JPH0987976A - 被膜防水シート材料 - Google Patents

被膜防水シート材料

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JPH0987976A
JPH0987976A JP24739295A JP24739295A JPH0987976A JP H0987976 A JPH0987976 A JP H0987976A JP 24739295 A JP24739295 A JP 24739295A JP 24739295 A JP24739295 A JP 24739295A JP H0987976 A JPH0987976 A JP H0987976A
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洋七郎 小野
Hideo Tanaka
秀夫 田中
Takayasu Uchiumi
孝泰 内海
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の防水シート材料に存在していた問題点
を解決し、可塑剤の揮散、移行によるシートの硬化、収
縮の少ない塩化ビニル樹脂系被膜防水材を提供する。 【構成】 本発明の被膜防水シート材料は、平均重合度
が1000〜4000の塩化ビニル樹脂100重量部及
び平均重合度1000〜4000の塩化ビニル樹脂にア
クリル基又はメタアクリル基を有する化合物をグラフト
させたグラフト重合物が10〜60重量部添加された系
に、可塑剤が30〜90重量部添加されており、上記可
塑剤が、平均分子量が450〜560の高分子量フタル
酸エステル系可塑剤を含むことを特徴とする。上記可塑
剤は、上記高分子量フタル酸エステル系可塑剤であるか
又は、上記高分子量フタル酸エステル系可塑剤と、平均
分子量1000〜8000のポリエステル系可塑剤との
併用系可塑剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋外屋根防水工
事、屋内貯水槽、プール、蓄熱槽等に使用できる耐久性
に優れた被膜防水シート材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ルーフィング材は主に屋外に設置される
ものであるから、さまざまな苛酷な条件下に十分耐えう
るものでなくてはならない。つまり、耐候性、耐熱性、
広範囲温度域における機械的強度、柔軟性、膨張収縮が
小さいこと、シート相互間の接合性に信頼性があること
等が要求される。
【0003】現在、一般に防水工法としては、アスファ
ルト防水が最も多く用いられているが、アスファルト防
水には、熱工法による作業環境問題や作業工数が多いこ
と、耐熱耐寒性、耐候性、下地追従性等において多くの
問題がある。これらの問題点を改善すべく開発されたの
が合成高分子ルーフィング材である。かかる合成高分子
系ルーフィング材としては、加硫ゴム系、非加硫ゴム
系、塩化ビニル系などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】加硫ゴム系は、耐熱
性、耐寒性、下地追従性においては良好である反面、シ
ート同士の接合における信頼性が乏しく、漏水事故の原
因となる事が多い。非加硫ゴム系は、内部応力緩和によ
り施工性が比較的容易で、且つシート下地追従性や接合
性も良好であるが、機械的強度が弱く、歩行等の外的力
が加わる場所では保護層が必要となり、この場合施工工
数が増すなどの問題がある。
【0005】ポリ塩化ビニル樹脂系のルーフィングは、
接合性及び機械的強度は優れるものの、一般に低分子量
フタル酸エステル系可塑剤が使用されているため、長期
に亘り屋外暴露されている間、可塑剤の揮散消失による
シートの重量変化、寸法変化等が起こり、これらの原因
でシートの硬化、収縮による弱点部の破断等が発し、防
水機能を損なうという問題があった。またかかる問題を
改良すべく高分子量フタル酸エステル系を使用した場合
においても、可塑剤の揮散がもとで起こる防水機能の低
下はある程度までは改善できるものの、既設露出防水層
を改修する際、既設防水層に直ちに改修防水シートが接
すると、可塑剤の移行消失による改修防水シートの硬
化、収縮、弱点部の破断等の防水機能の低下までは改善
できないため、既設防水層の撤去もしくは改修防水シー
ト層との間に絶縁層を介在させなくてはならず、近年に
おける慢性的な廃棄物処理場不足問題、環境問題及び作
業工数の増加等の問題が残る。
【0006】そして、上記高分子量フタル酸エステル系
可塑剤を配合した防水シートの可塑剤の移行性を改良す
るため高分子量フタル酸エステル系可塑剤の一部をポリ
