JPH0998738A - 易吸収性カルシウム組成物 - Google Patents

易吸収性カルシウム組成物

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JPH0998738A
JPH0998738A JP7282378A JP28237895A JPH0998738A JP H0998738 A JPH0998738 A JP H0998738A JP 7282378 A JP7282378 A JP 7282378A JP 28237895 A JP28237895 A JP 28237895A JP H0998738 A JPH0998738 A JP H0998738A
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calcium
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citric acid
lactic acid
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JP7282378A
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Tadashi Kobayashi
正 小林
Toshio Okano
登志夫 岡野
Toshiyuki Ishizaki
俊行 石崎
Fusao Kimizuka
房夫 君塚
Hideo Morita
日出男 森田
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Takara Shuzo Co Ltd
Original Assignee
Takara Shuzo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルシウム易吸収性に優れた医薬・食品用の
カルシウム組成物又は該組成物を含むカルシウム補給
剤、骨強化カルシウム剤及び骨強化食品を提供する。 【解決手段】 カルシウム源、乳酸源及びクエン酸源か
ら成り、かつ、カルシウム易吸収性があることを特徴と
する易吸収性カルシウム組成物。該カルシウム組成物を
含むことを特徴とするカルシウム補給剤、骨強化カルシ
ウム剤及び骨強化食品。カルシウム源:乳酸源:クエン
酸源のモル比がカルシウム、乳酸、クエン酸換算で1:
0.3〜3.0:0.1〜1.0であることが好まし
い。 【効果】 カルシウムの吸収性及び骨への取込効率に優
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品添加物、栄養
補助食品、健康食品あるいは医薬品として有用な易吸収
性カルシウム組成物、該組成物を含むカルシウム補給
剤、骨強化カルシウム剤及び骨強化食品に関する。
【0002】
【従来の技術】カルシウムは人体で5番目に豊富な元素
であり、その約99%は、骨組織中に見出されるので、
その摂取不足は骨代謝に影響を与え、骨粗鬆症をもたら
す危険性を高めると考えられている。厚生省の日本人の
栄養調査に関する最近の報告によれば、カルシウムは、
所要量に満たない唯一の必須栄養素である。すなわち、
通常の食生活においても、カルシウム不足は日常化して
おり、意図的にカルシウムを補給する必要がある。その
ために、種々のカルシウム剤及びカルシウム強化食品が
開発されてきた。カルシウム強化に用いるカルシウム剤
としては、卵殻粉末、貝殻粉末、サンゴ粉末、骨粉等の
天然素材や炭酸カルシウム、塩化カルシウム、有機酸カ
ルシウム等の化学合成品等が知られているが、これらの
カルシウム剤は、水に対する溶解性が低いこと、呈味性
に悪影響を与えること、及び生体での吸収性(生物学的
利用能)が低いこと等の問題点が指摘されている。これ
らの問題点を部分的に解決するための技術が公開されて
いる。例えば特開昭56−97248号公報において
は、クエン酸カルシウムの溶解性を高める技術として、
クエン酸カルシウムとリンゴ酸カルシウムの複合体が開
示されている。また、特開平4−234960号公報に
おいては、不溶性カルシウム塩をオキシ酸で可溶化させ
て食品に使用する技術が開示されている。しかしなが
ら、これらのカルシウム剤の生体内での吸収性(生物学
的利用能)については開示されていない。カルシウムの
