JPH0987324A - メルカプト基含有重合体 - Google Patents

メルカプト基含有重合体

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JPH0987324A
JPH0987324A JP24480795A JP24480795A JPH0987324A JP H0987324 A JPH0987324 A JP H0987324A JP 24480795 A JP24480795 A JP 24480795A JP 24480795 A JP24480795 A JP 24480795A JP H0987324 A JPH0987324 A JP H0987324A
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JP24480795A
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Junichi Josa
淳一 帖佐
Jiro Iriguchi
治郎 入口
Yuichi Kita
裕一 喜多
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種溶媒に可溶なメルカプト基含有重合体を
提供する。 【解決手段】 メルカプト基含有重合体は、クロル基が
直接置換されているポリエチレン骨格を備えた重合体、
例えば、塩化ビニルを含む単量体を重合してなる重合体
が有するクロル基を、メルカプト基で置換してなる。該
メルカプト基含有重合体において、置換されないクロル
基に対する、メルカプト基の比は 1.5以上、スルフィド
結合含有基の比は7以下である。メルカプト基含有重合
体は、上記の重合体と、アルカリ金属の水硫化物とを反
応させることにより、容易に得ることができる。メルカ
プト基含有重合体の赤外吸収スペクトル(IR)を測定
したところ、メルカプト基に由来する特性吸収(2600cm
-1〜2550cm-1、700 cm-1〜600 cm-1)が認められた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロル基が直接置
換されているポリエチレン骨格を備えた重合体が有する
該クロル基を、メルカプト基で置換してなるメルカプト
基含有重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、農芸化学会誌,第31
巻,第10号,p703-706,(1957)や、特公昭45-40301号公
報等に開示されているように、メルカプト基含有重合体
としてのポリビニルメルカプタンが知られている。上記
のポリビニルメルカプタンは、ポリ塩化ビニルと水硫化
ナトリウムとを反応させることにより、該ポリ塩化ビニ
ルが有するクロル基(−Cl)を、メルカプト基(−S
H)で置換(チオール化)してなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
農芸化学会誌に記載されているポリビニルメルカプタン
は、メルカプト基の置換率が数%と低い。また、特公昭
45-40301号公報に開示されているポリビニルメルカプタ
ンにおいては、ポリ塩化ビニルと水硫化ナトリウムとの
反応により導入されるメルカプト基の殆どが、ポリマー
主鎖の架橋反応に供されている。つまり、置換されない
クロル基とメルカプト基とが脱塩酸反応することにより
形成されるスルフィド結合等(−S−、−S−S−、
等)によって、該ポリビニルメルカプタンの主鎖が架橋
されており、従ってメルカプト基の含有率(置換率)が
低い。
【0004】つまり、上記従来のポリビニルメルカプタ
ンは、メルカプト基の置換率が比較的低く、かつ、架橋
構造が比較的多いために溶媒に不溶であり、ゲル化す
る。それゆえ、取り扱いが困難であり、用途が限られて
いる。従って、各種溶媒に可溶なポリビニルメルカプタ
ンが求められている。
【0005】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、各種溶媒に可溶なメルカプ
ト基含有重合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
目的を達成すべく、クロル基が直接置換されているポリ
エチレン骨格を備えた重合体、例えば、塩化ビニルを含
む単量体を重合してなる重合体が有するクロル基(−C
l)を、メルカプト基(−SH)で置換(チオール化)
してなるメルカプト基含有重合体について鋭意検討し
た。その結果、置換されないクロル基に対する、メルカ
