JPH1010288A - 鋼製容器及びこの鋼製容器用落し蓋の溶接方法 - Google Patents
鋼製容器及びこの鋼製容器用落し蓋の溶接方法Info
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- JPH1010288A JPH1010288A JP8164530A JP16453096A JPH1010288A JP H1010288 A JPH1010288 A JP H1010288A JP 8164530 A JP8164530 A JP 8164530A JP 16453096 A JP16453096 A JP 16453096A JP H1010288 A JPH1010288 A JP H1010288A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明の課題は、充分な溶接強度が得られる
と共に、溶接作業時の労力及びコストの低減を達成する
ことができる新規な鋼製容器及びその容器蓋の溶接方法
を提供する。 【解決手段】 上記課題を解決するために本発明は、有
底円筒状をした鋼製の厚肉容器本体２と、この厚肉容器
本体２の開口部６に嵌合されてこの開口部６を塞ぐべく
円柱状の落し蓋３とからなる鋼製容器１において、この
落し蓋３の周面と上記開口部６内面との間に筒状の狭開
先を形成し、この開口部６の内面にリング状の棚部８を
形成すると共に、上記落し蓋３の下端周縁部にこの棚部
８に載置するリング状の鍔部９を形成し、さらに、この
鍔部９下面に耐熱性の裏当金１１を備える。
と共に、溶接作業時の労力及びコストの低減を達成する
ことができる新規な鋼製容器及びその容器蓋の溶接方法
を提供する。 【解決手段】 上記課題を解決するために本発明は、有
底円筒状をした鋼製の厚肉容器本体２と、この厚肉容器
本体２の開口部６に嵌合されてこの開口部６を塞ぐべく
円柱状の落し蓋３とからなる鋼製容器１において、この
落し蓋３の周面と上記開口部６内面との間に筒状の狭開
先を形成し、この開口部６の内面にリング状の棚部８を
形成すると共に、上記落し蓋３の下端周縁部にこの棚部
８に載置するリング状の鍔部９を形成し、さらに、この
鍔部９下面に耐熱性の裏当金１１を備える。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は原子炉燃料再処理工
場で発生した高レベル放射性廃棄物等を地層処分する際
に用いられる鋼製容器及びこの鋼製容器用落し蓋の溶接
方法に関するものである。
場で発生した高レベル放射性廃棄物等を地層処分する際
に用いられる鋼製容器及びこの鋼製容器用落し蓋の溶接
方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】一般に、原子力発電所から出た使用済燃
料は、高レベルの放射能を有すると共に再利用可能なウ
ランやプルトニウム等の燃料を含んでいることから、原
子炉燃料再処理工場に送られて再処理されるようになっ
ている。
料は、高レベルの放射能を有すると共に再利用可能なウ
ランやプルトニウム等の燃料を含んでいることから、原
子炉燃料再処理工場に送られて再処理されるようになっ
ている。
【０００３】すなわち、この使用済燃料は、再処理工場
に搬入された後、輸送容器（キャスク）から取り出さ
れ、貯蔵プールで一定期間冷却貯蔵された後、小片にせ
ん断されてから溶解槽へ送られ、ここで硝酸で溶解され
てウランとプルトニウムを含む溶液と、核分裂生成物を
含む溶液に分けられる。このうちウランとプルトニウム
を含む溶液は、さらにウランを含む溶液とプルトニウム
を含む溶液に分けられた後、それぞれ精製されてウラン
を含む溶液は三酸化ウラン粉末に、プルトニウムを含む
溶液は硝酸プルトニウム溶液になり、それぞれ加工され
た後、再び原子炉で燃やす燃料として再利用される。一
方、これら燃料が除去された核分裂生成物を含む高レベ
ル放射性溶液は、廃棄物管理施設に送られ、ここでガラ
ス原料と共に高温で溶かし合わされると共に、ステンレ
