JPH0992167A - 蛍光面 - Google Patents

蛍光面

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JPH0992167A
JPH0992167A JP7263638A JP26363895A JPH0992167A JP H0992167 A JPH0992167 A JP H0992167A JP 7263638 A JP7263638 A JP 7263638A JP 26363895 A JP26363895 A JP 26363895A JP H0992167 A JPH0992167 A JP H0992167A
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JP
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phosphor
film
fluorescent
fluorescent film
substrate
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JP7263638A
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English (en)
Inventor
Yoshikazu Okumura
美和 奥村
Masaaki Tamaya
正昭 玉谷
Naohisa Matsuda
直寿 松田
Keiko Arubesaaru
恵子 アルベサール
Fusakichi Kido
房吉 木戸
Iwao Mitsuishi
巌 三石
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】蛍光体材料を蒸発し得る温度に加熱した後
急冷することにより得られる平均粒径 200nm以下の微
粒子蛍光体を含有し、かつ波長 380〜 760nmの光束に
対するヘイズが50%以下である蛍光膜が透明基板上に形
成されている。 【効果】この透明蛍光面は、十分な輝度を維持しつつ、
高い透明性を有している。この蛍光面を用いることによ
り、高い解像度のブラウン管や優れた特性を有するEL
素子を得ることができる。また、安価に、かつ短時間に
製造することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ブラウン管やX
線イメージ増強管等の電子励起蛍光面を有する電子管、
あるいはEL素子等に好適に用いることができる蛍光面
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ブラウン管等に用いられている蛍
光膜は、数μm程度の蛍光体粒子を高分子溶媒に分散さ
せ、これをガラス等の基板上に塗布することにより形成
している。このようにして得られた蛍光膜は、粒子が大
きいため可視光に対する散乱が大きく、すなわち透明度
が低く、高い解像度が要求されるような用途には向いて
いない。
【0003】そこで、高い放射強度と分解能を得ること
が可能であり、かつ散乱反射のないカソードルミネッセ
ンス薄膜を用いて、高解像度の画像が得られるブラウン
管を製造する研究がなされている(Bodney W. Young et
al., IEEE TRANSACTIONS ONELECTRON DEVICES, Vol.e
d.-33, No.8 (1986)など)。この膜は、スパッター等で
ガラス板上に蛍光体を蒸着させることにより形成され、
形成後、膜の結晶性を改善するためにアニールが行なわ
れている。
【0004】また、同じく蛍光膜が形成された蛍光面を
有するデバイスとして薄膜型EL発光素子があるが、こ
の素子は、ガラス板上に絶縁層を設け、さらにスパッタ
ーや蒸着を用いて蛍光薄膜を形成して電極で挟み込んだ
構造を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記カソードルミネッ
センス薄膜の形成に用いられる蒸着やスパッタリングを
含むPVD法やCVD法は、本来薄膜を形成するための
方法である。したがって、膜の成長速度が遅く、ブラウ
ン管等の蛍光膜として十分な厚さの膜を得るには長時間
