JPH0988805A - 形状記憶合金薄膜アクチュエータ及びその製造方法、並びに光偏向器 - Google Patents

形状記憶合金薄膜アクチュエータ及びその製造方法、並びに光偏向器

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JPH0988805A
JPH0988805A JP24722595A JP24722595A JPH0988805A JP H0988805 A JPH0988805 A JP H0988805A JP 24722595 A JP24722595 A JP 24722595A JP 24722595 A JP24722595 A JP 24722595A JP H0988805 A JPH0988805 A JP H0988805A
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JP
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thin film
substrate
shape memory
memory alloy
film
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JP24722595A
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Yoshinori Ota
好紀 太田
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Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】SMA薄膜を堆積後に結晶化の熱処理が高温で
十分に行え、SMA薄膜のパターン幅によらず基板から
離間したSMA薄膜を得ることができる、信頼性に優れ
て小型化の可能な形状記憶合金薄膜アクチュエータ及び
その製造方法を提供する。 【課題を解決する手段】半導体基板10と、この基板の
上面に絶縁膜11を介して一部が支持され、他部が基板
の貫通孔12上に延出した形状記憶合金薄膜13と、こ
の形状記憶合金薄膜の上面を覆った第1の誘電体薄膜1
4と、この第1の誘電体薄膜の上面に形成された金属薄
膜15よりなり形状記憶合金薄膜を間接的に加熱するヒ
ータと、金属薄膜の上面を覆った第2の誘電体薄膜16
とがモノリシックに形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形状記憶合金(SM
A)の薄膜をアクチュエータの材料として使用した形状
記憶合金薄膜アクチュエータ及びその製造方法、並びに
光偏向器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、SMAは、単位体積当たりの発
生力量と変位量とが大きい特長を有するので、アクチュ
エータ材料として使用されている。特に、マイクロマシ
ンの分野、中でも、生体内の血管や体腔に挿入される小
さな管状マニピュレータを駆動するために、小型のアク
チュエータが要求されている医療用マイクロマシンの分
野では、このSMAを利用したアクチュエータが注目さ
れている。
【0003】実際に、このSMAアクチュエータを駆動
させるためには、SMAを加熱する手段、位置制御のた
めのセンサ、並びに信号処理用電子回路が必要である。
従って、小型のアクチュエータを実現するためには、こ
れら構成要素を小型かつ一体化することが望まれてい
る。しかし、従来の技術では、種々の問題があり、充分
に満足できるアクチュエータを実現することができなか
った。
【0004】例えば、J.A.Walker,K.J.
Gabriel and M.Mehregany,T
hin−film Processing of Ti
NiShape Memory Alloy,Sens
ors and Actuators,A21−A23
(1990) 243−246並びに米国特許No4,
864,824号には、SMA薄膜をSi基板上に形成
したアクチュエータが開示されている。この装置では、
Si基板上にポリイミド膜を形成し、さらにこの上にス
パッタリングによりTiNi膜を形成している。そし
て、TiNi膜を所定の形状にパターン化し、、このパ
ターンを利用して等方性プラズマエッチングにより、T
iNi膜の下のポリイミド膜を除去し、基板の上面に対
してTiNi膜を離間させている(リフトオフ工程)。
【0005】また、米国特許No.5,061,914
号には、支持部材上に、温度を感知するSMA薄膜の一
端部が接着され、この他端部に可動要素が接続されたマ
イクロアクチュエータが開示されている。この装置で
は、通常の状態では可動要素は電気回路に接触して、こ
の回路から電流が流されている。そして、過電流がSM
A薄膜に流れると、この薄膜の温度が上昇して変形し、
可動要素が電気回路から離れるようになっている。
【0006】さらに、特開平6−91582号には、半
導体基板の上面に、シリコン酸化膜よりなる第1層間絶
縁膜と、ポリイミドよりなる第2層間絶縁膜と、Ti薄
膜よりなる電熱線パターンと、ポリイミドよりなる第3
層間絶縁膜と、スパッタリングにより形成された形状記
憶合金薄膜パターンと、並びにポリイミド膜とが順次積
層された多関節マニュピレータが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
では、小型化、信頼性、製造工程に問題があり、必ずし
も満足できるものではなかった。例えば、上記文献並び
に米国特許No4,864,824号に開示されている
技術は、SMA薄膜のパターン幅を広くした場合にはリ
フトオフ工程に時間がかかり、製造時間が長くなる欠点
がある。また、これら公知例と前記特開平6−9158
2号とは、半導体基板と、SMA薄膜との間にポリイミ
ド膜が介在されているので、SMA薄膜に充分な熱処理
をすることができず、このために信頼性のあるSMA薄
膜を得ることができない。即ち、スパッタリングにより
形成されたSMA薄膜は、480℃以上の高温で熱処理
をして結晶化しなければ充分な形状記憶効果(SME)
を果たすことができないが、ポリイミド膜は耐熱性の点
