JPH0996048A - 建築用パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡断熱材の原液の流出を防止しつつエアー
ボイドや未充填部の発生を防止することができ、品質お
よび生産性の向上が図れる建築用パネルを提供する。 【解決手段】 面材２の周囲に配置される型枠３もしく
は面材２の縁部に設けられた枠材２０に、発泡断熱材６
の原液７を注入する注入孔８および排気孔９を形成し、
上記型枠３の内側もしくは上記枠材２０に気体は通すが
上記原液７は通さない通気性遮蔽材１０を上記排気孔９
を覆うように設け、上記原液７の注入発泡により上記面
材２に発泡断熱材６を設けると共にこの発泡断熱材６に
上記通気性遮蔽材１０を一体化させてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、面材に発泡断熱材
を設けてなる建築用パネルの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】建物の壁等に使用される建築用パネルと
しては、断熱性能や防音性能等の向上を図るために、面
材に発泡断熱材を設けてなるものが知られている（例え
ば、特公昭６０−３９００６号公報、実開昭５７−１６
７１１４号公報等参照）。このような建築用パネルは、
例えば面材の周囲に配置される型枠もしくは面材の縁部
に設けられた枠材に注入孔を形成し、この注入孔から発
泡断熱材の原液を注入して、発泡させつつ充填し、固化
させることにより形成される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
建築用パネルにおいては、特に長尺ないし大型になるほ
ど、発泡断熱材の原液を均一な密度で十分に充填するこ
とが難しくなり、エアーボイド（気泡）や未充填部が発
生しやすく、品質の低下を招く問題点があった。なお、
このような問題点を解決する手段として、上記型枠もし
くは枠材に排気孔を形成し、充填領域内の空気やガスを
逃すようにすることが考えられるが、上記排気孔から上
記原液が流出しやすくなるため、流出して型枠等に付着
固化した発泡断熱材の除去清掃作業を余儀なくされ、生
産性の低下を来す問題がある。

【０００４】本発明は、上記課題を解決すべくなされた
もので、発泡断熱材の原液の流出を防止しつつエアーボ
イドや未充填部の発生を防止することができ、品質およ
び生産性の向上が図れる建築用パネルを提供することを
目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の建築用パネルは、面材の周囲に配置される型
枠もしくは面材の縁部に設けられた枠材に、発泡断熱材
の原液を注入する注入孔および排気孔を形成し、上記型
枠の内側もしくは上記枠材に気体は通すが上記原液は通
さない通気性遮蔽材を上記排気孔を覆うように設け、上
記原液の注入発泡により上記面材に発泡断熱材を設ける
と共にこの発泡断熱材に上記通気性遮蔽材を一体化させ
てなることを特徴としている。

【０００６】上記建築用パネルとしては、二枚の面材間
に発泡断熱材をサンドイッチ状に挟んだ形状のもの、或
いは一枚の面材の片面に発泡断熱材を設けたもの等であ
ってもよい。上記面材としては、例えば金属板や合成樹
脂板等も適用可能であるが、構造用合板が好適である。
上記発泡断熱材としては、発泡樹脂である例えばポリウ
レタンフォーム等も適用可能であるが、独立気泡で高断
熱性および耐火性を有するイソシアヌレートフォームが
好適である。また、上記通気性遮蔽材としては、例えば
不織布や金網等も適用可能であるが、連続気泡の発泡樹
脂である軟質ウレタンフォームが好適である。また、上
記排気孔は、上記型枠もしくは枠材に適宜間隔で複数形
成されていることが好ましい。

【０００７】このように構成された建築用パネルによれ
ば、発泡断熱材の原液を注入充填した際、充填領域内の
空気およびガスが排気孔から逃げ、排気孔からの原液の
流出は通気性遮蔽材によって阻止される。このため、上
記原液の流出を防止しつつエアーボイドや未充填部の発
生を防止することができ、品質および生産性の向上が図
れる。しかも、離型時には上記通気性遮蔽材が建築用パ
ネルの発泡断熱材に一体化されているため、通気性遮蔽
材の清掃作業等が不要であり、生産性の更なる向上が図
れる。

【０００８】

【実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を添付図面
に基づいて詳述する。

【０００９】図１において、１は建築用パネルで、この
建築用パネル１は例えば構造用合板、好ましくはＯＳＢ
（オリエンテッドストランドボード）と称する木質積層
板からなる二枚の面材２を有している。上記面材２の周
囲には例えばアルミニウム合金からなる型枠（金型）３
が方形に組まれた状態で配置され、この型枠３によって
二枚の面材２が所定の間隔で支持される。上記型枠３の
上面部と下面部には、面材２の周縁部を位置決め支持す
る面材受部４が形成されている。

