JPH0986968A - クロム遮光層を有するカラーフィルター用ガラス基板の再生方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 不良のクロム遮光層を有するカラーフィルフ
ィルターより不良の状況に応じ、クロム遮光層の付いた
状態又は全ての薄膜を除去した状態で、再使用可能なガ
ラス基板を得る方法を提供する。 【解決手段】 クロム遮光層を有するカラーフィルター
の不良品を、以下の（Ａ）〜（Ｃ）の工程を含む方法に
より処理することを特徴とする、クロム遮光層を有する
カラーフィルター用ガラス基板の再生方法。 （Ａ）塩酸酸性水溶液にカラーフィルターを浸漬する工
程 （Ｂ）アミノアルコール又はアミノアルコールと極性溶
媒の混合液に（Ａ）の処理を行ったカラーフィルターを
浸漬する工程 （Ｃ）上記（Ｂ）の処理を行ったカラーフィルターをブ
ラシスクラブする工程

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はクロム遮光層を有す
るカラーフィルター用ガラス基板の再生方法に関するも
のである。更に詳しくは、本発明はワークステイショ
ン、パーソナルコンピューターやナビゲーションシステ
ム等のディスプレイや液晶テレビ等の各種のカラー液晶
表示装置に用いられるクロム遮光層を有するカラーフィ
ルターの不良品よりガラス基板を再生する方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】カラーレジスト及び遮光膜としてクロム
及び／又はクロム化合物を用いる顔料分散法カラーフィ
ルターは、ガラス基板上にまずクロム遮光層をパターニ
ングし、赤、緑、青のカラーレジストを順次パターニン
グ、焼成を行った後、必要によりオーバーコート層を成
膜し、最後にＩＴＯ層を成膜する事により作成される。

【０００３】近年、液晶表示装置は生産性向上の観点よ
り数個のカラーフィルターを形成したガラス基板と、同
じ数の画素電極パターンを形成したガラス基板を、液晶
を介して重ね合わることにより作成されるようになっ
た。このため例えば４面取りではカラーフィルターの不
良率が以前の１面取りに比し４倍になるように大幅に歩
留まりが低下し、大量の不良カラーフィルターができて
しまう。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記の通り発生した不
良カラーフィルターは従来の技術では再使用することが
できなかった。このため、多量の高価なガラス基板がカ
ラーレジストやクロム遮光膜等を形成した状態で廃棄さ
れており、環境衛生上の観点からもまた経済性の観点か
らも問題があった。すなわち本発明の目的は、不良カラ
ーフィルターよりガラス基板を再生する方法を提供する
ことに存する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく、大量に発生する不良カラーフィルターより
ガラス基板を再生する方法について鋭意検討の結果、本
発明に至った。

【０００６】即ち本発明のうち、一の発明は、クロム遮
光層を有するカラーフィルターの不良品を、以下の
（Ａ）〜（Ｃ）の工程を含む方法により処理することを
ことを特徴とする、クロム遮光層を有するカラーフィル
ター用ガラス基板の再生方法に係るものである。 （Ａ）塩酸酸性水溶液にカラーフィルターを浸漬する工
程 （Ｂ）アミノアルコール又はアミノアルコールと極性溶
媒の混合液に（Ａ）の処理を行ったカラーフィルターを
浸漬する工程 （Ｃ）上記（Ｂ）の処理を行ったカラーフィルターをブ
ラシスクラブする工程

【０００７】また、本発明のうち、他の発明は、クロム
遮光層を有するカラーフィルターの不良品を、以下の
（Ａ）〜（Ｄ）の工程を含む方法により処理することを
ことを特徴とする、クロム遮光層を有するカラーフィル
ター用ガラス基板の再生方法に係るものである。 （Ａ）塩酸酸性水溶液にカラーフィルターを浸漬する工
程 （Ｂ）アミノアルコール又はアミノアルコールと極性溶
媒の混合液に（Ａ）の処理を行ったカラーフィルターを
浸漬する工程 （Ｃ）上記（Ｂ）の処理を行ったカラーフィルターをブ
ラシスクラブする工程 （Ｄ）第二セリウムアンモニウム化合物酸性水溶液に浸
漬する工程

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明に用いられるカラーフィル
ターの不良品とは、ガラス基板上にクロム遮光層を形成
し、赤（Ｒ）、緑（Ｇ）、青（Ｂ）の画素を形成し作成
したカラーフィルターであって、画素に欠け等の欠陥が
見られるもの、画素間の分離が悪く色の滲みの見られる
もの、オーバーコート層の成膜不良により平坦性が不十
分で光により干渉縞の見えるもの、クロム遮光膜とＲ、
Ｇ、Ｂが位置ずれを起こしているもの、ＩＴＯが所定の
範囲の抵抗値を満たしていないものや製造工程でゴミの
混入によるもの等の不良品である。但しガラス基板その
ものに傷や欠陥があるものは含まないため、不良原因を
調べ、ガラス基板そのものに原因があるものは排除す
る。またクロム遮光層が正常な場合にはクロム遮光層を
そのまま用いる方がカラーフィルター作成において有利
なため、クロム遮光層を残したガラス基板を再生する。
一方クロム遮光層に異常のある不良品は、最下層のクロ
ム遮光層を含む全ての薄膜を除去したガラス基板として
再生する。

