JPH0990078A - 軽水型原子炉炉心 - Google Patents

軽水型原子炉炉心

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JPH0990078A
JPH0990078A JP7251045A JP25104595A JPH0990078A JP H0990078 A JPH0990078 A JP H0990078A JP 7251045 A JP7251045 A JP 7251045A JP 25104595 A JP25104595 A JP 25104595A JP H0990078 A JPH0990078 A JP H0990078A
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誠 八木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】MOX燃料集合体を経済的に利用できるように
すること。 【解決手段】MOΧ燃料集合体32は、MOX燃料棒の
プルトニウム富化度種類が3種類以下のMOΧ燃料集合
体を有し、このMOX燃料集合体を、炉心12の最外周
領域および最外周の1層内側の少なくとも一方の領域
に、少なくとも2サイクルの期間装荷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば沸騰水型原子
炉などの軽水型原子炉(以下軽水炉という。)炉心に関
する。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の軽水型原子炉である沸騰水
型原子炉を示す概略断面図である。図7に示すように、
原子炉圧力容器11の中心部には、多数の燃料集合体1
3を装荷して構成される炉心12が格納されており、原
子炉圧力容器11の内部には、冷却水14が炉心12の
上方まで注入されている。
【0003】また、原子炉圧力容器11内には、炉心1
2の上方位置に気水分離器15および蒸気乾燥器16が
収容されており、原子炉圧力容器11の周壁部には、上
方に主蒸気出口ノズル17が、またその下方に給水ノズ
ル18がそれぞれ設けられている。
【0004】燃料集合体13は、図8に示すように4体
の燃料集合体13を一組として単位格子(セル)19が
構成され、これら4体の燃料集合体13の間には、断面
十宇状をなす制御棒20が配置されている。そして、こ
の制御棒20を挿入または引抜き操作することにより、
炉心反応度が制御されるようになっている。
【0005】一般に、原子炉の炉心12は、図9に示す
ようにセル19を多数格子状に配置して構成されてお
り、炉心12にはこれらの機器の他に中性子源21やイ
ンコアモニタ22なども配置されている。また、この炉
心12において、出力運転時に反応度調整のため制御棒
操作を行う制御棒20は予め決められており、この制御
棒20に対応するセル19は、図9に示すように、コン
トロールセル23と呼ばれている。
【0006】以上の構成を有する従来の軽水型原子炉に
おいて、運転を開始すると、炉心12における燃料物質
の核分裂により、原子炉圧力容器11内の冷却水14が
沸騰し、これにより発生した蒸気は気水分離器15およ
び蒸気乾燥器16を通過して、主蒸気出口ノズル17を
経て発電所のタービン駆動用として取り出される。ま
た、タービンで仕事をした後の蒸気は、図示しない復水
器で冷却された後、冷却水14として給水ノズル18か
ら再び原子炉圧力容器11に戻される。
【0007】図10は燃料集合体の構造を示す斜視図で
ある。図10に示すように、燃料集合体13は、燃料ペ
レット24が充填された複数の燃料棒25とウォータロ
ッド26とを正方格子状に配列して燃料束とし、この燃
料束を角筒状のチャンネル27内に収納して構成されて
いる。
【0008】また、チャンネル27の上下端には、燃料
棒25およびウォータロッド26の上下端を支持する上
部タイプレート28および下部タイプレート29がそれ
ぞれ取り付けられ、これら上部・下部タイプレート2
8,29間の複数箇所においてウオータロツド26にス