エステル系可塑剤に置き換えると、塩化ビニル系防水シ
ート一般に言われる耐寒特性、つまり低温度雰囲気中に
おける柔軟性が低下する。
【0007】従って、本発明の目的は、上記問題点を解
決し、可塑剤の揮散、移行によるシートの硬化、収縮の
少ない塩化ビニル樹脂系被膜防水材を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の被膜防水シート
材料は、平均重合度が1000〜4000の塩化ビニル
樹脂100重量部及び平均重合度1000〜4000の
塩化ビニル樹脂にアクリル基又はメタアクリル基を有す
る化合物をグラフトさせたグラフト重合物が10〜60
重量部添加された系に、可塑剤が30〜90重量部添加
されており、上記可塑剤が、平均分子量が450〜56
0の高分子量フタル酸エステル系可塑剤を含むことを特
徴とする。上記可塑剤は、上記高分子量フタル酸エステ
ル系可塑剤であるか又は、上記高分子量フタル酸エステ
ル系可塑剤と、平均分子量1000〜8000のポリエ
ステル系可塑剤との併用系可塑剤であることが好まし
い。
【0009】本発明の防水シートに使用する塩化ビニル
樹脂は、平均重合度が1000〜4000のものであ
る。この平均重合度が1000より低いと、材料の機械
的強度が小さくなり、平均重合度が4000より高い
と、材料の加工性とそれに伴う経済性が低下する。
【0010】本発明において使用するグラフト共重合物
は、平均重合度が1000〜4000の塩化ビニル樹脂
に対し、アクリル基又はメタアクリル基を有する化合物
をグラフトさせた共重合物である。こうした化合物とし
ては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート等を1種類以
上用いる。ベースポリマーの塩化ビニル樹脂は、機械的
強度、加工性等の理由により、その平均重合度が100
0〜4000であることが望ましい。上記グラフト共重
合物は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、アクリ
ル基又はメタアクリル基を有する化合物を2〜30重量
部グラフトさせたものである。また、塩化ビニル樹脂1
00重量部に対し、上記グラフト共重合化合物を10〜
60重量部配合することが好ましい。これが10重量部
未満であると、ポリエステル系可塑剤を併用した場合、
低温特性が改良できず、また可塑剤として高分子量フタ
ル酸エステル系可塑剤を単独配合した場合においては、
可塑剤の移行性を改良することができない。また60重
量部を超えると、最終シート加工性が悪くなるからであ
る。
【0011】本発明に用いられるフタル酸エステル系可
塑剤は、その平均分子量が450〜560のものであ
る。450未満であると可塑剤の浸出、揮散が多くな
り、長期に亘る屋外暴露等の過酷な条件における耐久性
すなわち防水機能が低下する。
【0012】本発明に用いられるポリエステル系可塑剤
は、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリル酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びフタル酸等
のジカルボン酸とエチレングリコール、1,2−プロパ
ンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−
2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル
プロパン−1,3−ジオール、1,4−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−
ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール等の種々のグリコールから任意に合成され
る、平均分子量が1000〜8000のポリエステル系
可塑剤である。その平均分子量が8000を超えると、
得られる材料の加工性、耐寒性、相溶性が劣り、100
0未満であると可塑剤の移行、浸出、揮散が多くなり、
長期に亘る屋外暴露等の過酷な条件における耐久性、す
なわち防水機能が低下するからである。
【0013】さらに、上記フタル酸エステル系可塑剤及
びポリエステル系可塑剤においては、フタル酸エステル
系可塑剤単独使用の場合及びポリエステル系可塑剤併用
使用の場合ともに、合計の可塑剤量として30〜90重
量部であることが望ましい。30重量部より少ないと、
硬くて伸びの少ないシートとなり、硬直化を起こし、支
障をきたす恐れがある。また90重量部より多いと、機
械的強度が小さくなり、特に夏場などの高温度下におい
