JPH0990657A - 電子写真感光体およびその製造方法 - Google Patents
電子写真感光体およびその製造方法Info
- Publication number
- JPH0990657A JPH0990657A JP24116595A JP24116595A JPH0990657A JP H0990657 A JPH0990657 A JP H0990657A JP 24116595 A JP24116595 A JP 24116595A JP 24116595 A JP24116595 A JP 24116595A JP H0990657 A JPH0990657 A JP H0990657A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substrate
- layer
- charge
- film
- aluminum
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】低温低湿から高温高湿の環境に対しても、感光
体の電気特性、密着性の変化のない、画像品質の優れた
電子写真感光体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】アルミニウム合金からなる基体上に少なく
とも電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体に
おいて、前記基体はその表面にマンガン酸アルミニウム
皮膜層を有するものとする。その膜厚は20〜200nm
であると良い。また、前記皮膜層は、前記基体を過マン
ガン酸塩とホウ酸ソーダの混合水溶液に浸漬処理して形
成される。この混合水溶液のpH値は7〜10であると
良く、また、浸漬処理は液温50〜90℃で行われると
良い。
体の電気特性、密着性の変化のない、画像品質の優れた
電子写真感光体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】アルミニウム合金からなる基体上に少なく
とも電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体に
おいて、前記基体はその表面にマンガン酸アルミニウム
皮膜層を有するものとする。その膜厚は20〜200nm
であると良い。また、前記皮膜層は、前記基体を過マン
ガン酸塩とホウ酸ソーダの混合水溶液に浸漬処理して形
成される。この混合水溶液のpH値は7〜10であると
良く、また、浸漬処理は液温50〜90℃で行われると
良い。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】コピーマシンやプリンタなど
の電子写真装置に用いられる、アルミニウム合金の基体
表面に電荷発生層および電荷輸送層を積層した電子写真
用感光体に関する。
の電子写真装置に用いられる、アルミニウム合金の基体
表面に電荷発生層および電荷輸送層を積層した電子写真
用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プリンタ、複写機またはファック
スに使用されている電子写真感光体として、従来のセレ
ン、硫化カドミウムまたは酸化亜鉛に代わるものとして
無公害、生産性、価格の利点を活かした有機系の電子写
真感光体が広く用いられている。
スに使用されている電子写真感光体として、従来のセレ
ン、硫化カドミウムまたは酸化亜鉛に代わるものとして
無公害、生産性、価格の利点を活かした有機系の電子写
真感光体が広く用いられている。
【0003】有機系の電子写真感光体は、その層構成か
ら、ポリビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノン
を組み合わせた錯体あるいは、フタロシアニン顔料をバ
インダ中に分散したものを導電性基板上に設けた単層型
や、電荷発生物質を含む含む層と電荷輸送物質を含む層
とを組み合わせてなる機能分離型が知られており、近年
は特に後者が注目されている。機能分離型電子写真感光
体は電荷発生物質、電荷輸送物質の組み合わせを種々変
えることにより、可視光から赤外領域に至る広い範囲に
感度を有する感光体が得られ、しかも比較的高感度の感
光体を得ることができることなどの理由から、広く注目
されている。
ら、ポリビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノン
を組み合わせた錯体あるいは、フタロシアニン顔料をバ
