JPH0996974A - 定着フィルム - Google Patents

定着フィルム

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JPH0996974A
JPH0996974A JP25267995A JP25267995A JPH0996974A JP H0996974 A JPH0996974 A JP H0996974A JP 25267995 A JP25267995 A JP 25267995A JP 25267995 A JP25267995 A JP 25267995A JP H0996974 A JPH0996974 A JP H0996974A
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一夫 岸野
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英雄 川元
Hiroaki Kumagai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 消費エネルギの効率アップが図れ、更なるク
イックスタート及び高速化を実現可能な加熱定着装置に
用いられる定着フィルムを提供する。 【解決手段】 定着フィルム10の層構成が少なくとも
コイル18によって発生した交番磁場により内部に渦電
流を発生する金属発熱層1、弾性層2、離型層3の順で
構成されている定着フィルムの該発熱層の材質がニッケ
ル中に磁束吸収の良い金属粒子を分散させたものである
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導を利用し
て渦電流を発生させ加熱する像加熱装置に関し、特に電
子写真装置、静電記録装置などの画像形成装置に用いら
れ未定着トナーを定着する定着装置に好適な定着フィル
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】加熱定着装置に代表される像加熱装置と
しては、従来から熱ローラ方式、フィルム加熱方式等の
接触加熱方式が広く用いられている。
【0003】その中でも、最大4層のトナー層を有する
カラーの定着装置では、ハロゲンヒータを発熱させ、定
着ローラ芯金、ゴム弾性層を介してトナー像の加熱を行
っている。
【0004】特公平5−9027号公報では、磁束によ
り定着ローラの渦電流を発生させジュール熱によって発
熱させることが提案されている。
【0005】このように渦電流の発生を利用することで
発熱位置をトナーに近くすることができ、ハロゲンラン
プを用いた熱ローラよりも消費エネルギの効率アップが
達成できる。
【0006】しかしながら、上記定着方法では、定着ロ
ーラという熱容量の大きなものを加熱するため、効率を
最良のものにしてもクイックスタートを達成することは
できなかった。また、特公平5−9027号公報のよう
に円筒状に渦電流を発生させジュール熱を発生させると
励磁コイル、励磁鉄芯が昇温して磁束の量が減少し発熱
が不安定となる。
【0007】また、昇温が大きいと励磁コイルの劣化も
生じてしまう。
【0008】また、ローラ内部への放熱により熱効率も
十分ではない。
【0009】その他ハロゲンヒータを用いる方法はエネ
ルギをいったんは光に変換しているため、効率が悪い。
【0010】特に、カラーの画像記録装置ではトナー層
が最大4層まで重ねられることがあり、記録材とトナー
層との界面まで十分に加熱しないと定着不良が発生す
る。また、カラー画像を印刷する場合、特に写真現像な
どでは被記録材上で大きな面積にわたってベタ画像が形
成される。この場合、被記録材の凹凸あるいはトナー層
の凹凸に加熱面(定着フィルム表層)が追従できないと
加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画
像に光沢ムラが発生する(伝熱量が多い部分は光沢度が
高く、伝熱量が少ない部分は光沢度が低い)。このよう
な画像光沢ムラを防止するためには定着フィルムの層中
に弾性層を設けることが有効であるが、この弾性層の断
熱効果により、記録材とトナー層の界面まで十分に加熱
するためには多くのエネルギ消費が必要となる。またモ
ノクロ画像形成装置においても高速化を図るためにはさ
らに多くの熱量が必要となる。
【0011】これらの問題点を解決するために、電磁誘
導により発熱層としての金属フィルムに渦電流を発生さ
せ、ジュール熱を発生させる方法が考案され、金属フィ
ルムとしては薄肉で軸方向に長い円筒状の形状が必要と
なるためその加工性の面および製造コストの面から電鋳
法によるニッケルのフィルムが考えられた。しかしニッ
ケル単体のフィルムではその物性上の特性で機械の高速
化等により多くの熱量が必要となった際、そのスピード
に対応できる十分なジュール熱を発生させられないとい
う問題がある。
【0012】すなわち従来考案されている定着方式で
は、省エネルギーでかつ装置のクイックスタート化、及
