JP2004251724A - 放射性廃棄物処分容器およびその製造方法 - Google Patents

放射性廃棄物処分容器およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外部環境遮断性と耐久性とに優れ、長期間核種を保持でき、かつ、放射性遮断性能にも優れた放射性廃棄物処分容器およびその製造方法を提供する。
【解決手段】放射性廃棄物を収容する容器本体12を、この容器本体として構造上要求される構造強度を有する構造材としてのFeを主成分としたFe基合金またはNiを主成分としたNi基合金と、放射線遮蔽性を有する放射線遮蔽材としてのFeを含むFeよりも原子番号が大きな元素から成る材料またはその合金と、耐食性を有する耐食材としてのFeよりも安定な酸化物であって、酸化物の標準生成エネルギーが小さい材料のTi,Al,Zr,Mg,Be,Si,Ta,B,Nb,Crのいずれかまたはこれらのいずれかを主成分とする合金、あるいはAu,Pt,Pdを含む貴金属またはその合金と、により構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力施設から発生する放射性廃棄物の地中埋設処分等において使用する放射性廃棄物処分容器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在使用され、あるいは今後の使用が検討されている放射性廃棄物処分容器については、材料強度、材料入手の容易さ、加工性および放射線遮蔽性能の観点から、鋼製容器が一般的である。
【0003】
図9はこの種の従来の放射性廃棄物処分容器の一例の正面図である。この放射性廃棄物処分容器1は低レベル放射性廃棄物処分容器であり、有底円筒形のドラム缶2として使用され、蓋3により密閉される。このドラム缶2は、その内部に線量が高い放射性廃棄物を収納する場合には、作業者らの被曝低減等の観点から、ドラム缶2の内側にコンクリート製の内張りを施すことにより、ドラム缶2に放射線遮蔽機能を持たせる場合がある。
【0004】
また、従来の低レベル放射性廃棄物よりも比較的放射能濃度の高い低レベル放射性廃棄物、例えば通称L1廃棄物または高βγ廃棄物を処分する場合には、図10で示すように上記ドラム缶2よりも大型の鋼製角筒形の放射性廃棄物処分容器4が検討されている。また外国ではドラム缶2以外の大型鋼製処分容器の使用実績もある。これらの放射性廃棄物処分容器4には、その内部に収納する放射性廃棄物の線量に応じて、数cmから数十cm厚のコンクリート遮蔽層または鉄遮蔽層が形成されるのが一般的である。
【0005】
このように、従来から、使用され、あるいは検討されている放射性廃棄物処分容器は、鋼製が一般的である(例えば特許文献1,2参照)。また、一部で耐食材料としてTi合金(例えば特許文献3参照)が使用されるものもあるが、いずれも単体の材料で構成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−31094号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平9−304594号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2002−168995号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の鋼製またはTi合金製の放射性廃棄物処分容器1,4では、構造上の強度、放射線遮断性能、耐食性の全ての機能を満足することが難しいために、処分場の地中埋設処分後に放射性廃棄物処分容器1,4内に地下水が浸入し、放射性廃棄物処分容器1,4内の放射性廃棄物中の核種が地下水と接し、地下水の流出とともに核種が処分場外に移行する可能性がある。
【0010】
このために、処分場としては放射性廃棄物処分容器1,4の破損や腐食に伴う核種移行が起こっても、被曝上問題が無いように安全側に処分場を設計する必要があり、設備が増大しそれに伴なってコストアップを招くという課題があった。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、外部環境遮断性と耐久性とに優れ、長期間核種を保持でき、かつ、放射性遮断性能にも優れた放射性廃棄物処分容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために行われたものであり、次のように構成されている。
