JPH0995749A - 疲労強度、耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器 - Google Patents
疲労強度、耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器Info
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Abstract
し、耐食性に優れかつろう付時に溶融がなく、小型、軽
量化が可能であり、工業上顕著な効果を奏する熱交換器
に用いるアルミニウム合金ブレージングシートを提供す
る。 【解決手段】 少なくともCuを含有するアルミニウム
合金芯材の片面にアルミニウム合金ろう材をクラッド
し、他の片面に少なくともZnとMgを含有するアルミ
ニウム合金犠牲材をクラッドした3層構造のアルミニウ
ム合金ブレージングシートを用いてろう付けにより得ら
れた熱交換器において、該熱交換器を構成した該ブレー
ジングシートの該芯材と該犠牲材の界面近傍の芯材側界
面部で最長径が1〜50nmのAl−Cu−Mg−Zn系析
出物が 150個/μm3 以上分布していることを特徴とす
る疲労強度、耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換
器。
Description
ブレージングシートを用いた自動車用熱交換器に関する
ものであり、さらに詳しくは、本発明で規定したブレー
ジングシートは電縫加工等によりチューブ材としたり、
そのままヘッダー材として熱交換器に使用され、ろう付
後の疲労強度が強く、熱交換器としての外部および内部
耐食性に優れ、さらに熱交性能に優れたアルミニウム合
金製熱交換器に関するものである。
ーター等の熱交換器は例えば図1に示すように複数本の
偏平チューブ(1)の間にコルゲート状に加工した薄肉
フィン(2)を一体に形成し、該偏平チューブ(1)の
両端はヘッダー(3)とタンク(4)とで構成される空
間にそれぞれ開口しており、一方のタンク側の空間から
偏平チューブ(1)内を通して高温冷媒を他方のタンク
(4)側の空間に送り、チューブ(1)およびフィン
(2)の部分で熱交換して低温になった冷媒を再び循環
させるものである。
ッダー材は例えばJIS3003合金(Al−0.15wt%
Cu− 1.1wt%Mn)を芯材とし、該芯材の内側、すな
わち冷媒に常時触れている側には内張材としてJIS7
072合金(Al−1wt%Zn)を、そして、該芯材の
外側には、通常JIS4045合金(Al−10wt%S
i)等のろう材をクラッドしたブレージングシートを用
い、コルゲート加工を行ったフィン等の他の部材ととも
にブレージングにより一体に組み立てられている。ブレ
ージング工法としては、フラックスブレージング法、非
腐食性のフラックスを用いたノコロックブレージング法
等が行われ、 600℃付近の温度に加熱してろう付けされ
る。
の方向にあり、そのために材料の薄肉化が望まれてい
る。しかし、従来の方法で薄肉化を行った場合、多くの
問題点が生じる。まず、チューブ疲労強度の低下による
熱交換器コアの破壊、チューブ内側の耐食性が著しく低
下するなどの問題である。
芯材のSi、Cu添加による固溶強化が有効であった
が、多量添加による低融点組成ではろう付時に溶融を引
き起こす恐れがあり、溶融しない範囲でのSi、Cu添
加による固溶強化だけでは板厚0.2mmの極薄肉で高強度
化を図るには限界があった。そこで、本発明者らは犠牲
材にMg、Znを添加しろう付加熱後にAl−Mg−Z
n系化合物を時効析出させ、時効硬化による強度アップ
を図った。しかし、チューブ板厚0.25mmまではこの従来
技術で十分であったが、板厚0.25mm以下、特に 0.2mmの
薄肉になると、この技術では限界があった。また、ろう
付時の冷却速度を従来よりも速くさせ、固溶量を増大さ
せてろう付後の時効析出の増加を試みたが、目標強度を
維持することは不可能であった。
0.2mmのチューブからなる熱交換器では、実車走行のシ
ミュレート試験において、冷却←→加熱による繰り返し
応力、および振動による応力を受けていった場合、疲労
強度が次第に低下し、結果としてチューブ管が破裂し、
熱交換器としての機能を失うという問題が出てくるので
