JP2001185050A - 蛍光膜及びその製造方法 - Google Patents

蛍光膜及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001185050A
JP2001185050A JP37716399A JP37716399A JP2001185050A JP 2001185050 A JP2001185050 A JP 2001185050A JP 37716399 A JP37716399 A JP 37716399A JP 37716399 A JP37716399 A JP 37716399A JP 2001185050 A JP2001185050 A JP 2001185050A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphor
film
phosphor layer
oxide
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP37716399A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsuneo Kimura
恒夫 木村
Hiroshi Uchida
博 内田
Noboru Kodera
昇 小寺
Norio Miura
典夫 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kasei Optonix Ltd
Original Assignee
Kasei Optonix Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kasei Optonix Ltd filed Critical Kasei Optonix Ltd
Priority to JP37716399A priority Critical patent/JP2001185050A/ja
Publication of JP2001185050A publication Critical patent/JP2001185050A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に加速電圧がおよそ数kV〜十数kVであ
り、高電流密度の中速電子線の照射に対して、経時的な
輝度低下の少ない蛍光膜及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 透明基板上に蛍光体層を形成してなる蛍
光膜において、少なくとも上記蛍光体層の表面に金属の
酸化物または窒化珪素からなる薄膜が被覆されているこ
とを特徴とする蛍光膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蛍光膜及びその製造
方法に関する。更に詳細には、特に、フィールドエミッ
ションディスプレイ(FED)など、加速電圧が数kV
〜数十kVであり、かつ、電流密度の高い電子線の照射
に対して経時劣化の少ない蛍光膜及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】各種デイスプレイ装置の中、電子線励起
下での蛍光膜からの発光を利用した陰極線管ディスプレ
イ(CRT)は高輝度、高精細なディスプレイとして広
く利用されているが、特にディスプレイのフラット化、
薄型化という点では限度があり、フラット化及び薄型化
を追求するディスプレイの一つとして近年来、FEDが
注目され、開発されつつある。
【0003】ところで、FEDは真空外囲器内に電子を
放出する平面状の電界放出型カソードとアノードとをわ
ずかな間隔を持たせて対向して配置し、アノード上のカ
ソードと対向する面の所定の位置に電子線励起により各
色に発光する蛍光体からなる蛍光膜を設けておき、各カ
ソードから画像信号に対応する、加速電圧が2〜15k
V程度の中速電子線を放出させることによってアノード
上の各蛍光膜を発光させて画像を表示させる平面ディス
プレイで、消費電力が少なく、同じ平面ディスプレイで
ある液晶ディスプレイ(LCD)よりも優位な、フラッ
トで薄型のディスプレイとして期待されつつある。しか
しながら、このFEDはカソードと蛍光膜(アノード)
との間の距離がCRTに比較して極めて短いことと、蛍
光膜を発光させる電子線の加速電圧がCRTよりも低
く、逆にその電流密度がCRTの10〜1000倍の高
密度であるため、FED用蛍光膜はCRT用蛍光膜に比
べて、使用中に電子線による劣化を受けて経時的な発光
輝度の低下や発光色の変化を起こし易く、特に、硫化物
系蛍光体などの母体組成中に硫黄元素(S)を含むをF
ED用蛍光膜として用いた場合、高密度の電子線に長時
間晒されると、蛍光体自体が分解したり蛍光体母体の結
晶性が低下して、発光輝度の低下が顕著となるところか
ら、CRT用として用いる従来の蛍光膜をそのままFE
D用蛍光膜として用いた場合、特に、経時的な発光輝度
の低下抑制という観点からその改良が強く望まれてい
た。
【0004】電子線照射に対する蛍光体の劣化抑制のた
めには、蛍光体が直接電子線に晒されないよう、蛍光体
