JPH09255708A - 重合触媒およびそれを用いたビニル重合体の製造方法 - Google Patents

重合触媒およびそれを用いたビニル重合体の製造方法

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JPH09255708A
JPH09255708A JP8072352A JP7235296A JPH09255708A JP H09255708 A JPH09255708 A JP H09255708A JP 8072352 A JP8072352 A JP 8072352A JP 7235296 A JP7235296 A JP 7235296A JP H09255708 A JPH09255708 A JP H09255708A
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vinyl
polymerization catalyst
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mercapto group
polymer
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Junichi Josa
淳一 帖佐
Jiro Iriguchi
治郎 入口
Yuichi Kita
裕一 喜多
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F4/00Polymerisation catalysts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再利用可能な重合触媒を提供する。また、ビ
ニル重合体を安価に製造することができる製造方法を提
供する。 【解決手段】 重合触媒は、 1,000以上の重量平均分子
量を有するメルカプト基含有化合物、或いは、一分子内
に10個以上のメルカプト基を有するメルカプト基含有化
合物である。重合触媒は、例えば、ハロゲン含有化合物
と水硫化物とを反応させて、ハロゲン含有化合物が有す
るハロゲンをメルカプト基で置換することによって得ら
れる。重合触媒の赤外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、メルカプト基に由来する特性吸収(2600cm-1〜2550
cm-1、700 cm-1〜600 cm-1)が認められた。また、ビニ
ル重合体の製造方法は、上記重合触媒の存在下でビニル
化合物を重合させる方法である。これにより、ビニル重
合体と重合触媒との結合を防止し、重合触媒をビニル重
合体と分離することを可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニル化合物の重
合を促進する重合触媒、およびそれを用いるビニル重合
体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、ビニル化合物の重合
を開始させる重合開始剤として、メルカプト基を有する
メルカプト基含有化合物が用いられている。例えば、Po
lymerInternational,30,p73-79,(1993)や Polymer Jour
nal,Vol.24,No.4,p73-79,(1992)においては、メチルメ
タクリレートやN-置換マレイミドの重合を開始させる重
合開始剤として、チオフェノールが用いられている。
【0003】また、特開平6-199952号公報および特開平
7-179538号公報では、重合性単量体の重合を行う際に、
重合開始剤としてペンタエリスリトールテトラキスチオ
グリコレート等の多価メルカプタンが用いられている。
この場合、重合性単量体の重合によって形成された複数
の重合体部分が多価メルカプタンに結合することによっ
てスター型重合体が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のメルカプト基含有化合物は、一分子内に有するメルカ
プト基の数が少なく、低分子量であるので、メルカプト
基含有化合物が有するメルカプト基がビニル重合体と結
合している。このため、メルカプト基含有化合物をビニ
ル重合体と分離することができないという問題点を有し
ている。また、低分子量のメルカプト基含有化合物は、
臭いや毒性が強いため、取り扱い性に劣るという問題点
も有している。
【0005】それゆえ、ビニル化合物の重合を促進する
ことができ、かつ、生成するビニル重合体と結合せず、
重合後に単離して再利用することができる化合物、即
ち、再利用可能な重合触媒が求められている。本発明
は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その
目的は、再利用可能な重合触媒、および、ビニル重合体
を安価に製造することができるビニル重合体の製造方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
