JPH0994694A - ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ - Google Patents
ステンレス鋼用フラックス入りワイヤInfo
- Publication number
- JPH0994694A JPH0994694A JP27625395A JP27625395A JPH0994694A JP H0994694 A JPH0994694 A JP H0994694A JP 27625395 A JP27625395 A JP 27625395A JP 27625395 A JP27625395 A JP 27625395A JP H0994694 A JPH0994694 A JP H0994694A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- wire
- flux
- stainless steel
- welding
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Arc Welding In General (AREA)
- Nonmetallic Welding Materials (AREA)
Abstract
させると共に、スパッタの発生量を低減することができ
るステンレス鋼用フラックス入りワイヤを提供する。 【解決手段】 オーステナイト系ステンレス鋼の外皮に
フラックスを充填したステンレス鋼用フラックス入りワ
イヤにおいて、前記フラックスは、ワイヤ全重量に対
し、SiO2:0.50乃至4.00重量%、TiO2:
1.00乃至5.00重量%、ZrO2:3.00重量
%以下及びAl2O3:0.20乃至2.00重量%を含
有すると共に、前記ZrO2と前記Al2O3との合計が
0.50乃至4.50重量%である。前記外皮の組成
は、C:0.005乃至0.025重量%、酸素:0.
0030乃至0.030重量%、Ti:0.002乃至
0.30重量%及びAl:0.050重量%以下であ
る。ワイヤ中に含有される炭酸塩及び炭素化合物からの
炭素を、C換算値で、0.010乃至0.10重量%と
し、ワイヤ中に含有される水分量を80乃至800重量
ppmとする
Description
クス入りワイヤに関し、特に溶接時のアーク安定性を保
持すると共にスパッタ発生等を極力抑制し、良好な溶接
作業性を得るのに好適のステンレス鋼用フラックス入り
ワイヤに関する。
ス入りワイヤ(以下、FCWという)は、溶接施工面に
おける優れた能率性及び良好な溶接作業性を有すること
から、近年急速な普及を成し遂げ、現在では広く産業界
で使用されている。そして、このような急速な普及と共
に、FCWの適用範囲の拡大が進行し、更に一層の作業
性及び品質の向上が要望されている。
FCWには、以下に示す問題点がある。即ち、従来施工
法の中でも代表的な被覆アーク溶接法との比較において
は、FCWの能率性及び作業性での優位性は明らかであ
り、またTIG溶接法との比較においても能率面での優
位性は顕著であるものの、溶接後の仕上がり外観、溶接
部周辺へのスパッタ付着及びスラグの残留並びに溶接部
周辺の酸化による変色等がFCWの問題点として指摘さ
れている。
ヤ中のフラックス成分を規定することにより、良好な溶
接作業性を得る技術が提案されている(特公平5−30
557号公報)。しかし、上述の適用範囲の拡大に応え
るために、品質及び溶接作業性を更に一層改善すること
が要望されている。
のであって、溶接時の作業性、特にアークの安定性を向
上させると共に、スパッタの発生量を低減することがで
きるステンレス鋼用フラックス入りワイヤを提供するこ
とを目的とする。
鋼用フラックス入りワイヤは、オーステナイト系ステン
レス鋼の外皮にフラックスを充填したステンレス鋼用フ
ラックス入りワイヤにおいて、前記フラックスは、ワイ
ヤ全重量に対し、SiO2:0.50乃至4.00重量
%、TiO2:1.00乃至5.00重量%、ZrO2:
3.00重量%以下及びAl2O3:0.20乃至2.0
0重量%を含有すると共に、前記ZrO2と前記Al2O
3との合計が0.50乃至4.50重量%であり、前記
外皮の組成は、C:0.005乃至0.025重量%、
酸素:0.0030乃至0.030重量%、Ti:0.