ペーサ30を保持させて、相互の間隔を一定に保つよう
に構成されている。チャンネル27は、チャンネルファ
スナー31によって燃料バンドルに固定され、燃料集合
体13の冷却材の流路を形成している。
【0009】図11(A)は燃料集合体の横断面を示す
構成図、図11(B)は各燃料棒の軸方向の濃縮度・プ
ルトニウム富化度・ガドリニア濃度分布を示した図であ
る。図11(A)には、数種類のガドリニア濃度、ウラ
ン濃縮度、プルトニウム富化度を持った複数の燃料棒2
5およびウォータロッド26が正方格子状に配列されて
いる。図中、P1,P2,P3,P4は、UO2 と再処
理して取り出されたプルトニウムの酸化物PUO2 とを
混合した燃料棒(以下、ΜOΧ燃料棒という。)を示
し、符号ごとにプルトニウム富化度が異なっている。こ
こで、プルトニウムの富化度は、通常アメリシウムを含
めて(プルトニウム+アメリシウム)重量/(ウラン+
プルトニウム+アメリシウム)重量で定義される。
【0010】符号Gは、ガドリニアを混在したウラン燃
料棒を示し、符号ごとに濃縮度・ガドリニア濃度が異な
っている。MOΧ燃料棒P1,P2,P3,P4は、図
11(B)に示すようにそれぞれP1,P2,P3,P
4のプルトニウム富化度分布を有し、ウラン燃料棒Gは
それぞれe0,e1の軸方向濃縮度・ガドリニア濃度分
布を有している。
【0011】図11に示すMOX燃料集合体は、4種類
の富化度のMOX燃料棒、ガドリニア入りウラン燃料
棒、および1本の太径ウォータロッドから構成されてい
る。
【0012】図12は燃料装荷パターンの−例を示す説
明図である。図12に示すように、炉心12にはΜOΧ
燃料集合体32とウラン燃料集合体33が混在して装荷
され、図中の番号は炉心内滞在サイクル数(装荷年数)
を示している。番号を○で囲んで表示したものは、ΜO
X燃料集合体32である。
【0013】また、図12においては、ΜOΧ燃料棒の
プルトニウム富化度種類が3種類以下のΜOΧ燃料集合
体を第1群のΜOX燃料集合体とし、ΜOΧ燃料棒のプ
ルトニウム富化度種類が4種類以上のΜOΧ燃料集合体
を第2群のΜOX燃料集合体としている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上のように構成され
た燃料集合体および炉心において、MOΧ燃料集合体3
2を炉心12に装荷した際、ウラン燃料集合体33と同
等の熱的余裕を得るためには、燃料棒ごとの出力を平均
化し、局所ピーキング係数が過大とならないようにする
ため、ΜOΧ燃料棒のPu富化度、またはウラン燃料棒
の濃縮度分布を調整することが必要である。
【0015】−般に,ΜOX燃料集合体32は、放射能
や核物質管理などの点から、輸送、保管などの取扱いが
煩雑となるため、取り扱う体数を少なくする必要があ
る。そのため、1体中に極力多くのMOX燃料棒を組み
入れることが望ましい。
【0016】図11(A)に示すように、全燃料棒の約
2/3以上をMOX燃料棒とする場合は、MOX燃料棒
の富化度種類を4種類以上とすることが必要であり、Μ
OΧ燃料棒の富化度種類が3種類以下のΜOΧ燃料集合
体は、炉心12に装荷した場合、図13の曲線Aに示す
ような熱的特性となり原子炉の運転は困難となる。
【0017】このように、MOΧ燃料集合体32を構成
するΜOΧ燃料棒の富化度は、通常4種類以上とするこ
とが必要であるが、富化度種類が増加するとMOX燃料
棒の製造コストが高くなるという課題があった。
【0018】さらに、燃料集合体を製造する場合は、予
備の燃料棒を作成しておく必要がある。例えば、図11
(A),(B)に示した燃料集合体では、符号P1,P
2,P3,P4で示す50体のMOX燃料棒、符号Gで
示す10体のガドリニア入りウラン燃料棒で構成されて
いる。
【0019】ここで、1つの運転サイクル当たり104
体の燃料集合体が装荷されるとし、3%の予備燃料棒を
用意しておくと仮定すると、ΜOX燃料集合体1体当た
りに50体のMOΧ燃料棒があるので、予備燃料棒の体
数は156体となる。
【0020】実際、これら予備の燃料棒はごく一部だけ