目的を達成すべく、ビニル化合物の重合を促進する重合
触媒について鋭意検討した。その結果、 1,000以上の重
量平均分子量を有するメルカプト基含有化合物、或い
は、一分子内に10個以上のメルカプト基を有するメルカ
プト基含有化合物が、重合触媒として好適であり、かつ
再利用可能であることを見い出した。また、上記重合触
媒の存在下でビニル化合物を重合させることにより、ビ
ニル重合体を安価に製造することができることを見い出
し、本発明を完成させるに至った。
【0007】即ち、請求項1記載の発明の重合触媒は、
上記の課題を解決するために、ビニル化合物の重合を促
進する重合触媒であって、 1,000以上の重量平均分子量
を有するメルカプト基含有化合物であることを特徴とし
ている。
【0008】請求項2記載の発明の重合触媒は、上記の
課題を解決するために、請求項1記載の重合触媒におい
て、上記メルカプト基含有化合物が、一分子内に10個以
上のメルカプト基を有することを特徴としている。
【0009】請求項3記載の発明の重合触媒は、上記の
課題を解決するために、ビニル化合物の重合を促進する
重合触媒であって、一分子内に10個以上のメルカプト基
を有するメルカプト基含有化合物であることを特徴とし
ている。
【0010】上記構成によれば、ビニル化合物の重合に
より生成するビニル重合体と結合することを防止するこ
とができる。これにより、重合触媒は、ビニル重合体と
分離して再利用することが可能となる。
【0011】また、請求項4記載の発明のビニル重合体
の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1
ないし3のいずれか1項に記載の重合触媒の存在下でビ
ニル化合物を重合させることを特徴としている。
【0012】上記方法によれば、ビニル重合体と重合触
媒との結合を防止することができるので、重合触媒をビ
ニル重合体と分離することが可能となる。これにより、
重合触媒を繰り返し使用することができ、ビニル重合体
を安価に製造することができる。
【0013】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかる重合触媒は、 1,000以上の重量平均分子量を有す
るメルカプト基含有化合物(以下、メルカプト基含有化
合物(A)と記す)である。或いは、本発明にかかる重
合触媒は、一分子内に10個以上のメルカプト基を有する
メルカプト基含有化合物(以下、メルカプト基含有化合
物(B)と記す)である。
【0014】上記メルカプト基含有化合物(A)の重量
平均分子量は、 1,000以上であればよいが、5,000 以上
がより好ましく、10,000以上がさらに好ましい。メルカ
プト基含有化合物(A)の重量平均分子量を 1,000以上
にすることにより、重合触媒がビニル重合体と結合する
ことを防止することができるので、重合触媒を分離して
再利用することができる。また、メルカプト基に起因す
る臭いや毒性を抑制することができ、取り扱い性を向上
させることができる。メルカプト基含有化合物(A)
は、架橋体であってもよく、非架橋体であってもよい
が、架橋体の方が、重合触媒とビニル重合体との分離が
容易である。
【0015】上記メルカプト基含有化合物(A)は、少
なくとも1つのメルカプト基を有していればよいが、一
分子内に10個以上のメルカプト基を有するのがより好ま
しく、一分子内に20個以上のメルカプト基を有するのが
さらに好ましく、一分子内に30個以上のメルカプト基を
有するのがより一層好ましい。メルカプト基含有化合物
(A)が有するメルカプト基の数を10個以上にすること
により、ビニル重合体の重合を促進する効果を向上させ
ることができる。また、重合触媒がビニル重合体と結合
することをより確実に防止することができる。
【0016】上記メルカプト基含有化合物(B)は、一
分子内に10個以上のメルカプト基を有していればよい
が、一分子内に20個以上のメルカプト基を有するのがよ
り好ましく、一分子内に30個以上のメルカプト基を有す
るのがさらに好ましい。メルカプト基含有化合物(B)
が有するメルカプト基の数を10個以上にすることによ
り、重合触媒がビニル重合体と結合することを防止する
ことができるので、重合触媒を分離して再利用すること
ができる。また、ビニル重合体の重合を促進する効果を
向上させることができる。メルカプト基含有化合物
(B)は、架橋体であってもよく、非架橋体であっても
よいが、架橋体の方が、重合触媒とビニル重合体との分
離が容易である。
【0017】メルカプト基含有化合物(A)またはメル
カプト基含有化合物(B)(以下、これらをまとめてメ
ルカプト基含有化合物と称する)は、ハロゲン含有化合
物が有するハロゲンをメルカプト基で置換することによ
って効率的に製造することができる。尚、メルカプト基
含有化合物の製造方法については、上記方法に限定され
るものではない。
【0018】上記ハロゲン含有化合物は、メルカプト基
に置換可能なハロゲンを有する化合物であれば、特に限
