JPH0999605A

JPH0999605A - Ｏｈｐシートの再生方法

Info

Publication number: JPH0999605A
Application number: JP7257668A
Authority: JP
Inventors: Toshiya Naruto; 俊也鳴戸; Junko Egawa; 純子江川
Original assignee: Mitsubishi Chemical Corp
Current assignee: Mitsubishi Chemical Corp
Priority date: 1995-10-04
Filing date: 1995-10-04
Publication date: 1997-04-15

Abstract

(57)【要約】【課題】ＯＨＰシートの再生方法を提供する。【解決手段】光透過性基体上に設けたインク受容層に
水性インクで画像形成したＯＨＰシートの再生方法であ
って、インク受容層がインク受容性でかつ水不溶性の樹
脂を含有し、ＯＨＰシートを水と接触させて形成画像を
除去し、乾燥することによるＯＨＰシートの再生方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＯＨＰ（オーバー
ヘッドプロジェクター）シートの再生方法に存する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式は騒音が少なく
高速記録多色化及び装置のコンパクト化が可能であり、
さらに記録紙及び普通紙のいずれも使用できることから
各種ファクシミリ、プリンター、コンピューター端末に
幅広く採用され、近年急速に普及し重要な情報機器の一
分野を占めつつある。更に近年、いわゆるオーバーヘッ
ドプロジェクター（ＯＨＰ）用のシートに直接コンピュ
ーターから情報を記録印刷する方法が実用化されてお
り、この記録にインクジェット記録方式が採用されてい
る。

【０００３】このインクジェット記録用ＯＨＰシートに
要求される特性としては、１）記録シート全体の透明性が高いこと２）インクの記録層内部への浸み込みが速やかで、イエ
ロー、マゼンダ、シアン及びブラック等の色しみが無
く、即ち彩度が高く鮮明な色調を再現できること３）上記２種以上のインクを組み合わせて多色記録を行
う際に、記録紙の同一面上にインクドットが重なっても
各インク成分を瞬時に吸収して、高速での記録において
も記録面が汚れない十分なインク吸収速度及びインク吸
収容量を有すること４）シート全体が耐水性であり水分が付着してもインク
受容層の流れ出し等が起こりにくいこと５）シートを重ね合わせた時、ブロッキングを起こさず
かつプリンター内でフィードされた時にシート表面に傷
が発生しないこと６）印刷物を保存しても色あせ等が生じないことであ
る。

【０００４】これら条件を満たすために、例えば特開昭
５９−１７４３８１号ではインク受容層にポリビニルア
ルコールやカルボキシメチルセルロース等の水溶性樹脂
を使用することが提案されている。ところがこれらを使
用するとシート全体の透明性やインクの印字特性は良好
であるが耐水性が不充分である。また特開昭５８−８９
３９１号には耐水性を上げるために水溶性樹脂を架橋さ
せることが提案されている。

【０００５】近年、資源や自然環境に対する意識の向上
とともに、工業製品等のリサイクルが盛んとなってき
た。ＯＨＰシートは一度画像を形成し使用に供すると、
今まではこれを廃棄するか、もしくはインク受容層等を
除去して基材のみとして回収しているのみで、ＯＨＰシ
ートとして再利用されておらず、再利用の方法も検討さ
れていなかった。従来からのＯＨＰシートでは、ＯＨＰ
シートに形成した画像のみを除去、例えば、受容層に形
成された画像を水洗等で除去し、その後にＯＨＰシート
として再利用に耐えうるほどのものはなかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】印字特性、耐水性に優
れ、不用となった画像を容易に消滅させることが可能で
あり、また乾燥後は再度ＯＨＰシートとしてインクジェ
ット記録等による画像形成が可能となるＯＨＰシートの
再生方法が所望されている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、光透過性基体
上に設けたインク受容層に水性インクで画像形成したＯ
ＨＰシートの再生方法であって、インク受容層がインク
受容性でかつ水不溶性の樹脂を含有し、ＯＨＰシートを
水と接触させて形成画像を除去し、乾燥することを特徴
とするＯＨＰシートの再生方法に存する。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるＯＨＰシートはインク受容層にインク受
容性でかつ水不溶性の樹脂を含む。かかる樹脂として
は、受容層に画像を形成するインクにより適宜選択すれ
ばよいが、ポリビニルアセタール樹脂、イソシアネート
等で架橋して水不溶化したポリビニルアルコール樹脂等
が挙げられる。中でもポリビニルアセタール樹脂を用い
ることで鮮明な画像が得られるので好ましい。ポリビニ
ルアセタール樹脂はポリビニルアルコールにアルデヒド
を反応させてアセタール化することにより得られる。出
発原料としてはポリ酢酸ビニルを用い、鹸化とアセター
ル化を併行的に行ってもよい。アセタール化の方法とし
ては、溶解法・沈澱法・均一系法等従来公知の方法が採
用され得る。

【０００９】ポリビニルアセタール樹脂の原料として用
いられるポリビニルアルコールは何ら限定されるもので
はないが、一般に重合度３００〜４，５００、好ましく
は５００〜４，５００のものが用いられ、重合度は高い
方が印字特性、インク定着性及び耐水性が良好になる傾
向にある。またポリビニルアルコールの鹸化度も任意で
あるが、通常８０．０〜９９．５モル％が使用される。

【００１０】ポリビニルアルコールと縮合するアルデヒ
ドの例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、ブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、オクチル
アルデヒド、デシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド；
ベンズアルデヒド、２−メチルベンズアルデヒド、３−
メチルベンズアルデヒド、４−メチルベンズアルデヒ
ド、その他アルキル置換ベンズアルデヒドや、クロルベ
ンズアルデヒド、その他のハロゲン置換ベンズアルデヒ
ドや、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピ
オンアルデヒド、その他のフェニル置換アルキルアルデ
ヒド等の芳香族アルデヒド、更に芳香族環にヒドロキシ
基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基等の置換基を持
った芳香族系アルデヒド等が挙げられる。またナフトア
ルデヒド、アントラアルデヒド等の縮合芳香環を持つア
ルデヒドであっても良いが、中でも印字特性、インクの
定着性、耐水性及び透明性のいずれも良好な樹脂が得ら
れる点で芳香族系アルデヒドが特に好ましく用いられ
る。

【００１１】ポリビニルアセタールのアセタール化度
は、好ましくは２〜４０モル％の範囲であり、更には３
〜３０モル％、特には５〜２０モル％の範囲である。ア
セタール化度が低すぎる場合は、インクの定着性は良い
が耐水性が低く、逆にアセタール化度が高すぎる場合は
耐水性は良好であるがインクの定着性が悪くなる。ここ
でアセタール化度とは、ポリビニルアセタール樹脂中に
含まれるアセタール基のモル数をＡ、アセチル基のモル
数をＢ、水酸基のモル数をＣとして

【００１２】

【数１】Ａ／（Ａ＋Ｂ＋Ｃ）×１００〔モル％〕

【００１３】で表される数値のことである。インク受容
層には水不溶性の樹脂の他に、基材に対する接着性を向
上させるために、水溶性アクリル樹脂等の接着性の強い
ものを含有させても良い。本発明におけるインクジェッ
ト記録用ＯＨＰシートには、本発明を妨げない範囲内で
各種添加剤を併用してもよい。例えば、インクの吸収性
を上げるために多孔性無機粒子を添加したり、シートを
重ね合わせた際のブロッキング防止の目的で有機高分子
微粒子を用いることが知られている。これら微粒子とし
てはシリカ、アルミナ、タルク、クレー、カオリン、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、尿素ホルムアルデヒド樹
脂、ベンゾグアナミン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹
脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。

【００１４】そのほか、水性インクの吸着能改善剤とし
てグリセリン、ポリエチレングリコール、界面活性剤、
インクの耐充性向上剤として紫外線吸収剤、ｐＨ調整剤
等が用いられてもよい。ポリビニルアセタール樹脂とフ
ィラーとの混合物の被膜形成をさせる光透過性基体とし
ては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、
セルロイド、ポリ塩化ビニル等の透明性の高いプラスチ
ックフィルム等が用いられる。

【００１５】ポリビニルアセタール樹脂とフィラーとの
混合物の被膜を上記基体上に形成させる方法は任意であ
るが、通常樹脂溶液をロールコーター法、ブレードコー
ター法等により塗布した後、乾燥させる。インクジェッ
ト記録ＯＨＰシートへの画像形成に使用される水性イン
クは、任意ではあるが、通常、水溶性染料、湿潤剤、染
料可溶化剤、水、水混和性有機溶剤等よりなるものを用
いる。

【００１６】本発明における水と接触させる方法は任意
であるが、例えば具体的に述べると一旦、画像を形成し
たＯＨＰシートを静水中に静止又はＯＨＰシートを移
動、振動させながら浸したり、流水中にＯＨＰシートを
静止させる等の水に浸漬する方法が好ましく挙げられ
る。水との接触時間は好ましくは３０秒〜１０分程度、
特には２〜５分である。流水中に静止させる際には、イ
ンク受容層の基材への接着性等を考慮して流水速度（水
圧）を設定すればよい。水洗に用いる水の温度はインク
受容層の熱変化を考慮して、通常室温とするのが好まし
い。