ス製の容器（キャニスター）中で固められて、ガラス固
化体として安定化された後、ガラス固化体貯蔵設備等で
一定期間自然冷却される。その後、このようなガラス固
化体などの高レベル放射性廃棄物は、一定期間地上の貯
蔵設備で貯蔵されることによって自然冷却された後、地
下数百ｍの地層の岩盤中に埋設されて地層処分されるよ
うになっている。
に搬入された後、輸送容器（キャスク）から取り出さ
れ、貯蔵プールで一定期間冷却貯蔵された後、小片にせ
ん断されてから溶解槽へ送られ、ここで硝酸で溶解され
てウランとプルトニウムを含む溶液と、核分裂生成物を
含む溶液に分けられる。このうちウランとプルトニウム
を含む溶液は、さらにウランを含む溶液とプルトニウム
を含む溶液に分けられた後、それぞれ精製されてウラン
を含む溶液は三酸化ウラン粉末に、プルトニウムを含む
溶液は硝酸プルトニウム溶液になり、それぞれ加工され
た後、再び原子炉で燃やす燃料として再利用される。一
方、これら燃料が除去された核分裂生成物を含む高レベ
ル放射性溶液は、廃棄物管理施設に送られ、ここでガラ
ス原料と共に高温で溶かし合わされると共に、ステンレ
ス製の容器（キャニスター）中で固められて、ガラス固
化体として安定化された後、ガラス固化体貯蔵設備等で
一定期間自然冷却される。その後、このようなガラス固
化体などの高レベル放射性廃棄物は、一定期間地上の貯
蔵設備で貯蔵されることによって自然冷却された後、地
下数百ｍの地層の岩盤中に埋設されて地層処分されるよ
うになっている。
【０００４】そして、このような高レベル放射性廃棄物
を地層処分するに際しては、地層処分した後に、地震や
地層圧による破損、地下水による腐食等によって放射性
廃棄物が漏れ出さないように万全を期すために、例え
ば、図６に示すように、高さ約２０００ｍｍ、外径１０
５０ｍｍ、肉厚が約３００ｍｍ以上、重量が数十トンの
円柱状をした鋼製（カーボンスチール他）の容器ａ内に
密閉収容されて処分されるようになっている。
を地層処分するに際しては、地層処分した後に、地震や
地層圧による破損、地下水による腐食等によって放射性
廃棄物が漏れ出さないように万全を期すために、例え
ば、図６に示すように、高さ約２０００ｍｍ、外径１０
５０ｍｍ、肉厚が約３００ｍｍ以上、重量が数十トンの
円柱状をした鋼製（カーボンスチール他）の容器ａ内に
密閉収容されて処分されるようになっている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
円柱状の鋼製容器ａに放射性廃棄物を収容するには、図
示するように、先ず、有底円筒形状の厚肉の容器本体ｂ
と、この容器本体ｂと同径の容器蓋ｃを用意し、この容
器本体ｂ内に、放射性廃棄物を閉じ込めたキャニスター
ｄを緩衝材ｅと共に収容した後、この容器本体ｂの開口
部を容器蓋ｃで覆い、しかる後、その接合部に形成され
たドーナツ円盤状の狭開先ｆをＴＩＧ溶接によって積層
して接合することで密閉する方法が考えられている。
円柱状の鋼製容器ａに放射性廃棄物を収容するには、図
示するように、先ず、有底円筒形状の厚肉の容器本体ｂ
と、この容器本体ｂと同径の容器蓋ｃを用意し、この容
器本体ｂ内に、放射性廃棄物を閉じ込めたキャニスター
ｄを緩衝材ｅと共に収容した後、この容器本体ｂの開口
部を容器蓋ｃで覆い、しかる後、その接合部に形成され
たドーナツ円盤状の狭開先ｆをＴＩＧ溶接によって積層
して接合することで密閉する方法が考えられている。
【０００６】しかしながら、このような構造をした鋼製
容器ａ及びその溶接方法では、図７に示すように、溶接
初期において容器本体ｂと容器蓋ｃとの接合面ｇを溶か
し込むようないわゆる裏波溶接を行うと、その熱によっ
て緩衝材ｄを損傷してしまうことから、この接合面ｇに
おける裏波溶接を行うことができないため、充分な溶接
強度を得難いといった不都合が考えられる。また、この
ような胴部における溶接方法では、その狭開先に積層溶
接継手される溶着金属ｈの溶着量が多くなるため、溶接
作業に多くの手間が掛かってしまう上に、溶接コストも
