JPH0995542A - 塗装された樹脂成形物を利用した多層樹脂成形物 - Google Patents

塗装された樹脂成形物を利用した多層樹脂成形物

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JPH0995542A
JPH0995542A JP25400395A JP25400395A JPH0995542A JP H0995542 A JPH0995542 A JP H0995542A JP 25400395 A JP25400395 A JP 25400395A JP 25400395 A JP25400395 A JP 25400395A JP H0995542 A JPH0995542 A JP H0995542A
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propylene
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JP25400395A
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English (en)
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Kazuo Ito
一男 伊藤
Hirofumi Murakami
博典 村上
Akikimi Katagiri
章公 片桐
Yoshio Kitawaki
義雄 北脇
Takashi Nakayama
隆 中山
Atsushi Takeuchi
淳 竹内
Minoru Makuta
実 幕田
Hitoshi Okane
仁 大金
Kenji Hamabe
健二 濱邊
Osamu Aoki
修 青木
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Honda Motor Co Ltd
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い耐寒衝撃性、耐熱性、剛性などを有し、
かつトリクロロエタン蒸気処理を施すことなく成形物に
塗装が可能で、良好な塗膜密着性、特に耐ガソホール性
に優れた多層樹脂成形物。 【解決手段】 塗装の施された熱可塑性樹脂成形物の粉
砕物の100重量部に対し、不飽和カルボン酸により変
性されたポリプロピレン系樹脂の2〜15重量部が配合
されている樹脂組成物からなる芯材と、プロピレン系重
合体を30〜80重量%と、不飽和ヒドロキシ化合物で
変性されたプロピレン系重合体を3〜20重量%と、熱
可塑性エラストマーを15〜40重量%と、末端に官能
基を有するオリゴマーを0.1〜10重量%含有したポ
リプロピレン系樹脂組成物からなり、前記芯材を被覆す
る表面層とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芯材と、その表面
を被覆する表面層を有した多層樹脂成形物に関するもの
であり、更に詳しくは、塗装された熱可塑性樹脂成形物
からなる自動車用バンパーの廃材を再利用する樹脂成形
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂の射出成形の分野において
は従来から多層成形物を得るサンドイッチ成形が行われ
ている。この成形方法では、芯材と表面層に使用される
材料が同種では勿論のこと、異種材料でも成形が可能で
同種では発現しない特性を有する成形体を生み出すこと
ができることから、近年この成形法が成形品の外観(ヒ
ケ、ソリ)の改良、さらに剛性などの改良の目的で家電
分野、自動車分野などを中心に広く行われている。一
方、地球環境保護の見地から、近年、樹脂成形品を回収
して再利用化(以下、リサイクルと称する)することが
緊急課題として採り上げられ検討が重ねられると共に実
施化されている。リサイクルの方法としては、回収され
た樹脂成形品を粉砕機にて粉砕して成形用原材料として
利用する、または粉砕したものを押出機にてペレット化
して成形用原材料として利用する方法が一般的に用いら
れている。
【0003】ところで、自動車用バンパーには非常に高
い耐衝撃性が要求され、ポリオレフィン系樹脂組成物、
主としてプロピレン重合体、エチレン−プロピレン共重
合ゴム、タルクを含有したものが広く使用され、また様
々なものが提案されている(例えば、特開昭53−55
952号公報,特開昭53−64257号公報,特開昭
57−55952号公報,特開昭57−159841号
公報,特開昭58−111846号公報参照)。また、
自動車用バンパーには、その性能を満足することに加え
て、意匠性を高めるべく、塗装が施されている製品が多
い。
【0004】しかし、例えば塗装の施されたポリプロピ
レン系樹脂の製品を上記のような方法によりリサイクル
材として用いた場合、材料中に塗料を有するために、成
形性に劣り、また成形品の外観が劣るばかりでなく物性
低下も大きい。よって、元の成形品と同一の成形品に再
利用することもできないのが実情である。このようなリ
サイクル材のもつ欠点を補うために、サンドイッチ成形
によりリサイクル材を芯材に使用し、新たなポリプロピ
レン系樹脂を表面層を形成する樹脂(表面層材)に用い
ることにより物性の低下を抑える手法が採られている。
例えば、特公昭60−44155号公報、特開昭61−
259943号公報、特開昭62−28332号公報、
特開昭63−237924号公報、特開平6−7182
9号公報が参照される。
【0005】しかし、上記のようにサンドイッチ成形品
にしても新しい樹脂単独の成形品に比べれば物性の低下
が激しく、自動車外装部品、例えば、バンパーのよう
に、低温での衝撃性を要求される製品には応用展開でき