ある。また、芯材にMgを添加し、芯材のSiとの間で
形成されたMg2 Si化合物による強度向上法が考えら
れるが、芯材Mg量が 0.7%を越えるとろう付時にろう
材側への拡散量が多くなり、フィンとのろう付ができな
くなるなどの問題が生じてくる。
u等の電位を貴にする元素の添加量が増えると、ろう付
加熱により芯材から犠牲材へのSi、Cu拡散がより進
行することから、従来の犠牲材へのZn添加量では芯材
と犠牲材との電位差が十分に確保できず、よって十分な
犠牲防食効果が維持できなくなり、耐孔食性が低下し、
チューブ管が貫通する恐れが出てくる。この場合、熱交
換器としての機能が全く働かなくなるのである。
に鑑み鋭意検討の結果、ろう付後の疲労強度、耐食性に
優れるアルミニウム合金ブレージングシートを用いた、
小型、軽量化、熱効率の向上が可能な熱交換器を開発し
たものである。本発明の熱交換器に用いるアルミニウム
合金ブレージングシートは図2に示すような3層構造を
有する。すなわち、高強度アルミニウム合金を芯材
(5)とし、この芯材の片面にろう材(6)、他の片面
に犠牲材(7)を有する。熱交換器に組み立てる際には
ろう材を外側に、犠牲材を冷媒通路構成側にして使用す
る。
シートの疲労強度を向上させるために、該ブレージング
シートのどの部分について最も強度を向上させればよい
かについて種々検討し、本発明に係るブレージングシー
トからなるチューブ材と、従来より用いられているフィ
ン材とを組合せてろう付けにより熱交換器とした場合
に、上記ブレージングシートの芯材と犠牲材との界面近
傍の芯材側界面部においてAl−Cu−Mg−Zn系析
出物が本発明で規定した分布をとると、該チューブ材、
ひいては該熱交換器が上記のように疲労強度と耐食性に
優れるという効果を発揮することを知見した。すなわ
ち、本発明者らは芯材側界面部においてマトリックス中
に析出した最長径で1〜50nm径の非常に微細なAl−C
u−Mg−Zn系化合物による時効硬化が材料の疲労強
度に大きく影響していることを見出したのである。
は、ろう付加熱後の人工時効処理が最適である。但し、
本発明におけるブレージングシートの芯材および犠牲材
組成のもとで、最長径1〜50nm径のAl−Cu−Mg−
Zn系析出物が 150個/μm3 以上分布するためには、
時効処理条件の選択が重要なポイントである。すなわ
ち、本発明者らの調査によれば時効処理により本発明で
規定した芯材中のCuと犠牲材中のMgおよびZnとの
ろう付加熱後の元素拡散状況は図3のようになる。そし
て図中犠牲材と芯材との界面から芯材内へ30μmの深さ
部分がAl−Cu−Mg−Zn系析出物による時効硬化
が最も寄与する領域であり、且つ本発明により熱交換器
の疲労強度を大幅に向上させることが可能な芯材部分で
あることが判明した。
った結果、ろう付加熱後の人工時効処理を大気中あるい
は窒素雰囲気中等で80〜 180℃の温度範囲で少なくとも
5時間以上行うことにより、チューブの疲労強度向上の
効果が出ることを見出したのである。特に、90〜 140℃
で24時間以上行った場合には、Al−Cu−Mg−Zn
系化合物の時効析出が芯材と犠牲材の界面近傍の芯材側
界面部において顕著に引き起こされ、チューブ、ひいて
は熱交換器の疲労強度が大幅に向上することを見出した
のである。
さ方向の芯材側に深さ約30μm付近までの領域をいう
が、この部分において、本発明で規定した最長径1〜50
nm径のAl−Cu−Mg−Zn系析出物が 150個/μm
3 以上分布することにより、板厚 0.2mmのような薄肉チ
ューブを用いても、従来技術で行われた芯材のSi、C
uによる固溶強化、あるいはろう付後の室温放置による
自然時効では想像できないような、疲労強度が飛躍的に
向上する熱交換器を提供し得ることを本発明者らは新た
に見出したものである。
ろう付加熱後の冷却速度を従来の40〜60℃/min.より大
きい80℃/min.以上で行えば、本発明で規定したAl−
Cu−Mg−Zn系析出物の分布状態を得るのにより好
ましい。さらに望ましくはろう付後の冷却過程での 400
〜 200℃の温度範囲における冷却速度を 100℃/min.以
上で行えば、Al−Cu−Mg−Zn系析出物の数密度
が一層増加し、熱交換器の疲労強度がさらに向上するの
である。