【０００９】まず、クロム遮光層を残したガラス基板の
再生方法について説明する。

【００１０】カラーフィルターの最上層にはインジウム
錫酸化物（ＩＴＯ）層が成膜されているので、不良カラ
ーフィルターを塩酸酸性水溶液に浸漬し、ＩＴＯ層を除
去する。

【００１１】塩酸酸性水溶液とは、単に水に塩酸を溶解
した水溶液、水に塩酸と硝酸や過塩素酸等の他の酸類を
溶解した水溶液、水に塩酸と塩化第二鉄等の酸化剤を溶
解した水溶液等のＩＴＯのエッチングに用いられる液を
意味する。

【００１２】浸漬時の温度は０℃〜用いる水溶液の沸点
の範囲であるが、余り低温では浸漬時間が長くなりすぎ
るため、また余り高温では塩酸蒸気が多量に発生し安全
衛生上好ましくないため、室温〜５０℃で浸漬するのが
好ましい。浸漬時間は塩酸酸性水溶液の溶質の濃度や浸
漬温度によって完全にＩＴＯ膜が除去されるように設定
すればよい。通常の条件では、数分〜数時間が一般的で
ある。

【００１３】前記のようにしてＩＴＯ膜が除去された不
良カラーフィルターは、次にカラーレジスト層（及びオ
ーバーコート層）の除去が行われる。カラーレジスト
（及びオーバーコート層）は一般的にアクリル系樹脂で
あるので、単に成膜しただけのものであればアミノアル
コール又はアミノアルコールと極性溶媒との混合液によ
り除去が可能である。しかしカラーフィルターとして用
いられる時には、成膜された後加熱処理が行われことが
一般的であるので、アミノアルコール又は前記混合液に
浸漬した後、ブラシスクラブを行って、カラーレジスト
層（及びオーバーコート層）の除去を行う。なおアミノ
アルコール又は混合液への浸漬の前に水洗を行ってもよ
い。水洗することにより塩酸酸性水溶液のアミノアルコ
ール又は混合液中への混入を防ぎ、これらの液の寿命が
長くなりより好ましい。

【００１４】用いるアミノアルコールとしては、モノエ
タノールアミン、１−アミノ−２−プロパノール、２−
アミノ−１−プロパノール、２−アミノ−１−ブタノー
ル、４−アミノ−１−ブタノール等を挙げることができ
る。なかでもモノエタノールアミンがカラーレジスト
（及びオーバーコート層）の除去性能、価格を考慮する
と特に好ましい。

【００１５】用いる混合液中の極性溶媒の具体例として
は、水、Ｎ、Ｎ−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、Ｎ−メチル−２−ピロリドン、γ−ブチロラ
クトン、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、
３−メチル−３−メトキシエタノール、ブチロセロソル
ブ、Ｎ、Ｎ−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンホ
スホルアミド、プロピレンカーボネート等を挙げること
ができる。これらの極性溶媒は１種をアミノアルコール
と混合しても良いし、２種以上の極性溶媒を用いても良
い。

【００１６】アミノアルコールと極性溶媒の混合比はア
ミノアルコール：極性溶媒の容量比で１０：０〜１：９
の範囲で除去しようとするカラーレジスト（及びオーバ
ーコート）の種類により選択すればよいが、一般的には
１：０〜１：４の範囲である。

【００１７】浸漬温度は室温からアミノアルコール又は
混合液の沸点の範囲であればよいが、室温付近ではこれ
らの液のカラーレジスト（及びオーバーコート層）への
浸透が遅く浸漬時間が長くなり、沸点付近では多量の溶
媒蒸気が発生し凝縮器が大型となり装置費が嵩むため、
工業的見地からは４０℃〜９０℃が好ましい。浸漬時間
は用いる液の種類、除去すべきカラーレジスト（及びオ
ーバーコート）の種類、浸漬温度及び次のブラシスクラ
ブ条件により異なり、前記条件の組み合わせを考慮し
て、用いる液への浸漬とブラシスクラブにより完全にカ
ラーレジスト層（及びオーバーコート層）が除去できる
ように選択すればよい。

