JPH0997737A - 印刷コンデンサとその製造方法 - Google Patents

印刷コンデンサとその製造方法

Info

Publication number
JPH0997737A
JPH0997737A JP25495795A JP25495795A JPH0997737A JP H0997737 A JPH0997737 A JP H0997737A JP 25495795 A JP25495795 A JP 25495795A JP 25495795 A JP25495795 A JP 25495795A JP H0997737 A JPH0997737 A JP H0997737A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric
particles
layer
conductive
dielectric layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25495795A
Other languages
English (en)
Inventor
Michinori Komagata
道典 駒形
Kenichi Suzuki
憲一 鈴木
Hiroyuki Kurokawa
寛幸 黒川
Ichiro Ishiyama
一郎 石山
Ichiro Nagare
一郎 流
Koji Azuma
紘二 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NAMITSUKUSU KK
Original Assignee
NAMITSUKUSU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NAMITSUKUSU KK filed Critical NAMITSUKUSU KK
Priority to JP25495795A priority Critical patent/JPH0997737A/ja
Publication of JPH0997737A publication Critical patent/JPH0997737A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Ceramic Capacitors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化、薄型化が容易で、マイグレーション
を起こさず、耐久性が高く、静電容量の大きい印刷コン
デンサ、およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 誘電体層に65〜85体積%含まれる誘
電体が、平均粒径3〜7μm のもの50〜80体積%と
0.1〜0.5μm のもの残余量からなり、バインダー
樹脂の40〜100重量%が平均分子量2,000以上
のフェノール系樹脂であり、導電粒子が銀、銅またはそ
れらを含有する合金からなる金属粒子を含む場合は、誘
電体層との境界に炭素材導電層を有する印刷コンデン
サ、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は印刷コンデンサおよ
びその製造方法に関し、さらに詳細には、導電層から誘
電層へのマイグレーションが低減された印刷コンデンサ
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化、薄型化を図るため
に、そこに用いられるコンデンサは、一般に表面実装型
のチップ部品を回路基板にハンダ付けして設けられてい
る。しかし、チップ部品をハンダで接続する方法では、
薄型化に限界があり、多層化にも対応できないという問
題がある。そのうえ、電子機器を廃棄した後、酸性雨に
より、使用された鉛合金ハンダが溶解し、地下水などの
汚染を引き起こすので、このようなハンダの使用を避け
ることが、環境保全上、必要になってきた。
【0003】一方、特開昭55−130127号公報や
特開平3−79099号公報に開示されているように、
基板に印刷によってコンデンサを形成させる方法も用い
られる。この場合、導電層に銀が含まれるために、銀に
よるマイグレーションを起こし、耐電圧が低下したり、
使用中に短絡を生ずるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、小型
化、薄型化が容易で、マイグレーションを起こさず、耐
久性が高く、静電容量の大きい印刷コンデンサ、および
その製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため研究を重ねた結果、特定の粒度分布の
誘電体を特定のバインダーと組み合わせて用いることに
より、優れた耐電圧と静電容量を有する誘電体層が得ら
れることを見出し、さらに、導電層の導電粒子の種類、
または導電層の構造、ならびに誘電体層および絶縁層に
用いられるバインダー樹脂を選択することによって、マ
イグレーションが生じにくくなることを見出して、本発
明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の印刷コンデンサは、絶
縁性基板の表面に一方の電極が形成され、該電極の表面
に誘電体とバインダー樹脂を含む誘電体層が形成され、
該誘電体層の表面に、バインダー樹脂中に導電粒子を含
み、他方の電極として機能する導電層が形成され、さら
に誘電体層および導電層を覆って、バインダー樹脂を含
む絶縁層が形成されている印刷コンデンサにおいて、 (1)該誘電体層に占める誘電体の量が65〜85体積
%であり; (2)該誘電体が、(a)平均粒径3〜7μm の誘電体
粉末50〜80体積%と、(b)平均粒径0.1〜0.