で450℃が限界であるために、上記のような高温処理
をすることができない。
【0008】また、米国特許No.5,061,914
号に開示の技術は、SMA薄膜と、支持部材と、可動要
素とが電気的に接触しており、かつ低抵抗であることが
必要であること等の制限がある。
【0009】本発明はこれらの従来例が持つ欠点を解決
するよように案出されたものであり、本発明の目的は、
SMA薄膜と基板とを耐熱性のある絶縁膜で絶縁するこ
とで、SMA薄膜を堆積後に結晶化の熱処理が高温で十
分に行え、第2にSMA薄膜のパターン幅によらず基板
から離間したSMA薄膜を得ることができる、信頼性に
優れて小型化の可能な形状記憶合金薄膜アクチュエータ
及びその製造方法、並びに、形状記憶合金薄膜アクチュ
エータを利用した光偏向器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に係
わる形状記憶合金薄膜アクチュエータは、基板と、この
基板の上面に一部が支持された形状記憶合金薄膜(SM
A薄膜)と、この形状記憶合金薄膜の上面を覆った第1
の誘電体薄膜と、この第1の誘電体薄膜の上面に形成さ
れた金属薄膜と、金属薄膜の上面を覆った第2の誘電体
薄膜とがモノリシックに形成されていることを特徴とす
る。
【0011】このように構成された形状記憶合金薄膜ア
クチュエータは、基板上に各構成要素がモノリシックに
形成されているため、金属薄膜を加熱用のヒータとし
て、または歪みセンサや温度センサとして用いることに
より、形状記憶合金薄膜を駆動制御可能なアクチュエー
タとして、極めて小型かつ高精度に形成することができ
る。
【0012】第2の態様においては、前記第2の誘電体
薄膜には、前記金属薄膜に到達するスルーホールが形成
され、第2の誘電体薄膜上には金属薄膜とこのスルーホ
ールを介して電気的にコンタクトされた金属配線が形成
されていることを特徴とする。
【0013】この態様では、第2の誘電体薄膜によりS
MA薄膜と金属薄膜とを絶縁し、この金属薄膜で、例え
ば高抵抗の薄膜ヒータを形成し、第2の誘電体薄膜に金
属薄膜に到達するスルーホールを開け、このスルーホー
ルを介して低抵抗の金属配線で電気的なコンタクトを薄
膜ヒータに対してとっている。
【0014】この結果、金属薄膜ヒータを形状記憶合金
薄膜上に設け、低抵抗の金属配線で形状記憶合金薄膜上
の金属薄膜ヒータに通電することで、形状記憶合金薄膜
を選択的に、かつ効率良く加熱することができる。
【0015】第3の態様においては、前記基板は半導体
で形成されており、この上面に絶縁膜が形成されてお
り、上記形状記憶合金薄膜はこの絶縁膜を介して基板に
支持されていることを特徴とする。
【0016】この態様では、形状記憶合金薄膜と基板と
が絶縁膜により電気的に絶縁されている。このために、
基板の材料に自由度がある。第4の態様においては、前
記第1並びに第2の態様の基板は水晶であることを特徴
とする。
【0017】この態様によれば、水晶は結晶異方性エッ
チングができるため精度の高いエッチング加工ができ、
例えば、形状記憶合金薄膜の基板に支持されていない部
分を得るように基板に穴開け加工をする場合には精度の
高い加工ができる。また水晶は絶縁体なので形状記憶合
金薄膜との間に絶縁膜を配置する必要がなく、構成が簡
単になる。
【0018】第5の態様においては、前記第2の態様の
第1及び第2の誘電体薄膜は有機薄膜であることを特徴
とする。形状記憶合金薄膜がアクチュエータとして機能
する時、機械的負荷となる部分の材料はできるだけ柔軟
性を有することが好ましい。この態様においては、形状
記憶合金薄膜と金属薄膜、あるいは金属薄膜と金属配線
を絶縁するための誘電体薄膜として有機薄膜を用いるこ
とにより、形状記憶合金薄膜への機械的負荷を軽減する
作用をする。従って、形状記憶合金薄膜の機械的負荷が
小さくなるため、有効に力量、変位を発生できる。
【0019】第6の態様においては、前記第1並びに第
2の誘電体薄膜は無機薄膜であることを特徴とする。形
状記憶合金薄膜を機能させるためには、基板の上面にT
iNi等の金属の薄膜を堆積した後、この金属の結晶化
のための熱処理を行う必要がある。層間絶縁膜として誘
電体薄膜に無機質薄膜、例えばガラス系材料であるSi
2 、SiN、PSG、BPSG等を用いることによ
り、高温、長時間の結晶化、形状記憶処理のための熱処
理を充分に行うことができる。
【0020】第7の態様においては、上記形状記憶合金
薄膜の端部側面にはなだらかなテーパを有する誘電体か
らなる側壁が形成されていることを特徴とする。アクチ
ュエータとしての形状記憶合金薄膜の厚みは、一般的に
数μmから数10μmであるから、形状記憶合金の端部
と基板との間に段部が形成されてしまい、この段部は半
導体デバイス製造に用いられる薄膜の塗布、堆積、レジ
ストの塗布を行う上での障害になる。このために、この
態様では、形状記憶合金の端部に選択的になだらかなテ
ーパを有する側壁を形成し、形状記憶合金薄膜の急峻な
端部を平滑化にしている。このような構成にすることに
より、形状記憶合金薄膜の上面に均一性良く、薄膜を堆
積、塗布したり、レジストを塗布することができる。ま
た金属配線を形状記憶合金の端部を横切って形成する
時、この金属配線が形状記憶合金薄膜の端部を横切る部
分での段切れの問題が生じない。
【0021】第8の態様においては、第1の誘電体薄膜
上に形成される前記金属薄膜は、薄膜ヒータであること
を特徴とする。この薄膜ヒータは、形状記憶合金薄膜を
第1の誘電体薄膜を介して間接的に加熱するものであ
り、形状記憶合金薄膜を絶縁する第1の誘電体薄膜上に
集積化して形成されるので、小さな電流で形状記憶合金
薄膜を効率良く加熱でき、小電力化が達成できる。
【0022】第9の態様においては、第1の誘電体薄膜
の上面に形成される金属薄膜は、薄膜ヒータではなく、
歪みセンサまたは温度センサであることを特徴とする。
形状記憶合金薄膜を直接通電加熱する時に、発生する歪
みや温度を計測する機能を金属薄膜に持たせることがで
きる。例えば、金属薄膜を用いて歪みや温度を検出し、
形状記憶合金薄膜アクチュエータを駆動するための制御
回路用のセンサとして用いることができる。
