JPH09180150A - 金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

金属薄膜型磁気記録媒体

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JPH09180150A
JPH09180150A JP23612896A JP23612896A JPH09180150A JP H09180150 A JPH09180150 A JP H09180150A JP 23612896 A JP23612896 A JP 23612896A JP 23612896 A JP23612896 A JP 23612896A JP H09180150 A JPH09180150 A JP H09180150A
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JP23612896A
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Yoshinobu Okumura
善信 奥村
Masahiko Yasui
雅彦 安井
Ken Akita
憲 秋田
Makoto Maeda
誠 前田
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高保磁力化と媒体ノイズの低減を同時に達成
することができる金属薄膜型磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 媒体基板とCr下地層との間にCr−N
i合金のアモルファス状のシード層を形成する。アモル
ファス状のシード層を形成するCr−Ni合金として、
原子%にて、Ni:30〜60%、W、Mo、Ta、N
bのうち少なくとも一種を合計量で4〜10%、残部実
質的にCrからなる合金、または、Ni:30〜60
%、N:20%以下、残部実質的にCrからなる合金、
または、Ni:30〜60%、N:20%以下、W、M
o、Ta、Nbのうち少なくとも一種を合計量で10%
以下、残部実質的にCrからなる合金を挙げることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク等
の磁気ディスク装置に使用される磁気記録媒体に関し、
より具体的には、磁気特性及び記録再生特性に優れた金
属薄膜型磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハードディスクに用いられる金属薄膜型
磁気記録媒体(1)は、一般に図7に示す如く、Al合金
からなる非磁性のサブストレート(21)上に非晶質のNi
P層(22)が形成された媒体基板(2)に、実質的にCrか
らなる下地層(4)、Co合金等からなる磁性層(5)、カー
ボン等の保護膜(6)を順に成膜積層して形成されてい
る。金属薄膜型磁気記録媒体には、記録密度、即ち線記
録密度とトラック密度の向上と、記録分解能の向上が望
まれており、これらを高めるために、磁気特性の向上
(特に高保磁力化)と、記録再生特性の向上(特に低ノイ
ズ化)が要請されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体の線記録
密度を向上させると、線形等価によって除去できない非
線形な波形干渉が生じ、記録分解能の劣化の原因とな
る。この非線形波形干渉は、円周方向の磁気的異方性が
大きくなるほど増大する傾向にある。トラック密度の向
上には、トラック全体に占めるトラックエッジでの媒体
ノイズ低減が非常に重要となる。トラックエッジでの媒
体ノイズの増加は、円周方向の磁気的異方性に起因す
る。また、磁気記録媒体に構造的な工夫をこらすことに
より保磁力を向上させる手段として、媒体基板の表面に
テキスチャーが施されることがある。このテキスチャー
は、ラッピングテープや遊離砥粒により、NiP層の円
周方向にRa50〜100Åの面粗度の微小な凹凸を形
成するものである。NiP層にテキスチャーが施される
と、Co合金磁性層の周方向の磁気的異方性を高めるこ
とができるため、保磁力の向上に有効である。しかしな
がら、円周方向の磁気的異方性の向上は、上述のとお
り、媒体ノイズの増加に繋がる。テキスチャーによる微
小な凹凸は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの摩擦の軽減
にも有効である。しかしながら、テキスチャー処理によ
り媒体基板表面に異常突起が形成されたり、媒体基板の
平坦度が悪化することがあり、ヘッドと磁気記録媒体と
の接触を避けるためにヘッドの浮上量を大きくせねばな
らず、グライド特性が悪化し、記録密度の低下を招くこ
とがある。また、テキスチャー処理によりスクラッチ等