5μm の誘電体粉末20〜50体積%からなる混合物で
あり; (3)誘電体層のバインダー樹脂の40〜100重量%
が、平均分子量2,000以上のフェノール系樹脂であ
り; (4)該導電粒子が、金属粒子またはホウ化ニッケル粒
子であり、該金属粒子が銀、銅またはそれらを含有する
合金からなる金属粒子を含む場合は、誘電体層との境界
に、導電粒子が炭素材粒子であって、該炭素材粒子の少
なくとも一部が該金属粒子よりも平均粒径が小さい炭素
材導電層が存在し;そして (5)絶縁層のバインダー樹脂の40〜100重量%が
フェノール系樹脂である ことを特徴とする。
【0007】また、本発明の印刷コンデンサの製造方法
は、上記誘電体層、導電層および絶縁層を、それぞれの
成分と溶媒とを含むペーストを印刷し、乾燥して半硬化
状態に形成した後、全体を150〜230℃に加熱して
硬化させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の印刷コンデンサは、代表
的には、図1に示される断面の概念図、および図2に基
板と絶縁層を除いて示される平面の概念図のように形成
される。絶縁性基板(1)の表面に一方の電極(2)、
誘電体層(3)、他方の電極として機能する導電体層
(3)および絶縁層(4)がその順序に存在する。
【0009】基板(1)としては、ガラス、アルミナ、
ベリリア、ステアタイトのような無機絶縁体;およびガ
ラスエポキシ樹脂、ガラスフェノール樹脂などの合成樹
脂基板が例示される。
【0010】このような基板の少なくとも一方の表面
に、銅、ニッケルのような導体によって、一方の電極
(2)を形成する。すなわち、(1)基板および(2)
電極として、銅張りガラスエポキシ基板、銅を印刷して
焼成したアルミナ基板などの形態のものを用いることが
できる。常法により、エッチングなどの手段によって回
路を形成させることができる。
【0011】電極の表面を覆うように、誘電体層(3)
を形成する。該誘電体層は、誘電体とバインダーを含
み、形成された誘電体層中に占める誘電体の割合は65
〜85体積%である。誘電体の割合が65体積%未満で
は誘電率が小さく、大きな静電容量が得られない。ま
た、85体積%を越えると塗膜内部にボイドなどの欠陥
を生じやすくなり、耐電圧の低下やマイグレーションの
原因となる。
【0012】また、該誘電体は、(a)平均粒径が3〜
7μm の誘電体粉末、および(b)平均粒径が0.1〜
0.5μm の誘電体から実質的になり、誘電体中の両者
の配合比は、優れた静電容量と耐電圧を得るために、
(a)が50〜80体積%、好ましくは50〜70体積
%であり、(b)が20〜50体積%、好ましくは30
〜50体積%である。このような2種の平均粒径のもの
を併用することにより、厚さ10〜20μm の誘電体層
によって、優れた耐電圧と静電容量を得ることができ
る。(a)の平均粒径が7μm を越えると、塗膜の不均
一性のために耐電圧が低くなり、耐電圧を維持するため
には、誘電体層の厚さを20μm を越えるようにしなけ
ればならないので、コンデンサの薄層化を妨げる。ま
た、(a)の平均粒径が3μm 未満、または誘電体中の
(a)の配合比が50体積%未満では、優れた耐電圧が
得られるが、十分な静電容量が得られない。反面(a)
の配合比が80体積%を越えると、高い静電容量が得ら
れるが、耐電圧が低くなる。(b)の平均粒径が0.5
μm を越えると誘電体表面の凹凸が激しくなり、耐電圧
の低下が起こる。また、0.1μm 未満では耐電圧、静
電容量ともに不十分である。なお、(a)と(b)の中
間の、平均粒径が0.5μm を越え、3μm 未満の誘電
体粉末のみを用いると、優れた耐電圧が得られるが、静
電容量が低い。
【0013】さらに、誘電体として、平均粒径が7μm
を越えるもの、1〜5μm のもの、0.1〜0.5μm
のもの(b)、および0.1μm 未満ものを混合して、
耐電圧と静電容量の両方の条件を満たす配合も可能であ
るが、粒度の制御が困難であり、現実的でない。
【0014】誘電体としては、チタン酸カルシウム、チ
タン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどの複合酸
化物強誘電体が適している。高い静電容量を得るには、
誘電率の大きいことから、チタン酸ストロンチウムおよ
びチタン酸バリウムが好ましい。チタン酸ストロンチウ
ムまたはチタン酸バリウムの場合、1,000〜1,4
00℃で焼成したものが特に好ましい。焼成温度が1,
000℃未満では結晶の成長が十分でなく、1,400
℃を越えても特に結晶構造の変化は見られず、エネルギ
ーコストが上昇するのみである。焼成した誘電体の粉砕
には、ポットミル、ジェットミルなどを用いることがで
きる。
【0015】バインダー樹脂としては、レゾール型フェ
ノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック
型クレゾール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリ
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンと他のビニル
系モノマーとの共重合体のようなフェノール系樹脂;エ
ポキシ樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリイミドなど
の樹脂が例示されるが、誘電体層を形成するためのペー
ストに優れた印刷適性を与え、印刷によって得られた塗
膜にスクリーンの版目が残らず、表面が平滑で、耐電圧
の優れた誘電体層が得られることから、樹脂中の40〜
100重量%が平均分子量2,000以上のフェノール
系樹脂であることが必要である。このような高分子量フ
ェノール系樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、
ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンと他のビ
ニル系モノマー、たとえばメチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメ
タクリレートなどのメタクリル酸エステル;対応するア
クリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレンなど
のスチレン類などとの共重合体およびフェノール変性キ
シレン樹脂が挙げられる。このような高分子量フェノー
ル系樹脂に、残余量のエポキシ樹脂、メラミン樹脂およ
び/または尿素樹脂を併用することができる。エポキシ
樹脂を単独で用いると、印刷の際に凹凸の大きい表面が
得られるので、満足すべき耐電圧を有する誘電体層が得
られない。また、印刷コンデンサに耐熱性が求められる
場合は、ポリイミドを用いて優れた耐熱性が得られる。
ただし、この場合は溶媒としてN−メチルピロリドンの
ような非プロトン極性溶媒を用いる必要があり、そのた
め印刷の際に溶媒が吸湿して、版に樹脂が析出するの
で、連続印刷を行うには難がある。
【0016】誘電体層の表面に、導電層(4)を形成す
る。該導電層は、導電粒子とバインダー樹脂を含み、導
電層中に占める導電粒子の割合は、その種類、形状、粒
径およびその分布、表面処理の有無および表面処理剤に
よっても異なるが、30〜60体積%が好ましく、40
〜50体積%がさらに好ましい。30体積%未満では抵
抗が高く、60体積%を越えると接着強度が低く、特に
導電粒子として卑金属粒子を用いる場合には、粒子表面
の酸化によって、経時的に抵抗が高くなる傾向がある。
【0017】導電粒子としては、銀、銅、ニッケルおよ
びそれらを含有する合金のような金属粒子;およびNi
3 B、Ni2 Bのようなホウ化ニッケル粒子が用いられ
る。ただし、導電粒子として銀、銅またはそれらを含有
する合金の粒子を用いる場合は、該導電層が誘電体層と
接する部分に、導電粒子として炭素材粒子を有する炭素
材導電層を形成することが必要である。この場合、該炭
素材粒子の少なくとも一部は、該金属粒子の平均粒径よ
りも小さい平均粒径を有する。炭素材粒子としては、ア
セチレンブラック、ランプブラック、ファーネスブラッ
クのようなカーボンブラック;グラファイト;および両
者の中間のメソフェーズ段階の炭素材が例示される。な
お、導電層としてこのような炭素材導電層のみを有する
印刷コンデンサは、誘電正接を0.05以内にすること
ができない。このように2層の導電層を形成する場合、
前述の導電層に占める導電粒子の割合は、いずれの導電
層にも独立して適用される。
【0018】このような炭素材粒子を導電粒子として有
する炭素材導電層を誘電体層に隣接して形成することに
より、抵抗が小さく、高周波回路に使用できるなど、
銀、銅またはそれらを含有する合金の粒子を導電粒子と
して用いる利点を保持し、大きい静電容量を得るととも
に、これらの金属の誘電体層へのマイグレーションを防
ぐことができる。なお、上記の銀、銅、またはそれらを
含有する合金の粒子を含まぬ導電層を用いる場合でも、
上記と同様に炭素材導電層を設けても差し支えない。た
だし、導電層として炭素材導電層のみを用いると、誘電
正接が大きくなって、印刷コンデンサの導電層には適さ
ない。
【0019】炭素材導電層を設ける場合、その正味厚さ
は特に限定されないが、1〜5μmであることが好まし
い。この炭素材導電層は必ずしも平坦な層として形成す
る必要はない。誘電体層と導電層の境界部の断面を図3
に示すように、誘電体層表面の凹凸に沿って、その部分
の誘電体を覆うように炭素材導電層が形成されればよ
い。
【0020】導電粒子は、球状などの粉体でもよく、針
状またはリン片状のものでもよい。その平均粒径は、金
属粒子、ホウ化ニッケル粒子の場合、0.05〜30μ
m が好ましく、0.1〜20μm がより好ましい。上記
の、誘電体層に隣接して形成される炭素材導電層に用い
られる少なくとも一部の炭素材粒子の平均粒径は、0.