を要する。さらに、これらの方法では蛍光膜の大面積化
も困難である。
【0006】また、蛍光膜の発光効率は膜の結晶性と関
係があり、膜の結晶性がよいほど発光効率が高いことが
知られているが、蒸着による成膜直後の蛍光膜は結晶性
が悪く十分な輝度を得ることができない。そこで、通常
は、前述のように、アニールにより膜の結晶性を高める
方法が採られているが、この結晶性を高めるためのアニ
ールについても、温度と強く相関し、アニール温度が十
分に高くないと結晶性を改善するには至らないことが知
られている。例えば、Y2 3 :Euの膜をスパッター
で形成した後、 400℃でアニールしたものと1000℃でア
ニールしたものとでは、1000℃でアニールしたものの方
がX線回折の結果得られる回折線幅が狭く、したがって
結晶性がよく、発光効率も高いことが裏付けられてい
る。
【0007】しかしながら、高温で蛍光膜のアニールを
行なうには、蛍光膜が形成されている基板の材質にもそ
の高温に耐える物質を用いなければならない。例えば、
1000℃という十分な高温で蛍光膜をアニールするために
は、基板としてこのような高温でも溶融しないサファイ
アや石英ガラスのような特殊な材質の基板を用いる必要
があり、非常にコストがかかる。また、非常に高い温度
を用いるために、アニール自体の手間も増大する。
【0008】これは、EL素子についても同様である。
EL素子は、近年、多色化、大容量化、高輝度化などの
特性改善が進められているが、これらの特性にも膜の結
晶性が関与している。前述のようにEL素子の蛍光膜は
蒸着等により形成されているが、このように常温に近い
温度で形成される薄膜は、低温合成であるが故に種々の
欠陥が存在し得る。そこで、膜の結晶性を改善するため
に、前記カソードルミネッセンス薄膜の場合と同様にア
ニールが行なわれている。したがって、EL素子の製造
もまた、基板によりアニール条件が制約を受け、十分な
特性を有する蛍光膜を得ることができず、コストや手間
がかかるという問題点を有している。
【0009】したがって、この発明は、簡便かつ安価に
製造することが可能であって、透明性が高く、かつ高輝
度の透明蛍光面を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明による蛍光面
は、基板と該基板上に形成された蛍光膜とを包含し、該
蛍光膜が、蛍光体材料を蒸発し得る温度に加熱した後急
冷することにより得られる平均粒径 200nm以下の微粒
子蛍光体を含有し、かつ波長 380〜 760nmの光束に対
する該蛍光膜のヘイズが50%以下であることを特徴とす
る。
【0011】この発明において、「蛍光体材料」とは、
予め調製された所望の組成を有する蛍光体、所望の蛍光
体と同一の組成を有する組成物、または反応によって所
望の蛍光体を形成し得る組成物を意味する。
【0012】また、「ヘイズ」とは、JISのK6900で
定義されている用語で、拡散透過光量と全透過光量との
比を百分率で表わしたものであり、拡散透過光量とは全
透過光量から正透過光量を減じた値である。したがっ
て、ヘイズが 0%の状態とは拡散が全くなく、すなわち
曇りが全くない状態を示し、逆に 100%の状態とは全て
の透過光が拡散する状態を示す。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明の蛍光面は、図1に例示
するように基板 1と、この基板 1上に形成された蛍光膜
2とを有する。
【0014】この発明の蛍光面は、後述のように、基板
1上に蛍光膜 2を形成する際にアニール等の加熱処理を
必要としない。したがって、基板 1の材質やその厚さは
特に限定されるものではなく、用途に応じて選択すれば
よい。基板 1としては通常透明基板が用いられ、この透
明基板に利用可能な材質の例としては、ガラス、プラス
チックなどを挙げることができる。また、その形状も特
に限定されるものではなく、板状、管状、球状などどの
ような形態であってもよい。
【0015】また、基板 1は単層からなるものであって
も、あるいは導電性被覆層のような層をさらに有する2
層もしくはそれ以上の多層構造であってもよい。
【0016】基板 1上に形成される蛍光膜 2には、微粒