ては強度の低下が著しく、外的な力が加わることにより
支障をきたす恐れがある。
【0014】更に、本発明の被膜防水シート材料は、必
要に応じて通常の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物に用い
られる安定剤、充填剤、顔料及び加工助剤等を使用する
ことができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を次の実施例及び比較例により
説明する。 (防水シートの作成方法)表1に示す配合割合で、ヘン
シェルミキサーを用いてコンパウンドを作成し、該コン
パウンドを110mm同方向二軸押出機にて1.5mm
厚みのシート状となるように押出成形した。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示す各成分は、以下のものである。 *1:塩化ビニル樹脂--平均重合度バーP=1300の
懸濁重合塩化ビニル樹脂 *2:ポリエステル系可塑剤A--アジピン酸−1,6−
ヘキサンジオール系、平均分子量1200のポリエステ
ル系可塑剤 *3:ポリエステル系可塑剤B--アジピン酸−1,6−
ヘキサンジオール系、平均分子量2600のポリエステ
ル系可塑剤 *4:グラフト共重合物C--平均重合度バーP=130
0の懸濁重合塩化ビニル樹脂100重量部にエチルアク
リレートを15重量部、メチルメタクリレートを5重量
部グラフトさせた共重合物 *5:グラフト共重合物D--平均重合度バーP=130
0の懸濁重合塩化ビニル樹脂100重量部にブチルアク
リレートを10重量部、メチルメタクリレートを10重
量部グラフトさせた共重合物 *6:紫外線吸収剤--チヌビンP(チバ−ガイギ−社製
トリアゾール系紫外線吸収剤) *7:ポリエチレン系ワックス--低密度ポリエチレンワ
ックス *8:顔料--塩素法ルチルタイプ酸化チタン0.5重量
部、カーボンブラック0.5重量部 *9:炭酸カルシウム--白艶華CC(白石工業社製)
【0018】得られた各シートについて、JIS−A6
008(合成高分子系ルーフィング)の均質シートの塩
化ビニル樹脂系に準じて引張強度、引張伸度の測定を行
い、表2に示す結果を得た。
【0019】
【表2】
【0020】表2から解るように、実施例1〜6におい
ては、フタル酸エステル系可塑剤DUPの一部又は大部
分を、ポリエステル系可塑剤又はグラフト共重合物に置
き換えたにもかかわらず、比較例1のポリエステル系可
塑剤単独配合に比べ、低温物性が大幅に改善されてい
る。
【0021】次に、上記テストと同ロットのシートを、
JIS−K6301の3.2に規定するダンベル状3号
形に打抜き、これを加熱温度120±2℃、所定の加熱
時間でJIS−K6301の6.3に基づき空気加熱老
化処理を行い、その熱老化処理による揮発重量分を元の
試験片重量に対しての百分率で表したものを揮発減量と
し、またJIS−A6008に基づき常態物性の引張試
験を行って引張強度及び引張伸度を測定し、これらの値
を表2の常態物性値に対する百分率で表示したものを熱
老化保持率とし、表3に示す結果を得た。
【0022】
【表3】
【0023】但し、上記表中の比較例4の熱老化物性保
持率120℃×30日の値は、試料の熱老化による硬化
が進み過ぎてシートが脆くなり、測定不能であった。表
3から解るように、低分子量フタル酸エステル系可塑剤
を使用した比較例3及び4に比べ、ポリエステル系可塑
剤、高分子量フタル酸エステル系可塑剤及びグラフト共
重合物等を使用したその他の配合例では、120℃揮発
減量、熱老化物性保持率において、低分子量揮発成分が
少ないため、良好な結果が得られた。
【0024】次に、図1に示すように、上記テストと同
ロットのシートを各11cm角に切断し、これを試料シ
ート(2)とし、これを厚み2mmの試作半硬質シート
(3)上にセットし、試料シート(2)が常に半硬質シ
ート(3)に完全に接するよう、試料シート(2)上に
厚み1mmの11cm角の鉄板(1)を重みとして載せ
た。この状態で80±2℃、加熱日数30、60、9
0、180日間における試料シート(2)の重量の減量
を測定し、これらの値を、暴露する前の試料シート
(2)の重量に対する百分率で表示したものを、移行熱
減量率(I)とした。また、この180日間暴露された
試料シート(2)に関して、JIS−A6008に基づ
き常態物性の引張試験を行い、この時得られた値を移行
熱老化物性(I)とした。
【0025】さらに、図2に示すように、同ロットから
得られた11cm角の試料シート(2)上に厚み1mm
の11cm角の鉄板(1)を重みとして載せ、この状態
で80±2℃雰囲気中、加熱日数30、60、90、1