001〜0.2μm が好ましく、0.001〜0.1μ
m がより好ましい。さらに、該炭素材粒子は、用いられ
る金属粒子よりも細かくなければならない。該炭素材粒
子としてグラファイトを併用する場合、グラファイトの
平均粒径は0.5〜5μm 、好ましくは0.5〜3μm
であり、その量は全炭素材粒子の50重量%以下が好ま
しい。
【0021】導電層のバインダー樹脂としては、透湿性
や吸湿性が低く、誘電体層との間の密着性が優れている
ことから、フェノール系樹脂が好ましく、誘電体層のバ
インダーと同様に、他の樹脂と併用してもよい。優れた
印刷適性が得られることから、樹脂の40〜100重量
%が、平均分子量2,000以上の高分子量フェノール
系樹脂であることが好ましい。
【0022】このような構成をとることにより、導電層
の厚さは、金属導電粒子が銀、銅またはそれらを含有す
る合金を含むときに設けられる炭素材導電層の厚さとの
合計で、5〜25μm にすることができる。この厚さが
5μm 未満では、導電層の抵抗が高くなり、大面積の印
刷コンデンサを形成する場合に誘電正接が上昇する。一
方、25μm を越えると、絶縁層を塗布する際に表面の
凹凸が大きくなり、平滑性が損なわれる。
【0023】誘電体層および導電層を覆うように、絶縁
層(5)を形成する。該絶縁層は、充填剤とバインダー
を含み、絶縁層中に占める充填剤の割合は40〜70体
積%が好ましい。充填剤としては、シリカ、酸化チタ
ン、アルミナ、クレーなどが例示される。絶縁層の表面
に印刷適性を与える必要がある場合には、煙霧質シリ
カ、ベントナイトなどを配合してもよい。絶縁層の厚さ
は特に限定されないが、導電層の上に形成される部分
で、通常20〜100μm である。
【0024】絶縁層のバインダーとしては、吸湿性や透
湿性が低く、導電層中に透過した水分の存在によるマイ
グレーションを防止すること、および他の層との密着性
を高めることから、樹脂中の40〜100重量%にフェ
ノール系樹脂を用いる。フェノール系樹脂としては、レ
ゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹
脂、ノボラック型クレゾール樹脂、フェノール変性キシ
レン樹脂、ポリヒドロキシスチレンおよびヒドロキシス
チレンと他のビニル系モノマーとの共重合体が例示され
る。これらのフェノール系樹脂に、吸湿性や透湿性に悪
影響を与えない範囲で、残余量のエポキシ樹脂などを併
用しても差し支えない。
【0025】また、充填剤の表面を改質するために、シ
ランカップリング剤やシリル化剤であらかじめ充填剤の
表面処理を行うか、これらを添加剤として配合してもよ
い。
【0026】本発明の印刷コンデンサに、本発明の特徴
を保持するかぎり、マーキング層など、任意の層を追加
しても差し支えない。
【0027】このような誘電体層(3)、導電層(4)
および絶縁層(5)の形成は、バインダー樹脂を溶解し
える有機溶媒を用いてそれぞれの層を構成する成分をペ
ースト化し、スクリーン印刷、ロール転写のような印刷
によって逐次印刷することによって、実施することがで
きる。
【0028】有機溶媒としては、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエー
テルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテ
ート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレン
グリコールモノブチルエーテル、およびそれらに対応す
るモノメチルエーテル、モノエチルエーテルのようなエ
ーテルアルコール類およびそのエステル類;マロン酸ジ
エチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチルのような
エステル類;メチルシクロヘキサノン、イソホロンのよ
うなケトン類;ならびにp−シメン、デカリン、テトラ
リンなどの芳香族炭化水素が例示され、沸点が150〜