生体での吸収性を高めたカルシウム剤の開発について
は、以下の2例が開示されているにすぎない。すなわ
ち、特開昭63−157964号公報において、可溶性
カルシウムを含み、呈味性及び吸収性に優れたカルシウ
ム補給飲料が開示されている。また、特開平1−156
985号公報において、カルシウム:クエン酸:リンゴ
酸のモル比が約6:2:3を有する生物学的利用能のあ
るカルシウム補給物が開示されている。これら溶解性及
び吸収性に優れたカルシウム剤は、いずれも、その構成
成分単独では、カルシウムの吸収性を高める効果はな
く、どのような機構あるいは構成で吸収性が高まるのか
は依然として不明である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カル
シウムの吸収性に及ぼ有機酸の役割を検証し、リンゴ酸
を含まない新規な吸収性に優れた医薬・食品用のカルシ
ウム組成物又は該組成物を含むカルシウム補給剤、骨強
化カルシウム剤及び骨強化食品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、カ
ルシウム源、乳酸源及びクエン酸源から成り、かつ、カ
ルシウム易吸収性であることを特徴とする易吸収性カル
シウム組成物であり、更に該カルシウム組成物を含むこ
とを特徴とするカルシウム補給剤、骨強化カルシウム剤
及び骨強化食品に関する。
【0005】本発明者らは、従来のリンゴ酸を含む易吸
収性カルシウム剤の吸収性に及ぼすリンゴ酸の役割を検
証し、リンゴ酸を含まない新規な吸収性に優れたカルシ
ウム剤を開発すべく、鋭意検討した結果、意外にも、リ
ンゴ酸を含まないで、乳酸源とクエン酸源を含むカルシ
ウム組成物が従来最も吸収性が優れていると考えられる
カルシウム剤に比べて、カルシウムの血中濃度、体内保
留率及び大腿骨への取込効率において同等以上であるこ
とを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いるカルシウム源とし
ては可食性のカルシウムであればよく、例えば、卵殻、
貝殻、サンゴ等の炭酸カルシウムを主成分とする天然
物、それらの粉末及び精製物あるいは化学合成した炭酸
カルシウム、塩化カルシウム等が利用可能であるが、最
も安価で純度の高い化学合成品が推奨される。乳酸源と
しては、遊離の酸、及びその塩、例えばナトリウム塩、
カルシウム塩等が用いられる。また、クエン酸源として
は、遊離の酸及びその塩、例えばナトリウム塩、カルシ
ウム塩等が使用できる。
【0007】本発明のカルシウム組成物の吸収性は、組
成物中に乳酸源及びクエン酸源を含むことにより達成さ
れるが、カルシウム源、乳酸源及びクエン酸源の割合に
よって大きく左右されることはない。しかしながら、こ
れを医薬品又は食品に利用する場合、溶解性、呈味性及
びカルシウム含有率を考慮する必要がある。これらを満
足させるためには、組成物中のカルシウム源:乳酸源:
クエン酸源のモル比が、カルシウム、乳酸、クエン酸換
算で1:0.3〜3.0:0.1〜1.0、好ましくは
1:0.5超〜2.0未満:0.1〜1.0となるよう
に、カルシウム源、乳酸源、及びクエン酸源を配合する
ことが望ましい。
【0008】本発明のカルシウム組成物は所定の組成に
なるように、カルシウム源、乳酸源及びクエン酸源を配
合した混合物、あるいはそれらを水に溶解した液体とし
て製造することができる。液体として製造した組成物
は、凍結乾燥あるいはオーブン乾燥して使用してもよ
い。
【0009】このようにして製造したカルシウム組成物
の吸収性はラットを用いる動物試験により評価される。
まず、カルシウム45(45Ca)でラベルしたカルシウ
ム組成物の水溶液を調製し、カルシウムとして5〜10
mgの一定量を経口投与する。1〜2日間にわたり、血
中、糞中及び尿中の45Caを測定し、見掛けの吸収率
(体内保留率)を算出する。更に、大腿骨及び腎へ取込
まれた45Caを測定して骨組織への特異的な蓄積を評価
する。これらの実験により、本発明のカルシウム組成物
は、カルシウムの血中カルシウム濃度、体内保留率及び
大腿骨への取込効率において、炭酸カルシウムと比べて
優れており、従来のカルシウム剤の中で最も吸収性に優
れていると考えられているカルシウム・サイトレート・
マレート(特開昭63−157964号、及び特開平1
−156985号)と同等以上の吸収性があることが確
認される。特に大腿骨へのカルシウムの取込効率が高い
