JPH10106467A - 電子レンズおよび無回転レンズ系 - Google Patents

電子レンズおよび無回転レンズ系

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JPH10106467A
JPH10106467A JP8258583A JP25858396A JPH10106467A JP H10106467 A JPH10106467 A JP H10106467A JP 8258583 A JP8258583 A JP 8258583A JP 25858396 A JP25858396 A JP 25858396A JP H10106467 A JPH10106467 A JP H10106467A
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JP
Japan
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lens
main
electromagnetic
lenses
auxiliary
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JP8258583A
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Inventor
Shohei Suzuki
正平 鈴木
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷電粒子線露光装置における焦点調節の際
に、像の回転や倍率変化が生じない電子レンズおよび無
回転レンズ系の提供。 【解決手段】 電磁レンズ1は、主レンズ1aと、補助
レンズ1b,1cと、主レンズ1aの光軸をz軸とした
ときに、補助レンズ1b,1cによって形成されるポテ
ンシャル場が主レンズ1aが光軸上に形成するポテンシ
ャル場φ(z)の1階微分{dφ(z)/dz}に比例
するように補助レンズ1b,1cを制御する制御装置1
1とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路等
のリソグラフィーに用いられる荷電粒子線露光装置の電
子レンズおよび無回転レンズ系に関する。
【0002】
【従来の技術】荷電粒子線露光装置等に用いられる従来
の電子光学系では、荷電粒子線が照射される試料面の位
置が変化した場合には、対物レンズである電磁レンズの
励磁を変化させたり対物レンズの焦点補正レンズの励磁
を変えたりする等の焦点距離調整により対応している。
図5は電磁レンズの励磁を変化させたときの結像を定性
的に説明する図であり、(b)は(a)より電磁レンズ
の励磁を大きくした場合を示す。7は電磁レンズ5の物
面側の像であり、図5(a)では電磁レンズ5により像
8aが像面側に結像される。ここで、h1は電磁レンズ
5の主面と像7との距離を、h2は電磁レンズ5の主面
と像8aとの距離を示しており、レンズの公式より倍率
はh2/h1となる。一方、図5(b)の場合には電磁
レンズ5の励磁を大きくしているため、電磁レンズ5の
主面と像8bとの距離h3はh2>h3であって、この
ときの倍率h3/h1は図3(a)の場合(h2/h
1)より小となる。また、像8a,8bの回転は電磁レ
ンズ5の軸上磁場の積分値に比例しており、図5(b)
に示す電磁レンズ5の方が磁場の強さが大きいので積分
値が大きくなり、像8bの方が像8aより回転角が大き
い。すなわち、電磁レンズ1の励磁を変えると、像の倍
率および回転角が変化する。
【0003】従来の荷電粒子線露光装置では、投影され
るフィールドサイズはせいぜい数μm程度であり、対物
レンズの励磁を変えて焦点調節を行う際の倍率誤差が1
%で、回転誤差が10mradであったとしても、それ
らによって生じるフィールドサイズ誤差は数10nm程
度であって許容誤差範囲内であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近で
は、荷電粒子線露光装置の高スループット化を図るため
に、一度に露光できるフィールドサイズを従来の数μm
から数100μm程度に大きくすることが検討されつつ
ある。このようにフィールドサイズが大きくなった場
合、将来要求されるであろう線幅精度をも考慮すると、