定されるものではない。ハロゲン含有化合物としては、
具体的には、例えば、塩化ビニルおよび/または塩化ビ
ニリデンを含む単量体を重合してなる重合体、塩素化ポ
リエチレン等の塩素化ポリオレフィン類等のハロゲンが
直接置換されているポリエチレン骨格を備えた重合体;
p-ブロモスチレン等のハロゲン化スチレンを含む単量体
を重合してなる重合体等が挙げられる。そして、これら
化合物のうち、塩化ビニルを含む単量体を重合してなる
重合体が特に好ましい。
【0019】尚、メルカプト基含有化合物を架橋体にす
るためには、ハロゲン含有化合物として架橋重合体を用
いればよい。上記架橋重合体は、例えば、架橋剤の存在
下で上記例示の単量体を重合することにより得られる。
上記例示の単量体のうちでも、ハロゲン化スチレンを含
む単量体が、特に好ましい。上記架橋剤としては、一般
的な架橋剤を用いることができる。具体的には、ジビニ
ルベンゼン、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等が
挙げられる。これら架橋剤は、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0020】上記ハロゲン含有化合物の分子量は、特に
限定されるものではないが、5,000〜3,000,000 の範囲
内がより好ましく、10,000〜1,000,000 の範囲内がさら
に好ましい。
【0021】以下、ハロゲン含有化合物として、塩化ビ
ニルを含む単量体を重合してなる重合体(以下、塩化ビ
ニル重合体と称する)を例に挙げてさらに詳しく説明す
る。上記塩化ビニルを含む単量体とは、塩化ビニルの
み、塩化ビニル、および、塩化ビニルとの共重合が可
能なモノマーからなる混合物である。つまり、塩化ビニ
ル重合体は、塩化ビニルの単独重合体、または、塩化ビ
ニルの共重合体である。
【0022】塩化ビニルとの共重合が可能なモノマー
(以下、共重合性モノマーと称する)は、分子内にエチ
レン性の二重結合を一つ有する化合物であればよく、特
に限定されるものではない。共重合性モノマーとして
は、具体的には、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、(メ
タ)アクリロニトリル等が挙げられる。これら化合物
は、一種類のみを塩化ビニルと共重合させてもよく、ま
た、二種類以上を塩化ビニルと共重合させてもよい。上
記例示の化合物のうち、酢酸ビニルが特に好ましい。
尚、ブタジエン、イソプレン等の1,3-ジエン類を用いる
と、塩化ビニル重合体がエチレン性の二重結合を有し
て、メルカプト基と反応するおそれがある。
【0023】上記共重合性モノマーに由来する構成単位
は、重合後に変性されていてもよい。即ち、塩化ビニル
重合体は、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が
有するエステル結合を加水分解(けん化)してなる塩化
ビニル−ビニルアルコール共重合体(けん化体)であっ
てもよい。上記加水分解(けん化)の方法については、
特に限定されるものではなく、従来公知の種々の方法を
採用することができる。
【0024】上記塩化ビニル重合体において、塩化ビニ
ルに由来する構成単位の含有量、即ち、単量体中の塩化
ビニルの割合は、特に限定されるものではないが、20重
量%以上がより好ましく、30重量%以上がさらに好まし
い。単量体の重合方法は、特に限定されるものではな
く、従来公知の種々の製造方法を採用することができ
る。
【0025】次に、ハロゲン含有化合物が有するハロゲ
ンをメルカプト基に置換する方法について説明する。上
記ハロゲン含有化合物が有するハロゲンをメルカプト基
に置換する方法としては、ハロゲン含有化合物とアルカ
リ金属の水硫化物(以下、単に水硫化物と記す)とを反
応させる方法が、ハロゲンをメルカプト基に効率的に置
換することができるので、特に好適である。上記方法で
は、ハロゲン含有化合物が有するハロゲンがメルカプト
基に置換されるのに伴って、アルカリ金属ハロゲン化物
が副生する。
【0026】上記の水硫化物としては、具体的には、例
えば、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム等が挙げられ
る。このうち、水硫化ナトリウムがより好ましい。ハロ
ゲン含有化合物に対する水硫化物の使用量は、ハロゲン
含有化合物が有するハロゲンに対して、0.01当量〜 1.2
当量の範囲内となる量、即ち、1モル%〜 120モル%の
範囲内となる量が好ましく、3モル%〜 100モル%の範
囲内となる量がより好ましく、5モル%〜95モル%の範
囲内となる量が最も好ましい。ハロゲン含有化合物に対
する水硫化物の使用量を上記範囲内にすることにより、
ハロゲン含有化合物が有するハロゲンをメルカプト基で
より効率的に置換することができる。
【0027】上記ハロゲン含有化合物と水硫化物とを混
合する際には、ハロゲン含有化合物および/または水硫
化物を反応溶媒に溶解するのが好ましい。上記の反応溶