250℃の範囲のものが好ましい。沸点が150℃未満
では、印刷の際に版の上でペーストが乾燥して、印刷で
きなくなる。一方、沸点が250℃を越えると、乾燥に
長時間が必要となり、効率的でない。これらの溶媒は、
1種でも、2種以上を併用してもよい。
【0029】ペースト化は、たとえば、溶媒にバインダ
ー樹脂を溶解させて得られる溶液に、形成する層に応じ
て計算量の粒子と、必要に応じて任意に添加される添加
剤を配合し、ライカイ機、撹拌混合機、ロールミル、ポ
ットミルなどを用いて混合することによって、実施でき
る。
【0030】本発明の印刷コンデンサの製造方法によれ
ば、それぞれの層のペーストを印刷した後、乾燥して半
硬化状態に層を形成させ、ついで次に層のペーストを印
刷する。なお、炭素材導電層を設ける際には、誘電体層
の次に別途に印刷する。これを繰返して全体の層を形成
させた後、全体を加熱して硬化させる。
【0031】各層を半硬化状態に乾燥するための乾燥温
度は、ペースト化に用いた溶媒の沸点より20〜100
℃だけ低い温度が好ましい。たとえば溶媒としてジエチ
レングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)を
用いる場合、乾燥温度は130〜210℃、たとえば1
50℃である。これ未満の温度、たとえば110℃では
溶媒を完全には除去できず、加熱硬化の際に膨れを生ず
る。これを越える温度で乾燥すると、ピンホールなどの
欠陥を生じる。乾燥時間は、それぞれの層について、5
〜20分が好ましい。
【0032】硬化のため加熱温度は150〜230℃で
ある。加熱温度が150℃未満では十分な硬化が行われ
ないので、湿気の存在する条件でマイグレーションを生
じたり、抵抗や誘電正接が経時的に上昇する。一方、加
熱温度が230℃を越えると、基板の変形や、樹脂の分
解が起こる。加熱時間は、バインダー樹脂の種類と硬化
温度によっても異なるが、10〜60分が好ましい。加
熱には、熱風炉、赤外炉、遠赤外炉のような加熱炉を用
いることができ、バッチ法、連続法のいずれを用いても
よい。
【0033】このような製造方法によって、効率よく、
しかも加熱硬化の反覆による層間剥離を生ずることな
く、また、低い消費エネルギーによって本発明の印刷コ
ンデンサを製造できる。
【0034】
【発明の効果】本発明によって、チップ部品のハンダ付
け不良や環境への悪影響を起こすハンダ接続法を用い
ず、大きい静電容量と優れた耐電圧を有し、マイグレー
ションがなく、薄層化や多層化が可能な印刷コンデン
サ、およびその有利な製造が可能である。本発明の印刷
コンデンサを用いて、半導体などの部品を接着剤で接続
して、薄型回路を形成できる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を、参考例、実施例および比較
例を用いて具体的に説明する。本発明は、これらの実施
例によって限定されるものではない。なお、一連の参考
例は共通した英字と数字との組合せで表すが、そのシリ
ーズ全体を英字で表して引用することがある。
【0036】参考例a1〜a5 誘電体の焼成温度 チタン酸バリウム粉末を800℃、1,000℃、1,
100℃、1,200℃または1,400℃で2時間そ
れぞれ焼成し、ポットミルを用いて粉砕し、平均粒径
0.2μm の粒子を得た。これを、平均分子量2,00
0のレゾール型フェノール樹脂の60重量%ジエチレン
グリコールモノブチルエーテル溶液に、加熱によって誘
電体粉末65体積%を有する誘電体層を形成する量配合
し、三本ロールによって均一になるまで混合して、誘電
体ペーストを調製した。これを銅張りガラスエポキシ基
板の銅張り面にスクリーン印刷し、150℃で15分乾
燥した後、後述の参考例d4およびd1による導電層を
それぞれスクリーン印刷し、150℃で10分乾燥して
半硬化状態に形成し、ついで180℃で30分加熱し
て、図1、図2に示される厚さ12〜15μm の誘電体
層3を、導電層4とともに形成させて試料とした。