が形成されて、エラー発生の原因となることがある。こ
のため最近では、要求される面粗度は小さくなる傾向に
あり、基板に起因するエラー欠陥の減少、低浮上域での
ヘッドの安定的走行、及び媒体基板の平坦度を向上させ
るために、媒体基板にスーパーフィニッシュ加工を施し
た超平滑媒体基板の要請もある。しかしながら、テキス
チャーの形成を省略すると、磁性層の円周方向の磁気的
異方性はなくなるが、所望の保磁力を得られない不都合
がある。保磁力の向上には、磁性層のCo合金にPtを
添加することが有効であるが、Ptの添加はスパッタリ
ング装置のターゲットが高価になること、さらに媒体ノ
イズが大きくなる問題がある。
【0004】本発明の目的は、高保磁力化と媒体ノイズ
の低減を同時に達成することができる金属薄膜型磁気記
録媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体は、媒体基板とC
r下地層との間にCr−Ni合金(CrとNiを主体的
に含有する合金)のアモルファス状のシード層を形成す
るものである。
【0006】アモルファス状のシード層を構成するCr
−Ni合金として、原子%にて、Ni:30〜60%、
W、Mo、Ta、Nbのうち少なくとも一種を合計量で
4〜10%、残部実質的にCrからなる合金を挙げるこ
とができる。アモルファス状のシード層は、希ガス(A
rガス等)の雰囲気、又は希ガスとO2ガスとの混合ガス
雰囲気にて、非磁性の媒体基板上に、上記成分のCr−
Ni合金をスパッタリングすることにより形成すること
ができる。該シード層の上には、公知の如く、スパッタ
リング等により、下地層、磁性層及び保護膜を順次成膜
して磁気記録媒体が作製される。
【0007】また、アモルファス状のシード層を構成す
るCr−Ni合金として、原子%にて、Ni:30〜6
0%、N:20%以下、残部実質的にCrからなる合金
を挙げることができる。さらに、原子%にて、Ni:3
0〜60%、N:20%以下、W、Mo、Ta、Nbの
うち少なくとも一種を合計量で10%以下、残部実質的
にCrからなる合金を挙げることができる。アモルファ
ス状のシード層は、希ガス(Arガス等)にN2ガスを加
えた混合ガス雰囲気にて、非磁性の媒体基板上に、Cr
とNiからなる2元合金、またはCrとNiに加えて、
W、Mo、Ta、Nbのうち少なくとも1種をさらに含
む合金をスパッタリングすることにより形成することが
できる。前記成分の合金を、N2ガスを含む混合ガス雰
囲気にてスパッタリングすると、雰囲気中のN2ガスが
スパッタ合金中に取り込まれ、原子状態のNがスパッタ
合金の結晶格子間に侵入し、Nを含むアモルファス状の
Cr−Ni合金のシード層が形成される。なお、ここ
で、「アモルファス状」とは、ガラスのような完全な非
晶質を意味せず、局所的に観察すればナノサイズの微細
結晶組織は存在するが、X線回折的にはハロパターンし
か認められない点においてアモルファス状態であること
をいう。磁気記録媒体は、アモルファス状のシード層の
上に、スパッタリング等により、下地層、磁性層及び保
護膜を順次成膜して作製することができる。
【0008】
【作用】上記組成のアモルファス状のCr−Ni合金の
シード層を媒体基板上に設けることにより、シード層の
上に成膜されるCr下地層の主たる結晶配向である(2
00)配向が向上し、ひいては該下地層の上に成膜され
るCo合金磁性層の主たる結晶配向である(110)配向
が向上する。また、Cr下地層の結晶が微細化され、ひ
いてはCo合金磁性層の結晶が微細化される。このよう
に、Co合金磁性層の結晶配向が向上し、結晶が微細化
されることにより、磁気記録媒体の高保磁力化と媒体ノ
イズの低減化が同時に達成される。
【0009】Crを主体とするシード層の中に適量のN
iを含有すると、磁気記録媒体の高保磁力化の達成に有
効である。このため、シード層にはNiを30〜60原
子%含有させるものとする。W、Mo、Ta、Nbの少
なくとも一種を合計量で4原子%以上含有させることに
より、形成されるCr−Ni合金のシード層をアモルフ
ァス化させることができる、さらに、Co合金磁性層の
主たる結晶配向である(110)配向をさらに向上させ、
また、微細化を促進させる作用を有する。しかし、あま
りに多く含有しても対応する効果が得られないので、上
限は10原子%にする
【0010】Nは、スパッタされるCr−Ni合金の結
晶格子間に侵入することにより、Cr−Ni合金をアモ
ルファス化させる作用があり、磁気記録媒体の高保磁力
化に有効である。従って、スパッタされるCr−Ni合
金に、W、Mo、Ta、Nbが含まれない場合、又は、
Cr−Ni合金に含まれるW、Mo、Ta、Nbの量が
少ない(例えば、合計で4原子%未満)場合には、形成さ