たアルミニウム合金製熱交換器であって、少なくともC
uを含有するアルミニウム合金芯材の片面にアルミニウ
ム合金ろう材をクラッドし、他の片面に少なくともZn
とMgを含有するアルミニウム合金犠牲材をクラッドし
た3層構造のアルミニウム合金ブレージングシートを用
いてろう付けにより得られた熱交換器において、該熱交
換器を構成した該ブレージングシートの該芯材と該犠牲
材の界面近傍の芯材側界面部で最長径が1〜50nmのAl
−Cu−Mg−Zn系析出物が 150個/μm3 以上分布
していることを特徴とするものである。
シートとして、Si: 0.2〜 1.5wt%、Cu: 0.4〜
2.5wt%、Mn: 0.5〜 2.0wt%を含有し、またはさら
にMg:0.03〜 0.5wt%、Cr:0.03〜 0.3wt%、Z
r:0.03〜 0.3wt%、Ti:0.03〜 0.3wt%のうち1種
または2種以上を含有し、残部アルミニウムと不可避的
不純物とからなるアルミニウム合金芯材の片面にアルミ
ニウム合金からなるろう材をクラッドし、他の片面にZ
n: 1.0〜 6.0wt%、Mg: 0.5〜 3.5wt%を含有し、
またはさらにIn: 0.002〜 0.3wt%、Sn: 0.002〜
0.3wt%、Mn:1.6wt%以下のうち1種または2種以
上を含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とから
なるアルミニウム合金犠牲材をクラッドした3層構造の
アルミニウム合金ブレージングシートを用いるのは有効
である。
述べる。Cuは固溶状態にて合金中に存在し、強度を向
上させる。Cuが 0.4wt%未満の場合強度向上効果が十
分でない。耐食性を考えると、Cu量上限は 2.5wt%以
下が望ましい。したがって、Cuは 0.4〜 2.5wt%とす
るが、特に 1.0〜 1.5wt%で安定した特性を示す。
wt%未満の場合、強度向上効果が十分でなく、 1.5wt%
を越えると芯材中に粗大な化合物を形成し、犠牲層を越
えて腐食が進む場合に耐食性を低下させる。即ち、高強
度化のために、芯材にSiを多量添加すると冷媒通路構
成部材の耐食性は急激に低下する。したがって、Siは
0.2〜 1.5wt%とするが、特に 0.5〜 1.0wt%付近で安
定した特性を示す。
せ、耐食性を低下させることなく強度を向上させるため
の元素である。その量が 0.5wt%未満では強度向上が十
分でなく、 2.0wt%を越えて添加した場合成形性が低下
し、熱交換器への組付け等の加工時にブレージングシー
トが割れてしまう。特に 1.0〜 1.5wt%において安定し
た特性を示す。
の微細な析出相として存在し、強度を向上させる。0.03
wt%未満では強度向上の効果がなく、 0.5wt%を越えて
添加すると非腐食性のフラックスを用いたろう付けをす
る場合にフラックスとMgが反応しろう付けができなく
なる。
化合物を形成し合金の強度を向上させる働きを有する。
しかし、それぞれ0.03wt%未満では強度向上の効果がな
く、それぞれ 0.3wt%を越えて添加した場合成形性が低
下し、熱交換器への組付け等の加工時にブレージングシ
ートが割れてしまう。
不可避的不純物としての代表的な元素として、Feがあ
る。Feは 1.2wt%以下であれば、含有されていてもか
まわない。また、鋳塊組織の微細化のために添加される
B等、上記以外の元素はそれぞれ0.05wt%以下であれば
含有されていてもかまわない。
ではろう材をアルミニウム合金とし、組成までは規定し
ていない。したがって、従来のAl−Si系合金ろう材
を使用すれば十分である。但し、芯材中のSi、Cu量
が増加した場合にろう付加熱により合金が溶融してしま
うおそれのあることを考慮して、本発明者らが従来より
開発し、特開平7−97651号公報で開示した、低温
(570〜 585℃で使用可能)用ろう合金、すなわちAl−
Si−Cu−Zn系合金、例えばAl−10wt%Si−
1.8wt%Cu− 4.0wt%Zn合金ろう材を使用しても構
わない。また、不可避的不純物として、Feは 1.0wt%
以下であれば含有可能である。しかし、Feはろうが凝
固する時に金属間化合物を形成し、これが腐食の起点と
なる。そのため、Fe量は 0.5wt%以下が望ましい。F
e以外の不可避的不純物として、他の元素もそれぞれ0.
05wt%以下であれば含有してもよい。
る。本発明のような犠牲材合金と高Cu添加芯材合金と
を組み合わせた場合、芯材合金中に添加されているCu
がろう付時に犠牲層に拡散し、犠牲層の犠牲効果が打ち
消されてしまう。そのため犠牲材中のZnを増やすこと
が考えられる。すなわち、本発明の犠牲材合金はZnと
Mgを必須に含むもので、具体的には、Zn 1.0〜 6.0
wt%、Mg: 0.5〜 3.5wt%を含有し、またはさらにI
n:0.002〜 0.3wt%、Sn: 0.002〜 0.3wt%、M
n: 1.6wt%以下のうち1種または2種以上を含有し、
残部アルミニウムと不可避的不純物とからなるアルミニ
ウム合金である。
らにろう付時に芯材に拡散し、ろう付後、室温放置中あ
るいは上記の人工時効処理により、芯材と犠牲材の界面
近傍の芯材側界面部において最長径で1〜50nm径のAl
−Cu−Mg−Zn系析出物を形成させる効果がある。
上記の芯材中のSi、Cuの含有量では犠牲材中のZn
量が 1.0wt%未満のときは効果が十分でなく、その量が
6.0wt%を越えると融点が低下し溶融してしまう。望ま
しくは 4.0〜 5.0wt%の添加でより優れた効果を発揮す
るのである。
ともに、ろう付時に芯材へ拡散して、Al−Cu−Mg
−Zn系の時効析出を伴い、チューブ自身、および熱交
換器全体の疲労強度を向上させる。その量が 0.5wt%未
満では、強度を十分に向上させるだけのAl−Cu−M
g−Zn系の時効析出が起こらない。 3.5wt%を越える
と融点が低下し溶融してしまう。
が、その含有量が 1.6wt%を越えると材料製造時の圧延
加工性が劣り、バリ等の発生も高くなるので、Mn≦
1.6wt%と規定した。さらに望ましいMnの添加量は 0.
5〜 1.3wt%の範囲が良好である。
る。その量がそれぞれ 0.002wt%未満では効果が十分で
なく、その量がそれぞれ 0.3wt%を越えると合金の圧延
加工性が低下し、3層材のブレージングシートに用いる
犠牲材としては適さなくなる。
るが、不可避的不純物として、Siは 0.5wt%以下であ
れば含有可能であるが、 0.1wt%以下が望ましい。Fe
は0.8wt%以下であれば含有可能であり、 0.1wt%以下
が望ましい。また強度向上のためのCr、Zr、Ti等
の上記以外の元素もそれぞれ0.05wt%以下であれば不純
物元素として含有してもかまわない。
上のような合金組成の3層材であり、例えば板厚 0.2mm
の場合、ろう材、犠牲材ともその厚さは通常20〜30μm
程度である。しかしその被覆率は使われる部材の板厚に
よって異なり、この値に限定するものでない。
ブレージング法、非腐食性のフラックスを用いたノコロ
ックブレージング法等であればよい。ろう付け前の組み
立て、洗浄、場合によってフラックス塗布等は従来通り
行えばよい。この場合フラックスは、例えばセシウム系
のフラックスを用いれば、Al−Si−Cu−Zn系ろ
う材の使用も可能である。
る。
のろう材及び犠牲材との組み合せからなるアルミニウム
合金チューブ材用の板厚0.20mmの3層ブレージングシー
ト板材を通常の方法により製造した。ろう材のクラッド
率は10%、犠牲材のクラッド率は15%である。また、犠
牲材中には不純物元素として、Fe、Siがそれぞれ0.
01〜 0.2wt%の範囲内で含まれている。これらチューブ
用板材と板厚0.08mmのコルゲート状に加工したベアフィ
ン材(JIS3003+ 1.5wt%Zn)、およびヘッダ
ープレート、サイドプレート、樹脂タンクを用いて熱交
換器を組み立て、フラックスを塗布して表3の条件でN
2 ガス中でろう付加熱、およびその後人工時効処理を行
い、図1に示すラジエーター熱交換器のコアNo.1〜N
o.24を作製した。詳しくは、チューブ材は、表1、2に
示す板厚 0.2mmのコイル状板材を通常の方法により製造
し、コイル状板材は電縫管のサイズに合わせスリッター
して条材にした。この条材を電縫管製造装置を用い、幅
16.0mm、厚さ 1.8mmの通液管用の電縫管に加工した。ま
た、同一の構成の板厚 1.0mmのコイル状板材をスリッタ
ーしてヘッダー用の条材とした。そして組み立てられた
ラジエーターは、フッ化カリウム系フラックスにセシウ
ム系フラックスを3%混合した5%濃度液を塗布し、N
2 ガス中で表3の条件で加熱を行い、ろう付けした。
いて、それぞれのチューブ材について芯材と犠牲材の界
面からクラッド材の厚さ方向に30μm以内の距離に相当
する芯材部分を機械的研磨法により抽出し、HNO3 メ
チル溶液にて電解エッチング法により微小穴(針穴)を
開け、透過電子顕微鏡によりその穴近傍での芯材部分を
組織観察した。そして最長径1〜50nm径のAl−Cu−
Mg−Zn系析出物を観察し、干渉縞により観察視野の
試料厚さを求め、単位体積(μm3 )当たりの本析出物
の数密度を画像処理を用いて測定した。これらの結果を
表3に示す。
圧疲労試験で評価した。試験条件については、それぞれ
の熱交換器コアに冷媒を供給し、その供給圧力を最大加
圧2.4kgf/cm2 と0kgf/cm2 の間で5Hzの周期で繰り返
し加圧を行い、チューブが破断するまでの繰り返し回数
で耐久性を評価した。繰り返し回数が 2.5万回を越えれ
ば耐久性が合格とした。その結果を表4に示す。
2+イオンを10ppm 添加した水道水をコア内部で循環さ
せ、80℃×8時間と室温×16時間の循環サイクル腐食試
験を3カ月間行った。犠牲材表面に発生したピット深さ
を光学顕微鏡による焦点深度法によって求めた。また、
チューブ外側耐食性試験として、5%NaCl液を用い
たCCT試験を行った。サイクル条件は、噴霧:35℃×
4hr(98%RH)→乾燥:60℃×2hr(30%RH)→湿
潤:50℃×2hr(95%RH)を1サイクルとし、150サ
イクルまで試験した。ろう材表面に発生したピット深さ
を光学顕微鏡による焦点深度法によって求めた。これら
の結果を表4に示した。
接合率を測定し、90%以上であれば合格と評価した。ろ
う付加熱時の溶融については、加熱後、目視で観察し、
その有無を評価した。これらの結果を表4に示した。
熱交換器コアは、本発明の熱交換器コアに比べろう付加
熱後の時効処理温度が高いため、Al−Cu−Mg−Z
n系化合物は析出するが、本発明で規定した1〜50nmの
ような微細析出物(準安定相)は非常に少なく(本発明
で規定した数密度よりもはるかに少なく)、 0.2μm以
上の粗大な化合物が安定相として析出してしまうため、
いわゆる過時効現象を起こし、実際の熱交換器の耐久性
試験では、疲労強度が大幅に低下し早期に破断してしま
うのである。比較例No.16、18、20の熱交換器コアは、
従来例と同様、ろう付加熱後の人工時効処理を行ってい
ないため、本発明のような疲労強度の飛躍的向上が見ら
れない。また、比較例No.22のコアは、ろう付加熱後の
冷却を従来例よりも速い冷却速度で行っているため、従
来例No.23、24のコアよりも耐久性は若干向上(1.5万回
→ 1.7万回)しているが、ろう付後の人工時効処理を施
していないため、目標の繰り返し回数 2.5万回を確保す
ることができず、本発明例よりも耐久性が劣る結果とな
っている。
耐食性を従来と同等レベルに確保し、耐久性について
は、従来に比べて飛躍的に向上するのである。したがっ
て、自動車用熱交換器として使用するにあたっては、何
ら問題はないのである。しかも上記実施例において得ら
れた本発明の熱交換器はフインの潰れが生じることなく
製造されており、製造されたラジエーターは熱効率に優
れている。
合金ブレージングシートを用いた本発明の熱交換器は、
従来に比べろう付後の疲労強度が大幅に向上し、耐食性
に優れかつろう付時に溶融がなく、小型、軽量化が可能
であり、工業上顕著な効果を奏するものである。
断面図である。
散状況を示す説明図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくともCuを含有するアルミニウム
合金芯材の片面にアルミニウム合金ろう材をクラッド
し、他の片面に少なくともZnとMgを含有するアルミ
ニウム合金犠牲材をクラッドした3層構造のアルミニウ
ム合金ブレージングシートを用いてろう付けにより得ら
れた熱交換器において、該熱交換器を構成した該ブレー
ジングシートの該芯材と該犠牲材の界面近傍の芯材側界
面部で最長径が1〜50nmのAl−Cu−Mg−Zn系析
出物が 150個/μm3 以上分布していることを特徴とす
る疲労強度、耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換
器。 - 【請求項2】 アルミニウム合金ブレージングシート
が、Si: 0.2〜 1.5wt%、Cu: 0.4〜 2.5wt%、M
n: 0.5〜 2.0wt%を含有し、残部アルミニウムと不可
避的不純物とからなるアルミニウム合金芯材の片面にア
ルミニウム合金からなるろう材をクラッドし、他の片面
にZn: 1.0〜 6.0wt%、Mg: 0.5〜3.5wt%を含有
し、残部アルミニウムと不可避的不純物とからなるアル
ミニウム合金犠牲材をクラッドした3層構造である請求
項1記載のアルミニウム合金製熱交換器。 - 【請求項3】 アルミニウム合金ブレージングシート
が、Si: 0.2〜 1.5wt%、Cu: 0.4〜 2.5wt%、M
n: 0.5〜 2.0wt%を含有し、さらにMg:0.03〜 0.5
wt%、Cr:0.03〜 0.3wt%、Zr:0.03〜 0.3wt%、
Ti:0.03〜0.3wt%のうち1種または2種以上を含有
し、残部アルミニウムと不可避的不純物とからなるアル
ミニウム合金芯材の片面にアルミニウム合金からなるろ
う材をクラッドし、他の片面にZn: 1.0〜 6.0wt%、
Mg: 0.5〜 3.5wt%を含有し、残部アルミニウムと不
可避的不純物とからなるアルミニウム合金犠牲材をクラ
ッドした3層構造である請求項1記載のアルミニウム合
金製熱交換器。 - 【請求項4】 アルミニウム合金ブレージングシート
が、Si: 0.2〜 1.5wt%、Cu: 0.4〜 2.5wt%、M
n: 0.5〜 2.0wt%を含有し、残部アルミニウムと不可
避的不純物とからなるアルミニウム合金芯材の片面にア
ルミニウム合金からなるろう材をクラッドし、他の片面
にZn: 1.0〜 6.0wt%、Mg: 0.5〜3.5wt%を含有
し、さらにIn: 0.002〜 0.3wt%、Sn: 0.002〜
0.3wt%、Mn: 1.6wt%以下のうち1種または2種以
上を含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とから
なるアルミニウム合金犠牲材をクラッドした3層構造で
ある請求項1記載のアルミニウム合金製熱交換器。 - 【請求項5】 アルミニウム合金ブレージングシート
が、Si: 0.2〜 1.5wt%、Cu: 0.4〜 2.5wt%、M
n: 0.5〜 2.0wt%を含有し、さらにMg:0.03〜 0.5
wt%、Cr:0.03〜 0.3wt%、Zr:0.03〜 0.3wt%、
Ti:0.03〜0.3wt%のうち1種または2種以上を含有
し、残部アルミニウムと不可避的不純物とからなるアル
ミニウム合金芯材の片面にアルミニウム合金からなるろ
う材をクラッドし、他の片面にZn: 1.0〜 6.0wt%、
Mg: 0.5〜 3.5wt%を含有し、さらにIn: 0.002〜
0.3wt%、Sn: 0.002〜 0.3wt%、Mn: 1.6wt%以
下のうち1種または2種以上を含有し、残部アルミニウ
ムと不可避的不純物とからなるアルミニウム合金犠牲材
をクラッドした3層構造である請求項1記載のアルミニ
ウム合金製熱交換器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27981195A JP3434102B2 (ja) | 1995-10-03 | 1995-10-03 | 疲労強度、耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27981195A JP3434102B2 (ja) | 1995-10-03 | 1995-10-03 | 疲労強度、耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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