が使用されるので、富化度種類の異なる4種類の燃料棒
は、それぞれ数本から数十本程度の余剰の燃料棒(以
下、余剰燃料棒という。)が残ることとなる。
【0021】一方、ウラン燃料集合体33の場合、ウラ
ン酸化物の同位体組成は余剰燃料棒を炉心12外に貯蔵
して次のバッチ燃料を成型加工する間に変化しないの
で、余剰燃料棒を次のバッチ燃料を成型加工する際に使
用することができる。
【0022】しかし、ΜOX燃料集合体32では、使用
しているウラン−プルトニウム混合酸化物中の核分裂性
物質プルトニウム241の半減期が14.4年と短く、
崩壊して中性子吸収物質であるアメリシウム241にな
る。プルトニウム241のプルトニウム中の同位体組成
重量比は4〜9%程度であり、余剰燃料棒を炉心12外
に貯蔵して次のバッチ燃料を成型加工する間に同位体組
成の変動が起こる。
【0023】したがって、元の燃料棒と余剰燃料棒のP
u組成の違いによる局所ピーキングへの影響や、アメリ
シウム241蓄積による反応度の低下を考慮して余剰燃
料棒を使用する必要がある。また、上述した変動は、各
富化度ごとの本数割合に応じて発生するものではなく、
富化度によっては余剰燃料棒に過不足が生じ、元の集合
体と同一の構成を作れないことになる。
【0024】以上のように、MOΧ燃料集合体32を装
荷した従来の軽水型原子炉の炉心12おいては、以下の
ような課題があった。すなわち、ΜOX燃料集合体32
の成型加工費および取扱いコストが高く、MOX燃料棒
の余剰燃料棒を次のバッチの燃料に使用することが困難
である。
【0025】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、MOX燃料集合体を経済的に利用できるように
した軽水型原子炉炉心を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の請求項1は、ウラン−プルトニウム混
合酸化物を用いたMOΧ燃料集合体を装荷した軽水型原
子炉炉心において、上記MOΧ燃料集合体は、MOX燃
料棒のプルトニウム富化度種類が3種類以下のMOΧ燃
料集合体を有し、このMOX燃料集合体を、炉心の最外
周領域および最外周の1層内側の少なくとも一方の領域
に、少なくとも2サイクルの期間装荷することを特徴と
する。
【0027】請求項2は、ウラン−プルトニウム混合酸
化物を用いたMOX燃料集合体を装荷した軽水型原子炉
炉心において、上記MOΧ燃料集合体は、MOX燃料棒
のプルトニウム富化度種類が3種類以下である第1群の
MOΧ燃料集合体と、MOΧ燃料捧のプルトニウム富化
度種類が4種類以上である第2群のMOX燃料集合体と
を備え、上記第1群のMOX燃料集合体の装荷体数は、
上記第2群のMOX燃料集合体の装荷体数よりも少な
く、かつ第1群のMOX燃料集合体は、炉心の最外周領
域および最外周の1層内側の少なくとも一方の領域に、
少なくとも2サイクルの期間装荷することを特徴とす
る。
【0028】請求項3は、請求項2記載の軽水型原子炉
炉心において、第1群のMOX燃料集合体を構成するM
OΧ燃料棒のプルトニウム富化度は、第2群のMOΧ燃
料集合体を構成するMOΧ燃料棒のいずれかと同一であ
ることを特徴とする。
【0029】請求項4は、請求項2記載の軽水型原子炉
炉心において、二酸化ウランを用いたウラン燃料集合体
が装荷され、かつ第1群のMOΧ燃料集合体を構成する
ウラン燃料棒は、第2群のMOΧ燃料集合体を構成する
ウラン燃料棒およびウラン燃料集合体の燃料捧の少なく
とも一方と同一であることを特徴とする。
【0030】請求項5は、請求項2記載の軽水型原子炉
炉心において、第1群、第2群のMOX燃料集合体は、
それぞれガドリニア入り燃料棒を備え、第1群のMOX
燃料集合体のガドリニア入り燃料棒の本数が、第2群の
MOX燃料集合体のガドリニア入り燃料棒の本数よりも
少ないことを特徴とする。
【0031】請求項6は、請求項2記載の軽水型原子炉
炉心において、第1群のMOΧ燃料集合体のMOΧ燃料
棒のプルトニウム中のアメリシウム241とプルトニウ