表面に何らかの被覆層を設けることが考えられ、従来か
らも特にCRT用蛍光体など、加速電圧十数kVより大
の高速電子線用蛍光体や、加速電圧数百V以下の低速電
子線用蛍光体に対し、耐熱性に優れたSi、Al、Ti
などの金属の酸化物の微粒子を表面に被覆した蛍光体が
使用されている。しかし、これら金属酸化物の微粒子が
被覆された蛍光体は、FED用蛍光膜など、高電流密度
で、加速電圧が数kV〜数十kVのいわゆる中速電子線
の連続照射を受けると必ずしも劣化による発光輝度低下
が抑制されず、その改善が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は特に加速電圧
がおよそ数kV〜数十kVであり、高電流密度の中速電
子線を継続的に照射して発光させた際に、経時的な輝度
低下の少ない蛍光膜及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成するため、主として蛍光膜に対する表面処理方法に
関し、鋭意検討した結果、蛍光膜の励起源側の面、即
ち、少なくとも電子線や紫外線が直接さらされる蛍光膜
の蛍光体層表面を特定物質からなる薄膜で被覆すると上
記目的が達成し得ることを見い出した。
【0007】本発明は以下の構成からなる。 (1) 透明基板上に蛍光体層を形成してなる蛍光膜に
おいて、少なくとも上記蛍光体層の表面に金属の酸化物
または窒化珪素からなる薄膜が被覆されていることを特
徴とする蛍光膜。 (2) 上記薄膜が二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムの中
の1種からなることを特徴とする上記(1)に記載の蛍
光膜。 (3) 上記薄膜の厚みが20Å〜1000Åであるこ
とを特徴とする上記(1)または(2)に記載の蛍光
膜。
【0008】(4) 透明基板上に蛍光体層を形成して
なる蛍光膜の製造方法において、透明基板上に蛍光体層
を形成し、次いでスパッタリング法により、少なくとも
上記蛍光体層の表面に金属酸化物または窒化珪素からな
る薄膜を被覆することを特徴とする蛍光膜の製造方法。 (5) 上記薄膜が二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムの中
の1種であることを特徴とする上記(4)に記載の蛍光
膜の製造方法。 (6) 上記皮膜が酸化珪素又は窒化珪素からなること
を特徴とする上記(4)ないし(5)に記載の蛍光膜の
製造方法。
【0009】(7) 上記薄膜の厚みが20Å〜100
0Åであることを特徴とする上記(4)ないし(6)の
いずれかに記載の蛍光膜の製造方法。 (8) 上記蛍光体層を構成する蛍光体が、母体組成中
に硫黄元素(S)を含む蛍光体からなることを特徴とす
る上記(4)〜(7)のいずれかに記載の蛍光膜の製造
方法。 (9) 透明基板上に蛍光体層を形成してなる蛍光膜の
製造方法において、透明基板上に蛍光体層を形成し、次
いでスパッタリング法により、上記蛍光体層の表面に金
属の酸化物からなる薄膜を被覆した後、これを加熱する
ことにより少なくとも上記蛍光体層の表面に上記金属の
酸化物からなる薄膜被覆することを特徴とする蛍光膜の
製造方法。
【0010】(10)真空外囲器内に少なくとも電界放
出用カソードと、これに対向するアノードと、該アノー
ドの上記カソード側に設けられた蛍光膜とを有し、上記
カソードから放出される加速電圧1〜15kVの電子線
によって上記蛍光膜を発光させる電界放出型ディスプレ
イ装置において、上記蛍光膜が上記(1)〜(3)のい
ずれかに記載の蛍光膜からなることを特徴とする電界放
出型ディスプレイ装置。
【0011】
【発明の実施の態様】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明の蛍光膜を製造するには、先ず、基板上に蛍
光体層を形成した後、金属酸化物または窒化珪素からな
る薄膜を少なくとも該蛍光体層の表面に被覆することに
よって得ることが出来る。
【0012】蛍光体層表面に上記薄膜を被覆させるに
は、スパッタリング装置内においてターゲット材であ
る、所望の金属の酸化物または窒化珪素と、先に基板上
に形成された蛍光体層とを対面させ、アルゴンガスを封
入して、その内部が10−2Torr(133.3P
a)以下の圧力下に保たれたスパッタリング装置を用い
て従来から知られているスパッタリング法によりスパッ
タリングすることによって金属酸化物又は窒化珪素から
なる薄膜をその蛍光体層の表面に被覆させる。
【0013】本発明の蛍光膜の表面を被覆する金属酸化
物や窒化珪素からなる薄膜は、上述のようにスパッタリ
ング法により、蛍光体層の外部に露出している蛍光体粒
子表面のみならず、蛍光体層内の各蛍光体粒子間や蛍光
体粒子と支持体との間の空隙部分における各蛍光体粒子
の表面にも被覆されていても良いが、少なくとも励起源
と対面する面である、蛍光膜の蛍光体層表面を被覆する
必要がある。
【0014】本発明の蛍光膜においては、蛍光膜の発光
輝度低下をできるだけ抑制させるために蛍光体層からの
発光をできるだけ吸収しないことが好ましく、そのため