プト基の比が 1.5以上、スルフィド結合(−S−、−S
−S−、等)含有基の比が7以下であるメルカプト基含
有重合体、並びに、メルカプト基の置換率が60%以上、
スルフィド結合含有基の置換率が30%以下であるメルカ
プト基含有重合体が、各種溶媒に可溶であることを見い
出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】即ち、請求項1記載の発明のメルカプト基
含有重合体は、上記の課題を解決するために、クロル基
が直接置換されているポリエチレン骨格を備えた重合体
が有する該クロル基を、メルカプト基で置換してなるメ
ルカプト基含有重合体であって、置換されないクロル基
に対する、メルカプト基の比が 1.5以上、スルフィド結
合含有基の比が7以下であることを特徴としている。
【0008】請求項2記載の発明のメルカプト基含有重
合体は、上記の課題を解決するために、クロル基が直接
置換されているポリエチレン骨格を備えた重合体が有す
る該クロル基を、メルカプト基で置換してなるメルカプ
ト基含有重合体であって、メルカプト基の置換率が60%
以上、スルフィド結合含有基の置換率が30%以下である
ことを特徴としている。
【0009】上記の構成によれば、メルカプト基含有重
合体は、従来公知のメルカプト基含有重合体であるポリ
ビニルメルカプタンよりもメルカプト基を多く有し、か
つ、架橋構造が少ないので、各種溶媒に可溶となる。こ
れにより、メルカプト基含有重合体は、例えば溶媒に溶
解させた溶液の状態で取り扱えるので、その取り扱い性
が向上する。
【0010】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
おいて、クロル基が直接置換されているポリエチレン骨
格を備えた重合体とは、具体的には、例えば、塩化ビニ
ルおよび/または塩化ビニリデンを含む単量体を重合し
てなる重合体、および、塩素化ポリエチレン等を示す。
そして、これら重合体のうち、塩化ビニルを含む単量体
を重合してなる重合体が特に好ましい。尚、以下の説明
においては、クロル基が直接置換されているポリエチレ
ン骨格を備えた重合体として、塩化ビニルを含む単量体
を重合してなる重合体を例に挙げることとする。
【0011】上記塩化ビニルを含む単量体(以下、単に
単量体と記す)とは、塩化ビニルのみ、塩化ビニ
ル、および、塩化ビニルとの共重合が可能なモノマーか
らなる混合物、を示す。つまり、上記の単量体を重合し
てなる重合体(以下、単に重合体と記す)とは、塩化ビ
ニルの単独重合体、および、塩化ビニルの共重合体を示
す。また、本発明において、スルフィド結合含有基と
は、重合体の架橋部位、即ち、例えば、置換されないク
ロル基とメルカプト基とが脱塩酸反応することにより形
成されるスルフィド結合(−S−)、ジスルフィド結合
(−S−S−)等を含有する二価基を示す。
【0012】塩化ビニルとの共重合が可能なモノマー
は、分子内にエチレン性の二重結合を一つ有する化合物
であればよく、特に限定されるものではない。該モノマ
ーとしては、具体的には、例えば、酢酸ビニル、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレ
ン、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これら
化合物は、一種類のみを塩化ビニルと共重合させてもよ
く、また、二種類以上を塩化ビニルと共重合させてもよ
い。上記例示の化合物のうち、酢酸ビニルが特に好まし
い。尚、塩化ビニルとの共重合が可能であっても、メル
カプト基と反応し得る官能基を有する化合物、特に、分
子内にエチレン性の二重結合を二つ以上有するブタジエ
ン、イソプレン、ジビニルベンゼン等の化合物は、本発
明におけるモノマーとして不適である。
【0013】重合体が塩化ビニルの共重合体である場合
において、共重合体における塩化ビニルに由来する構成
単位の含有量、即ち、単量体中の塩化ビニルの割合は、
特に限定されるものではないが、20重量%以上がより好
ましく、30重量%以上がさらに好ましい。
【0014】単量体の重合方法、即ち、重合体の製造方
法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の
製造方法を採用することができる。上記重合体の分子量
は、特に限定されるものではないが、5,000 〜3,000,00
0 の範囲内が好ましく、10,000〜1,000,000 の範囲内が
より好ましい。
【0015】本発明にかかるメルカプト基含有重合体
