JPH0987328A - エチレン/α−オレフィン共重合体の連続多段重合法 - Google Patents

エチレン/α−オレフィン共重合体の連続多段重合法

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JPH0987328A
JPH0987328A JP26920495A JP26920495A JPH0987328A JP H0987328 A JPH0987328 A JP H0987328A JP 26920495 A JP26920495 A JP 26920495A JP 26920495 A JP26920495 A JP 26920495A JP H0987328 A JPH0987328 A JP H0987328A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子量成分、中分子量成分および低分子量
成分の3成分系以上の成分からなり、均質性にすぐれ、
かつ溶融弾性、流動特性および機械特性などの各種物性
のバランスに優れたエチレン/α−オレフィン共重合体
を製造する簡便かつ工業的に有利な連続多段スラリー重
合法を提供する。 【解決手段】 少なくとも3段階の液相重合において、
各段階に特定の重合条件を設定し、遷移金属触媒の存在
下に、エチレンおよびα−オレフィンを連続的に液相重
合することを特徴とするエチレン/α−オレフィン共重
合体の連続多段重合方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン/α−オ
レフィン共重合体の連続多段液相重合法に関するもので
ある。さらに詳しくは、少なくとも高分子量成分、中分
子量成分および低分子量成分の3成分から成り、均質性
にすぐれ、溶融弾性(メルトテンション、ダイスウェル
比等)、流動特性(N−値、臨界剪断速度等)および機
械特性(引張衝撃値、耐環境応力亀裂性等)などの各種
物性のバランスに優れたエチレン/α−オレフィン共重
合体を製造するための簡便かつ容易で工業的に有利な連
続多段液相重合法、例えばスラリー重合法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】エチレン/α−オレフィン共重合体の連
続多段スラリー重合方法について、例えば、特開昭57
ー126805号公報では各反応域において実質的に気
相を存在させず満液の状態で重合することを提案してい
る。この重合方法によれば、各反応域の間のスラリー移
送域において、水素ガスや未反応ガスを分離する工程が
不要となる。しかしながら、上記公報では得られるエチ
レン/α−オレフィン共重合体の機械的物性は必ずしも
満足し得るものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑み、高分子量成分、中分子量成分および低分子量成分
の3成分系以上の成分からなり、均質性にすぐれ、かつ
溶融弾性、流動特性および機械特性などの各種物性のバ
ランスに優れたエチレン/α−オレフィン共重合体を製
造する簡便かつ工業的に有利な連続多段スラリー重合法
を提供するものである。すなわち、本発明者らは、各反
応域において得られるエチレン/α−オレフィン共重合
体の密度などの関係を規定することにより、エチレン/
α−オレフィン共重合体の機械的物性を改良し得ること
を見出して本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、少なく
とも次の(1)から(3)の各工程をこの順に実施し
て、遷移金属触媒の存在下にエチレンおよびα−オレフ
ィンを連続的に液相重合することを特徴とするエチレン
/α−オレフィン共重合体の連続多段重合方法に関す
る。 (1)第1段階 液充満の反応器を使用し、重合温度(T1)50〜10
0℃および重合圧力(P1)3〜40kg/cm2G の重合条
件で、極限粘度(η1)3〜40dl/g および密度
(d1)0.890〜0.940g/cm3の高分子量成分を重
合量比(X1)5〜60wt%の割合で製造する工程、 (2)第2段階 液充満の反応器を使用し、重合温度(T2)50〜10
0℃および重合圧力(P2)3〜40kg/cm2G の重合条
件で、極限粘度(η2)2〜9dl/g および密度(d2
0.890〜0.945g/cm3の中分子量成分を重合量比
(X2)5〜60 wt%の割合で製造する工程、ならび
に (3)第3段階 液充満の反応器または反応器上部に気相部が存在する反
応器を使用し、重合温度(T3)60〜100℃および
重合圧力(P3)3〜40kg/cm2G の重合条件で、極限
粘度(η3)0.2〜3dl/gおよび密度(d3)0.890
〜0.980g/cm3の低分子量成分を重合量比(X3)2
0〜90wt%の割合で製造する工程。ただし、η1>η2
>η3;d1<d2<d3;P1>P2>P3およびX1+X2
+X3=100である。また、本発明の第2は、前記第
1の発明において、液相重合がスラリー重合であるエチ
レン/α−オレフィン共重合体の連続多段重合方法に関
する。以下に、本発明の内容を詳述する。
【0005】本発明において用いる触媒は遷移金属触媒
であり、好ましくは遷移金属固体触媒である。遷移金属
固体触媒としては、遷移金属化合物を含有するオレフィ
ン重合用の固体触媒であれば特に制限はない。遷移金属
化合物としては、周期律表第IV族〜第VIII族、好ましく
は第IV族〜第VI族の化合物を使用することができ、具体
例としては、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo 等が挙げら
れる。好ましい具体的な固体触媒成分としては、Ti お
よび/またはV化合物と周期律表第I族〜第III族の有機
化合物からなる固体チーグラー触媒が例示される。その
ほか、中心金属としてZr、Hf 等の周期律表第IV族の
遷移金属に、アルキルシクロペンタジエン等のシクロペ
ンタジエニル骨格を有する配位子が少なくとも1つ配位
したメタロセン触媒を、適宜の担体、例えばシリカ等に
担持させた担体担持メタロセン触媒も挙げられる。
【0006】特に好ましいオレフィン重合用の固体触媒
成分としては、少なくともチタンおよび/またはバナジ
ウムならびにマグネシウムを含有するものが挙げられ
る。次に、この固体触媒成分について説明する。
【0007】少なくともチタンおよび/またはバナジウ
ムならびにマグネシウムを含有する固体触媒成分として
は、オレフィン重合用触媒として従来公知のチーグラー
系触媒に用いられるチタンおよびマグネシウムを含有す
る固体触媒成分、バナジウムおよびマグネシウムを含有
する固体触媒成分、またはチタン、バナジウムおよびマ
グネシウムを含有する固体触媒成分等を使用することが
できる。例えば金属マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネ
シウム等、また珪素、アルミニウム、カルシウムから選
ばれる元素とマグネシウムとを含有する複塩、複酸化
物、炭酸塩、塩化物あるいは水酸化物等、さらにこれら
