JPH10105946A - 金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents
金属薄膜型磁気記録媒体Info
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- JPH10105946A JPH10105946A JP25431296A JP25431296A JPH10105946A JP H10105946 A JPH10105946 A JP H10105946A JP 25431296 A JP25431296 A JP 25431296A JP 25431296 A JP25431296 A JP 25431296A JP H10105946 A JPH10105946 A JP H10105946A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高保磁力化と、非線形波形干渉の低減による
低ノイズ化を同時に達成できる金属薄膜型磁気記録媒体
を提供する。 【解決手段】 媒体基板とCr下地層の間に、Feを3
6〜48原子%、残部実質的にCrからなる結晶質合金
のシード層を形成する。
低ノイズ化を同時に達成できる金属薄膜型磁気記録媒体
を提供する。 【解決手段】 媒体基板とCr下地層の間に、Feを3
6〜48原子%、残部実質的にCrからなる結晶質合金
のシード層を形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク等
の磁気ディスク装置に使用される磁気記録媒体に関し、
より具体的には、保磁力及び記録再生特性にすぐれた金
属薄膜型磁気記録媒体に関するものである。
の磁気ディスク装置に使用される磁気記録媒体に関し、
より具体的には、保磁力及び記録再生特性にすぐれた金
属薄膜型磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハードディスクに用いられる金属薄膜型
磁気記録媒体は、一般に図6に示す如く、Al合金から
なる非磁性のサブストレート(21)上に非晶質のNiP層
(22)が形成された媒体基板(2)に、実質的にCrからな
る下地層(4)、Co合金の磁性層(5)、カーボン等の保護
膜(6)を順次積層成膜して形成されている。
磁気記録媒体は、一般に図6に示す如く、Al合金から
なる非磁性のサブストレート(21)上に非晶質のNiP層
(22)が形成された媒体基板(2)に、実質的にCrからな
る下地層(4)、Co合金の磁性層(5)、カーボン等の保護
膜(6)を順次積層成膜して形成されている。
【0003】金属薄膜型磁気記録媒体には、記録密度、
即ち線記録密度とトラック密度の向上が望まれている。
しかしながら、線記録密度を向上させると、線形等価に
よって除去できない非線形な波形干渉が生じ、記録分解
能の劣化の原因となる。この非線形波形干渉は、円周方
向の磁気的異方性が大きくなるほど増大する傾向にあ
る。トラック密度の向上には、トラック全体に占めるト
ラックエッジでの媒体ノイズの低減が非常に重要とな
る。トラックエッジでの媒体ノイズの増加は、円周方向
の磁気的異方性に起因する。
即ち線記録密度とトラック密度の向上が望まれている。
しかしながら、線記録密度を向上させると、線形等価に
よって除去できない非線形な波形干渉が生じ、記録分解
能の劣化の原因となる。この非線形波形干渉は、円周方
向の磁気的異方性が大きくなるほど増大する傾向にあ
る。トラック密度の向上には、トラック全体に占めるト
ラックエッジでの媒体ノイズの低減が非常に重要とな
る。トラックエッジでの媒体ノイズの増加は、円周方向
の磁気的異方性に起因する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】媒体基板の表面には、
ヘッドと媒体との間の摩擦を軽減するために、テキスチ
ャーと呼ばれる微細な凹凸が円周方向に形成されること
が多い。このテキスチャーはCo合金磁性層の周方向の
磁気的異方性を高めることになるため、保磁力の向上に
対しても有効であることが知られている。しかしなが
ら、円周方向の磁気異方性の向上は、上述のとおり、媒
体ノイズの増加に繋がる。非線形波形干渉を軽減し、か
つ媒体ノイズの増加を防ぐために、円周方向のテキスチ
ャーを施さずに、媒体基板の表面に超平滑加工を施した
金属薄膜型磁気記録媒体もある。しかしながら、テキス
チャーの形成を省略すると、磁性層の磁気的異方性はな
