JPH0996984A

JPH0996984A - 定着ローラー

Info

Publication number: JPH0996984A
Application number: JP27719595A
Authority: JP
Inventors: Hideki Kashiwabara; 秀樹柏原; Yoshitoshi Adachi; 俊寿足立; Katsuya Yamada; 克弥山田; Toshihiko Takiguchi; 敏彦滝口; Akira Nishimura; 昭西村
Original assignee: Sumitomo Electric Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date: 1995-09-28
Filing date: 1995-09-28
Publication date: 1997-04-08

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】耐熱性と耐シリコーンオイル性が同時に付与
された定着ローラーを提供する。【解決手段】芯金１上に、フェニルシリコーンゴムと
フロロシリコーンゴムとを含むゴム組成物からなる弾性
層２を設け、該弾性層の上にＲＴＶ型またはＬＴＶ型の
シリコーンゴム層３を設ける定着ローラー。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、複写機、
レーザービームプリンター、ファクシミリ等の特に部分
カラーあるいはフルカラー画像が出力できる機種等の定
着部に用いるローラー、即ち、弾性を持つ定着ローラー
に関するものである。ただし、本発明の定着ローラは、
これと同様な特性、即ち、弾性や非汚染性等を活用する
圧着ローラーや搬送ローラー等類似の製品への利用を除
外するものではない。

【０００２】

【従来の技術】電子写真複写機やレーザービームプリン
ター、ファクシミリ等の画像形成装置において、転写紙
上の未定着トナー像を定着させる方法として、一般に、
加熱ローラーを用いる方法が用いられている。この定着
方法は、未定着のトナー像を形成した転写紙を２つの圧
接したローラー間に通し、かつ、ローラーの一方または
双方を内部から加熱することにより、トナー像を転写紙
上に定着させる方式である。２つのローラーの内、未定
着トナー像に接触する方のローラーを定着ローラーと呼
び、通常、その内部に加熱源が配置されている。

【０００３】定着ローラーとしては、金属製の芯金の上
に、弾性層を設けたもの、あるいは弾性層の上に更に離
型層を設けたものなどが汎用されている。具体例として
は、シリコーンゴムの弾性と非汚染性または非粘着性を
利用し、芯金上にシリコーンゴムを単層に成形したもの
や、特性の異なるシリコーンゴム組成物に弾性と離型性
の機能を分担させて、弾性層と離型層の複数の層に成形
したものが、特にフルカラー画像用の定着ローラーによ
く用いられている。

【０００４】しかしながら、従来の定着ローラーは、弾
性層の耐シリコーンオイル性が乏しく、２万枚程度コピ
ーするとシリコーンオイルの浸透により弾性層が膨潤し
て、定着時に紙詰まりを生じるといった問題があった。
即ち、フルカラー画像用のトナーを定着させる場合、一
般に、これらのトナーの軟化点が低く、しかも複数のト
ナー像を重ね合わせるので、大量のトナーが載った転写
紙を定着させる必要があるため、定着ローラーにオフセ
ット現象が生じやすい。そこで、定着ローラー離型性を
向上させるために、通常、多量のシリコーンオイルを塗
布しているが、塗布したシリコーンオイルは、徐々に弾
性層にまで浸透して、弾性層が膨潤してしまう。弾性層
が膨潤すると、定着ローラーが変形したり、加圧ローラ
ーとの間の圧接力が増大し、紙詰まりを生じる。また、
弾性層が膨潤すると、芯金との間接着力が低下したり、
弾性層自身の機械的強度が低下する。