子蛍光体が含まれ、その平均粒径は200nm以下、好ま
しくは 100nm以下である。平均粒径が 200nmを超え
ると可視光(波長 380〜 760nm)の散乱が大きくな
り、ヘイズが50%を超える恐れがある。蛍光膜のヘイズ
が50%を超えると、例えば、ブラウン管の蛍光面に用い
た場合、現在のブラウン管の解像度を超える高解像度を
得ることができず、この発明による蛍光面を利用する意
義が減少する。また、平均粒径が 200nm以下であって
も、より粒径の大きい粒子の量が多い場合にはやはり可
視光の散乱が生じ、ヘイズが大きくなる恐れがある。こ
のため、 300nm以上の粒径の粒子の比率は 5%(個数
%)以下であることが好ましい。
【0017】この発明の蛍光面に用いられる微粒子蛍光
体の組成は、特に限定されるものではなく、その用途に
よりいかなる組成の蛍光体をも用いることができるが、
特には、下記式: (Ln1-x x 2 3 、または (Ln1-x x 2 2 S (ここで、LnはY、GdもしくはLa、RはPr、E
uもしくはTbを表わし、xは 0≦x≦ 0.5である)で
表わされる化合物、あるいはCaWO4 もしくはZnS
を母体とする化合物が好ましい。
【0018】前述のように、この発明において「蛍光体
材料」とは、上記蛍光体、上記蛍光体と同一の組成を有
する組成物、または反応によって上記蛍光体を形成し得
る組成物を意味する。この発明の蛍光面に用いられる微
粒子蛍光体は、これらの蛍光体材料を加熱して蒸発させ
た後、急冷して凝固させることにより調製することがで
きる。このような調製法としては、例えば、高周波熱プ
ラズマ法や直流プラズマアーク法を含むガス中蒸発法、
プラズマ溶射法を挙げることができる。これらの方法に
よって調製された微粒子蛍光体は、十分な輝度を保ちつ
つ、その粒径の多くが10〜 200nmに分布する。加え
て、電子線、赤外線および紫外線の照射にも安定であ
り、発光色が著しく変化することもない(特開平 7-839
27号)。従来試みられているように、大粒径の蛍光体粒
子を単に粉砕することにより微粒子を得ることもできる
が、このようにして得られた微粒子では蛍光膜の透明度
を挙げることは可能であっても、輝度が非常に低く、実
用にはならない。
【0019】蛍光膜 2に含まれる微粒子蛍光体の平均粒
径 200nmは、可視光の波長以下の長さである。したが
って、蛍光体粒子による可視光の散乱はほとんど生じな
いが、蛍光膜 2に含まれる他の成分による散乱があるた
め、蛍光膜 2の膜厚は、好ましくは 100nm〜 100μ
m、より好ましくは 1μ〜 3μmである。
【0020】図1に示すように、この発明の蛍光膜は、
基板 1上に蛍光膜 2を形成することにより製造される。
蛍光膜 2の形成は、通常の成膜方法により行なうことが
できる。具体的には、まず、上述の通り調製された平均
粒径 200nm以下の微粒子蛍光体を、必要であれば分級
した後、適当な溶媒、例えば、エタノールやトルエン溶
液のような高分子溶液に分散させ、次いでこの分散液を
常法により基板 1の表面に塗布すればよい。基板 1の表
面に分散液を塗布する方法としては、例えば、ディップ
・コーティング、沈降、スピン・コーティング、スプレ
ーイング、コーティングまたは熱転写、スクリーン、フ
レキソ、グラビア等の種々の印刷技術を挙げることがで
きる。これらの方法は、大面積化が容易であり、特別な
設備を必要とせずに従来の設備をそのまま流用すること
が可能であるためコストを安価に済ませることができ
る。また、従来の薄膜形成法とは異なり、アニールの必
要がないため基板 1の材質が限定されることがなく、材
料の利用効率を高めることができる。
【0021】さらに、この発明の蛍光面の蛍光膜 2を形
成する方法として、蛍光体をはじめ粉体の成膜方法とし
て広く用いられている電着法、すなわち電気泳動を利用
した成膜方法を好適に用いることができる。この電着法
を用いた蛍光膜 2の形成方法を図2を用いて具体的に説
明する。
【0022】この方法では、図2に示すように、まず容
器26内に微粒子蛍光体を分散させた懸濁液21を入れ、こ
の懸濁液21中に、表面に導電性被膜23が形成されたガラ
ス基板22と電極24とを浸漬する。この際、ガラス基板22
と電極24は、導電性被膜23と電極24とが所定の間隔で対
