JPH0997421A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布面のクリーニング効果を向上させ、磁性
層やバックコート層における外観形状の不良の発生を抑
えるとともに、ドロップアウトを低減させる。 【解決手段】 非磁性支持体１上に磁性層やバックコー
ト層を塗布形成する前に、粘着性を有するゴムロール３
を用いて塗布面１ａをクリーニングする際に、該ゴムロ
ール３と接してバックアップロール４を配設し、該バッ
クアップロール４にて上記非磁性支持体１を背面側より
上記ゴムロール３の周面に押圧する。これにより、上記
塗布面１ａと上記ゴムロール３間の接触面圧が向上し、
上記塗布面１ａ上の異物２が確実に除去される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
設けられる磁性層又はバックコート層の塗布形成前に塗
布面の表面処理を粘着性のゴムロールを用いて行う磁気
記録媒体の製造方法に関し、特にクリーニング効果の向
上に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、磁気記録媒体においては、小型化
に伴って高密度記録化が進められており、媒体の表面平
滑性や薄膜化が一層強く要求されるようになっている。
この高記録密度化により記録波長の短波長化が図られて
いるが、その結果媒体の表面性の悪化によってドロップ
アウトが発生しやすくなっている。

【０００３】このドロップアウトを引き起こす原因物と
して、非磁性支持体上に付着する異物等が挙げられる。
この非磁性支持体上の異物には、非磁性支持体表面の微
細な突起や、製造工程中において静電気等により非磁性
支持体表面に吸い寄せられる環境中の微細塵やゴミ（コ
ンタミ）、或いは非磁性支持体自体の削れ塵等が考えら
れる。

【０００４】このような非磁性支持体上の異物は、該非
磁性支持体上に磁性層やバックコート層を塗布形成する
際に、磁性塗料やバックコート層用塗料からなる塗膜内
に埋め込まれ、粗大な突起物となって上述のようにドロ
ップアウトを増加させたり、外観形状の不良となったり
する。

【０００５】この問題に対して、従来より、例えば図３
及び図４に示すように、所定の方向に移動走行せしめら
れる非磁性支持体１１の塗布面１１ａ上に塗布部Ａにて
磁性層やバックコート層を塗布形成する前に、粘着性ゴ
ムロール１３を用いて上記塗布面１１ａをクリーニング
する方法が行われている。

【０００６】即ち、この方法においては、送り出し側よ
り送り出される非磁性支持体１１が、表面に塗料が供給
される塗布ロール１５と、上記移動走行せしめられる非
磁性支持体１１を介して上記塗布ロール１５と対向配置
されるバックアップロール１６とから構成される塗布部
Ａ（図３中点線領域内）に向かって搬送される中途部
に、少なくとも周面が粘着性を有する粘着性ゴムロール
１３が配設される。

【０００７】この粘着性ゴムロール１３は、図４に示す
ように、上記非磁性支持体１１の塗布面１１ａに対して
３０〜１５０゜の抱角を持って接触するように配設され
る。そして、該粘着性ゴムロール１３を時計方向に回転
せしめ、その周面の粘着性を利用することで上記非磁性
支持体１１の塗布面１１ａに付着した異物１２を該粘着
性ゴムロール１３の周面に転写させ、上記塗布面１１ａ
から上記異物１２を除去する。

【０００８】なお、上記非磁性支持体１１が送り出し側
から上記塗布部Ａに亘って移動走行せしめられる中途部
には、上記粘着性ゴムロール１３より小径の円筒型をな
す複数個のガイドロール１４ａ〜１４ｆが互いに離間し
て配設され、上記非磁性支持体１１を支持するととも
に、該非磁性支持体１１に適当なテンションを与えて円
滑な走行がなされるようになされている。

【０００９】このような粘着性ゴムロールを用いたクリ
ーニング方法において、クリーニング効果は、主に１）
ゴムロールの粘着性、２）ゴムロールと塗布面間の接触
面圧、及び３）接触面積（フィルム抱角）の３要素が支
配的と考えられている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】このような方法により
非磁性支持体の塗布面の表面処理を行う場合、上記異物
は非磁性支持体の静電気により吸い寄せられる環境中の
微細塵や非磁性支持体自体の削れ塵等であり、その大き
さは数ミクロンから数１００ミクロンと様々である。

【００１１】このため、比較的サイズの大きい異物（お
よそ２００μｍ以上のもの）は上記粘着性ゴムロールの
表面に捕集されるものの、比較的サイズの小さい異物は
上記粘着性ゴムロールの周面に転写されず、非磁性支持
体の塗布面に残ってしまう（図３中の符号１２ａ） また、この方法は、上記非磁性支持体の幅方向の伸びに
よりクリーニング効果にバラツキが生じるといった問題
も抱えている。