【0013】
請求項1記載の発明は、放射性廃棄物を収容する容器本体を、その容器本体として構造上要求される構造強度を有する構造材としてのFeを主成分としたFe基合金またはNiを主成分としたNi基合金と、放射線遮蔽性を有する放射線遮蔽材としてのFeを含むFeよりも原子番号が大きな元素から成る材料またはその合金と、耐食性を有する耐食材としてのFeよりも安定な酸化物であって、酸化物の標準生成エネルギーが小さい材料のTi,Al,Zr,Mg,Be,Si,Ta,B,Nb,Crのいずれかまたはこれらのいずれかを主成分とする合金、あるいはAu,Pt,Pdを含む貴金属またはその合金と、により構成したことを特徴とする放射性廃棄物処分容器である。
【0014】
本発明によれば、放射性廃棄物処分容器本体を、放射性廃棄物処分容器本体として必要な機能である構造強度、放射線遮蔽性、耐食性の各機能をそれぞれ有する構造材、放射線遮蔽材および耐食材により構成しているので、放射性廃棄物を収容する容器として構造上要求される強度、放射線遮蔽性および耐食性をそれぞれ満足させることができると共に、小型で、外部環境遮断性、耐久性を兼ね備えることができる。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、放射性廃棄物を収容する容器本体を、その容器本体として構造上要求される構造強度を有する構造材としてのFeを主成分としたFe基合金またはNiを主成分としたNi基合金と、放射線遮蔽性を有する放射線遮蔽材としてのFeを含むFeよりも原子番号が大きな元素から成る材料またはその合金と、耐食性を有する耐食材としてのFeよりも安定な酸化物であって、酸化物の標準生成エネルギーが小さい材料のTi,Al,Zr,Mg,Be,Si,Ta,B,Nb,Crのいずれかまたはこれらのいずれかを主成分とする合金、あるいはAu,Pt,Pdを含む貴金属またはその合金と、により構成することを特徴とする放射性廃棄物処分容器の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る放射性廃棄物処分容器の実施例を図1から図8に基づいて説明する。なお、これらの図中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る放射性廃棄物処分容器11の構造を示す縦断面図である。この放射性廃棄物処分容器11は、図示しない放射性廃棄物を収容する容器本体としての構造上要求される強度(構造強度)、放射線遮蔽性および耐食性をそれぞれ備えた構造材、放射線遮蔽材および耐食材の3相素材により密閉筒状の容器本体12を構成し、この容器本体12内に図示しない放射性廃棄物を収容するようになっている。
【0018】
この容器本体12は放射性廃棄物を密閉状態で収容させる開口端部12aに、V形開先等の溶接13により密閉固着される蓋14を備えている。
【0019】
容器本体12は円筒または角筒状の胴部12bの底部開口に、矩形板状または円形板状の底部12cを予め溶接13により密閉固着して有底筒状に形成されている。但し、この底部12cは胴部12bに予め一体に連成されていてもよい。これら胴部12b、底部12cおよび蓋14を含む容器本体12は上記構造強度と放射線遮蔽性とを併有する複合材としてのステンレス鋼により形成されている。このステンレス鋼の厚さは、10mm〜500mmに形成されている。また、このステンレス鋼は、容器本体12としての構造上要求される強度(構造強度)と放射線遮蔽性能に優れた特性を具備している。
【0020】
そして、蓋14と底部12cを含む容器本体12は、そのほぼ全内面に、耐食性に優れたZr合金層15をそれぞれ一体ないし一体的に形成することにより、複合材に構成されている。Zr合金層15の層厚は0.1mm〜10mmの範囲内に形成されている。
【0021】
図2は本発明の第2の実施形態に係る放射性廃棄物処分容器11Aの縦断面図である。この放射性廃棄物処分容器11Aは、図1で示す上記Zr合金層15を、蓋14を含む容器本体12の内面に形成せずに、その全外面に形成した点に特徴があり、これ以外の構成は図1で示す第1の実施形態と同様である。