れたシード層中にNが20原子%以下、望ましくは8〜
20原子%含有されるように、シード層形成時の混合ガ
ス中のN2ガス濃度を調節する なお、W、Mo、Ta、Nbの少なくとも一種を合計で
4原子%以上含む場合、Cr−Ni合金は、前述したよ
うにNを全く含まなくともアモルファス化するが、W、
Mo、Ta、Nbの含有はアモルファス状態の安定化に
寄与する。このため、Nを含有させる場合にも、W、M
o、Ta、Nbの少なくとも一種を合計で10原子%以
下含有させてよい。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の金属薄膜型磁気
記録媒体(1)の部分断面図を示しており、Al合金また
はガラスからなるサブストレート(21)にNiP層(22)を
形成した媒体基板(2)上に、シード層(3)、下地層(4)、
磁性層(5)及び保護膜(6)を、この順序で積層成膜してい
る。図1では、NiP層(22)、シード層(3)、下地層
(4)、磁性層(5)及び保護膜(6)がサブストレート(21)に
関して対称に成膜されており、両面で書込み/読出しを
行なえる構成としているが、各層を片面にのみ成膜し
て、片面のみで書込み/読出しを行なう構成とすること
もできる。NiP層(22)を形成した媒体基板(2)では、
ヘッドと媒体との間の摩擦を軽減するために、円周方向
にテキスチャーを施してもよい。一方、ヘッドの低浮上
化のために磁気記録媒体(1)に平坦度が要求される場合
には、スーパーフィニッシュ加工を施して表面を超平滑
化させることができる。
【0012】なお、媒体基板(2)のサブストレート(21)
の材料としてガラスを使用する場合、ガラスは剛性に優
れることから、NiP層(22)の形成が省略されることも
ある。この場合、シード層(3)はサブストレート(21)の
上に直接形成すればよい(図2参照)。
【0013】スパッタされる合金が、原子%にて、N
i:30〜60%、W、Mo、Ta、Nbのうち少なく
とも一種を合計量で4〜10%、残部実質的にCrであ
る場合には、希ガス(Arガス等)の雰囲気下でスパッタ
リングを行なうことにより、アモルファス状のシード層
が形成される。
【0014】また、スパッタされる合金が、原子%に
て、Ni:30〜60%、残部実質的にCrであるCr
−Ni合金、または、Ni:30〜60%、W、Moを
合計量で10%以下、残部実質的にCrであるCr−N
i合金である場合には、希ガス(Arガス等)にN2ガス
を加えた混合ガス雰囲気下で、上記成分のCr−Ni合
金をスパッタリングすることにより、アモルファス状の
シード層が形成される。なお、シード層をアモルファス
状にするため、所定量以上のNを侵入させるには、混合
ガス雰囲気中のN2ガスの濃度は、15体積%以上とす
ることが望ましい。混合ガス雰囲気中のN2ガスの濃度
は、50体積%以下とすることが望ましい。これは、N
2ガスの濃度が50体積%程度のときに、シード層中に
取り込まれるNの量が飽和するためであって、50体積
%よりも多く雰囲気ガス中にN2ガスが含まれていて
も、シード層中にはこれ以上Nが取り込まれ難いからで
ある。
【0015】Cr−Ni合金からなるアモルファス状の
シード層(3)の厚さは約100〜1000Åが望まし
い。アモルファス状のシード層の厚さが薄すぎるとシー
ド層(3)の効果が十分に発揮されず、保磁力の向上は不
十分なものとなるからである。一方、アモルファス状の
シード層(3)の厚さが厚すぎると、その上に形成される
Cr下地層(4)及びCo合金磁性層(5)の粒子の粗大化を
招き、ノイズが増大するおそれがあるからである。な
お、アモルファス状のシード層の厚さは、約200〜8
00Åがより好ましく、約300〜600Åがさらに好
ましい。
【0016】また、シード層(3)の上に成膜されるCr
下地層(4)の厚さは、200〜1000Åが望ましく、
400〜800Åがより望ましい。これは、下地層(4)
の層厚を約800Åより厚くしても、磁気記録媒体(1)
の保磁力のさらなる向上は期待できないためであり、1
000Åよりも厚くすると、その上に形成されるCo合
金磁性層(5)の粒子の粗大化を招き、ノイズが増大する
おそれがあるためである。下地層(4)は、公知のごと
く、実質的にCrから形成する。実質的にCrとは、必
ずしも100%Crである必要はなく、Crを約95原
子%以上含有しておればよい。磁性層(5)は、Coを主
成分とする公知のCo合金から形成する。
【0017】NiP層(22)、下地層(4)、磁性層(5)及び
保護膜(6)の形成は、公知の如く、DCスパッタリング
法、メッキ法又は真空蒸着法等の方法により行なうこと
ができる。
【0018】なお、Cr下地層(4)をCr−Niのアモ
ルファス状のシード層(3)の上に成膜する際、Cr下地