に蛍光体層表面に被覆させる薄膜は透明であることが好
ましく、薄膜化するためのターゲット材としては二酸化
珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化
マグネシウム(マグネシア)、酸化チタン(チタニ
ア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)等の金属酸化物
及び窒化珪素などを用いることが好ましい。
【0015】蛍光膜表面に被覆させる金属酸化物又は窒
化珪素からなる薄膜の膜厚は、蛍光体層の厚みや蛍光体
層に用いる蛍光体の粒度、更にはスパッターされる金属
酸化物等ターゲット材の種類により多少その最適値は異
なるが、ほぼ20Å〜2000Åとするのが好ましく、
より好ましくは50Å〜500Å程度とするのが良い。
この膜厚が20Åより少ないと得られる蛍光膜の経時的
な輝度低下の抑制効果が殆ど得られず、また、逆にこの
膜厚が2000Åより大きいと蛍光膜からの発光の吸収
が増し、得られる蛍光膜の発光輝度が大幅に低下してし
まうので実用上好ましくない。
【0016】なお、蛍光膜表面に金属酸化物からなる薄
膜を被覆する場合は、先ず蛍光膜の表面に所望の金属を
スパッタリングにより被覆させてからその金属が酸化物
に変わり得る温度で熱処理し、蛍光膜表面に被覆された
金属薄膜をその金属の酸化物からなる薄膜に変成させて
も良い。
【0017】本発明の蛍光膜の製造方法において、蛍光
膜の表面に金属酸化物または窒化珪素の薄膜を作製する
場合、特にRF(高周波)方式のプレーナマグネトロン
法がスピードが速く有利である。
【0018】基板上への蛍光体層の形成は、ディスプレ
イ用などの従来の蛍光膜作製方法と変わるところはな
く、例えば、水ガラス等のバインダーを含む水の入った
容器の器底に基板を沈めておき、この中に蛍光体の所定
量を投入して攪拌し、器底の基板上に沈積させる方法
(沈降塗布法)によって蛍光膜を形成しても良いし、ま
た、蛍光体と水溶性の感光性樹脂バインダーとを水等の
溶媒中に懸濁させて蛍光体の感光性樹脂スラリーを調製
し、これを基板上に塗布した後、所定のパターンに露光
してから、未露光部を洗い流す方法(ホトリソ法)によ
って蛍光膜を作成しても良い。更にまた、蛍光体をバイ
ンダー樹脂と共に混練して蛍光体ペーストとし、これを
基板上の所定の位置にスクリーン印刷して塗布する方法
(印刷法)によって形成しても良い。
【0019】本発明の蛍光膜の蛍光体層を形成する基板
としてはガラス板、透明なプラスチック板等の平滑面を
有する透明な板状体が用いられる。この基板は例えばデ
ィスプレイのガラスパネルなどのように、基板自体がデ
ィスプレイなどのデバイスの一部分を構成する場合もあ
る。
【0020】本発明の蛍光膜において用いられる蛍光体
としては、CRT用の赤色蛍光体であるYS:E
u、緑色蛍光体であるZnS:Cu,Al、青色蛍光体
であるZnS:Ag,Clなどの外、加速電圧が数kV
〜十数kV程度であり電流密度が数μA〜10mA/c
程度の中速、高電流密度の電子線の照射を受けた時
に高輝度に発光し得る蛍光体であれば特に制限はなく、
一般的には電子線励起下で発光するCRT用の蛍光体が
用いられる。但し、これらの中でもZnS、(Zn、C
d)Sなどの硫化物を母体とする硫化物系蛍光体、Ln
S(LnはY,Gd及びLaの少なくとも1種)
で表される組成の化合物を母体とする酸硫化物系蛍光
体、MGa(MはSr、Ca,Ba及びMgの中
の少なくとも1種)で表されるチオガレート系蛍光体
等、蛍光体の母体組成中にS元素を含む蛍光体を蛍光体
層として用いた蛍光膜では、特に経時的な発光輝度低下
の抑制効果を発揮する。
【0021】上述のようにして得られた、本発明の蛍光
膜は、例えば、これをFED用の蛍光膜とする場合に
は、一対のガラス基板A、Bをおよそ2mm程度の間隙
でもって対向配置し、一方のガラス基板Aの片面(もう
一方のガラス基板Bと対面する側)にITO等の透明導
電性薄膜を介して透明なカソード電極と、これに通ずる
カソードを所定の位置に点在させて設けると共に、ガラ
ス基板Bの片面(ガラス基板Aと対面する側)にはアノ
ード電極を設け、このアノード電極の上に蛍光体層を形
成し、その蛍光体層の表面にスパッタリング法により金
属酸化物もしくは窒化珪素からなる薄膜を被覆させて蛍
光膜とした後、これらガラス基板A及びB(蛍光膜)を
対面させて真空外囲器内に封入しFEDとする。
【0022】本発明の蛍光膜は、特に、FED等、加速
電圧が数kV〜十数kVで、電流密度が数μA〜十数m
Aの中速電子線で継続的に照射される環境下において使
用した時、経時的な発光輝度の低下を抑制する効果が顕
著であるが、本発明の蛍光膜は、継続的に真空紫外線の
照射を受ける環境下で使用されるプラズマディスプレイ
(PDP)や、真空紫外線、紫外線などの励起下で使用
される蛍光ランプの蛍光膜として使用した場合にも同様
に蛍光膜の劣化による発光輝度の低下が抑制される外、
加速電圧が数100Vの低速電子線や加速電圧が20k
V以上の高速電子線用蛍光体としても利用できることは
いうまでもない。
【0023】