の無機固体化合物を含酸素化合物、含硫黄化合物、芳香
族炭化水素、ハロゲン含有物質で処理しまたは反応させ
たもの等のマグネシウムを含む無機固体化合物に、チタ
ン化合物および/またはバナジウム化合物を公知の方法
により担持させたものが挙げられる。
【0008】上記含酸素化合物としては、例えば水;ポ
リシロキサン;アルコール、フェノール、ケトン、アル
デヒド、カルボン酸、エステル、酸アミド等の有機含酸
素化合物;金属アルコキシド;金属のオキシ塩化物等の
無機含酸素化合物を例示することができる。含硫黄化合
物としては、チオール、チオエーテル等の有機硫黄化合
物あるいは二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸等の無機硫黄
化合物が挙げられる。また芳香族炭化水素としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、アントラセン、フェナン
トレン等の各種単環または多環芳香族炭化水素を例示す
ることができる。ハロゲン含有物質としては、塩素、塩
化水素、金属塩化物、有機ハロゲン化物等が挙げられ
る。
【0009】前記のチタン化合物としては、チタンのハ
ロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、
ハロゲン化酸化物等を挙げることができる。これらのう
ち、4価のチタン化合物と3価のチタン化合物が好適で
あり、4価のチタン化合物としては、具体的には一般式
Ti(OR)n4-n(ここでRは炭素数1〜20のアルキ
ル基、アリール基またはアラルキル基等の炭化水素残基
をを示し、Xはハロゲン元素を示す。nは0≦n≦4の
範囲の数である。)で示されるものが好ましく、具体的
には四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、モ
ノメトキシトリクロロチタン、ジメトキシジクロロチタ
ン、トリメトキシモノクロロチタン、テトラメトキシチ
タン、モノエトキシトリクロロチタン、ジエトキシジク
ロロチタン、トリエトキシモノクロロチタン、テトラエ
トキシチタン、モノイソプロポキシトリクロロチタン、
ジイソプロポキシジクロロチタン、トリイソプロポキシ
モノクロロチタン、テトライソプロポキシチタン、モノ
ブトキシトリクロロチタン、ジブトキシジクロロチタ
ン、トリブトキシモノクロロチタン、テトラブトキシチ
タン、モノペントキシトリクロロチタン、モノフェノキ
シトリクロロチタン、ジフェノキシジクロロチタン、ト
リフェノキシモノクロロチタン、テトラフェノキシチタ
ン等を挙げることができる。3価のチタン化合物として
は、一般式Ti(OR)m4-m(ここでRは炭素数1〜2
0のアルキル基、アリール基またはアラルキル基等の炭
化水素残基をを示し、Xはハロゲン元素を示す。mは0
<m<4の範囲の数である。)で示される4価のハロゲ
ン化アルコキシチタンを、水素、アルミニウム、チタン
あるいは周期律表第IからIII族金属の有機金属化合物に
より還元して得られる3価のチタン化合物が挙げられ
る。
【0010】上記のチタン化合物のうち、4価のチタン
化合物が特に好ましい。これらの触媒の具体的なものと
しては、例えばMgO−RX−TiCl4系(特公昭51−
3514号公報)、Mg−SiCl4−ROH−TiCl4
(特公昭50−23864号公報)、MgCl2−Al(O
R)3−TiCl4系(特公昭51−152号公報、特公昭
52−15111号公報)、MgCl2−SiCl4−ROH
−TiCl4系(特開昭49−106581号公報)、Mg
(OOCR)2−Al(OR)3−TiCl4系(特公昭52−1
1710号公報)、Mg−POCl3−TiCl4系(特公昭
51−153号公報)、MgCl2−AlOCl−TiCl4
(特公昭54−15316号公報)、MgCl2−Al(O
R)n3-n−Si(OR')m4-m−TiCl4系(特開昭56
−95909号公報)、MgCl2−ROH−シロキサン
−Ti(OR)m4-m−TiCl4系(特願平5−28409
5号公報)、MgCl2−ROH−界面活性剤−Ti(OR)
m4-m−TiCl4系(特願平5−284096号公報)
等の固体触媒成分(前記式中において、RおよびR'は
有機残基、Xはハロゲン原子を示す。)に有機アルミニ
ウム化合物を組み合わせたものが好ましい例として挙げ
られる。
【0011】前記バナジウム化合物としては、四塩化バ
ナジウム、四臭化バナジウム、四ヨウ化バナジウム等の
4価のバナジウム化合物、オキシ三塩化バナジウム、オ
ルソアルキルバナデート等の5価のバナジウム化合物、
三塩化バナジウム、バナジウムトリエトキシド等の3価
のバナジウム化合物などが挙げられる。バナジウム化合
物は、単独であるいはチタン化合物と併用して用いられ
る。
【0012】他の触媒系の例としては、固体触媒成分と
していわゆるグリニャール化合物などの有機マグネシウ
ム化合物とチタン化合物および/またはバナジウム化合
物との反応生成物を用い、これに有機アルミニウム化合
物を組み合わせた触媒系を例示することができる。有機
マグネシウム化合物としては、例えば一般式RMgX、
2Mg、RMg(OR) 等で示されるマグネシウム化合物
(ここで、Rは炭素数1〜20の有機残基、Xはハロゲ
ン原子を示す。)およびこれらのエーテル錯体、または
これらの有機マグネシウム化合物に、さらに他の有機金
属化合物、例えば有機ナトリウム、有機リチウム、有機
カリウム、有機ホウ素、有機カルシウム、有機亜鉛等を
加えて変性したものを用いることができる。上記触媒系
の具体的な例としては、例えば、RMgX−TiCl4
(特公昭50−39470号公報)、RMgX−フェノ
ール−TiCl4系(特公昭54−12953号公報)、
RMgX−ハロゲン化フェノール−TiCl4系(特公昭5
4−12954号公報)、RMgX−CO2−TiCl4
(特開昭57−73009号公報)等の固体触媒成分に
有機アルミニウム化合物を組み合わせたものを挙げるこ
とができる。
【0013】また他の触媒系の例としては、固体触媒成
分としてSiO2、Al23およびSiO2・Al23等の無
機酸化物と前記のチタンおよび/またはバナジウムなら
びにマグネシウムを含有する固体触媒成分とを接触させ
て得られる固体物質を用い、これに有機アルミニウム化
合物を組み合わせたものを例示することができる。無機
酸化物としては上記SiO2、Al23およびSiO2・Al
23等のほかにCaO、B23、SnO2等を挙げること
ができ、またこれらの酸化物の複酸化物も使用すること
ができる。これら各種の無機酸化物とチタンおよび/ま
たはバナジウムならびにマグネシウムを含有する固体触
媒とを接触させるためには公知の方法を採用することが
できる。すなわち、不活性炭化水素、アルコール類、フ
ェノール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミ
ン類、ニトリル類またはこれらの混合物などの有機溶媒
の存在下または不存在下で、温度20から400℃、好