ム241との含有量の比は、第2群のMOX燃料集合体
を構成するMOX燃料捧のうち、そのMOX燃料捧と同
一のプルトニウム富化度を持つMOX燃料棒におけるア
メリシウム241とプルトニウム241との含有量の比
よりも大きいことを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0033】図1は本発明に係る軽水型原子炉炉心の一
実施形態の燃料装荷パターンを示す説明図である。な
お、従来の構成と同一または対応する部分には図5〜図
12と同一の符号を用いて説明する。
【0034】図1において、炉心12は符号1,2,
3,4で示したウラン燃料集合体33と、符号,,
,で示したΜOΧ燃料集合体32とから構成されて
いる。このΜOΧ燃料集合体32は、ウラン−プルトニ
ウム混合酸化物が用いられている。ここで、符号1,
2,3,4および,,の数値は、その燃料集合体
の炉心滞在サイクル数を示している。
【0035】また、MOX燃料集合体32は、符号で
示したプルトニウム富化度が3種類以下の第1群のMΟ
Χ燃料集合体と、符号,,で示したプルトニウム
富化度が4種類以上の第2群のMΟΧ燃料集合体とを有
し、炉心12の最外周領域(または最外周の1層内側の
領域でもよい)には、第1群のMΟΧ燃料集合体が装
荷されている。この第1群のMOX燃料集合体の例を
それぞれ図2〜図4に、第2群のMOX燃料集合体,
,の例を図11に示している。
【0036】図2(A),(B)に示す第1群のMΟΧ
燃料集合体は、プルトニウム富化度が1種類の燃料棒の
みで燃料集合体が構成されている。プルトニウム富化度
P1の燃料棒は、図11(A),(B)に示した第2群
のMOX燃料集合体の燃料棒P1〜P4のうちの一つと
同一設計となっている。
【0037】図3(A),(B)に示す第1群のMΟΧ
燃料集合体は、プルトニウム富化度が1種類のMOΧ燃
料棒と、二酸化ウランを用い濃縮度が1種類のウラン燃
料棒の計2種類の燃料棒で燃料集合体が構成されてい
る。プルトニウム富化度P1の燃料棒25は、第2群の
MOΧ燃料集合体の燃料棒P1〜P4のうちの一つと同
一設計となっており、また濃縮度Uの燃料棒は、図1の
符号1、2、3、4で示したウラン燃料集合体と、また
は図11(A),(B)に示した第2群のMOX燃料集
合体の燃料棒P1〜P4と同時に装荷されるウラン燃料
集合体の燃料棒の一つと、それぞれ同一設計となってい
る。
【0038】図4(A),(B)に示す第1群のMΟΧ
燃料集合体は、プルトニウム富化度が3種類の燃料棒で
燃料集合体が構成されている。プルトニウム富化度P
1,P2,P3の燃料棒は、それぞれ第2群のMOX燃
料集合体の燃料棒P1〜P4のいずれかと同一設計とな
っている。また、ガドリニア入りウラン燃料棒Gは図1
1(A),(B)に示した第2群のMOX燃料集合体を
構成するガドリニア入りウラン燃料棒Gと同一設計とな
っている。なお、図4(A)中、符号P1´はプルトニ
ウム富化度P1の余剰MOΧ燃料棒である。
【0039】このように図2〜図4に示す第1群のMO
Χ燃料集合体は、MOX燃料棒の種類を3種類以下にし
ており、さらに第2群のMOΧ燃料集合体で使用される
燃料棒の一部と同一設計のものを使用しているため、燃
料棒の製造コストを削減することができる。
【0040】次に、上記本実施形態の作用を図5および
図6に基づいて説明する。
【0041】図5は局所ピーキングの燃焼変化を、図6
は無限増倍率の燃焼変化を、それぞれ第1群(図2〜図
4の例)と第2群とで比較して示したものである。
【0042】図5および図6に示すように、燃焼初期に
おいて第1群の燃料の局所ピーキング、無限増倍率は、
第2群に比べてそれぞれ約15%、約5%程度大きくな
っている。このように第1群のMOX燃料集合体は、
局所ピーキング、無限増倍率が、第2群のMOΧ燃料集
合体,,よりも高くなる傾向があるものの、燃料
集合体出力が炉心平均値よりも低い外周領域に装荷した
場合には、熱的余裕が増加し、最大線出力密度は、図1
3の曲線Βに示したように十分制限値を満足することが
できる。一方、第2群のΜOX燃料集合体、、は