【0023】第10の態様において、前記金属薄膜から
電気的にコンタクトを取るための金属配線は、形状記憶
合金薄膜のパターン端部を横切って配線されていること
を特徴とする。
【0024】この態様では、形状記憶合金薄膜を加熱す
るために金属薄膜よりなる金属ヒータは形状記憶合金薄
膜上に第1の誘電体薄膜を介して形成され、その他の配
線並びに金属薄膜を電気的に接続するための配線は抵抗
の金属配線で形成されている。配線として用いる金属配
線は低抵抗であり、金属ヒータは高抵抗であるために、
形状記憶合金薄膜を間接的に加熱する場合、選択的かつ
効率良く形状記憶合金薄膜を加熱することができる。
【0025】第11の態様における形状記憶合金薄膜ア
クチュエータの製造方法は、基板に絶縁膜を形成する工
程と、この基板の絶縁膜の上面に形状記憶合金薄膜を形
成する工程と、この形状記憶合金薄膜を結晶化するよう
に加熱する熱処理工程と、形状記憶合金薄膜の上面に第
1の誘電体薄膜を形成する工程と、この第1の誘電体薄
膜の上面に金属薄膜を形成する工程と、この金属薄膜の
上面に第2の誘電体薄膜を形成する工程と、前記形状記
憶合金薄膜を形状記憶するための熱処理を行う工程と
を、この順序で実施し、かつ前記形状記憶合金を支持す
る基板の一部を基板の下面よりエッチング除去する工程
を、前記工程の間に実施することを特徴とする。
【0026】この方法によれば、絶縁膜を介して基板上
に形状記憶合金薄膜が形成された状態で、この形状記憶
合金薄膜を結晶化するための熱処理を行うので、前記形
状記憶合金薄膜を結晶化するための熱処理を高温で十分
に行うことができる。
【0027】第12の態様においては、形状記憶合金薄
膜を結晶化するための熱処理は、基板の一部をエッチン
グ除去した後に行うことを特徴とする。一般に、形状記
憶合金薄膜は基板材料と反応し易い。例えばTiNi薄
膜はSi基板と反応し易く、熱処理することによって容
易にシリサイドを形成する。TiNi形状記憶合金薄膜
を得るためには、TiNi薄膜を結晶化する必要があ
り、通常480℃から800℃の温度での熱処理が行わ
れる。TiNi薄膜とSi基板とが反応すると、TiN
i薄膜が剥離したり、TiNi薄膜をSi基板から分離
するエッチング時に支障をきたす。そこで、この方法で
は、形状記憶合金薄膜を結晶化する前にアクチュエータ
として機能する形状記憶合金薄膜の下のSi基板の部分
を除去している。この結果、形状記憶合金薄膜が反応に
より劣化して剥離することがなく、また形状記憶合金薄
膜の分離を容易に行うことができる。
【0028】第13の態様においては、前記形状記憶の
ための熱処理工程の前に、基板が一部エッチング除去さ
れた基板の下面から絶縁膜及び第1、第2の誘電体薄膜
を除去して開口を形成する工程を有し、形状記憶合金薄
膜を、これの一部が基板に支持された状態で基板から分
離させることを特徴とする。
【0029】基板上に絶縁膜を介して形成された形状記
憶合金薄膜のうち、アクチュエータとして機能する部分
は基板から離間させる必要がある。また形状記憶合金薄
膜上に形成される第1並びに第2の誘電体薄膜、金属薄
膜、及び金属配線(第16の態様の場合)に損傷を与え
てはならない。このために、この態様においては、これ
らを満足する形状記憶合金薄膜の分離法として、基板の
下面からエッチングし開口を形成している。このように
形状記憶合金薄膜の基板からの分離を下面から行うこと
により、上面側に形成された第1並びに第2の誘電体薄
膜、金属薄膜、及び金属配線への損傷を抑えることがで
きる。
【0030】第14の態様において、基板の下面から絶
縁膜及び第1並びに第2の誘電体薄膜を除去する第13
の態様の方法としてドライエッチングを用いることを特
徴とする。
【0031】この態様によれば、形状記憶合金薄膜を基
板から分離させる手段として、基板の一部を下面からエ
ッチング除去して形成した開口を通して、垂直性のある
ドライエッチングを用いることで、上面の形状記憶合金
薄膜の損傷を抑える作用がある。従って形状記憶合金薄
膜を用いたアクチュエータを製作する上で歩留りを向上
させることができる。
【0032】第15の態様において、形状記憶合金薄膜
を形状記憶するための熱処理工程は、基板に形成した開
口を経由して、凸型部材を挿入し形状記憶合金薄膜を押
し上げた状態で熱処理することを特徴とする。
【0033】このようにして熱処理を行うことで、形状
記憶処理をウエハ状態で一括して行うことができる。第
16の態様において、前記第2の誘電体薄膜を形成する
工程の後に、この第2の誘電体薄膜上に金属配線を形成
する工程を有し、前記基板の一部をエッチング除去する
工程は、この金属配線を形成する工程の後に行うことを
特徴とする。
【0034】形状記憶合金薄膜の一部を基板から離間す
るための開口を形成する貫通エッチングを行うと、形状
記憶合金薄膜の一部は、絶縁膜と第1並びに第2の誘電
体薄膜で半導体基板に支持された状態になる。これ以降
の工程で、ホトリソグラフィーのためのレジストを塗布
するスピンコートの工程で、基板下面の真空吸着が困難
になる。この問題を回避するために、この実施態様で
は、形状記憶合金薄膜の一部を基板から離間するための
貫通エッチングする工程を、スピンコートの工程が終了
する金属配線を形成する工程の後に行っている。この結
果、基板下面を真空吸着して、スピンコート法により、
基板上面に均一な膜厚のホトレジストや有機薄膜を容易
に塗布することができる。
【0035】第17の態様の光偏向器は、化合物半導体
基板に形成された端面出射型半導体レーザと、この基板
上にレーザに近接して設けられ、一部を基板に支持され
たカンチレバー状の形状記憶合金薄膜と、この形状記憶
合金薄膜上に設けられ、前記半導体レーザからの出射光
を導波する光導波路とからなることを特徴とする。
【0036】この態様によれば、屈曲形状に形状記憶さ
せた形状記憶合金を加熱することにより、形状記憶合金
が屈曲し、形状記憶合金薄膜上に形成された光導波路も
屈曲する。この光導波路の屈曲運動により半導体レーザ
から光導波路に入射し、光導波路の他端から出射される
光が偏向される。形状記憶合金薄膜及び光導波路は半導
体レーザを形成する化合物半導体基板上に一体に形成さ