くなるが、所望レベルの保磁力を得られない不都合があ
る。保磁力を向上には、磁性層のCo合金にPtを添加
することが有効であるが、Ptの添加はスパッタリング
装置のターゲットが高価になること、さらに媒体ノイズ
が大きくなる問題がある。本発明の目的は、高保磁力化
と媒体ノイズの低減を同時に達成できる金属薄膜型磁気
記録媒体を提供することである。
ヘッドと媒体との間の摩擦を軽減するために、テキスチ
ャーと呼ばれる微細な凹凸が円周方向に形成されること
が多い。このテキスチャーはCo合金磁性層の周方向の
磁気的異方性を高めることになるため、保磁力の向上に
対しても有効であることが知られている。しかしなが
ら、円周方向の磁気異方性の向上は、上述のとおり、媒
体ノイズの増加に繋がる。非線形波形干渉を軽減し、か
つ媒体ノイズの増加を防ぐために、円周方向のテキスチ
ャーを施さずに、媒体基板の表面に超平滑加工を施した
金属薄膜型磁気記録媒体もある。しかしながら、テキス
チャーの形成を省略すると、磁性層の磁気的異方性はな
くなるが、所望レベルの保磁力を得られない不都合があ
る。保磁力を向上には、磁性層のCo合金にPtを添加
することが有効であるが、Ptの添加はスパッタリング
装置のターゲットが高価になること、さらに媒体ノイズ
が大きくなる問題がある。本発明の目的は、高保磁力化
と媒体ノイズの低減を同時に達成できる金属薄膜型磁気
記録媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体は、媒体基板と下
地層の間に、Feを36〜48原子%、残部実質的にC
rからなる結晶質合金のシード層を形成するものであ
る。
に、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体は、媒体基板と下
地層の間に、Feを36〜48原子%、残部実質的にC
rからなる結晶質合金のシード層を形成するものであ
る。
【0006】
【作用】結晶質Cr−Feのシード層を形成することに
より、その上に成膜されるCr下地層の主たる結晶配向
である(211)配向が向上し、ひいては該下地層の上に
成膜されるCo合金磁性層の主たる結晶配向である(1
00)配向が向上する。また、Cr下地層の結晶が微細
化され、ひいてはCo合金磁性層の結晶が微細化され
る。このように、Co合金磁性層の結晶配向が向上し、
結晶が微細化されることにより、磁気記録媒体の高保磁
力化と媒体ノイズの低減化が同時に達成される。
より、その上に成膜されるCr下地層の主たる結晶配向
である(211)配向が向上し、ひいては該下地層の上に
成膜されるCo合金磁性層の主たる結晶配向である(1
00)配向が向上する。また、Cr下地層の結晶が微細
化され、ひいてはCo合金磁性層の結晶が微細化され
る。このように、Co合金磁性層の結晶配向が向上し、
結晶が微細化されることにより、磁気記録媒体の高保磁
力化と媒体ノイズの低減化が同時に達成される。
【0007】Crを主体とするシード層の中に適量のF
eを含有すると、磁気記録媒体の高保磁力化に有効であ
る。このため、シード層にはFeを36〜48原子%含
有させるものとし、38〜46原子%がより望ましい。
eを含有すると、磁気記録媒体の高保磁力化に有効であ
る。このため、シード層にはFeを36〜48原子%含
有させるものとし、38〜46原子%がより望ましい。
【0008】媒体基板にテキスチャーを施した場合であ
っても、Cr下地層との間に上述の結晶質シード層を設
けたことにより、磁性層の磁気的異方性は低減される。
従って、磁気的異方性に起因する媒体ノイズの増加は抑
制され、かつ非線形波形干渉を低減することができる。
っても、Cr下地層との間に上述の結晶質シード層を設
けたことにより、磁性層の磁気的異方性は低減される。
従って、磁気的異方性に起因する媒体ノイズの増加は抑
制され、かつ非線形波形干渉を低減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の金属薄膜型磁気
記録媒体(1)の部分断面図を示している。本発明の記録
媒体(1)は、Al合金またはガラスからなるサブストレ
ート(21)にNiP層(22)を形成した媒体基板(2)上に、
結晶質シード層(3)を形成し、シード層(3)の上に、下地
層(4)、磁性層(5)及び保護膜(6)を、この順序で積層成
膜している。図1では、NiP層(22)、シード層(3)、
下地層(4)、磁性層(5)及び保護膜(6)がサブストレート
(21)に関して対称に成膜されており、両面で書込み/読
