JP3719319B2 - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融流動性を低下させることなく、各種成形性、加工性に優れ、且つウレタン樹脂との接着性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物に係る。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル系樹脂は、その耐候性、耐傷付き性、耐油性、成形加工性に優れていることから、自動車、家電、建材、ホース、チューブなど広い分野で使用されている。とりわけ軟質の塩化ビニル系樹脂組成物は、耐傷付き性、良シール性等の観点から自動車内外装材、例えば、自動車本体とガラス間のガスケット等、として多用されている。
【0003】
従来、自動車用ガスケットは、ガラス板の縁周囲に軟質塩化ビニル系樹脂組成物でもって窓枠を一体に形成し、車輌に取り付ける際、前記窓枠部分に予めプライマーを塗布し、ウレタン系シーラントを介して車輌開口部フランジに固定しているが、軟質塩化ビニル系樹脂組成物とプライマーとの接着が十分ではなく、窓枠の内側のガラス板の部分にまでプライマー処理を施し、その部分をもウレタン系シーラントで被覆しガラス板の脱落を防いでいた。しかし、この方法では、窓枠部以外の露出したシーラントの耐候性を確保する目的でシーラント部分に隠蔽層を設ける必要があり、その為にガラス板の透明部分の面積が減少するという欠点があり、又プライマー塗布、被覆層形成という煩雑な工程が必須であると共に、溶剤を使用する関係から作業環境も悪くなっていた。
【0004】
本出願人は、軟質塩化ビニル系樹脂組成物とウレタン系樹脂との接着性を改良する目的で、軟質塩化ビニル系樹脂組成物として水酸基又はカルボキシル基を含有する塩化ビニル系樹脂を樹脂成分とする組成物を使用し、これにプライマーを塗布することなくウレタン系樹脂を直接積層すれば良好な接着性を示す積層体が得られることを見出し、特願平8−6475号で提案したが、前記塩化ビニル系樹脂は、その平均重合度の違いにより樹脂組成物の溶融流動性が変わるというような、望ましくない影響を与えることが判った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上述のように塩化ビニル系樹脂組成物の溶融流動性に影響を与えず、且つ、ウレタン系樹脂との接着性の良好な組成物を開発すべく鋭意検討した結果、分子中に水酸基を含有するアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂を塩化ビニル系樹脂に配合することにより、各種成形加工性にも優れた組成物になることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明の目的は、流動性に優れ、各種成形性、加工性が良好で、且つ、ウレタン系樹脂との接着性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物を提供するにある。
なお、本発明の明細書に記載の「ウレタン系樹脂」とは、ジイソシアネート及びポリオールとを反応させた化合物、いわゆるウレタン樹脂、ウレタンゴム、ウレタン系シーラント、ウレタン系接着剤、ウレタン系塗料等を言う。
【0006】
【課題を解決するための手段】
しかして、本発明の要旨とするところは、塩化ビニル系樹脂100重量部、可塑剤15〜300重量部及び水酸基を含有し、そのガラス転移温度が0℃以上であるアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂1〜150重量部を主成分とする塩化ビニル系樹脂組成物に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル又は塩化ビニルとこれに強重合可能なコモノマーとの混合物を懸濁重合、塊状重合、微細懸濁重合又は乳化重合等の方法により製造されたもの全てが用いられる。コモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、ジブチルマレエート、ジエチルマレエート等のマレイン酸エステル類、ジブチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマール酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、エチレン、プロピレン、スチレン等のα−オレフィン類、塩化ビニリデン、臭化ビニル等の塩化ビニル以外のハロゲン化ビニリデン又はハロゲン化ビニル類、が挙げられ、勿論、コモノマーは、上述のものに限定されるものではない。コモノマーは、塩化ビニル系樹脂の構成成分中30重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲である。
【0008】
塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定するものではないが、成形性、加工性等の点からJIS K6721に基づいて測定した値が450〜8000、好ましくは500〜4500、特に600〜3500の範囲が望ましい。
【0009】
塩化ビニル系樹脂にテトラヒドロフラン(以下THFという)に不溶の架橋ゲル分を含有させることにより、成形品表面に良好な艶消しを発現させ、ゴム様の見栄えにすることができる。塩化ビニル系樹脂に架橋ゲル分を含有させるには、塩化ビニル系樹脂製造時に、コモノマーとして、例えば、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート等のフタル酸ジアリルエステル類;ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等のエチレン性不飽和二塩基酸のジアリルエステル類;ジアリルアジペート等の飽和二塩基酸のジアリルエステル類;エチレングリコールジビニルエーテル、n−ブタンジオールジビニルエーテル等のジビニルエーテル類;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多価アルコールのジメタクリルエステル又はジアクリルエステル類;、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等の多価アルコールのトリメタクリルエステル又はトリアクリルエステル類;ジアリルエーテル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート等の各種多官能性単量体を添加して重合すればよい。