は、重合体と、アルカリ金属の水硫化物(以下、単に水
硫化物と記す)とを反応させることにより、容易に得る
ことができる。尚、重合体と水硫化物との反応方法、即
ち、メルカプト基含有重合体の製造方法は、特に限定さ
れるものではない。
【0016】上記の水硫化物としては、具体的には、例
えば、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム等が挙げられ
る。このうち、水硫化ナトリウムがより好ましい。重合
体に対する水硫化物の使用量は、特に限定されるもので
はないが、重合体が有するクロル基に対して、 0.6当量
〜 1.2当量の範囲内となる量、即ち、60モル%〜 120モ
ル%の範囲内となる量がより好ましく、80モル%〜 100
モル%の範囲内となる量がさらに好ましい。
【0017】重合体と水硫化物との混合方法は、特に限
定されるものではないが、重合体を溶媒に溶解させてな
る溶液に、水硫化物を逐次添加する方法がより好まし
い。また、逐次添加する方法のうち、水硫化物を溶媒に
溶解させてなる溶液を逐次滴下する方法が特に好まし
い。水硫化物を逐次添加することにより、スルフィド結
合含有基の形成をより一層抑制することができる。尚、
水硫化物の添加に要する時間は、水硫化物の使用量等に
もよるが、 0.5時間〜10時間程度が好適であり、1時間
〜3時間程度が特に好適である。
【0018】上記の溶媒は、重合体および/または水硫
化物を溶解させることができ、かつ、置換反応に対して
不活性な化合物であればよく、特に限定されるものでは
ない。溶媒としては、具体的には、例えば、重合体お
よび水硫化物を溶解させることができる化合物(以下、
溶媒と称する)、例えばN,N-ジメチルホルムアミド等
のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類
等;重合体を溶解させることができる化合物(以下、
溶媒と称する)、例えばメチルエチルケトンやメチル
プロピルケトン等のケトン類、酢酸メチルや酢酸エチル
等のエステル類、アセトニトリルやベンゾニトリル等の
ニトリル類等;水硫化物を溶解させることができる化
合物(以下、溶媒と称する)、例えばメタノール、エ
タノール、プロパノール等のアルコール類;が挙げられ
る。そして、反応に好適な溶媒の組み合わせは、溶媒
単独、溶媒と溶媒との混合物、溶媒と溶媒との
混合物、溶媒と溶媒との混合物、および、溶媒と
溶媒と溶媒との混合物が挙げられる。これら組み合
わせのうち、溶媒単独がさらに好ましい。また、溶媒
のうち、N,N-ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
尚、溶媒、溶媒および溶媒において、同一の群に
含まれる化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、
二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0019】溶媒の使用量は、特に限定されるものでは
ないが、重合体に対して 0.5重量倍〜20重量倍の範囲内
となる量がより好ましく、2重量倍〜10重量倍の範囲内
となる量がさらに好ましい。溶媒の使用量が 0.5重量倍
よりも少ないと、重合体を完全に溶解させることができ
なくなるおそれがある。また、溶媒の使用量を20重量倍
より多くしても、上記の範囲内となる量を使用した場合
と比較して、効果が殆ど変わらない。
【0020】反応温度は、用いる溶媒等にもよるが、50
℃〜 110℃の範囲内が好ましく、70℃〜 100℃の範囲内
がより好ましい。重合体と水硫化物とを上記の反応温度
で反応させることにより、重合体が有するクロル基がメ
ルカプト基に置換され、本発明にかかるメルカプト基含
有重合体が生成すると共に、アルカリ金属塩化物が副生
する。反応温度が50℃よりも低いと、反応の進行が遅く
なり、メルカプト基含有重合体を効率的に得ることがで
きなくなるので好ましくない。また、反応温度が 110℃
よりも高いと、架橋反応が進行し、メルカプト基含有重
合体が架橋構造を有して溶媒に不溶となり、ゲル化する
ので好ましくない。
【0021】反応時間は、例えば、重合体、水硫化物お
よび溶媒等の種類や組み合わせ、使用量、水硫化物の逐
次添加に要する時間、反応温度等に応じて、適宜設定す
ればよい。従って、反応時間は、特に限定されるもので
はない。また、反応圧力は、特に限定されるものではな
く、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであってもよ
い。尚、上記の反応においては、従来公知の酸化防止剤
を必要に応じて用いることができる。また、上記の反応
は、触媒を必要としない。
【0022】上記の置換反応により、置換反応に寄与し
なかったクロル基、即ち、置換されないクロル基に対す
るメルカプト基の比(メルカプト基/クロル基)が 1.5
以上、より好ましくは 4.0以上、特に好ましくは 9.0以
上であり、かつ、置換されないクロル基に対するスルフ
ィド結合含有基の比(スルフィド結合含有基/クロル
基)が7以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは
3以下のメルカプト基含有重合体が得られる。或いは、
上記の置換反応により、反応前の重合体が有するクロル
基に対するメルカプト基の置換率が60%以上、より好ま
しくは80%以上、特に好ましくは90%以上であり、か
つ、反応前の重合体が有するクロル基に対するスルフィ
ド結合含有基の置換率が30%以下、より好ましくは20%
以下、特に好ましくは10%以下のメルカプト基含有重合
体が得られる。
【0023】上記構成のメルカプト基含有重合体は、メ
ルカプト基を比較的多く有し、かつ、架橋構造が比較的
少ないので、前記したN,N-ジメチルホルムアミド等の各
種溶媒に可溶となる。これにより、メルカプト基含有重
合体は、例えば溶媒に溶解させた溶液の状態で取り扱え
るので、その取り扱い性が向上する。該メルカプト基含
有重合体は、例えば、キレート剤、エポキシ樹脂やポリ
エン樹脂等のポリマーの架橋剤、ポリマーの改質剤、繊
維処理剤等の広範囲の用途に供することができる。尚、
上記のポリエン樹脂としては、例えば、ブタジエン系ポ
リマー、アリルアルコールのエステル化物若しくはエー
テル化物のポリマー等が挙げられる。
【0024】また、上記構成のメルカプト基含有重合体
は、水に不溶である。このため、適当な溶媒に溶解させ
たメルカプト基含有重合体を多量の水中に投入し、析出
させることにより、容易に単離・精製することができ
る。
【0025】以上のように、本発明にかかるメルカプト
基含有重合体は、クロル基が直接置換されているポリエ
チレン骨格を備えた重合体、例えば、塩化ビニルを含む
単量体を重合してなる重合体が有するクロル基を、メル
カプト基で置換してなるメルカプト基含有重合体であっ
て、置換されないクロル基に対する、メルカプト基の比
が 1.5以上、スルフィド結合含有基の比が7以下である
構成である。また、本発明にかかるメルカプト基含有重
合体は、クロル基が直接置換されているポリエチレン骨
格を備えた重合体、例えば、塩化ビニルを含む単量体を
重合してなる重合体が有するクロル基を、メルカプト基
で置換してなるメルカプト基含有重合体であって、メル
カプト基の置換率が60%以上、スルフィド結合含有基の
置換率が30%以下である構成である。
【0026】上記の構成によれば、メルカプト基含有重
合体は、従来公知のメルカプト基含有重合体であるポリ
ビニルメルカプタンよりもメルカプト基を多く有し、か
つ、架橋構造が少ないので、各種溶媒に可溶となる。こ
れにより、メルカプト基含有重合体は、例えば溶媒に溶
解させた溶液の状態で取り扱えるので、その取り扱い性
が向上する。該メルカプト基含有重合体は、例えば、キ
レート剤、架橋剤、ポリマーの改質剤、繊維処理剤等の
広範囲の用途に供することができる。尚、上記の説明に
おいては、クロル基が直接置換されているポリエチレン
骨格を備えた重合体として、塩化ビニルを含む単量体を
重合してなる重合体を例に挙げたが、クロル基が直接置
換されているポリエチレン骨格を備えた重合体は、上記
例示の重合体にのみ限定されるものではない。
【0027】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0028】〔実施例1〕温度計、滴下ロート、還流冷
却器、窒素ガス導入管および攪拌機を備えた容量500ml
の四ツ口フラスコ(反応器)に、重合体としての塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体(塩化ビニル:酢酸ビニル=
68:32(重量比);電気化学工業株式会社製,商品名
デンカ#1000D)10g、溶媒としてのN,N-ジメチル
ホルムアミド(以下、DMFと記す) 100g、および、
酸化防止剤(日本チバガイギー株式会社製,商品名 I
rganox1010)40mgを仕込んだ後、フラスコ内
を窒素ガス置換した。
【0029】一方、滴下ロートに、水硫化物としての水
硫化ナトリウム(キシダ化学株式会社製,純度70%)8.