【実施例】次に実施例により本発明を説明する。 〔実施例1〜6〕平均粒径7μmのZnS:Cu,Al
緑色蛍光体をエチルセルロース(バインダー樹脂)及び
ブチルカルビトールアセテート(溶媒)と共に混合して
混練して蛍光体ペーストを調製し、表面に透明導電膜
(ITO)が形成されているガラス基板(厚さ1.1m
m青板ガラス)上にスクリーン印刷法で印刷塗布後、大
気中430℃の電気炉で加熱処理を行って有機物を除去
し、乾燥後の層厚がおよそ20μm(重量2.7mg/
cm)の蛍光体層をガラス基板上に形成した。
【0024】このようにしてガラス基板上に形成した蛍
光体層を、その蛍光体層側がターゲット材であるシリカ
(SiO)と対向するようにRF(高周波)方式のプ
レーナマグネトロンスパッタリング装置にセットし、ス
パッタリングしてガラス基板上の蛍光体層の表面におよ
そ20Åの酸化珪素(シリカ)からなる薄膜を被覆さ
せ、実施例1の蛍光膜を製造した。
【0025】これとは別に、スパッタリングの時間を変
化させた以外は上記実施例1の蛍光膜と全く同様にし
て、蛍光体層表面に被覆された二酸化珪素(シリカ)か
らなる薄膜の厚みがそれぞれおよそ50Å、100Å、
200Å、500Å及び1000Åである、実施例2、
3、4、5、及び6の蛍光膜を製造した。
【0026】〔実施例7〜9〕ターゲット材としてシリ
カ(SiO)に代えて窒化珪素(Si)を用い
た以外は実施例1の蛍光膜と同様にして蛍光体層の表面
に厚みがおよそ50Åの窒化珪素(Si)からな
る薄膜を被覆した実施例7の蛍光膜を製造した。スパッ
タリングの時間を変化させた以外は上記実施例7の蛍光
膜と全く同様にして、蛍光体層表面に被覆された窒化珪
素(Si)からなる薄膜の厚みがそれぞれおよそ
100Å及び200Åである、実施例8及び9の蛍光膜
を製造した。
【0027】〔実施例10〕ターゲット材としてシリカ
(SiO)に代えて酸化インジウム(In)を
用いた以外は実施例1の蛍光膜と同様にして蛍光体層の
表面に厚みがおよそ200Åの酸化インジウム(In
)からなる薄膜を被覆した実施例10の蛍光膜を製
造した。
【0028】〔比較例1〕実施例1で用いた平均粒径7
μmのZnS:Cu,Al緑色蛍光体をエチルセルロー
ス(バインダー樹脂)及びブチルカルビトールアセテー
ト(溶媒)と共に混合して混練して蛍光体ペーストを調
製し、この蛍光体ペーストを用いて表面に透明導電膜
(ITO)が形成されているガラス基板上(厚さ1.1
mm青板ガラス)にスクリーン印刷法で印刷塗布後、大
気中430℃の電気炉で加熱処理を行って有機物を除去
し、乾燥後の層厚が20μm(重量2.7mg/c
)の蛍光体層をガラス基板上に形成して比較例1の
蛍光膜を製造した。
【0029】〔比較例2〕 スパッタリングの時間を代
えた以外は実施例1の蛍光膜と全く同様にして基板上の
蛍光体層の表面におよそ2000Åの酸化珪素からなる
薄膜を被覆させ、比較例2の蛍光膜を製造した。
【0030】〔比較例3〕スパッタリングの時間を代え
た以外は実施例1の蛍光膜と全く同様にして基板上の蛍
光体層の表面におよそ10Åの酸化珪素(シリカ)から
なる薄膜を被覆させ、比較例3の蛍光膜を製造した。
【0031】上述のようにして得られた実施例1〜10
並びに比較例1〜3の各蛍光膜について、それぞれ加速
電圧6kV、電流密度150μA/cmの電子線を1
0時間照射して連続発光させ、その時の電子線照射開始
直後の発光輝度{初期輝度(a)}、照射開始から10
時間後における発光輝{経時後の発光輝度(b)}を測
定すると共に、それらの各測定値を基に輝度維持率
{(b/a)×100}を算出して各蛍光膜表面に被覆
されている薄膜の化学組成並びに膜厚と共に、その結果
を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】表1からわかるように、蛍光体層の表面に
シリカ、窒化珪素及び酸化インジウムからなる薄膜をそ
れぞれ被覆した本発明の各蛍光膜(実施例1〜10)
は、表面に何ら被覆処理が施されていない従来の蛍光膜
(比較例1)に比べて10時間連続して発光させた場合
にも、発光輝度の低下が少なく、輝度維持率が著しく改
善されていた。しかも、表面に薄膜が被覆されている蛍
光膜の場合にも、実施例1〜10の蛍光膜と比較例3の
蛍光膜との比較からわかるように、その薄膜を特定の厚
み以下にすると輝度維持率が改善され、また、実施例7
の蛍光膜と比較例2の蛍光膜との比較からわかるように
その薄膜を特定の厚み以上にすると初期輝度が低下し
た。
【0034】なお、上記各実施例において蛍光体として
ZnS:Cu,Al緑色蛍光体を用いた場合についての
み例示したが、加速電圧が0.1〜15kV程度の中圧
電子線励起によって発光し得る蛍光体であればZnS:
Cu,Al蛍光体に限らず、ZnS:Ag,Cl緑色蛍
光体、YS:Eu赤色蛍光体などの他の蛍光体を
蛍光体層として用いた場合にも同様に輝度維持率が向上
し、経時的な発光輝度低下を抑制する効果が得られるこ
とが確認された。
【0035】
【発明の効果】本発明の蛍光膜は上述のような構成とし
たので、特に高電流密度の中速電子線照射により継続発
光させた際の輝度維持率が改善され、長時間の使用によ
っても発光輝度の低下の程度が小さく、これをFEDな
どの各種ディスプレイや、発光デバイスの蛍光膜として
使用した場合、高輝度の発光を維持するディスプレイが
得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 31/12 H01J 31/12 C (72)発明者 三浦 典夫 神奈川県小田原市成田1060番地 化成オプ トニクス株式会社小田原工場内 Fターム(参考) 4H001 CA01 XA16 XA30 YA13 YA29 5C028 CC07 5C036 AA01 BB10 EE01 EF01 EF06 EF09 EG36 EH12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に蛍光体層を形成してなる蛍
    光膜において、少なくとも上記蛍光体層の表面に金属の
    酸化物または窒化珪素からなる薄膜が被覆されているこ
    とを特徴とする蛍光膜。
  2. 【請求項2】 上記薄膜が二酸化珪素、酸化アルミニウ
    ム、酸化マグネシウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウ
    ムの中の1種からなることを特徴とする請求項1に記載
    の蛍光膜。
  3. 【請求項3】 上記薄膜の厚みが20Å〜1000Åで
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光
    膜。
  4. 【請求項4】 透明基板上に蛍光体層を形成してなる蛍
    光膜の製造方法において、透明基板上に蛍光体層を形成
    し、次いでスパッタリング法により、少なくとも上記蛍
    光体層の表面に金属酸化物または窒化珪素からなる薄膜
    を被覆することを特徴とする蛍光膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記薄膜が二酸化珪素、酸化アルミニウ
    ム、酸化マグネシウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウ
    ムの中の1種からなることを特徴とする請求項4に記載
    の蛍光膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記皮膜が酸化珪素又は窒化珪素からな
    ることを特徴とする請求項4ないし5に記載の蛍光膜の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 上記薄膜の厚みが20Å〜1000Åで
    あることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか一項
    に記載の蛍光膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記蛍光体層を構成する蛍光体が、母体
    組成中に硫黄元素(S)を含む蛍光体からなることを特
    徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の蛍光膜の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 透明基板上に蛍光体層を形成してなる蛍
    光膜の製造方法において、透明基板上に蛍光体層を形成
    し、次いでスパッタリング法により、上記蛍光体層の表
    面に金属の薄膜を被覆した後、これを加熱することによ
    り少なくとも上記蛍光体層の表面に上記金属の酸化物を
    生成させることによって上記蛍光体層の表面に上記金属
    の酸化物薄膜を被覆することを特徴とする蛍光膜の製造
    方法。
JP37716399A 1999-12-27 1999-12-27 蛍光膜及びその製造方法 Pending JP2001185050A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37716399A JP2001185050A (ja) 1999-12-27 1999-12-27 蛍光膜及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37716399A JP2001185050A (ja) 1999-12-27 1999-12-27 蛍光膜及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001185050A true JP2001185050A (ja) 2001-07-06

Family

ID=18508362