層を所望の結晶配向にするために、アモルファス状のシ
ード層(3)及びNiP層(22)を赤外線ヒータによって約
250〜300℃の温度に加熱した状態で実施してもよ
い。
【0019】
【実施例】実施例1 Cr−Ni合金からなるアモルファス状のシード層の保
磁力向上効果を調べるため、シード層の厚さが異なる供
試磁気ディスクを作製し、夫々の磁気ディスクについて
保磁力を調べた。供試磁気ディスクの作製は下記の超平
滑加工を行なった媒体基板を用い、DCスパッタリング
装置により、CrとNiからなる2元合金のアモルファ
ス状のシード層、下地層、磁性層及び保護膜を成膜形成
した。 ・媒体基板 サブストレート:Al合金製(3.5inch−31.5mi
l) NiP層 :厚さ10μm 平坦度 :5〜6μm(超平滑加工) 粗さ :Ra=10Å ・Cr−Ni合金のアモルファス状シード層 スパッタされる合金の組成:Ni45原子%、Cr残部 層形成時の雰囲気ガス:N215体積%、Ar残部 厚さ:0Å、100Å、200Å、300Å及び500
Åの5種類 ・下地層 組成:実質的にCr 厚さ:600Å 成膜時の基板加熱温度:200℃ 成膜時のバイアス電圧:−200V ・磁性層 組成:原子%にて、Cr13%、Ta6%、Pt4%、
残部実質的にCo 厚さ:250Å 成膜時のバイアス電圧:−200V ・保護膜 厚さ:120Å 組成:実質的にC
【0020】各供試用磁気ディスクについて、保磁力の
測定結果を図3に示す。図3から明らかなように、Cr
−Ni合金のアモルファス状シード層を形成することに
より、保磁力が向上していることがわかる。具体的に
は、シード層の厚さが約100Åで、保磁力が約10%
向上しており、層厚の増大と共に保磁力が向上し、約3
00Åの層厚で保磁力の向上効果はほぼ飽和することが
わかる。
【0021】実施例2 Cr−Ni合金からなるアモルファス状のシード層の記
録再生特性向上効果を調べるために、組成の異なるCr
とNiからなる2元合金をスパッタしたアモルファス状
のシード層を形成した2種類の供試磁気ディスク(本発
明例)と、シード層を設けない供試磁気ディスク(比較
例)を作製した。媒体基板、下地層、磁性層及び保護膜
の構成は実施例1と同じである。スパッタされるCr−
Ni合金の組成、雰囲気、及び形成されたアモルファス
状のシード層の組成は、表1に示されるとおりである。
表1中、供試No.1及びNo.2は本発明例であり、No.3
は比較例である。表1を参照すると、スパッタしたCr
−Ni合金の組成には含まれていないNが、形成された
シード層の組成に含まれていることがわかる。これは、
シード層成膜の際、雰囲気中のN2ガスがCr−Ni合
金の結晶格子間に取り込まれたためである。
【0022】
【表1】
【0023】作製された磁気記録媒体の記録再生特性を
測定した。なお、磁気特性が異なると記録再生特性も異
なるため、本発明例No.1及びNo.2については、表
1に示される如く、磁気特性が比較例No.3とほぼ同
じ性能となるように条件を調整して供試ディスクを作製
している。表1中、Hcは保磁力、Brdは残留磁束密
度、Sは角形比、TAAは出力、SNmは媒体のノイズ
と信号強度の比、Nmは媒体のノイズを示している。供
試No.1及びNo.2の保磁力は、実施例1における層厚3
00Åのデータよりも劣っているが、これは、前述した
ように記録再生特性の性能比較を行なうために、比較例
のレベルまで意図的に低下させた供試ディスクを作製し
たためである。表1の結果から明らかなように、本発明
の供試No.1及びNo.2は、出力、ノイズに対する信号強
度の比、ノイズの全ての記録再生特性に関して、比較例
である供試No.3よりもすぐれていることがわかる。
【0024】実施例3 この実施例は、シード層の組成と、その上に形成される
下地層の厚さを変えて、保磁力(Hc)及びOR(orienta
tion ratio)との関係を調べるものであり、下記条件で
DCスパッタリング装置を用いて各層を順に成膜した。
また、比較のためシード層を具えない磁気記録媒体も同
様の方法で作製した。 ・媒体基板 サブストレート:Al合金製(3.5inch−31.5mil) NiP層 :厚さ10μm 表面処理 :円周方向の機械的テキスチャー 粗さ :Ra=28Å ・シード層 スパッタリングされる合金の組成:表2参照 成膜時の雰囲気:表2参照 厚さ:400Å 組織:アモルファス シード層の組成:表2参照
【0025】
【表2】
【0026】・下地層 組成:実質的にCr 厚さ:300Å、400Å、600Å、800Å、10
00Åの5種 成膜時の基板加熱温度:260℃ 成膜時のバイアス電圧:−200V ・磁性層 組成:原子%にて、Cr10.5%、Ta6%、残部実
質的にCo 厚さ:400Å 成膜時のバイアス電圧:−200V ・保護膜 厚さ:120Å 組成:実質的にC