インダ中に分散したものを導電性基板上に設けた単層型
や、電荷発生物質を含む含む層と電荷輸送物質を含む層
とを組み合わせてなる機能分離型が知られており、近年
は特に後者が注目されている。機能分離型電子写真感光
体は電荷発生物質、電荷輸送物質の組み合わせを種々変
えることにより、可視光から赤外領域に至る広い範囲に
感度を有する感光体が得られ、しかも比較的高感度の感
光体を得ることができることなどの理由から、広く注目
されている。
【0004】ところが、有機系電子写真感光体に用いら
れている電荷輸送物質は現在のところ、その製造の容易
さ、毒性の観点から、ホール移動性の電荷輸送物質が殆
どであり、従ってその層構成は、導電性基板の上に電荷
発生層、電荷輸送層の順に設けた、いわゆる負帯電タイ
プのものが主流を占めている。電荷発生層に含まれる、
電荷発生物質は光の吸収係数が大きく電荷発生効率の高
い有機系の顔料が使用される。電荷発生層は通常サブミ
クロンの非常に薄い層に形成される。この理由は、電荷
発生層が必要以上に厚いと、発生した電荷が十分に電荷
輸送層に注入されず、メモリーや、繰り返し使用時の帯
電性能の低下、残留電位の上昇といった不具合を示す原
因となるからである。
れている電荷輸送物質は現在のところ、その製造の容易
さ、毒性の観点から、ホール移動性の電荷輸送物質が殆
どであり、従ってその層構成は、導電性基板の上に電荷
発生層、電荷輸送層の順に設けた、いわゆる負帯電タイ
プのものが主流を占めている。電荷発生層に含まれる、
電荷発生物質は光の吸収係数が大きく電荷発生効率の高
い有機系の顔料が使用される。電荷発生層は通常サブミ
クロンの非常に薄い層に形成される。この理由は、電荷
発生層が必要以上に厚いと、発生した電荷が十分に電荷
輸送層に注入されず、メモリーや、繰り返し使用時の帯
電性能の低下、残留電位の上昇といった不具合を示す原
因となるからである。
【0005】このように非常に薄く電荷発生層を形成す
るためには、塗布基板として専ら使用されるアルミニウ
ムの表面性状が重要な問題となる。すなわち、アルミニ
ウム基板の汚れ、形状の不均一に基づく電荷発生層の成
膜ムラが、電子写真感光体としての欠陥、例えば、白抜
け、黒点、濃度ムラあるいはカブリといった画像欠陥と
なって現れ易い。
るためには、塗布基板として専ら使用されるアルミニウ
ムの表面性状が重要な問題となる。すなわち、アルミニ
ウム基板の汚れ、形状の不均一に基づく電荷発生層の成
膜ムラが、電子写真感光体としての欠陥、例えば、白抜
け、黒点、濃度ムラあるいはカブリといった画像欠陥と
なって現れ易い。
【0006】このような基板上の汚れを除く方法とし
て、種々の洗浄方法が提案され、特に最近では、従来の
ハロゲン系の洗浄溶媒に代わる水系溶剤を使用する際の
種々の改良法が提案されている。例えば、特開平5−1
88605号公報には水溶液中において電界反応を行わ
せながら洗浄する方法、特開平5−150468号公報
には水溶液で洗浄後さらにアルコール系溶剤で洗浄する
方法、特開平5−127396号公報には濯ぎ処理を温
水で行う方法などが提案されている。
て、種々の洗浄方法が提案され、特に最近では、従来の
ハロゲン系の洗浄溶媒に代わる水系溶剤を使用する際の
種々の改良法が提案されている。例えば、特開平5−1
88605号公報には水溶液中において電界反応を行わ
せながら洗浄する方法、特開平5−150468号公報
には水溶液で洗浄後さらにアルコール系溶剤で洗浄する
方法、特開平5−127396号公報には濯ぎ処理を温
水で行う方法などが提案されている。
【0007】さらには、洗浄液自体の性質を見直し洗浄
効果を上げる方法として、特開平6−3831号公報お
よび特開平5−281758号公報には洗浄液のpHを
所定の範囲にコントロールした洗浄液を使用する方法、
または、洗浄液の電気伝導度をある範囲に収めた液を使
用する方法(特開平6−59463号公報)などが提案
されている。
効果を上げる方法として、特開平6−3831号公報お
よび特開平5−281758号公報には洗浄液のpHを
所定の範囲にコントロールした洗浄液を使用する方法、
または、洗浄液の電気伝導度をある範囲に収めた液を使
用する方法(特開平6−59463号公報)などが提案
されている。
【0008】しかし、このような注意を払ったとして
も、アルミニウムは周囲の環境の影響を受けやすく、酸
化膜、酸化水和膜が表面に形成される。そのため、塗布
液の塗布性にバラツキが生じる原因となっている。その