【0037】得られた誘電体層の静電容量、誘電正接お
よび耐電圧を測定した。ただし、静電容量は、周波数1
0MHz のLCRメーターを用いて測定し、厚さ10μm
の値に換算した。耐電圧の値としては、100V/min の
昇圧速度で500Vまで昇圧して、絶縁が破壊された電
圧の実測値をそのまま示した。チタン酸バリウムの焼成
温度と、得られた電気特性との関係を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、焼成温度が1,
000℃未満では静電容量が小さい。
【0040】参考例b1〜b4 誘電体層のバインダー
樹脂 1,200℃で2時間焼成し、平均粒径0.2μm に粉
砕したチタン酸バリウムを、表4に示すような、種類お
よび分子量の異なる各種のフェノール系樹脂をバインダ
ーとし、参考例aと同様の方法で分散させて誘電体ペー
ストを調製した。これを用いて、参考例aと同様にし
て、厚さ12〜15μm の誘電体層3を、導電層4とと
もに形成させた。
【0041】誘電体ペーストの印刷適性を評価するとと
もに、参考例aと同様にして電気特性を測定した。それ
らの結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2から明らかなように、平均分子量が
2,000以上のフェノール系樹脂をバインダーとして
用いると、印刷性に優れ、高い耐電圧が得られる。
【0044】参考例c1〜c16 誘電体粉末の粒径と
配合比 1,200℃で2時間焼成し、粉砕した各種の平均粒径
のチタン酸バリウム粒子と、平均分子量2,000のレ
ゾール型フェノール樹脂を用いて、参考例aと同様にし
て誘電体ペーストを調製し、これより参考例aと同様に
厚さ12〜15μm の誘電体層3を、導電層4とともに
形成させた。ただし、参考例c1〜c8では、それぞれ
1種類の平均粒径のものを70体積%用いて、誘電体層
を形成させ、参考例c9〜c16では、それぞれ2種類
の平均粒径のものを、表3に示す量および量比で混合し
て用いて、誘電体層を形成させた。
【0045】誘電体ペーストの印刷適性を評価するとと
もに、参考例aと同様にして電気特性を測定した。誘電
体粉末の粒径と配合比、および印刷適性と電気特性を表
3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】参考例d1〜d5 導電層 平均分子量2,000もしくは3,000のレゾール型
フェノール樹脂、またはこれと平均分子量7,000の
エポキシ樹脂と重量比7:3の混合樹脂のぞれぞれ50
重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液
に、表4に示す導電粒子を配合し、三本ロールによって
均一になるまで混合して、導電ペーストを得た。これを
乾燥したガラスエポキシ基板にスクリーン印刷し、15
0℃で10分乾燥した後、180℃で30分加熱して、
厚さ13μm の導電層を形成させ、その比抵抗を測定し
た。導電層の組成と比抵抗を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】参考例e1〜e3 絶縁層 実施例および比較例において、絶縁層の形成に用いられ
た絶縁ペーストから、硬化して得られた絶縁層の組成を
表5に示す。溶媒には、いずれもジエチレングリコール
モノブチルエーテルを用いた。
【0050】
【表5】
【0051】実施例1〜8、比較例1〜12 上記の参考例cで調製された誘電体ペーストの1種、参
考例dで調製された導電ペーストの1種または2種、お
よび参考例eで調製された絶縁ペーストの1種を用い
て、概念図を図1および図2に示す構造の、実施例1〜
8および比較例1〜12の印刷コンデンサをそれぞれ作
製した。すなわち、銅張りガラスエポキシ基板の銅張り
面に誘電体ペーストをスクリーン印刷し、150℃で1
5分乾燥した。この上に導電ペーストをスクリーン印刷
し、150℃で10分乾燥した。ただし、一部を除い
て、導電層1として示される導電ペーストを用いて上記