【００１２】更に、このような表面処理において高速化
が進められると、それに伴って上記非磁性支持体と粘着
性ゴムロール間にエアーフィルムが介在するようにな
り、この結果処理効果は低減する。そこで、本発明は、
このような実情に鑑みて提案されたものであって、非磁
性支持体の塗布面のクリーニング効果を向上し、磁性層
やバックコート層における外観形状の不良の発生を抑え
るとともに、ドロップアウトを低減させることが可能な
磁気記録媒体の製造方法を提供する事を目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究の結果、粘着性ゴムロール
に対してバックアップロールを設け、該バックアップロ
ールにより非磁性支持体を上記粘着性ゴムロール表面に
密着させて表面処理を行うことにより、処理効率の向上
を図ることができることを見いだし、本発明を完成する
に至ったものである。

【００１４】即ち、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、非磁性支持体の一主面を粘着性を有するゴムロール
により表面処理した後、この一主面上に磁性層又はバッ
クコート層を形成する磁気記録媒体の製造方法におい
て、上記表面処理の際に、非磁性支持体の裏面側にバッ
クアップロールを配設し、非磁性支持体の一主面をゴム
ロールに圧接することによりこの一主面上の異物を除去
することを特徴とする。

【００１５】本発明においては、非磁性支持体上に設け
られる磁性層や該磁性層形成面と反対側の上記非磁性支
持体上に設けられるバックコート層等の形成前に塗布面
の表面処理を行うに際し、上記非磁性支持体の塗布面を
粘着性を持ったゴムロールに接触させると同時に、上記
塗布面の背面側に配設されるバックアップロールにより
上記塗布面をゴムロールに押圧させる。これにより、上
記塗布面上の異物が確実に上記ゴムロール表面に転写さ
れるようになり、処理効率が向上する。また、上記非磁
性支持体の幅方向の伸びによるクリーニングムラが抑え
られ、均一なクリーニング効果が得られる。更に、高速
走行時においても、ゴムロールと塗布面間に巻き込まれ
るエア量が抑えられ、常に良好な密着状態を保つことが
できるので、高速処理が十分対応可能となる。

【００１６】上記バックアップロールを構成してなる材
料としては、従来公知のものがいずれも使用可能であ
り、なんら限定されるものではない。具体的に例示する
ならば、金属、プラスチック等が挙げられる。本発明を
適用して製造される磁気記録媒体としては、塗布型の磁
気記録媒体が挙げられるが、勿論これに限定されるもの
ではなく、金属薄膜型の磁気記録媒体（いわゆる蒸着テ
ープ）等にも適用可能である。

【００１７】該塗布型の磁気記録媒体において、上記非
磁性支持体上に形成される磁性層の構成材料である磁性
粉末や結合剤等、或いは該磁性層形成面の背面側の上記
非磁性支持体上に形成されるバックコート層の構成材料
である無機顔料や結合剤等としては、従来公知のものが
いずれも使用可能であり、特に限定されない。

【００１８】

【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明がこの実施例に限定されるものでないこと
は言うまでもない。先ず、本実施例において、ベースフ
ィルム上に磁性塗料からなる磁性層を塗布形成する前に
塗布面を表面処理する際に用いた表面処理装置の構成に
ついて説明する。

【００１９】この表面処理装置においては、図１に示す
ように、被処理体であるベースフィルム１が巻き出し側
から巻き取り側に向かって移動走行される中途部に、時
計回り方向に回転可能な粘着性ゴムロール３が配設され
る。この粘着性ゴムロール３は、上記ベースフィルム１
の塗布面１ａ側に配設され、その周面が上記塗布面１ａ
に接触するようになされる。

【００２０】この粘着性ゴムロール３は、少なくとも上
記ベースフィルム１より幅広の円筒型であり、その材質
としては、周面が粘着性を有する材質とされていれば主
な構成材料は特に限定されるものではなく、従来公知の
ものがいずれも使用可能である。具体的に例示するなら
ば、上記主な構成材料として金属、プラスチック等が挙
げられる。

【００２１】このような粘着性ゴムロール３と対向して
バックアップロール４が配設される。これにより、該バ
ックアップロール４と上記粘着性ゴムロール３との間に
順次供給される上記ベースフィルム１の塗布面１ａが上
記粘着性ゴムロール３に押圧され、上記塗布面１ａに付
着した異物２が上記粘着性ゴムロール３の周面に確実に
転写される。この結果、上記バックアップロール４と上
記粘着性ゴムロール３間を通過した上記ベースフィルム
１の塗布面１ａに比較的サイズの大きい異物（およそ２
００μｍ以上のもの）２ａはもとより、比較的サイズの
小さい異物２ｂが残存する虞がなくなり、優れたクリー
ニング効果が得られる。また、上記ベースフィルム１の
幅方向の伸びが防止されるので、幅方向における処理ム
ラが抑えられる。更に、上記ベースフィルム１の走行速
度を上げても、該ベースフィルム１の塗布面１ａと上記
粘着性ゴムロール３間にエアーフィルムが介在すること
が防止できるので、処理速度の向上に十分対応可能とな
る。