対策のため、意図的に安定な酸化膜を形成させ、塗布成
膜性を改良する方法としてアルマイト膜を設けること
が、特開昭63−11610号公報、同63−1161
61号公報、同63−616162号公報などに提案さ
れている。
も、アルミニウムは周囲の環境の影響を受けやすく、酸
化膜、酸化水和膜が表面に形成される。そのため、塗布
液の塗布性にバラツキが生じる原因となっている。その
対策のため、意図的に安定な酸化膜を形成させ、塗布成
膜性を改良する方法としてアルマイト膜を設けること
が、特開昭63−11610号公報、同63−1161
61号公報、同63−616162号公報などに提案さ
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】一般に、アルマイト層
は、基板上のバリア層と多孔質層の2層からなるが、電
解電圧や電解時間の調整を非常に厳密に行わないと、バ
リア層および多孔質層の膜厚、膜質が不均一になりやす
く、その表面に塗布する電荷発生層の成膜ムラを生じ
る。また、多孔質層形成工程で用いられる封孔剤中のイ
オンや酸化物がバリア層表面に残留し、感光体特性とし
ての電荷保持率の低下や、反転現像時の白紙部の黒点の
原因となる。一方では、アルマイト層形成に用いる陽極
酸化設備には多額の費用を必要とすること、また成膜工
程が非常に複雑であることなど経済的に不利な点が多
い。このため、アルマイト皮膜に変わる酸化皮膜とし
て、アルミニウム基体を比抵抗が106 Ωcm以上かつ温
度が60℃以上である水中に浸漬させ水和酸化アルミニ
ウム層を設けることが提案されているが(特開昭58−
14841号公報)、この方法では特に電荷発生層が電
荷発生材料の分散膜の場合には、画像上の黒点に対して
充分ではない。
は、基板上のバリア層と多孔質層の2層からなるが、電
解電圧や電解時間の調整を非常に厳密に行わないと、バ
リア層および多孔質層の膜厚、膜質が不均一になりやす
く、その表面に塗布する電荷発生層の成膜ムラを生じ
る。また、多孔質層形成工程で用いられる封孔剤中のイ
オンや酸化物がバリア層表面に残留し、感光体特性とし
ての電荷保持率の低下や、反転現像時の白紙部の黒点の
原因となる。一方では、アルマイト層形成に用いる陽極
酸化設備には多額の費用を必要とすること、また成膜工
程が非常に複雑であることなど経済的に不利な点が多
い。このため、アルマイト皮膜に変わる酸化皮膜とし
て、アルミニウム基体を比抵抗が106 Ωcm以上かつ温
度が60℃以上である水中に浸漬させ水和酸化アルミニ
ウム層を設けることが提案されているが(特開昭58−
14841号公報)、この方法では特に電荷発生層が電
荷発生材料の分散膜の場合には、画像上の黒点に対して
充分ではない。
【0010】本発明は前述の欠点を解決することを目的
とし、具体的には、特定の方法で処理されたアルミニウ
ム合金基体を用いることにより、低温低湿から高温高湿
の環境に対しても、感光体の電気特性、密着性の変化の
ない、画像品質の優れた電子写真感光体およびその製造
方法を提供することにある。
とし、具体的には、特定の方法で処理されたアルミニウ
ム合金基体を用いることにより、低温低湿から高温高湿
の環境に対しても、感光体の電気特性、密着性の変化の
ない、画像品質の優れた電子写真感光体およびその製造
方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、アルミニウム合金からなる基体上に少なくとも電
荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体におい
て、前記基体はその表面にマンガン酸アルミニウム皮膜
層を有するものとする。上記のマンガン酸アルミニウム
皮膜は緻密で均一であるために、この皮膜表面に塗布す
る電荷発生層の膜厚が0.1〜2μm と非常に薄くて
も、成膜性が良く、塗布ムラやポチ欠陥が防止できる。
また別途要求される基体からの電荷注入阻止性が向上す
るため、低温低湿から高温高湿の環境下に長時間放置し
ても基体と感光層の間で起こる膜浮きを防止することが
でき、密着強度が著しく改善される。
めに、アルミニウム合金からなる基体上に少なくとも電
荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体におい
て、前記基体はその表面にマンガン酸アルミニウム皮膜
層を有するものとする。上記のマンガン酸アルミニウム
皮膜は緻密で均一であるために、この皮膜表面に塗布す