の印刷と乾燥を行った後、導電層2として示される導電
ペーストを用いて同様の工程を反覆した。ついで、この
上に絶縁ペーストをスクリーン印刷し、150℃で10
分乾燥した後、全体を180℃で30分加熱して硬化さ
せた。これらの実施例および比較例において、各層の形
成に用いられたペーストを、それを調製した参考例の番
号で表して、実施例については表6、比較例については
表7に示す。ただし、比較例11の絶縁層にはエポキシ
アクリレート系紫外線硬化型レジストを用い、乾燥は加
熱によらず、紫外線照射によって行った。また、比較例
12の絶縁層には市販のエポキシ系熱硬化型レジストを
用いた。このようにして、膨れや割れを生ぜずに各層を
形成した印刷コンデンサが得られた。
【0052】得られた印刷コンデンサの電気特性を、参
考例aと同様にして測定した。また、印刷コンデンサ
を、120℃、100%RHに設定されたプレッシャーク
ッカー中で、50Vの電圧を印加しつつ500時間まで
放置し、マイグレーションによる洩れ電流が50mAを越
えた時間を測定して、耐マイグレーション性の値とし
た。これらの測定結果を、表6および表7に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】実施例1〜8で得られた印刷コンデンサ
は、優れた電気特性と耐マイグレーション性を示した。
これに対して、比較例1〜3の印刷コンデンサは、炭素
材導電層を設けなかったので耐マイグレーション性が悪
く、比較例4の印刷コンデンサは、導電層として炭素材
導電層のみを有するため、誘電正接が大きい。平均粒径
が0.2〜3μm の誘電体粒子をそれぞれ単独に用いた
比較例5〜8の印刷コンデンサは、十分な静電容量が得
られず、同様に平均粒径が10μm の誘電体粒子のみを
用いた比較例9の印刷コンデンサは、耐電圧と耐マイグ
レーション性が劣っていた。比較例10の印刷コンデン
サは2種の平均粒径を有する誘電体粒子を混合して用い
ているが、その一方に平均粒径10μm のものを用いて
いるので、やはり耐電圧と耐マイグレーション性が劣っ
ていた。比較例11および12の印刷コンデンサは、い
ずれも絶縁層のバインダー樹脂としてエポキシアクリレ
ート樹脂またはエポキシ樹脂を用いており、かつ前者は
炭素材導電層を設けなかったので、いずれも耐マイグレ
ーションが劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷コンデンサの代表的な断面の概念
図である。
【図2】本発明の印刷コンデンサの代表的な平面の概念
図(ただし、基板と絶縁層を省略する)である。
【図3】誘電体層と導電層の境界部における炭素材導電
層を示す断面の模式図である。
【符号の説明】
1 基板 2 電極 3 誘電体層 4 導電層 5 絶縁層 31 誘電体粒子 41 炭素材粒子 42 金属粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石山 一郎 富山県上新川郡大沢野町下大久保3158番地 北陸電気工業株式会社内 (72)発明者 流 一郎 富山県上新川郡大沢野町下大久保3158番地 北陸電気工業株式会社内 (72)発明者 東 紘二 富山県上新川郡大沢野町下大久保3158番地 北陸電気工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板の表面に一方の電極が形成さ
    れ、該電極の表面に誘電体とバインダー樹脂を含む誘電
    体層が形成され、該誘電体層の表面に、バインダー樹脂
    中に導電粒子を含み、他方の電極として機能する導電層
    が形成され、さらに誘電体層および導電層を覆って、バ
    インダー樹脂を含む絶縁層が形成されている印刷コンデ
    ンサにおいて、 (1)該誘電体層に占める誘電体の量が65〜85体積
    %であり; (2)該誘電体が、(a)平均粒径3〜7μm の誘電体
    粉末50〜80体積%と、(b)平均粒径0.1〜0.