002乃至0.30重量%及びAl:0.050重量%
以下であり、ワイヤ中に含有される炭酸塩及び炭素化合
物からの炭素を、C換算値で、0.010乃至0.10
重量%とし、ワイヤ中に含有される水分量を80乃至8
00重量ppmにしたことを特徴とする。
0.003乃至0.30重量%を含有するものであって
もよい。
更にフッ化物をF換算値の合計で0.02乃至2.50
重量%含有するものであってもよい。
整等の改良を主体として、開発が進められていたのに対
して、本願発明者等はワイヤを構成する外皮の組成と、
ワイヤ中に製造段階及び使用原料より不可避的に混入し
てくると考えられている微量不純物の影響とについて鋭
意検討した。
る外皮材としては、JIS G 4304及び4305
等に規定されるSUS304L及び316L等のオース
テナイト系ステンレス鋼帯並びに同様の組成のステンレ
ス鋼チューブ材が、一般的に使用されている。本願発明
者等は、この外皮の諸特性及び化学組成が溶接作業性に
対して及ぼす影響について検討した。その結果、外皮中
に含有されるC、Al、Ti及び酸素が溶接作業性、特
にアーク安定性、溶滴移行状態及びスパッタ発生量に対
して大きな影響を及ぼすことを見出した。
作業性に影響を及ぼす元素の代表的なものとして、従来
よりSが知られており、適量のSの存在は溶融金属の粘
性を小さくし、スムーズな溶滴移行性をもたらすと共に
溶接時のスラグ剥離性を改善する効果があることが公知
の事実とされている。
物の影響を実験研究した結果、ワイヤ中に存在する特定
原料中の炭素が、溶接時にCO2等のガスの発生するこ
とにより、スパッタの発生原因となり得ることを見出し
た。一方、充填フラックス及びワイヤ製造段階中に不可
避的にワイヤ中に混入してくる水分は、溶接時のアーク
安定度の向上に大きく寄与することを知見した。そし
て、これらの不可避的不純物元素の含有量を適切に制御
することで溶接時の耐気孔性を確保しつつ、スパッタの
発生を抑止できることを見出した。
ラックス入りワイヤの溶接作業性を調査し、特にスパッ
タ発生現象を詳細に検討した結果、主たるスパッタ発生
は、溶融金属中からのガス発生現象(主としてC+O→
CO反応)と、ワイヤ先端から溶融池への溶融金属の移
行状態の不安定性とに起因することを究明した。
ついて説明する。先ず、本発明のステンレス鋼用フラッ
クス入りワイヤの外皮を構成するオーステナイト系ステ
ンレス鋼の組成限定理由について説明する。
25重量% ワイヤ外皮のステンレス鋼に含有されるCは、溶接によ
って外皮から溶接金属中に移行し、溶接金属の強度及び
フェライト量の調整と密接に関わるので、溶接金属の諸
特性調整に極めて重要な元素であることは公知である。
素として作用し、周辺の酸素と反応して炭酸ガスを生じ
る。この溶融金属中に生じる炭酸ガスは、溶融金属より
離散する段階で爆発的なバブリング現象を引き起こし、
この結果としてスパッタが発生することが、炭素鋼等の
ソリッドワイヤのアーク現象を調査した結果として、公
知となっている。
イヤにおいても、このようなCの影響は、ある意味では
同様であり、上述のようなガス発生効果によるスパッタ
量の増加をもたらす場合もある。しかし、本願発明者等
は、これ以外にもCはその添加源及び量によって異なっ
た挙動を示し、溶接作業性に多大な影響を及ぼしている
ことを見出した。添加源の異なる充填フラックス中のC
の影響については後述することとし、ワイヤ外皮中のC
の影響について説明する。
Cについては、その含有量が比較的少量の場合に、溶接
時のアーク安定性を高め、その結果としてスパッタの発
生量を低減させる効果があることを見出した。外皮のス
テンレス鋼のC含有量が0.005重量%未満と極端に
低くなると、溶融金属の粘性が高まるためと推定される
溶滴移行の安定性の喪失が生じやすくなり、結果として
スパッタの増加を招来する。一方、外皮のステンレス鋼
のC含有量が0.025重量%を超えると、溶滴の粘性
が低下し、溶滴移行時に溶滴と溶融池との間で短絡現象
が発生しやすくなるため、スパッタの発生量が増加する
傾向がある。よって、外皮のステンレス鋼のC含有量
は、0.005乃至0.025重量%とする。
滴の粘性、特にアークによって溶融した直後の時点での
粘性に大きく影響を及ぼし、その結果として溶滴の安定
移行を左右するものである。従って、本発明にて規定し
た範囲内のC含有量では、従来より考えられていた、C
の酸化燃焼によるガス発生現象に起因するスパッタリン
グ現象は殆ど生じていないことが判明した。
030重量% 一般に外皮材として使用されるステンレス鋼中には、製
鋼段階で不可避的不純物として混入した酸素が存在す
る。この酸素の大部分は精錬反応時に生じた各種の酸化
物系の非金属介在物として存在する。本願発明者等は、
このような酸化物は溶接時のアーク発生点の核となるこ
と、また、この酸化物が外皮中に適度に分散含有され、
ワイヤ表面に適度に分布することにより、アークの発生
点(陰極点)となって、アーク安定性が高まること、そ
の結果として、スパッタの発生量を低減させることに極
めて有効であることを見出した。酸素含有量が0.00
30重量%未満では、上述の効果が不十分である。一
方、酸素含有量が0.030重量%を超えて、過度の酸
化物が存在するようになると、酸素と外皮に存在するC
との反応が活発となり、CO反応の結果として、ガス発
生効果が顕著となる。このため、スパッタの増加を招来
するので、好ましくない。従って、外皮のステンレス鋼
に対する酸素の積極的添加範囲を0.0030乃至0.