【０００５】弾性層の膨潤を防ぐには、定着ローラーに
耐油性を付与する必要がある。そこで、例えば、内層の
シリコーンゴム層（弾性層）と外層のシリコーンゴム層
（離型層）との間に、耐油性に優れたフッ素ゴムの層を
設ける方法が提案されているが、異種ゴム間の層間接着
となるため、層間接着力が弱く、各層が剥離しやすいと
いう問題があった。また、シリコーンゴムからなる弾性
層は、熱劣化を受けやすいという問題もあった。特開平
１−２７７８７６号公報には、フェニルシリコーンゴム
層の上に液状シリコーンゴム層を積層した構造のローラ
ーが示されているが、この場合、内層は耐熱性に優れる
ものの耐油性が不足しており、２万枚程度コピーすると
膨潤して紙詰まりを生じる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性と耐シリコーンオイル性が同時に付与された定着ロー
ラーを提供することにある。本発明者らは、前記従来技
術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、弾性層
を形成するゴム成分として、フェニルシリコーンゴムと
フロロシリコーンゴムとを含むゴム組成物を用い、該弾
性層の上にＲＴＶ型（室温硬化型）またはＬＴＶ型（低
温硬化型）のシリコーンゴム層を設けることにより、特
に、内層の弾性層に耐熱性と耐シリコーンオイル性を同
時に付与することができ、その結果、耐久性に優れた定
着ローラーの得られることを見出した。本発明は、これ
らの知見に基づいて完成するに至ったものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、芯金上に、フェニルシリコーンゴムとフロロシリコ
ーンゴムとを含むゴム組成物からなる弾性層を設け、該
弾性層の上にＲＴＶ型またはＬＴＶ型のシリコーンゴム
層を設けたことを特徴とする定着ローラーが提供され
る。

【０００８】本発明の好ましい実施態様は、以下のとお
りである。１．フェニルシリコーンゴムとフロロシリコーンゴムと
の配合割合（重量比）が１０：９０〜９０：１０である
前記定着ローラー。２．フェニルシリコーンゴムとフロロシリコーンゴムと
の配合割合（重量比）が３０：７０〜７０：３０である
前記定着ローラー。３．弾性層の硬度（ＪＩＳ−Ａ）が２０〜５０である前
記定着ローラー。４．フェニルシリコーンゴムとフロロシリコーンゴムが
ＨＴＶ型のシリコーンゴムである前記定着ローラー。５．芯金の表面が電気化学的または化学的にエッチング
され、表面に凹凸が形成されている前記定着ローラー。

【０００９】

【発明の実施の形態】シリコーンゴムには、化学構造で
ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、フロロシリ
コーンなどの種類がある。しかし、一般に複写機用の定
着ローラーの場合、弾性層を形成する内層ゴムは、１８
０〜２２０℃もの高温にさらされるため、高耐熱性が要
求されるとともに、トナー定着時に外層面に塗布される
シリコーンオイルによって膨潤しないという耐油性が要
求される。

【００１０】そこで、本発明では、内層の弾性層には、
シリコーンゴムの中でも特に耐熱性に優れ、更に耐油性
にも優れるフェニルシリコーンゴムと、シリコーンゴム
の中でも特に耐油性に優れるフロロシリコーンゴムとを
ブレンドして用いる。フェニルシリコーンとフロロシリ
コーンの配合割合（重量比）は、通常、１０：９０〜９
０：１０である。この場合、耐熱性の点からフェニルシ
リコーンゴムの配合割合が大きいことが望ましく、耐油
性の点からはフロロシリコーンゴムの配合割合が大きい
ことが望ましい。この範囲よりフェニルシリコーンが多
いかまたはフェニルシリコーン単独の場合は、耐油性が
不足し、この範囲よりフロロシリコーンが多いかまたは
フロロシリコーン単独の場合、耐熱性が不足することに
なる。両者の好ましい配合割合は、３０：７０〜７０：
３０（重量比）の範囲であり、この範囲内で耐熱性と耐
油性がともに良好となる。

【００１１】本発明では、このようにフェニルシリコー
ンゴムとフロロシリコーンゴムをブレンドして内層に用
いることにより、定着ローラーに優れた耐熱性と優れた
耐油性を同時に付与するものである。弾性層の厚みは、
用途や設置する機械装置の構造、目標とする弾性、用い
る材料の硬度等を勘案して適宜設定されるが、一般的に
は１００μｍ〜３ｍｍの範囲に設定されることが多い。
勿論これより厚い膜厚に成形した後に研磨等により必要
な膜厚に加工してもよい。定着時に定着ローラーがトナ
ーを十分に包んで溶かし、紙に定着するように、弾性層
の硬度（ＪＩＳ−Ａ）は、４０以下であることが好まし
い。一方、弾性層の硬度が２０未満となると、強度が不
足し、耐久性が悪くなってしまう。したがって、弾性層
のＪＩＳ−Ａ硬度は２０〜４０の範囲が好ましい。