れているため、小型の光偏向器を得ることができる。
【0037】第18の態様において、前記半導体レーザ
の少なくとも形状記憶合金薄膜側の出射端面はドライエ
ッチングで形成されていることを特徴とする。この実施
態様によれば、形状記憶合金薄膜を形成する部分の化合
物半導体基板の上面位置を、半導体レーザの光出射端面
よりも深い位置まで掘り下げることができる。この結
果、半導体レーザの共振器を形成するとともに、化合物
半導体基板の半導体レーザの光出射端面よりも深い位置
に、形状記憶合金薄膜を形成でき、この形状記憶合金薄
膜上に半導体レーザと同等の位置に光導波路を形成する
ことができる。
【0038】第19の態様においては、前記化合物半導
体と形状記憶合金薄膜との間には絶縁膜が挿入されてい
ることを特徴とする。この実施態様では、化合物半導体
と形状記憶合金薄膜とは絶縁膜で電気的に絶縁されてい
る。このため、半導体レーザに電気的な影響を与えるこ
となく、形状記憶合金に直接通電加熱することができ
る。また形状記憶合金を結晶化あるいは形状記憶するた
めの熱処理で化合物半導体と形状記憶合金薄膜とが反応
することがないため、形状記憶合金薄膜が化合物半導体
基板から剥離したり、形状記憶合金薄膜の変態温度が低
下する等の悪影響がない。
【0039】第20の態様において、前記半導体レーザ
の活性層と、この光導波路のコア層とは互いにアライン
メントするように配置されていることを特徴とする。こ
の結果、半導体レーザからの出射光を効率良く光導波路
のコア層に入射させることができる。
【0040】
【実施の形態】以下に図1を参照して、本発明の第1の
実施の形態に係わる形状記憶合金薄膜アクチュエータを
説明する。シリコンのような半導体で形成された基板1
0の上面は、SiN膜やSiO2で形成された絶縁膜1
1で覆われている。そして、この基板10と絶縁膜11
とには、エッチングにより矩形の開口12、即ち、貫通
孔が上下に貫通するようにして形成されている。また、
この絶縁膜11上の開口12近くには、矩形の形状記憶
合金薄膜13(SMA薄膜)の一部が固着されている。
この結果、この形状記憶合金薄膜13の一部は基板上面
に、基板とは電気的に絶縁されて支持されている。ま
た、この形状記憶合金薄膜13の他部は、絶縁膜11に
沿って開口12上に延出しており、基板10に対してフ
リーとなって終端している。即ち、形状記憶合金薄膜1
3は、基板10に片持支持されている。この形状記憶合
金薄膜13並びに絶縁膜11の上面には、これを覆うよ
うにして第1の誘電体薄膜14が形成されている。そし
て、この第1の誘電体薄膜14の内前記形状記憶合金薄
膜13が形成された部位上には、TiやNiGr等から
なる高抵抗の金属薄膜をじぐざぐ状のパターン化してな
る金属薄膜15が形成されている。この結果、この金属
薄膜15は第1の誘電体薄膜14を介して形状記憶合金
薄膜13と対向し、かつ形状記憶合金薄膜13に対して
第1の誘電体薄膜14により電気的に絶縁されている。
そして、これら第1の誘電体薄膜14と金属薄膜15と
の上面は第2の誘電体薄膜16により覆われている。こ
の第2の誘電体薄膜16のうち金属薄膜15の両端の下
に位置する部位にはスルーホールが形成されており、こ
のスルーホールを介して金属薄膜15は第2の誘電体薄
膜16の上に形成された低抵抗Al配線17の一端部と
接続されている。これらAl配線17の他端部にはコン
タクトパッド18aが形成されている。尚、上記第1並
びに第2の誘電体薄膜14,16は、例えば、ポリイミ
ド膜により形成されている。
【0041】上記構成のアクチュエータにおいては、S
MA薄膜13と、このSMA薄膜を加熱駆動するための
金属薄膜15からなるヒータとが、基板10に一部支持
されて一体に形成されているために、取り扱いが容易
で、小型化が図れる。
【0042】次に、図2を参照して、第2の実施の形態
である、Si基板に作り込まれたICを構成するn型M
OSトランジスタを有し、Si基板上に集積化されたS
MA薄膜アクチュエータを説明する。
【0043】図において、符号20はn型Si基板を示
し、このSi基板20には、上面より不純物の選択拡散
により形成されたp型ウエル21が形成されている。こ
のp型ウエル21には、夫々不純物の拡散によって形成
されたn型ソース領域22及びn型ドレイン領域23
が、互いに所定間隔を有して配置されている。また、S
i基板20の上面には、これらソース領域22とドレイ
ン領域23とを囲むようにしてフイールド酸化膜24が
シリコンの選択酸化で形成されていると共に、これらソ
ース領域22とドレイン領域23との間に位置するよう
にしてゲート酸化膜25が熱酸化により形成されてい
る。この結果、MOSトランジスタが基板20に集積化
されて構成されている。前記ゲート酸化膜25上には、
n型に高濃度にドーピングされ、上面が酸化膜27で覆
われたた多結晶シリコンよりなるゲート電極26が形成
されている。この酸化膜27並びに前記フイールド酸化
膜24上にはLP−CVDで堆積された酸化膜28が形
成されている。また、この酸化膜28とゲート電極26
の端部との段差部には、この段差を埋めるように側壁2
9が形成されている。前記酸化膜28並びに基板10の
上面露出部にはLP−CVDで低応力のSiN薄膜30
が形成されている。またSi基板20の、前記MOSト
ランジスタと少し離間した部位には、上下に貫通した開
口41が形成されている。、この開口41、即ち、貫通
孔の近くのSiN薄膜30上には、SMA薄膜42の一
部が固着されている。このSMA薄膜42の他部は、開
口41上に突出して終端し、かくして、SMA薄膜42
は、開口41上に、基板20にて片持支持されている。
このSMA薄膜42は所定の形状にパターンニングさ
れ、その端部にはガラス系材料あるいはポリイミド等の
樹脂材料のような誘電体よりなる側壁43が形成されて
いる。そして、これらは、ほぼ全面に渡って形成され、
ガラス系材料あるいはポリイミドよりなる第1の誘電体
薄膜44により被覆されている。この誘電体薄膜44の
前記SMA薄膜42上の部位の上面には、このSMA薄
膜42と対向し、かつ誘電体薄膜44によりSMA薄膜
42とは電気的に絶縁するようにして金属薄膜からなる