ましくは50〜300℃において通常5分〜20時間反
応させる方法が用いられる。上記触媒系の具体的な例と
しては、例えばSiO2−ROH−MgCl2−TiCl4(特
開昭56−47407号公報)、SiO2−ROR'−Mg
O−AlCl3−TiCl4(特開昭57−187305号公
報)、SiO2−MgCl2−Al(OR)3−TiCl4−Si(O
R')4(特開昭58−21405号公報)、SiO2−Ti
Cl4−RnAlCl3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n(特
開平3−35004号公報)、SiO2−TiCl4−Rn
lCl3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n−Si(OR'')m
Cl4-m(特開平3−64306号公報)、SiO2−Mg
Cl2−Al(OR')nCl3-n−Ti(OR'')4−RnAlCl
3-n(特開平3−153707号公報)、SiO2− Mg
Cl2−Al(OR')nCl3-n−Ti(OR'')nCl4-n−Rn
lCl3-n(特開平3−18504号公報)、SiO2−Ti
Cl4−RnAlCl3-n−MgCl2−Al(OR')n Cl3-n
R''mSi(OR''')n4-(m+n)(特開平4−26140
8号公報)、SiO2−RnMgX2-n−Al(OR')nCl3-n
−Ti(OR'')nCl4-n−R'''OH−Rn AlX3-n(特
開平5−117316号公報)、SiO2−MgCl2−Al
(OR')n Cl3-n−Ti(OR'')nCl4-n−R'''OH−
nAlCl3-n(特開平5−194634号公報)(前記
式中においてR、R'、R''、R'''は炭化水素残基を示
す。)等に有機アルミニウム化合物を組み合わせたもの
を挙げることができる。
【0014】これらの触媒系において、チタン化合物お
よび/またはバナジウム化合物を有機カルボン酸エステ
ルとの付加物として使用することもでき、また前記のマ
グネシウムを含む無機固体化合物を有機カルボン酸エス
テルと接触処理した後使用することもできる。さらに、
有機アルミニウム化合物を有機カルボン酸エステルとの
付加物として使用することもできる。また、あらゆる場
合において、有機カルボン酸エステルの存在下に調製さ
れた触媒系を使用することができる。ここで使用する有
機カルボン酸エステルとしては、脂肪族、脂環族、芳香
族カルボン酸の各種エステルが挙げられ、好ましくは炭
素数8〜12の芳香族カルボン酸エステルが用いられ
る。具体的な例としては安息香酸、アニス酸、トルイル
酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げること
ができる。固体触媒成分は、反応系に供給する前に予備
重合に付して、ポリマーで被覆されたいわゆるプレポリ
マーの形態で使用することもできる。
【0015】本発明において、上記の少なくともチタン
および/またはバナジウムならびにマグネシウムを含有
する固体触媒成分と共に用いることのできる有機金属化
合物としては、特に有機アルミニウム化合物が好まし
い。有機アルミニウム化合物とは、分子内に少なくとも
一個のアルミニウム−炭素原子の結合を有する化合物を
いう。例えば、(i)一般式RmAl(OR')npq(こ
こで、RおよびR'は炭素原子を通常1〜15個、好ま
しくは1〜4個を含む炭化水素基、例えばアルキル基、
アリール基、アルケニル基、シクロアルキル基等であ
り、アルキル基の場合にはメチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル、ヘキシル、オクチル等が挙げられる。RおよびR'
は同一であっても異なってもよい。Xはハロゲン原子を
示し、m、n、pおよびqはそれぞれ0<m≦3、0≦
n<3、0≦p<3および0≦q<3の範囲にあり、か
つm+n+p+q=3を満足する数である。)で表され
る有機アルミニウム化合物、(ii)一般式MAlR4(こ
こで、MはLi、Na またはKから選ばれる金属であ
り、Rは前記と同じ炭化水素基である。)で表される、
周期律表第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合
物などを挙げることができる。
【0016】前記(i)に属する有機アルミニウム化合
物としては、例えば 一般式 RmAl(OR')3-m (ここで、RおよびR'は前記と同じ炭化水素基であ
る。mは好ましくは1.5≦m≦3の範囲である。)、 一般式 RmAlX3-m (ここで、Rは前記と同じ炭化水素基である。mは好ま
しくは0<m<3の範囲である。)、 一般式 RmAlH3-m (ここで、Rは前記と同じ炭化水素基である。mは好ま
しくは2≦m<3の範囲である。)および 一般式 RmAl(OR')nq (ここで、RおよびR'は前記と同じ炭化水素基であ
る。Xはハロゲン原子を示し、m、nおよびqは好まし
くはそれぞれ0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3の範
囲にあり、かつm+n+q=3を満足する数である。)
で表されるものなどを例示することができる。
【0017】(i)に属する有機アルミニウム化合物と
して、具体的には、トリメチルアルミウム、トリエチル
アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイ
ソブチルアルミニウム、トリ−sec−ブチルアルミニウ
ム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、トリヘキシルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキ
ルアルミニウム;トリアルケニルアルミニウム;ジエチ
ルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブト
キシド等のジアルキルアルニミウムアルコキシド;エチ
ルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウム
セスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアル
コキシドの他に、R2.5Al(OR)0.5などで表される平
均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルア
ルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチル
アルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド
等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニ
ウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリ
ド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルア
ルミニウムセスキハライドのような部分的にハロゲン化
されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒ
ドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキル
アルミニウムヒドリドおよびエチルアルミニウムジヒド
リド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルア
ルミニウムジヒドリドなど、部分的に水素化されたアル
キルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリ
ド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアル
ミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化お
よびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを例示
することができる。前記(ii)に属する有機アルミニウ
ム化合物としては、LiAl(C25)4、LiAl(C715)
4等が挙げられる。また、(i)に類似する有機アルミニ
ウム化合物として、酸素原子や窒素原子を介して2個以
上のアルミニウム原子が結合した有機アルミニウム化合
物を用いることもできる。このような化合物として、例
えば(C25)2AlOAl(C25)2、(C49)2AlOAl
(C49)2、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2等を
例示することができる。これらの中でも、トリアルキル
アルミニウムが好ましい。
【0018】定常運転中における有機アルミニウム化合
物の使用量は特に制限されないが、用いる場合には、通
常チタン化合物1モルに対して0.05〜1000モル
の範囲が好ましい。
【0019】なお、中心金属としてのZr、Hf 等の周
期律表第IV族の遷移金属に、アルキルシクロペンタジエ
ン等のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子が少な
くとも1つ配位したメタロセン触媒を、適宜の担体、例
えばシリカ等に担持せた担体担持メタロセン触媒を用い
る場合には、助触媒としては、前記周期律表第IV族の遷
移金属化合物を重合触媒として有効に機能させ得るも
の、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を
均衡化させ得るものを用いる。具体的には、有機アルミ
ニウムオキシ化合物のうちベンゼンに可溶のアルミノキ
サンやベンゼンに不溶の有機アルミニウムオキシ化合
物、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド
塩、酸化スズ等が挙げられる。これらの中でもアルミノ
キサンが最も好ましい。
【0020】反応相は溶液相またはスラリー相など液相
を含むものである。好ましくはスラリー相を用いるスラ
リー重合である。重合溶媒は、反応に不活性なものであ
ればいずれの溶媒も使用することができる。例えば、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、オ
クタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環
族炭化水素等の炭化水素系溶剤が例示される。
【0021】第1段の反応器で高分子量成分を製造する
際は、水素の不存在下または微量の水素存在下で重合を
行う。このような条件下では、本願のような高活性触媒
の特性により、極めて短時間で多量の重合体を製造し得
るという利点がある。ここで重合槽中にオレフィン単量
体を含む気相部が存在すると、液相中のオレフィン単量
体濃度が高くなり、これを低濃度に制御することは困難
となる。液相中のオレフィン単量体濃度が高くなると、
重合体が短時間で生成することになり、たとえ重合温度
を低くしても反応制御が極めて困難となるので好ましく
ない。そこで、気相部のオレフィン単量体濃度を低下さ
せて重合反応を行うことが必要となるが、気相部のオレ
フィン濃度を低下させるとそれに伴い重合圧力が低下
し、第2段への重合生成物の移送に昇圧ポンプなどの強
制手段を使用することが必要となる。昇圧ポンプなどの
強制手段を採用すると、重合生成物の移送部分において
ファウリング等のトラブルが発生しやすくなると共に、
プロセス的にも複雑かつ煩雑となるので好ましくない。
これに対し、本発明においては第1段の重合を実質的に
気相部が存在しない液充満の形態で行うので、液相中の
オレフィン単量体の濃度を低く調整することが可能とな
り、反応熱の除去等の反応制御も容易である。かつ、反
応器の圧力は、液圧により十分高く保持することができ
る上に、次の反応帯域への重合生成物の移送も液圧によ
る差圧を利用した移送等の簡便な手段で行うことができ
るので好適である。実質的に気相部が存在しないように
するためには、水素を供給しないか、またはたとえ供給
しても溶剤に溶解して吸収される程度の量とする。モノ
マーのエチレンやブテン−1等のα−オレフィンについ
ては、重合中に消費された量に相当する量を供給するよ
うに調整すれば、気相部を形成しないで供給することが
できる。窒素等の不活性ガスは、たとえ供給するとして
も溶媒に溶解する量以上の供給は行わない。第1段の反
応帯域から、連続的に反応生成物、例えばスラリーを取
り出し、第2反応帯域へ移送する。
【0022】第2段の反応器において中分子量成分を製
造する際には、水素を第1段より若干増量して重合を行
うことが必要であるが、第1段と同様に実質的に気相部
が存在しないようにする。第2段の反応帯域からは連続
的に反応生成物、例えばスラリーを取り出し、第3反応
帯域へ移送する。
【0023】また、第3段階の反応器で低分子量成分を
製造する際は、単量体オレフィンや水素を第2段よりも
多量に存在させて重合を行う必要がある。この場合にお
いても、第1段階や第2段階と同様に実質的に気相部が
存在しない液充満式反応器を使用することが効果的であ
る。しかしながら、反応器上部に単量体オレフィンおよ
び水素ガスを含む気相部が存在する反応器を使用するこ
とも可能である。上部に気相部が存在する反応器を使用
する場合には、気相部で圧力を制御することが可能であ
り、このため移送管等による差圧を利用した移送手段が
可能となり、装置を簡略化することができ経済的に有利
である。重合の最終段階を経た後には、通常フラッシュ
ドラム等の水素ガスや未反応ガスの回収槽を設ける。そ
れぞれ気相部を有する反応器を用いる場合には、その後
にフラッシュドラムを設ける必要があるが、最終段階の
みに気相部を有する反応器を用いれば、フラッシュドラ
ムは最終行程の1基のみで十分であり、装置が簡略化し
得ると共に経済的である。
【0024】本発明における触媒のフィードは、重合の
任意の段階において行うことができる。しかしながら、