高くなってしまうといった不都合がある。さらに、この
溶接は水平方向へ進行していくことから、溶着金属ｈの
重力への影響も考慮しなければならず、その作業にはあ
る程度の熟練度を要するものであった。尚、この開先を
さらに狭くして開先の断面積を小さくすることも考えら
れるが、そうすると溶接トーチが入り難くなって積層溶
接作業が行えないことから、開先の幅をさらに狭くする
ことは困難である。
容器ａ及びその溶接方法では、図７に示すように、溶接
初期において容器本体ｂと容器蓋ｃとの接合面ｇを溶か
し込むようないわゆる裏波溶接を行うと、その熱によっ
て緩衝材ｄを損傷してしまうことから、この接合面ｇに
おける裏波溶接を行うことができないため、充分な溶接
強度を得難いといった不都合が考えられる。また、この
ような胴部における溶接方法では、その狭開先に積層溶
接継手される溶着金属ｈの溶着量が多くなるため、溶接
作業に多くの手間が掛かってしまう上に、溶接コストも
高くなってしまうといった不都合がある。さらに、この
溶接は水平方向へ進行していくことから、溶着金属ｈの
重力への影響も考慮しなければならず、その作業にはあ
る程度の熟練度を要するものであった。尚、この開先を
さらに狭くして開先の断面積を小さくすることも考えら
れるが、そうすると溶接トーチが入り難くなって積層溶
接作業が行えないことから、開先の幅をさらに狭くする
ことは困難である。
【０００７】そこで、本発明はこのような課題を有効に
解決するために案出されたものであり、その目的は、充
分な溶接強度が得られると共に、溶接作業時の労力及び
コストの低減を達成することができる新規な鋼製容器及
びその容器蓋の溶接方法を提供するものである。
解決するために案出されたものであり、その目的は、充
分な溶接強度が得られると共に、溶接作業時の労力及び
コストの低減を達成することができる新規な鋼製容器及
びその容器蓋の溶接方法を提供するものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、有底円筒状をした鋼製の厚肉容器本体と、
この厚肉容器本体の開口部に嵌合されてこの開口部を塞
ぐべく円柱状の落し蓋とからなる鋼製容器において、こ
の落し蓋の周面と上記開口部内面との間に筒状の狭開先
を形成し、この開口部の内面にリング状の棚部を形成す
ると共に、上記落し蓋の下端周縁部にこの棚部に載置す
るリング状の鍔部を形成し、さらに、この鍔部下面に耐
熱性の裏当金を備えたものである。
に本発明は、有底円筒状をした鋼製の厚肉容器本体と、
この厚肉容器本体の開口部に嵌合されてこの開口部を塞
ぐべく円柱状の落し蓋とからなる鋼製容器において、こ
の落し蓋の周面と上記開口部内面との間に筒状の狭開先
を形成し、この開口部の内面にリング状の棚部を形成す
ると共に、上記落し蓋の下端周縁部にこの棚部に載置す
るリング状の鍔部を形成し、さらに、この鍔部下面に耐
熱性の裏当金を備えたものである。
【０００９】そして、このような構成をした厚肉容器本
体及び落し蓋を用い、この厚肉容器本体の開口部に上記
落し蓋を嵌合し、その鍔部を棚部側に仮溶接した後、そ
の鍔部を上記開口部側に裏波溶接し、しかる後、上記開
先部を溶接することで厚肉容器本体に落し蓋を接合す
る。
体及び落し蓋を用い、この厚肉容器本体の開口部に上記
落し蓋を嵌合し、その鍔部を棚部側に仮溶接した後、そ
の鍔部を上記開口部側に裏波溶接し、しかる後、上記開
先部を溶接することで厚肉容器本体に落し蓋を接合す
る。
【００１０】従って、本発明は上述したような胴部で接
合する方法に比較して、狭開先の断面積を代えることな
く開先全体の容積が減少させることができるため、積層
に溶接に用いる溶着金属の量を大幅に減少することがで
きる。また、上述したように、予め落し蓋の鍔部下面に
耐熱性の裏当金を備えておくことにより、棚部と鍔部と
の接触面を裏波溶接することが可能となり、高い強度の
溶接が行える。さらに、本発明の狭開先は筒状となるこ
とから、積層時には下向き溶接作業となることから作業
時の労力も大幅に軽減することができる。
合する方法に比較して、狭開先の断面積を代えることな