【００１２】シリコーンゴムには、ＨＴＶ型（高温硬化
型）、ＬＴＶ型（低温硬化型）、ＲＴＶ型（室温硬化
型）があるが、弾性層としては、特にＨＴＶ型を用いる
ことにより高強度で高耐久性の弾性層が得られる。弾性
層は、金属製の芯金上にプライマーを介して積層しても
よく、芯金をブラスト、電気化学的エッチング、化学的
エッチングのいずれか、もしくはそれらを組み合わせた
方法により粗面化して、さらに必要に応じてプライマー
を介して積層してもよい。

【００１３】外層の離型層には、シリコーンゴムを用い
ることにより、シリコーンオイルとのなじみもよく、良
好なトナー離型性が得られる。離型層のシリコーンゴム
としては、特にＲＴＶ型またはＬＴＶ型を用いることに
より平滑な表面が得られ、良好な定着画像が得られる。
特に耐油性と耐久性を付与するため、フロロシリコーン
またはメチルフェニルシリコーンを単独で用いるか、あ
るいは併用することが好ましい。離型層の厚みも、用途
や設置する機械装置の構造、目標とする弾性、用いる材
料の硬度、弾性層の硬度、摩耗耐久性等を勘案して適宜
設定されるが、一般的には５〜３００μｍの範囲内に設
定される。

【００１４】本発明の定着ローラーを構成する芯金に
は、熱伝導の点からアルミニウム製のものを用いること
が好ましいが、その限りではない。また、芯金とその上
の弾性体層との接着は、芯金の表面を物理的または化学
的な方法でエッチングすることにより、プライマーなし
でも可能である。しかし、エッチング処理とプライマー
処理を併用すれば、最も優れた接着が期待できる。本発
明の定着ローラーは、内・外層を構成する材料をいずれ
もシリコーンゴムとしているため、内・外層の界面が化
学的に強固に接着する。これにより従来問題となってい
る層間剥離を防止することができる。定着ローラーの耐
久性は、外層の膨潤による強度の低下の影響が大きいた
め、外層については、耐油性に優れるフロロシリコーン
ゴムまたはフェニルシリコーンゴムを含有することが望
ましい。外層に耐油性が付与されれば、効率的に全体の
膨潤を防ぐことができる。ただし、内・外層の剥離を防
止するには、内層のみにブレンドゴムを用いても構わな
い。

【００１５】

【実施例】以下、本発明について実施例及び比較例を挙
げて、より具体的に説明する。

【００１６】［実施例１〜１０、比較例１〜４］表１に
示した配合割合でＨＴＶ型フェニルシリコーンゴム（信
越化学社製ＫＥ７０１６Ｕ）とＨＴＶ型フロロシリコー
ン（信越化学社製ＦＥ２４１Ｕ）をブレンドし、このブ
レンドゴム１００重量部に対して、パーオキサイド加硫
剤Ｃ−８Ａ（信越化学製）を１重量部練り込んだゴムを
用意し、表面を１０％の塩化アンモニウム水溶液を用い
て電気化学的にエッチングしたアルミニウム製の芯金の
上に、この配合ゴムをプレス成形して、厚さ３ｍｍの内
層ゴムを被覆した。プレス温度は１６０℃、プレス時間
は６０分である。形成された内層ゴムを研磨し、厚さを
２ｍｍに調整した。このようにして形成された内層の弾
性層の上に、ＲＴＶ型ジメチルシリコーン（信越化学社
製ＫＥ１９３５）、またはＲＴＶ型ジメチルシリコーン
とＲＴＶ型フロロシリコーン（信越化学社製ＦＥ６１）
を１：１でブレンドしたゴムを塗布し、１２０℃で１時
間熱処理して外層の離型層を形成して定着ローラー（図
１）を完成させた。