【0010】
このようにして製造する塩化ビニル系樹脂の架橋ゲル分の含有量は、1〜90重量%の範囲になるようにコモノマーの添加量、反応温度等を調節する。塩化ビニル系樹脂組成物の加工性を考慮すると1〜60重量%、特に2〜50重量%の範囲にあるのが好ましい。塩化ビニル系樹脂組成物に用いる架橋ゲル分を含有する塩化ビニル系樹脂は、架橋ゲル分を含んだものをそのまま使用しても、又は架橋ゲル分を含有する塩化ビニル系樹脂と架橋ゲル分を含まない塩化ビニル系樹脂を混合して所定のゲル分含有量に調整して使用しても良い。
架橋ゲル分の含有量は、塩化ビニル系樹脂2gを30mlのTHFに撹拌しながら24時間放置溶解し、遠心分離器で分離して上澄みを捨て、同様操作を繰り返した後、乾燥残渣から算出した。尚、架橋ゲル分含有塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、THF溶解部分の値である。
【0011】
本発明の塩化ビニル樹脂組成物に使用する可塑剤は、塩化ビニル系樹脂に通常使用するものなら特に限定されるものではなく、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、又は炭素原子数11〜13程度の高級アルコールのフタル酸エステル等のフタル酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ−n−デシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、ジ−n−オクチル−n−デシルトリメリレート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、含ハロゲンポリホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラへプチルエステル等のビフェニルテトラカルボン酸テトラアルキルエステル系可塑剤;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸、フタル酸等の芳香族二塩基酸と1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族系グリコールとをエステル化して得られるポリエステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、液状エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;塩素化パラフィン;五塩化ステアリン酸アルキルエステル等の塩素化脂肪酸エステル等を挙げることができ、これらの一種又は二種以上を混合して使用する。なお、ポリエステル系可塑剤のガラス転移温度は、0℃よりも低い。
【0012】
而して、可塑剤の配合量は、後述する充填剤等他の添加剤、所望する塩化ビニル系樹脂組成物の柔軟性によって異なるけれども、通常、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して15〜300重量部、好ましくは25〜200重量部の範囲から適宜選択される。可塑剤の使用量が300重量部を超えると可塑剤がブリードし易く、一方、15重量部未満では柔軟性が損なわれやすい。
【0013】
本発明の必須成分である水酸基を含有するアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂は、分子鎖中に水酸基を結合し、そのガラス転移温度が0℃以上であることが必要であり、さらには10℃以上あるのが好ましい。また、これらアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂は、水酸基価が3以上、好ましくは5以上あるのが望ましい。
【0014】
前記の水酸基を含有するアクリル系樹脂は、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類と水酸基含有単量体との混合物、又は必要に応じアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類と共重合可能な単量体と共に、共重合することによって調製される。水酸基含有アクリル系樹脂の必須成分であるアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類は、アクリル系樹脂中に20重量%以上含有されておれば良く、塩化ビニル系樹脂への相溶性を考慮すれば50重量%以上含有されているのが好ましい。又、水酸基含有単量体の含有量は、水酸基価が3以上の所定値になるように調整すれば良く、その添加量は経験的に定まる。
【0015】
アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が、又、メタクリル酸エステル類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0016】
水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、エチル−2−ヒドロキシエチルフマレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられ、勿論これらの単量体に限定されるものではない。更に前記のアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類に共重合可能な単量体としては、上述の塩化ビニルに共重合可能なコモノマーそのままが用いられる。
【0017】