く開先全体の容積が減少させることができるため、積層
に溶接に用いる溶着金属の量を大幅に減少することがで
きる。また、上述したように、予め落し蓋の鍔部下面に
耐熱性の裏当金を備えておくことにより、棚部と鍔部と
の接触面を裏波溶接することが可能となり、高い強度の
溶接が行える。さらに、本発明の狭開先は筒状となるこ
とから、積層時には下向き溶接作業となることから作業
時の労力も大幅に軽減することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施する好適一形
態を説明する。
態を説明する。
【００１２】図１は本発明に係る鋼製容器１の実施の一
形態を示したものである。図示するように、この鋼製容
器１は、肉厚が例えば３００ｍｍの有底円筒状をした鋼
製（カーボンスチール）の厚肉容器本体２と、この厚肉
容器本体２の上部開口部６に嵌合される円柱状をした鋼
製（カーボンスチール）の落し蓋３とから構成されてお
り、これら厚肉容器本体２及び落し蓋３とで区画形成さ
れる内部空間７に、放射性廃棄物を密閉した鋼製のキャ
ニスター４が緩衝材５と共に収容されて密閉されるよう
になっている。
形態を示したものである。図示するように、この鋼製容
器１は、肉厚が例えば３００ｍｍの有底円筒状をした鋼
製（カーボンスチール）の厚肉容器本体２と、この厚肉
容器本体２の上部開口部６に嵌合される円柱状をした鋼
製（カーボンスチール）の落し蓋３とから構成されてお
り、これら厚肉容器本体２及び落し蓋３とで区画形成さ
れる内部空間７に、放射性廃棄物を密閉した鋼製のキャ
ニスター４が緩衝材５と共に収容されて密閉されるよう
になっている。
【００１３】また、図２に示すように、この厚肉容器本
体２の開口部５の内面には、その開口部７の上面から約
３００ｍｍの深さ位置に、リング状の棚部８が形成され
ており、この棚部８に落し蓋３の下端部が載置して内部
空間７への落し蓋３の落下が防止されるようになって
る。すなわち、この落し蓋３の下端部周縁部には、これ
より水平方向に突出したリング状の鍔部９が形成されて
おり、このリング状の鍔部９が上記リング状棚部８の上
面に当接されることで内部空間７への落し蓋３の落下が
防止されるようになっている。尚、この落し蓋３はその
高さが棚部８の深さと略同じく、すなわち約３００ｍｍ
に形成されていることから、この開口部６に落し蓋３を
嵌合した際に、容器本体２の上面と落し蓋３の上面が略
面一となっている。
体２の開口部５の内面には、その開口部７の上面から約
３００ｍｍの深さ位置に、リング状の棚部８が形成され
ており、この棚部８に落し蓋３の下端部が載置して内部
空間７への落し蓋３の落下が防止されるようになって
る。すなわち、この落し蓋３の下端部周縁部には、これ
より水平方向に突出したリング状の鍔部９が形成されて
おり、このリング状の鍔部９が上記リング状棚部８の上
面に当接されることで内部空間７への落し蓋３の落下が
防止されるようになっている。尚、この落し蓋３はその
高さが棚部８の深さと略同じく、すなわち約３００ｍｍ
に形成されていることから、この開口部６に落し蓋３を
嵌合した際に、容器本体２の上面と落し蓋３の上面が略
面一となっている。
【００１４】また、図示するように、この落し蓋３の周
面と開口部７内面との間には、その棚部８を要とする断
面略扇状をした筒状の狭開先１０が形成されており、こ
の狭開先１０内に溶接金属が積層されて両者の継ぎ手が
なされるようになっている。
面と開口部７内面との間には、その棚部８を要とする断
面略扇状をした筒状の狭開先１０が形成されており、こ
の狭開先１０内に溶接金属が積層されて両者の継ぎ手が
なされるようになっている。
【００１５】また、この落し蓋３の下面には耐熱性の裏
当金１１が設けられている。この裏当金１１は、耐熱性
のバッキング材１２（石英系粉末を接着剤で固めたも
の）を落し蓋３の鍔部９の下面に沿ってリング状に配置
すると共に、このリング状バッキング材１２を支持部材
１３で支持したものであり、この鍔部９あるいは棚部８
