wt.%、お
よび25wt.%とし、利用工程の帯電制御剤の混合比率
を通常工程の混合比率の2倍および2.5倍とした例で
ある。
【0056】利用工程にて混合される帯電制御剤の混合
比率が2.5倍のときは、初期の画像濃度が出ておら
ず、規準値(≧1.3)を満たしていない。一方、帯電制
御剤の混合比率を2.0倍とすると、利用工程における
微粉トナーの混合比率が25wt.%のときは、初期のか
ぶりで規準値(≦1.0)を満たしていない。逆に、5wt.
%のときは、かぶりやトナー飛散は規準値を満たしてい
るが、画像濃度(ID)が規準値(≧1.3)を満たしてい
ない。
【0057】以上のことから、利用工程における微粉ト
ナーの混合比率を5wt.%以上10wt.%以下となるよう
にし、かつ、利用工程における帯電制御剤の混合比率
を、通常工程における混合比率と同じ値になるようにす
れば、かぶり、トナー飛散および画像濃度の各規準値を
いずれも満たすことになり、安定した画質が得られる。
【0058】また、微粉トナーの混合比率を10wt.%
よりも増やして10wt.%以上20wt.%以下としたとき
には、着色剤の混合比率が通常工程の場合と同じであれ
ば、帯電制御剤の混合比率を通常工程での混合比率の
1.5倍以上2.0倍以下とすると、トナー飛散および画
像濃度の各規準値を満たした、安定した画質が得られ
る。
【0059】このように、微粉トナーの量を限定すれ
ば、帯電制御剤の混合比率を通常工程の混合比率の1.
5倍〜2倍の範囲に設定することは有効であるといえ
る。
【0060】実施例2 微粉混入トナー製造方法 実施例1の場合と同様の方法によって製作する。
【0061】評価用微粉混入トナーの製造方法 表3に示すように、試料番号17〜32のものについて
は、実施例1の場合と同様に、利用工程における微粉の
混合比率を5、10、15、20wt.%以下とし、ま
た、着色剤の混合比率は、微粉トナーには通常の所定粒
径トナーに比べて多量の着色剤が混在するので、微粉ト
ナーに混在する着色剤の量を考慮に入れて、利用工程に
おける着色剤の混合比率が、通常工程の混合比率の1
倍、0.83倍、0.66倍、0.5倍となるように変化
させて、評価用微粉混入トナーとした。このときのトナ
ーの諸条件は、実施例1の試料番号1〜16のものと同
じである。
【0062】また、試料番号1''のものは、比較例とし
て、微粉トナーを混入しない通常工程で作成されたトナ
ーを用いた場合である。
【0063】
【表3】
【0064】評価方法 かぶり(BG)、トナー飛散、画像濃度(ID)の各評価方
法は、実施例1の場合と同様であるから、詳しい説明は
省略する。
【0065】評価結果 かぶり(BG)、トナー飛散、画像濃度(ID)の各項目に
ついての測定結果をまとめて表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】表4から分かるように、試料番号20、2
4、28および32のものは、利用工程の着色剤の混合
比率を、微粉トナーに混在する着色剤を考慮に入れて、
通常工程の着色剤の混合比率と同様となるようにし、利
用工程における微粉トナーの混合比率を5、10、2
0、および25wt.%として、着色剤の混合比率を通常
工程と同様としたときの微粉トナーの混合比率の上限を
調べたものである。
【0068】この場合、微粉トナーの混合比率が10w
t.%を超えた場合、かぶりやトナー量の飛散が規準値を
超えた場合もみられるが、一方、微粉トナーの混合比率
を10wt.%以下にすれば、かぶり、トナー飛散および
画像濃度すべてにおいて規準値を満たしている。
【0069】試料番号19、20、23、24、27、
28、31および32のものは、利用工程における微粉
トナーの混合比率を5wt.%、10wt.%、20wt.%、
および25wt.%とし、利用工程の着色剤の混合比率を
通常工程の混合比率の1倍および0.83倍として、利
用工程の着色剤の混合比率の下限を調べたものである。
【0070】着色剤の混合比率を上げると、かぶりや飛
散は改善されるが、画像濃度が不足する。微粉トナーが
5wt.%以下であると画像濃度が不足するが、逆に、2
5wt.%以上になると画像濃度は十分であるが、かぶり
やトナー飛散が生じる。
【0071】以上から、微粉トナーが10wt.%以上2
0wt.%以下のときには、着色剤の混合比率が0.83倍
以下であれば、かぶり、トナー飛散および画像濃度すべ
てにおいて規準値を満たす。
【0072】試料番号17、18、21、22、25、
26、29、および30のものは、利用工程における微
粉トナーの混合比率を5wt.%、10wt.%、20wt.