局所ピーキングが低く、炉心中心部に装荷しても制限値
を満足することができる。
【0043】このように、第1群のMOΧ燃料集合体
は、少なくとも局所ピーキング、無限増倍率が高く、か
つ燃料の熱的負荷が厳しくなる傾向のある期間、すなわ
ち約1年の運転サイクルの2サイクル分の間は炉心12
の外周部に装荷することによって、燃料健全性を確保し
て利用することができる。
【0044】また、炉心12は約1年の定期検査におい
て、燃焼の進んだ燃料の取出しや新燃料の装荷ととも
に、継続装荷する燃料の配置替えを行い、炉心12全体
の出力を極力均一となるようにしているが、炉心12外
周領域においてはもともと出力が低いため、このような
燃料位置変更は必ずしも必要としない。
【0045】したがって、第1群のMOX燃料集合体
は、外周領域の1つの位置に2サイクル以上の期間装荷
した後、取り出すようにすれば、定期検査期間中の燃料
移動作業を軽減し、定期検査工程の短縮に寄与すること
ができる。
【0046】さらに、図4(A)に示すように、第1群
のMOX燃料集合体のGd燃料棒本数は8本であり、こ
れは図11(A)に示す燃料集合体のGd燃料棒本数1
0本よりも少なく、その分MOΧ燃料棒の本数が多くな
っている。このため、図4に示すMOX燃料集合体は、
燃焼初期の無限増倍率が図11に示すMOΧ燃料集合体
よりも高くなっており、出力が高くなる傾向となる。こ
のようなΜOΧ燃料集合体を出力の低い炉心外周部に装
荷すると、相対的に外周部の出力が高くなり、結果とし
て炉心12内の径方向出力分布が平坦化されることにな
る。
【0047】また、ΜOΧ燃料棒の本数が多いため、1
体の燃料集合体でより多くのプルトニウムを使用するこ
とができる。一定量のプルトニウムを使用する場合、取
り扱う燃料集合体体数を少なくした方が、燃料集合体の
輸送などの取扱い面で有利である。
【0048】そして、図2〜図4に示すMOΧ燃料集合
体のMOX燃料捧P1,P2,P3のうちいずれか、な
いしは2種類または全ては、図11に示す第2群のMO
X燃料集合体を製造した際の余剰燃料棒を使用すること
もできる。この場合、初期プルトニウム富化度は、第2
群のΜOΧ燃料集合体のΜOX燃料棒と同一となるが、
核分裂性核種であるプルトニウム241が非核分裂性核
種であるアメリシウム241にβ崩壊するため、アメリ
シウム241とプルトニウム241の含有量の比は、第
1群のΜOΧ燃料集合体では第2群のそれよりも大きく
なっている。すなわち、相対的に核分裂性核種が減少
し、吸収性の強い核種が多くなっており、燃料集合体内
の各燃料棒の出力配分に影響し、局所ピーキングが増大
する可能性がある。
【0049】しかしながら、第1群のMOΧ燃料集合体
は、比較的出力の低い炉心12外周部に装荷することに
より、炉心12全体の特性に大きく影響を与えることな
く、余剰燃料棒を有効に使用することができる。
【0050】このように本実施形態の原子炉炉心におい
ては、プルトニウム富化度が3種類以下で局所ピーキン
グが大きなΜOX燃料集合体を出力の低い炉心最外周領
域または最外周の1層内側の領域に装荷したので、所定
の制限値を満足した安全な運転が可能である。また、こ
のような富化度種類の少ないΜOΧ燃料集合体は、富化
度種類の多いものに比べて製造コストが低くなり、経済
性を向上させることができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
によれば、MOΧ燃料集合体は、MOX燃料棒のプルト
ニウム富化度種類が3種類以下のMOΧ燃料集合体有
し、このMOX燃料集合体を、炉心の最外周領域および
最外周の1層内側の少なくとも一方の領域に、少なくと
も2サイクルの期間装荷することにより、製造コストを
低減したΜOΧ燃料集合体を、燃料出力が比較的小さい
炉心外周部に装荷するため、MOX燃料集合体の熱的余
裕を確保し安全に使用することができる。
【0052】また、燃料製造時に発生する余剰燃料棒を
有効に使用することもでき、ΜOX燃料集合体製造にお
ける経済性を総合的に改善することができる。さらに、
少数富化度種類のΜOX燃料集合体を炉心外周部の同じ
位置に2サイクル以上の期間連続して装荷するので、定
期検査中の燃料移動作業を軽減し、定期検査工程の短縮
に寄与することができる。
【0053】請求項2によれば、MOΧ燃料集合体は、
MOX燃料棒のプルトニウム富化度種類が3種類以下で
ある第1群のMOΧ燃料集合体と、MOΧ燃料捧のプル
トニウム富化度種類が4種類以上である第2群のMOX
燃料集合体とを備え、上記第1群のMOX燃料集合体の
装荷体数は、上記第2群のMOX燃料集合体の装荷体数
よりも少なく、かつ第1群のMOX燃料集合体は、炉心
の最外周領域および最外周の1層内側の少なくとも一方
の領域に、少なくとも2サイクルの期間装荷することに
より、請求項1と同様の効果が得られる。
【0054】請求項3によれば、請求項2記載の軽水型
原子炉炉心において、第1群のMOX燃料集合体を構成
するMOΧ燃料棒のプルトニウム富化度は、第2群のM
OΧ燃料集合体を構成するMOΧ燃料棒のいずれかと同
一であることにより、燃料棒の製造コストを削減するこ
とができる。
【0055】請求項4によれば、請求項2記載の軽水型
原子炉炉心において、二酸化ウランを用いたウラン燃料
集合体が装荷され、かつ第1群のMOΧ燃料集合体を構
成するウラン燃料棒は、第2群のMOΧ燃料集合体を構
成するウラン燃料棒およびウラン燃料集合体の燃料捧の
少なくとも一方と同一であることにより、請求項3と同
様に燃料棒の製造コストを削減することができる。
【0056】請求項5によれば、請求項2記載の軽水型
原子炉炉心において、第1群、第2群のMOX燃料集合
体は、それぞれガドリニア入り燃料棒を備え、第1群の
MOX燃料集合体のガドリニア入り燃料棒の本数が、第
2群のMOX燃料集合体のガドリニア入り燃料棒の本数
よりも少ないことにより、その分第1群のMOX燃料集
合体のMOΧ燃料棒の本数が多くなる。これにより、出
力が高くなる傾向となり、出力の低い炉心外周部に装荷
すると、相対的に外周部の出力が高くなり、結果として
炉心内の径方向出力分布が平坦化されることになる。
【0057】また、ΜOΧ燃料棒の本数が多いため、1
体の燃料集合体でより多くのプルトニウムを使用するこ
とができる。その結果、取り扱う燃料集合体体数を少な
くでき、燃料集合体の輸送など取扱い面で有利になる。
【0058】請求項6によれば、請求項2記載の軽水型
原子炉炉心において、第1群のMOΧ燃料集合体のMO
Χ燃料棒のプルトニウム中のアメリシウム241とプル
トニウム241との含有量の比は、第2群のMOX燃料
集合体を構成するMOX燃料捧のうち、そのMOX燃料
捧と同一のプルトニウム富化度を持つMOX燃料棒にお
けるアメリシウム241とプルトニウム241との含有
量の比よりも大きいことにより、炉心全体の特性に大き
く影響を与えることなく、余剰燃料棒を有効に使用する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軽水型原子炉炉心の一実施形態の
燃料装荷パターンを示す説明図。
【図2】(A)は燃料集合体の横断面を示す構成図、
(B)は燃料棒の軸方向のプルトニウム富化度分布を示
す図。
【図3】(A)は他の燃料集合体の横断面を示す構成
図、(B)は各燃料棒の軸方向の濃縮度・プルトニウム
富化度分布を示す図。
【図4】(A)はさらに他の燃料集合体の横断面を示す
構成図、(B)は各燃料棒の軸方向の濃縮度・プルトニ
ウム富化度・ガドリニア濃度分布を示す図。
【図5】本実施形態における局所ピーキングの燃焼変化
を示す図。
【図6】本実施形態における無限増倍率の燃焼変化をを
示す図。
【図7】従来の軽水型原子炉である沸騰水型原子炉を示
す概略断面図。
【図8】従来の軽水型原子炉炉心のセルの断面を示す構
成図。
【図9】沸騰水型原子炉における炉心の構成を示す説明
図。
【図10】沸騰水型原子炉における燃料集合体を示す斜
視図。
【図11】(A)は燃料集合体の横断面を示す構成図、
(B)は各燃料棒の軸方向の濃縮度・プルトニウム富化
度・ガドリニア濃度分布を示す図。
【図12】従来の軽水型原子炉炉心の燃料装荷パターン
を示す説明図。
【図13】第1群のΜOX燃料集合体を装荷した時の炉
心の熱的余裕を示す特性図。
【符号の説明】
11 原子炉圧力容器 12 炉心 13 燃料集合体 14 冷却水 15 気水分離器 16 蒸気乾燥器 17 主蒸気出口ノズル 18 給水ノズル 19 単位格子(セル) 20 制御棒 21 中性子源 22 インコアモニタ 23 コントロールセル 24 燃料ペレット 25 燃料棒 26 ウォータロッド 27 チャンネル 28 上部タイプレート 29 下部タイプレート 30 スペーサ 31 チャンネルファスナー 32 ΜOΧ燃料集合体 33 ウラン燃料集合体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウラン−プルトニウム混合酸化物を用い
    たMOΧ燃料集合体を装荷した軽水型原子炉炉心におい
    て、上記MOΧ燃料集合体は、MOX燃料棒のプルトニ
    ウム富化度種類が3種類以下のMOΧ燃料集合体を有
    し、このMOX燃料集合体を、炉心の最外周領域および
    最外周の1層内側の少なくとも一方の領域に、少なくと
    も2サイクルの期間装荷することを特徴とする軽水型原
    子炉炉心。
  2. 【請求項2】 ウラン−プルトニウム混合酸化物を用い
    たMOX燃料集合体を装荷した軽水型原子炉炉心におい
    て、上記MOΧ燃料集合体は、MOX燃料棒のプルトニ
    ウム富化度種類が3種類以下である第1群のMOΧ燃料
    集合体と、MOΧ燃料捧のプルトニウム富化度種類が4
    種類以上である第2群のMOX燃料集合体とを備え、上
    記第1群のMOX燃料集合体の装荷体数は、上記第2群
    のMOX燃料集合体の装荷体数よりも少なく、かつ第1
    群のMOX燃料集合体は、炉心の最外周領域および最外
    周の1層内側の少なくとも一方の領域に、少なくとも2
    サイクルの期間装荷することを特徴とする軽水型原子炉
    炉心。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の軽水型原子炉炉心におい
    て、第1群のMOX燃料集合体を構成するMOΧ燃料棒
    のプルトニウム富化度は、第2群のMOΧ燃料集合体を
    構成するMOΧ燃料棒のいずれかと同一であることを特
    徴とする軽水型原子炉炉心。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の軽水型原子炉炉心におい
    て、二酸化ウランを用いたウラン燃料集合体が装荷さ
    れ、かつ第1群のMOΧ燃料集合体を構成するウラン燃
    料棒は、第2群のMOΧ燃料集合体を構成するウラン燃
    料棒およびウラン燃料集合体の燃料捧の少なくとも一方
    と同一であることを特徴とする軽水型原子炉炉心。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の軽水型原子炉炉心におい
    て、第1群、第2群のMOX燃料集合体は、それぞれガ
    ドリニア入り燃料棒を備え、第1群のMOX燃料集合体
    のガドリニア入り燃料棒の本数が、第2群のMOX燃料
    集合体のガドリニア入り燃料棒の本数よりも少ないこと
    を特徴とする軽水型原子炉炉心。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の軽水型原子炉炉心におい
    て、第1群のMOΧ燃料集合体のMOΧ燃料棒のプルト
    ニウム中のアメリシウム241とプルトニウム241と
    の含有量の比は、第2群のMOX燃料集合体を構成する
    MOX燃料捧のうち、そのMOX燃料捧と同一のプルト
    ニウム富化度を持つMOX燃料棒におけるアメリシウム
    241とプルトニウム241との含有量の比よりも大き
    いことを特徴とする軽水型原子炉炉心。
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