好ましくは触媒フィードを第1段階のみで行う。第1段
階のみで触媒をフィードすることにより、同一触媒上に
分子量の異なる成分、すなわち高分子量成分、中分子量
成分および低分子量成分の各成分が生成し、重合レベル
での組成の均一性や均質性が得られるために好ましい。
有機アルミニウム化合物の供給も、重合の任意の段階に
おいて行うことができる。しかしながら、触媒フィード
を第1段階のみとする場合には、有機アルミニウム化合
物の供給も同様に第1段階のみで行うことが便利であ
る。
【0025】第1段階の反応器で製造する高分子量成分
の極限粘度(η1)は、3〜40dl/g である。η1が3d
l/g 未満では溶融弾性(メルトテンション、ダイスウェ
ル比等)および機械特性(引張衝撃値、耐環境応力亀裂
性等)が劣り好ましくない。また、η1が40dl/g を越
えると流動特性(N−値、臨界せん断速度等)が劣るの
で好ましくない。第2段階の反応器で製造する中分子量
成分の極限粘度(η2)は2〜9dl/g である。η2が9d
l/g を越えると流動特性(N−値、臨界せん断速度等)
が劣るので好ましくない。そのほか、低分子量成分との
均質性が低下し、押出機内での混練不良、衝撃強度の低
下、未溶融ゲルの発生等の物性や加工性等で問題が発生
するため好ましくない。また、η2が2dl/g 未満では、
高分子量成分との均質性に劣り、上記と同じ理由により
好ましくない。第3段階の反応器で製造する低分子量成
分の極限粘度(η3)は、0.2〜3dl/g である。η3
3dl/g を越えると、流動特性(N−値、臨界剪断速度
等)が劣るので好ましくない。また、η3が0.2dl/g
未満では、機械特性(引張衝撃値、耐環境応力亀裂性
等)や他成分との均一性や均質性に劣り好ましくない。
【0026】第1、第2および第3の各段階で製造する
各成分の極限粘度は、 η1>η2>η3 の関係を満足することが必要である。これにより、未反
応水素ガス除去のためのフラッシュドラムや昇圧ポンプ
等が不要となり、製造プロセスを簡略化することができ
るので好ましい。なお極限粘度は、水素量のほか、重合
温度、α−オレフィン量、重合圧力等の重合条件を調節
することにより調整することができる。水素は前段階か
らのスラリーによって溶解水素として供給されることも
あるため、これを考慮して決定することが好ましい。第
2段階以降において生成する共重合体の極限粘度につい
ては、各段階において採取した共重合体の極限粘度を実
測し、それらの加成性が成り立つとして計算により求め
る。
【0027】第1段の反応器で製造する高分子量成分の
密度(d1)は0.890〜0.940g/cm3である。d1
が0.940g/cm3を越えると、機械特性(引張衝撃値、
耐環境応力亀裂性等)が低下するので好ましくない。ま
た、d1が0.890g/cm3未満では、ポリマーのべとつ
きが多くなるばかりでなく、製造自体が困難となるので
好ましくない。第2段の反応器で製造する中分子量成分
の密度(d2)は0.890〜0.945g/cm3である。d
2が0.945g/cm3を越えると、機械特性(引張衝撃
値、耐環境応力亀裂性等)が低下するので好ましくな
い。また、d2が0.890g/cm3未満では、ポリマーの
べとつきが多くなるばかりでなく、製造自体が困難とな
るので好ましくない。第3段の反応器で製造する低分子
量成分の密度(d3)は0.890〜0.980g/cm3であ
る。d3が0.980g/cm3を越えると、機械特性(引張
衝撃値、耐環境応力亀裂性等)が低下するので好ましく
ない。また、d3が0.890g/cm3未満では、ポリマー
のべとつきが多くなるばかりでなく、製造自体が困難と
なるので好ましくない。
【0028】本発明においては、第1、第2および第3
の各段階でエチレンと共重合するα−オレフィンの量そ
の他の重合条件をそれぞれ調整するが、各段階における
各成分の密度は、 d1<d2<d3 の関係を満足することが必要である。これにより、最終
的に得られる共重合体の機械特性を向上させることが可
能となる。すなわち、高分子量成分中により多くの分岐
構造を導入することにより、耐環境応力亀裂性(ESC
R)や引張衝撃値等の機械的特性が向上する。従って、
本発明においては、分子量の大きい成分ほど分岐構造を
多く含むようにするため、各段階で生成する共重合体の
密度が上記の順序となるように重合を行う。具体的に
は、各段階におけるα−オレフィンの供給量を調整する
ほか、温度、時間、圧力等の重合条件の調整を行うこと
により、各段階の密度を制御することができる。重合溶
剤に溶解した未反応モノマーが次の段階の反応器へ供給
されることもあるので、第2段階の反応器においてはこ
の量を考慮する必要があり、場合によってはα−オレフ
ィンを供給しない場合もある。なお、第2段階以降にお
いて生成する共重合体の密度については、各段階におい
て採取した共重合体の密度を実測し、それらの加成性が
成り立つとして計算により求める。
【0029】第1段階の反応器で製造する重合体の割合
である重合量比(X1)は、5〜60wt%である。X1
60wt%を越えると流動特性(N値、臨界剪断速度等)
が低下するので好ましくない。また、X1が5wt%未満
では、溶融弾性(メルトテンション、ダイスウェル比
等)が低下するので好ましくない。第2段階の反応器で
製造する重合体の重合量比(X2)は、5〜60wt%で
ある。X2が60wt%を越えると流動特性(N値、臨界
剪断速度等)が低下するので好ましくない。また、X2
が5wt%未満では、均一性および均質性が低下し、押出
機内での混練不良、衝撃強度の低下、未溶融ゲルの発生
等の問題点が生じるので好ましくない。第3段階の反応
器で製造する重合体の重合量比(X3)は、20〜90w
t%である。X3が90wt%を越えると機械特性(引張衝
撃値、耐環境応力亀裂性等)が低下するので好ましくな
い。また、X3が20wt%未満では、流動特性(N値、
臨界剪断速度等)が低下するので好ましくない。但し、
本発明において、X1、X2およびX3の合計は100と
する。すなわち、X1+X2+X3=100である。重合
量比は、主として各段階におけるオレフィン供給量、温
度、圧力などを調整することにより変化させることがで
きる。一般的に、各段階におけ重合時間は1〜数十時間
の範囲である。なお、第1段、第2段および第3段の各
段階で製造する各成分のX1、X2およびX3は、各段階
においてフィードする溶媒等の量および温度、重合温
度、ジャケットの温度等を測定し、熱収支から各段階で
生成する重合体の量(E1〜E3)を求め、この値と別途
求めた全体の重合量との比から算出する。
【0030】第1段階の反応器の重合温度(T1)およ
び第2段階の反応器の重合温度(T2)は、50〜10
0℃である。T1およびT2が100℃を越えると、生成
ポリマーの溶解量が多くなり、反応器壁のファウリング
や移送管の閉塞などのトラブルが発生する。さらには、
極限粘度の大きな高分子量成分の製造が困難となるので
好ましくない。また、T1およびT2が50℃未満では、
十分な重合活性が得られないことから、ポリマーの生産