出しを行なえる構成としているが、各層を片面にのみ成
膜して、片面のみで書込み/読出しを行なう構成とする
こともできる。
記録媒体(1)の部分断面図を示している。本発明の記録
媒体(1)は、Al合金またはガラスからなるサブストレ
ート(21)にNiP層(22)を形成した媒体基板(2)上に、
結晶質シード層(3)を形成し、シード層(3)の上に、下地
層(4)、磁性層(5)及び保護膜(6)を、この順序で積層成
膜している。図1では、NiP層(22)、シード層(3)、
下地層(4)、磁性層(5)及び保護膜(6)がサブストレート
(21)に関して対称に成膜されており、両面で書込み/読
出しを行なえる構成としているが、各層を片面にのみ成
膜して、片面のみで書込み/読出しを行なう構成とする
こともできる。
【0010】媒体基板(2)のサブストレート(21)の材
料としてAl合金を使用する場合、通常、サブストレー
ト(21)の剛性確保と、下地層の結晶配向性向上のために
非晶質のNiP層(22)が成膜されるため、シード層(3)
はNiP層(22)の上に形成する。NiP層(22)を形成
した媒体基板(2)は、ヘッドと媒体との間の摩擦を軽減
するために、円周方向にテキスチャーを施してもよい。
一方、ヘッドの低浮上化のために磁気記録媒体(1)に平
坦度が要求される場合には、スーパーフィニッシュ加工
を施して表面を超平滑化させることができる。
料としてAl合金を使用する場合、通常、サブストレー
ト(21)の剛性確保と、下地層の結晶配向性向上のために
非晶質のNiP層(22)が成膜されるため、シード層(3)
はNiP層(22)の上に形成する。NiP層(22)を形成
した媒体基板(2)は、ヘッドと媒体との間の摩擦を軽減
するために、円周方向にテキスチャーを施してもよい。
一方、ヘッドの低浮上化のために磁気記録媒体(1)に平
坦度が要求される場合には、スーパーフィニッシュ加工
を施して表面を超平滑化させることができる。
【0011】なお、媒体基板(2)のサブストレート(21)
の材料としてガラスを使用する場合、ガラスは剛性に優
れることから、NiP層(22)の形成が省略されることが
ある。この場合、シード層(3)はサブストレート(21)の
上に直接形成する(図2参照)。ガラスを使用する場合で
も、NiP層(22)を成膜することがあるが、この場合
は、前記したAl合金のサブストレートの場合と同様、
NiP層(22)の上にシード層(3)を形成する。
の材料としてガラスを使用する場合、ガラスは剛性に優
れることから、NiP層(22)の形成が省略されることが
ある。この場合、シード層(3)はサブストレート(21)の
上に直接形成する(図2参照)。ガラスを使用する場合で
も、NiP層(22)を成膜することがあるが、この場合
は、前記したAl合金のサブストレートの場合と同様、
NiP層(22)の上にシード層(3)を形成する。
【0012】結晶質合金のシード層(3)の形成は、公知
のDCスパッタリング法、メッキ法又は真空蒸着法等に
より行なうことができる。シード層(3)の厚さは約10
0〜1000Åが望ましい。シード層(3)の厚さが薄す
ぎるとシード層(3)の効果が十分に発揮されず、あまり
厚くなりすぎると、その上に形成されるCr下地層(4)
及びCo合金磁性層(5)の粒子の粗大化を招き、ノイズ
が増大するおそれがあるからである。
のDCスパッタリング法、メッキ法又は真空蒸着法等に
より行なうことができる。シード層(3)の厚さは約10
0〜1000Åが望ましい。シード層(3)の厚さが薄す
ぎるとシード層(3)の効果が十分に発揮されず、あまり
厚くなりすぎると、その上に形成されるCr下地層(4)
及びCo合金磁性層(5)の粒子の粗大化を招き、ノイズ
が増大するおそれがあるからである。
【0013】また、シード層(3)の上に成膜されるCr
下地層(4)の厚さは、200〜1000Åが望ましく、
400〜800Åがより望ましい。これは、下地層(4)
の層厚を約800Åより厚くしても、磁気記録媒体(1)
の保磁力のさらなる向上は期待できないためであり、1
000Åよりも厚くすると、その上に形成されるCo合
金磁性層(5)の粒子の粗大化を招き、ノイズが増大する
おそれがあるためである。下地層(4)は、公知の如く、
実質的にCrから形成する。実質的にCrとは、必ずし
も100%Crである必要はなく、Crを約95原子%
以上含有しておればよい。磁性層(5)は、Coを主成分
とする公知のCo合金から形成する。