ないのが現状である。また、ポリプロピレンは極性基を
もたないので、塗装性が悪く、塗装性改良のために従来
はトリクロロエタン(TCE)などの有機塩素化合物系
溶剤の蒸気で表面処理し、次いで、成形物自体の色を隠
蔽するためにプライマーを塗布した後、塗料を塗装する
ことが一般的に行われている。しかしながら、最近の世
界的傾向として地球環境問題がクローズアップされ、塗
装前処理として一般的に用いられているTCEが使用で
きなくなる。また、省資源、コストダウン指向の下で自
動車等の燃料に低級アルコール類(メタノール、エタノ
ール、ブタノール等)を混合した燃料、通称ガソホール
が用いられる傾向がある。このガソホールは塗装基材と
ポリウレタン塗膜との密着に与える影響が非常に大きい
ため、塗膜を剥離させるおそれがある。そこで、このよ
うな問題を解決する為に、プロピレン系重合体、OH基
含有化合物、熱可塑性エラストマー、末端に官能基を有
するオリゴマー等からなる組成物が提案されている(例
えば、特開平7−26044号公報)。しかしながら、
上記の組成物を表面層に用いることにより耐ガソホール
性は良好であっても、上記のようにサンドイッチ成形品
にすると、新しい樹脂単独の成形品に比べれば物性の低
下が激しく、やはり、自動車外装部品、例えば、バンパ
ーのように低温での衝撃性を要求される製品には応用展
開できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】サンドイッチ成形物な
ら表面層と芯材とで樹脂材料を変えることができるが、
上記公報におけるサンドイッチ成形物は低温衝撃性が不
十分で、大型製品に対しては成形性が劣る問題がある。
また、特開平4−191044号公報に記載の成形物
は、塗装性が改良されておらず、その組成から、トリク
ロロエタン処理なしでは塗装ができるのか問題がある。
【0007】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、上記従来のサンドイッチ成形物の抱える問題
を解決し、例えば自動車外装部品用などの成形物として
実用に十分な耐寒衝撃性、耐熱性、剛性などを有し、か
つトリクロロエタン蒸気処理を施すことなく成形物に塗
装が可能で、良好な塗膜密着性、特に耐ガソホール性に
優れた多層樹脂成形物を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の塗装された樹脂
成形物を利用した多層樹脂成形物は、芯材とこれを被覆
する表面層とからなり、芯材は、塗装の施された熱可塑
性樹脂成形物の粉砕物の100重量部に対し、不飽和カ
ルボン酸により変性されたポリプロピレン系樹脂の2〜
15重量部が配合されている樹脂組成物からなり、表面
層は、(A)プロピレン系重合体を30〜80重量%
と、(B)不飽和ヒドロキシ化合物で変性されたプロピ
レン系重合体を3〜20重量%と、(C)熱可塑性エラ
ストマーを15〜40重量%と、(D)末端に官能基を
有するオリゴマーを0.1〜10重量%とを含有したポ
リプロピレン系樹脂組成物からなるものである。
【0009】この際、不飽和カルボン酸により変性され
たポリプロピレン系樹脂が、プロピレンを主たるポリマ
ー構成単位とするポリプロピレン系樹脂に不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体をラジカル開始剤の存在下でグラ
フト重合することにより変性されたものであり、該ポリ
プロピレン系樹脂中の不飽和カルボン酸またはその誘導
体に由来する単位の割合が0.1〜20重量部であるこ
とが望ましい。また、表面層中の上記(A)、(B)、
(C)成分の合計量に対して、(B)成分中に含まれる
不飽和ヒドロキシ化合物中のヒドロキシ基の含量が、ヒ
ドロキシエチルメタクリレート換算で0.01重量%以
上であることが望ましい。さらに、熱可塑性エラストマ
ーには、エチレン−αオレフィン共重合体ゴムが含まれ
ることが望ましい。また、末端に官能基を有するオリゴ
マーのヨウ素価は50以下であることが望ましい。ま
た、末端に官能基を有するオリゴマーの融点は40℃以
上100℃以下であることが望まれる。
【0010】本発明によれば、廃材を用いても成形品の
耐衝撃性の低下を抑制でき、かつトリクロロエタン蒸気
による前処理を施さなくても、良好な塗膜密着性をも
ち、ガソホールに対しても優れた耐性を有し、また剛
性、低温における耐衝撃性のような機械的特性に優れた
成形物を実現することができる。本発明においては、塗
装された熱可塑性樹脂成形物として自動車用バンパーが
特に好適に用いられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に説明
する。先ず、芯材からから説明する。芯材は廃材と酸変
性されたポリプロピレン系樹脂からなる組成物である。 〔廃材〕本発明における廃材としては、熱可塑性樹脂、
特にポリオレフィン系樹脂成形物であって、その表面
に、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂などの塗料樹脂が塗装されたものでも適用でき
る。廃材に含まれる塗料樹脂の割合は5重量%以下であ
り、好ましくは3重量%以下である。塗料樹脂の割合
が、5重量%を超えると耐衝撃性の改善効果が小さいか
らである。廃材を再利用するには、混合の便宜上、まず
粉砕処理がなされる。廃材の粉砕物の大きさは適宜設定
可能であるが、最大の長さが0.1mm〜10mmのも
のが混合しやすいので好ましい。また、ポリオレフィン
系樹脂成形物としては、広く様々なものが適用され、自
動車用部品や家電製品、家具、雑貨等が適用され、例え
ば自動車用部品であると、そのバンパー、スポイラー、
サイドモール等の外装部品、インスツルメントパネル、