効率が低下するので好ましくない。第3段階の反応器の
重合温度(T3)は、60〜100℃である。T3が10
0℃を越えると、ポリマーの溶解量が大きくなり、ファ
ウリングや移送管の閉塞などのトラブルが発生するので
好ましくない。また、T3が60℃未満では、十分な重
合活性が得られず、ポリマーの生産効率が低下するので
好ましくない。
【0031】第1〜3段階の反応器の重合圧力(P1
3)は3〜40kg/cm2Gである。P1〜P3が40kg/cm2
Gを越えると、設備費が高価となるため好ましくない。
また、P1〜P3が3kg/cm2G未満では、差圧による重合
生成物の移送が困難となるので好ましくない。気相部を
有する反応器の場合には、圧力とは気相部の圧力を意味
するが、実質的に気相部が存在しない反応器において
は、圧力は液圧を意味する。また第1〜3段階の各段階
における重合圧力の関係は、 P1>P2>P3 である。この関係が成立すれば、差圧による重合生成物
の移送が容易であるため好ましい。
【0032】本発明の方法は、エチレンと、エチレンと
共重合可能なすべてのα−オレフィンとの共重合に適用
することができる。α−オレフィンとしては特に炭素数
3〜12のものが好ましく、例えばプロピレン、1−ブ
テン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−
ペンテン、1−オクテン等が例示される。なお、プロピ
レンと1−ブテンの共重合およびエチレンと他の2種類
以上のα−オレフィンとの共重合等にも好適に使用され
る。さらに、エチレン/α−オレフィン共重合体の改質
を目的とするジエンとの共重合においても好ましく用い
られる。ここで使用されるジエン化合物の例としては、
ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボ
ルネン、ジシクロペンタジエン等を挙げることができ
る。
【0033】なお、重合の際のコモノマー含有率は任意
に選択することができる。エチレンとα−オレフィンと
の共重合の場合には、エチレン/α−オレフィン共重合
体中のα−オレフィン含有量は0〜40モル%、好まし
くは0〜30モル%である。
【0034】次に、本発明の方法の一例を具体的に示
す。図1は、多段重合法の工程概略図である。図におい
て、第1段階反応器1は、攪拌機10を有する竪型攪拌
槽である。竪型攪拌槽の場合は、通常直径に対する高さ
の比は1〜10、好ましくは1.5から5であり、一般
に、直径0.5から10m、好ましくは1〜5mの耐圧
容器が用いられる。本発明においては、その他、液充満
された管状反応器や循環混合反応器を用いることができ
る。反応器1には、触媒導入管4から触媒を、アルキル
アルミニウム導入管5からアルキルアルミニウムを、原
料モノマー導入管6からガス状または液状の原料モノマ
ーを、原料コモノマー導入管7からガス状または液状の
原料コモノマーを、水素導入管8から必要に応じてごく
少量の水素を、そして、重合溶媒導入管9からは液状の
重合溶媒を供給し、連続的に高分子量成分の重合を行
う。本発明においては、この第1段階の反応器は、実質
的に気相部が存在しない液充満の状態に保持されてい
る。すなわち供給された原料モノマー、原料コモノマー
および必要に応じて供給されたごく少量の水素は、重合
溶媒に溶解した状態で重合反応が実施される。このよう
な本発明の重合方式は、溶媒中に重合ポリマー粒子が分
散するスラリー重合法である。第1段反応器1には、重
合反応熱を除去するために反応器壁に設置したジャケッ
ト以外に冷却器11を配管により連結し、重合反応混合
物を循環して熱除去を行ってもよく、またジャケットと
冷却器の両者を併用してもよい。第1段反応器は、通常
1個の反応器からなるが、同一反応条件で運転される2
個以上の反応器を直列または並列に結合することができ
る。
【0035】第1段反応器1から流出した重合反応混合
物は、移送管12を経て、攪拌機10aを備えた第2段
反応器2へ、差圧を利用してその成分の一部を実質的に
分離することなく連続的に供給される。第2段反応器も
第1段反応器と同様の竪型攪拌槽または液充満された管
状反応器もしくは循環混合反応器を用いることができ
る。第2段反応器2へ移送された重合反応混合物には、
管6aからガス状または液状の原料モノマーが、管7a
からガス状または液状の原料コモノマーが、管8aから
少量の水素が、管9aから必要に応じ重合溶媒が供給さ
れ、連続的に中分子量成分の重合を実施する。第2段階
の重合法も第1段階と同様に、ポリマー粒子が溶媒中に
分散する状態で行われるスラリー重合法である。本発明
においては、この第2段反応器は、第1段反応器と同様
に、実質的に気相部が存在しない液充満の状態に保持さ
れる。第2段反応器には、第1段反応器と同様に、重合
反応熱を除去するために反応器のジャケット以外に冷却
器11aを配管で連結し、重合反応物を循環して熱除去
を行ってもよく、また両者を併用してもよい。第2段反
応器は、通常1個の反応器からなるが、同一反応条件で
運転される2個以上の反応器を直列または並列に結合す
ることができる。
【0036】第2段反応器2から流出した重合反応混合
物は、管12aを経て、攪拌機10aを備えた第3段反
応器3へ、差圧を利用してその成分の一部を実質的に分
離することなく連続的に供給される。第3段反応器3も
第1段および第2段反応器と同様の竪型攪拌槽を用いる
ことができる。重合反応熱の除去は、冷却器11bによ
り達成される。冷却はまた、第3段反応器の気相部分を
冷却し、溶媒蒸気または原料モノマーの一部を液化して
反応器へ循環する方法を用いて行うことができる。第3
段反応器3へ移送された重合反応混合物には、管6bか
らガス状または液状の原料モノマーを、管7bからガス
状または液状の原料コモマーを、管8bから水素を、管
9bから必要に応じて重合溶媒が供給され、連続的に低
分子量成分の重合を実施する。本発明においては、第3
段反応器の上部に気相部を存在させて重合反応を実施す
る。これにより、温度、圧力等の重合反応の制御が容易
になり、また原料モノマーおよび水素の濃度を高く保持
することができる。さらには、気相部のガス組成を調整
することにより低分子量成分の重合をより正確に管理す
ることができる。第3段階の重合法も第1段階および第
2段階と同様に、ポリマー粒子が溶媒中に分散するスラ
リー重合法で実施される。本発明の方法においては、同
一触媒粒子上で第1段階の重合で生成した高分子量成分
が、第2段階の重合で生成した中分子量成分と混合さ
れ、さらに第3段階の重合で生成した低分子量成分と混
合される結果、いわゆる重合レベルの混合が行われ、そ
れぞれの触媒粒子上で均質な重合体を得ることができ
る。第3段反応器は通常1個の攪拌槽からなるが、実質
的に同一条件で運転される2個以上の攪拌槽を直列また
は並列に結合することができる。
【0037】重合反応混合物は、管12bから連続的に
引き出され、重合体を溶媒中から回収する。重合反応混
合物からの重合体の回収方法は、エチレン/α−オレフ
ィン共重合体の製造で用いられる種々の公知の方法で行