る電荷発生層の膜厚が0.1〜2μm と非常に薄くて
も、成膜性が良く、塗布ムラやポチ欠陥が防止できる。
また別途要求される基体からの電荷注入阻止性が向上す
るため、低温低湿から高温高湿の環境下に長時間放置し
ても基体と感光層の間で起こる膜浮きを防止することが
でき、密着強度が著しく改善される。
【0012】さらに、前記皮膜層の膜厚は20〜200
nmであると良い。マンガン酸アルミニウム皮膜の一つの
機能として、基板からの電荷注入防止性がある。電荷注
入防止性を高めるには皮膜を厚くすればよいが、200
nm以上に厚くすると残留電位の上昇や感度の低下が起こ
り印字濃度の低下の原因となる。また、皮膜を20nm以
下に薄くすると電荷注入防止性が不十分となり、反転現
像時に白紙上に微小黒点が発生すると同時に感光層の接
着性が低下する。
nmであると良い。マンガン酸アルミニウム皮膜の一つの
機能として、基板からの電荷注入防止性がある。電荷注
入防止性を高めるには皮膜を厚くすればよいが、200
nm以上に厚くすると残留電位の上昇や感度の低下が起こ
り印字濃度の低下の原因となる。また、皮膜を20nm以
下に薄くすると電荷注入防止性が不十分となり、反転現
像時に白紙上に微小黒点が発生すると同時に感光層の接
着性が低下する。
【0013】また、前記皮膜層は、前記基体を過マンガ
ン酸塩とホウ酸ソーダの混合水溶液に浸漬処理して形成
されることとする。また、前記混合水溶液のpH値は7
〜10であると良い。また、前記混合水溶液への浸漬処
理は液温50〜90℃で行われると良い。
ン酸塩とホウ酸ソーダの混合水溶液に浸漬処理して形成
されることとする。また、前記混合水溶液のpH値は7
〜10であると良い。また、前記混合水溶液への浸漬処
理は液温50〜90℃で行われると良い。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明は、アルミニウム合金か
らなる基体表面を過マンガン酸塩とホウ酸ソーダの混合
水溶液に浸漬処理することによりマンガン酸アルミニウ
ム皮膜層を形成し、その上に電荷発生層および電荷輸送
層を形成するものである。ここで用いるアルミニウム合
金としては、例えばJIS1100、3003、606
3材などが挙げられる。これらは押し出ししごき加工、
押し出し引き抜き加工によってシリンダー状に加工され
る。これらの表面はそのまま、またはホーニング加工、
切削加工されて使用される。
らなる基体表面を過マンガン酸塩とホウ酸ソーダの混合
水溶液に浸漬処理することによりマンガン酸アルミニウ
ム皮膜層を形成し、その上に電荷発生層および電荷輸送
層を形成するものである。ここで用いるアルミニウム合
金としては、例えばJIS1100、3003、606
3材などが挙げられる。これらは押し出ししごき加工、
押し出し引き抜き加工によってシリンダー状に加工され
る。これらの表面はそのまま、またはホーニング加工、
切削加工されて使用される。
【0015】本発明に係るアルミニウム基体のマンガン
酸アルミニウム皮膜層の形成には、過マンガン酸塩とし
てはLi塩、Na塩、k 塩、Rb塩、Cs塩、Ag塩、Ba塩あるい
はCa塩などが使用できる。またホウ酸ソーダとしては、
Na2B4O7 ・nH2O 、Na2B5O8・nH2O で代表される四ホ
ウ酸ソーダ水和物、五ホウ酸ソーダ水和物あるいはそれ
らの無水和物が使用できる。必要に応じて、NaNO3 、Na
2CO3、NaCl、ケイ酸ソーダ(Na2CO3 、Na2SiO3 、Na4SiO
4)、LiCl、LiNO3 あるいはLiCo3 を添加しても効果的で
ある。
酸アルミニウム皮膜層の形成には、過マンガン酸塩とし
てはLi塩、Na塩、k 塩、Rb塩、Cs塩、Ag塩、Ba塩あるい
はCa塩などが使用できる。またホウ酸ソーダとしては、
Na2B4O7 ・nH2O 、Na2B5O8・nH2O で代表される四ホ
ウ酸ソーダ水和物、五ホウ酸ソーダ水和物あるいはそれ
らの無水和物が使用できる。必要に応じて、NaNO3 、Na
2CO3、NaCl、ケイ酸ソーダ(Na2CO3 、Na2SiO3 、Na4SiO
4)、LiCl、LiNO3 あるいはLiCo3 を添加しても効果的で
ある。
【0016】過マンガン酸塩水溶液の濃度は0.2〜1
0%で使用できるが、後工程の水洗のすすぎ性を考慮す
ると0.2〜4%が良い。ホウ酸ソーダ水溶液濃度は
0.2〜10%で使用できるが、好ましくは0.2〜2
%が良い。これらの混合水溶液は50〜90℃の温度範
囲で使用され、このときの混合水溶液はのpHは7〜1