に加わる溶接熱による、内部空間７内の緩衝材５及びキ
ャニスター４への熱影響を防止するようになっている。
当金１１が設けられている。この裏当金１１は、耐熱性
のバッキング材１２（石英系粉末を接着剤で固めたも
の）を落し蓋３の鍔部９の下面に沿ってリング状に配置
すると共に、このリング状バッキング材１２を支持部材
１３で支持したものであり、この鍔部９あるいは棚部８
に加わる溶接熱による、内部空間７内の緩衝材５及びキ
ャニスター４への熱影響を防止するようになっている。
【００１６】次に、このような構成をした鋼製容器１の
落し蓋３の溶接方法の一例を説明する。先ず、図１に示
すように、容器本体２の内部空間７内に、緩衝材５と共
にキャニスター４を収容した後、電磁石（図示せず）等
を用いて、この開口部６に落し蓋３を降下させて嵌合さ
せる。尚、上述したように、この開口部６内面には棚部
８が形成されていると共に、落し蓋３の下端周縁部には
水平方向に突出した鍔部９が形成されているため、この
鍔部９が棚部８の上面に載置されることで、落し蓋３の
降下がこの棚部８の位置で規制され、その荷重（約４０
０ｋｇ）が内部空間７内のキャニスター４及び緩衝材５
に加わることはない。次に、図２に示すように、この狭
開先内に下向きに溶接トーチ（図示せず）を差し込んだ
後、図３に示すように、鍔部９の先端部と棚部８間をリ
ング状に溶接してこの落し蓋３を棚部８に仮溶接ｓ1 す
る。そして、このような仮溶接が終了したならば、図４
に示すように、この鍔部９を溶接ワイヤ（図示せず）と
共に加熱溶融して棚部８側にいわゆる裏波溶接を施し
て、落し蓋３の下端部を開口部６の内面に溶接する。こ
の時、上述したように、鍔部８の下面には裏当金１１構
成する耐熱性のバッキング材１２が位置していることか
ら、その溶接熱による影響が内部空間７側に及ぶことな
く、良好な裏波溶接が行われる。これによって落し蓋３
と、厚肉容器本体２の初層全周溶接ｓ2 が良好に行わ
れ、高い溶接強度が得られる。
落し蓋３の溶接方法の一例を説明する。先ず、図１に示
すように、容器本体２の内部空間７内に、緩衝材５と共
にキャニスター４を収容した後、電磁石（図示せず）等
を用いて、この開口部６に落し蓋３を降下させて嵌合さ
せる。尚、上述したように、この開口部６内面には棚部
８が形成されていると共に、落し蓋３の下端周縁部には
水平方向に突出した鍔部９が形成されているため、この
鍔部９が棚部８の上面に載置されることで、落し蓋３の
降下がこの棚部８の位置で規制され、その荷重（約４０
０ｋｇ）が内部空間７内のキャニスター４及び緩衝材５
に加わることはない。次に、図２に示すように、この狭
開先内に下向きに溶接トーチ（図示せず）を差し込んだ
後、図３に示すように、鍔部９の先端部と棚部８間をリ
ング状に溶接してこの落し蓋３を棚部８に仮溶接ｓ1 す
る。そして、このような仮溶接が終了したならば、図４
に示すように、この鍔部９を溶接ワイヤ（図示せず）と
共に加熱溶融して棚部８側にいわゆる裏波溶接を施し
て、落し蓋３の下端部を開口部６の内面に溶接する。こ
の時、上述したように、鍔部８の下面には裏当金１１構
成する耐熱性のバッキング材１２が位置していることか
ら、その溶接熱による影響が内部空間７側に及ぶことな
く、良好な裏波溶接が行われる。これによって落し蓋３
と、厚肉容器本体２の初層全周溶接ｓ2 が良好に行わ
れ、高い溶接強度が得られる。
【００１７】そして、このような初層全周溶接が終了し
たならば、同じ溶接トーチ及び溶接ワイヤーを用いてこ
の狭開先下端部から順次積層溶接を行うことで、この狭
開先を埋め合わせることで容器本体への落し蓋の溶接作
業が終了することになる。
たならば、同じ溶接トーチ及び溶接ワイヤーを用いてこ
の狭開先下端部から順次積層溶接を行うことで、この狭
開先を埋め合わせることで容器本体への落し蓋の溶接作
業が終了することになる。
【００１８】このように、本発明は放射性廃棄物を収容
する容器本体の開口部を落し蓋で塞ぎ、この容器本体と
落し蓋との間に下向きの狭開先を形成したことから、上
述したような胴部での溶接方法に比較して、狭開先の断