【００１０】また、上記型枠３には、両面材２および型
枠３によって区画された空間部（充填領域ともいう）５
に発泡断熱材６の原液７を注入、充填するための注入孔
８と、上記空間部５に上記原液７が発泡、充填される際
に空間部５内の空気およびガス（発泡ガス）を外部に逃
すための排気孔９とが形成されている。上記発泡断熱材
６としては、独立気泡で高断熱性および耐火性を有する
イソシアヌレートフォームが用いられる。

【００１１】そして、上記型枠３の内側には、気体は通
すが上記原液７は通さない通気性遮蔽材１０が上記注入
孔９を覆うように設けられている。上記通気性遮蔽材１
０としては、連続気泡で通気性の高い軟質ウレタンフォ
ームが用いられる。この通気性遮蔽材１０は、所定の厚
さ例えば５〜１０ｍｍ程度のシート状に形成され、片面
が粘着剤の塗布もしくは粘着シートの貼着等により粘着
面とされている。この通気性遮蔽材１０は、その粘着面
によって上記型枠３の内面に排気孔９を覆うように剥離
可能に貼着される。

【００１２】上記型枠３は、例えば図２に示すように長
尺（切断面によって長さを省略して示す）で一対の側枠
３ａ，３ｂと、両側枠３ａ，３ｂの両端に配置される端
枠３ｃ，３ｄとからなっている。図示例の側枠３ａ，３
ｂには、図３に示すように建築用パネル１における発泡
断熱材６の側部に接合用の一対の側溝１１および中央溝
１２を形成するための側鍔部１３および中央鍔部１４が
形成されている。一方の側枠３ａには注入孔８が穿設さ
れ、両側枠３ａ，３ｂおよび両端枠３ｃ，３ｄには排気
孔９が長手方向に適宜間隔で穿設され、これら排気孔９
を覆うように側枠３ａ，３ｂおよび端枠３ｃ，３ｄの内
面に通気性遮蔽材１０が貼着されている。

【００１３】このように構成された型枠３の上面部と下
面部の面材受部４に面材２を取り付けた状態で、型枠３
を図示しない基盤上に設置すると共に、原料７の注入圧
力によって上部の面材２が膨出しないようにするために
図示しない加圧装置の加圧板によって上部の面材２を押
える。そして、上記注入孔８に発泡断熱材の原液注入装
置を接続して、この注入孔８から両面材２および型枠３
によって区画された空間部５に発泡断熱材６の原液７を
注入すると、上記空間部５内に原液７が発泡しつつ充填
され、これに伴い空間部５内の空気およびガスが通気性
遮蔽材１０を介して排気孔９から外部へ押し出され、排
気孔９からの原液７の流出は通気性遮蔽材１０によって
阻止される。

【００１４】このように上記建築用パネル１によれば、
発泡断熱材６の原液７を注入充填する際に、充填領域
（空間部）５内の空気およびガスを排気孔９から円滑に
逃がすことができると共に、排気孔９からの原液７の流
出を通気性遮蔽材１０によって阻止することができるた
め、上記原液７の流出を防止しつつ原液７を円滑に効率
よく均一に充填することができ、エアーボイドや未充填
部の発生を防止することができ、品質および生産性の向
上が図れる。

【００１５】上記発泡断熱材６が固化することにより、
発泡断熱材６に対して両面材２および上記通気性遮蔽材
１０が固着される。従って、型枠３を外した離型時に
は、上記通気性遮蔽材１０は型枠３から剥離され、建築
用パネル１の発泡断熱材６に一体化されているため、型
枠に通気性遮蔽材を固着してある場合と異なり、通気性
遮蔽材１０の清掃作業等は一切不要であり、生産性の更
なる向上が図れる。

【００１６】そして、上述のように構成された建築用パ
ネル１は、例えば図４に示すように建物１５の床１６、
外壁１７、屋根１８などに使用される。この場合、建築
用パネル１の両端部に形成された端溝（図３参照）１９
には、上枠や下枠等のツーバイフォー部材である枠材２
０が嵌合されて釘打ち等で固定される。また、建築用パ
ネル１同士を接合する場合には、図５に示すように隣接
される建築用パネル１の対向する側溝１１に接合材２１
を嵌合させて釘打ち等で固定すると共に対向する中央溝
１２に発泡ウレタン等のシール材２２を充填する。