80日間における試料シート(2)の重量の減量を測定
し、これらの値を、暴露する前の試料シート(2)の重
量に対する百分率で表示したものを、熱減量率(II)と
した。また、この180日間暴露された試料シート
(2)に関して、JIS−A6008に基づき常態物性
の引張試験を行い、この時得られた値を熱老化物性(I
I)とし、表2で得られた常態物性(III) に対し、移行
減量率、移行物性保持率を下記のように規定し、表4に
示す結果を得た。
【0026】
【数1】
【0027】尚、試作半硬質シートの配合については、
一般の塩化ビニル系防水シートが長期屋外暴露され、可
塑剤が約半分揮散した状態となった際に、直ちに改修シ
ートが接することを想定して次のようなものとした。 試作半硬質シート配合 塩化ビニル樹脂 100phr フタル酸ジイソノニル(DINP)(分子量418) 30 エポキシ化大豆油 5 Ba−Zn系複合金属石鹸 3 紫外線吸収剤 0.1 ポリエチレンワックス 0.1 顔料 1 炭酸カルシウム 10 ─────────────────────────────── 149.2 但し、上記配合材は、すべて表1で使用された配合材と
同じものを使用した。
【0028】
【表4】
【0029】表4から解るように、分子量の大小を問わ
ず、フタル酸エステル系可塑剤のみを使用した比較例2
〜4における、移行減量率及び移行物性保持率の変化率
が大きかったのに対し、実施例1〜6の同変化率は小さ
く、フタル酸エステル系可塑剤の一部をポリエステル系
可塑剤、グラフト共重合物に置き換えることにより、移
行性が大幅に改良されたことが実証された。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の被膜防水シ
ート材料は、機械的強度に優れ、長期に亘って苛酷な条
件で使用しても可塑剤の移行、浸出、揮散等を抑制で
き、かつ低温における物性も良好な塩化ビニル系ルーフ
ィング材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】移行熱減量率(I)及び移行熱老化物性(I)
の測定に用いられる試料シートを示す図である。
【図2】熱減量率(II)及び熱老化物性(II)の測定に用い
られる試料シートを示す図である。
【符号の説明】 1 鉄板 2 試料シート 3 試作半硬質シート

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均重合度が1000〜4000の塩化
    ビニル樹脂100重量部及び平均重合度1000〜40
    00の塩化ビニル樹脂にアクリル基又はメタアクリル基
    を有する化合物をグラフトさせたグラフト共重合物が1
    0〜60重量部添加された系に、可塑剤が30〜90重
    量部添加されており、上記可塑剤が、平均分子量が45
    0〜560の高分子量フタル酸エステル系可塑剤を含む
    ことを特徴とする被膜防水シート材料。
  2. 【請求項2】 上記可塑剤が、上記高分子量フタル酸エ
    ステル系可塑剤であることを特徴とする請求項1記載の
    被膜防水シート材料。
  3. 【請求項3】 上記可塑剤が、上記高分子量フタル酸エ
    ステル系可塑剤と、平均分子量1000〜8000のポ
    リエステル系可塑剤との併用系可塑剤であることを特徴
    とする請求項1記載の被膜防水シート材料。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003073517A (ja) * 2001-09-03 2003-03-12 Hayakawa Rubber Co Ltd 軟質ポリ塩化ビニル系樹脂シート
KR20030066214A (ko) * 2002-02-05 2003-08-09 주식회사 삼호특수 비금속제 경질 방수 시트
WO2009138314A1 (de) * 2008-05-16 2009-11-19 Henkel Ag & Co. Kgaa Zusammensetzung zur herstellung einer dichtungsbahn
JP2021161726A (ja) * 2020-03-31 2021-10-11 宇部興産建材株式会社 改質アスファルト防水シート
JP2021161695A (ja) * 2020-03-31 2021-10-11 宇部興産建材株式会社 改質アスファルト防水シート
WO2023127223A1 (ja) * 2021-12-28 2023-07-06 セーレン株式会社 合成皮革

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