%、および25wt.%とし、利用工程の着色剤の混合比
率を通常工程の混合比率の0.5倍および0.66倍とし
て、利用工程の着色剤の混合比率の上限を調べたもので
ある。
【0073】上記と同様に、微粉トナーの混合比率が5
wt.%以下では、画像濃度が悪く、逆に25wt.%以上で
あると、かぶりや飛散が生じる。以上から、微粉トナー
が10wt.%以上20wt.%以下のときで、着色剤の混合
比率が0.66倍以上であれば、かぶり、トナー飛散お
よび画像濃度すべてにおいて規準値を満たす。
【0074】以上をまとめると、利用工程における微粉
トナーの混合比率を10wt.%以下となるようにし、利
用工程における着色剤の混合比率を、通常工程における
混合比率と同じ値になるようにすれば、かぶり、トナー
飛散および画像濃度の各規準値を満たした、安定した画
質が得られる。また、微粉トナーの混合比率を10wt.
%以上20wt.%以下としたときには、帯電制御剤の混
合比率が通常工程の場合と同じであれば、着色剤の混合
比率を通常工程の混合比率の0.66倍以上0.83倍以
下とすると、トナー飛散および画像濃度の各規準値を満
たした、安定した画質が得られる。
【0075】このように、微粉トナーの量を限定すれ
ば、着色剤の混合比率を通常工程の混合比率の0.66
倍から0.83倍の範囲に設定することは有効であると
いえる。 実施例3 微粉混入トナー製造工程 実施例1の場合と同様の方法によって製作する。
【0076】評価用微粉混入トナーの製造工程 表5に示すように、試料番号33〜48のものについて
は、実施例1の場合と同様に、利用工程における微粉の
混合比率を5、10、15、20wt.%とし、また、利
用工程における着色剤の混合比率を、通常工程の混合比
率の1.5、1.6、1.8、2.0wt.%とし、さらに、
利用工程における着色剤の混合比率が、通常工程の混合
比率の1倍、0.8倍、0.6倍、0.5倍となるように
して、評価用微粉混入トナーとした。このときのトナー
の諸条件は、実施例1の試料番号1〜16のものと同じ
である。
【0077】
【表5】
【0078】評価方法 かぶり(BG)、トナー飛散、画像濃度(ID)の各評価方
法は、実施例1,2の場合と同様であるから、詳しい説
明は省略する。
【0079】評価結果 かぶり(BG)、トナー飛散、画像濃度(ID)の各項目に
ついての測定結果をまとめて表6に示す。
【0080】
【表6】
【0081】上記の試料番号33〜36のものは、利用
工程における微粉トナーの混合比率を5wt.%とし、帯
電制御剤の混合比率を1.5、2倍とし、着色剤の混合
比率を0.6、0.8倍とした例である。
【0082】微粉トナーの混合比率が5wt.%のとき
は、画像濃度1.38以上を満たしていない。
【0083】試料番号45〜48のものは、利用工程に
おける微粉トナーの混合比率を20wt.%、帯電制御剤
の混合比率を1.5、2倍、着色剤の混合比率を0.6、
0.8倍とした例である。
【0084】微粉トナーの混合比率を20wt.%以上と
すると、かぶり(BG)は0.7以下もしくはトナー飛散
100mg以下となり、規準値を満たさなくなる。
【0085】試料番号37〜44のものは、利用工程に
おける微粉トナーの混合比率を10および20wt.%、
帯電制御剤の混合比率を1.6、1.8倍、カーボンの混
合比率を0.7、0.75倍とした例である。
【0086】このとき、画像濃度1.38以上、かぶり
(BG)は0.7以下、トナー飛散量は100mg以下をい
ずれも満たし、よりよい画像が得られる。
【0087】以上から、少なくとも利用工程における微
粉トナーの混合比率を10wt.%以上15wt.%以下とす
るとき、帯電制御剤の混合比率を1.6以上1.8倍以下
とし、かつ、着色剤の混合比率を0.7倍以上0.75倍
以下とすることは、画像濃度、かぶり、トナー飛散の各
規準値を満たし、よりよい画像を得るために有効である
といえる。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果を奏する。
【0089】(1) 請求項1記載ないし請求項4に係る
発明においては、微粉トナーを有効に再利用できるだけ
でなく、この微粉トナーを再利用する利用工程は、通常
工程と比較したとき、微粉トナーを混合する場合の混合
比率を調整するだけで済み、他の過程を何ら変更しなく
てよいから、工程を複雑化することがなく、コストダウ
ンが図れる。
【0090】しかも、トナーのかぶりや、トナー飛散が
抑えられるとともに、良好な画像濃度が得られるので、
安定した特性と画質が得られるトナーを製造することが
可能となる。