030重量%とする。
極的に酸化させ、酸化物を外皮に含有させることによっ
ても、アーク安定性を高めることができる。しかし、外
皮表面が過度に酸化されると、CO反応に伴うスパッタ
発生量の増加を招来すると共に、伸線工程中にワイヤ表
面に疵が発生し、この疵が溶接時のワイヤ送給性の低下
及び伸線加工中における断線発生頻度の増大を引き起こ
す。このため、外皮表面を酸化する場合であっても、外
皮のステンレス鋼の酸素含有量は、0.050重量%以
下とする。
重量%以下 ワイヤ外皮のステンレス鋼に含有されるAlは、JIS
SUS304L又はSUS316Lに規定される鋼等
を外皮材として使用する場合に、不可避的不純物として
僅かに混入しているものである。本願発明者等は、この
不純物としてのAlは、溶接時のアーク安定性に対して
微妙に影響を及ぼすと共にスパッタの発生要因となるこ
とを見出した。即ち、Al及びその酸化物であるAl2
O3が陰極点として作用し、アークの発生点となりやす
いことに加え、溶接によって生じたAl酸化物が高融点
及び高粘性であり、溶融金属の表面にAl酸化物が凝集
しやすいために、溶融金属のある一点にアーク点が生じ
やすくなる。このため、アークの反力を受けて大粒のス
パッタが生じると考えられる。従って、外皮のステンレ
ス鋼のAl含有量は、0.050重量%以下とする。
量は上述のように制限されるものの、ワイヤ中のフラッ
クスのスラグ成分としてAl2O3を添加することができ
る。Al2O3がスラグ中に他の成分と混在する場合は、
スパッタの発生要因になることは極めて少ないので、後
述するようにスラグの被包性と剥離性との観点から適切
の量のAl2O3をフラックスのスラグ成分として添加す
る。
0.30重量% ワイヤ外皮のステンレス鋼に含有されるTiは酸素等と
同様に溶接時にアーク発生点の核を形成するものであ
り、若干量の添加はアーク安定性を高めるものである。
ワイヤ外皮のTi含有量が0.002重量%未満の場合
は、この効果が不十分である。一方、外皮のTi含有量
が0.30重量%を超えると、溶接後のスラグ成分に対
して大きな影響を与えると共に、前述のAlと同様に、
溶滴がアーク中でワイヤ先端から溶融池に移行する過程
で、溶滴自体にアーク点が発生しやすくなり、大粒のス
パッタの発生を招来することが判明した。よって、外皮
のステンレス鋼のTi含有量は、0.002乃至0.3
0重量%とする。
03乃至0.30重量% ワイヤ外皮中のNbは、外皮材として通常のJIS S
US304L又はSUS316Lに規定される鋼等を使
用する場合に、不可避的不純物として僅かに混入されて
いるものであるが、微量のNbは、アークの集中性を高
めると共にスパッタを低減する効果がある。Nb含有量
が0.003重量%未満の場合は、この効果が不十分で
ある。一方、Nbの含有量が0.30重量%を超える
と、含有量の増加と共に、スラグ剥離性が低下する。よ
って、必要に応じてワイヤ外皮中にNbを含有させる場
合は、ワイヤ外皮のステンレス鋼のNb含有量は0.0
03乃至0.30重量%とする。
酸塩及び炭素化合物からの炭素量並びに水分量に対する
数値限定の理由について説明する。
物:C換算値で0.010乃至0.10重量% 充填フラックス中のCについては、上述した外皮のCと
は、一部その挙動が異なる。フラックスの金属粉原料中
に含有されたものについては、外皮のCとほぼ同様の挙
動を示すと共に、過度の添加はCO反応に伴うスパッタ
リングを助長するものの、その程度は軽微であることが
判明した。一方、外皮中のCが1000℃を超える高温
において、ガスとなるのとは異なり、各種炭酸塩及び炭
素化合物の形で充填フラックス中に存在するC源は、溶