【0027】まず、表2を参照すると、N2ガスを含む
雰囲気ガス中でスパッタしたCrとNiからなる2元合
金や、W又はMoを含むCr−Ni合金の組成には含ま
れていないNが、形成されたシード層の組成に含まれて
いることがわかる。これは、シード層の成膜の際、雰囲
気中のN2ガスがCr−Ni合金の結晶格子間に取り込
まれたためである。
【0028】上記各磁気記録媒体の保磁力Hcの測定結
果を図4に示す。図4を参照すると、アモルファス状合
金のシード層を設けた磁気記録媒体は、シード層なしの
磁気記録媒体よりも高い保磁力を示している。特に、シ
ード層中にW、またはMoを含有する磁気記録媒体は、
CrとNiからなる2元合金のシード層に比べて、更に
すぐれた保磁力を示している。このように磁気記録媒体
の保磁力Hcが向上したのは、アモルファス状合金のシ
ード層の存在により、Cr下地層とCo磁性層の結晶配
向性が高まり、且つそれらの結晶がより微細化したもの
と考えられる。
【0029】次に、各磁気記録媒体のORを測定した。
ORとは、金属薄膜型磁気記録媒体の円周方向の保磁力
と半径方向の保磁力の比(円周方向の保磁力/半径方向
の保磁力)を表わし、ORが1に近いほど、周方向への
磁気的異方性の影響は制御されていることを意味し、高
記録密度時での磁気記録媒体のサイドフリンジは小さ
く、また媒体ノイズも小さくなる。結果を図5に示す。
図5を参照すると、アモルファス状合金のシード層を設
けた磁気記録媒体は、シード層なしの磁気記録媒体より
もORの値が小さくなっている。特に、シード層中に
W、またはMoを含有する磁気記録媒体は、Cr−Ni
2元合金のシード層に比べて、ORが更に小さくなって
おり、すぐれていることが判る。
【0030】実施例4 この実施例は、実施例2と同様に、記録再生特性を調べ
るものである。測定には、実施例3で作製された各磁気
記録媒体のうち、Cr下地層の厚さが600Åである磁
気記録媒体を用いた。なお、磁気特性が異なると記録再
生特性も異なるため、磁気記録媒体は、Br・δが約2
40Gμとなるように調整し、各媒体の保磁力Hcが約
2200Oeとなるように磁性層の成膜時のバイアス電
圧及び基板温度を変えて作製した。
【0031】記録再生特性の測定は、Silmag社製
のPHSヘッドを用いて行なった。測定結果を表3に示
す。
【0032】
【表3】
【0033】表3中、NLTSは、Non Linear Transit
ion Shiftの略語で、既に書き込まれた記録パターン上
の漏洩磁場がヘッドの記録磁界に影響を及ぼした結果、
次にディスクに書き込まれる磁化遷移領域の位置がずれ
る量を表わしている。表3の記録再生特性結果を参照す
ると、SNm、Nm、NLTSの全ての特性に関して、
アモルファス状合金のシード層を設けた磁気記録媒体
は、シード層なしの磁気記録媒体よりもすぐれており、
記録再生特性が改善されていることを示している。つま
り、媒体基板にテキスチャーを施した場合であっても、
アモルファス状のシード層を設けたことにより、磁性層
の円周方向への磁気的異方性は低減され、これに起因す
る媒体ノイズの増加が抑制され、且つ非線形波形干渉を
低減できることがわかる。
【0034】実施例5 シード層の形成を、ArガスにN2ガスを加えた混合ガ
ス雰囲気と、Arガス単独の雰囲気(N2ガスを含まな
い)中で夫々行ない、得られた磁気記録媒体について、
夫々X線回析を行なった。なお、媒体基板は、NiP層
なしのガラス基板を使用した。媒体基板にスパッタリン
グする合金、雰囲気ガスを表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】測定結果を図6に示す。図6を参照する
と、Arガス100%の雰囲気中で成膜したシード層
は、基板表面に平行な配向面のピークが観察されてお
り、結晶質であることが明らかである。これに対して、
2ガスとArガスの混合ガス雰囲気中で成膜した磁気
記録媒体には、上記のようなピークは観察されず、所謂
ハローパターンが観察され、X線回折的にアモルファス
であることが判る。上記測定結果は、Arガス雰囲気で
Cr60Ni40の組成の合金を媒体基板上にスパッタリン
グすると、形成される合金層は結晶質となることを示し
ている。一方、N2ガスを含む雰囲気中では、N2ガス
が、原子状態のNとなってCr−Ni合金の結晶格子中
に侵入し、合金がアモルファス状態となることを示して
いる。なお、図6中、縦軸の強さを示す数値は任意目盛
(arbitrary unit)である。
【0037】
【発明の効果】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体は、媒
体基板と下地層の間に、上記組成のアモルファス状合金