【0022】
この放射性廃棄物処分容器11Aの場合、その内部に放射性廃棄物を例えばプール水中で収容してから胴部12bの開口端部12aに蓋14を溶接13により密閉固着して一体化した後に、これら胴部12bと蓋14の外面全面をZr合金層15により包み込むことにより、容器本体12内部を外部環境からほぼ完全に遮断させている。なお、上記容器本体12の形状は円筒形、角筒形、球形等いずれの形状でもよい。
【0023】
図3は本発明の第3実施形態に係る放射性廃棄物処分容器11Bの要部拡大縦断面図である。この放射性廃棄物処分容器11Bは図1で示す放射性廃棄物処分容器11に、環状鋼帯の一例であるステンレス製締め輪16を設けた点に特徴がある。
【0024】
すなわち、蓋14の内側のZr合金層15aに、胴部12bの内側のZr合金層15bを突き合せた状態で、この蓋14を胴部12bの開口端部12aに溶接13して密閉した後、上記締め輪16を、この蓋14と胴部12bの開口端部12aとの溶接13線部の外周面に、外嵌して蓋14の外周側面と胴部12bの外周側面とに跨るように当てて、この締め輪16の幅方向(図3と図1では上下方向)両端縁部にて周方向に溶接13a,13bしている。
【0025】
したがって、蓋14を胴部12bに溶接13するうえに、これらの溶接13部の外周にて、さらに締め輪16により蓋14と胴部12bとを2重に固着しているので、この蓋14と胴部12bの溶接強度を増強させることができる。
【0026】
図4は、例えば、上記図1で示す放射性廃棄物処分容器11の製造方法の第1実施形態の製造プロセスを示す工程図である。図4に示すようにこの製造方法は、まずステンレス鋼を圧延、鍛造、機械加工などの各種の加工により有底筒状の胴部12bと円板状の蓋14とを形成する。
【0027】
一方、このとき、容器本体12の形成加工とは別の工程でZrを所定の金属と真空溶解し、棒状のZr合金を作製しておく。これらの工程は放射線が管理されていない非管理区域での作業で行なっても良い。
【0028】
そして、この後の工程からは容器本体12内に放射性廃棄物を収容する工程を含むので、放射線管理区域での作業となる。すなわち、上記のステンレス鋼製の有底胴部12bの中に、プール水中で図示しない放射性廃棄物を、その開口端部12bから詰め込む。この後、胴部12bの開口端部12aに、蓋14を溶接13により接合固着して密閉容器本体12に形成する。
【0029】
次に、この胴部12bと蓋14を一体化したステンレス鋼製容器本体12の外面に、上記の棒状のZr合金を用いて摩擦コーティングを施し、ステンレス鋼製容器本体12の外面全面にZr合金15を形成する。
【0030】
すなわち、図5(a)に示すように棒状のZr合金層15aの先端を、容器本体12aのステンレス鋼外面に、所定圧で押し当てながら中心軸周りに回転させ、容器本体12の一端部(図5(a)では上端部)にて周方向に移動(走査)させることにより、容器本体12の外周面全体にZr合金層15aを研磨コーティングする。
【0031】
このとき形成されるZr合金層15の厚さは、定性的には容器本体12への加圧力が大きいほど、また、棒状Zr合金15aの回転速度が高速である程、さらに棒状Zr合金15aの移動(走査)速度が高速である程、厚くすることができる。
【0032】
したがって、棒状Zr合金15aの加圧力、回転速度、移動(走査)速度を適宜制御することにより、ステンレス鋼製容器本体12の外表面に、所定厚のZr合金層15を形成することができる。また、棒状Zr合金15aの摩擦コーティングでは、溶接のようにZr合金を溶かすことなく固相、すなわち低温でZr合金層15を形成できるので、異種材料間の熱膨張差による残留応力の発生を小さく抑制することができ、ひいては残留応力による割れや歪の発生を低減できる。なお、摩擦コーティングするZr合金としては、BWR(沸騰水型原子炉)用使用済チャンネルボックスや燃料被覆管などに使用されたジルカロイを精製・リサイクルしたものを用いることもできる。
【0033】
ところで、図5(a),(b)に示すように、このZr合金層15の研磨コーティング工程では、このZr合金層15に、図5(a),(b)中多数の小白点15bで示す気孔や層欠陥が発生する。
【0034】