うことができる。すなわち、移送ポンプ13により攪拌
機10c、スチーム導入管15および温水導入管16を
備えたフラッシング槽14へ送り、脱気管17から未反
応の水素、モノマーおよびコモノマーならびに溶剤等を
排出し、重合体回収管18から重合体を連続的に抜き出
す。
【0038】本発明においては、担体担持型高活性触媒
を使用するため、重合体から触媒残分を除去する工程を
省略することができる。なお、本発明の3種の重合段階
に加えて、任意の重合段階を付加することができ、この
重合段階では液充満の反応器または反応器上部に気相部
が存在する反応器を用いることができる。また、高分子
量成分、中分子量成分または低分子量成分を2種類以上
製造することにより、3成分系以上の重合体を製造する
ことができる。このように、本発明においては、高分子
量成分、中分子量成分および低分子量成分の3成分系以
上の成分から成り、均質性にすぐれ、溶融弾性(メルト
テンション、ダイスウェル比等)、流動特性(N値、臨
界剪断速度等)および機械特性(引張衝撃値、耐環境応
力亀裂性等)などの各種物性のバランスに優れたエチレ
ン/α−オレフィン共重合体を、簡便かつ容易で工業的
に有利な方法により連続的に製造することができる。
【0039】本発明の分子量分布の広いエチレン/α−
オレフィン共重合体および分子量分布の広い成分を含む
エチレン/α−オレフィン共重合体組成物は、本発明の
要旨を逸脱しない範囲で、他のオレフィン系重合体やゴ
ム等のほか、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑
剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、加工助
剤、着色顔料、架橋剤、発泡剤、無機または有機充填
剤、難燃剤等の公知の添加剤を配合して用いることがで
きる。
【0040】本発明の連続多段重合法で得られたエチレ
ン/α−オレフィン共重合体は、各種フィルム、シー
ト、パイプ、中空容器、各種被覆材料、発泡材料などに
好適に使用される。また、押出成形、中空成形、射出成
形などの全ての成型法に好適に使用することができるた
め、広範な成型品が得られる。
【0041】
【発明の実施の形態】少なくとも3段階の液相重合にお
いて、各段階に特定の重合条件を設定し、遷移金属触媒
の存在下に、エチレンおよびα−オレフィンを連続的に
液相重合することにより、均質性にすぐれ、かつ溶融弾
性、流動特性および機械特性などの各種物性のバランス
に優れたエチレン/α−オレフィン共重合体を簡便に製
造することができる。
【0042】
【実施例】次に本発明を実施例によって詳細に説明す
る。まず、以下の実施例で使用する試験法を示す。 (1)極限粘度([η]) 135℃のデカリン溶液中で測定する。 (2)密度(d) JIS K6760の規定による密度勾配管法(23
℃)で測定する。 (3)N−値 高化式フローテスター(島津製作所製)を使用し、樹脂
温度210℃で2mmφ×40mmのダイから押出し、
低位試験圧力20kg/cm2および高位試験圧力150kg/c
m2での見かけのせん断速度を求め、次式〔I〕により算
出する。
【数1】 (4)メルトフローレート(MFR)およびハイロードメ
ルトフローレート(HLMFR) JIS K6760の規定により測定する。(測定温度
190℃、荷重:2.16kg(MFR)、21.6kg(HL
MFR)) (5)引張降伏強さ(YTS) JIS K6760の規定による。(引張速度50mm/mi
n、試験片厚み2mm) (6)引張衝撃値(TIS) ASTM D1822に準拠して測定。(試験片厚み1.
5mm) (7)曲げこわさ JIS K7106の規定により測定する。(東洋精機
(株)製の曲げこわさ試験機を使用) (8)メルトテンション(MT) 東洋精機(株)製のメルトテンションテスターにより測
定。(測定温度190℃) (9)臨界剪断速度(γc) INTESCO(株)製のキャピラリーレオメーターによ
り測定する。(測定温度190℃) (10)耐環境応力亀裂性(ESCR) JIS K6760の規定による定ひずみESCRのF
50の値を求める。 (11)ダイスウェル比(DSR) 高化式フローテスターを用いて、温度210℃で試料を
押出し、ストランドの径とダイの内径との比を求める。
剪断速度が80sec-1に相当する押出速度で測定する。 (12)ゲル インフレーションフィルム成形装置で成形した厚み20
μmのフィルム100cm2(10cm×10cm)に存
在するゲルの全数を求める。
【0043】<触媒製造例>固体触媒成分として、溶解
析出法によるTi系触媒を使用した。その製造方法は以
下の通りである。攪拌機および冷却器を取り付けた容量
1リットルの三つ口フラスコの内部を十分に窒素置換し
た後、乾燥ヘキサン250ml、あらかじめ3リットル
振動ミルで1時間粉砕処理を行った無水塩化マグネシウ
ム11.4gおよびn−ブタノール110mlを入れ、
68℃で2時間加熱し均一な溶液(A)とした。この溶
液(A)を室温まで冷却した後、25℃の運動粘度が2
5cStであるメチルハイドロジェンポリシロキサン8g
を添加し、1時間攪拌して均一な溶液(B)を得た。溶
液(B)を水で冷却した後、この中へ四塩化チタン50
mlおよび乾燥ヘキサン50mlを、滴下漏斗を用い1
時間を費やして滴下し、溶液(C)を得た。溶液(C)
は均一であり、反応生成物の錯体は析出していなかっ
た。溶液(C)を還流しながら、68℃で2時間加熱処
理を行った。加熱を開始して約30分後に反応生成物錯
体(D)の析出が見られた。これを採取して乾燥ヘキサ
ン250mlで6回洗浄し、さらに窒素ガスで乾燥し
て、反応生成物錯体(D)19gを回収した。反応生成
物錯体(D)を分析したところ、Mg14.5wt%、n−
ブタノール44.9wt%およびTi0.3wt%を含有して
おり、その比表面積は17m2/gであった。また反応生成
物錯体(D)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したと
ころ、球に近い形状であった。反応生成物錯体(D)
4.5gを窒素雰囲気下で攪拌機および冷却器を取り付
けた容量1リットルの三つ口フラスコに採取し、これに
乾燥ヘキサン250mlおよび四塩化チタン25mlを
加えて還流下に68℃で2時間加熱処理を行い、室温ま
で冷却した後、乾燥ヘキサン250mlで6回洗浄し、
窒素ガスで乾燥して固体触媒成分(E)4.6gを回収
した。この固体触媒成分(E)を分析したところ、Mg
12.5wt%、n−ブタノール17.0wt%およびTi9.
0wt%を含有しており、その比表面積は29m2/gであっ
た。この固体触媒成分(E)をSEMで観察したとこ
ろ、粒径は均一であり球に近い形状であった。
【0044】<実施例1>図1に示した装置により重合
を行った。各装置の重合条件を表1に示す。図1に示し
た連続多段重合プロセスにおいて、第1段反応器1とし
て内容積30リットルの攪拌型反応器を使用し、上記触
媒製造例で得られた固体触媒成分(E)を管4から1.