    5μm の誘電体粉末20〜50体積%からなる混合物で
    あり; (3)誘電体層のバインダー樹脂の40〜100重量%
    が、平均分子量2,000以上のフェノール系樹脂であ
    り; (4)該導電粒子が、金属粒子またはホウ化ニッケル粒
    子であり、該金属粒子が銀、銅またはそれらを含有する
    合金からなる金属粒子を含む場合は、誘電体層との境界
    に、導電粒子が炭素材粒子であって、該炭素材粒子の少
    なくとも一部が該金属粒子よりも平均粒径が小さい炭素
    材導電層が存在し;そして (5)絶縁層のバインダー樹脂の40〜100重量%が
    フェノール系樹脂である ことを特徴とする印刷コンデンサ。
  2. 【請求項2】 誘電体が、1,000〜1,400℃で
    焼成されたチタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチ
    ウムである請求項1記載の印刷コンデンサ。
  3. 【請求項3】 導電層に占める導電粒子の割合が30〜
    60体積%である、請求項1記載の印刷コンデンサ。
  4. 【請求項4】 誘電体層、導電層および絶縁層を、それ
    ぞれの成分と溶媒とを含むペーストを印刷し、乾燥して
    半硬化状態に形成させた後、全体を150〜230℃に
    加熱して硬化させることを特徴とする、請求項1記載の
    印刷コンデンサを製造する方法。
  5. 【請求項5】 乾燥温度が、用いた溶媒の沸点より20
    〜100℃だけ低い温度である請求項4記載の製造方
    法。
JP25495795A 1995-10-02 1995-10-02 印刷コンデンサとその製造方法 Pending JPH0997737A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25495795A JPH0997737A (ja) 1995-10-02 1995-10-02 印刷コンデンサとその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25495795A JPH0997737A (ja) 1995-10-02 1995-10-02 印刷コンデンサとその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0997737A true JPH0997737A (ja) 1997-04-08

Family

ID=17272219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25495795A Pending JPH0997737A (ja) 1995-10-02 1995-10-02 印刷コンデンサとその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0997737A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005325357A (ja) * 2004-05-06 2005-11-24 Natl Starch & Chem Investment Holding Corp 末端コーティング

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005325357A (ja) * 2004-05-06 2005-11-24 Natl Starch & Chem Investment Holding Corp 末端コーティング

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100377309B1 (ko) 부동태 부품을 매립하는 개선된 방법
JP6174106B2 (ja) 導電性ペースト及び導電膜の製造方法
WO2003085052A1 (fr) Composition conductrice, film conducteur et procede de production de celui-ci
JP4301763B2 (ja) 銀化合物ペースト
TW200303160A (en) An improved method to embed thick film components
JP2011503240A (ja) オフセット印刷用電極組成物及びそれによる電極製造方法、並びにそれらを用いたプラズマディスプレイパネル
JPH04198271A (ja) 導電性ペースト組成物
US6821555B2 (en) Edge connectors for printed circuit boards comprising conductive ink
JP5342603B2 (ja) 焼成ペースト用銅微粒子および銅焼成膜の形成方法
JP2015214722A (ja) 銅微粒子焼結体と導電性基板の製造方法
JP5458862B2 (ja) 加熱硬化型銀ペーストおよびこれを用いて形成した導体膜
JPH04213373A (ja) 導電性インキならびに導電性厚膜パターンの形成方法
JP2010059409A (ja) 導電性インキ
JPH0997737A (ja) 印刷コンデンサとその製造方法
JP2014024735A (ja) 感光性絶縁ペーストおよび積層型コイル部品
JP5421523B2 (ja) 導電性樹脂組成物、それを用いて得られる導電性パターンを有する基板
CN113707359B (zh) 一种电极膏和导电厚膜及其制备方法
US8562808B2 (en) Polymer thick film silver electrode composition for use as a plating link
JP2001067951A (ja) 導電性厚膜ペーストの製造方法,導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品
JP2006073836A (ja) セラミック電子部品用導電性ペーストおよびセラミック電子部品
JP2010059410A (ja) 導電性インキ
JP4639411B2 (ja) ペースト組成物、電子部品およびセラミックグリーンシート、ならびに多層セラミック基板の製造方法
JP2003257244A (ja) 導電性樹脂ペースト及び導電性樹脂膜
JP2004335364A (ja) 高誘電率粉末並びに高誘電率樹脂組成物、電子部品
GB2074152A (en) Coating method