28g(0.1033モル)をDMF 100gに溶解してなる溶液
を入れた後、該滴下ロート内を30分間かけて窒素ガス置
換した。上記水硫化ナトリウムは、重合体が有するクロ
ル基に対する割合が95モル%となるようにした。
【0030】次に、フラスコ内の混合物を窒素気流下で
攪拌しながら内温が85℃になるまで加熱し、85℃に達し
た後、滴下ロート内の溶液を3時間かけて逐次滴下し
た。滴下終了後、窒素気流下で反応液を85℃でさらに2
時間攪拌して、反応(熟成)させた。
【0031】上記の反応はほぼ定量的に進行し、反応液
は黄色懸濁液となった。そして、反応終了後、攪拌を停
止すると、反応液中に分散していた物質は沈殿し、該反
応液は淡褐色透明となった。
【0032】次いで、反応液を室温まで冷却した後、沈
殿物を濾過した。そして、減圧下で加熱することによ
り、該沈殿物に含まれる溶媒を除去した。これにより、
乾燥した沈殿物 5.7gを得た。以上のようにして得た沈
殿物を蛍光エックス線により分析した結果、該沈殿物が
塩化ナトリウムであることを確認した。また、塩化ナト
リウムは 0.098モル生成しており、仕込んだ水硫化ナト
リウムに対する割合は、95モル%であった。
【0033】一方、沈殿物である塩化ナトリウムを濾過
した後の濾液を、2000mlの水中に投じて反応生成物を析
出させた。析出した反応生成物を水で2回洗浄した後、
50℃で減圧乾燥した。これにより、白色粉末状のポリマ
ー 9.7gを得た。
【0034】以上のようにして得たポリマーについて、
赤外吸収スペクトル(IR)を測定した。その結果、図
1に示すように、メルカプト基に由来する特性吸収(26
00cm-1〜2550cm-1、700 cm-1〜600 cm-1)が認められ、
上記のポリマーがメルカプト基を含有していることを確
認した。そして、該ポリマーについて、元素分析を行な
い、各元素の含有量を算出した。その結果、ポリマー1
g中に、メルカプト基が95ミリモル含まれると共に、置
換されないクロル基が11ミリモル含まれていることがわ
かった。つまり、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が有
するクロル基がメルカプト基に置換されたことを確認
し、これにより、本発明にかかるメルカプト基含有重合
体が得られたことがわかった。
【0035】〔実施例2〕温度計、滴下ロート、還流冷
却器、窒素ガス導入管および攪拌機を備えた容量500ml
の四ツ口フラスコ(反応器)に、重合体としての塩化ビ
ニル単独重合体(重量平均分子量 (Mw) 31,000;日本ゼ
オン株式会社製,商品名 RZ55)10g(0.1600モ
ル)、DMF 100g、および、酸化防止剤(日本チバガ
イギー株式会社製,商品名 Irganox1010)
40mgを仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガス置換した。
【0036】一方、滴下ロートに、水硫化ナトリウム
(キシダ化学株式会社製,純度70%)12.18g(0.1520
モル)をDMF 100gに溶解してなる溶液を入れた後、
該滴下ロート内を30分間かけて窒素ガス置換した。上記
水硫化ナトリウムは、重合体が有するクロル基に対する
割合が95モル%となるようにした。次いで、実施例1と
同様の反応および操作を行うことにより、乾燥した沈殿
物 8.6gと、白色粉末状のポリマー 9.6gとを得た。
【0037】上記の沈殿物を蛍光エックス線により分析
した結果、該沈殿物が塩化ナトリウムであることを確認
した。また、塩化ナトリウムは 0.147モル生成してお
り、仕込んだ水硫化ナトリウムに対する割合は、97モル
%であった。