ドアライニング等の内装部品などが挙げられる。
【0012】尚、本発明は、従来再利用が困難であった
塗装の施されたポリオレフィン系樹脂組成物であって
も、再利用することを可能ならしめるものであって、塗
装の施されていない熱可塑性樹脂組成物に対しても勿論
適用できる。
【0013】〔酸変性ポリプロピレン系樹脂〕本発明に
使用される不飽和カルボン酸により変性されたポリプロ
ピレン系樹脂(以下、酸変性ポリプロピレン系樹脂と称
する)は、ポリプロピレン樹脂とラジカル重合性無水物
からなる。ここでいうラジカル重合性無水物とは、分子
中にラジカル重合可能な不飽和結合と酸無水物基を各々
1個以上有し、重合により酸無水物を分子中に導入でき
るような化合物を示す。そのような化合物の代表例とし
ては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エンディ
ック酸、無水シトラコン酸、1−ブテン−3,4−ジカ
ルボン酸無水物、炭素数が多くとも18である末端に二
重結合を有するアルカニル無水コハク酸、炭素数が多く
とも18である末端に二重結合を有するアルカジエニル
無水コハク酸等を挙げることができる。これらは2種類
以上同時に併用しても差し支えない。このうち無水マレ
イン酸、無水イタコン酸が特に好ましい。
【0014】酸変性ポリプロピレン系樹脂中のラジカル
重合性酸無水物に由来する単位の割合は、0.1重量%
〜20重量%の範囲でなければならない。ラジカル重合
性酸無水物の割合が0.1%未満では廃材に含まれる塗
料樹脂との相溶性改善効果が充分でなく、耐衝撃性改善
効果が発現しない。該組成割合が20重量%を越えると
ポリプロピレン系樹脂の有する耐衝撃性が失われるので
良くない。本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂
は、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とする
エチレン及び/又はα−オレフィンとのブロック共重合
体、または、プロピレンを主成分とするエチレン及び/
又はα−オレフィンとのランダム共重合体である。これ
らのブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれも
エチレン及びα−オレフィンの共重合割合は、それらの
合計量として20重量%以下、好ましくは15重量%以
下である。
【0015】また、α−オレフィンの炭素数は4〜12
であるのが好ましい。このようなα−オレフィンとして
は、例えば、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルヘ
キセン−1、オクテン−1が挙げられる。このようなポ
リプロピレン系樹脂のうち、耐衝撃性を高める観点か
ら、ブロック共重合体またはランダム共重合体が好まし
い。このポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート
(MFR:ASTM−D1238に準じ、2.16kgの
荷重を用いて230℃で測定)は、成形性や得られる成
形体の機械的特性等の点から、0.01〜100g/10min
が好ましく、0.01〜80g/10minであればより好まし
く、0.05〜80g/10minであるとさらに好ましい。
【0016】本発明での酸変性ポリプロピレン系樹脂
は、ポリプロピレン系樹脂、不飽和カルボン酸を上述の
割合で使用し、少なくとも1種のフリーラジカル開始剤
の存在下で(加熱)処理することによって製造される。
この際、ポリプロピレン系樹脂、不飽和カルボン酸およ
びフリーラジカル開始剤を混合させながら処理しても良
いが、予めドライブレンドした後に、スクリュー式押出
機、ニーダー、バンバリーミキサーのごとき混合機を用
いて溶融混練する処理をすることによってより均一な組
成物を得ることができる。この処理をあまり高い温度条
件にて実施すると、ポリプロピレン系樹脂が劣化するこ
とがある。しかし、使用されるポリプロピレン系樹脂と
不飽和カルボン酸とがグラフト重合するためには、用い
られるフリーラジカル開始剤が分解する温度で行わなけ
ればならない。したがって、使用するフリーラジカル開
始剤の種類によって異なるが、160〜300℃、さら
には170〜280℃にて実施することが望ましい。
【0017】本発明で用いる酸変性ポリプロピレン系樹
脂の製造は、上記の反応条件にて少なくとも1種のフリ
ーラジカル開始剤の存在下で行うことが好ましい。フリ
ーラジカル開始剤の例として、酸素;ジ−t−ブチルパ
ーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミル
パーオキシド等のジアルキルパーオキシド;アセチルパ
ーオキシド、i−ブチルパーオキシド、オクタノイルパ
ーオキシド等のジアルキルパーオキシド、ジ−i−プロ
ピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
パーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート;
t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキ
シラウレート等のパーオキシエステル;メチルエチルケ
トンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等の
ケトンパーオキシド;1,1−ビス−t−ブチルパーオ
キシシクロヘキサン、2,2−ビス−t−ブチルパーオ
キシオクタン等のパーオキシケタール;t−ブチルヒド
ロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド等のヒドロ