上述した倍率誤差,回転誤差は従来より100〜100
0倍も厳しいものとなる。そのため、上述したような従
来の焦点調節方法ではこの要求を満足することができな
いという問題点があった。
【0005】本発明の目的は、荷電粒子線露光装置にお
ける焦点調節の際に、像の回転や倍率変化が生じない電
子レンズおよび無回転レンズ系を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による電子レンズ
は従来の電子レンズを主レンズとし、それに補助レンズ
を加えて成る。そして、主レンズのポテンシャル場に補
助レンズのポテンシャル場を重ね合わせることによって
主レンズのポテンシャル場を光軸方向に移動させ、主レ
ンズの主面位置を光軸方向に移動する。
【0007】主レンズが光軸(z軸)上に作るポテンシ
ャル場をφ(z)としたとき、式(1)に示すようなφ
(z)の1階微分dφ(z)/dzに比例する場を補助
レンズのポテンシャル場とする。
【数1】−{dφ(z)/dz}・Δz …(1) 主レンズおよび補助レンズのポテンシャル場を重ね合わ
せたポテンシャル場は次式(2)で表され、
【数2】 φ(z)−{dφ(z)/dz}・Δz …(2) この式はφ(z−Δz)と近似することができる。ポテ
ンシャル場φ(z−Δz)はφ(z)の場をz軸正方向
にΔzだけ移動したものであり、z軸正方向をレンズか
ら像点側に向う方向とすれば、主レンズの主面は像点側
にΔz移動したことになる。
【0008】なお、上述した主レンズの主面の移動は、
Δzに関する高次の項、
【数3】 (1/2)・{d2φ(z)/dz2}・Δz2, (1/6)・{d3φ(z)/dz3}×Δz3, … を加えることによってより精度良く行うことができる。
なお、{d2φ(z)/dz2},{d3φ(z)/d
3}はφ(z)の2階および3階微分である。
【0009】このような原理による本発明の実施の形態
を図2,4に対応付けて説明する。 (1)図2に対応付けて説明すると、請求項1の発明
は、荷電粒子線露光装置等に用いられる電子レンズに適
用され、主レンズ1aと、補助レンズ1b,1cと、主
レンズ1aの光軸をz軸としたときに、補助レンズ1
b,1cによって形成されるポテンシャル場が主レンズ
1aが光軸上に形成するポテンシャル場φ(z)の1階
微分{dφ(z)/dz}に比例するように補助レンズ
1b,1cを制御する制御装置11とを備えて上述の目
的を達成する。 (2)図4に対応付けて説明すると、請求項2の発明
は、荷電粒子線露光装置等に用いられ、複数の電磁レン
ズ20,21から成る無回転レンズ系に適用され、複数
の電磁レンズ20,21は、それぞれ主レンズ200
a,210aおよび補助レンズ(200b,200
c),(210b,210c)から成り、主レンズ20
0a,210aの光軸をz軸としたときに、各主レンズ
200a,210aに対応する補助レンズ(200b,
200c),(210b,210c)によって形成され
る磁場が、それぞれ対応する主レンズ200a,210
aの光軸上磁場Bz(z)の1階微分{dBz(z)/d
z}に比例するように各補助レンズ(200b,200
c),(210b,210c)を制御する制御装置15
を備えて上述の目的を達成する。 (3)請求項3の発明は、請求項2に記載の無回転レン
ズ系において、一対の電磁レンズ20,21に含まれる
一対の主レンズが対称磁気ダブレットを構成する。 (4)請求項4の発明は、請求項2または3に記載の無
回転レンズ系において、制御装置15は、一対の電磁レ
ンズ20,21の焦点距離をそれぞれ変える際に、主レ
ンズ200a,210aおよび補助レンズ(200b,
200c),(210b,210c)の各々の励磁電流
の大きさが同一割合で変化するように制御する。
【0010】(1)請求項1の発明では、補助レンズ1
b,1cのポテンシャル場を加えることによって主レン
ズ1aのポテンシャル場を光軸方向に移動する。その移
動量は、補助レンズ1b,1cのポテンシャル場の大き
さを変化させることにより任意に変えることができる。 (2)請求項2および3の発明では、電磁レンズ20,
21の主面は、それぞれの補助レンズ(200b,20
0c),(210b,210c)の形成する磁場により
光軸方向に移動する。このとき、補助レンズ(200
b,200c),(210b,210c)の磁場を加え