向するように配置する。さらに、導電性被膜23と電極24
とをそれぞれ直流電源25に接続する。導電性被膜23が形
成されたガラス基板22は、常法により、例えばインジウ
ム−スズ酸化物(ITO)などの導電性被膜をガラス基
板上に形成することにより調製することができる。
【0023】この状態で、導電性被膜23−電極24間に電
圧を印加すると、帯電した微粒子蛍光体が懸濁液21中を
移動して導電性被膜23上に堆積し、蛍光膜を形成する。
この際、粒子の移動度はその粒径によって異なる。した
がって、導電性被膜23と電極24との間に印加する電圧や
印加時間を調節することにより、粒径の揃った均一な蛍
光膜を成膜することができる。また、同じ理由により、
例え微粒子蛍光体中に粒径 200nm以上の粒子が混入し
ていたとしても、この段階で排除することが可能であ
る。
【0024】
【実施例】
実施例1 シュウ酸塩共沈法により調製した平均粒径 3μmのY2
3 :Eu蛍光体(Euの濃度は 0.1%)を、高周波熱
プラズマ法で気化し、その後急冷して微粒子蛍光体を得
た。得られた微粒子蛍光体は、一次粒径が50nm〜 2μ
mの粒子であった。
【0025】次いで、この微粒子蛍光体を、ポリビニル
ピロリドン(PVP)を 0.2%溶解したエタノール中に
分散させ、遠心沈降法により分級を行なった。すなわ
ち、5000rpmで30分間遠心した後、上澄みを取り出し
た。この上澄みを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し
たところ、含まれる微粒子蛍光体の平均粒径は約40nm
であり、さらに 300nm以上の粒子の割合は 1%以下で
あった。この上澄みのTEM写真を図3に示す。
【0026】次に、この上澄みを用いて、ディップ・コ
ーティングによりガラス基板上に厚さ 2μmの蛍光膜を
形成した。得られた蛍光膜の 400〜 700nm域での正光
線透過率は86%、ヘイズは20%であり、極めて良好な透
明蛍光膜であった。この蛍光膜の透過スペクトルを図4
に、X線回折パターンを図5にそれぞれ示す。
【0027】実施例2〜5 原料として、Y2 3 :Pr(Prの濃度は 0.1%、実
施例2)、CaWO4(実施例3)、ZnS:Ag、A
l(AgおよびAlの濃度は共に0.05%、実施例4)並
びにSrS:Ce(Ceの濃度は 0.1%、実施例5)を
用い、これらの蛍光体をそれぞれ高周波熱プラズマ法で
気化した後急冷し、微粒子蛍光体を得た。
【0028】次に、これらの微粒子蛍光体をそれぞれ、
PVPを 2%溶解したエタノール中に分散させ、実施例
1と同様にして遠心沈降法により分級した。得られた上
澄みに含まれる微粒子蛍光体は、一次粒子の平均粒径が
80〜 150nmであり、 300nm以上の粒子の割合はいず
れも 5%以下であった。
【0029】これらの上澄みを用い、ディップ・コーテ
ィングにより、それぞれガラス基板上に厚さ 2μmの蛍
光膜を形成した。得られた蛍光膜の波長 380〜 760nm
の光束に対する正光線透過率は50〜80%、ヘイズは20〜
50%であり、良好な透明蛍光膜であった。
【0030】実施例6〜9 原料として、Gd2 2 S:Pr(実施例6)、La2
2 S:Eu(実施例7)、Gd2 3 :Pr(実施例
8)並びにLa2 3 :Tb(実施例9)(Pr、Eu
およびTbの濃度はいずれも 0.1%)を用い、これらの
蛍光体をそれぞれ高周波熱プラズマ法で気化した後急冷
し、微粒子蛍光体を得た。得られた微粒子蛍光体は、一
次粒径が50nm〜 2μmの粒子であった。
【0031】次に、これらの微粒子蛍光体をそれぞれ、
PVPを 2%溶解したエタノール中に分散させ、実施例
1と同様にして遠心沈降法により分級した。得られた上
澄みに含まれる微粒子蛍光体は、一次粒子の平均粒径が
30〜 100nmであり、 300nm以上の粒子の割合はいず
れも 5%以下であった。
【0032】これらの上澄みを用い、スピン・コーティ
ングにより、それぞれガラス基板上に厚さ 1μmの蛍光
膜を形成した。得られた蛍光膜の波長 380〜 760nmの
光束に対する正光線透過率は70〜90%、ヘイズは10〜30
%であり、極めて良好な透明蛍光膜であった。