びフルカラー化、高速化に対応した、十分な発熱による
トナーの加熱を達成するという点で問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の技術の
前記の問題点を解決した新規の定着フィルムを提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記の目的は以下の手段
によって達成される。
【0015】すなわち、本発明は定着フィルムと加圧部
材とを圧接し、前記定着フィルムの発熱層に磁場を入れ
ることで渦電流を発生させるための交番磁場を発生させ
るコイルを少なくとも1個配し、前記定着フィルムと前
記加圧部材間に未定着トナー像をのせた被記録材を挟持
搬送させ定着させる加熱装置に用いられる定着フィルム
において、前記定着フィルムの層構成が少なくとも、上
記コイルによって発生した交番磁場により内部に渦電流
を発生する金属発熱層、弾性層、離型層の順で構成され
ている定着フィルムの該発熱層の材質がニッケル中に磁
束吸収の良い金属粒子を分散させたものであることを特
徴とする定着フィルムを提案するものであり、前記ニッ
ケル中に分散される磁束吸収のよい金属粒子が鉄である
こと、ステンレスであること、ファイバー状であるこ
と、電鋳法によりニッケルの膜を母型に付着させる際、
ニッケルの電解液中に磁束吸収のよい金属粒子を分散さ
せておき、該電解液中で電鋳を行うことにより、ニッケ
ル中に磁束吸収のよい金属粒子が分散した膜を形成し、
その膜を発熱層の金属フィルムとすることを含む。
【0016】本発明によれば、定着フィルムがニッケル
単体のときよりも磁束吸収がよく同じ消費電力でも発熱
量が増加する。つまり消費エネルギの効率アップが図
れ、更なるクイックスタートおよび高速化を実現するこ
とができる定着フィルムを与えるものである。
【0017】また本発明におけるニッケル中分散させる
金属粒子は磁束吸収のよい鉄、ステンレス特に磁性のス
テンレスとすることによりニッケル単体のときよりも同
じ消費電力で発熱量を増加した。
【0018】また本発明におけるニッケル中分散させる
金属粒子をファイバー状とすることによりその粒子どう
しの絡みつきを多くさせることにより発熱量を増加させ
ることが可能であり、その結果分散させる金属粒子の充
填量を減らすことも可能となる。
【0019】また、電鋳法によりニッケルの膜を母型に
付着させる際、ニッケルの電解液中に磁束吸収のよい金
属粒子を分散させておき、該電解液中で電鋳を行うこと
により、ニッケル単体の金属フィルムを作るのとほぼ同
じコストで容易にニッケル中に磁束吸収のよい金属粒子
が分散した膜を形成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して更
に詳細に説明する。
【0021】図3は本発明を用いた電子写真カラープリ
ンターの1例を示す断面図である。101は有機感光体
やアモルファスシリコン感光体でできた感光体ドラム、
102はこの感光体ドラム101に一様な帯電を行うた
めの帯電ローラ、110は不図示の画像信号発生装置か
らの信号をレーザ光のオン/オフに変換し、感光体ドラ
ム101に静電潜像を形成するレーザ光学箱である。1
03はレーザ光、109はミラーである。感光体ドラム
101の静電潜像は現像機104によってトナーを選択
的に付着させることで顕像化される。現像器104は、
イエローY、マゼンタM、シアンCのカラー現像器と黒
用の現像器Bkから構成され、一色づつ感光体ドラム1
01上の潜像を現像しこのトナー像を中間転写体ドラム
105上に順次重ねてカラー画像を得る。中間転写体ド
ラム105は金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の
表層を有するもので、金属ドラムにバイアス電位を与え
て感光体ドラム101との電位差でトナー像の転写を行
うものである。一方、給紙カセットから給紙ローラによ
って送り出された被記録材Pは、感光体ドラム101の
静電潜像と同期するように転写ローラ106と中間転写
体ドラム105との間に送り込まれる。転写体ローラ1
06は被記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供
給することで、中間転写体ドラム105上のトナー像を
被記録材上に転写する。こうして、未定着トナー像を載
せた被記録材は加熱定着装置100で熱と圧を加えられ
て、被記録材上に永久固着させられて、排紙トレー(不
図示)へと排出される。感光体ドラム101上に残った
トナーや紙粉はクリーナ108によって除去され、感光
体ドラムは帯電以降の工程を繰り返す。
【0022】次に前記の加熱定着装置100を更に詳し
く説明する。
【0023】(1)像加熱装置の全体構成(図1) 図1は本発明に使用される定着器の1例を示す断面図で
ある。
【0024】定着フィルム10は矢印方向に回転し、フ
ィルムガイド16によってニップ部への加圧とフィルム
安定性が図られている。
【0025】さらにフィルムガイド16は、高透磁率の