ことは強調に値する。
【0010】本発明のカルシウム組成物は吸収性及び骨
への取込効率に優れていることから、製薬上許容可能な
担体及び賦形剤を含有する固形又は液体のカルシウム補
給剤及び骨強化カルシウム剤として使用することができ
る。実用的な形態としては、例えば、粉末形態、錠剤、
散剤、液剤、乳剤、カプセル剤、ペースト、クリーム、
ゲル形態等を例示できる。賦形剤としては、例えば、乳
糖、ブドウ糖、デンプン等を例示できる。賦形に当って
は各種結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、保湿剤、希釈剤、
その他着色剤、香料、保存料等を適宜用いることができ
る。
【0011】これらの形態の製剤中に含有させるべきカ
ルシウム組成物の量は、安全で有効な量であればよい
が、一回投与量として好適な量のカルシウム組成物を含
む単位剤形では、カルシウムとして、約50mg〜50
0mg、より好ましくは100〜300mgの範囲とす
るのが適当である。本単位剤形を一日当り1〜3回服用
すれば、成人1日当り50〜1500mgのカルシウム
補給が可能であり、これは一般用カルシウム製剤として
効能・効果が期待できる目安として考えられている値
(300〜700mg)を含む範囲である。また、特に
骨粗鬆症患者に対しては、一日当り1000〜1500
mgのカルシウム投与が必要とされており、この場合は
一回当りの単位剤形服用数を必要に応じて増やすことで
対応できる。なお、本カルシウム組成物について、OE
CD化学物質毒性試験指針(1987)に準拠して、マ
ウスにおける急性経口毒性試験を行ったところ、200
0mg/kg(カルシウムとして350mg/kg)の
経口単回投与で異常例は認められなかった。
【0012】また、本発明のカルシウム組成物は、各種
の加工食品等に添加配合することができる。かかる加工
食品等は液状品でも、固形品でもよく、その代表例とし
ては、各種の液状飲料製品、菓子類、調味料、スープ、
カレー、めん類、パン類、漬物類、畜肉製品、乳製品、
シリアル、豆腐類、ふりかけ類、ガム等を例示できる。
これら各食品に対する本発明組成物の添加配合量は呈味
性、物性を損なわない範囲であれば特に制限はないが
0.5〜90重量%、カルシウムとして約0.02〜2
5重量%程度とするのが望ましい。
【0013】なお、本発明における易吸収性組成物を含
むカルシウム補給剤、骨強化カルシウム剤及び骨強化食
品とは、各々これらを摂取することにより、骨へのカル
シウム取込効率が向上する補給剤、カルシウム剤及び食
品を意味する。これらの内、カルシウム補給剤及び骨強
化カルシウム剤は医薬及び食品のいずれの形状でも使用
可能である。
【0014】以上述べてきたごとく、本発明のカルシウ
ム組成物は、腸管吸収率、体内保留率及び大腿骨への利
用性において、これまでに知られている一般的なカルシ
ウム剤よりも優れていること、また、従来最も吸収性に
優れていると言われているカルシウム・サイトレート・
マレートに比べて同等以上の生物学的利用能を有するこ
とが明らかにされた。このことは、本発明カルシウム組
成物が特に骨強化のためのカルシウム剤、食品としての
利用価値が高いことを示すものである。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、それによって
本発明が限定されるものではない。
【0016】実施例1 (カルシウム組成物の調製) 本発明のカルシウム組成物(以下、CLCと略称する)
の一例を、以下のように調製した。市販のDL−乳酸3
37mgとクエン酸240mgを9mlの蒸留水に溶解
した後、かくはん下に250mgの炭酸カルシウム(C
aCO3 )を徐々に加えて完全に溶解した。これを10
mlに調整して、カルシウムとして1%(W/V)の水
溶液とした。この組成物(CLC)中のカルシウム
源:乳酸源:クエン酸源のモル比は、カルシウム、乳
酸、クエン酸換算で4:6:2である。同様に比較対照
としてカルシウム・サイトレート・マレートを以下のよ
うに調製した。クエン酸240mgとリンゴ酸251m
gを9mlの水に溶解した後、かくはん下に250mg
のCaCO3 を徐々に加えて完全に溶解した。これを1
0mlに調整して、カルシウムとして1%(W/V)の
水溶液とした。この組成物のカルシウム:クエン酸:リ
ンゴ酸のモル比は、カルシウム、クエン酸、リンゴ酸換