1に調整することが望ましい。50℃以下ではマンガン
酸アルミニウム皮膜の生成速度が小さく、工業的に不利
であり、90℃以上の高温では、水分の蒸発が多くな
り、水溶液の濃度管理が非常に困難となる。一方pHが
7以下のときにはマンガン酸アルミニウム皮膜の緻密性
が低く感光体特性としての帯電低下や画像黒点等の欠陥
が生じる。pHが11以上のときにはマンガン酸アルミ
ニウム皮膜の生成よりもアルミニウム基体の溶解(エッ
チング)が優先する場合があり、好ましくない。
0%で使用できるが、後工程の水洗のすすぎ性を考慮す
ると0.2〜4%が良い。ホウ酸ソーダ水溶液濃度は
0.2〜10%で使用できるが、好ましくは0.2〜2
%が良い。これらの混合水溶液は50〜90℃の温度範
囲で使用され、このときの混合水溶液はのpHは7〜1
1に調整することが望ましい。50℃以下ではマンガン
酸アルミニウム皮膜の生成速度が小さく、工業的に不利
であり、90℃以上の高温では、水分の蒸発が多くな
り、水溶液の濃度管理が非常に困難となる。一方pHが
7以下のときにはマンガン酸アルミニウム皮膜の緻密性
が低く感光体特性としての帯電低下や画像黒点等の欠陥
が生じる。pHが11以上のときにはマンガン酸アルミ
ニウム皮膜の生成よりもアルミニウム基体の溶解(エッ
チング)が優先する場合があり、好ましくない。
【0017】このように調整した水溶液に、脱脂工程に
より油分や汚れを予め除去したアルミニウム基体を、
0.5〜5分間浸漬する。脱脂工程の後にNaOHやH
F水溶液で活性化処理を行ってアルミニウム基体の表面
の清浄度を高めておくことも、マンガン酸アルミニウム
皮膜の均一性の向上には効果的である。このようにして
得られたアルミニウム基体表面上に設ける感光層は、米
国特許第3484237号に示されているような、ポリ
ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンとの組み
合わせにより電荷輸送錯体を形成したもの、特公昭48
−25685号公報に示されているような染料増感型感
光層、ホール移動材あるいは電子移動材中に顔料を分散
した単層型感光層(特公昭47−30328号公報、特
公昭47−18545号公報)、電荷発生層と電荷輸送
層を主たる層とする機能分離型感光層(特公昭49−1
05537号公報)など従来から知られている感光層を
用いることができる。
より油分や汚れを予め除去したアルミニウム基体を、
0.5〜5分間浸漬する。脱脂工程の後にNaOHやH
F水溶液で活性化処理を行ってアルミニウム基体の表面
の清浄度を高めておくことも、マンガン酸アルミニウム
皮膜の均一性の向上には効果的である。このようにして
得られたアルミニウム基体表面上に設ける感光層は、米
国特許第3484237号に示されているような、ポリ
ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンとの組み
合わせにより電荷輸送錯体を形成したもの、特公昭48
−25685号公報に示されているような染料増感型感
光層、ホール移動材あるいは電子移動材中に顔料を分散
した単層型感光層(特公昭47−30328号公報、特
公昭47−18545号公報)、電荷発生層と電荷輸送
層を主たる層とする機能分離型感光層(特公昭49−1
05537号公報)など従来から知られている感光層を
用いることができる。
【0018】これらの内でも特に機能分離型感光層は高
感度であること、使用する光源に対応した種々の材料が
使用できることなどの理由から多く用いられている。電
荷発生層は、フタロシアニン系顔料、アゾ顔料、アント
アントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チアピ
リリウム顔料、キナクリドン顔料をポリビニルブチラー
ル、塩化ビニル系共重合体、アクリル樹脂、ポリエステ
ル、ポリカーボネートなどのバインダー溶液に分散した
分散液を基体表面に塗布形成する。電荷輸送層はエナミ
ン系化合物、スチリル系化合物、ヒドラゾン系化合物、
アミン化合物をこれらと相溶性のある樹脂、例えばポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステ
ル、ポリスチレンなどと共に溶液とし、電荷発生層上に
塗布し、厚さ10〜40μm の塗膜とする。電荷発生層
と電荷輸送層の順は逆順の積層構造とすることもでき
る。 実施例1〜4 実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