ヒータ45が形成されている。そしてこれらは、ほぼ全
面に渡って形成され、ガラス系材料あるいはポリイミド
よりなる第2の誘電体薄膜46により被覆されている。
尚、この第2の誘電体薄膜46と前記第1の誘電体薄膜
44とは、図示するように前記MOSトランジスタ上に
延びている。そして、この第2の誘電体薄膜46の上に
は、金属薄膜45と、MOSトランジスタのドレイン領
域23と金属薄膜45との電気的接続、並びにソース領
域22と外部との電気的接続を取るようにして低抵抗配
線47が形成されている。これら低抵抗線47は、これ
らと金属薄膜45、ドレイン領域23、及びソース領域
22との間に配置されている絶縁膜に形成されたスルー
ホールを介して、上記電気的接続を果たしている。
【0044】上記第2の実施の形態では、Si基板に作
り込まれたICを構成するデバイスとして、n型MOS
トランジスタを使用しているが、その他にもp型MOS
トランジスタを始め、ダイオードやバイポーラトランジ
スタ等の電子デバイスを用いても良い。
【0045】また光デバイスと形状記憶合金薄膜アクチ
ュエータを集積化するための基板として化合物半導体を
用いることも可能である。次に、上記構成の形状記憶合
金薄膜アクチュエータのうち、SMA薄膜部分を形成す
るための第1の製造方法を、工程(a)ないし工程
(o)を示す図3並びに図4を参照して説明する。
【0046】この例では、SMA薄膜の側壁、並びに第
1、第2の誘電体薄膜として柔軟性樹脂材料、具体的に
はポリイミドを用いる例を示すが、耐熱性の点で有利な
無機材料、具体的にはガラス系材料を用いても良い。ま
た金属薄膜としては薄膜ヒータを形成する例を示す。
【0047】(a)に示すように、結晶面が(100)
面のSi基板50の両面に、低応力のSiN膜51a,
51b、即ち、Si rich SiN膜51a,51
bを0.4μm程度の厚さにLP−CVDによって成膜
する。この時、この低応力のSiN膜は、わずかな引っ
張り応力を有するように組成を調整する。そして、Si
基板50の上面(図において上方の面)側のSiN膜5
1a上に、TiNi膜52を成膜する。このTiNi膜
52の成膜法には、TiNi合金ターゲットを用いたス
パッタ法、TiターゲットとNiターゲットとを用いた
多元スパッタ法、あるいは蒸着、イオンビームデポジシ
ョン等、如何なる方法を用いても良い。TiNi膜52
の厚みはデバイスの用途によって選択し、大きな発生力
量を必要とされる用途の場合には10〜数10μm、そ
して、光スキャナ等の高速応答が要求される用途の場合
には1〜10μm程度とする。そして、このTiNi膜
52の残したい部分の上面にレジストパターン53を形
成し、このレジストパターンをマスクとして、TiNi
膜52をHF/HNO3 系エッチング液、例えばHF:
HNO3 :H2 O=1:1:10(体積比)の組成のエ
ッチング液でエッチングしてマスクで覆われていないT
iNi膜52の部分を(b)に示すように除去する。こ
の時にマスク合わせ用のアライメントマークも形成す
る。
【0048】次に、TiNi膜52上のレジストを除去
し、さらに、Si基板50の下面側のSiN膜51bに
レジスト54を塗布する。そして、TiNi膜52が基
板から離間される領域に対応するレジスト54の部分に
開口パターン55を(c)に示すように形成する。次
に、この開口パターン55が形成されたレジスト54を
マスクとして下面側のSiN膜51bをRIE(反応性
イオンエッチング)によって窓開けし、基板50の下面
を一部露出させる。そして、下面のレジスト54を
(d)に示すように除去する。
【0049】そして、Si基板50の下面からシリコン
の異方性エッチングによりSi基板50をエッチング
し、基板の前面まで貫通した開口56、即ち、貫通孔を
(e)に示すように形成する。このときに、SiN膜5
1bはKOH、EDP(エチレンジアミン−ピロカテコ
ール−水の混合液)、ヒドラジン等のシリコン異方性エ
ッチング液では殆どエッチングされないので、下面側の
シリコンのエッチングマスクとなるだけでなく、Si基
板50に開口56を形成した後のエッチングストッパと
しての役割をする。
【0050】この後、試料を高真空熱処理炉等でTiN
i膜52を結晶化するための熱処理を行う。TiNi膜
52の結晶化には480℃以上の温度が必要であるが、
SiN膜51a,51bは800℃の熱処理にも十分耐
えるし、またSMA薄膜として機能するTiNi膜52
がSi基板から離間する部分の下にはSi基板50がな
いので、即ち、開口56が形成されているので、TiN
i膜52の結晶化のための熱処理でTiNi膜52とS
i基板50とが反応してTiNi膜が剥離したり、Ti
Ni膜の組成が変わることによりSMA薄膜の変態温度
が変動する等の懸念がない。
【0051】次に、Si基板50の上面側に、即ち、S
iN膜51aとTiNi膜52との上に、このTiNi
膜の厚みに相当する厚みのポリイミド膜57を(f)で
示すように塗布し、熱硬化のための熱処理を行う。そし
て、ポリイミド膜57をO2RIEでエッチバックし、
TiNi膜52のパターン端部の急峻な段差に緩やかな
テーパの側壁57aを(g)に示すように形成する。こ
れは後の工程で、レジストの塗布を均一に行い、Al配
線の段切れを防止する上に有効である。
【0052】このエッチバックは、SiN膜51aとT
iNi膜52とを覆うポリイミド膜57に上方より反応
性の酸素イオンを入射させて、このイオンでRIEを行
い、このRIEを、SiN膜51a並びにTiNi膜5
2の平面の上のポリイミド膜57に比べ、TiNi膜5
2の端部のポリイミド膜57の厚みが厚いことを利用
し、平面上のポリイミド膜57が無くなった時点で終了
させている。このように制御することにより、SiN膜
51a上のTiNi膜52の端部にはポリイミド57が
側壁57aとして残る。この側壁57aはなだらかなテ
ーパを形成する。
【0053】次に、Si基板50の上面側、即ち、Si
N膜51a並びにTiNi膜52の上面に、厚み1〜2
μm程度のポリイミド膜58を塗布し、熱硬化のための
熱処理を行う。このポリイミド膜58は、後の工程で形
成する薄膜ヒータとTiNi膜52の層間絶縁膜となる