面積及びその形状を変えることなく狭開先容積を大幅に
減少させることができる。従って、コストの大幅な低減
と溶接作業時間の短縮が達成され、しかも、狭開先に対
して下向き溶接となるため、溶接作業時の労力も大幅に
軽減されることになる。
する容器本体の開口部を落し蓋で塞ぎ、この容器本体と
落し蓋との間に下向きの狭開先を形成したことから、上
述したような胴部での溶接方法に比較して、狭開先の断
面積及びその形状を変えることなく狭開先容積を大幅に
減少させることができる。従って、コストの大幅な低減
と溶接作業時間の短縮が達成され、しかも、狭開先に対
して下向き溶接となるため、溶接作業時の労力も大幅に
軽減されることになる。
【００１９】すなわち、外径、内径、肉厚が同じ鋼製容
器を用いた場合、本発明に掛かる落し蓋継ぎ手方式によ
る狭開先の形状と、従来例に掛かる胴継ぎ手方式による
狭開先の形状は、図５に示すように本発明方式では筒
状、従来方式ではドーナツ板状となる。ここで、鋼製容
器の外径を１０５０ｍｍ、内径を４５０ｍｍ、上下面及
び側面の肉厚をそれぞれ３００ｍｍとし、それぞれの狭
開先の断面形状を、上下辺の長さがそれぞれ１０ｍｍ、
２４ｍｍ、高さ２５６ｍｍの台形と仮定すると、その断
面積ＷA はいずれも同じ断面積（５０．１５ｃｍ2 ）と
なることから、これらの断面積にそれぞれの周長Ｌ1 、
Ｌ2 を掛け合わせることで、それぞれの狭開先の容積Ｗ
C1，ＷC2が求められ、これに積層溶接ワイヤーの比重
（７．８）を掛けることで、それぞれの狭開先に対する
溶着量Ｗg が求められる。
器を用いた場合、本発明に掛かる落し蓋継ぎ手方式によ
る狭開先の形状と、従来例に掛かる胴継ぎ手方式による
狭開先の形状は、図５に示すように本発明方式では筒
状、従来方式ではドーナツ板状となる。ここで、鋼製容
器の外径を１０５０ｍｍ、内径を４５０ｍｍ、上下面及
び側面の肉厚をそれぞれ３００ｍｍとし、それぞれの狭
開先の断面形状を、上下辺の長さがそれぞれ１０ｍｍ、
２４ｍｍ、高さ２５６ｍｍの台形と仮定すると、その断
面積ＷA はいずれも同じ断面積（５０．１５ｃｍ2 ）と
なることから、これらの断面積にそれぞれの周長Ｌ1 、
Ｌ2 を掛け合わせることで、それぞれの狭開先の容積Ｗ
C1，ＷC2が求められ、これに積層溶接ワイヤーの比重
（７．８）を掛けることで、それぞれの狭開先に対する
溶着量Ｗg が求められる。
【００２０】 狭開先の断面積ＷA ＝５０. １５ｃｍ2 ＝１／２( ２．４ｃｍ＋１．０ｃｍ) ×２９．５ｃｍ 本発明狭開先の周長Ｌ1 ＝π×４５ｃｍ〓１４１．３ｃｍ 従来例狭開先の周長Ｌ2 ＝π×７５ｃｍ〓２３５．５ｃｍ 本発明狭開先の溶着量Ｗg1＝ＷC1（ＷA ×Ｌ1 ）×７．８〓５５．３ｋｇ 従来例狭開先の溶着量Ｗg2＝ＷC2（ＷA ×Ｌ2 ）×７．８〓９２．１ｋｇ そして、これらの溶着量Ｗg1，Ｗg2を比較すると、本発
明に必要とされる溶着量は従来例よりも、約４０％以上
も減少することがわかる。
明に必要とされる溶着量は従来例よりも、約４０％以上
も減少することがわかる。
【００２１】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、裏波溶接
を行うことができるため、充分な溶接強度を得ることが
できると共に、開先が容器上面に形成されるため、溶着
量を大幅に減少することが可能となる。従って、溶着の
際のコストの低減と作業時間の大幅な短縮が達成される
上に、狭開先に対して下向き溶接となるため、溶接作業
時の労力も大幅に軽減できる等といった優れた効果を発
揮する。
を行うことができるため、充分な溶接強度を得ることが
できると共に、開先が容器上面に形成されるため、溶着
量を大幅に減少することが可能となる。従って、溶着の
際のコストの低減と作業時間の大幅な短縮が達成される
上に、狭開先に対して下向き溶接となるため、溶接作業
時の労力も大幅に軽減できる等といった優れた効果を発
揮する。
【図１】本発明装置の実施の一形態を示す縦断面図であ
る。
る。
【図２】図１中Ａ部を示す部分拡大図である。