接時のアーク熱によって比較的低温で簡単に分解し、C
O、CO2及びCH4等のガスを発生する。そこで、本発
明においてはCO、CO2及びCH4等のガスを発生する
実質的な充填フラックスのC含有量を、フラックス入り
ワイヤを低温から1000℃の温度まで加熱し、そのと
きに発生したCO、CO2及びCH4等のCを含むガスの
総量をCに換算した値と定義する。
CH4等のガスはアークの安定性を高める効果があるの
で、溶接時に使用するシールドガスのタイプによって
は、炭酸塩及び炭素化合物が若干量含有されることが望
ましいことを見出した。フラックス入りワイヤ中に含有
される炭酸塩及び炭素化合物の含有量が、C換算値で
0.010重量%未満では、この効果が不十分である。
る炭酸塩及び炭素化合物の含有量が、C換算値で0.1
0重量%を超えると、CO、CO2及びCH4等のガスが
過多に発生し、アーク熱によって急激に加熱されたこれ
らのガスはスパッタの発生量を極めて増大させることが
明らかになった。よって、フラックス入りワイヤ中に含
有される炭酸塩及び炭素化合物の含有量は、C換算値で
0.010乃至0.10重量%とする。
00重量ppm 軟鋼溶接用ワイヤの耐ピット性を向上させたり、ステン
レス鋼溶接用ワイヤの温度を低下させるために、水分を
含有させる場合があるものの、通常、溶接用ワイヤにお
いては、水分は各種溶接欠陥の原因とされており、その
含有量を極力低減することが望ましいとされている。し
かし、本願発明者等はワイヤ中の水分量を適量に管理す
ることで、溶接時のアーク安定性を向上させることがで
きることを見出した。即ち、水分子中の水素原子がアー
ク安定性に大きく寄与する。このため、ワイヤ中に適度
に水分を含有させることにより、スパッタを低減するこ
とができる。
には、水分がアーク発生点近傍まで存在することが重要
である。即ち、ワイヤ中に存在する水分が、単純な吸湿
等によるものである場合は、溶接時のワイヤへの通電に
よって発生するジュール熱により、水分がワイヤ中より
逸脱してしまう。このため、アーク発生点近傍での水分
量は、溶接開始前に比して低減されてしまい、水分によ
ってアークを安定させることが困難となる。従って、本
発明におけるワイヤ中の水分量は、単純な吸湿現象によ
る水分を除外するために、ワイヤを大気中で110℃に
加熱し、次いで1時間保持し十分に乾燥した直後に、ワ
イヤ中に含有される水分量と規定する。
が80重量ppm未満ではアーク安定性への寄与が不十
分であり、スパッタ発生量が増加する傾向がある。一
方、800重量ppmを超える場合は、水分に起因する
ブローホール及びピット等の気孔欠陥の発生が顕著とな
る。よって、ワイヤ中の水分量は80乃至800重量p
pmとする。
成限定理由について説明する。SiO2、TiO2、Zr
O2及びAl2O3は、本発明のステンレス鋼用フラック
ス入りワイヤの主要なスラグ形成剤となるもので、これ
らはいずれもスラグの粘性を調整すると共に溶接時の溶
融金属の流動性及びなじみ性を調整し、更に溶接時のビ
ードの外観形成及びスラグの被包性を決定する重要な成
分である。
し、0.50乃至4.00重量% SiO2は、ワイヤのスラグ成分中でも主成分となるも
のであり、0.50重量%未満では溶接時のなじみ性を
損なうと共に溶接後のビード形状、外観及び色調を損ね
る。一方SiO2の含有量が4.00重量%を超える場
合は、溶接時のスラグ剥離性が極めて劣化する。よっ
て、SiO2の含有量は、ワイヤ全重量に対し、0.5
0乃至4.00重量%とする。
し、1.00乃至5.00重量% TiO2は、SiO2及び後述のZrO2と同様にスラグ
の粘性に大きく作用すると共に、スラグの被包性及びア