【0033】比較例1 電子線蒸着法により、ガラス基板上に厚さ 1.5μmのY
2 3 :Eu薄膜を形成し、この薄膜の化学分析および
X線回折測定を行なった。この薄膜のX線回折パターン
を図6に示す。
【0034】この薄膜は、化学分析の結果ではY
2 3 :Euの組成を示したが、X線回折の結果は、図
6に示すようにガラス相を示しており、図5に示す実施
例1で得られた蛍光膜と比較して極端に結晶性が悪く、
欠陥が多いことが明らかである。
【0035】実施例10 市販のY2 3 :Eu蛍光体を、体積比で25%の酸素を
含有するアルゴンおよび酸素の混合雰囲気下、 4MH
z、29kWの高周波熱プラズマ中に投下して気化させ、
次いで急冷して微粒子を含む蛍光体粉末を得た。得られ
た蛍光体粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した
ところ、粒径がμmオーダーである粒子も多く含まれて
おり、粒径 200μm以下の粒子の割合は約30体積%、空
気透過法により測定した平均粒径は 1.8μmであった。
【0036】次に、図2に示す装置を用意し、懸濁液21
として 0.1重量%の硝酸ランタンおよび 1体積%の純水
を加えたイソプロピルアルコール中に上記微粒子蛍光体
を 0.1重量%の割合で分散させた液を調製して容器26内
に入れた。ガラス基板22には、表面にITO被膜を施し
た 2.5cm× 2.5cm大のガラス基板を用い、これをI
TO被膜を電極24に向けて10cmの間隔で配置した。こ
の状態で、ITO被膜を負極として 5mAの電流を 5分
間流し、ITO被膜上に蛍光膜を形成させた。
【0037】このようにして得られた蛍光膜は、0.95m
g/cm2 のコーティングウェイトであり、蛍光膜中の
微粒子蛍光体の平均粒径は60nmであった。また、この
蛍光膜の外見は透明であり、ヘイズは16%、白色光に対
する全透過率は76%であった。
【0038】さらに、この蛍光面にアルミバックを形成
し、加速電圧25kVの電子線によって種々の間隔を有す
る線状パターンの励起を行ない、MTF曲線を作成し
た。その結果、MTFの値が30%となる空間分解能は 1
60lp/mmであり、非常に高い値を示した。
【0039】比較例2 上記実施例10で用いたものと同一のY2 3 :Eu蛍光
体を水ガラス水溶液中に分散させ、さらにこの分散液
を、ガラス基板を底に沈めた硝酸バリウム溶液中に注ぎ
込んで静置することによりガラス基板上に蛍光膜を形成
させた。
【0040】得られた蛍光膜は1.50mg/cm2 のコー
ティングウェイトを有し、全透過率は62%であった。し
かしながら、散乱が大きいため正透過光が少なく、ヘイ
ズは75%以上の値であった。また、ピンホールも多く、
膜面の均一性に劣っていた。
【0041】また、実施例10と同様にしてMTF曲線を
作成したところ、MTFの値が30%となる空間分解能は
18lp/mmであった。
【0042】さらに、実施例10および比較例2で作製し
た各々の蛍光膜について、25kV、1μA/cm2 の電
子線で励起したときの輝度を比較したところ、実施例10
の蛍光膜は比較例2の蛍光膜の85%の輝度を有してお
り、実用上支障のない輝度であった。
【0043】比較例3 上記実施例10で用いたものと同一の蛍光体を水中に分散
させ、静置沈降によって分級を行ない、平均粒径 0.9μ
mのY2 3 :Eu微粒子蛍光体を得た。
【0044】この蛍光体を用いて実施例10と同様の条件
の電着法により蛍光膜を形成したが、膜が薄かったた
め、さらに15分間電着を行ない、コーティングウェイト
0.9mg/cm2 の蛍光膜を形成した。得られた蛍光膜
の全透過率は41%であったが、比較例2と同様に散乱が
大きいため不透明であり、さらに膜上に 1cm2 当り
0.6個の突起が認められた。
【0045】この蛍光面について、実施例10および比較
例2と同様に輝度およびMFTの測定を行なったとこ
ろ、輝度は比較例2の87%で実施例10と同程度であった
が、MFTの値が30%となる空間分解能は32pl/mm
で実施例10にははるかに及ばない値であった。
【0046】実施例11 4重量%のTbを含有するZnS:Tb蛍光体とこの蛍
光体に対して 5重量%のイオウとを、アルゴン雰囲気