【0091】(2) 特に、請求項2記載ないし請求項4
記載に係る発明では、請求項1記載の場合よりも、微粉
トナーの添加量をより多くできるので、微粉トナーの有
効利用を一層図ることが可能となる。
【0092】(3) さらに、請求項4記載に係る発明で
は、かぶりやトナー飛散がより一層有効に防止されるた
め、微粉を再利用しないトナーと同様の特性、画質が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真用トナーの製造方法の工程図である。
【符号の説明】
1…計量工程、2…混合工程、3…混練工程、4…冷却
工程、5…粗粉砕工程、6…粉砕、分級工程。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大内 武明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 森西 康晴 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 赤澤 良彰 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤な
    どの原料を混合して溶融混練したものを冷却した後、粉
    砕、分級する通常工程において生ずる所定粒径以下の微
    粉トナーを再利用するために、この微粉トナーを上記の
    原料とともに混合し、溶融混練したものを冷却した後、
    粉砕、分級を行う製造方法であって、 前記微粉トナーを原料に混合する場合に、微粉トナーの
    原料に対する混合比率を5wt.%以上10wt.%以下と
    し、かつ、帯電制御剤および着色剤の混合比率が前記通
    常工程における混合比率と同様となるようにすることを
    特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤な
    どの原料を混合して溶融混練したものを冷却した後、粉
    砕、分級する通常工程において生ずる所定粒径以下の微
    粉トナーを再利用するために、この微粉トナーを上記の
    原料とともに混合し、溶融混練したものを冷却した後、
    粉砕、分級を行う製造方法であって、 前記微粉トナーを原料に混合する場合に、微粉トナーの
    混合比率を10wt.%以上20wt.%以下とし、かつ、着
    色剤の混合比率を通常工程における着色剤の混合比率と
    同じにするとともに、帯電制御剤の混合比率を通常工程
    での混合比率の1.5倍以上2倍以下とすることを特徴
    とする電子写真用トナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤な
    どの原料を混合して溶融混練したものを冷却した後、粉
    砕、分級する通常工程において生ずる所定粒径以下の微
    粉トナーを再利用するために、この微粉トナーを上記の
    原料とともに混合し、溶融混練したものを冷却した後、
    粉砕、分級を行う製造方法であって、 前記微粉トナーを原料に混合する場合に、微粉トナーの
    混合比率を10wt.%以上20wt.%以下とし、かつ、帯
    電制御剤の混合比率を通常工程における帯電制御剤の混
    合比率と同じにするとともに、着色剤の混合比率を通常
    工程での混合比率の0.66倍以上0.83倍以下とする
    ことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  4. 【請求項4】 バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤な
    どの原料を混合して溶融混練したものを冷却した後、粉
    砕、分級する通常工程において生ずる所定粒径以下の微
    粉トナーを再利用するために、この微粉トナーを上記の
    原料とともに混合し、溶融混練したものを冷却した後、
    粉砕、分級を行う製造方法であって、 前記微粉トナーを原料に混合する場合に、微粉トナーの
    混合比率を10wt.%以上15wt.%以下とし、かつ、帯
    電制御剤の混合比率を通常工程での混合比率の1.6倍
    以上1.8倍以下とするとともに、着色剤の混合比率を
    通常工程での混合比率の0.7倍以上0.75倍以下とす
    ることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
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