媒は、ハロゲン含有化合物および/または水硫化物を溶
解させることができ、かつ、置換反応に対して不活性な
化合物であればよく、特に限定されるものではない。反
応溶媒としては、具体的には、例えば、ハロゲン含有
化合物および水硫化物を溶解させることができる化合物
(以下、溶媒と称する)、例えばN,N-ジメチルホルム
アミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホ
キシド類、スルフォン類等;ハロゲン含有化合物を溶
解させることができる化合物(以下、溶媒と称す
る)、例えばメチルエチルケトンやメチルプロピルケト
ン等のケトン類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル
類、アセトニトリルやベンゾニトリル等のニトリル類
等;水硫化物を溶解させることができる化合物(以
下、溶媒と称する)、例えばメタノール、エタノー
ル、プロパノール等のアルコール類等が挙げられる。上
記スルフォン類としては、ジメチルスルフォン等のジア
ルキルスルフォン、スルフォラン等の環状アルキルスル
フォン等が挙げられる。
【0028】そして、反応に好適な溶媒の組み合わせ
は、溶媒単独、溶媒と溶媒との混合物、溶媒と
溶媒との混合物、溶媒と溶媒との混合物、およ
び、溶媒と溶媒と溶媒との混合物である。これら
組み合わせのうち、溶媒単独がさらに好ましい。ま
た、溶媒のうち、スルフォン類、N,N-ジメチルホルム
アミドが好ましく、スルフォン類が特に好ましい。これ
により、ハロゲン含有化合物が有するハロゲンを、メル
カプト基でより効率的に置換することができる。尚、溶
媒、溶媒および溶媒において、同一の群に含まれ
る化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類
以上を適宜混合して用いてもよい。
【0029】ハロゲン含有化合物と水硫化物とを混合す
る方法としては、ハロゲン含有化合物を反応溶媒に溶解
してなる溶液に水硫化物を添加する方法が特に好まし
い。ハロゲン含有化合物を溶解させるために使用する反
応溶媒の量としては、ハロゲン含有化合物に対して1重
量倍〜50重量倍の範囲内となる量がより好ましく、5重
量倍〜30重量倍の範囲内となる量がさらに好ましい。
【0030】水硫化物は、一括添加してもよく、逐次添
加してもよいが、逐次添加することが特に好ましい。こ
れにより、スルフィド結合含有基の形成を抑制すること
ができる。そして、水硫化物を逐次添加する方法のうち
でも、水硫化物を反応溶媒に溶解してなる溶液を逐次滴
下する方法が特に好ましい。水硫化物を溶解するために
使用する反応溶媒の量としては、水硫化物に対して1重
量倍〜50重量倍の範囲内となる量がより好ましく、5重
量倍〜30重量倍の範囲内となる量がさらに好ましい。
【0031】水硫化物の逐次添加に要する時間は、水硫
化物の使用量等にもよるが、 0.5時間〜10時間程度が好
適であり、1時間〜3時間程度が特に好適である。この
ように比較的時間をかけて水硫化物を逐次添加すること
により、スルフィド結合含有基の形成をより一層抑制す
ることができる。
【0032】反応温度は、50℃〜 110℃の範囲内が好ま
しく、70℃〜 100℃の範囲内がより好ましい。ハロゲン
含有化合物と水硫化物とを上記の反応温度で反応させる
ことにより、ハロゲン含有化合物が有するクロル基が効
率的にメルカプト基に置換される。反応温度が50℃より
も低いと、反応の進行が遅くなり、メルカプト基含有化
合物を効率的に得ることができなくなるので好ましくな
い。また、反応温度が110℃よりも高いと、スルフィド
結合含有基が形成されて、得られるメルカプト基含有化
合物が各種溶剤に不溶となり、ゲル化するおそれがあ
る。
【0033】反応時間は、ハロゲン含有化合物、水硫化
物および反応溶媒等の種類や組み合わせ、使用量、水硫
化物の逐次添加に要する時間、反応温度等に応じて、適
宜設定すればよい。従って、反応時間は、特に限定され
るものではない。また、反応圧力は、特に限定されるも
のではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであっ
てもよい。尚、上記の反応においては、従来公知の酸化
防止剤を必要に応じて用いることができる。また、上記
の反応は、触媒を必要としない。
【0034】尚、上記メルカプト基含有化合物は、水に
不溶であるため、適当な溶剤に溶解させたメルカプト基
含有化合物を多量の水中に投入し、析出させることによ
り、容易に単離・精製することができる。
【0035】このようにして、ハロゲン含有化合物が有
するハロゲンをメルカプト基に置換することによって、
メルカプト基含有化合物、即ち重合触媒が得られる。上
記重合触媒は、ビニル化合物の重合を促進することがで
き、ビニル重合体の製造方法に好適に用いられる。
【0036】本発明にかかるビニル重合体の製造方法に
おいては、上記重合触媒の存在下でビニル化合物を重合
させる。上記ビニル化合物は、重合性の二重結合を有す