算で4:2:3である。
【0017】このようにして調製したカルシウム組成物
の物性について(表1)に示した。ここで電気伝導度
は、市販の電気伝導度計を用いて測定した。また人工消
化液中で人工消化させた後の溶解率は、次のようにして
測定した。すなわち、第12改正日本薬局方の崩壊試験
法に記載の試験液の第1液を人工胃液とし、第2液を人
工腸液として用いた。カルシウムとして60mg相当量
の組成物を50mlの人工胃液中で37℃、30分イン
キュベートし、次いで50mlの人工腸液を加えNaO
H水溶液でpH7とし、更に37℃、60分インキュベ
ートした。これをメンブレンフィルターでろ過し、ろ液
のカルシウムを原子吸光法で測定して、溶解率を算出し
た。表1に示した通りである。
【0018】
【表1】 表 1 ─────────────────────────────────── 組成物 pH 電気伝導度 人工消化後の溶解率 (ms/cm) (%) ─────────────────────────────────── カルシウム・ サイトレート 3.94 6.7 14.7 ・マレート CLC 3.97 7.9 12.9 CaCO3 9.70 0.027 1.2 ───────────────────────────────────
【0019】実施例2 (血中カルシウム濃度の経時変
化の測定) 1)45CaCO3 の調製:2.775gのCaCl2
0.1N−HClに溶かして、100mlとした。この
溶液(10mgCa/ml)の40mlに、40マイク
ロキュリー(以下、μCiと略述する)の45CaCl2
溶液を添加し、更に40mlの10%−Na2 CO3
加えて、15分間放置した。生成した45CaCO3 の沈
殿を遠心分離し、デシケーターの中で恒量となるまで乾
燥し、約10μCi/250mgの45CaCO3 (Ca
として100mg)が調製された。 2)45CaでラベルされたCLC(以下、45Ca−C
LCと略称する)及びカルシウム・サイトレート・マ
レート(以下、45Ca−カルシウム・サイトレート・マ
レートと略称する)の調製:実施例1と同様の方法で、
CaCO3 の代りに45CaCO3 を用いて45Ca−CL
C及び45Ca−カルシウム・サイトレート・マレート
を調製した。但し、この場合は、45CaCO3 に、有機
酸溶液を添加する方法を採用した。
【0020】3)動物試験:前記45Ca−CLC及び
45Ca−カルシウム・サイトレート・マレートをそれぞ
れラット一匹当り1.0ml(1μCi、10mgC
a)を胃ゾンデを用いて経口投与した。更に、一般のカ
ルシウム剤の代表として45CaCO3 を比較対照として
同様に投与した。この場合は、水懸濁液として1.0m
l(1μCi、10mgCa)を投与した。これらのカ
ルシウム剤投与は、一群5匹とし、一昼夜絶食させ、投
与2時間前には摂水も妨げたラットに対して行い、投与
後は、直ちにボールマンケージに拘束し、3時間絶食さ
せた後、固形飼料と水を与えて、34時間放置した。経
時的に尾静脈から採血し、血漿20μlにつき、放射能
を測定した。その結果を図1に示した。すなわち図1
は、45Caでラベルした放射能性カルシウム剤をラット
に経口投与したときの血中放射能の経時変化を示した図
であり、縦軸は血漿中の放射能(cpm/ml)、横軸
は投与後の時間(時)を示す。血漿中の45Ca濃度の経
時変化は45CaCO3 45Ca−カルシウム・サイトレ
ート・マレートでは大差がなく、平均の最高血中濃度
は、それぞれ580cpm/ml、620cpm/ml
であったが、45Ca−CLCの場合、投与1時間で最
高血中濃度1,054cpm/mlに達し、その後徐々
に低下したが、少なくとも6時間までは、前2者に比べ
て高く、従来、最も吸収性に優れているとされているカ
ルシウム・サイトレート・マレートに比べても、明らか
に血中へのカルシウム吸収速度が高かった。これは、C
LCが、カルシウム・サイトレート・マレートと同等以
上の腸管吸収性をもつことを反映していると考えられ
る。
【0021】実施例3 (見掛けの腸管吸収率及び体内
保留率の測定) 実施例2において、カルシウム剤投与後34時間の糞及
び尿を採取し、それらの放射能を測定して、下記計算式
(数1)及び(数2)により、見掛けの腸管吸収率、及
び体内保留率を測定した。
【0022】
【数1】見掛けの腸管吸収率(%)={(投与時の全放