【００１８】ブラシスクラブでは、液晶表示装置（ＬＣ
Ｄ）や大規模集積回路装置（ＬＳＩ）及びカラーフィル
ターの製造工程で用いられるブラシのついた洗浄機等を
用いることができる。あくまで基板はガラスであるの
で、ブラシの毛はナイロン、ポリプロピレンやアクリル
等の樹脂製のものが用いられる。またブラシスクラブ時
には、前記アミノアルコール、混合液や水を基板に注ぐ
とスクラブ効果が向上し好ましい。

【００１９】このあと水等で洗浄し、更に乾燥すること
によりクロム遮光層付きのガラス基板が再生される。

【００２０】このようにして得られたクロム遮光膜付き
ガラス基板は、カラーフィルター作成ラインのカラーレ
ジスト塗布工程から使用され、カラーフィルターの作成
に供される。

【００２１】次に、ガラス基板上の全ての薄膜を除去し
たガラス基板の再生方法について述べる。ブラシスクラ
ブ工程までは前記方法と同じにして行い、クロム遮光膜
の付いたガラス基板を得、必要に応じ水洗により基板に
付着したアミノアルコール又は混合液を除去する。

【００２２】次いで該基板を第二セリウムアンモニウム
化合物酸性水溶液に浸漬し、クロム遮光層を除去する。
本工程で用いる第二セリウムアンモニウム化合物酸性水
溶液としては、硝酸第二セリウムアンモニウム又は硫酸
第二セリウムアンモニウムと硝酸、硫酸又は過塩素酸を
水に溶解したものを用いることができる。第二セリウム
アンモニウム化合物の濃度は５〜５０ｗｔ／ｖｏｌ％、
酸類の濃度は２〜５０ｗｔ／ｖｏｌ％である。

【００２３】浸漬温度は０℃〜１００℃とすることがで
きるが、クロム遮光層の除去速度、酸類（特に硝酸）の
蒸発を考慮して、室温〜４０℃とすることが好ましい。
浸漬時間は用いる第二セリウムアンモニウム化合物酸性
水溶液の種類や濃度、用いる酸の種類や濃度及びクロム
遮光膜の性質や厚みにより異なるので、クロム遮光膜が
完全に除去できる時間を選択する。一般的には１〜３０
分である。

【００２４】更に水等で洗浄を行った後、乾燥すること
により基板上の全ての薄膜が除去されたガラス基板が再
生される。

【００２５】このようにして再生されたガラス基板は、
再度カラーフィルター作成ラインに最初から通すことに
より、カラーフィルターの作成に用いられる。

【００２６】なお、これまで本発明を請求範囲に示した
工程に従って説明したが、例えば（Ｂ）、（Ｃ）工程を
アミノアルコール又は混合液中でブラシスクラブを行う
ように一緒に行ったり、塩酸酸性水溶液に浸漬後水洗、
乾燥を行ったり、カラーレジスト（及びオーバーコート
層）除去後の水洗のあと乾燥を行ったり、乾燥前に例え
ばイソプロピルアルコール等の溶媒で洗浄を行って乾燥
効率を上げるなど、カラーフィルター、ＬＳＩ及びＬＣ
Ｄの製造工程で一般的に用いられている方法を組み合わ
せることも本発明の主旨に合致するものであれば用いる
ことができる。

【００２７】

【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 実施例−１ カラーフィルター不良品より、ガラス基板及びクロム遮
光層に問題のないものを選んだ。該不良品を先ず２０％
塩酸水溶液に３０℃で１時間浸漬し、その後水洗を行っ
た。次にモノエタノールアミン＋ジメチルホルムアミド
＋ジエチレングリコールモノブチルエーテル（容量比で
３：６：１）の混合溶媒に８０℃で２時間浸漬した。浸
漬後アクリル製ブラシの付いたブラッシング機を通し、
６０℃の温水をかけながらブラシスクラブを行った。そ
の後２５℃の水で洗浄を行った後１００℃で２時間乾燥
し、クロム遮光膜付きガラス基板を得た。再生したガラ
ス基板を目視及び光学顕微鏡で観察したが、ガラス及び
クロムパターンに傷や欠け等の欠陥は認められなかっ
た。

【００２８】再生したクロム遮光層付きのガラス基板
を、カラーフィルターの製造ラインのカラーレジスト塗
布工程よりあとの工程に流しカラーフィルターを作成し
たところ、できたカラーフィルターは新品ガラス基板を
使用して作成したカラーフィルターと比較して違いのな
いものであった。また信頼性試験として耐熱性、耐溶剤
性、耐光性等を見たが、再生基板によるカラーフィルタ
ーと新品基板によるカラーフィルターで差は認められな
かった。