る化合物であれば、特に限定されるものではない。上記
ビニル化合物としては、具体的には、例えば、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレンおよびその
誘導体、ブタジエンおよびその誘導体、ジシクロペンタ
ジエンおよびその誘導体、スチレンおよびその誘導体、
ジビニルベンゼンおよびその誘導体、(メタ)アクリル
酸およびその塩、(メタ)アクリル酸誘導体、マレイン
酸およびその塩、マレイン酸誘導体等が挙げられる。上
記マレイン酸誘導体としては、無水マレイン酸、マレイ
ミド、N-置換マレイミド等が挙げられる。これらのう
ち、(メタ)アクリル酸およびその塩、(メタ)アクリ
ル酸誘導体、マレイン酸およびその塩、マレイン酸誘導
体等の水溶性単量体が、水溶性のビニル重合体が得ら
れ、重合触媒との分離が容易となるので、より好まし
い。さらに、これら水溶性単量体のうちでも、マレイン
酸およびその塩、マレイン酸誘導体が特に好ましい。こ
れらビニル化合物は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0037】ビニル化合物に対する重合触媒の使用量に
ついては、特に限定されるものではないが、重合触媒が
含有するメルカプト基が、ビニル化合物1モルに対して
1×10-6〜10モルの範囲内となる量が好ましく、2×10
-6〜2モルの範囲内となる量がより好ましい。
【0038】重合方法については、特に限定されるもの
ではなく、溶液重合、懸濁重合等の重合方法を用いるこ
とができる。また、溶液重合や懸濁重合を行う場合、重
合触媒は、溶媒に溶解して溶液状態となっていてもよ
く、溶媒中に分散して懸濁状態となっていてもよい。溶
液重合を行う場合には、重合触媒が懸濁状態となってい
る方が、反応後の反応液から容易に分離して回収するこ
とができるので、より好ましい。また、重合触媒を溶液
状態にすると、重合触媒の活性が高くなり、より高分子
量のビニル重合体が得られる。
【0039】上記溶媒としては、重合触媒と反応しない
溶媒であればよく、特に限定されるものではないが、溶
液重合を行う場合には、ビニル化合物が所望する濃度で
溶解するような溶媒を用いる必要がある。上記溶媒とし
ては、具体的には、例えば、水;メタノール、エタノー
ル、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノー
ル、イソブタノール、sec-ブタノール、 tert-ブタノー
ル等のアルコール類;n-ヘキサン等のヘキサン、n-ヘプ
タン等のヘプタン、n-オクタン等のオクタン等の脂肪族
炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシ
エタン等のエーテル類; N,N'-ジメチルホルムアミド等
のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
類;スルフォラン、ジメチルスルフォン等のスルフォン
類等が挙げられる。上記例示の溶媒のうち、水、脂肪族
炭化水素、芳香族炭化水素が、重合触媒を容易に懸濁状
態にすることができるので、特に好ましい。また、 N,
N'-ジメチルホルムアミド、スルフォン類等の極性の非
プロトン性溶媒は、重合触媒を容易に溶解させることが
できる。これら溶媒は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。尚、ケト
ン類やエステル類は、重合触媒と反応する場合があるた
め、不適である。
【0040】反応液におけるビニル化合物の濃度は、
0.5重量%〜50重量%の範囲内が好ましく、1重量%〜3
0重量%の範囲内がより好ましい。ビニル化合物を上記
の濃度で反応させることにより、ビニル重合体を効率的
に製造することができる。
【0041】また、反応液における重合触媒の濃度は、
0.1重量%〜50重量%の範囲内が好ましく、 0.5重量%
〜30重量%の範囲内がより好ましく、1重量%〜20重量
%の範囲内がさらに好ましい。重合触媒を上記の濃度で
用いることにより、ビニル化合物の重合反応が効率的に
進行し、ビニル重合体を効率的に製造することができ
る。
【0042】反応温度については、通常、30〜150 ℃の
範囲内が好ましく、50〜 120℃の範囲内がより好まし
い。また、反応時間については、通常、1〜20時間の範
囲内が好ましい。
【0043】上記重合反応においては、トリエチレンジ
アミン等のアミンや鉄塩等の助触媒を添加してもよい。
これにより、重合反応をさらに促進させることができ
る。また、溶媒として有機溶媒を用いる場合には、水を
添加することにより、反応を促進させることができる。
【0044】尚、ビニル化合物の重合反応は、重合触媒
によって促進されるため、特に酸素を必要としないが、
系内の有機物が爆発しない範囲で酸素を存在させても何
ら不都合はない。また、公知のラジカル開始剤、例えば
過酸化水素水を添加することもできる。
【0045】上記重合反応により、ビニル重合体と重合