射能−糞中の放射能)/投与時の全放射能}×100
【0023】
【数2】体内保留率(%)={(投与時の全放射能−糞
及び尿中の放射能)/投与時の全放射能}×100
【0024】その結果を表2に示した。なお、尿中放射
能は、いずれも無視できる程度の量であったので、見掛
けの腸管吸収率=体内保留率となった。
【0025】
【表2】 表 2 ─────────────────────────────────── カルシウム剤 見掛けの腸管吸収率(体内保留率) (%) ─────────────────────────────────── CLC 45.5 カルシウム・サイトレート・マレート 41.4 CaCO3 37.2 ───────────────────────────────────
【0026】この結果から、CLCの見掛けの腸管吸
収率及び体内保留率は、炭酸カルシウムよりも高く、カ
ルシウム・サイトレート・マレートに比べても同等以上
であることが示され、ここでもCLCの易吸収性が確認
された。
【0027】実施例4 (45Caの大腿骨及び腎臓への
分布の測定) 実施例2において、各カルシウム剤投与後34時間目に
左側大腿骨及び左側腎を採取し、それぞれ放射能を測定
し、大腿骨及び腎への45Caの分布を測定した。その結
果を表3に示した。
【0028】
【表3】 表 3 ─────────────────────────────────── カルシウム剤 大腿骨 腎 cpm/100mg(灰化重量) cpm/g (湿重量) ─────────────────────────────────── CLC 6,080.3 53.2 カルシウム・サイトレート 5,650.2 80.3 ・マレート CaCO3 2,873.9 48.9 ───────────────────────────────────
【0029】この結果から、カルシウム剤としてのCL
Cは、大腿骨への45Caの取込効率が炭酸カルシウム
より高く、カルシウム・サイトレート・マレートと比べ
ても同等以上で、軟組織としての腎への特異的な取込み
は認められなかった。このことは、CLCがカルシウム
剤として、骨組織に積極的に利用されていることを示し
ており、骨強化のためのカルシウム剤として好適である
ことが明らかになった。
【0030】実施例5 (カルシウム錠剤の作製) 炭酸カルシウム24.7g、乳酸カルシウム40.65
g及びクエン酸三ナトリウム32.3gを混合して、カ
ルシウム源:乳酸源:クエン酸源のモル比がカルシウ
ム、乳酸、クエン酸換算で1:0.7:0.29のカル
シウム組成物(CLC)を得た。この組成物を用い
て、表4に示される成分からなる錠剤組成物を調製し、
錠剤プレスを用いて錠剤化した。
【0031】
【表4】 表 4 ─────────────────────────────────── 成 分 配合 (重量%) ─────────────────────────────────── CLC 50.0 マンニトール 44.5 ステアリン酸マグネシウム 0.5 香 料 5.0 ───────────────────────────────────
【0032】上記組成物は、1錠(2g)当り156m
gのカルシウムを含み骨粗鬆症患者や、妊娠女性に投与
したときに、十分量の生物学的利用能を有するカルシウ
ムを与えるのに有効である。
【0033】実施例6 (豆腐の作製) 15〜18℃に冷却した豆乳1リットルに、4gの天然
にがり、及び乳酸ナトリウム(50重量%溶液)4.4
9g、クエン酸ナトリウム1.73g、及び塩化カルシ
ウム2.22gからなるカルシウム組成物(CLC)
(カルシウム源:乳酸源:クエン酸源のモル比がカルシ
ウム、乳酸、クエン酸換算で1:1:0.3)を添加し
た後、プラスチック製のカップに詰め、シーラーで密封
した。これを湯煎(85℃)で45分間加熱し、凝固さ
せた後、氷冷し充てん絹ごし豆腐を得た。この豆腐はカ
ルシウムを一丁(300g)当り、CLC由来のカルシ
ウム240mg及びにがり由来のカルシウム約60mg
で計約300mgのカルシウムを含んでおり、テクスチ
ャー及び味も良好であった。
【0034】実施例7 (キャンディーの作製) 砂糖1.2kgと水飴0.8kgをディゾルバー(11
0℃)で溶解混合した後、クッカーで120〜130℃
まで煮上げ水分含量を2%以下とし、乳酸(50重量%