コア17とコイル18を支持する働きも持つ。高透磁率
コア17はフェライトやパーマロイ等といったトランス
のコアに用いられる材料が良く、より好ましくは100
kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのが良
い。
【0026】コイル18には励磁回路(不図示)が接続
されており、この回路は20kHzから500kHzの
高周波をスイッチング電源で発生できるようになってい
る。加圧ローラ30と定着フィルム10で形成されたニ
ップに未定着トナーTをのせた被記録材Pを通すことで
加熱定着を行う。
【0027】このニップ内での加熱原理は図1に示す通
り、励磁回路(不図示)によってコイルに印加される電
流で発生する磁束は、高透磁率コア17に導かれてニッ
プ内で定着フィルム10の発熱層2に磁束23と渦電流
24を発生させる。この渦電流24と発熱層2の固有抵
抗によって熱が発生する。
【0028】発生した熱は、離型層3を介してニップに
搬送される被記録材Pと被記録材P上のトナーTを加熱
する。ニップ内ではトナーTを溶融させニップ通過後、
冷却して永久固着像とする。
【0029】(2)加圧ローラについて 30は加圧ローラで芯金外周にシリコーンゴム、フッ素
ゴムといった耐熱性に優れた弾性層を被覆したものを用
いるのが一般的である。またそれらの弾性層上にフッ素
樹脂、シリコーン樹脂等の離型性に優れた樹脂をコーテ
ィングしてもよい。
【0030】(3)フィルム構成について 次に定着フィルム10について説明する。
【0031】3は定着フィルムのトナー離型層である。
離型層3にはフッ素樹脂(PTFE、PFA、FEP
等)、シリコーン樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴム等
の離型性かつ耐熱性に優れた材料を選択するのが好まし
い。またその厚みは1μm以上100μm以下が望まし
く、1μm以下であると離型層の摩耗のためトナーのオ
フセット現象が生じ、また100μm以上であると発熱
層で発生した熱を十分記録材及びトナーに伝えることが
できず定着不良が発生するという問題がある。
【0032】2は弾性層でシリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、フルオロシリコーンゴム等で耐熱性がよく、熱伝導
がよく低硬度な材質である。弾性層の厚さは10〜50
0μmが好ましい。この弾性層2は定着画像品質を保証
するために必要な厚さである。
【0033】1は本発明における定着フィルムの基層と
なる金属フィルムでできた発熱層である。その厚みは1
μm以上100μmが好ましい。1μm以下であると定
着フィルムとしての耐久性に劣り、またほとんどの電磁
エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。10
0μm以上であるとフィルムの剛性が高くなり、また屈
曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的でな
い。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説
明する。
【0035】実施例1 図1の像加熱装置において、離型層3としては、トナー
離型性に優れたフッ素樹脂(FEP)を用いた。その際
のフッ素樹脂の厚みは15μmとした。弾性層2として
はシリコーンゴムを用いた。またその硬度は20°(J
IS−A)であり、弾性層の厚さは100μmとした。
本発明による発熱層1としては、ニッケル中に分散させ
る磁束吸収のよい金属粒子として鉄の粒子(約5μm球
状)を20重量部分散させた材質の金属フィルムを用い
た。またその際フィルムの厚みは40μmであった。
【0036】実施例1のような定着フィルムを図1に示
す像加熱装置に装着して定着試験を行ったところ、発熱
層の発熱がニッケル単体のものに比べ約10%増加し、
温度上昇も早くなった。これによりエネルギ効率も良く
なり、装置のクイックスタートを可能とした。
【0037】実施例2 先に述べたように、ニッケル中に分散させる磁束吸収の
よい金属粒子として鉄の粒子を分散させた材質の金属フ
ィルムを用いることによりニッケル単体のものに比べエ
ネルギ効率も良くなり、装置のクイックスタートを可能
とした。しかし金属粒子として使用したものが鉄の粒子
であるため、フィルムの磨耗等によりフィルム表面に鉄
が露出した際その部分が錆びてしまいフィルムの表面性
に悪影響を及ぼしてしまうという問題点がある。
【0038】そこで実施例1と同様の方法で、分散させ
る磁束吸収のよい金属粒子として腐蝕されにくい材質を
使用する手段が考えられる。そこでステンレス特に磁性
のステンレスを用いるとよい。
【0039】以下に実施例2で用いた定着フィルムの構
成について述べる。弾性層2及び離型層3は実施例1と
同様、それぞれシリコーンゴム(硬度20°JIS−
A,厚さ100μm)、フッ素樹脂(FEP 15μ