【００１７】製作したローラーを図２に示すように、実
際の定着装置を擬した回転耐久試験装置用い、１００時
間ごとに定着ローラーを取り出し、実機（キャノン製Ｐ
ＩＸＥＬＤｉｏＳ）に組み込んでカラーコピーを行
い、紙詰まりの発生など問題が生じないかを調べた。ウ
エブを介して定着ローラーに塗布するシリコーンオイル
としては、信越化学社製のジメチルシリコーンオイルＫ
Ｆ９６Ｈを用いた。回転耐久試験時は、定着ローラーの
表面温度が１８０℃で一定となるよう、中空の芯金に挿
入されたハロゲンランプヒーターの出力を制御した。一
般にゴムに耐油性が不足している場合は、定着ローラー
の膨潤による紙詰まりが問題となり、耐熱性が不足して
いる場合は、定着ローラーの耐熱劣化により内層ゴムが
破壊するなどして画像定着が不可能となる。

【００１８】

【表１】

【００１９】（脚注）＊ＨＴＶジメチルシリコーン：信越化学社製ＫＥ９３１
Ｕ＊ＨＴＶフロロシリコーン：信越化学社製ＦＥ２４１Ｕ＊ＨＴＶメチルフェニルシリコーン：信越化学社製ＫＥ
７０１６Ｕ＊ＲＴＶジメチルシリコーン：信越化学社製ＫＥ１９３
５＊ＲＴＶフロロシリコーン：信越化学社製ＦＥ６１＜定着性＞ ◎：定着画像に問題なし。 ○：定着画像の一部に僅かなシミあり。 ×：定着画像に大きなシミあり。＜回転耐久時間＞紙詰まり、または耐熱劣化による定着
不良が発生するまでの時間を測定した。また、紙詰まり
や耐熱劣化が生じた定着ローラを観察して、破壊の状況
（破壊モード）を調べた。

【００２０】表１に示すように、各実施例では各比較例
よりも、長時間の耐久試験でも定着ローラーの膨潤はな
く、また、熱による劣化もなく、実機に組み込んでカラ
ーコピーを行っても問題のない定着画像が得られた。

【００２１】

【発明の効果】本発明によれば、耐熱性と耐シリコーン
オイル性が同時に付与された定着ローラーが提供され
る。本発明の定着ローラーは、電子写真複写機、レーザ
ービームプリンター、ファクシミリ等の特に部分カラー
あるいはフルカラー画像が出力できる機種等の定着部に
用いるローラーとして好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の定着ローラーの積層構成を示す断面略
図である。

【図２】回転耐久試験機の模式図である。

【符号の説明】

１：芯金２：弾性層３：ＲＴＶ型またはＬＴＶ型のシリコーンゴム層４：ウエブ５：定着ローラー６：加圧ローラー７：ハロゲンランプヒーター

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者滝口敏彦大阪府大阪市此花区島屋一丁目１番３号住友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者西村昭大阪府大阪市此花区島屋一丁目１番３号住友電気工業株式会社大阪製作所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】芯金上に、フェニルシリコーンゴムとフ
ロロシリコーンゴムとを含むゴム組成物からなる弾性層
を設け、該弾性層の上にＲＴＶ型またはＬＴＶ型のシリ
コーンゴム層を設けたことを特徴とする定着ローラー。
【請求項２】フェニルシリコーンゴムとフロロシリコ
ーンゴムとの配合割合（重量比）が１０：９０〜９０：
１０である請求項１記載の定着ローラー。
【請求項３】フェニルシリコーンゴムとフロロシリコ
ーンゴムとの配合割合（重量比）が３０：７０〜７０：
３０である請求項１記載の定着ローラー。
【請求項４】弾性層の硬度（ＪＩＳ−Ａ）が２０〜５
０である請求項１記載の定着ローラー。
【請求項５】フェニルシリコーンゴムとフロロシリコ
ーンゴムがＨＴＶ型のシリコーンゴムである請求項１記
載の定着ローラー。
【請求項６】芯金の表面が電気化学的または化学的に
エッチングされ、表面に凹凸が形成されている請求項１
記載の定着ローラー。