ても、像は回転しない。 (3)請求項4の発明では、主レンズ200a,210
aおよび補助レンズ(200b,200c),(210
b,210c)の各々の励磁電流の大きさを同一割合で
変化させるため、像の回転および倍率の変化が生じな
い。
【0011】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図1〜4を参照して本発明
の実施の形態を説明する。 −第1の実施の形態− 図1は本発明の電子レンズの原理を電磁レンズに適用し
た場合を説明する図であり、(a)および(b)は電磁
レンズによる結像を示す図で、(c),(d)はそれぞ
れ(a),(b)の場合の電磁レンズの磁場を説明する
図である。図1(a)に示すように電磁レンズ1は主レ
ンズ1aと補助レンズ1b,1cとからなり、電磁レン
ズ1の磁場は主レンズ1aおよび補助レンズ1b,1c
の磁場を重ね合わせたものである。図1(a)では、補
助レンズ1b,1cは励磁電流=0であって電磁レンズ
1の場は主レンズ1aの場のみからなり、7を電磁レン
ズ1の主面(すなわち主レンズ1aの主面)からh1の
距離にある物面側の像とすると、主面から距離h2の位
置に像18aを結像する。一方、図1(b)の場合に
は、主レンズ1aの励磁は図1(a)と同様であるが、
補助レンズ1b,1cには後述するような磁場を与え
る。このとき、電磁レンズ1の主面位置は図1(a)の
場合に比べてΔzだけ上方(z軸に関して負方向)に移
動し、像18bの光軸方向位置は図1(a)に比べてΔ
hだけ上方に結像される。また、電磁レンズ1の主面と
像7および像18bとの距離はそれぞれh4,h5であ
る。
【0013】図1(c),1(d)は電磁レンズ1の主
面の移動および焦点距離の変更を説明する図であり、横
軸は磁場の大きさ、縦軸はz軸である。図1(c)の
2,3は主面の移動を行う際の主レンズおよび補助レン
ズの軸上磁場分布を概念的に示す図である。図1(c)
の分布3で示した補助レンズ1b,1cによる磁場B2
(z)は、分布2で示した主レンズ1aの軸上磁場をB
z(z)とすると、次式(3)で表される。
【数4】 B2(z)=−{dBz(z)/dz}・(−Δz) …(3) ここで、dBz(z)/dzはBz(z)の1階微分であ
る。−Δzは電磁レンズ1の主面の移動距離であり、マ
イナス符号は移動がz軸の負方向であることを示してい
る。図1(a)の場合には、上述したように補助レンズ
1b,1cは励磁電流=0であるので、電磁レンズ1の
軸上磁場分布は図1(c)の主レンズ1aの軸上磁場分
布2となる。一方、図1(d)に示す4は分布2と分布
3とを重ね合わせたときの軸上磁場分布であり、この軸
上磁場分布4は次式(4)となり、
【数5】 Bz(z)+B2(z)=Bz(z)+{dBz(z)/dz}・Δz…(4) 上述したポテンシャル場φ(z)の場合と同様に、Bz
(z+Δz)と近似できる。すなわち、図1(d)に示
す電磁レンズ1の軸上磁場分布4は図1(a)の電磁レ
ンズ1(すなわち主レンズ1a)の軸上磁場分布2と同
一形状をしており、補助レンズ1b,1cを用いて式
(3)で示す磁場B2(z)を加えることによって電磁
レンズ1の主面がz軸負方向にΔzだけ移動する。
【0014】さらに、分布4で示される状態から、主レ
ンズ1aと補助レンズ1b,1cとの間の電流の大きさ
の比を一定に保ったままそれぞれの励磁電流を大きくす
る。このとき、図1(d)に示すように、分布4は主面
位置を一定に保ったまま分布5のように変化する。この
ことは電磁レンズ1の焦点距離を変化させる(短くす
る)ことを意味し、図1(a),1(b)に示すように
主面と像18a、18bとの距離がh2からh5(h2
>h5)へと変化する。
【0015】例えば、像18aが結像されるウエハ(不
図示)の位置がΔhだけ図示上方(−z方向)にずれた
場合には、電磁レンズ1の主面をΔz上方へ移動すると
ともに、ウエハ上に像18bが結像されるように補助レ
ンズ1b,1cの励磁電流を変えて焦点距離を変化させ
る。このとき、倍率が変化しない条件は
【数6】h1:h4=h2:h5 …(5) である。さらに、図1(b)より
【数7】h1+h2=h4+h5+Δh …(6) h5+Δh=h2+Δz …(7) であるから、
【数8】 h5=(h1+h2−Δh)・(h2/(h1+h2)) …(8) h4=h1・h5/h2 …(9) Δz=(h1+h2−Δh)・(h1/(h1+h2)) …(10) となる。