m)を用いた。本発明による発熱層2としては、ニッケ
ル中に分散させる磁束吸収のよい金属粒子として磁性の
ステンレスであるSUS430粒子(約5μm球状)を
20重量部分散させた材質の金属フィルムを用いた。そ
の際、発熱層2の厚みは40μmであった。
【0040】実施例2のような構成の定着フィルムを図
1に示す像加熱装置に装着して定着試験を行ったとこ
ろ、実施例1の鉄の粒子を分散させた時と同様に発熱層
の発熱がニッケル単体のものに比べ約10%増加し、温
度上昇も早くなった。つまり鉄の粒子を分散させた時と
同じ効果が得られることを確認した。これによりエネル
ギ効率も良くなり、装置のクイックスタートを可能とし
た。
【0041】実施例3 実施例1、2のように、磁束吸収のよい金属粒子を分散
させることによって、定着フィルムがニッケル単体のと
きよりも磁束吸収がよく同じ消費電力でも発熱量が増加
する。つまり消費エネルギの効率アップが図れ、クイッ
クスタートおよび高速化を実現することが可能である。
さらに発熱量を増加するためには、上記金属粒子の充填
量を増加させる方法が考えられる。しかしながら充填量
を増加すると金属フィルムの持つ本来の性質を失ってい
く傾向にある。例えば、実施例1のようにニッケル中に
鉄の粒子を分散させていった場合、充填量が多くなる
と、フィルムの表面の粗さが悪くなり金属フィルムとし
ての強度(曲げにたいする弾性強度、引っ張り強度)も
損なわれてくる。
【0042】フィルムの表面性、強度をより保ちなが
ら、さらに発熱量を増加するためにはニッケル中に分散
させる磁束吸収のよい金属粒子(鉄、ステンレス特に磁
性のステンレス)を球状ではなくファイバー状にすると
よい。このようなファイバー状の磁束吸収のよい金属粒
子は通常の金属粒子(球状、ウィスカー状、鱗片等)に
比べて、そのアスペクト比が非常に大きいため、ニッケ
ル中でファイバーどうしの密な絡みつきが発生する。そ
の結果、より少量の充填でフィルムの発熱量を増加させ
ることができるようになる。これらのファイバーを用い
ることによりフィルムの表面性、強度をより保ちながら
フィルムの発熱量を増加させることが可能であり、その
結果分散させる金属粒子の充填量を減らすことも可能と
なる。
【0043】以下に実施例3で用いた定着フィルムの構
成について述べる。
【0044】弾性層2及び離型層3は実施例1と同様、
それぞれシリコーンゴム(硬度20°JIS−A,厚さ
100μm)、フッ素樹脂(FEP 15μm)を用い
た。本発明による発熱層2としては、ニッケル中に分散
させる磁束吸収のよい金属粒子として鉄ファイバー(ア
スペクト比:100,直径5μm)を10重量部充填さ
せたものを用いた。その際、発熱層2の厚みは40μm
であった。
【0045】実施例3のような構成の定着フィルムを図
1に示す像加熱装置に装着して定着試験を行ったとこ
ろ、粉体充填量が10重量部であるにもかかわらず、実
施例1と同様のエネルギ消費量で定着することができた
(発熱層の発熱がニッケル単体のものに比べ約10%増
加)。またニッケル単体のフィルムと同様の金属フィル
ムとしての強度(曲げにたいする弾性強度、引っ張り強
度)が得られた。
【0046】またニッケル中に鉄ファイバーを20重量
部分散させた材質の金属フィルムで定着試験を行ったと
ころ、実施例1の1/2のエネルギ消費量で定着するこ
とができた(発熱層の発熱がニッケル単体のものに比べ
約20%増加)。さらに、このときの金属フィルムとし
ての強度(曲げにたいする弾性強度、引っ張り強度)は
実施例1と変わらなかった。これにより温度上昇もさら
に早くなった。エネルギ効率もより良くなり、装置のさ
らなるクイックスタートを可能とした。
【0047】実施例4 実施例1〜3のようなニッケル中に磁束吸収の良い金属
粒子が分散した円筒状の薄肉フィルムの製造方法として
は、その厚み(20〜50μm)や形状(直径φ20〜
60mm,長さ200〜400mm)から一般の機械加
工では困難である。そこで電鋳法によりニッケルの膜を
母型に付着させる際にニッケルの電解液中に磁束吸収の
良い金属粒子を分散させておき、該電解液中で電鋳を行
うことにより母型上にニッケル中に磁束吸収の良い金属
粒子が分散した膜を形成し母型から取り外すことにより
円筒状の薄肉フィルムを作成した。
【0048】以下に実施例4で行った製造工程について
述べる。
【0049】まず、製造すべきフィルム内径(φ20)
と同じ外径で長さが多少長め(必要長300mmのため
350mm)の円柱状の母型41図4(a)を快削黄銅
であるBsSM材で作成する。図4(b)に示すように
母型41を吊り下げるようにして電着槽42に満たされ
た電解液43の中に浸ける。電解液43はスルファミン
酸ニッケル浴であり、その組成がスルファミン酸ニッケ
ルが300〜450g/l、塩化ニッケルが0〜30g
/l、ホウ酸が30〜45g/lのものである。そして
電流を流し電鋳法により母型41表面にニッケルを堆積
させはじめる際に磁束吸収の良い金属粒子44(ここで
は鉄,ステンレス)を電解液中に入れ良く分散するよう