感度であること、使用する光源に対応した種々の材料が
使用できることなどの理由から多く用いられている。電
荷発生層は、フタロシアニン系顔料、アゾ顔料、アント
アントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チアピ
リリウム顔料、キナクリドン顔料をポリビニルブチラー
ル、塩化ビニル系共重合体、アクリル樹脂、ポリエステ
ル、ポリカーボネートなどのバインダー溶液に分散した
分散液を基体表面に塗布形成する。電荷輸送層はエナミ
ン系化合物、スチリル系化合物、ヒドラゾン系化合物、
アミン化合物をこれらと相溶性のある樹脂、例えばポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステ
ル、ポリスチレンなどと共に溶液とし、電荷発生層上に
塗布し、厚さ10〜40μm の塗膜とする。電荷発生層
と電荷輸送層の順は逆順の積層構造とすることもでき
る。 実施例1〜4 実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】外形30mm、長さ250mmのアルミニウム
合金基体を水系洗剤(ライオン(株)製、MF−10)
5%溶液中に50℃で3分浸漬市、超音波洗浄を行った
後、同じ洗剤を用いブラッシング洗浄を行った。その
後、超音波を付加しながら市水および純水で順次すすぎ
洗浄し、表面を清浄化した後、各種の過マンガン酸塩と
ホウ酸ソーダの混合水溶液で浸漬処理し、マンガン酸ア
ルミニウム皮膜の膜厚を調整した。比較のため、ホウ酸
ソーダを添加しない液で浸漬処理したものおよび70℃
の温純水で水和酸化アルミニウム皮膜を形成したものを
用意した。表1にこれらの皮膜形成のための液組成、p
H、処理条件等を示す。
合金基体を水系洗剤(ライオン(株)製、MF−10)
5%溶液中に50℃で3分浸漬市、超音波洗浄を行った
後、同じ洗剤を用いブラッシング洗浄を行った。その
後、超音波を付加しながら市水および純水で順次すすぎ
洗浄し、表面を清浄化した後、各種の過マンガン酸塩と
ホウ酸ソーダの混合水溶液で浸漬処理し、マンガン酸ア
ルミニウム皮膜の膜厚を調整した。比較のため、ホウ酸
ソーダを添加しない液で浸漬処理したものおよび70℃
の温純水で水和酸化アルミニウム皮膜を形成したものを
用意した。表1にこれらの皮膜形成のための液組成、p
H、処理条件等を示す。
【0020】
【表1】
【0021】上述の方法で処理した各アルミニウム基体
の表面にX型無金属フタロシアニン(大日本インキ化学
工業(株)製、ファーストゲーンブルー8120B)1
重量部、塩化ビニール系共重合樹脂(日本ゼオン(株)
製、MR−110)1重量部をメチレンクロライド10
0重量部と共にペイントシェーカーで分散して作製した
塗液を浸漬塗布し、乾燥厚さ0.2μm の電荷発生層を
形成した。続いて、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化
学(株)製、ユーピロンPCZ−300)10重量部、
N,N−ジエチルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒ
ドラゾン10重量部をテトラヒドロフラン80重量部に
溶解した塗液を浸漬塗布し、乾燥厚さ20μm の電荷輸
送層を形成して感光体を作製した。
の表面にX型無金属フタロシアニン(大日本インキ化学
工業(株)製、ファーストゲーンブルー8120B)1
重量部、塩化ビニール系共重合樹脂(日本ゼオン(株)
製、MR−110)1重量部をメチレンクロライド10
0重量部と共にペイントシェーカーで分散して作製した
塗液を浸漬塗布し、乾燥厚さ0.2μm の電荷発生層を
形成した。続いて、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化
学(株)製、ユーピロンPCZ−300)10重量部、
N,N−ジエチルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒ
ドラゾン10重量部をテトラヒドロフラン80重量部に
溶解した塗液を浸漬塗布し、乾燥厚さ20μm の電荷輸
送層を形成して感光体を作製した。
【0022】このようにして作製した感光体の電気特性
を常温常湿環境下(23℃、50%RH)で感光体プロ
セス試験機を用いて評価した。感光体を周囲速度78.
5mm/sで回転させながら、一定電圧の帯電器で表面電位
が約−600V になるように帯電し、そのときの電位を
暗部電位(V0)とする。その後暗部に1sec 放置したと
きの電位の保持率(Vk1)を求める。引き続き波長780
nmで、強度0.2μW/cm2 の光を0.2sec 露光し明部
電位(Vi) とすし、さらに1.5sec 露光し残留電位
(Vr) とした。
を常温常湿環境下(23℃、50%RH)で感光体プロ
セス試験機を用いて評価した。感光体を周囲速度78.
5mm/sで回転させながら、一定電圧の帯電器で表面電位
が約−600V になるように帯電し、そのときの電位を
暗部電位(V0)とする。その後暗部に1sec 放置したと
きの電位の保持率(Vk1)を求める。引き続き波長780
nmで、強度0.2μW/cm2 の光を0.2sec 露光し明部
電位(Vi) とすし、さらに1.5sec 露光し残留電位
(Vr) とした。
【0023】この評価結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】また、上記の感光体をレーザビームプリン
タに搭載し、高温高湿環境下(35℃、85%RH、表中
では記号HHで示す)、常温常湿環境下(表中では記号
NNで示す)、低温低湿環境下(10℃、20%RH、表
中では記号LLで示す)で印字評価を行った。さらに、
60℃、90%RHの環境下に長時間放置したときの基体
と感光層との密着強度について、ゴバンメ(クロスハッ
チ)テープ剥離試験を行った。これらの評価結果を表3
に示す。
タに搭載し、高温高湿環境下(35℃、85%RH、表中
では記号HHで示す)、常温常湿環境下(表中では記号
NNで示す)、低温低湿環境下(10℃、20%RH、表
中では記号LLで示す)で印字評価を行った。さらに、
60℃、90%RHの環境下に長時間放置したときの基体
と感光層との密着強度について、ゴバンメ(クロスハッ
チ)テープ剥離試験を行った。これらの評価結果を表3
に示す。
【0026】
【表3】
【0027】表3から、実施例はいずれの環境下でも黒
点は現れず、特に比較例では黒点の多数生ずる高温高湿
環境下において、画像黒点が良好であることが判る。ま
た、長期高温高湿環境下放置後の密着試験においても、
密着性が向上していることが判る。
点は現れず、特に比較例では黒点の多数生ずる高温高湿
環境下において、画像黒点が良好であることが判る。ま
た、長期高温高湿環境下放置後の密着試験においても、
密着性が向上していることが判る。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム合金基体
上に過マンガン酸塩とホウ酸ソーダの混合水溶液に浸漬
処理して形成された緻密なマンガン酸アルミニウム皮膜
層を形成しているので、電荷注入の阻止性が向上し、高
温高湿環境下に長時間放置した後でも、基体と感光層の
膜浮きが防止され、信頼性に優れた感光体が得られる。
上に過マンガン酸塩とホウ酸ソーダの混合水溶液に浸漬
処理して形成された緻密なマンガン酸アルミニウム皮膜
層を形成しているので、電荷注入の阻止性が向上し、高
温高湿環境下に長時間放置した後でも、基体と感光層の
膜浮きが防止され、信頼性に優れた感光体が得られる。
【0029】また、感光体基体は緻密なマンガン酸アル
ミニウム皮膜に被覆されているので、その上に塗布され
る電荷発生層と電荷輸送層の成膜性が向上し、膜ムラや
点欠陥のない感光体を得ることができ、これを用いた電
子写真装置の画像には欠陥(黒点)が生じない。
ミニウム皮膜に被覆されているので、その上に塗布され
る電荷発生層と電荷輸送層の成膜性が向上し、膜ムラや
点欠陥のない感光体を得ることができ、これを用いた電
子写真装置の画像には欠陥(黒点)が生じない。
Claims (5)
- 【請求項1】アルミニウム合金からなる基体上に少なく
とも電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体に
おいて、前記基体はその表面にマンガン酸アルミニウム
皮膜層を有することを特徴とする電子写真感光体。 - 【請求項2】前記皮膜層の膜厚は20〜200nmである
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。 - 【請求項3】前記皮膜層は、前記基体を過マンガン酸塩
とホウ酸ソーダの混合水溶液に浸漬処理して形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製
造方法。 - 【請求項4】前記混合水溶液のpH値は7〜10である
ことを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製
造方法。 - 【請求項5】前記混合水溶液への浸漬処理は液温50〜
90℃で行われることを特徴とする請求項2に記載の電
子写真感光体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24116595A JPH0990657A (ja) | 1995-09-20 | 1995-09-20 | 電子写真感光体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24116595A JPH0990657A (ja) | 1995-09-20 | 1995-09-20 | 電子写真感光体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0990657A true JPH0990657A (ja) | 1997-04-04 |
Family
ID=17070227
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24116595A Pending JPH0990657A (ja) | 1995-09-20 | 1995-09-20 | 電子写真感光体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0990657A (ja) |
-
1995
- 1995-09-20 JP JP24116595A patent/JPH0990657A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2661418B2 (ja) | 帯電装置及び方法 | |
US6051357A (en) | Photoconductor for electrophotography | |
JPH0990657A (ja) | 電子写真感光体およびその製造方法 | |
US6048657A (en) | Surface treatment method without external power source | |
JP2000221719A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP3257177B2 (ja) | 電子写真感光体用導電性基体および感光体 | |
JP3691082B2 (ja) | 液体現像用電子写真感光体 | |
JPH07120062B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP3277656B2 (ja) | 液体現像用電子写真感光体及び該感光体の製造方法 | |
JPH0882946A (ja) | 電子写真用感光体およびその製造方法 | |
JP3088221B2 (ja) | 積層型感光体の製造方法 | |
JPH07325420A (ja) | 液体現像プロセス用電子写真感光体 | |
JP3049674B2 (ja) | 支持体の洗浄方法 | |
JP2000162806A (ja) | 電子写真感光体、該感光体の製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JPH10288850A (ja) | 電子写真用感光体基板および電子写真用感光体 | |
JPH01274157A (ja) | 積層型感光体 | |
JPH025068A (ja) | 電子写真感光体の製造方法 | |
JPH06186767A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2718066B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JPH0915887A (ja) | 電子写真用有機感光体 | |
JP2928192B2 (ja) | 電子写真用感光体の製造方法 | |
JP3000088B2 (ja) | 電子写真用感光体 | |
JP3103992B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2003207918A (ja) | 電子写真感光体およびこの感光体の製造方法 | |
JPH0784391A (ja) | 電子写真感光体用支持体の製造方法および電子写真感光体 |