【００１７】なお、図４において、２３は基礎、２４は
土台、２５は基礎２３と土台２４の間に設けられる土台
シール、２６は上階の床根太、２７はその床根太２６上
に設けられる床板、２８は床１６と外壁１７の接合部等
に設けられる気密シールである。上記外壁１７には外装
材や内装材が設けられ、屋根１８には瓦等の屋根材が設
けられる。このように建築用パネル１を用いることによ
り、高断熱性および高気密性を有する建物１５を構成す
ることができる。

【００１８】以上、本発明の実施の形態を図面により詳
述してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の
設計変更等が可能である。例えば、上記型枠３の側枠３
ａ，３ｂと端枠３ｃ，３ｄの接合部の隙間等にも例えば
軟質ウレタンフォームからなる通気性遮蔽材を設けるよ
うにしてもよい。また、建築用パネル１としては、図６
ないし図７に示すように面材２の縁部に枠材１１を予め
設けたものであってもよい。この場合、上記枠材１１に
注入孔８および排気孔９を形成すると共に通気性遮蔽材
１０を上記排気孔９を覆うように設ける。なお、通気性
遮蔽材１０は上記枠材２０の内側に設けることが好まし
いが、枠材２０の外側或いは排気孔９内に設けるように
してもよい。また、建築用パネル１としては、二枚の面
材２間に発泡断熱材６を挟んだ形状のものではなく、図
７に示すように一枚の面材２の片面に発泡断熱材６を設
けたものであってもよく、この場合、上記発泡断熱材６
の露出面側にクラフト紙等のシート材２９を貼着したも
のであってもよい。

【００１９】

【実施例】図８に概略的に示すような型枠３を用いて厚
さが１１４ｍｍ（コアである発泡断熱材６の厚さは９２
ｍｍ）で、縦横が６０００ｍｍ×１５００ｍｍの大サイ
ズの建築用パネルを作製した。上記型枠の一方の側枠に
は注入孔を２個間隔をおいて形成し、両側枠には直径７
ｍｍの排気孔を１００ｍｍの間隔で複数形成した。ま
た、両端枠には直径１０ｍｍの排気孔を７個１組で２箇
所ずつ形成し、上記型枠の内面に軟質ウレタンフォーム
からなる厚さ９ｍｍで片面に粘着面を有するシート状の
通気性遮蔽材を貼着した。そして、上記型枠を用いて、
イソシアヌレートフォームからなる発泡断熱材の原液を
注入孔から注入して建築用パネルを作製したところ、発
泡断熱材にエアボイドや未充填部のない均一な表面を有
し、かつ発泡断熱材に通気性遮蔽材が一体化された建築
用パネルが得られた。

【００２０】

【発明の効果】以上要するに本発明の建築用パネルによ
れば、発泡断熱材の原液を注入充填した際、充填領域内
の空気およびガスが排気孔から逃げ、排気孔からの原液
の流出は通気性遮蔽材により阻止されるため、上記原液
の流出を防止しつつエアーボイドや未充墳部の発生を防
止することができ、品質および生産性の向上が図れる。
しかも、離型時には上記通気性遮蔽材が建築用パネルの
発泡断熱材に一体化されているため、通気性遮蔽材の清
掃作業が不要もしくは極めて容易になり、生産性の更な
る向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を概略的に示す断面図であ
る。

【図２】型枠の一例を示す斜視図である。

【図３】建築用パネルの部分的斜視図である。

【図４】建築用パネルからなる建物の構成を示す断面図
である。

【図５】建築用パネル同士を接合する接合構造を示す断
面図である。

【図６】本発明の他の実施の形態を示す断面図である。

【図７】本発明の更に他の実施の形態を示す断面図であ
る。

【図８】本発明の実施例を説明するための概略的斜視図
である。

【符号の説明】

１ 建築用パネル ２ 面材 ３ 型枠 ６ 発泡断熱材 ７ 発泡断熱材の原液 ８ 注入孔 ９ 排気孔 １０ 通気性遮蔽材 ２０ 枠材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 面材の周囲に配置される型枠もしくは面
   材の縁部に設けられた枠材に、発泡断熱材の原液を注入
   する注入孔および排気孔を形成し、上記型枠の内側もし
   くは上記枠材に気体は通すが上記原液は通さない通気性
   遮蔽材を上記排気孔を覆うように設け、上記原液の注入
   発泡により上記面材に発泡断熱材を設けると共にこの発
   泡断熱材に上記通気性遮蔽材を一体化させてなることを
   特徴とする建築用パネル。