ーク安定性に大きく影響する。TiO2が1.00重量
%未満では、アークの安定性が損なわれやすくなるの
で、スパッタの増加傾向が顕著となることに加え、スラ
グ剥離性及び溶融金属の被包性が低下する。一方、Ti
O2が5.00重量%を超えると、すみ肉溶接時等での
スラグが流れやすくなるため、溶接ビードの形状及びス
ラグ被包性が損なわれ、更にスラグ巻き込み等の溶接欠
陥の発生傾向が顕著となる。従って、TiO2の含有量
は、ワイヤ全重量に対し、1.00乃至5.00重量%
とする。
し、0.20乃至2.00重量% Al2O3は、SiO2及びZrO2と関連して溶接スラグ
の粘性を調整すると共に、スラグ剥離性を左右する。A
l2O3が0.20重量%未満では、スラグの粘性が低下
し、スラグの被包性及びビード形状が劣化する。一方、
Al2O3が2.00重量%を超えると、スラグ剥離性が
劣化する。よって、Al2O3の含有量は、ワイヤ全重量
に対し、0.20乃至2.00重量%とする。
し、3.00重量%以下 ZrO2は、Al2O3と関連して溶接スラグの粘性を調
整すると共に、スラグ剥離性及びビード形状を左右す
る。Al2O3が0.50重量%を超える場合は、ZrO
2は必ずしも必要ではないものの、ZrO2にはスラグ剥
離性の低下を招来せずにビード形状及びスラグの粘性を
調整する効果があり、また溶融スラグに適度の粘性を付
与し、溶滴移行の安定性を向上させてスパッタを低減す
る効果がある。但し、ZrO2の含有量が3.00重量
%を超えると、高融点原料であるために、スラグ巻き込
み等の溶接欠陥の原因となる。よって、ZrO2の含有
量は、ワイヤ全重量に対し、3.00重量%以下とす
る。
全重量に対し、0.50乃至4.50重量% スラグの粘性調整効果によって生じるスパッタの低減効
果の面からとらえると、上述のAl2O3及びZrO2は
共に同様の効果を有するので、Al2O3及びZrO2と
の合計でこれらの含有量を規定することが妥当である。
Al2O3+ZrO2が0.50重量%未満では溶滴の粘
性が低すぎるため、溶滴が溶融池との間で短絡しやすく
なって、スパッタが増加する傾向がある。一方、Al2
O3+ZrO2が、4.50重量%を超えた場合は、溶滴
の粘性が高くなりすぎて、溶滴移行頻度が減少し、溶滴
粒が粗大となる。このため、他の要因に絡むアーク不安
定性及び磁気吹き等の影響を受けやすくなり大粒のスパ
ッタが発生しやすくなる。よって、Al2O3とZrO2
との総量は、ワイヤ全重量に対し、0.50乃至4.5
0重量%とする。
ヤ全重量に対し、F換算値の合計で0.02乃至2.5
0重量%、より好ましくは、0.60重量%以下 アルカリ金属のフッ化物及び各種のフッ化物の原料につ
いて、一部のものはアークの安定性を向上させる効果を
もたらし、また別の一部のものは溶接時の耐気孔性を向
上させる効果をもたらすことが公知である。但し、いず
れの場合においても過多にフッ化物が存在する場合は、
スパッタの増加を招来することが報告されている。本発
明においても、アルカリ金属のフッ化物及び各種のフッ
化物の原料による上述の効果は、ある面では認められ、
フッ化物中のアルカリ金属はアーク安定性向上に寄与
し、溶融分解時に微量に発生したフッ素ガスは耐気孔性
向上に寄与することが判明した。
化物の原料自体が溶接時に溶融し、他の原料と混合され
ることで、スラグ系全体の融点直下での高温粘性を調整
する効果を有すること、また凝固後のスラグ剥離性を良
好にする効果があることを見出した。このような、融点
直下でのスラグ系の粘性は、溶接時のビード形状の調整
及びスラグ被包性とも極めて密接に関連しており、この
ような観点から、望ましいフッ化物の含有量は、F換算