第1の誘電体薄膜を構成している。またポリイミド膜5
8は薄膜ヒータでTiNi膜52を間接的に加熱する時
に熱効率を良くするために、できるだけ薄い方が望まし
く、具体的には1〜2μmとする。そして、このポリイ
ミド膜58の上に、(h)に示すようにTiあるいはN
i−Cr等の金属薄膜59を0.2μm程度の厚さに、
スパッタ法等により堆積する。この金属薄膜59はTi
Ni膜52を間接加熱するためのヒータを構成する。次
に、金属薄膜59上にレジストを塗布し、このレジスト
をヒータのパターンにマスク形成する。そして、このレ
ジストパターン60をマスクとして、金属薄膜59をフ
ッ硝酸等のウエットエッチング、あるいはイオンミリン
グ等のドライエッチングで(i)に示すようにパターン
形成する。
【0054】次に上記レジスト60を除去した後、Si
基板50の上面側に、即ち、金属薄膜59並びにポリイ
ミド膜58上に、第2の誘電体薄膜であるポリイミド膜
61を厚み約1〜2μmで(j)に示すように塗布す
る。次に、このポリイミド膜61の上面にコンタクトホ
ールを形成するためのレジストパターン62を形成す
る。そして、このレジストパターン62をマスクにし
て、ポリイミド膜61に金属薄膜59に達するコンタク
トホール63を(k)に示すように形成する。次に、レ
ジストパターン62を除去した後、ポリイミド膜61を
熱硬化するための熱処理を行う。そして、ポリイミド膜
61の上面に、配線となるAl膜64をスパッタリング
等の方法で1〜2μmの厚さに(l)に示すように形成
する。次に、Al膜64の上面にレジストを塗布し、レ
ジストを配線のパターンにする。そして、この配線のパ
ターン65をマスクにしてAl膜64をエッチングし、
(m)に示すように金属配線64とする。
【0055】次に、上記レジストを除去した後、Si基
板50の下面側のSiN膜51bと、Si基板50に形
成した開口56により露出しているSi基板の上面側の
SiN膜51aの部分とを、Si基板の下面側からRI
E等のドライエッチングで(n)に示すように除去す
る。この時、SMA薄膜59の一部はポリイミド膜5
8、61を介してSi基板50に付着した状態となり、
他部は開口56により露出している。この工程に引き続
いて下面側から、O2 RIE等でSi基板の開口56に
露出しているポリイミド膜58,61の部分(開口56
の縁とSMA薄膜52の自由端との間に位置する部分)
を(o)に示すように除去する。この工程によって、S
MA薄膜52の自由端は、Si基板50から離間した状
態になる。その後、形状記憶のための熱処理を行う。
【0056】尚、上記製造方法では、基板としてSi基
板を用いているが、基板に開口を精度良く形成するため
の異方性エッチングを行える材料の基板、例えば水晶基
板を用いても良い。Z−水晶は80℃程度に加温したN
42 F溶液中で、Au/Crをマスクとした異方性
エッチングが可能なので、Z−水晶基板を使用すれば、
精度良くZ−水晶に開口を形成することができる。従っ
て、Z−水晶基板にSMA薄膜パターンを形成し、下面
からAu/Crマスクの異方性エッチングを使用してZ
−水晶に貫通孔を形成し、開口に突き出したSMAカン
チレバーを形成できる。また、この水晶基板は絶縁体な
ので、SMA薄膜と基板との間に絶縁膜を形成する必要
がない。
【0057】次に、上記製造方法の(o)で示す工程で
形状記憶処理を行う方法の一例を、図5を参照して説明
する。図の(a)は、Si基板50の下面からポリイミ
ド膜58,61の露出した一部をRIEでエッチング
し、SMA薄膜52がSi基板50から離間した状態を
示す。このときには、図示のように基板50には複数の
開口56が形成され、各開口56の上面に突き出た形で
SMA薄膜52が存在している。尚、(a)中、符号7
1は、Si基板50の開口56に適合するように異方性
エッチングで凸型の突起部72が形成された(100)
面のSi基体を示す。これら突起部72の高さはSi基
板50の厚みよりも少し大きく設定されている。このよ
うな構成のSi基体71と、Si基板50とを、(b)
に示すように、突起部72を、これの上端が開口56よ
り突出するようにして開口56中に挿入し、位置合わせ
して結合する。この結果、突起部72は、Si基板50
の開口56に突き出したSMA薄膜52を上に押し上げ
る。尚、この時には、Si基板50の周囲に重りを載
せ、突起部72と開口56を密に結合させ、SMA薄膜
52を確実に上に押し上げることが望ましい。この状態
で、真空中あるいは不活性ガス雰囲気中で450〜55
0℃の温度範囲で数時間ないし数10時間形状記憶のた
めの熱処理を行う。このようにして熱処理されたSMA
薄膜52は、加熱されていないときには(c)に示すよ
うに、基板50の上面と平行に延びた、ほぼ平坦な形状
をしている。そして、金属配線65からなるコンタクト
パッドから電流を流し、金属薄膜59からなるヒータを
加熱し、SMA薄膜52をオーステナト変態温度以上に
間接加熱した時には、(d)に示すように、SMA薄膜
52の自由端は上方に湾曲する。
【0058】次に、本発明の金属薄膜アクチュエータの
第2の製造方法を、図6を参照して説明する。この例で
も、SMA薄膜の側壁、及び第1並びに第2の誘電体薄
膜の柔軟性樹脂材料として、ポリイミドを使用している
が、耐熱性の点で有利な無機材料、より具体的にはガラ
ス系材料を用いても良い。また金属薄膜としてはヒータ
を形成する例を示す。(a)に示すように、結晶面が
(100)面のSi基板50の両面に、低応力のSiN
膜51a,51b、即ち、Si rich SiN膜5
1a,51bを0.4μm程度の厚さにLP−CVDに
よって成膜する。この時、この低応力のSiN膜は、わ
ずかな引っ張り応力を有するように組成を調整する。そ
して、Si基板50の上面側のSiN膜51a上に、T
iNi膜52を成膜する。このTiNi膜52の成膜法
には、TiNi合金ターゲットを用いたスパッタ法、T
iターゲットとNiターゲットとを用いた多元スパッタ
法、あるいは蒸着、イオンビームデポジション等、如何
なる方法を用いても良い。TiNi膜52の厚みはデバ
イスの用途によって選択し、大きな発生力量が必要なア
クチュエータの場合には10〜数10μm、光スキャナ