溶液)16.3g、クエン酸9.6g及び炭酸カルシウ
ム5.0gからなるカルシウム組成物(CLC)(カ
ルシウム源:乳酸源:クエン酸源のモル比がカルシウ
ム、乳酸、クエン酸換算で1:1.8:1)、及び香料
を練り込みよく混合した後、冷却、成形した。このキャ
ンディーは、一粒4g当り10mgのカルシウムを含ん
でおり、風味、味共に良好であった。
【0035】実施例8 (飲料の作製) 表5の原材料を混合して、カルシウム強化飲料を得た。
この中で、本発明のカルシウム組成物(CLC)のカ
ルシウム源:乳酸源:クエン酸源のモル比はカルシウ
ム、乳酸、クエン酸換算で1:1.8:0.7であっ
た。
【0036】
【表5】 表 5 ──────────────────────────────── 果糖ブドウ糖液糖 220 g DL−乳酸(50重量%) 8.15g クエン酸 3.21g 炭酸カルシウム 2.51g 香 料 2 g ────────────────────────────────
【0037】以上の原材料を水に溶解し、1リットルに
フィルアップした後、殺菌及びビン詰めした。この飲料
100mlは、カルシウムとして100mgを含有し、
風味、味共に良好であった。
【0038】実施例9 (ラーメンの作製) 400gのラーメン専用粉(かんすい等を含む小麦粉)
に乳酸ナトリウム2.24g(50重量%溶液)、クエ
ン酸ナトリウム0.85g及び炭酸カルシウム1gから
なるカルシウム組成物(CLC)(カルシウム源:乳
酸源:クエン酸源のモル比がカルシウム、乳酸、クエン
酸換算で1:1:0.3)と、160mlの水を加え、
そぼろ状になるように混合した。これを家庭用製麺機
〔三洋電気(株)製〕で製麺し、ラーメンを得た。この
ラーメンは一人前(小麦粉100g相当)当りカルシウ
ム100mgを含んでおり、テクスチャー、味共に良好
であった。
【0039】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
易吸収性カルシウム組成物は、カルシウムの吸収性及び
骨への取込効率に優れており、極めて有用な食品添加
物、栄養補助食品、健康食品あるいは医薬品を提供でき
る。これらは現在の食生活で唯一不足しているカルシウ
ムの補給に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】45Caでラベルした放射能性カルシウム剤をラ
ットに経口投与したときの血中放射能の経時変化を示し
た図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 君塚 房夫 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 森田 日出男 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム源、乳酸源及びクエン酸源か
    ら成り、かつ、カルシウム易吸収性であることを特徴と
    する易吸収性カルシウム組成物。
  2. 【請求項2】 カルシウム源が炭酸カルシウム及び/又
    は塩化カルシウム、乳酸源が乳酸、乳酸カルシウム及び
    /又は乳酸ナトリウム、クエン酸源がクエン酸、クエン
    酸カルシウム及び/又はクエン酸ナトリウムである請求
    項1記載の易吸収性カルシウム組成物。
  3. 【請求項3】 カルシウム源:乳酸源:クエン酸源のモ
    ル比がカルシウム、乳酸、クエン酸換算で1:0.3〜
    3.0:0.1〜1.0である請求項1又は2記載の易
    吸収性カルシウム組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の易吸収性カル
    シウム組成物を含むことを特徴とするカルシウム補給
    剤。
  5. 【請求項5】 請求項1、2又は3記載の易吸収性カル
    シウム組成物を含むことを特徴とする骨強化カルシウム
    剤。
  6. 【請求項6】 請求項1、2又は3記載の易吸収性カル
    シウム組成物を含むことを特徴とする骨強化食品。
JP7282378A 1995-10-05 1995-10-05 易吸収性カルシウム組成物 Pending JPH0998738A (ja)

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