【0016】よって、ウエハがΔhだけ上方に移動した
場合には、式(3)におけるΔzを式(10)のように
設定し、h4およびh5が式(8),(9)を満たすよ
うに主レンズ1aおよび補助レンズ1b,1cの励磁電
流を同じ割合で変化させれば像点が図示上方にΔhだけ
移動するとともに、倍率が変化しない。このように、式
(3)のような磁場を与える補助レンズ1b,1cを設
けることによって、電磁レンズ1の主面の光軸方向移動
と焦点距離の変更とを独立に制御することができる。そ
して、本実施の形態の電磁レンズ1では、従来のように
電磁レンズ1の焦点距離を変えるだけでなく、電磁レン
ズ1の主面位置も変えて焦点調節をしているため、像の
倍率を一定に保つことができる。
【0017】なお、式(3)で表される補助レンズ1
b,1cの磁場B2(z)による像の回転は、回転角を
θとすれば次式(11)で与えられる。
【数9】 ここで、z1,z2はそれぞれ物点,像点のz座標であ
り、kは比例定数である。よって、像7(物点z1)お
よび像18b(像点z2)が図1(c)に示す分布2の
外側、すなわちBz(z)=0となる領域にある限りθ
=0となる。すなわち、補助レンズ1b,1cによって
式(3)で表される磁場を付け加えても、それによって
像の回転が生じることはない。よって、図1(a)の状
態から図1(b)の状態へと電磁レンズ1の励磁を変化
させても、像の回転の変化は主レンズ1aの励磁変化に
のみ依存し、補助レンズ1b,1cの磁場による回転は
生じない。ただし、像7,像18bのいずれかがBz
(z)≠0なる領域にある場合には、像の回転が生じ
る。
【0018】図2は上述した主レンズ1aおよび補助レ
ンズ1b,1cの制御を説明するブロック図であり、1
0a、10b、10cはそれぞれ主レンズ1aおよび補
助レンズ1b,1cを駆動するドライバである。12は
像点の移動量であるΔhが入力される入力装置であり、
このΔhは制御装置11へ送られる。制御装置11はΔ
hに基づいて上述したようなΔz,h4,h5を算出す
るとともに、これらの算出値に基づきドライバ10a〜
10cを制御して電磁レンズ1の主面の移動および焦点
距離の変更を行う。
【0019】−第2の実施の形態− 図3は本発明の電子レンズの第2の実施の形態を説明す
る図であり、対称磁気ダブレット(Symmetric Magnetic
Doublet,以下ではSMDと略す)光学系に適用した例
を示す。24はマスク、25はウエハ、20および21
は互いにSMD対称性を有する電磁レンズであり、電磁
レンズ20,21は図示しないが図1(a)の電磁レン
ズ1と同様にそれぞれ主レンズおよび補助レンズから成
る。図示上方から荷電粒子線がマスク24に照射され、
マスク24を通過した荷電粒子線が電磁レンズ20,2
1によりウエハ25上に投影されることによってマスク
24に形成されたパターンがウエハ25に投影される。
【0020】まず、SMD対称性について説明する。こ
こで、図3(a)に示すように光軸をz軸とし、点26
をz軸の原点とする。図3(a)の状態では補助レンズ
は励磁せず、電磁レンズ20,21の磁場はそれぞれ主
レンズの磁場によって形成される。そして、電磁レンズ
20,21が互いにSMD対称性を有する場合には、電
磁レンズ21の軸上磁場をB4z(z)としたとき、電
磁レンズ20の軸上磁場B3z(z)は次式(12)
【数10】 B3z(z)=−(1/n)・B4z(−z/n) …(12) で表される。nは任意の実数であり、このときのSMD
光学系の倍率は1/nである。電磁レンズ21の焦点距
離をf1とするとSMD対称性から電磁レンズ20の焦
点距離はn・f1となり、マスク24,電磁レンズ20
および21,ウエハ25の配置はそれぞれ原点26に関
して図3(a)に示すような関係にある。すなわち、電
磁レンズ20はマスク−ウエハ間を、
【数11】(n・f1):(n・f1+2f1) に内分する位置に設けられ、電磁レンズ21は
【数12】f1:(2n・f1+f1) に内分する位置に設けられる。
【0021】次いで、電磁レンズ20,21の動作を説
明する。図3(b)は、図3(a)に示すSMD光学系
においてウエハ25の位置が上方(z軸の負方向)にΔ
hずれた場合を示す。この場合には、電磁レンズ20,
21が図3(b)の符号20d,21dで示す状態(主