値の合計で0.02重量%以上である。一方、フッ化物
の含有量がF換算値の合計で0.60重量%を超える
と、スラグ被包性及びビード形状が不安定となり、更に
2.50重量%を超える場合は、スラグ剥離性に問題が
生じる。従って、フッ化物をスラグ中に含有させる場合
に、その含有量は、ワイヤ全重量に対し、F換算値の合
計で0.02乃至0.60重量%とすることがもっとも
好ましいが、少なくともスラグ剥離性を良好とするため
に、F換算値の合計で2.50重量%以下とすることが
望ましい。
求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。溶接作
業性評価時の溶接条件を以下に示す。
準) 電圧:26乃至32V(28乃至30V標準) シールドガス:100%CO2(一部は80%Ar−2
0%CO2にても評価) 試験板:SUS304(厚さ:6乃至9mm) 溶接姿勢:水平すみ肉姿勢及び一部下向姿勢 この溶接条件にて、以下の化学組成を有するフラックス
入りワイヤを使用して実際に溶接を実施した。
o.1〜25においては、アークが不安定になったり、
スパッタが発生するといったことは、いずれも起こら
ず、良好な溶接ビードを得ることができた。特に、実施
例No.10は、適量のNbを含有するため、アークが
集中しスパッタの発生がより一層低減され、また実施例
No.16、18、19、20及び23は、適量のフッ
化物を含有するため、凝固後のスラグ剥離性が良好であ
った。
いずれも問題が生じ、比較例No.1、2、3、4、
6、7、8、11、16、18、21及び22では、ス
パッタが発生し、また、比較例No.1、3、5、9、
10、12及び16ではアークが不安定となった。更
に、No.13ではブローホール及びピットの発生、N
o.14ではなじみ不良、No.15、20及び23で
はスラグ剥離不良、No.17及び23では、ビード形
状及び外観不良、No.18ではスラグ巻き込み多発並
びにNo.19ではスラグ被包性不良といった問題が生
じ、いずれも満足できる結果は得られなかった。
うち、例えば下記表4の組成を有するものを本実施例の
ステンレス鋼外皮として使用することができる。
ンレス鋼用フラックス入りワイヤは、ワイヤ並びにワイ
ヤを形成する外皮及びフラックスが、本発明にて規定し
た適量の化学成分を含有するので、アーク安定性が良好
となると共にスパッタの発生を抑制することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼の外皮に
フラックスを充填したステンレス鋼用フラックス入りワ
イヤにおいて、前記フラックスは、ワイヤ全重量に対
し、SiO2:0.50乃至4.00重量%、TiO2:
1.00乃至5.00重量%、ZrO2:3.00重量
%以下及びAl2O3:0.20乃至2.00重量%を含
有すると共に、前記ZrO2と前記Al2O3との合計が
0.50乃至4.50重量%であり、前記外皮の組成
は、C:0.005乃至0.025重量%、酸素:0.
0030乃至0.030重量%、Ti:0.002乃至
0.30重量%及びAl:0.050重量%以下であ
り、ワイヤ中に含有される炭酸塩及び炭素化合物からの
炭素を、C換算値で、0.010乃至0.10重量%と
し、ワイヤ中に含有される水分量を80乃至800重量
ppmにしたことを特徴とするステンレス鋼用フラック
ス入りワイヤ。 - 【請求項2】 前記外皮のステンレス鋼は、更にNb:
0.003乃至0.30重量%を含有することを特徴と
する請求項1に記載のステンレス鋼用フラックス入りワ
イヤ。 - 【請求項3】 前記フラックスは、ワイヤ全重量に対
し、更にフッ化物をF換算値の合計で0.02乃至2.