【００１７】

【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらは本発明を限定するものではない。実施例１重合度１６００、ケン化度９０．０モル％のポリビニル
アルコール２４０ｇに水２ｋｇを加えて加熱し、ポリビ
ニルアルコールが溶解したら液を冷却し、３５重量％塩
酸１２０ｇ、フェニルアセトアルデヒド５０ｇを加え、
１０℃で５時間反応させた。こうして合成されたポリビ
ニルフェニルアセトアセタール樹脂のアセタール化度は
８モル％であった。この樹脂を、水：イソプロピルアル
コール＝１：１の混合溶媒に溶解し調和した。

【００１８】このポリビニルアセタール樹脂を固形分換
算で９８重量部とアクリル樹脂粒子（商品名：ＢＲ８９
三菱レイヨン（株）社製、平均粒径２０μｍ）４．０
重量部を加えて溶解操作を行い、ついでバルブホモジナ
イザーで圧力２００ｋｇ／ｃｍ²にて分散操作を行い塗
料とした。この塗料をポリエチレンテレフタレートフィ
ルム（ダイヤホイル株式会社製Ｔ６００）上のコロナ
処理した面にバーコーターにより塗布し、１２０℃で１
０分乾燥しＯＨＰシートを作成した。

【００１９】（透明性）印字していないＯＨＰシートの
濃度を色濃度計（マクベスＴＲ９２７）を用いて測定し
た。（印字特性）ＯＨＰシートに市販のインクジェットプリ
ンター（ヒューレットパッカード社製デスクライター５
０５Ｃ）にて印刷を行い、印字ドットを実態顕微鏡で観
察した。その結果を表−１に示した。印字ドットが円形
で４色のインクを重ねて記録した場合、インクの流れ出
しがなく画像が鮮明なものを○、印字ドットが確認でき
ないものを×と判定した。

【００２０】（画像の消滅性）作成したＯＨＰシートに
インクジェットプリンターにて印刷を行い、印字後１時
間経過したシートを２０℃の静水に１０分間浸した後引
き上げ、インク記録部の状態を観察した。その際、イン
ク受容層が溶出することなく画像のみが消滅するものを
○、受容層も溶出してしまうものを×と判定した。

【００２１】（再利用）上記のようにして水洗したＯＨ
Ｐシートを乾燥させ、再びインクジェットプリンターに
て印刷を行った。その際、受容層が白濁することなく画
像が鮮明に印字できるものを○、受容層が白濁したり、
印字が不鮮明になるものを×と判定した。

【００２２】実施例２ポリビニルアセタール樹脂を作成するアルデヒドをブチ
ルアルデヒドとした以外は実施例１と同様にシートを作
成し評価した。比較例１実施例１のバインダー樹脂を水溶性であるポリビニルア
ルコール（商品名：ゴーセノールＧＨ１７，日本合成化
学工業（株）社製）としたこと以外は実施例１と同様に
シートを作成し評価した。

【００２３】比較例２実施例１のバインダー樹脂を水溶性であるポリエチレン
オキサイド（商品名：ＰＥ０３，住友精化（株）社製）
としたこと以外は実施例１と同様にシートを作成し評価
した。

【００２４】

【表１】表 − １透明性印字特性画像の消滅性再利用実施例１ 0.06 ○ ○ ○ 実施例２ 0.06 ○ ○ ○ 比較例１ 0.05 ○ × × 比較例２ 0.07 × × ×

【００２５】インク受容層に水不溶性樹脂を用いない
と、再利用を試みた時にインク受容層から流出もしくは
白濁が生じ、再利用に不向きとなるか再利用不可となっ
てしまう。

【００２６】

【発明の効果】本発明の方法は、印字特性が優れ、水洗
することにより画像を消滅させ容易に再利用が可能とな
り実用的価値の高いものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】光透過性基体上に設けたインク受容層に
水性インクで画像形成したＯＨＰシートの再生方法であ
って、インク受容層がインク受容性でかつ水不溶性の樹
脂を含有し、ＯＨＰシートを水と接触させて形成画像を
除去し、乾燥することを特徴とするＯＨＰシートの再生
方法。
【請求項２】前記樹脂がポリビニルアセタール樹脂で
あることを特徴とする請求項１記載の再生方法。