下地層(4)の厚さは、200〜1000Åが望ましく、
400〜800Åがより望ましい。これは、下地層(4)
の層厚を約800Åより厚くしても、磁気記録媒体(1)
の保磁力のさらなる向上は期待できないためであり、1
000Åよりも厚くすると、その上に形成されるCo合
金磁性層(5)の粒子の粗大化を招き、ノイズが増大する
おそれがあるためである。下地層(4)は、公知の如く、
実質的にCrから形成する。実質的にCrとは、必ずし
も100%Crである必要はなく、Crを約95原子%
以上含有しておればよい。磁性層(5)は、Coを主成分
とする公知のCo合金から形成する。
【0014】NiP層(22)、下地層(4)、磁性層(5)及び
保護膜(6)の形成は、公知の如く、DCスパッタリング
法、メッキ法又は真空蒸着法等の方法により行なうこと
ができる。
保護膜(6)の形成は、公知の如く、DCスパッタリング
法、メッキ法又は真空蒸着法等の方法により行なうこと
ができる。
【0015】なお、下地層(4)をシード層(3)の上に成膜
する際、Cr下地層(4)を所望の結晶配向とするため
に、シード層(3)及びNiP層(22)を赤外線ヒーター等
によって約250〜300℃に加熱した状態で実施する
ことが望ましい。
する際、Cr下地層(4)を所望の結晶配向とするため
に、シード層(3)及びNiP層(22)を赤外線ヒーター等
によって約250〜300℃に加熱した状態で実施する
ことが望ましい。
【0016】
【実施例】実施例1 この実施例は、結晶質シード層の上に形成される下地層
の厚さを変えて、保磁力(Hc)及びOR(orientation r
atio)との関係を調べるものであり、下記条件でDCス
パッタリング装置を用いて各層を順に成膜した。また、
比較のためシード層を具えない磁気記録媒体も同様の方
法で作製した。 ・媒体基板 サブストレート:Al合金製(3.5inch−31.5mil) NiP層 :厚さ10μm 表面処理 :円周方向の機械的テキスチャー 粗さ :Ra=28Å ・シード層 組成:Fe40原子%、残部実質的にCr 成膜時の雰囲気:Arガス 厚さ:400Å 組織:結晶質
の厚さを変えて、保磁力(Hc)及びOR(orientation r
atio)との関係を調べるものであり、下記条件でDCス
パッタリング装置を用いて各層を順に成膜した。また、
比較のためシード層を具えない磁気記録媒体も同様の方
法で作製した。 ・媒体基板 サブストレート:Al合金製(3.5inch−31.5mil) NiP層 :厚さ10μm 表面処理 :円周方向の機械的テキスチャー 粗さ :Ra=28Å ・シード層 組成:Fe40原子%、残部実質的にCr 成膜時の雰囲気:Arガス 厚さ:400Å 組織:結晶質
【0017】・下地層 組成:実質的にCr 厚さ:300Å、400Å、600Å、800Å、10
00Åの5種 成膜時の基板加熱温度:260℃ 成膜時のバイアス電圧:−200V ・磁性層 組成:原子%にて、Cr10.5%、Ta6%、残部実
質的にCo 厚さ:400Å 成膜時のバイアス電圧:−200V ・保護膜 厚さ:120Å 組成:実質的にC
00Åの5種 成膜時の基板加熱温度:260℃ 成膜時のバイアス電圧:−200V ・磁性層 組成:原子%にて、Cr10.5%、Ta6%、残部実
質的にCo 厚さ:400Å 成膜時のバイアス電圧:−200V ・保護膜 厚さ:120Å 組成:実質的にC
【0018】上記各磁気記録媒体の保磁力Hcの測定結
果を図3に示す。図3を参照すると、結晶質シード層を
設けた磁気記録媒体は、シード層なしの磁気記録媒体よ
りも高い保磁力を示している。このように磁気記録媒体
の保磁力Hcが向上したのは、結晶質合金のシード層の
存在により、Cr下地層とCo磁性層の結晶配向性が高
まり、且つそれらの結晶がより微細化したものと考えら
れる。
果を図3に示す。図3を参照すると、結晶質シード層を
設けた磁気記録媒体は、シード層なしの磁気記録媒体よ
りも高い保磁力を示している。このように磁気記録媒体
の保磁力Hcが向上したのは、結晶質合金のシード層の
存在により、Cr下地層とCo磁性層の結晶配向性が高
まり、且つそれらの結晶がより微細化したものと考えら
れる。
【0019】次に、各磁気記録媒体のORを測定した。
ORとは、金属薄膜型磁気記録媒体の円周方向の保磁力
と半径方向の保磁力の比(円周方向の保磁力/半径方向
の保磁力)を表わし、ORが1に近いほど、周方向への
磁気的異方性の影響は制御されていることを意味し、磁
気記録媒体のサイドフリンジは小さく、また媒体ノイズ