のシード層を形成したことにより、従来の磁気記録媒体
に比べて高保磁力でありながら、周方向への磁気的異方
性の影響を制御することができるので、磁性層の周方向
の磁気的異方性が低減され、非線形波形干渉を低減する
ことができ、媒体ノイズの低減等の記録再生特性の改善
を達成できる。また、本発明のアモルファス状合金のシ
ード層を、スーパーフィニッシュ加工を施した媒体基板
に形成すると、媒体基板に起因するビットエラー欠陥の
減少及び平坦度の向上を図ることができるから、磁気ヘ
ッド浮上量を可及的に小さくでき、また、グライド特性
を向上させることができ、従来の磁気記録媒体を凌ぐ高
密度記録が可能となる。本発明の金属薄膜型磁気記録媒
体は、高保磁力化、ORの低減及び記録再生特性の向上
を同時に達成することができ、記録密度の向上に対応す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】NiP層の上にアモルファス状合金のシード層
を形成した金属薄膜型磁気記録媒体の部分断面図であ
る。
【図2】ガラス基板の上に直接アモルファス状合金のシ
ード層を形成した金属薄膜型磁気記録媒体の部分断面図
である。
【図3】Cr−Ni合金のアモルファス状シード層の厚
さと保磁力との関係を示すグラフである。
【図4】Cr下地層の厚さと保磁力の関係を示すグラフ
である。
【図5】Cr下地層の厚さとORとの関係を示すグラフ
である。
【図6】N2ガスとArガスの混合ガス雰囲気と、Ar
ガス単独ガス雰囲気で形成されたシード層のX線回析結
果を示すグラフである。
【図7】従来の金属薄膜型磁気記録媒体の部分断面図で
ある。
【符号の説明】
(1) 金属薄膜型磁気記録媒体 (2) 媒体基板 (3) Cr−Ni合金のアモルファス状のシード層 (4) 下地層 (5) 磁性層 (6) 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 誠 大阪府大阪市浪速区敷津東1丁目2番47号 株式会社クボタ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性の媒体基板上に、下地層、磁性層
    及び保護膜を順次積層成膜してなる金属薄膜型磁気記録
    媒体において、媒体基板と下地層の間に、Cr−Ni合
    金のアモルファス状のシード層を形成したことを特徴と
    する金属薄膜型磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 アモルファス状のシード層を構成するC
    r−Ni合金は、原子%にて、Ni:30〜60%、
    W、Mo、Ta、Nbのうち少なくとも一種を合計量で
    4〜10%、残部実質的にCrからなることを特徴とす
    る請求項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 アモルファス状のシード層を構成するC
    r−Ni合金は、原子%にて、Ni:30〜60%、
    N:20%以下、残部実質的にCrからなることを特徴
    とする請求項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 アモルファス状のシード層を構成するC
    r−Ni合金は、原子%にて、Ni:30〜60%、
    N:20%以下、W、Mo、Ta、Nbのうち少なくと
    も一種を合計量で10%以下、残部実質的にCrからな
    ることを特徴とする請求項1に記載の金属薄膜型磁気記
    録媒体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002190108A (ja) * 2000-10-13 2002-07-05 Fuji Electric Co Ltd 磁気記録媒体およびその製造方法
US6692843B2 (en) * 1996-11-05 2004-02-17 Hitachi Global Storage Technologies Japan, Ltd. Magnetic recording medium, method of fabricating magnetic recording medium, and magnetic storage
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CN113328033A (zh) * 2020-02-28 2021-08-31 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 半导体结构及其形成方法

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