面位置、焦点距離)となるように、電磁レンズ20,2
1を構成する主レンズおよび補助レンズの励磁が調整さ
れる。状態20d,21dでは、電磁レンズ20d,2
1dはz軸上の点27を原点として互いにSMD対称性
を有しており、焦点距離はそれぞれn・f2,f2であ
る。このとき、f2は次式(13)のようになる。
【数13】 f2=f1−Δh/2(n+1) …(13)
【0022】ここで、電磁レンズ20,21を構成する
主レンズおよび補助レンズの励磁の調整方法について説
明する。図3(a)に示す状態では、各補助レンズは励
磁されず、電磁レンズ20および21の主レンズの軸上
磁場をそれぞれ上述したB3z(z),B4z(z)とす
る。このB3z(z),B4z(z)の間には、点26を
原点として(12)式で表されるSMD条件が成り立っ
ている。一方、図3(b)の状態では、点27を原点と
するz'軸に関して電磁レンズ20,21がSMD条件
を満足している。そのため、電磁レンズ20の状態20
cへの変化は、電磁レンズ20の主面位置をz'軸にお
いて原点27方向(すなわち、z'軸の正方向)にΔz1
=nΔh/2(n+1)だけ移動することを意味する。
一方、電磁レンズ21の状態21cへの変化は、電磁レ
ンズ21の主面位置をz'軸において原点27方向(す
なわち、z'軸の負方向)にΔz2=Δh/2(n+1)
だけ移動することを意味する。
【0023】よって、状態20c,21cでは電磁レン
ズ20,21の軸上磁場が式(14),(15)に示す
B5z(z'),B6z(z')となるように励磁する。
【数14】 B5z(z')=B3z(z')−{dB3z(z')/dz'}・Δz1 …(14) B6z(z')=B4z(z')+{dB4z(z')/dz'}・Δz2 …(15) 式(14),(15)において、第1項は主レンズの磁
場であり、第2項は補助レンズの磁場である。第1の実
施の形態で説明したように、式(15)は次式(16)
のように近似できる。
【数15】 B6z(z')=B4z(z'+Δz2) …(16) 一方、主レンズ同士はSMD条件を満足しているので、
【数16】 B3z(z')=−(1/n)B4z(−z'/n) …(17) が成立し、 dB3z(z')/dz'=−(1/n){dB4z(−z'/n)/dz'} =(1/n)2{dB4z(u)/du}…(18) である。ただし、u=−z'/nとした。式(17),
(18)およびΔz1=nΔz2であることを用いると、
式(14)のB5z(z')は次式(19)のように変形
できる。
【数17】 B5z(z')=−(1/n)[B4z(u)+{dB4z(u)/du}Δz2] =−(1/n)B4z(u+Δz2) =−(1/n)B4z{(−z'/n)+Δz2} =−(1/n)B6z(−z'/n) …(19) すなわち、電磁レンズ20,21の磁場が状態20c,
21cに変化しても、原点27に関してSMD条件が成
立していることが分かる。
【0024】次に、状態20c,21cにある電磁レン
ズ20,21の主レンズの電流と補助レンズの電流の比
を一定に保ったまま、すなわち、f2=f1−Δhとな
るように主レンズおよび補助レンズの励磁電流をそれぞ
れα倍(αは任意の実数)して、電磁レンズ20,21
を状態20c,21cから焦点距離がそれぞれn×f
2,f2の状態20d,21dへ変化させる。この場
合、励磁電流をそれぞれα倍しているので、状態20
d,21dの電磁レンズ20,21はSMD対称性が保
たれる。このようにして、SMD対称性を有する電磁レ
ンズ20,21は、同様にSMD対称性を有する状態2
0d,21dに調整される。
【0025】図4は電磁レンズ20,21の制御を説明
するブロック図であり、図2と同様の図である。図4に
おいて、200aは電磁レンズ20の主レンズであって
200b,200cが補助レンズであり、同様に210
aは電磁レンズ21の主レンズであって210b,21
0cが補助レンズである。13a〜13cはレンズ20
0a〜200cのドライバ、14a〜14cはレンズ2
10a〜210cのドライバ、15は制御装置、16は
入力装置であり、それぞれ図2の対応する要素と同様の
動作を行うので、ここでは説明を省略する。
【0026】上述した実施の形態では電磁レンズ20,
21がSMD対称性を有する場合について説明したが、
電磁レンズ20および21のAT数(アンペア・ターン