も小さくなる。結果を図4に示す。図4を参照すると、
シード層なしの磁気記録媒体のORが約1.4〜1.5で
あるのに対し、結晶質合金のシード層を設けた磁気記録
媒体のORは、約1〜1.1と極めて1に近くなってい
ることがわかる。つまり、結晶質シード層を設けること
により、周方向への磁気的異方性の影響が制御され、磁
気記録媒体のサイドフリンジが小さく、また媒体ノイズ
の小さい磁気記録媒体を得ることができる。
ORとは、金属薄膜型磁気記録媒体の円周方向の保磁力
と半径方向の保磁力の比(円周方向の保磁力/半径方向
の保磁力)を表わし、ORが1に近いほど、周方向への
磁気的異方性の影響は制御されていることを意味し、磁
気記録媒体のサイドフリンジは小さく、また媒体ノイズ
も小さくなる。結果を図4に示す。図4を参照すると、
シード層なしの磁気記録媒体のORが約1.4〜1.5で
あるのに対し、結晶質合金のシード層を設けた磁気記録
媒体のORは、約1〜1.1と極めて1に近くなってい
ることがわかる。つまり、結晶質シード層を設けること
により、周方向への磁気的異方性の影響が制御され、磁
気記録媒体のサイドフリンジが小さく、また媒体ノイズ
の小さい磁気記録媒体を得ることができる。
【0020】実施例2 この実施例は、記録再生特性を調べるものである。測定
には、実施例1で作製された各磁気記録媒体と、実施例
1と同様の方法で、Fe46原子%、残部実質的にCr
である結晶質シード層を形成した磁気記録媒体を用い
た。測定には、Cr下地層の厚さが600Åである磁気
記録媒体を用いた。なお、磁気特性が異なると記録再生
特性も異なるため、磁気記録媒体は、Br・δが約24
0Gμとなるように調整し、各媒体の保磁力Hcが約2
100Oeとなるように磁性層の成膜時のバイアス電圧
及び基板温度を変えて作製した。記録再生特性の測定
は、Silmag社製のPHSヘッドを用いて行なっ
た。測定結果を表2に示す。
には、実施例1で作製された各磁気記録媒体と、実施例
1と同様の方法で、Fe46原子%、残部実質的にCr
である結晶質シード層を形成した磁気記録媒体を用い
た。測定には、Cr下地層の厚さが600Åである磁気
記録媒体を用いた。なお、磁気特性が異なると記録再生
特性も異なるため、磁気記録媒体は、Br・δが約24
0Gμとなるように調整し、各媒体の保磁力Hcが約2
100Oeとなるように磁性層の成膜時のバイアス電圧
及び基板温度を変えて作製した。記録再生特性の測定
は、Silmag社製のPHSヘッドを用いて行なっ
た。測定結果を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1中、SNmは媒体ノイズと信号強度と
の比、Nmは媒体のノイズを表わす。NLTSは、Non
Linear Transition Shiftの略語で、既に書き込まれた
記録パターン上の漏洩磁場がヘッドの記録磁界に影響を
及ぼした結果、次にディスクに書き込まれる磁化遷移領
域の位置がずれる量を表わしている。表1の記録再生特
性結果を参照すると、SNm、Nm、NLTSの全ての
特性に関して、結晶質合金のシード層を設けた磁気記録
媒体は、シード層なしの磁気記録媒体よりもすぐれてお
り、記録再生特性が改善されていることを示している。
の比、Nmは媒体のノイズを表わす。NLTSは、Non
Linear Transition Shiftの略語で、既に書き込まれた
記録パターン上の漏洩磁場がヘッドの記録磁界に影響を
及ぼした結果、次にディスクに書き込まれる磁化遷移領
域の位置がずれる量を表わしている。表1の記録再生特
性結果を参照すると、SNm、Nm、NLTSの全ての
特性に関して、結晶質合金のシード層を設けた磁気記録
媒体は、シード層なしの磁気記録媒体よりもすぐれてお
り、記録再生特性が改善されていることを示している。
【0023】実施例3 実施例1で得られたCr60Fe40の結晶質シード層を有
する磁気記録媒体についてX線回析を行ない、結晶配向
を調べた。測定結果を図5に示す。なお、図5中、縦軸
の強さを示す数値は任意目盛(arbitrary unit)である。
図5を参照すると、Cr−Feのピークが観察されるこ
とから、シード層を構成するCr−Feは、結晶質であ
ることがわかる。また、結晶配向が(211)であるCr
下地層と、結晶配向が(100)であるCo磁性層が夫々
確認されることから、各層が微細化され、面内保磁力が
高められていることがわかる。
する磁気記録媒体についてX線回析を行ない、結晶配向