【００２９】実施例−２ 実施例−１と同様にガラス基板及びクロム遮光層に問題
の無いカラーフィルター不良品を、先ず塩酸５％と塩化
第二鉄３２％を含む水溶液に３０℃で１時間浸漬した
後、水洗を行った。次にモノエタノールアミン＋ジメチ
ルスルホキシド（容量比で７：３）の混合溶液に８０℃
で２時間浸漬した。浸漬後ナイロン製ブラシの付いたブ
ラッシング機を通し、５０℃の温水をかけながらブラシ
スクラブを行った。その後２５℃の水で洗浄を行った後
１００℃で２時間乾燥し、クロム遮光層付きガラス基板
を得た。再生したガラス基板を目視及び光学顕微鏡で観
察したが、ガラス及びクロムパターンに傷や欠け等の欠
陥は認められなかった。

【００３０】再生したクロム遮光層付きのガラス基板
を、カラーフィルターの製造ラインのカラーレジスト塗
布工程よりあとの工程に流しカラーフィルターを作成し
たところ、できたカラーフィルターは新品ガラス基板を
使用して作成したカラーフィルターと比較して違いのな
いものであった。また信頼性試験として耐熱性、耐溶剤
性、耐光性等を見たが、再生基板によるカラーフィルタ
ーと新品基板によるカラーフィルターで差は認められな
かった。

【００３１】実施例−３ ガラス基板には不良はないもののクロム遮光層に問題の
あったカラーフィルターの不良品を、先ず塩酸１５％及
び硝酸５％を含む水溶液に３０℃で１時間浸漬した後、
水洗を行った。次にモノエタノールアミン＋ジメチルホ
ルムアミド（容量比で３：７）の混合溶液に８０℃で２
時間浸漬した。浸漬後ナイロン製ブラシの付いたブラッ
シング機を通し、５０℃の温水をかけながらブラシスク
ラブを行った。カラーレジスト層まで除去された該基板
を水洗を行った後、硝酸第二セリウムアンモニウム１５
％及び硝酸２０％を含む水溶液に３０℃で３０分浸漬し
た。その後、２５℃の水で洗浄を行い、１００℃で２時
間乾燥し、全ての薄膜が除去されたガラス基板を得た。

【００３２】再生ガラス基板をカラーフィルター製造ラ
インに流してカラーフィルターを作成した。得られたカ
ラーフィルターは新品ガラス基板を使用して作成したカ
ラーフィルターと比較して違いのないものであった。ま
た信頼性試験として耐熱性、耐溶剤性、耐光性等を見た
が、再生基板によるカラーフィルターと新品基板による
カラーフィルターで差は認められなかった。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、不
良のクロム遮光層を有するカラーフィルフィルターより
不良の状況に応じ、クロム遮光層の付いた状態又は全て
の薄膜を除去した状態で、再使用可能なガラス基板を得
る方法を提供することができた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 洋介 愛媛県新居浜市惣開町５番１号 住友化学 工業株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クロム遮光層を有するカラーフィルター
   の不良品を、以下の（Ａ）〜（Ｃ）の工程を含む方法に
   より処理することを特徴とする、クロム遮光層を有する
   カラーフィルター用ガラス基板の再生方法。 （Ａ）塩酸酸性水溶液にカラーフィルターを浸漬する工
   程 （Ｂ）アミノアルコール又はアミノアルコールと極性溶
   媒の混合液に（Ａ）の処理を行ったカラーフィルターを
   浸漬する工程 （Ｃ）上記（Ｂ）の処理を行ったカラーフィルターをブ
   ラシスクラブする工程
2. 【請求項２】 クロム遮光層を有するカラーフィルター
   の不良品を、以下の（Ａ）〜（Ｄ）の工程を含む方法に
   より処理することを特徴とする、クロム遮光層を有する
   カラーフィルター用ガラス基板の再生方法。 （Ａ）塩酸酸性水溶液にカラーフィルターを浸漬する工
   程 （Ｂ）アミノアルコール又はアミノアルコールと極性溶
   媒の混合液に（Ａ）の処理を行ったカラーフィルターを
   浸漬する工程 （Ｃ）上記（Ｂ）の処理を行ったカラーフィルターをブ
   ラシスクラブする工程 （Ｄ）第二セリウムアンモニウム化合物酸性水溶液に浸
   漬する工程
3. 【請求項３】工程（Ｂ）で用いられるアミノアルコール
   がモノエタノールアミンである、請求項１又は請求項２
   記載のクロム遮光層を有するカラーフィルター用ガラス
   基板の再生方法。
4. 【請求項４】工程（Ｂ）で用いられる極性溶媒が、Ｎ、
   Ｎ−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、Ｎ
   −メチル−２−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジエ
   チレングリコールモノアルキルエーテル、３−メチル−
   ３−メトキシエタノールのうちから選ばれた少なくとも
   １種である、請求項１又は請求項２記載のクロム遮光層
   を有するカラーフィルター用ガラス基板の再生方法。