そこで、次に図6(a),(b)に示すように、炭酸ガスレーザ光等のレーザ光17をZr合金層15の表面に照射し、このZr合金層15を溶融させることにより層欠陥や気孔15bを除去する。この後、最後に、Zr合金層15の表面の研磨等の機械加工を施し、所定の厚さに仕上げる。
【0035】
なお、図6(b)に示すようにこのZr合金層15の溶融厚さは、レーザ光17の熱源からの入熱密度、走査速度に依存するために、入熱密度と走査速度を制御することによりZr合金層15の溶融厚さを適宜制御することができる。
【0036】
図7は、図2で示す第2実施形態に係る放射性廃棄物処分容器11Aの地下水中での腐食減量Aを、ステンレス鋼等の容器本体12の外面全面を含むZr合金15のみを削除したステンレス鋼製の容器本体12だけの腐食減量Bと比較した棒グラフである。
【0037】
この図7で示すように本発明の放射性廃棄物処分容器11Aの場合では、大幅に腐食減量が低減することが明らかである。これは、Zr合金層15により地下水中に暴露した初期の段階でZr合金層15の表面全面に化学的に非常に安定なZr酸化皮膜が形成されるためである。すなわち、そのZr酸化皮膜が保護皮膜となって腐食の進展を抑制することができるためである。
【0038】
図8は上記容器本体12に、Zr合金層15を溶射または電解により形成してから上記図6(a)で示す炭酸ガスレーザ光等のレーザ光17の照射による封孔処理を施した場合の気孔率(欠陥率)をグラフ棒C,Dによりそれぞれ示し、レーザ光17の照射による封孔処理を施していない場合の溶射または電解によるZr合金層15の気孔率(欠陥率)をグラフ棒E,Fによりそれぞれ示している。
【0039】
すなわち、加熱溶融したZr合金を容器本体12の外表面に高速で吹き付ける溶射によりZr合金層15を形成したままで上記レーザ光17の照射等による封孔処理を施していない場合の気孔率Eよりも、このZr合金層15にレーザ光17を照射して加熱再溶融し、冷却固化させた封孔処理を施した場合の気孔率Cの方が低く、Zr合金層15の緻密化を向上させている。また、その緻密化向上分、Zr合金層15の耐食性を向上させることができる。
【0040】
一方、上記電解法はステンレス鋼製の容器本体12を電極とし、Zr合金の溶融塩からこの容器本体12の内面または外面にZr合金層15を形成する方法であるが、この電解法によりZr合金層15を形成したままでレーザ光17の照射等による封孔処理を行なっていない場合の気孔率Fよりも、レーザ光17の照射による封孔処理を施した場合の気孔率Dの方が低く、Zr合金層15の緻密化を向上させている。また、その緻密化向上の分、Zr合金層15の耐食性を向上させることができる。
【0041】
そして、上記各放射性廃棄物処分容器11,11A,11Bでは、ステンレス鋼の厚さを0.1mm以上に構成しているので、構造強度と放射性遮蔽性とを保持することができる。また、ステンレス鋼の厚さを10mm以下に形成しているので、容器本体12の大形重量化を抑制することができる。
【0042】
なお、上記本発明の各実施形態に係る放射性廃棄物処分容器11,11A,11Bでは、ステンレス製の容器本体12の厚さを0.1mm〜10mmに形成することにより、このステンレス製容器本体12に、その構造強度と放射線遮蔽性とを併有させるステンレス鋼1相により構成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばステンレス鋼製容器本体12の厚さを構造強度を確保し得る厚さに形成し、これに放射線遮蔽性を有するPb等の放射線遮蔽材を一体化させた2相の複合材料により構成してもよい。放射線遮蔽材としてはFeを含み、かつFeよりも原子番号が大きい材料(元素)またはその合金がある。
【0043】
また、容器本体12の構造材としては上記ステンレス鋼に限定されるものではなく、Feを主成分としたFe基合金またはNiを主成分としたNi基合金でもよい。
【0044】
さらに、耐食材としては上記Zr合金に限定されるものではなく、Feよりも安定な酸化物であって、酸化物の標準生成エネルギーが小さいTi,Al,Zr,Mg,Be,Si,Ta,B,Nb,Crのいずれか、またはこれらのいずれかを主成分とする合金、あるいはAu,Pt,Pb等を含む貴金属またはこれらを主成分とする合金でもよい。