等の高速応答が要求されるアクチュエータの場合には1
〜10μm程度とする。そして、このTiNi膜52の
残したい部分の上面にレジストパターン53を形成し、
このレジストパターンをマスクとして、TiNi膜52
をHF/HNO3 系エッチング液、例えばHF:HNO
3 :H2O=1:1:10(体積比)の組成のエッチン
グ液でエッチングしてマスクで覆われていないTiNi
膜52の部分を(b)に示すように除去する。この時に
マスク合わせ用のアライメントマークも形成する。
【0059】次に、TiNi膜52上のレジストを除去
し、試料を高真空熱処理炉等でTiNi膜52を結晶化
するための熱処理を行う。この時、TiNi膜52とS
i基板50との反応を抑えるか、あるいは最小限にとど
めるため、結晶化のための温度は480℃以上でできる
だけ低温で、短時間内に行う。そして、Si基板50の
上面側に、即ち、基板50とTiNi膜52との上面
に、TiNi膜52の厚みに相当する厚みのポリイミド
膜57を第1の誘電体薄膜として、(c)に示すように
塗布し、熱硬化のための熱処理を行う。
【0060】次に、このポリイミド膜57をO2 RIE
でエッチバックし、TiNi膜52のパターン端部の急
峻な段差に緩やかなテーパを有する側壁57aを形成す
る。これは後の工程で、レジストの塗布を均一に行い、
Al配線の段切れ防止する上に有効である。次に、Si
基板50の上面側に厚み1〜2μm程度のポリイミド膜
58を第2の誘電体薄膜として(d)に示すように塗布
し、熱硬化のための熱処理を行う。このポリイミド膜5
8は、後の工程で形成する薄膜ヒータとTiNi膜52
の層間絶縁膜となる。またポリイミド膜58は薄膜ヒー
タでTiNi膜52を間接加熱する時に熱効率を良くす
るために、できるだけ薄い方が望ましく、具体的には1
〜2μmである。そして、ポリイミド膜58の上面にT
iあるいはNi−Cr等の金属薄膜59を0.2μm程
度の厚さに、スパッタ法等により堆積する。この金属薄
膜59はTiNi膜52を間接加熱するためのヒータと
なるものである。次に、この金属薄膜59上にレジスト
を塗布し、ヒータのパターン60に、(e)に示すよう
にマスク形成する。
【0061】この後、レジストパターン60をマスクと
して、金属薄膜59をフッ硝酸等のウエットエッチン
グ、あるいはイオンミリング等のドライエッチングでパ
ターン形成する。そして、レジストを除去した後、、S
i基板50の上面側に、即ち、金属薄膜59とポリイミ
ド膜58との上に、(f)に示すように第2の誘電体薄
膜としてのポリイミド膜61を厚み約1〜2μm塗布す
る。次に、このポリイミド膜61の上面にコンタクトホ
ールを形成するためのレジストパターン62を形成す
る。そして、レジストパターン62をマスクにして、ポ
リイミド膜61に金属薄膜59に達するコンタクトホー
ル63を(g)に示すように形成する。
【0062】このレジストパターン62を除去した後、
ポリイミド膜61を熱硬化させるための熱処理を行う。
そして、このポリイミド膜61上に、(h)に示すよう
に配線となるAl膜64をスパッタリング等の方法で約
1μmの厚さに形成する。そして、このAl膜64上に
レジストを塗布し、レジストで配線パターン65を形成
する。この後、このレジストパターン65をマスクにし
てAl膜64をエッチングし、(i)に示すようにAl
膜の配線パターン64を形成する。
【0063】さらに、上記レジストを除去した後、Si
基板50の下面のSiN膜51bにレジスト66を塗布
し、TiNi膜52をSi基板から離間する領域に開口
パターンを形成する。そして、レジストパターン66を
マスクにして下面のSiN膜51bをRIEによって
(j)に示すように窓開けする。次に、下面側のレジス
ト66を除去する。そして、Si基板50の下面からシ
リコンの異方性エッチングによりSi基板50に貫通孔
56を(k)に示すように形成する。このときに、Si
N膜51bはKOH、EDP、ヒドラジン等のシリコン
異方性エッチング液で殆どエッチングされないので、下
面シリコンのエッチングマスクとなるだけでなく、Si
基板50に開口56を形成した後のエッチングストッパ
としての役割をする。
【0064】この後は、前述した第1の製造方法の工程
(n)並びに(o)と同様にして、SMA薄膜52の自
由端を、Si基板50から離間し、かつ形状記憶のため
の熱処理を行ってアクチュエータを形成する。このSM
A薄膜52は、Si基板50に一部支持され離間した状
態になる。その後の加熱工程においても、前記製造方法
と同様にして、形状記憶処理を凸型基板71を用いてウ
エハで一括して行うことができる。
【0065】上記第2の製造方法においては、Si基板
50への開口56の形成は、Al膜64の金属配線パタ
ーンよりなる金属配線を形成した後に行っているため、
金属薄膜59、金属配線64、及びポリイミド膜61よ
りなる第2の誘電体薄膜を形成するフォトリソグラフィ
ーの工程では、レジストをスピンコートする際に基板の
裏面を真空チャック等により保持するための特別な治具
を必要としない。また第1ないし第2の誘電体薄膜をス
ピンコートで塗布する工程でも真空吸着を用いることが
できる。
【0066】次に、本発明に係わる形状記憶合金薄膜ア
クチュエータを利用した光偏向器を図7を参照して説明
する。この偏向器は、基本的には、(a)に示すよう
に、端面から光を射出する半導体レーザ、即ち、レーザ
ダイオード(LD)を有する化合物半導体基板80と、
この基板80上に一部支持されカンチレバーの形態に形
成されたSMA薄膜81と、このSMA薄膜の上面に一
体に形成された光導波路82とから構成されている。
【0067】前記化合物半導体基板80は、例えばn型
GaAs基板であり、この上には、n型GaAsバッフ
ァ層83と、Al混晶比が0.3のn型AlGaAsク
ラッド層84と、Al混晶比が0.15で厚さが0.1
μm程度の活性層85と、Al混晶比が0.3のp型A
lGaAsクラッド層86と、p型GaAsキャップ層
87とが、それぞれMBE(分子線エピタキシー)ある
いはMOCVD(有機金属化学気相成長)により順次エ
ピタキシャル成長されている。この最上の、p型GaA