水酸基含有アクリル系樹脂は、また、化学的な処理によりアクリル系樹脂中に水酸基を導入する方法により調製しても良い。例えば、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類とエポキシ基を含有するビニルモノマーとの共重合樹脂のエポキシ基を開環する方法、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類とN−アルコキシメチルアクリルアミドとの共重合樹脂加水分解する方法等が挙げられ、或いは、両者の共重合樹脂をそのまま用い、混練加工中に水酸基を生成さる方法でも良い。本発明の組成物では、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類に水酸基含有単量体を共重合したアクリル系樹脂を用いるのが工程管理上有利である。
【0018】
水酸基含有ポリエステル系樹脂は、通常の生産方法で製造したものであればよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ビスフェノールジオキシエチルエーテル、ビスフェノールジオキシプロピルエーテル、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類と、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、チオグリコール酸、無水フタル酸、等の飽和二塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和二塩基酸等とを脱水縮合反応させることにより製造される。前記脱水縮合反応をする際には、グリコール類を過剰量用いるのが望ましい。
【0019】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物では、塩化ビニル系樹脂との相溶性、ウレタン系樹脂との接着性等を考慮すると水酸基含有アクリル系樹脂を配合するのがより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、ASTM(dyinamic mechanical test)の粘弾性測定法によって複素剪断弾性率G”を測定して求めた。ガラス転移温度が0℃未満では、水酸基があってウレタンとの反応が起こっても塩化ビニル系樹脂組成物へのアンカー効果が乏しく、接着強度が不充分である。
また、水酸基価は、フリーの水酸基を無水酢酸・ピリジン法で電位差滴定法によって測定した。水酸基価が3未満ではウレタンとの反応が充分ではない。
【0020】
水酸基を含有するアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して1〜150重量部の範囲、好ましくは7〜120重量部の範囲が適当である。添加量が1重量部よりの少ないとウレタン系樹脂との接着性が劣り、150重量部を超えて添加しても添加量に比例して接着性が向上することもなく、むしろ経済的に不利となる。
【0021】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、通常、安定剤が添加される。安定剤としては、例えば、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプタイド、ジブチル錫マレート系安定剤、ジオクチル錫ラウレート系安定剤、ジオクチル錫メルカプタイド系安定剤、バリウム−亜鉛系複合安定剤、カルシウム−亜鉛系複合安定剤、合成ハイドロタルサイト等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの一種類又は二種類以上を混合して使用する。ウレタン系樹脂との接着性を考慮すると、合成ハイドロタルサイトを使用するのが良く、特に合成ハイドロタルサイトと亜鉛を含む安定剤とを併用するのが好ましい。
安定剤の添加量は、通常、塩化ビニル系樹脂組成物に添加する量で良く、塩化ビニル系樹脂100重量部当たり0.1〜15重量部の範囲である。
【0022】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、混練加工性、ウレタン系樹脂の接着性及び経済性の観点から、充填剤を添加するのが望ましい。充填剤としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン等が挙げられる。その添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して150重量部以下の範囲、特に5〜150重量部の範囲が適当である。
【0023】
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、屋外で用いられることが多く、用途により紫外線吸収剤を添加するのが望ましい。紫外線吸収剤は、市販のものがそのまま使用でき、例えば、ハイドロキノン系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等が挙げられる。その使用量は、特に限定されるものではないが、塩化ビニル系樹脂100重量部当たり10重量部以下の範囲から適宜量用いられる。使用量を増しても経済的に不利である。
【0024】
本発明の塩化ビニル樹脂組成物には、上述の成分の他に、該組成物の諸物性を損なわない範囲で、又用途により、必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、難然剤、帯電防止剤、着色剤、発泡剤、衝撃改良剤等の各種添加剤や水酸基を含有しないアクリル系樹脂等の成形加工改良剤、NBR、塩素化ポリエチレン、MBS、アクリルゴム等のゴム成分等を適宜配合することができる。
【0025】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の製造は、上述の各成分を均一に混合することによってを調製する。例えば、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、プラネタリーミキサー等で均一に混合し、粉末状組成物を製造する。又、粉末状組成物を、必要により、押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の加熱しながら剪断力を付与しながら混練した後、ペレット化しても良い。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、通常、ペレットの状態で使用される。