【0045】
また、耐食材の上記Zr合金としては、使用済の沸騰水型原子炉(BWR)用燃料被覆管に使用されたジルカロイをリサイクルとして使用してもよい。これによれば、Zr合金の節約と使用済燃料被覆管の低減とを共に図ることができる。
【0046】
そして、上記Zr合金層15では、容器本体12の内面または外面にZr合金層15を形成する場合について説明したが、このZr合金層15を容器本体12の内,外両面にそれぞれ形成して耐食性を向上させてもよい。
【0047】
また、Zr合金層15の他の封孔処理方法としては、このZr合金層15を容器本体12の表面に形成した後、この容器本体12を、これらの材料よりも低融点の溶融金属中に浸漬することにより、このZr合金層15の気孔等の欠陥中に低融金属を形成し、気孔率(欠陥率)を低減するように構成してもよい。
【0048】
さらに、Zr合金層15を高温高圧の雰囲気内で晒して加熱し、このZr合金層15を再溶融させることにより緻密化して耐食性を向上させてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、発明によれば、放射性廃棄物を収容する容器としての構造上要求される強度を有する構造材と、放射線遮蔽性を有する放射線遮蔽材および耐食材とにより放射性廃棄物処分容器本体を構成したので、この放射性廃棄物処分容器本体は容器としての構造強度を有すると共に、放射性廃棄物処分容器内に長期間核種を保持するための耐久性に優れ、かつ、放射性遮断性能にも優れた放射性廃棄物処分容器およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る放射性廃棄物処分容器の縦断面図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る放射性廃棄物処分容器の縦断面図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る放射性廃棄物処分容器の要部拡大縦断面図。
【図4】本発明の放射性廃棄物処分容器の製造方法の第1の実施形態の製造プロセスを示す工程図。
【図5】(a)は図2で示す本発明の第2の実施形態に係る容器本体のステンレス鋼表面に、Zr合金層を摩擦コーティングにより形成する工程を示す図、(b)は同図(a)で示す放射性廃棄物処分容器の板厚方向の断面を示す断面図。
【図6】(a)は図2で示す放射性廃棄物処分容器のZr合金層に、レーザ光を照射して行なう封孔処理工程を示す図、(b)は同図(a)で示す放射性廃棄物処分容器の板厚方向の断面を示す断面図。
【図7】図2で示す放射性廃棄物処分容器の地下水中での腐食減量を従来のステンレス鋼製処分容器の場合と比較して示す棒グラフ。
【図8】図2で示す放射性廃棄物処分容器に係るZr合金層を溶射と電解とによりそれぞれ形成した場合において、これらのZr合金層に、レーザ光による封孔処理を施した場合と、施さない場合の気孔率(欠陥率)とをそれぞれ比較して示す棒グラフ。
【図9】従来の低レベル放射性廃棄物処分容器の一例の正面図。
【図10】従来の低レベル放射性廃棄物より比較的放射能濃度の高い低レベル放射性廃棄物処分容器の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
11,11A,11B 放射性廃棄物処分容器
12 容器本体
12a 開口端部
12b 胴部
12c 底部
13 溶接
14 蓋
15 Zr合金層
15a 棒状のZr合金
16 締め輪
17 レーザ光

Claims (14)

  1. 放射性廃棄物を収容する容器本体を、
    その容器本体として構造上要求される構造強度を有する構造材としてのFeを主成分としたFe基合金またはNiを主成分としたNi基合金と、
    放射線遮蔽性を有する放射線遮蔽材としてのFeを含むFeよりも原子番号が大きな元素から成る材料またはその合金と、
    耐食性を有する耐食材としてのFeよりも安定な酸化物であって、酸化物の標準生成エネルギーが小さい材料のTi,Al,Zr,Mg,Be,Si,Ta,B,Nb,Crのいずれかまたはこれらのいずれかを主成分とする合金、あるいはAu,Pt,Pdを含む貴金属またはその合金と、
    により構成したことを特徴とする放射性廃棄物処分容器。
  2. 上記構造材は、上記放射線遮蔽材と一体化された複合材からなることを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物処分容器。
  3. 上記複合材の厚さが10mmから500mmの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の放射性廃棄物処分容器。
  4. 上記耐食材の厚さが0.1mmから10mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射性廃棄物処分容器。
  5. 上記容器本体の上記構造材、または上記放射線遮蔽材、あるいはこれら両材を一体化してなる複合材の外表面または内表面のほぼ全面を上記耐食材により包み込んだことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射性廃棄物処分容器。
  6. 上記容器本体は、上記放射性廃棄物を収容する開口端部に溶接により密閉固着される蓋と、
    この蓋の溶接部外周に外嵌固着されてこの蓋をこの容器本体に固着する環状の鋼帯と、
    を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射性廃棄物処分容器。
  7. 放射性廃棄物を収容する容器本体を、
    その容器本体として構造上要求される構造強度を有する構造材としてのFeを主成分としたFe基合金またはNiを主成分としたNi基合金と、
    放射線遮蔽性を有する放射線遮蔽材としてのFeを含むFeよりも原子番号が大きな元素から成る材料またはその合金と、
    耐食性を有する耐食材としてのFeよりも安定な酸化物であって、酸化物の標準生成エネルギーが小さい材料のTi,Al,Zr,Mg,Be,Si,Ta,B,Nb,Crのいずれかまたはこれらのいずれかを主成分とする合金、あるいはAu,Pt,Pdを含む貴金属またはその合金と、
    により構成することを特徴とする放射性廃棄物処分容器の製造方法。
  8. 上記構造材、または上記放射線遮蔽材、あるいはこれら両材を一体化してなる複合材を電極とし、上記耐食材の溶融塩から電気化学的に形成する電解法により上記耐食材を上記構造材または上記放射線遮蔽材あるいは上記複合材の表面に形成することを特徴とする請求項7に記載の放射性廃棄物処分容器の製造方法。
  9. 上記容器本体の上記構造材、または上記放射線遮蔽材、あるいはこれら両材を一体化してなる複合材の表面に、棒状の上記耐食材を軸心回りに回転させながら押圧して耐食材層を形成することを特徴とする請求項7または8に記載の放射性廃棄物処分容器の製造方法。
  10. 上記容器本体の上記構造材、または上記放射線遮蔽材、あるいはこれら両材を一体化してなる複合材の表面に、溶融した耐食材を吹き付けて耐食材層を形成することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の放射性廃棄物処分容器の製造方法。
  11. 使用済の軽水炉用燃料被覆管とし使用しているジルカロイを上記耐食材の原料として使用することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の放射性廃棄物処分容器の製造方法。
  12. 上記容器本体表面の耐食材を形成した後、その耐食材表面を再溶融させることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の放射性廃棄物処分容器の製造方法。
  13. 上記容器本体表面の耐食材を形成した後、この容器本体を、この容器本体と耐食材よりも低融点の溶融金属中に浸漬することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の放射性廃棄物処分容器の製造方法。
  14. 上記容器本体表面の耐食材を形成した後、この耐食材を高温高圧の雰囲気で加熱処理することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の放射性廃棄物処分容器の製造方法。
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