触媒とを含む混合物が得られる。従って、ビニル重合体
と重合触媒とを分離すれば、ビニル重合体を単離するこ
とができ、しかも重合触媒を回収することができる。即
ち、例えば、ビニル重合体と重合触媒との溶解度の差を
利用して分離すればよい。具体的には、例えば、水溶性
のビニル単量体を用いて水溶液重合を行った場合には、
生成したビニル重合体が溶解し、重合触媒が沈澱するの
で、反応後の反応液をそのまま濾過するだけで容易に分
離することができる。また、反応後、重合触媒が溶媒に
溶解している場合には、溶媒を除去した後、水に投入す
ればよい。これにより、重合触媒のみが沈澱するので、
濾過によって容易に分離することができる。
【0046】尚、ビニル重合体の分子量は、特に限定さ
れるものではなく、所望の物性や用途等に応じて適宜調
節すればよい。
【0047】以上のように、本発明にかかる重合触媒
は、 1,000以上の重量平均分子量を有するメルカプト基
含有化合物(A)、或いは、一分子内に10個以上のメル
カプト基を有するメルカプト基含有化合物(B)であ
る。
【0048】上記構成によれば、ビニル化合物の重合に
より生成するビニル重合体と結合することを防止するこ
とができる。これにより、重合触媒は、ビニル重合体と
分離して再利用することが可能となる。
【0049】また、以上のように、本発明にかかるビニ
ル重合体の製造方法は、上記重合触媒の存在下でビニル
化合物を重合させる方法である。
【0050】上記方法によれば、ビニル重合体と重合触
媒との結合を防止することができるので、重合触媒をビ
ニル重合体と分離することが可能となる。これにより、
重合触媒を繰り返し使用することができ、ビニル重合体
を安価に製造することができる。
【0051】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0052】〔実施例1〕温度計、滴下ロート、還流冷
却器および攪拌機を備えた容量 500mlの四ツ口フラスコ
に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(塩化ビニル:酢
酸ビニル=59:41(重量比);日信化学工業株式会社
製,商品名「SOLBIN C−40」)50g、溶媒で
ある1,4-ジオキサン350gを仕込んだ後、攪拌しながら内
温が60℃になるまで加熱し、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体を溶解させた。尚、上記塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体に含まれる酢酸ビニルに由来する構成単位の量
は、0.233 モルであった。
【0053】一方、滴下ロートに、水酸化ナトリウム0.
47g(0.01175モル) をメタノール35gに溶解してなる溶
液を仕込んだ。上記水酸化ナトリウムは、上記塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体に含まれる酢酸ビニルに由来す
る構成単位に対する割合が5モル%となるようにした。
【0054】次いで、上記フラスコの内温を60℃に保持
したまま、滴下ロート内の水酸化ナトリウムメタノール
溶液を10分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、反応液
を60℃で5時間攪拌して、アルカリけん化反応させた。
【0055】けん化反応の転化率(進行度)は、けん化
に伴って生成する酢酸メチルの量をガスクロマトグラフ
ィーにより内部標準法を用いて定量することによって分
析した。上記の反応はほぼ定量的に進行し、反応液は褐
色懸濁液となった。反応終了時における酢酸メチルの生
成量は、実測値が17.1g、理論値が17.3gであった。こ
れにより、けん化反応の転化率、即ちけん化率は、99.5
%と算出された。
【0056】反応終了後、反応液を室温まで冷却した
後、該反応液を、5000mlの水中に投じて、反応生成物を
析出させた。析出した反応生成物を水で2回洗浄した
後、60℃で減圧乾燥した。これにより、黄白色粉末状の
けん化体(塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体)40
gを得た。得られたけん化体の収率は、99%であった。
上記けん化体における塩化ビニルに由来する構成単位と
ビニルアルコールに由来する構成単位との比率を、単量
体の重量比に換算すると、塩化ビニル:ビニルアルコー
ル=74.6:25.4であった。
【0057】次に、温度計、滴下ロート、還流冷却器、
および攪拌機を備えた容量 500mlの四ツ口フラスコに、
ハロゲン含有化合物としての上記けん化体10g、および
反応溶媒としての N,N'-ジメチルホルムアミド 150gを
仕込み、けん化体を N,N'-ジメチルホルムアミドに溶解
させた後、フラスコ内を窒素ガス置換した。
【0058】一方、滴下ロートに、水硫化物としての水
硫化ナトリウム(キシダ化学株式会社製,純度70%)9.