を調べた。測定結果を図5に示す。なお、図5中、縦軸
の強さを示す数値は任意目盛(arbitrary unit)である。
図5を参照すると、Cr−Feのピークが観察されるこ
とから、シード層を構成するCr−Feは、結晶質であ
ることがわかる。また、結晶配向が(211)であるCr
下地層と、結晶配向が(100)であるCo磁性層が夫々
確認されることから、各層が微細化され、面内保磁力が
高められていることがわかる。
【0024】
【発明の効果】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体は、媒
体基板と下地層の間に、上記組成の結晶質シード層を形
成したことにより、従来の磁気記録媒体に比べて高保磁
力でありながら、周方向への磁気的異方性の影響を制御
することができるので、磁性層の周方向の磁気的異方性
が低減され、非線形波形干渉を低減することができ、媒
体ノイズの低減等の記録再生特性の改善を達成でき、記
録密度の向上に対応することができる。
体基板と下地層の間に、上記組成の結晶質シード層を形
成したことにより、従来の磁気記録媒体に比べて高保磁
力でありながら、周方向への磁気的異方性の影響を制御
することができるので、磁性層の周方向の磁気的異方性
が低減され、非線形波形干渉を低減することができ、媒
体ノイズの低減等の記録再生特性の改善を達成でき、記
録密度の向上に対応することができる。
【図1】結晶質シード層を形成した金属薄膜型磁気記録
媒体の部分断面図である。
媒体の部分断面図である。
【図2】ガラス基板に直接結晶質シード層を形成した金
属薄膜型磁気記録媒体の部分断面図である。
属薄膜型磁気記録媒体の部分断面図である。
【図3】シード層の厚さと保磁力Hcとの関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図4】シード層の厚さとORとの関係を示すグラフで
ある。
ある。
【図5】本発明の磁気記録媒体のX線回析結果を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図6】従来の金属薄膜型磁気記録媒体の部分断面図で
ある。
ある。
(1) 金属薄膜型磁気記録媒体 (2) 媒体基板 (3) 結晶質シード層 (4) 下地層 (5) 磁性層 (6) 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 誠 大阪府大阪市浪速区敷津東1丁目2番47号 株式会社クボタ内
Claims (1)
- 【請求項1】 非磁性の媒体基板上に、下地層、磁性層
及び保護膜を順次積層成膜してなる金属薄膜型磁気記録
媒体において、媒体基板と下地層の間に、Feを36〜
48原子%、残部実質的にCrからなる結晶質合金のシ
ード層を形成したことを特徴とする金属薄膜型磁気記録
媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25431296A JPH10105946A (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 金属薄膜型磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25431296A JPH10105946A (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 金属薄膜型磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10105946A true JPH10105946A (ja) | 1998-04-24 |
Family
ID=17263254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25431296A Withdrawn JPH10105946A (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 金属薄膜型磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10105946A (ja) |
-
1996
- 1996-09-26 JP JP25431296A patent/JPH10105946A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20031202 |