パーオキシド;2,2−アゾ−i−ブチロニトリル等の
アゾ化合物などが挙げられる。このようにして製造され
た上記要件を満たす酸変性ポリプロピレン系樹脂は、比
較的低温で融解し各種の樹脂組成物との物理化学的相互
作用、反応性に富んでいるため、本発明の樹脂組成物の
耐衝撃性の向上に大きな役割を果す。
【0018】〔組成割合〕本発明において用いられる上
記成分の組成割合は、廃材100重量部に対し酸変性ポ
リプロピレン系樹脂が2〜15重量部であり、3〜15
重量部が好ましく、とりわけ3〜13重量部が望まし
い。100重量部の廃材に対する酸変性ポリプロピレン
系樹脂の組成割合が、2重量部未満では耐衝撃性の改良
効果が充分でない。他方、15重量部を越えると配合量
にみあった耐衝撃性の改良効果が得られないだけでな
く、かえって耐衝撃性が低下するので良くない。
【0019】〔配合〕廃材と酸変性ポリプロピレン系樹
脂の配合は、それぞれの各組成物を均一に混合すればよ
い。この場合、ポリオレフィン系樹脂の分野において一
般に添加されている抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、可
塑剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、架橋剤、着
色剤、顔料、無機充填剤などの各種添加剤をそれぞれの
組成物や合成樹脂が有する性質を実質的に損なわない範
囲で添加しても良い。また、必要に応じて各種の合成樹
脂を添加することができる。各組成物の混合には、合成
樹脂の分野において一般に行われている方法を適用すれ
ばよく、混合法としてはタンブラー、リボンブレンダ
ー、ヘンシェルミキサーのごとき混合機を使ってドライ
ブレンドする方法又はスクリュー式押出機、ニーダー、
バンバリーミキサーのごとき混合機を用いて溶融混練す
る方法が挙げられる。この際、あらかじめ組成物をドラ
イブレンドし、得られる混合物を更に溶融混練させるこ
とによってより均一な組成物を得ることができる。
【0020】次に表面層について説明する。 〔(A)プロピレン系重合体〕本発明の多層樹脂成形物
の表面層において使用されるポリプロピレン系樹脂
(A)は、一般的に使用されているプロピレン単独共重
合体または結晶性プロピレン−エチレンもしくはα−オ
レフィン共重合体であり、特に限定はされない。このポ
リプロピレン系樹脂のメルトフローレート(ASTM−
D1238に準じ、荷重2.16kg、温度230℃で
測定、以下MFRともいう)は0.3〜100g/10minが
好ましく、3〜100g/10minが更に好ましく、特に3
〜70g/10minが最も好ましい。MFRが上記下限未満
では組成物の成形性不良になるおそれが有る。一方、上
記上限を越えたものは組成物の耐衝撃性が不良になる恐
れがある。本発明を実施するにあたり前記ポリプロピレ
ン系樹脂は単独で使用してもよく、又、2種以上を併用
してもよい。
【0021】本発明において使用される成分(A)は組
成物中に30〜80重量部好ましくは35〜70重量
部、更に好ましくは35〜60重量部含有されるのが好
適である。上記含有量が30重量部未満の場合は、成形
品の剛性、耐熱性が低下し、80重量部を越える場合
は、低温衝撃強度及び耐ガソホール性が低下する。
【0022】〔(B)不飽和ヒドロキシ化合物で変性さ
れたプロピレン系重合体〕本発明で用いる不飽和ヒドロ
キシ化合物で変性されたプロピレン系重合体(以下、変
性PP系樹脂という。)は、ポリプロピレン系樹脂をヒ
ドロキシル系化合物及び有機過酸化物より変性すること
によって得られるものであり、その製造方法については
例えば特公平3−5420号公報に詳細に記載されてい
る通りである。本発明に使用される変性PP系樹脂を製
造するために使われる原料ポリプロピレン系樹脂は、前
記成分(A)と同じものが使用できるが、合成を高める
点から、プロピレン単独重合体の使用が望ましい。これ
らの重合体のMFRは成形性や得られる組成物の機械的
特性等の点から、0.01〜100g/10minであり、0.
01〜80g/10minが好ましく、特に0.05〜80g/10
minのものが好適である。
【0023】前記ポリプロピレン系樹脂の変性に用いら
れる不飽和ヒドロキシ化合物は、少なくとも一個の不飽
和結合(二重結合,三重結合)を有し、かつヒドロキシ
基を含有する化合物(以下、ヒドロキシ系化合物とい
う)である。かかるヒドロキシ系化合物の代表的なもの
としては、二重結合を有するアルコール、三重結合を有
するアルコール、一価または二価の不飽和カルボン酸と
非置換二価アルコールとのエステル、該不飽和カルボン
酸と非置換多価アルコールとのエステル等が挙げられ
る。これらの代表例としては、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、及び2−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート等を挙げることができる。
【0024】前記ポリプロピレン系樹脂の変性に用いら
れる有機過酸化物としては、一般にラジカル重合におけ
る開始剤や重合体の架橋剤として使われている任意の有
機過酸化物を使用することができ、1分間の半減期が1
00℃以上のものが好ましく、130℃以上のものが好
適である。代表例としては、1,3−ビス(t−ブチル
パーオキシ−イソプロピル)−ベンゼン、ジクミルパー
オキシド、ベンゾイルパーオキシド、2,5−ジメチル
−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサンなどであ
る。
【0025】〔混合割合〕本発明に用いられる変性PP
系樹脂を製造するにあたり、ポリプロピレン系樹脂10
0重量部に対するヒドロキシ系化合物の混合割合は0.