50重量%含有することを特徴とする請求項1又は2に
記載のステンレス鋼用フラックス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27625395A JP3293730B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27625395A JP3293730B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0994694A true JPH0994694A (ja) | 1997-04-08 |
JP3293730B2 JP3293730B2 (ja) | 2002-06-17 |
Family
ID=17566854
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27625395A Expired - Lifetime JP3293730B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3293730B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001009589A (ja) * | 1999-06-25 | 2001-01-16 | Sumikin Welding Ind Ltd | オーステナイト・フェライト系二相ステンレス鋼溶接材料およびそれを用いた高Cr鋼の溶接方法 |
KR100355369B1 (ko) * | 2000-06-07 | 2002-10-11 | 고려용접봉 주식회사 | 오스테나이트계 스테인레스강 용접용 플럭스 코어드 와이어 |
KR100412044B1 (ko) * | 2001-11-29 | 2003-12-18 | 고려용접봉 주식회사 | 오스테나이트계 스테인리스 플럭스 코어드 와이어 |
KR100569252B1 (ko) * | 2002-01-10 | 2006-04-10 | 현대종합금속 주식회사 | 오스테나이트계 스테인레스강 용접용 플럭스 충전 와이어 |
-
1995
- 1995-09-29 JP JP27625395A patent/JP3293730B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001009589A (ja) * | 1999-06-25 | 2001-01-16 | Sumikin Welding Ind Ltd | オーステナイト・フェライト系二相ステンレス鋼溶接材料およびそれを用いた高Cr鋼の溶接方法 |
KR100355369B1 (ko) * | 2000-06-07 | 2002-10-11 | 고려용접봉 주식회사 | 오스테나이트계 스테인레스강 용접용 플럭스 코어드 와이어 |
KR100412044B1 (ko) * | 2001-11-29 | 2003-12-18 | 고려용접봉 주식회사 | 오스테나이트계 스테인리스 플럭스 코어드 와이어 |
KR100569252B1 (ko) * | 2002-01-10 | 2006-04-10 | 현대종합금속 주식회사 | 오스테나이트계 스테인레스강 용접용 플럭스 충전 와이어 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3293730B2 (ja) | 2002-06-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2008246507A (ja) | Ni基合金フラックス入りワイヤ | |
JP3027313B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ | |
JP2009248137A (ja) | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ | |
US3221136A (en) | Method and electrode for electric arc welding | |
KR102675635B1 (ko) | 플럭스 코어드 와이어 및 용접 방법 | |
US6573476B2 (en) | Flux cored wire for gas-shielded arc welding | |
JPH05329684A (ja) | ガスシールドアーク溶接用塩基性フラックス入りワイヤ | |
JP2002361486A (ja) | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ | |
JP2007083303A (ja) | Migブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 | |
JPH0994694A (ja) | ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ | |
JP2010064087A (ja) | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ | |
JPH09164485A (ja) | アルミニウム部品のアーク溶接のための方法とガス混合物 | |
KR102150974B1 (ko) | 저온 충격인성이 우수한 탄뎀 가스 실드 아크 용접 와이어 | |
JPH0335033B2 (ja) | ||
KR20020008681A (ko) | 탄산가스 아크 용접용 티타니아계 플럭스 충전와이어 | |
JPS6268696A (ja) | ステンレス鋼溶接用フラツクス入りワイヤ | |
JPH11207491A (ja) | 直流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ及び溶接方法 | |
JPH09262693A (ja) | アーク溶接用フラックス入りワイヤ | |
JPH0122080B2 (ja) | ||
JP2667635B2 (ja) | ステンレス鋼フラックス入りワイヤ | |
JPH11216593A (ja) | 低水素系被覆アーク溶接棒 | |
JPH07116891A (ja) | Ni基合金フラックス入りワイヤ | |
JP2711061B2 (ja) | ステンレス鋼フラックス入りワイヤ | |
JPS6313695A (ja) | ステンレス鋼溶接用フラツクス入りワイヤ | |
JPS6167594A (ja) | ア−ク安定性に優れる炭酸ガスア−ク溶接用ワイヤとその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080405 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090405 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100405 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100405 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110405 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120405 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130405 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130405 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140405 Year of fee payment: 12 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |