JP4157243B2 - 蛍光体の表面処理方法及び蛍光膜 - Google Patents

蛍光体の表面処理方法及び蛍光膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蛍光体の表面処理方法及び蛍光膜に関する。更に詳細には、特に、フィールドエミッションディスプレイ(FED)など、加速電圧が数kV〜十数kVであり、かつ、電流密度の高い電子線に対して劣化の少ない蛍光体を得るための表面処理方法及び該方法により得られた蛍光体を用いたディスプレイ用の蛍光膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種デイスプレイ装置の中、電子線励起下での蛍光膜からの発光を利用した陰極線管ディスプレイ(CRT)は高輝度、高精細なディスプレイとして広く利用されているが、特にディスプレイのフラット化、薄型化という点では限度があり、フラット化及び薄型化を追求するディスプレイの一つとして近年来、FEDが注目され、開発されつつある。
【0003】
ところで、FEDは真空外囲器内に電子を放出する平面状の電界放出型カソードとアノードとをわずかな間隔を持たせて対向して配置し、アノード上のカソードと対向する面の所定の位置に電子線励起により各色に発光する蛍光体からなる蛍光膜を設けておき、各カソードから画像信号に対応する、加速電圧が2〜15kV程度の中速電子線を放出させることによってアノード上の各蛍光膜を発光させて画像を表示させる平面ディスプレイで、消費電力が少なく、同じ平面ディスプレイである液晶ディスプレイ(LCD)よりも優位なフラットで薄型のディスプレイとして期待されつつある。
【0004】
しかしながら、このFEDはカソードと蛍光膜(アノード)との間の距離がCRTに比較して極めて短いことと、蛍光膜を発光させる電子線の加速電圧がCRTよりも低く、逆にその電流密度がCRTの10〜1000倍の高密度であるため、FED用蛍光膜はCRT用蛍光膜に比べて、使用中に電子線による劣化を受けて経時的な発光輝度の低下や発光色の変化が起こり易く、特に、硫化物系蛍光体などの母体組成中に硫黄元素(S)を含む蛍光体をFED用蛍光膜として用いた場合、高密度の電子線に長時間晒されると蛍光体自体が分解したり、蛍光体母体の結晶性が低下して、発光輝度の低下が顕著であるところから、CRT用蛍光膜として用いる従来の蛍光体をそのままFED用蛍光膜として用いた場合、特に、経時的な発光輝度の低下抑制という観点から、その改良が強く望まれていた。
【0005】
電子線照射に対する蛍光体の劣化抑制のためには、蛍光体が直接電子線に晒されないよう、蛍光体表面に何らかの被覆層を設けることが考えられ、従来からも特にCRT用蛍光体など、加速電圧数十数kVより大の高速電子線用蛍光体や、加速電圧数百V以下の低速電子線用蛍光体に対し、耐熱性に優れたSi、Al、Tiなどの酸化物の微粒子を表面に被覆した蛍光体が使用されている。しかし、これら金属酸化物の微粒子が被覆された蛍光体は、FED用蛍光膜など、高電流密度で、加速電圧が数kV〜十数kVのいわゆる中速電子線の連続照射を受けると必ずしも劣化による発光輝度低下が抑制されず、その改善が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は特に加速電圧がおよそ数kV〜十数kVであり、高電流密度の中速電子線を継続的に照射して発光させた際に、経時的な輝度低下の少ない蛍光体の製造方法並びに蛍光膜を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的を達成するため、蛍光体表面に種々の金属酸化物を被覆させる表面処理方法に関し、鋭意検討した結果、特定の珪素化合物を用いて蛍光体表面にシリカの皮膜を形成し、これを蛍光膜として用いた場合、上記目的が達成し得ることを見い出した。
【0008】
本発明は以下の構成を採用することによって上記目的を達成し得る。
(1)表面にシラザンを付着させた蛍光体を加熱して上記シラザンを熱分解し、シリカを生成させることにより上記蛍光体の表面に複数のシリカの皮膜を積層して被覆することを特徴とする蛍光体の表面処理方法。
【0009】
) 上記シラザンがポリシラザンであることを特徴とする上記(1)に記載の表面処理方法。
) 上記シリカの被覆量が珪素(Si)に換算して上記蛍光体に対して0.02〜5重量%であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の表面処理方法。
【0010】
)上記蛍光体がその母体組成中に硫黄元素(S)を含むことを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の蛍光体の表面処理方法。
)上記蛍光体が2価金属硫化物、希土類酸硫化物及びチオガレートの中のいずれかであることを特徴とする上記()に記載の表面処理方法。
【0011】
)支持体上に、上記(1)〜()のいずれかに記載された表面処理方法によって得られた蛍光体からなる蛍光体層を設けたことを特徴とする蛍光膜。
)真空外囲器内に少なくとも電界放出用カソードと、これに対向するアノードと、該アノードの上記カソード側に設けられた蛍光膜とを有し、上記カソードから放出される加速電圧1〜15kVの電子線によって上記蛍光膜を発光させる電界放出型ディスプレイ装置において、上記蛍光膜が上記()に記載の蛍光膜からなることを特徴とする電界放出型ディスプレイ装置。
【0012】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の表面処理蛍光体を製造するには、先ず、シラザンを溶解し得るがこれと反応しない有機溶媒中に所定量の蛍光体を懸濁させて蛍光体の有機溶媒懸濁液を調製し、この中に所定量のシラザンを添加して十分に攪拌し、次いで濾過またはデカンテーションにより蛍光体を有機溶媒から分離して、乾燥させた後、空気中で熱処理して蛍光体に付着しているシラザンを加熱分することによって、蛍光体の表面には粒状のシリカではなく、皮膜状のシリカが生成される。なお、この時、蛍光体表面に複数のシリカ皮膜を積層すると、同一量のシリカ皮膜を被覆する場合には、その被覆効果が単層のシリカ皮膜を被覆する場合に比べてより向上するので好ましい。蛍光体表面に複数層のシリカ皮膜を積層して被覆するには、上記方法により得られた、シリカ皮膜被覆蛍光体を用いて、上記操作を反復することにより、既に形成されたシリカ皮膜の表面に更にシリカ皮膜を被覆すればよい。即ち、蛍光体の表面に付着すべき所定量のシラザンを分割して別々に準備し、先ず、上述のようにして予め所定量よりも少ない量のシラザンを蛍光体の有機溶媒懸濁液中に投入して蛍光体表面に付着させ、これを加熱分解してシリカ皮膜を蛍光体表面に被覆させた蛍光体を製造し、この蛍光体の表面に更に残りのシラザンを付着させて同様にしてこれを熱分解し、既に被覆されているシリカ膜の上に、更にシリカの皮膜を形成する操作を反復することにより、蛍光体の表面に複数層のシリカ膜を積層すればよい。
【0013】
本発明において用いられるシラザンは、Si−N(珪素ー窒素)結合を有する化合物であって、その組成がHSi[NHSiHNHSiH(但しnは0または正数)で表される、有機溶媒に可溶な無機ポリマーであって、その組成中に含有する珪素原子数の異なるジシラザン、トリシラザン、ポリシラザンの外に、シラザンの水素(H)が有機酸で置換されたオルガノシラザン等が使用できるが、特に珪素原子数nが10以上のポリシラザンを用いるのがより好ましい。その理由は、珪素原子数nが小さい、即ちシラザンの分子量が小さいと蒸気圧が大きくなり、溶媒蒸発処理中にシラザンの蒸発ロスが発生し、また安全衛生上も好ましくない。
【0014】
蛍光体表面に被覆されるシリカの量はSiに換算して蛍光体に対して0.02〜5重量%とするのが好ましく、特に、0.1〜2.5重量%とするのがより好ましい。シリカの被覆量がSiに換算して蛍光体に対して0.02重量%より少ないと得られる蛍光体の経時的な輝度低下が改善されず、また、この被覆量が5重量%より多いと得られる蛍光体の発光輝度が低下してしまうので実用上好ましくない。
【0015】
蛍光体表面に被覆されるシリカの量は蛍光体の有機溶媒懸濁液中でのシラザンの濃度、蛍光体量、蛍光体の平均粒径(比表面積;m/g)、その有機溶媒の粘度や温度等により変化する。従って予めシリカの被覆量と各要因との関係を確認しておく必要がある。
【0016】
本発明の蛍光体の表面処理方法において使用される有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジブチルエーテル、シクロヘキサン等の、水を溶解し難く、かつ、安定であって、ポリシラザンとは反応しないが、ポリシラザンを溶解する溶媒が良い。特に、ポリシラザンは、水酸基(OH)を持つ物質と容易に反応し、加水分解されるため、水、アルコール類は使用出来ない。また、ケトンやエステル類、エーテル類も水を溶解するため好ましくない。
【0017】
また、ポリシラザンの有機溶媒中の濃度としては、0.01〜20重量%程度が推奨出来る。
蛍光体表面に付着させたシラザンを加熱分解してシリカを生成させる際の加熱処理は、空気中、250℃以上の温度で行う。250℃以上の温度で加熱処理することによって、空気中の水分や酸素とシラザンとの反応によりシリカが生成すると同時に、熱によるシリカ膜の緻密化が同時に起る。この時、シリカの緻密な薄膜を得るためには、一般に熱処理温度が高い方が好ましいが、組成中に硫黄元素(S)を含む蛍光体の場合、空気中で500℃以上の高温にさらされると、その表面で分解や酸化が生ずるという弊害があり、一方、蛍光体表面に付着しているシラザンはその全量がシリカになっていなくても、その過半量がシリカである皮膜を形成していれば本発明の効果である、経時的な発光輝度低下の抑制は充分得られるので、熱処理温度としては、250℃〜500℃の範囲で行うことが推奨される。
【0018】
本発明において表面処理用として用いられる蛍光体としては、CRT用の赤色蛍光体であるYS:Eu、緑色蛍光体であるZnS:Cu,Al、青色蛍光体であるZnS:Ag,Cl、ZnS:Ag,Al等、電子線で励起した時、高効率の発光を呈し、電子線を画像表示のための励起源とするディスプレイの蛍光膜として用いられる蛍光体であれば特に制限はないが、本発明の表面処理に用いられる蛍光体は、特にZnS系蛍光体、(Zn、Cd)S系蛍光体(Sr、Ca)S系等の硫化物を母体とする蛍光体、LnS(LnはY,Gd及びLaの少なくとも1種)で表される希土類酸硫化物系蛍光体を母体とする蛍光体、MGa(MはSr、Ca,Ba及びMgの中の少なくとも1種)で表されるチオガレート系蛍光体等、蛍光体の母体組成中にS元素を含む蛍光体に対して特に経時的な発光輝度低下の抑制効果を発揮する。
【0019】
以上のようにして得られた蛍光体は、特に、FED等、加速電圧が数kV〜十数kVで、電流密度が数μA〜十数mAの中速電子線で継続的に照射される環境下において使用した時、経時的な発光輝度の低下を抑制する効果が顕著であるが、本発明の製造方法により得られた蛍光体は、継続的に真空紫外線の照射を受ける環境下で使用されるプラズマディスプレイ(PDP)や、紫外線励起下で使用される蛍光ランプの蛍光膜として使用した場合にも同様に蛍光体の劣化による発光輝度の低下が抑制される外、加速電圧が数100Vの低速電子線や加速電圧が20kV以上の高速電子線用蛍光体としても利用できる。
【0020】
次に本発明の蛍光膜について述べる。
上述のようにして得られた、表面にシリカ皮膜が被覆された蛍光体は、デバイス中の蛍光膜が形成されるべき所定の場所に設けられたガラス等の支持体上に塗布して蛍光体層を形成し、蛍光膜として利用される。例えば、これをFED用の蛍光膜とする場合には、一対のガラス基板A、Bをおよそ2mm程度の間隙でもって対向配置し、一方のガラス基板Aの片面(もう一方のガラス基板Bと対面する側)にITO等の透明導電性薄膜を介して透明なカソード電極と、これに通ずるカソードを所定の位置に点在させて設けるとともに、ガラス基板Bの片面(ガラス基板Aと対面する側)にはアノード電極を設け、このアノード電極の上に本発明の方法により得られた表面処理蛍光体からなる蛍光膜を形成した後、これらガラス基板A、Bを対面させて真空外囲器内に封入しFEDを製造する。
【0021】
支持体上に本発明の表面処理方法によって得られた蛍光体を用いて蛍光体層を形成するには、例えば、水ガラス等のバインダーを含む水の入った容器の器底に支持体となる基板を沈めておき、この中に上述のようにして得られた所定量の蛍光体を投入して攪拌し、器底の基板上に沈積させる、いわゆる、沈降塗布法による方法、得られた蛍光体と水溶性の感光性樹脂バインダーとを水等の溶媒中に懸濁させて感光性樹脂スラリーを調製し、これを基板上の全面に塗布した後、所定のパターンに露光してから、未露光部を洗い流す、いわゆるホトリソ法による方法、更にまた、得られた蛍光体をバインダー樹脂と共に混練して蛍光体ペーストとし、これを基板上の所定の位置に印刷塗布する、いわゆるスクリーン印刷法などの従来から知られている方法により形成する。
【0022】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明する。
〔実施例1〕
市販のポリシラザン溶液(東燃社製”D820”;ポリシラザン濃度20wt%、ジブチルエーテル溶媒。分子量700。)3mlを297mlのトルエンに溶解させたシラザンの有機溶媒液に、ZnS:Cu,Al緑色蛍光体100g投入した。そして、十分に混合接触させた蛍光体スラリーを密閉加圧濾過(計装用空気:3.5kg/cmG)した。
【0023】
濾過して得られた蛍光体を防爆型循環乾燥機を用いて120℃で30分間乾燥させた。その後、電気炉で、大気中300℃の温度で30分加熱処理し、表面にシリカ皮膜が被覆された実施例1の蛍光体(ZnS:Cu,Al緑色蛍光体)を得た。
【0024】
この蛍光体表面のシリカ成分を定量分析したところ、シリカが珪素に換算してZnS:Cu,Al蛍光体に対して0.15wt%被覆されていた。
【0025】
次に、上述のようにして得られた実施例1の蛍光体をエチルセルロース(バインダー樹脂)及びブチルカルビトールアセテート(溶媒)と共に混合して混練して蛍光体ペーストを調製し、この蛍光体ペーストをスクリーン印刷法で表面に透明導電(ITO)膜が形成されているガラス基板上の全面に印刷塗布後、電気炉で大気中、430℃で加熱処理を行って有機物成分を除去し、蛍光体層の膜厚が20μmの実施例1の蛍光膜を得た。 次いでこの実施例1の蛍光膜に加速電圧6kV、電流密度150μA/cmの電子線を10時間連続照射して発光させ続け、その時の電子線照射開始直後の発光輝度{初期輝度(a)}、照射開始から10時間後における発光輝度{経時後の発光輝度(b)}及び輝度維持率{(b/a)×100}をそれぞれ求め、その結果を、この蛍光体の表面に被覆されているシリカ被覆量(シリカ中におけるSiの量の蛍光体に対すると重量百分率)と共に表1に示した。
【0026】
なお、前記の初期輝度(a)はこれと同様にして測定した、下記の比較例1の蛍光膜の初期輝度(a)を100とした時の相対値で全て示してある(以下、各実施例並びに比較例においても同様)。
【0027】
〔比較例1〕
実施例1の蛍光体を製造するために用いた、表面に何ら被覆処理をしていないZnS:Cu,Al緑色蛍光体を比較例1の蛍光体とした。
【0028】
次に蛍光体として実施例1の蛍光体に代えて比較例1の蛍光体を用いた以外は、実施例1の蛍光膜と同様にして比較例1の蛍光膜を製造し、実施例1の蛍光膜の測定と同一の測定条件により測定して比較例1の蛍光膜の初期輝度(a)、経時後の発光輝度(b)及び輝度維持率{(b/a)×100}をそれぞれ測定並びに算出し、その結果を、この蛍光体の表面に被覆されているシリカ被覆量と共に表1に示した。
【0029】
〔実施例2〕
シラザンの有機溶媒液として、ポリシラザン溶液3mlを297mlのトルエンに溶解する代わりに、ポリシラザン溶液15mlを285mlのトルエンに溶解したシラザンの有機溶媒液を用いた以外は実施例1の蛍光体と同様にして表面にシリカ皮膜が被覆された実施例2の蛍光体(ZnS:Cu,Al緑色蛍光体)を得た。
【0030】
この蛍光体表面のシリカ成分を定量分析したところ、シリカが珪素に換算してZnS:Cu,Al蛍光体に対して0.2wt%被覆されていた。
次に蛍光体として実施例1の蛍光体に代えて実施例2の蛍光体を用いた以外は、実施例1の蛍光膜と同様にして実施例2の蛍光膜を製造し、実施例1の蛍光膜の測定と同一の測定条件により測定して実施例2の蛍光膜の初期輝度(a)、経時後の発光輝度(b)及び輝度維持率{(b/a)×100}をそれぞれ測定並びに算出し、その結果を、この蛍光体の表面に被覆されているシリカ被覆量(シリカ中におけるSiの量の蛍光体に対すると重量百分率)と共に表1に示した。
【0031】
〔実施例3〕
蛍光体としてZnS:Cu,Al緑色蛍光体に代えて、実施例1の蛍光体を用いた以外は同様にして(即ち、実施例1の蛍光体の製造プロセスを2回反復する)実施例3の蛍光体を得た。
【0032】
次に蛍光体として実施例1の蛍光体に代えて実施例3の蛍光体を用いた以外は、実施例1の蛍光膜と同様にして実施例3の蛍光膜を製造し、実施例1の蛍光膜の測定と同一の測定条件により測定して実施例3の蛍光膜の初期輝度(a)、経時後の発光輝度(b)及び輝度維持率{(b/a)×100}をそれぞれ測定並びに算出し、その結果を、この蛍光体の表面に被覆されているシリカ被覆量(シリカ中におけるSiの量の蛍光体に対すると重量百分率)と共に表1に示した。
【0033】
〔比較例2〕
ZnS:Cu,Al緑色蛍光体100gと純水100gをビーカーに入れ、マグネチックスタラーで良く攪拌して蛍光体スラリーを調製し、このスラリーをさらに攪拌しながら蛍光体に対して0.15重量%のSiを含有する市販のコロイダルシリカ(日産化学社製、“スノーテッツクス”ST−20L)を添加した。
【0034】
次に硫酸亜鉛(ZnSO・7HO)の20%水溶液を9ml添加してから希釈した苛性ソーダを添加してスラリーのPHを8.5に調整し、蛍光体表面にシリカゾルを付着させた。次いで、この蛍光体をデカンテーションにより水洗してから濾過し、乾燥を行って蛍光体表面にシリカ粒子を付着させたZnS:Cu,Al緑色蛍光体を得た。この蛍光体表面に付着しているシリカを定量分析したところ、シリカが珪素に換算してZnS:Cu,Al蛍光体に対して0.15wt%被覆されていた。この時蛍光体表面に付着しているシリカは膜状ではなくほぼ粒状であり、断続的に付着していた。
【0035】
次に蛍光体として実施例1の蛍光体に代えて比較例2の蛍光体を用いた以外は、実施例1の蛍光膜と同様にして比較例2の蛍光膜を製造し、実施例1の蛍光膜の測定と同一の測定条件により測定して比較例2の蛍光膜の初期輝度(a)、経時後の発光輝度(b)及び輝度維持率{(b/a)×100}をそれぞれ測定並びに算出し、その結果をに表1に示した。
【0036】
【表1】
Figure 0004157243
【0037】
表1からわかるように、ポリシラザンを蛍光体表面に付着させてこれを熱分解することによってシリカを被覆した実施例1〜3の本発明の蛍光膜は、表面に何ら被覆処理が施されていない蛍光体からなる比較例1の蛍光膜に比べて、10時間連続して発光させた場合(経時後の発光輝度)においても、発光輝度の低下が少なく、輝度維持率が著しく改善されていた。特に比較的低濃度のシリカ皮膜を複数回に分けて被覆させた実施例3の蛍光膜では経時的な発光輝度低下の抑制効果的はより顕著であった。これは蛍光体表面のシリカの被覆がより強固になったためであろうと思われる。
【0038】
なお、上記各実施例において蛍光体としてZnS:Cu,Al緑色蛍光体を用いた場合についてのみ例示したが、その他の例えば、ZnS:Ag,Cl青色蛍光体、YS:Eu赤色蛍光体も同様に発光輝度低下の抑制効果が確認された。
【0039】
【発明の効果】
本発明の表面処理方法によれば上述のような構成としたので、特に中速電子線により継続発光させた際の輝度維持率が改善され、長時間の使用によっても発光輝度の低下の程度が小さく、高輝度の発光を呈する蛍光体並びに蛍光膜が得られる。

Claims (5)

  1. 表面にシラザンを付着させた蛍光体を加熱して上記シラザンを熱分解し、シリカを生成させることにより上記蛍光体の表面に複数のシリカの皮膜を積層して被覆することを特徴とする蛍光体の表面処理方法。
  2. 上記シラザンがポリシラザンであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体の表面処理方法。
  3. 上記シリカの被覆量が珪素(Si)に換算して上記蛍光体に対して0.02〜5重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光体の表面処理方法。
  4. 上記蛍光体がその母体組成中に硫黄元素(S)を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の蛍光体の表面処理方法。
  5. 支持体上に、請求項1〜のいずれか一項に記載された表面処理方法によって得られた蛍光体からなる蛍光体層を設けたことを特徴とする蛍光膜。
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