【００２２】このバックアップロール４は、上記ベース
フィルム１と略同じ幅を有する円筒型であり、駆動系を
有さず回転自在とされてなる。また、このバックアップ
ロール４の材質としては、従来公知のものがいずれも使
用可能であり、特に限定されない。具体的に例示するな
らば、金属、プラスチック等が挙げられるが、本実施例
では該バックアップロール４として、スチール製のもの
を使用した。

【００２３】ここで、図２に示すように、上記バックア
ップロール４の両端部には、エアーシリンダ５が取り付
けられる。このエアーシリンダ５にてシリンダ圧を調節
することにより上記粘着性ゴムロール３と上記バックア
ップロール４間を通過する上記ベースフィルム１の塗布
面１ａに対する上記バックアップロール４の接触面圧が
適宜調節され、良好なクリーニング効果が得られるよう
になされている。

【００２４】なお、上記ベースフィルム１の送り速度
は、必要に応じて適宜選定されることが好ましい。従っ
て、この表面処理装置においては、上記ベースフィルム
１を所定の方向に移動走行せしめるとともに、上記バッ
クアップロール４にて上記ベースフィルム１を背面側よ
り上記粘着性ゴムロール３の周面に押圧し、上記ベース
フィルム１の塗布面１ａと上記粘着性ゴムロール３を十
分に密着させる。これにより、工程設備内を搬送中に上
記ベースフィルム１の塗布面１ａに付着した微細塵やコ
ンタミ等の異物２が上記粘着性ゴムロール３により捕集
され、ドロップアウトや外観形状不良の原因物が確実に
除去される。

【００２５】そこで、このような構成を有する表面処理
装置を用いて塗布面の表面処理を行った後、該塗布面上
に磁性層を塗布形成したところ、得られた磁気テープに
おいては、表面欠陥が少なく、ドロップアウトの発生が
抑えられることが判った。なお、表面性は、得られた磁
気テープの表面を光学顕微鏡により観察し、これをＡ，
Ｂ，Ｃの３段階で評価した。

【００２６】Ａ：全くテープ傷が見られず、良好であ
る。 Ｂ：若干テープ傷が見られるが、使用レベルである。 Ｃ：テープ傷が多く見られ、使用レベルではない。 ドロップアウトは、８ｍｍＶＴＲビデオデッキを用い、
−１６ｄＢ／３μｓ条件下で２０分間測定し、その平均
値を用いた。

【００２７】なお、本実施例では、上記表面処理装置を
磁性層の形成工程前の塗布面の表面処理に用いたが、こ
のような使用目的に限定されるものではなく、例えば磁
性層の形成工程後所定幅に裁断する前後の表面処理時、
エッジ部の異物除去時、或いはバックコート形成面の表
面処理時等において使用しても上述と同様の良好な効果
が得られる。

【００２８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
においては、塗布面の表面処理を行う際にバックアップ
ロールにより上記塗布面を粘着性ゴムロールの周面に押
圧せしめているので、上記塗布面と粘着性ゴムロール間
の接触圧が向上し、上記塗布面に付着した塵やコンタミ
等の異物を確実に捕集することができる。従って、得ら
れる磁気記録媒体の表面欠陥、ドロップアウト不良が低
減する。

【００２９】また、本発明によれば、上述のようなバッ
クアップロールを配設しているので、媒体の幅方向での
伸びが抑えられ、処理ムラが少なく、均一なクリーニン
グ効果を得ることが可能となる。更に、本発明を磁気記
録媒体完成後の表面処理時に使用した場合、従来の表面
処理法である研磨方法やエア処理方法等を用いた場合の
ように、研磨による微細塵の発生がなく、またエア吹き
付けやバキュームでの処理による実力不足や処理ムラが
起こらない。また、従来の表面処理法で発生する塵等が
工程設備内の部品（例えばガイドロール等）に滞積し、
その滞積した塵等が突発的にテープに脱落して大きな不
良品発生へとつながる等の悪影響による二次不良の発生
がなくなる。従って、ドロップアウトの低減が図られ、
高品質を安定して維持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用して磁気テープの表面処理を行う
際に使用した表面処理装置の一構成例を模式的に示す側
面図である。

【図２】本発明を適用して磁気テープの表面処理を行う
際に使用した表面処理装置の一構成例を示す正面図であ
る。

【図３】塗膜形成前に従来の粘着性ゴムロールを用いた
表面処理装置により表面処理を行う工程を説明するため
の模式図である。

【図４】従来の粘着性ゴムロールを用いた表面処理装置
一構成例を模式的に示す側面図である。

【符号の説明】

１ ベースフィルム １ａ 塗布面 ２ 異物 ３ 粘着性ゴムロール ４ バックアップロール ５ エアーシリンダ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非磁性支持体の一主面を粘着性を有する
   ゴムロールにより表面処理した後、この一主面上に磁性
   層又はバックコート層を形成する磁気記録媒体の製造方
   法において、 上記表面処理の際に、非磁性支持体の裏面側にバックア
   ップロールを配設し、非磁性支持体の一主面をゴムロー
   ルに圧接することによりこの一主面上の異物を除去する
   ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。