数)が等しく電流の向きが互いに逆向きである無回転レ
ンズ系であれば同様のことが成り立つ。すなわち、
(a)無回転レンズ系の電磁レンズ20,21をそれぞ
れ主レンズおよび補助レンズで構成し、補助レンズの磁
場を主レンズの光軸上磁場の光軸方向の1階微分に比例
する場とすることにより、電磁レンズ20,21の主面
位置を移動させ、(b)かつ、電磁レンズ20,21の
主レンズおよび補助レンズの励磁電流の大きさを同じ割
合で変化させることにより、像の回転および倍率を一定
に保ったまま像点の位置を変えることができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、補助レンズにより主レンズが光軸上に形成する
ポテンシャル場φ(z)の1階微分{dφ(z)/d
z}に比例するポテンシャル場を加えることによって電
子レンズの主面位置を変えることができるので、像の倍
率を変化させることなく像点を光軸方向に移動すること
ができる。その結果、フィールドサイズを大きくするこ
とができるため、荷電粒子線露光装置の高スループット
化を図れる。さらに、請求項2〜4の発明によれば、主
レンズの光軸上磁場Bz(z)の1階微分{dBz(z)
/dz}に比例する磁場を補助レンズで形成することに
より、無回転レンズ系を構成する電磁レンズの主面を移
動することができるため、像の倍率変化や回転を生じる
ことなく像点を光軸方向に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁レンズの動作を説明する図であり、(a)
および(b)は電磁レンズによる結像を示し、(c)お
よび(d)は磁場の分布を示す。
【図2】電磁レンズ1の制御を説明するブロック図。
【図3】SMD光学系を説明する図。
【図4】電磁レンズ20,21の制御を説明するブロッ
ク図。
【図5】電磁レンズの励磁を変化させた場合を説明する
図であり、(b)は(a)より励磁が大きい場合を示
す。
【符号の説明】
1,20,21 電磁レンズ 1a,200a,210a 主レンズ 1b,1c,200b,200c,210b,210c
補助レンズ 2〜5 軸上磁場分布 11,15 制御装置 24 マスク 25 ウエハ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子線露光装置等に用いられる電子
    レンズにおいて、 主レンズと、 補助レンズと、 前記主レンズの光軸をz軸としたときに、前記補助レン
    ズによって形成されるポテンシャル場が前記主レンズが
    光軸上に形成するポテンシャル場φ(z)の1階微分
    {dφ(z)/dz}に比例するように前記補助レンズ
    を制御する制御装置とを備えることを特徴とする電子レ
    ンズ。
  2. 【請求項2】 荷電粒子線露光装置等に用いられ、複数
    の電磁レンズから成る無回転レンズ系において、 前記複数の電磁レンズの少なくとも一対の電磁レンズ
    は、それぞれ主レンズおよび補助レンズから成り、前記
    主レンズの光軸をz軸としたときに、前記各主レンズに
    対応する補助レンズによって形成される磁場が、それぞ
    れ対応する主レンズの光軸上磁場Bz(z)の1階微分
    {dBz(z)/dz}に比例するように前記各補助レ
    ンズを制御する制御装置を備えることを特徴とする無回
    転レンズ系。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の無回転レンズ系におい
    て、 前記一対の電磁レンズに含まれる一対の主レンズが対称
    磁気ダブレットを構成することを特徴とする無回転レン
    ズ系。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の無回転レンズ
    系において、 前記制御装置は、前記一対の電磁レンズの焦点距離をそ
    れぞれ変える際に、前記主レンズおよび補助レンズの各
    々の励磁電流の大きさが同一割合で変化するように制御
    することを特徴とする無回転レンズ系。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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