【図３】図２中Ａ部を示す部分拡大図である。
【図４】図２中Ａ部を示す部分拡大図である。
【図５】本発明容器と従来容器の開先形状の関係を示す
斜視図である。
斜視図である。
【図６】従来の鋼製容器の一例を示す縦断面図である。
【図７】図６中Ａ部を示す部分拡大図である。
１ 鋼製容器 ２ 厚肉容器本体 ３ 落し蓋 ６ 開口部 ８ 棚部 ９ 鍔部 10 狭開先 11 裏当金
Claims (2)
- 【請求項１】 有底円筒状をした鋼製の厚肉容器本体
と、この厚肉容器本体の開口部に嵌合されてこの開口部
を塞ぐべく円柱状の落し蓋とからなる鋼製容器におい
て、この落し蓋の周面と上記開口部内面との間に筒状の
狭開先を形成し、この開口部の内面にリング状の棚部を
形成すると共に、上記落し蓋の下端周縁部にこの棚部に
載置するリング状の鍔部を形成し、さらに、この鍔部下
面に耐熱性の裏当金を備えたことを特徴とする鋼製容
器。 - 【請求項２】 請求項１記載の厚肉容器本体の開口部に
上記落し蓋を溶接する方法において、上記厚肉容器本体
の開口部に上記落し蓋を嵌合し、その鍔部を棚部側に仮
溶接した後、その鍔部を上記開口部側に裏波溶接し、し
かる後、上記開先部を積層溶接するようにしたことを特
徴とする鋼製容器用落し蓋の溶接方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8164530A JPH1010288A (ja) | 1996-06-25 | 1996-06-25 | 鋼製容器及びこの鋼製容器用落し蓋の溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8164530A JPH1010288A (ja) | 1996-06-25 | 1996-06-25 | 鋼製容器及びこの鋼製容器用落し蓋の溶接方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1010288A true JPH1010288A (ja) | 1998-01-16 |
Family
ID=15794925
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8164530A Pending JPH1010288A (ja) | 1996-06-25 | 1996-06-25 | 鋼製容器及びこの鋼製容器用落し蓋の溶接方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1010288A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN103280251A (zh) * | 2013-05-06 | 2013-09-04 | 中国核工业华兴建设有限公司 | 核电站不锈钢水池覆面组焊结构及自动焊接方法 |
| CN104874949A (zh) * | 2015-04-03 | 2015-09-02 | 中国核动力研究设计院 | 高放废物贮存容器密封焊接自动补偿装置及其焊接方法 |
-
1996
- 1996-06-25 JP JP8164530A patent/JPH1010288A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN103280251A (zh) * | 2013-05-06 | 2013-09-04 | 中国核工业华兴建设有限公司 | 核电站不锈钢水池覆面组焊结构及自动焊接方法 |
| CN103280251B (zh) * | 2013-05-06 | 2015-12-02 | 中国核工业华兴建设有限公司 | 核电站不锈钢水池覆面组焊结构及自动焊接方法 |
| CN104874949A (zh) * | 2015-04-03 | 2015-09-02 | 中国核动力研究设计院 | 高放废物贮存容器密封焊接自动补偿装置及其焊接方法 |
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