に攪拌しておく。このときの作業条件を表1に示す。
【0050】 表1に示した作業条件で約20分で母型41表面上にニ
ッケル中に磁束吸収の良い金属粒子(ここでは鉄,ステ
ンレス)が分散した40μmの膜44が形成される。
【0051】上記のようにして形成した膜45を母型4
1から分離するために図4(c)に示すように母型41
の軸方向に沿って貫通する穴をボーリング加工で開け
る。これは母型41の溶解量を減らしかつ溶解液が循環
して溶解効率を良くするためである。そして図4(d)
に示すように母型41を溶解除去槽46に入れる。溶解
除去槽46には母型41のみを腐蝕させる腐蝕液47が
満たされている。腐蝕液としては、塩化第二鉄(FeC
3 )を500g/lの割合で含む水溶液を用いる。こ
れにより母型41は溶解除去され膜45だけ残る。この
膜45を図4(e)所望の長さ(300mm)になるよ
うに両端を切断し円筒状の薄肉フィルムを作成した。
【0052】また母型41を快削黄銅であるBsSM材
でなくステンレス材を用いて作成すると、上記と同工程
により母型41表面上にニッケル中に磁束吸収の良い金
属粒子(ここでは鉄,ステンレス)が分散した40μm
の膜45を形成した後、母型41を冷却することによる
収縮を利用して膜45を母型41から分離することがで
きる。このようにすれば母型41の再利用が可能となり
また膜の分離工程の時間が大幅に短縮できた。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
定着フィルムの発熱層がニッケル中に磁束吸収のよい金
属粒子を分散させたものであるため、定着フィルムがニ
ッケル単体のときよりも磁束吸収がよく同じ消費電力で
も発熱量が増加する。つまり消費エネルギの効率アップ
が図れ、更なるクイックスタートおよび高速化を実現す
ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた加熱定着装置の一例を示す断面
図である。
【図2】本発明の定着フィルムの断面図である。
【図3】本発明に用いた画像形成装置の一例を示す断面
図である。
【図4】本発明の実施例4で用いたニッケル中に磁束吸
収の良い金属粒子が分散した膜の円筒状の薄肉フィルム
の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 金属発熱層 2 弾性層 3 離型層 10 定着フィルム 17 高透磁率コア 18 励磁コイル 30 加圧ローラ 41 母型 42 電着槽 43 電解液 44 磁束吸収の良い金属粒子 45 電着膜 46 溶解除去槽 47 腐蝕液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川元 英雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 熊谷 裕昭 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定着フィルムと加圧部材とを圧接し、前
    記定着フィルムの発熱層に磁場を入れることで渦電流を
    発生させるための交番磁場を発生させるコイルを少なく
    とも1個配し、前記定着フィルムと前記加圧部材間に未
    定着トナー像をのせた被記録材を挟持搬送させ定着させ
    る加熱装置に用いられる定着フィルムにおいて、前記定
    着フィルムの層構成が少なくとも、上記コイルによって
    発生した交番磁場により内部に渦電流を発生する金属発
    熱層、弾性層、離型層の順で構成されている定着フィル
    ムの該発熱層の材質がニッケル中に磁束吸収のよい金属
    粒子を分散させたものであることを特徴とする定着フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 前記ニッケル中にいれる磁束吸収のよい
    金属粒子が鉄である請求項1に記載の定着フィルム。
  3. 【請求項3】 前記ニッケル中にいれる磁束吸収のよい
    金属粒子がステンレスである請求項1に記載の定着フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 前記ニッケル中にいれる磁束吸収のよい
    金属粒子がファイバー状である請求項1に記載の定着フ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 電鋳法によりニッケルの膜を母型に付着
    させる際、ニッケルの電解液中に磁束吸収のよい金属粒
    子を分散させておき、該電解液中で電鋳を行うことによ
    り、ニッケル中に磁束吸収のよい金属粒子が分散した膜
    を形成し、その膜を発熱層の金属フィルムとする請求項
    1に記載の定着フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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