下、 4MHz、15kWの高周波熱プラズマ中に同時に投
下して気化させ、次いで急冷することにより微粒子を含
むZnS:Tb蛍光体粉末を得た。次いで、この蛍光体
粉末をエタノール中に分散させ、静置沈降によって分級
して、平均粒径40nmのZnS:Tb微粒子蛍光体を捕
集した。
【0047】次に、電流を流す時間を 3分間とした以外
は実施例10と同様にしてガラス基板上に蛍光膜を形成し
た。このようにして得られた蛍光膜は、0.51mg/cm
2 のコーティングウェイトであり、ヘイズは10%と非常
に透明度が高かった。また、白色光に対する全透過率は
78%であった。
【0048】この蛍光面に対して、実施例10と同様にし
てMTF曲線を作成したところ、MTFの値が30%とな
る空間分解能は 180pl/mmであり、非常に高い値を
示した。
【0049】比較例4 4重量%のTbを含有するZnS:Tb蛍光体をプレス
成形したターゲットを用い、 2.5Paのアルゴン雰囲気
中で 300w、15分間のRFスパッタを行なうことによ
り、ガラス基板上にコーティングウェイト0.49mg/c
2 の蛍光膜を形成した。その後、さらに、真空下、 5
50℃で 5時間熱処理を施した。
【0050】このようにして得られた蛍光膜は、ヘイズ
が 5%と非常に透明度が高く、白色光に対する全透過率
は80%であった。また実施例10と同様にして測定した、
MTFの値が30%となる空間分解能は 220pl/mmと
非常に優れたものであった。
【0051】このように、実施例11の蛍光体は透明度お
よび解像度共に優れたものであるが、その点では比較例
4の蛍光体も同様であった。しかしながら、これらの蛍
光体について実施例10および比較例2と同様の条件で輝
度を測定したところ、比較例4の蛍光体の輝度は実施例
12の蛍光体の60%であり、非常に劣ったものであった。
【0052】
【発明の効果】以上のように、この発明による蛍光面
は、透明性が高く、かつ十分な輝度を有している。した
がって、例えば、ブラウン管の蛍光面として用いた場合
にも、入射電子ビームのパターンに従って発光した光が
蛍光面内で散乱されることが少なく、高い解像度を得る
ことができる。
【0053】また、この発明による蛍光面は、設備上の
コストを安価にすませ、製造時間を短縮することがで
き、さらに過熱処理を施す必要がないため透明基板の材
質を選ばない。加えて、この発明による蛍光面は容易に
大面積化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のよる蛍光面の断面を模式的に示す
図。
【図2】電着法による蛍光面の製造方法を模式的に説明
する図。
【図3】この発明の実施例において作製された蛍光膜中
の微粒子蛍光体の様子を示す電子顕微鏡写真。
【図4】この発明の実施例において作製された蛍光膜の
透過スペクトルを示す図。
【図5】この発明の別の実施例において作製された蛍光
膜のX線回折パターンを示す図。
【図6】この発明の比較例において作製された蛍光膜の
X線回折パターンを示す図。
【符号の説明】
1 …基板、2 …蛍光膜、21…微粒子蛍光体を分散させた
懸濁液、22…ガラス基板、23…導電性被膜、24…電極、
25…直流電源、26…容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アルベサール 恵子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 木戸 房吉 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 三石 巌 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と該基板上に形成された蛍光膜とを
    包含する蛍光面であって、該蛍光膜が、蛍光体材料を蒸
    発し得る温度に加熱した後急冷することにより得られる
    平均粒径 200nm以下の微粒子蛍光体を含有し、かつ波
    長 380〜 760nmの光束に対する該蛍光膜のヘイズが50
    %以下である蛍光面。
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