1〜50重量部が好ましく、0.2〜30重量部が更に
好ましく、0.3〜20重量部が特に好適である。ポリ
プロピレン系樹脂100重量部に対するヒドロキシ系化
合物の混合割合が0.1重量部未満では密着性の改良効
果が不十分である。一方、50重量部を越えると使用し
たとしても使用量に応じた塗膜密着性の改良効果が認め
られず、むしろポリプロピレン系樹脂が有する本来の特
性が損なわれる恐れがあるので好ましくない。
【0026】また、ポリプロピレン系樹脂100重量部
に対する有機過酸化物の混合割合は0.01〜20重量
部が好ましく、0.1〜7重量部が特に好適である。ポ
リプロピレン系樹脂100重量部に対する有機過酸化物
の混合割合が0.01重量部未満では塗膜密着性の効果
が低くなる恐れがあり、一方、20重量部を越えるとプ
ロピレン系重合体が有する本来の優れた機械的特性が低
下する恐れがあるため、何れの場合も望ましくない。
【0027】〔変性PP系樹脂の製造方法〕本発明の樹
脂組成物に用いられる変性PP系樹脂を製造するには、
前記したポリプロピレン系樹脂、ヒドロキシ系化合物及
び有機過酸化物を前記の割合で処理(加熱)することに
よって製造することができる。この際、ポリプロピレン
系樹脂、ヒドロキシ系化合物及び有機過酸化物を混合さ
せながら処理しても良いが、予めこれらをドライブレン
ドして混合するか、または、比較的低温(ヒドロキシ系
化合物が反応しない温度)で混練し、得られる混合物を
加熱することによって製造することができる。前処理を
高い温度で実施すると、ポリプロピレン系樹脂が劣化す
ることがある。しかしながら、使用されるポリプロピレ
ン系樹脂とヒドロキシ系化合物とがグラフト重合するた
めには用いられる有機過酸化物が分解する温度で実施し
なければならない。従って使われる有機過酸化物の種類
によって異なるが、この処理は一般的には160〜30
0℃、好ましくは170〜280℃において実施するの
がよい。
【0028】前記変性PP系樹脂は、組成物中に3〜2
0重量%、好ましくは5〜20重量%、とりわけ5〜1
5重量%含有されるのが好適である。この含有量が3重
量%未満の場合には塗装性、特に耐ガソホール性が低下
し、20重量%を越える場合には成形体の剛性及び低温
衝撃性が低下する。
【0029】〔(C)熱可塑性エラストマー〕本発明の
樹脂組成物に用いられる熱可塑性エラストマーは、例え
ばエチレン−プロピレンラバー(EPR)、エチレン−
ブチレンラバー(EBR)、エチレン−プロピレン−ブ
チレンラバー(EPBR)、エチレン−プロピレン−ジ
エンゴム(EPDM)等のオレフィン系エラストマー、
スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチ
レン−イソブチレン−スチレンゴム(SIS)、SBS
の水素添加ゴム(SEBS)、SISの水素添加ゴム
(SEPS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等
のスチレン系エラストマーが好ましく、特にEPR,E
BR,EPBR,SEBS,SEPSの使用が好まし
い。前記熱可塑性エラストマーは単独又は混合物として
使用され、本発明の樹脂組成物中に15〜40重量部、
好ましくは20〜40重量部、更に好ましくは20〜3
5重量部含有されるのが好適である。上記の含有量が1
5重量部未満の場合には成形品の低温での耐衝撃性およ
び塗装性が低下し、40重量部を越える場合には成形品
の剛性が小さくなる。
【0030】〔(D)末端に官能基を有するオリゴマ
ー〕本発明の樹脂組成物中に用いられる末端に官能基を
有するオリゴマーとは、1分子中の少なくとも1つの末
端に官能基を有するオリゴマーである。ここで官能基と
しては、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、エ
ポキシ基、チオール基等であり、互いに反応しないもの
であればこれらの2種以上を併用してもよい。これらの
内ウレタン塗料との親和性から、ヒドロキシ基またはア
ミノ基を含むことが望ましい。末端にヒドロキシ基を有
するオリゴマーの数平均分子量は300以上10,00
0以下であるが、好ましくは500以上8,000以下
で、さらに好ましくは500以上6,000以下であ
る。数平均分子量が10,000を越えると塗装性の向
上が見られず添加の効果がない。
【0031】このオリゴマーは内部に不飽和結合を有す
るものが一般的に安価に入手可能である。該オリゴマー
のヨウ素価(オリゴマー100g中にヨウ素が付加する
g数)は50以下であることが好ましく、更に好ましく
は30以下、より好ましくは10以下である。ヨウ素価
が低い方が本発明の樹脂組成物成形体とウレタン塗膜と
の密着強度に優れ、特に耐ガソホール性が良好である。
本発明におけるヒドロキシ基を有するオリゴマーを具体
的に例示すると、ポリブタジエン(重合様式は1,2−
または1,4−のどちらでもよく、後者の場合は二重結
合がシス、トランスの何れであってもよい。)、ポリイ
ソプレン、イソブチレン−イソプレン共重合体(ブチル
ゴム)、ポリブテン、ブタジエン−アクリロントリル共
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体(ブロック、ラ
ンダムの何れでも良い。)、石油樹脂及びこれらを部分
的もしくは完全に水素添加したもの等であって、1分子
中の少なくとも一つの末端に官能基を有する数平均分子
量が10,000以下のオリゴマーである。
【0032】本発明における末端にヒドロキシ基を有す
るオリゴマーの添加量は0.1重量部以上10重量部以
下であり、好ましくは0.5重量部以上10重量部以下
で、更に好ましくは0.5重量部以上5重量部以下であ
る。0.1重量部未満では塗装性の向上が観られない。
一方、10重量部を越えると成形体の表面に著しくブリ
ードアウトし外観を損ね、剛性も低下する。尚、末端に
ヒドロキシ基を有するオリゴマーとしてワックス状の結
晶性を有する固体を用いた方が多量に配合した場合にお
いても外観を損ねることが少なく好ましい。該オリゴマ
ーとして用いるワックス状の結晶性を有する固体の融点
は、DSC測定値で40℃以上100℃以下の範囲が望
ましい。また、本発明においてオリゴマー中のヒドロキ
シ基の含量は、ヒドロキシメチルメタクリレート換算で
0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上となる
ように配合することが塗装性の上で望ましい。
【0033】さらに本発明でタルク等のフィラーを樹脂
組成物100重量部に対し3〜20重量部程度含有させ
ることもできる。その他、本発明の主旨を逸脱しない範
囲において、該樹脂組成物に上記以外の樹脂やゴム、フ
ィラー、添加剤等の成分を含んでもよい。本発明の成形
物の表面層に任意的に配合される無機充填材は一般の合
成樹脂およびゴムの分野において広く用いられるもので
ある。このような無機充填材としては、酸素および水と
反応しない無機化合物であり、混練時および成形時にお
いて分解しないものが好んで用いられる。かかる無機充
填材は、例えばアルミニウム、銅、鉄、鉛、ニッケル、
マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニ
ウム、モリブデン、ケイ素、アンチモン、チタン等の金
属酸化物、その水和物(水酸化物)、硫酸塩、炭酸塩、
ケイ酸塩のごとき化合物、これらの複塩ならびにこれら
の混合物が挙げられる。これらの無機充填材のうち、粉
末状のものはその径が30μm以下(更に好適には10
μm以下)のものが好ましい。また繊維状のものでは、
径が0.1〜20μm(更に好適には0.1〜15μm)
であり、長さが1.0〜150μm、さらには1.0〜
100μmのものが好ましい。また、平板状のもので
は、径が30μm以下(更に好適には10μm以下)の
ものが好ましい。これらの無機充填材のうち、タルク、
マイカ、クレー、ワラストナイト、チタン酸カリ、炭酸
カルシウム等が好適である。
【0034】本発明における熱可塑性樹脂組成物の混合
は、タンブラー、リボンブレンダー及びヘンシェルミキ
サーのごとき混合機を使ってドライブレンドしてもよ
く、またバッチ式の混練り機(例えば、バンバリーミキ
サー)または連続式混合機を使用して連続的に混練りす
ることもできる。また、これらの方法を併用する(たと
えば、ドライブレンドした後、連続的に混練りする)こ
とによってさらに均一に混合することもできる。このよ
うにして得られる樹脂組成物は通常ペレット状に形成さ
れ、それぞれの熱可塑性樹脂組成物の分野において一般
に行われている射出成形法などの成形方法によって所望
の成形物(たとえば、バンパー、コーナーバンパー)に
形成される。前記の樹脂組成物を製造する際の混合温度
や成形温度などは、溶融混練する場合でも、成形する場
合でも、使われる各成分の融点よりも高い温度である
が、熱分解しない温度とする必要がある。これらのこと
から、一般には180℃〜280℃(好適には、200
℃〜260℃)で実施される。
【0035】〔成形方法〕本発明の成形物は、例えば合
成樹脂の分野において一般に実施されている所謂サンド
イッチ成形方法によって成形することができる。サンド
イッチ成形方法は、前述のごとく、表面層の材料を射出
し、続いて芯材の材料を射出し、最後にゲート部へ少量
の表面層の材料を射出する。このサンドイッチ成形方法
については、廣恵章利編“モルダーシリーズ、最新の射
出成形技術−その実際と応用−”(昭和63年,三光出
版社発行)第137〜144頁に詳細に記載されてい
る。前記の溶融混練する場合でも、サンドイッチ成形す
る場合でも、使われるプロピレン系重合体などの高分子
材料がそれぞれ溶融する温度で実施する必要がある。し
かし高い温度で実施すると、用いられる前記高分子材料
が熱分解することがある。溶融混練温度及び射出成形温
度は、表面層及び芯材に使われるそれぞれの材料の種
類、組成割合によって一概に規定することができない
が、一般には180〜300℃、好ましくは190〜2
80℃である。
【0036】〔成形物〕以上のようにして得られる本発
明の成形物は芯材の表面の全面にわたって、表面層で実
質的に被覆されている。芯材の厚さ100に対する表面
層の厚さは、100以下であり、とりわけ80以下が望
ましい。芯材の厚さ100に対する表面層の厚さが10
0を超えると、リサイクル材の使用量が減るために地球
環境の見地から利用価値が少なくなる。本発明では、芯
材に用いた酸変性ポリプロピレン系樹脂が、リサイクル
材に混入している着色樹脂塗膜とポリプロピレン系樹脂
とを相溶させる役割を発揮する。即ち、酸変性ポリプロ
ピレン系樹脂の有する接着特性を着色樹脂塗膜とポリプ
ロピレン系樹脂の界面で発現させることによって相溶さ
せている。
【0037】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するも
のではない。 〔芯材の調製〕廃材として自動車(本田技研工業(株)
製)の廃車から回収した塗装が施されたポリプロピレン
製バンパーを粉砕機にて粉砕して使用した。その物性を
確認したところ、MFRが11g/10minであり、曲げ弾
性率は9900kg/cm2で落錘衝撃強度は125kg・
cmであった。また、廃材中にはウレタン系塗装被膜が
0.9重量%混入していた。この樹脂に対して以下に示
す各酸変性ポリプロピレン系樹脂(A)〜(D)を表1
に示す割合でタンブラーを使って3分間ドライブレンド
を行った。 ・酸変性ポリプロピレン系樹脂(A) ポリプロピレン単独重合体(MFR:0.5g/10min) 100重量部 無水マレイン酸 1.5重量部 ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5重量部 ・酸変性ポリプロピレン系樹脂(B) プロピレン−エチレンブロック共重合体(MFR:0.1g/10min、エチレン 含有量:10重量%) 100重量部 無水マレイン酸 5重量部 ジクミルパーオキサイド 1.2重量部 ・酸変性ポリプロピレン系樹脂(C) プロピレン−エチレンブロック共重合体(MFR:3.5g/10min、エチレン 含有量:8重量%) 100重量部 無水マレイン酸 12重量部 ジクミルパーオキサイド 1.2重量部 ・酸変性ポリプロピレン系樹脂(D) プロピレン−エチレンブロック共重合体(MFR:2.5g/10min、エチレン 含有量:15重量%) 100重量部 無水マレイン酸 6重量部 アセチルパーオキサイド 5重量部
【0038】得られた各混合物を樹脂温度が200℃に
おいてベント付二軸押出機(径30mm)を用いて溶融
混練をおこない、ペレット状の各組成物を製造し芯材と
して用いた。また、各芯材について、メルトフローレー
ト(MFR)、曲げ弾性率、落錘衝撃強度、熱変形温度
(HDT)を測定した。測定結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】〔表面層材の調製〕以下に示す各ポリプロ
ピレン系樹脂、ヒドロキシ変性PP、熱可塑性エラスト
マー、末端に官能基を有するオリゴマー、無機充填剤を
表2に示した割合で混合し、2軸押出機を用いて210
℃で混練して各組成のペレットを製造し表面層材とし
た。 <ポリプロピレン系樹脂> PP1 結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体
(エチレン含量10重量%,MFR 10g/10min) PP2 結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体
(エチレン含量7.5重量%,MFR 43g/10min)
【0041】<ヒドロキシ変性PP>プロピレン単独重
合体(MFR 0.5g/10min)100重量部に対し、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMA)4
重量部、及び有機過酸化物として1,3−ビス−(t−
ブチルパーオキシ−イソプロピル)−ベンゼン(パーカ
ドックス14:化学アクゾ(株)製)0.8重量部をヘ
ンシェルミキサーによりブレンドした後、通常の押出機
により200℃において加熱処理することにより得た。
このヒドロキシ変性PPは、MFR 100g/10min、
変性率0.8wt%であった。 <熱可塑性エラストマー> EPR1 エチレン−プロピレンランダム共重合体(エ
チレン含量62重量%,MFR 1.0g/10min) EPR2 エチレン−プロピレンランダム共重合体(エ
チレン含量50重量%,MFR 12g/10min) <末端に官能基を有するオリゴマー> HBR1 ワックス状水素添加両末端ヒドロキシ1,4
−ポリブタジエン(1,4−結合80%,数平均分子量
2800,ヨウ素価1.5,融点72.5) <無機充填剤> TALC 平均粒径2.0ミクロンのタルク
【0042】
【表2】 上記調製した芯材および表面層材を表3,4に示す組合
わせで使用して、多層樹脂成形物を製造した。製造に
は、東芝機械(株)製のIS350成形機を用いて、先
ず表面層材を射出成形し、次いで芯材を射出成形し、平
板状の成形物(400×200mm,厚さ3.2mm)
を成形した。得られた成形物よりサンプルを切り出し、
曲げ弾性率、熱変形温度、落錘衝撃強度、碁盤目剥離試
験及び耐ガソホール性試験を実施した。試験結果を表
3,4に示す。
【0043】なお、本実施例において、メルトフローレ
ートはASTM−D1238に従って、2.16kgの
荷重を用いて230℃で測定した。曲げ弾性率はAST
M−D790に従って、曲げ速度が25mm/分の条件
で測定した。落錘衝撃強度の測定方法は次の通りであ
る。まず、各材料から射出成形にて成形した60×60
×3.2mmの平板を試験片として用い、これを外径48m
m、内径44mm、高さ50mmのパイプ状試験台上に載
せ、その上に曲率が1/2インチφの撃芯を置く。そし
て、−30℃の条件下において、3kgの錘を任意の高
さから自然落下させて試験片が破壊するときの高さを測
定した。破壊した際の高さ(cm)×3(kg) を落錘衝
撃強度として表に示した。熱変形温度はASTM−D6
48に従って、荷重が4.6kg/cm2の条件で測定し
た。
【0044】碁盤目剥離試験及び耐ガソホール試験を行
うにあたっては、まず平板状の成形物(400×200
mm,厚さ3.2mm)を用い、該成形物の表面を家庭
用合成洗剤(花王製,商品名:ママレモン)で洗浄し水
洗、乾燥(80℃,10分)後、プライマー(日本ビー
ケミカル社製,商品名:PB150)を約10ミクロン
の厚みで塗布、乾燥(80℃,10分)し、その後、2
液ウレタン塗料メタリック(日本ビーケミカル社製,商
品名:R212)及び2液ウレタン塗料クリヤー(日本
ビーケミカル社製,商品名:R213)をそれぞれ2
0,50ミクロン程度塗布し乾燥(80℃,45分)し
た。次いで恒温室(室温23℃,RH50%)中で48
時間放置させて塗布物を得た。碁盤目剥離試験は、この
得られた塗布物の塗膜面に1mm間隔で碁盤目状に10
0個刻み、各碁盤目に粘着テープを指圧で強固に密着し
た。その後、粘着テープを45度の角度で急激に剥離さ
せた。この操作を2回繰り返し、残った塗膜の碁盤目の
割合を求めた。耐ガソホール試験は、塗装された試料を
等しく断面が出るように30×65mmの短冊状に切断
したものを、20℃のガソホール(ガソリン/エタノー
ル=90/10容量%)に120分間浸漬し塗膜の剥が
れの有無を観察した。耐ガソホール試験において、塗膜
に膨れや剥がれが全く認められなかったものを「○」、
塗膜に若干の膨れ、剥がれが認められたものを「△」、
塗膜の大部分に膨れや剥がれが認められたものを「×」
で表中に示した。
【0045】
【表3】
【表4】 表3から本実施例の成形物であると、剛性、耐熱性、耐
衝撃性、塗装性および耐ガソホール性について全てに優
れた特性を有していることがわかる。対して、表4から
本発明に該当しないものであると、これらの諸特性を兼
ね備えることができていない。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の成形物は
下記のような効果を示す。 (1)リサイクル材を使用するため地球環境保護に貢献
する。 (2)リサイクル材を用いながら塗装性に優れた成形品
を与える。 (3)低温における耐衝撃性が優れている。 (4)剛性(曲げ弾性率)が優れている。 (5)耐熱性が良好である。 (6)トリクロロエタン処理をせずとも塗装性に優れ、
しかもガソホール性に優れる。 本発明の成形物は以上のごとき効果を発揮するために多
方面にわたって利用することができる。その代表的な用
途としては、バンパー、スポイラー、サイドモール等の
自動車外装部品や、フロントフェンダー、ボディーカバ
ー等の2輪車部品が挙げられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片桐 章公 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 北脇 義雄 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 中山 隆 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 竹内 淳 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 幕田 実 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 大金 仁 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 濱邊 健二 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 青木 修 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗装の施された熱可塑性樹脂成形物の粉
    砕物の100重量部に対し、不飽和カルボン酸により変
    性されたポリプロピレン系樹脂の2〜15重量部が配合
    されている樹脂組成物からなる芯材と、 プロピレン系重合体を30〜80重量%と、不飽和ヒド
    ロキシ化合物で変性されたプロピレン系重合体を3〜2
    0重量%と、熱可塑性エラストマーを15〜40重量%
    と、末端に官能基を有するオリゴマーを0.1〜10重
    量%含有したポリプロピレン系樹脂組成物からなり、前
    記芯材を被覆する表面層とからなることを特徴とする塗
    装された樹脂成形物を利用した多層樹脂成形物。
  2. 【請求項2】 前記不飽和カルボン酸により変性された
    ポリプロピレン系樹脂が、プロピレンを主たるポリマー
    構成単位とするポリプロピレン系樹脂に不飽和カルボン
    酸またはその誘導体をラジカル開始剤の存在下でグラフ
    ト重合することにより変性されたものであり、 該ポリプロピレン系樹脂中の不飽和カルボン酸またはそ
    の誘導体に由来する単位の割合が0.1〜20重量部で
    あることを特徴とする請求項1記載の多層樹脂成形物。
  3. 【請求項3】 前記表面層中のプロピレン系重合体と不
    飽和ヒドロキシ化合物で変性されたプロピレン系重合体
    と熱可塑性エラストマーの合計量に対して、 不飽和ヒドロキシ化合物で変性されたプロピレン系重合
    体中に含まれる不飽和ヒドロキシ化合物中のヒドロキシ
    基の含量が、ヒドロキシエチルメタクリレート換算で
    0.01重量%以上であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の多層樹脂成形物。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性エラストマーに、エチレン
    −αオレフィン共重合体ゴムが含まれることを特徴とす
    る請求項1,2,3のいずれかに記載の多層樹脂成形
    物。
  5. 【請求項5】 前記末端に官能基を有するオリゴマーの
    ヨウ素価が50以下であることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の多層樹脂成形物。
  6. 【請求項6】 前記末端に官能基を有するオリゴマーの
    融点が40℃以上100℃以下であることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の多層樹脂成形物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002331624A (ja) * 2001-03-08 2002-11-19 Jsp Corp 多層ポリプロピレン系樹脂発泡板およびその組立箱
JP2017528575A (ja) * 2014-09-17 2017-09-28 イメリーズ ミネラルズ リミテッド ポリマー組成物

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