4g/hr、トリエチルアルミニウム(TEA)を管5から
21mmol/hr、エチレンを管6から1.4kg/hr、ブテン
−1を管7から0.2リットル/hr、水素を管8から0.
02Nl/hr およびn−ヘキサンを管9から70リットル
/hr の流量でそれぞれ供給して、重合温度70℃および
重合圧力14.6kg/cm2Gで連続的にエチレンとブテン−
1との共重合を行い、高分子量成分を製造した。この
時、第1段反応器内は液充満とし、重合反応混合物の滞
留時間は25分、生成量(E1)は1.0kg/hrであっ
た。第1段反応器の重合生成物を一部採取して物性を測
定した結果、極限粘度(η1)は7.1dl/g、密度
(d1)は0.920g/cm3であった。次いで、第1段反
応器の重合生成物を、管12を経て内容積70リットル
の第2段攪拌型反応器2へ差圧により導入した。第2段
反応器においては、エチレンを管6aから1.0kg/hr、
ブテン−1を管7aから0.1リットル/hr、水素を管8
aから6Nl/hr の流量で連続的に供給して、中分子量成
分の重合を行った。この時、第2段反応器内は液充満と
し、重合温度70℃、重合圧力14.4kg/cm2G、第2段
反応器の滞留時間は60分、生成量(E2)は1.0kg/h
rであった。第2段反応器の重合生成物を一部採取し重
合物を回収して物性を測定した結果、極限粘度(η2
は3.9dl/g、密度(d2)は0.934g/cm3であった。
次いで、第2段反応器2からの重合生成物を、管12a
を経て内容積70リットルの第3段攪拌型反応器3へ差
圧により導入した。第3段反応器は、上部に気相部が存
在する状態であり、エチレンを管6bから2.2kg/hr、
水素を管8bから450Nl/hr の流量で連続的に供給
し、低分子量成分の重合を行った。この時、第3段反応
器の気相部の水素/エチレンのモル比は3.4、同ブテ
ン−1/エチレンのモル比は0.009であり、重合温
度は80℃、重合圧力は14.1kg/cm2G、滞留時間は4
0分、生成量(E3)は2.0kg/hrであった。第3段反
応器3からの重合生成物を、移送ポンプ13を経て連続
的にフラッシング槽14へ導入した。この重合生成物を
一部回収し、その物性を測定した結果、極限粘度
(η3)は0.6dl/g、密度(d3)は0.970g/cm3
あった。この多段重合で得られたエチレン/ブテン−1
共重合体のメルトフローレート(MFR)は0.03g/1
0min、ハイロードメルトフロレート(HLMFR)は
6.0g/10min、密度は0.949g/cm3、N−値は2.7
6であった。その他の物性としては、引張降伏強さ(Y
TS)が250kgf/cm2、引張衝撃値(TIS)が 1
000kgf・cm/cm2、曲げこわさ(オルゼン)が7000
kgf/cm2、メルトテンション(MT)24g、臨界剪断
速度(γc)260sec-1、定ひずみESCR (F50
1000hr 以上、ダイスウェル比(DSR)1.4であ
り、機械特性、溶融弾性および流動特性に優れ、またそ
のバランスにも優れていることがわかった。またフィル
ムのゲルも合計8個と少なく、均質であることを示して
いた。これらの評価結果を表2に示す。
【0045】<実施例2〜3>実施例1と同様の重合装
置および触媒を用い、重合条件を変えて3段重合を行っ
た。各重合条件を表1に示し、物性の評価結果を表2に
示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明のエチレン/α−オレフィン共重
合体の連続多段重合法は、以下の特徴を有する。 (1)簡便かつ容易で、工業的に有利な、高分子量成
分、中分子量成分および低分子量成分の3成分系からな
るエチレン/α−オレフィン共重合体の連続多段重合法
を提供する。 (2)高分子量成分、中分子量成分および低分子量成分
の3成分からなり、各段階でそれぞれ生成する重合体の
密度がd1<d2<d3の関係を満たすことにより、最終
的に得られた重合体は、均質性に優れ、溶融弾性(メル
トテンション、ダイスウェル比等)、流動特性(N−
値、臨界剪断速度等)および機械特性(引張衝撃値、耐
環境応力亀裂性等)などの各種物性に優れ、またそれら
のバランスにも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施態様である多段重合法の工程概
略図である。
【符号の説明】 1 第1段反応器 2 第2段反応器 3 第3段反応器 4 触媒導入管 5 アルキルアルミニウム導入管 6、6a、6b 原料モノマー導入管 7、7a、7b 原料コモノマー導入管 8、8a、8b 水素導入管 9、9a、9b 重合溶媒導入管 10、10a、10b、10c 攪拌機 11、11a、11b 冷却器 12、12a、12b 移送管 13 移送ポンプ 14 フラッシング槽 15 スチーム導入管 16 温水導入管 17 脱気管 18 重合体回収管

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも次の(1)から(3)の各工
    程をこの順に実施して、遷移金属触媒の存在下にエチレ
    ンおよびα−オレフィンを連続的に液相で重合すること
    を特徴とするエチレン/α−オレフィン共重合体の連続
    多段重合方法、 (1)第1段階 液充満の反応器を使用し、重合温度(T1)50〜10
    0℃および重合圧力(P1)3〜40kg/cm2G の重合条
    件で、極限粘度(η1)3〜40dl/g および密度
    (d1)0.890〜0.940g/cm3の高分子量成分を重
    合量比(X1)5〜60wt%の割合で製造する工程、 (2)第2段階 液充満の反応器を使用し、重合温度(T2)50〜10
    0℃および重合圧力(P2)3〜40kg/cm2G の重合条
    件で、極限粘度(η2)2〜9dl/g および密度(d2
    0.890〜0.945g/cm3の中分子量成分を重合量比
    (X2)5〜60 wt%の割合で製造する工程、ならび
    に (3)第3段階 液充満の反応器または反応器上部に気相部が存在する反
    応器を使用し、重合温度(T3)60〜100℃および
    重合圧力(P3)3〜40kg/cm2G の重合条件で、極限
    粘度(η3)0.2〜3dl/g および密度(d3)0.89
    0〜0.980g/cm3の低分子量成分を重合量比(X3
    20〜90wt%の割合で製造する工程、 ただし、η1>η2>η3;d1<d2<d3;P1>P2>P
    3およびX1+X2+X3=100である。
  2. 【請求項2】 液相重合がスラリー重合である請求項1
    に記載のエチレン/α−オレフィン共重合体の連続多段
    重合方法。
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