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37716399A Pending JP2001185050A (ja) 1999-12-27 1999-12-27 蛍光膜及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001185050A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003007324A1 (en) * 2001-07-13 2003-01-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Metal back-carrying fluorescent surface, metal back forming transfer film and image display unit
WO2007105370A1 (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Canon Kabushiki Kaisha 表示装置用蛍光体および電界放出型表示装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003007324A1 (en) * 2001-07-13 2003-01-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Metal back-carrying fluorescent surface, metal back forming transfer film and image display unit
US7166956B2 (en) 2001-07-13 2007-01-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Metal back-carrying fluorescent surface, metal back forming transfer film and image display unit
WO2007105370A1 (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Canon Kabushiki Kaisha 表示装置用蛍光体および電界放出型表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1030339B1 (en) Phosphor material, phosphor material powder, plasma display panel, and processes for producing these
US20100133986A1 (en) Light emission device and display device using same as light source
JP2004134216A (ja) 陰極線管
US6069439A (en) Phosphor material, method of manufacturing the same and display device
JP2007103052A (ja) プラズマディスプレイパネル
US6791253B2 (en) Display
EP2194561A2 (en) Light emission device and display device using same as light source
JPH0589800A (ja) 緑色発光投写形陰極線管
US8294352B2 (en) Fluorescent lamp
JP2000096045A (ja) 電界放出型ディスプレイ用蛍光膜及びこれを用いた電界 放出型ディスプレイ装置
JP2001185050A (ja) 蛍光膜及びその製造方法
JPH0935670A (ja) フィールド・エミッション・ディスプレイ素子及びその製造方法
TWI290952B (en) Blue fluorescent substance for display device and method for producing the same and field emission type display device
JP2008308725A (ja) 蛍光体の成膜方法
JP4157243B2 (ja) 蛍光体の表面処理方法及び蛍光膜
JP4568952B2 (ja) 蛍光体の表面処理方法及び蛍光膜
JP2001027811A (ja) 感光性ペーストおよびディスプレイ
US6171464B1 (en) Suspensions and methods for deposition of luminescent materials and articles produced thereby
JP2718000B2 (ja) 蛍光表示管
JP2000096046A (ja) 電界放出型ディスプレイ用蛍光膜及びこれを用いた電 界放出型ディスプレイ装置
JP2002235074A (ja) ディスプレイ用蛍光体ペーストおよびディスプレイ用部材ならびにディスプレイ
JP2003197135A (ja) 画像表示装置
JP2006312695A (ja) 表示装置用青色発光蛍光体および電界放出型表示装置
KR100270333B1 (ko) 전계방출 디스플레이를 위한 후막 및 박막 적층형 발광층 제조방법
JP2001226670A (ja) 表示装置用蛍光体およびそれを用いた発光素子