そして、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、プライマー処理がなくてもウレタン系樹脂との接着性に優れており、ウレタン系樹脂をシーラントとする家屋、自動車等の開口部の窓枠として、弾性を必要とするガスケット、パッキン等としての利用価値が高い。
【0026】
【実施例】
次に本発明を実施例にて詳述するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜13
平均重合度700の塩化ビニル系樹脂100重量部、ジイソノニルフタレート(DINP、可塑剤)53重量部、合成ハイドロタルサイト(安定剤)3重量部、ステアリン酸亜鉛(安定剤)0.3重量部、炭酸カルシウム40重量部、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン0.5重量部、エポキシ化大豆油3重量部、ホスファイト系キレーター1重量部及び下記する水酸基含有アクリル樹脂又はポリエステル樹脂を表−1に示す所定量を配合した塩化ビニル系樹脂組成物を、ロール表面温度150℃の9インチミルロール上にて5分間混練りし、厚さ約1mmのシートを作成した。該シートを圧縮成形機にて160℃、プレス圧180Kg/cm2 の条件下で1mm厚のプレスシートとし、これから長さ150mm、幅20mmの試験片を切り出して下記した接着性評価の試料とした。評価結果を表−1に併記した。
【0027】
【0028】
<接着性評価>
ステンレス板に金属用プライマー(横浜ゴム社製、商標ハマタイトG(GC20))を長さ150mm、幅30mmに塗布し、23℃、30分乾燥させた後、その上に金属用プライマー(横浜ゴム社製、商標ハマタイトG(MS90))を同様に塗布し、オーブン中で40℃、1時間乾燥した。この金属プライマー上にウレタンシーラント(横浜ゴム社製、商標WS−70)を長さ150mm、幅20mm、厚さ1mmに塗布した後、その上に上記塩化ビニル系樹脂組成物の試験片をウレタンシーラントの塗膜に直行するように置き、ウレタンシーラントと試験片の接着面積が20mm×20mmとなるように積層した。この上に1Kgの荷重を載せ、23℃で1週間放置してから接着強度をオートグラフを用いて180度剥離試験を実施した。 試験条件は、次の通り。
ロードセル:50Kg用、 引張速度 :200mm/分
チャートスピード:200mm/分、 剥離距離 :20mm
単位:Kg 接着強度は、剥離距離20mm中のピーク値で示した。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例14〜16
平均重合度700及び1050の塩化ビニル樹脂、DINP、合成ハイドロタルサイト(安定剤−1)、ステアリン酸亜鉛(安定剤−2)、Ba−Zn系複合安定剤(安定剤−3、旭電化製、商標M−GES6)及びアクリル系樹脂を表−2に示した所定量(重量部)を配合した他は、実施例1と同様にして塩化ビニル樹脂組成物を調製し、接着強度を測定した。その結果を表−2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】
比較例、参考例
水酸基含有アクリル系樹脂及びポリエステル樹脂を添加せず、表−3に示す平均重合度を持つ塩化ビニル樹脂を所定量(重量部)配合して、実施例1と同様にして組成物を調製した。これら組成物の組成物中に於ける塩化ビニル樹脂の平均重合度を示し、接着強度及び溶融流動性を測定し、表−3に示した。なお、実施例11の塩化ビニル系樹脂組成物についても測定し、表−3に併記した。また、溶融流動性の試験法は、次の通り。
【0033】
<溶融流動性>
実施例1のようにして製造したロールシートをシートカット法にてペレット化し、該ペレットを75t射出成形機を用いてスパイラルフローを測定し、その流動長をcmで表した。測定条件を次に示した。
射出成形機温度;
C1:180℃、、C2:190℃、C3:200℃、ノズル:200℃
射出圧力;100Kg/cm2、 金型温度;30℃
金型断面形状;上底7mm、下底10mm、高さ5.9mm
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂に水酸基を有するアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂を配合することにより、水酸基を有する塩化ビニル系樹脂からなる組成物に比較して、溶融流動性が改良されているため、成形性、加工性が良好となり、しかもプライマーを塗布しなくてもウレタン系樹脂との接着性を低下させることがない。従って、ウレタンシーラント等と接着する機会の多い自動車工業や建築工業等での利用価値が頗る大である。
Claims (6)
- 塩化ビニル系樹脂100重量部、可塑剤15〜300重量部及び水酸基を含有し、そのガラス転移温度が0℃以上であるアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂1〜150重量部を主成分とするウレタン系樹脂と接着して用いられる塩化ビニル系樹脂組成物。
- 塩化ビニル系樹脂がテトラヒドロフランに不溶の架橋ゲル分が1〜90重量%である請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
- アクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂の水酸基価が3以上である請求項1又は請求項2記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
- 塩化ビニル系樹脂100重量部当たり、安定剤を0.1〜15重量部含有する請求項1、請求項2又は請求項3記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
- 安定剤として合成ハイドロタルサイトを含む請求項1乃至請求項4何れかの項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
- 塩化ビニル系樹脂100重量部当たり、充填剤を5〜150重量部含有する請求項1乃至請求項5何れかの項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
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