sキャップ層87の上にはp型電極87が、また基板8
0の下面にはn型電極89が夫々形成されている。この
ようにして基板の一部には、半導体レーザを構成するL
D90が形成されている。この共振器の一方の端面91
は劈開して形成されており、また他方の端面92はドラ
イエッチングで形成されている。この他方の端面92の
ドライエッチングは、上方からエッチングして行き、最
終的にはn型GaAs基板80に達するまで行ってい
る。即ち、基板80の上面が露出するようなエッチング
深さに設定されている。この基板80の露出面には絶縁
膜93が形成されている。この絶縁膜93の上面には、
SMA薄膜82が基端部で固着されている。このSMA
薄膜は、GaAs基板80を下面からエッチングして形
成された開口94に先端が突き出したカンチレバーの形
状に加工して形成されている。このSMA薄膜カンチレ
バー82の上面には絶縁膜95が形成され、また、この
絶縁膜95の上には金属薄膜ヒータ96が設けられてい
る。この金属薄膜ヒータ96の上面には絶縁膜よりなる
光導波路の下部クラッド層97が形成され、また、この
下部クラッド層97の上面には、絶縁膜よりなる光導波
路のコア層98が形成されている。そして、このコア層
98の上面には、絶縁膜よりなる上部クラッド層99が
形成されている。
【0068】光導波路のコア層98は、LD90の活性
層85と同じ高さにあり、LD90に通電することによ
り射出されるレーザ光は、矢印100で示すように光導
波路のコア層98に一端側より入射する。そして、コア
層98に入射した光は光導波路を伝播し、光導波路の他
方の端部101から、矢印102で示すように出射され
る。
【0069】上記SMA薄膜カンチレバー82は、例え
ば、上述した製造方法で説明したような方法で、加熱す
ることにより上方に屈曲するように形状記憶されてい
る。図7(b)は、金属薄膜ヒータ96に通電すること
でSMA薄膜カンチレバー82を間接加熱し、SMA薄
膜カンチレバー82が上方に屈曲した様子を示す。この
時、SMA薄膜カンチレバー82の上面に一体に形成さ
れた光導波路も同様に上方に屈曲するので、LD90か
ら出射し光導波路を伝播した光は上方に偏向される。こ
のために、SMA薄膜カンチレバー82に二方向形状記
憶処理を施しておくことにより、金属薄膜ヒータ96へ
の通電を停止すれば、SMA薄膜カンチレバー82は自
然冷却により室温まで温度が下がり、これに伴いSMA
薄膜カンチレバー82は元の水平方向の形状に復元し、
光導波路から出射される光も水平方向に出射される。従
って、SMA薄膜カンチレバー82に繰り返し加熱、冷
却を行うことで、光導波路から出射される、矢印102
で示す射出光は上下方向に繰り返し偏向させることがで
きる。このような動作を行わせることにより、図7に示
したデバイスは光スキャナとして機能する。
【0070】このように、図7の光偏向器は、発光素子
であるLDと、機械的振動を発生させるSMA薄膜と
が、同一基板の上に集積化されており、光を伝搬、出射
する光導波路はSMA薄膜上に形成されているので、非
常に小型な光偏向器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる形状記憶合
金薄膜アクチュエータを概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係わるMOSトラ
ンジスタと集積化された形状記憶合金薄膜アクチュエー
タとを示す断面図である。
【図3】本発明の形状記憶合金薄膜アクチュエータを製
造するための第1の方法の工程(a)ないし(l)を示
す図である。
【図4】上記第1の方法の工程(m)ないし(o)を示
す図である。
【図5】上記製造の最終工程(o)での形状記憶処理を
行う方法を説明するための図である。
【図6】本発明の金属薄膜アクチュエータの第2の製造
方法を説明するための工程図である。
【図7】本発明に係わる形状記憶合金薄膜アクチュエー
タを利用した光偏向器を説明するための図である。
【符号の説明】
10…半導体基板、11…絶縁膜、1…開口(貫通
孔),13…記憶合金薄膜(SMA薄膜)、14…第1
の誘電体薄膜、15…金属薄膜、16…第2の誘電体薄
膜。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、この基板の上面に一部が支持さ
    れた形状記憶合金薄膜と、この形状記憶合金薄膜の上面
    を覆った第1の誘電体薄膜と、この第1の誘電体薄膜の
    上面に形成された金属薄膜と、金属薄膜の上面を覆った
    第2の誘電体薄膜とがモノリシックに形成されているこ
    とを特徴とする形状記憶合金薄膜アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 基板に絶縁膜を形成する工程と、この基
    板の絶縁膜上に形状記憶合金薄膜を形成する工程と、こ
    の形状記憶合金薄膜を結晶化するように加熱する熱処理
    工程と、形状記憶合金薄膜の上面に第1の誘電体薄膜を
    形成する工程と、この第1の誘電体薄膜の上面に金属薄
    膜を形成する工程と、この金属薄膜の上面に第2の誘電
    体薄膜を形成する工程と、前記形状記憶合金薄膜を形状
    記憶するための熱処理を行う工程とを、この順序で実施
    し、かつ前記形状記憶合金を支持する基板の一部を基板
    の下面よりエッチング除去する工程を、前記工程の間に
    実施することを特徴とする形状記憶合金薄膜アクチュエ
    ータの製造方法。
  3. 【請求項3】 化合物半導体基板に形成された端面出射
    型半導体レーザと、この基板上にレーザに近接して設け
    られ、一部を基板に支持されたカンチレバー状の形状記
    憶合金薄膜と、この形状記憶合金薄膜上に設けられ、前
    記半導体レーザからの出射光を導波する光導波路とから
    なることを特徴とする光偏向器。
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Cited By (9)

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