08g(0.1133モル)をN,N'- ジメチルホルムアミド 150
gに溶解してなる溶液を入れた後、該滴下ロート内を窒
素ガス置換した。上記水硫化ナトリウムは、けん化体が
有するクロル基に対する割合が95モル%となるようにし
た。
【0059】次に、フラスコ内の混合物を窒素気流下で
攪拌しながら内温が85℃になるまで加熱し、85℃に達し
た後、滴下ロート内の溶液を3時間かけて逐次滴下し
た。滴下終了後、窒素気流下で反応液を85℃でさらに3
時間攪拌して、反応させた。反応液は、加熱前は均一で
透明であったが、反応終了後は、オレンジ色に着色し、
反応に伴って副成する塩化ナトリウムが析出して沈殿し
ていた。
【0060】反応液を室温まで冷却した後、吸引濾過す
ることにより、沈殿物を濾別し、均一で透明な濾液を得
た。そして、濾別した沈殿物を減圧下で加熱することに
より、該沈殿物に含まれる溶媒を除去した。得られた乾
燥物の重量を測定したところ、 6.3gであった。上記乾
燥物を蛍光X線分析により分析した結果、該乾燥物が塩
化ナトリウムであることを確認した。
【0061】一方、沈澱物を濾別した後の濾液は、ポリ
マーを含んでいた。また、該ポリマーについて、元素分
析を行い、各元素の含有量を算出した。その結果、ポリ
マー1g中に、メルカプト基が11.6ミリモル含まれてい
ることがわかった。さらに、該ポリマーの重量平均分子
量を測定した。その結果、重量平均分子量は50,000であ
り、該ポリマーが一分子内に 580個のメルカプト基を有
することがわかった。つまり、該ポリマーが本発明にか
かるメルカプト基含有化合物、即ち重合触媒であること
を確認した。
【0062】続いて、温度計、滴下ロート、還流冷却器
および攪拌機を備えた容量 500mlの四ツ口フラスコに、
上記の濾液、即ちメルカプト基含有化合物の溶液と、ビ
ニル化合物としてのマレイン酸12.45g(0.107モル) とを
仕込み、フラスコ内を窒素ガス置換した。尚、マレイン
酸は、メルカプト基含有化合物が有するメルカプト基に
対して 1.0当量となるように添加した。
【0063】次に、フラスコ内の反応液を窒素気流下で
攪拌しながら内温が85℃になるまで加熱した。そして、
フラスコ内の内温が85℃に達した後、85℃で5時間攪拌
してマレイン酸を重合させた後、室温まで冷却した。続
いて、反応液を3Lのイオン交換水に投入して水に不溶
な物質を沈澱させ、水溶性の物質と分離した。
【0064】まず、生じた沈澱を吸引濾過によって濾別
し、得られた固体を減圧下で乾燥し、乾燥物を得た。該
乾燥物の重量は、9.68gであった。上記乾燥物を赤外吸
収スペクトル(IR)により分析した結果、メルカプト
基含有化合物がマレイン酸の重合前と変化していないこ
とを確認した。つまり、重合触媒がそのまま回収された
ことがわかった。
【0065】一方、沈澱を濾別した後の濾液の一部を採
取し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析
したところ、未反応のマレイン酸のピークは全く検出さ
れなかった。また、分子量が10,000を越えるピークは全
く検出されず、分子量が 500〜5,000 のポリマーが生成
していることが確認された。また、上記濾液をロータリ
ーエバポレーターで濃縮乾固させたところ、12.40gの固
体が得られた。この固体を核磁気共鳴スペクトル(NM
Rスペクトル)で分析したところ、マレイン酸の単独重
合体(ビニル重合体)であることが確認された。即ち、
重合触媒の存在下でマレイン酸を重合させると、マレイ
ン酸だけが重合し、重合触媒と結合していないことが分
かった。
【0066】〔実施例2〕まず、実施例1と同様にし
て、けん化体(塩化ビニル−ビニルアルコール共重合
体)を得た。次に、温度計、滴下ロート、還流冷却器、
窒素ガス導入管および攪拌機を備えた容量 500mlの四ツ
口フラスコ(反応器)に、上記のけん化体10g、および
スルフォン類としてのスルフォラン 150gを仕込み、け
ん化体をスルフォランに溶解させた後、フラスコ内を窒
素ガス置換した。
【0067】一方、滴下ロートに、水硫化物としての水
硫化ナトリウム(キシダ化学株式会社製,純度70%)9.