【0038】一方、上記のポリマーについて、赤外吸収
スペクトル(IR)を測定した。その結果、図2に示す
ように、メルカプト基に由来する特性吸収が認められ、
上記のポリマーがメルカプト基を含有していることを確
認した。そして、該ポリマーについて、元素分析を行な
い、各元素の含有量を算出した。その結果、ポリマー1
g中に、メルカプト基が 145ミリモル含まれると共に、
置換されないクロル基が11ミリモル含まれていることが
わかった。つまり、塩化ビニル単独重合体が有するクロ
ル基がメルカプト基に置換されたことを確認し、これに
より、本発明にかかるメルカプト基含有重合体が得られ
たことがわかった。
【0039】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のメルカプト基含
有重合体は、以上のように、クロル基が直接置換されて
いるポリエチレン骨格を備えた重合体が有する該クロル
基を、メルカプト基で置換してなるメルカプト基含有重
合体であって、置換されないクロル基に対する、メルカ
プト基の比が 1.5以上、スルフィド結合含有基の比が7
以下である構成である。また、本発明の請求項2記載の
メルカプト基含有重合体は、以上のように、クロル基が
直接置換されているポリエチレン骨格を備えた重合体が
有する該クロル基を、メルカプト基で置換してなるメル
カプト基含有重合体であって、メルカプト基の置換率が
60%以上、スルフィド結合含有基の置換率が30%以下で
ある構成である。それゆえ、メルカプト基含有重合体
は、従来公知のメルカプト基含有重合体であるポリビニ
ルメルカプタンよりもメルカプト基を多く有し、かつ、
架橋構造が少ないので、各種溶媒に可溶となる。
【0040】これにより、メルカプト基含有重合体は、
例えば溶媒に溶解させた溶液の状態で取り扱えるので、
その取り扱い性が向上するという効果を奏する。該メル
カプト基含有重合体は、例えば、キレート剤、架橋剤、
ポリマーの改質剤、繊維処理剤等の広範囲の用途に供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例において得られたメルカプト
基含有重合体の赤外吸収スペクトルのチャートである。
【図2】本発明の他の実施例において得られたメルカプ
ト基含有重合体の赤外吸収スペクトルのチャートであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロル基が直接置換されているポリエチレ
    ン骨格を備えた重合体が有する該クロル基を、メルカプ
    ト基で置換してなるメルカプト基含有重合体であって、 置換されないクロル基に対する、メルカプト基の比が
    1.5以上、スルフィド結合含有基の比が7以下であるこ
    とを特徴とするメルカプト基含有重合体。
  2. 【請求項2】クロル基が直接置換されているポリエチレ
    ン骨格を備えた重合体が有する該クロル基を、メルカプ
    ト基で置換してなるメルカプト基含有重合体であって、 メルカプト基の置換率が60%以上、スルフィド結合含有
    基の置換率が30%以下であることを特徴とするメルカプ
    ト基含有重合体。
JP24480795A 1995-09-22 1995-09-22 メルカプト基含有重合体 Pending JPH0987324A (ja)

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JP24480795A JPH0987324A (ja) 1995-09-22 1995-09-22 メルカプト基含有重合体

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