08g(0.1133モル)をスルフォラン 150gに溶解してな
る溶液を入れた後、該滴下ロート内を30分間かけて窒素
ガス置換した。上記水硫化ナトリウムは、けん化体が有
するクロル基に対する割合が95モル%となるようにし
た。
【0068】次に、フラスコ内の混合物を窒素気流下で
攪拌しながら内温が85℃になるまで加熱し、85℃に達し
た後、滴下ロート内の溶液を3時間かけて逐次滴下し
た。滴下終了後、窒素気流下で反応液を85℃でさらに3
時間攪拌して、反応させた。
【0069】上記の反応はほぼ定量的に進行し、反応液
は黄色懸濁液となった。そして、反応終了後、攪拌を停
止すると、反応液中に分散していた物質が沈殿し、該反
応液は淡黄色透明となった。
【0070】次いで、反応液を室温まで冷却した後、濾
過することにより、沈殿物を濾別した。そして、濾別し
た沈殿物を減圧下で加熱し、該沈殿物に含まれる溶媒を
除去することにより、乾燥した沈澱物 6.3gを得た。乾
燥した沈澱物を蛍光X線分析により分析した結果、該沈
澱物が塩化ナトリウムであることを確認した。また、塩
化ナトリウムの生成量は、0.1078モルであり、仕込んだ
水硫化ナトリウムに対して95モル%であった。
【0071】一方、沈澱物である塩化ナトリウムを濾別
した後の濾液を、3000mlの水中に投じて反応生成物を析
出させた。析出した反応生成物を水で2回洗浄した後、
50℃で減圧乾燥した。これにより、白色粉末状のポリマ
ー 9.7gを得た。
【0072】以上のようにして得たポリマーについて、
赤外吸収スペクトル(IR)を測定した。その結果、図
1に示すように、メルカプト基に由来する特性吸収(26
00cm-1〜2550cm-1、700 cm-1〜600 cm-1)が認められ、
上記のポリマーがメルカプト基を含有していることを確
認した。また、該ポリマーについて、元素分析を行い、
各元素の含有量を算出した。その結果、ポリマー1g中
に、メルカプト基が11.6ミリモル含まれるとともに、置
換されないクロル基が 0.6ミリモル含まれていることが
わかった。さらに、該ポリマーの重量平均分子量を測定
した。その結果、重量平均分子量は50,000であり、該ポ
リマーが一分子内に 580個のメルカプト基を有すること
がわかった。つまり、該ポリマーが本発明にかかるメル
カプト基含有化合物、即ち重合触媒であることを確認し
た。
【0073】続いて、温度計、還流冷却器、および攪拌
機を備えた容量 200mlの三ツ口フラスコに、溶媒として
のイオン交換水100gと、ビニル化合物としてのマレイン
酸12.45g(0.107モル) とを仕込み、フラスコ内を窒素ガ
ス置換した。
【0074】次に、フラスコ内の反応液を攪拌してマレ
イン酸を溶解させた後、水酸化ナトリウム4.28g(0.107
モル) を添加し、さらに攪拌を続けた。反応液が均一溶
液となった後、上記のメルカプト基含有化合物9.7gと、
助触媒としてのトリエチレンジアミン0.6g(5.35 ミリモ
ル)とを添加し、攪拌しながらフラスコ内の内温が85℃
になるまで加熱した。このとき、メルカプト基含有化合
物は、水に溶解せず、粉体のまま反応液中に分散して懸
濁状態となっていた。そして、内温85℃で5時間攪拌し
てマレイン酸を重合させた後、室温まで冷却した。重合
後、反応液は懸濁液となっていた。
【0075】反応液の一部を採取し、ガスクロマトグラ
フィーによって未反応のマレイン酸を定量したところ、
マレイン酸の転化率は9%であった。また、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーによって反応生成物を定
量したところ、分子量 230のオリゴマー(ビニル重合
体)が8%の収率で生成していた。さらに、反応液に分
散している粉体、即ち重合触媒を吸引濾過により濾別
し、減圧下で乾燥した。乾燥された重合触媒の重量を測
定したところ、9.65gであった。
【0076】
【発明の効果】本発明の重合触媒によれば、ビニル化合
物の重合により生成するビニル重合体と結合することを
防止することができ、ビニル重合体と分離することがで
きる。これにより、重合触媒は、ビニル重合体と分離し
て再利用可能であるという効果を奏する。
【0077】また、本発明の製造方法によれば、ビニル
重合体と重合触媒との結合を防止することができるの
で、重合触媒をビニル重合体と分離することが可能とな
る。これにより、重合触媒を繰り返し使用することがで
き、ビニル重合体を安価に製造することができるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における重合触媒の赤外吸収
スペクトルのチャートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル化合物の重合を促進する重合触媒で
    あって、 1,000 以上の重量平均分子量を有するメルカプト基含有
    化合物であることを特徴とする重合触媒。
  2. 【請求項2】上記メルカプト基含有化合物が、一分子内
    に10個以上のメルカプト基を有することを特徴とする請
    求項1記載の重合触媒。
  3. 【請求項3】ビニル化合物の重合を促進する重合触媒で
    あって、 一分子内に10個以上のメルカプト基を有するメルカプト
    基含有化合物であることを特徴とする重合触媒。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    重合触媒の存在下でビニル化合物を重合させることを特
    徴とするビニル重合体の製造方法。
JP8072352A 1996-03-27 1996-03-27 重合触媒およびそれを用いたビニル重合体の製造方法 Pending JPH09255708A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001302705A (ja) * 2000-04-21 2001-10-31 Soken Chem & Eng Co Ltd アクリル系単量体の塊状重合方法

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