JPH0985835A - 立体形状物の製造方法および製造装置 - Google Patents

立体形状物の製造方法および製造装置

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JPH0985835A
JPH0985835A JP7242995A JP24299595A JPH0985835A JP H0985835 A JPH0985835 A JP H0985835A JP 7242995 A JP7242995 A JP 7242995A JP 24299595 A JP24299595 A JP 24299595A JP H0985835 A JPH0985835 A JP H0985835A
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JP
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plate
shaped material
cutting
dimensional object
shaped
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JP7242995A
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Inventor
Makoto Mihara
誠 三原
Chikao Tozaki
近雄 戸崎
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法精度の高い立体形状物を効率的に製造す
る方法を提供すること。斯かる方法を好適に遂行するこ
とのできる製造装置を提供すること。 【解決手段】 本発明の製造方法は、板状材料(n)を
固定し、固定された板状材料(n)を切削加工して成形
加工板(n)を形成し、形成された成形加工板(n)の
上面に、新たな板状材料(n+1)を積み重ねて振動摩
擦溶着させて固定し、固定された板状材料(n+1)を
切削加工して成形加工板(n+1)を形成する工程を繰
り返すことにより、成形加工板の積層体よりなる立体形
状物を得ることを特徴とする。本発明の製造装置は、板
状材料の供給手段と、供給された板状材料を固定するた
めの固定手段と、固定された板状材料を切削加工して成
形加工板を形成するための切削加工手段と、形成された
成形加工板の上面に新たな板状材料を溶着させるための
振動摩擦溶着手段とを備えてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の成形加工板
を一体的に積層することにより立体形状物を製造する新
規な方法、および斯かる方法を好適に遂行することので
きる立体形状物の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近において、成形用のモールド、ダ
イ、試作品など立体形状物のデザインをコンピュータに
よって取り扱う技術が発達し、いわゆる三次元CADシ
ステムによって立体モデルを設計する手段が普及しつつ
ある。そして、このような立体形状物の製造において
は、三次元CADシステムによって設計された立体モデ
ルのデータを利用した数値制御により、ブロック状の材
料を切削加工する方法(切削加工法)が行われている。
【0003】しかしながら、ブロック状の材料から立体
形状物を製造する場合には、切削刃物の長さおよびその
剛性によって切削可能な深さが制限される。すなわち、
切削刃物におけるL/D比は、一定の剛性を確保する観
点から通常10以下とされ、深い切削を可能とするため
に切削刃物の長さ(L)を大きく設定すると、これに伴
って直径(D)も大きくなり、細い溝を有するような形
状物を作製することが困難となる。また、直径(D)が
大きくなると、当該刃物同士の干渉による影響も大きく
なる。さらに、中空の立体形状物を切削加工法によって
製造することはきわめて困難である。
【0004】このような問題を解決するための手段とし
て、特表平1−500575号公報には、プラスチック
リボンよりなる薄板状材料を所定の輪郭形状に裁断して
シート部材を形成し、このようにして形成された複数の
シート部材を、感圧接着剤を介して積層することにより
立体形状物を製造する技術が提案されている。
【0005】しかしながら、感圧接着剤を介してシート
部材を積層するという上記の公報に記載の技術には、以
下のような問題がある。
【0006】(1)プラスチックリボンを裁断してなる
シート部材はきわめて薄いものであるため、立体形状物
を製造する場合には、多数枚のシート部材を積層しなけ
ればならない。このため、シート部材の裁断形成工程お
よび積層工程に長い時間を要することになり、従って、
所期の立体形状物を効率的に製造することができない。
【0007】(2)プラスチックリボンを裁断してなる
シート部材はきわめて薄いものであるため、僅かな力に
よっても撓みが生じる。このため、積層したシート部材
を加圧接着するときに、シート部材の周端形状(輪郭)
が変形し、最終的に得られる立体形状物の寸法精度が損
なわれることがある。
【0008】(3)下方から上方に向かうに従って外側
に突出するオーバーハング状部分を有する立体形状物を
製造する場合には、当該オーバーハング状部分の撓みを
防止するために、積層工程において、オーバーハング状
部分を支持するサポートを設ける必要があり、サポート
の設計・装着・取り外しなど製造工程の煩雑化を招く。
この場合において、シート部材を積層する代わりに、立
体形状物の構成部分と、裁断により除去されるべき不要
部分との境界に沿ってミシン目などが形成された薄板状
材料を積層することにより、当該不要部分をサポートと
して使用し、積層工程終了後に、構成部分の積層体(立
体形状物)と、不要部分の積層体とを分離することも考
えられる。しかしながら、オーバーハング状部分を形成
する場合、n層目の薄板状材料における不要部分と、
(n+1)層目の薄板状材料における構成部分とが接着
されるため、不要部分の積層体を分離除去することはき
わめて困難である。
【0009】(4)積層されたシート部材間に接着剤層
が介在しているために、得られる立体形状物は一体性に
欠けるものとなり、従って、良好な耐熱性や高い機械的
強度を有するものとならない。また、シート部材を加圧
接着するときに、感圧接着剤が積層したシート部材の周
端からはみ出して、得られる立体形状物の外観や寸法精
度が損なわれやすい。
【0010】上記のような問題を解決するために、厚み
の大きいシート部材を積層することも考えられる。しか
しながら、この場合には、下記(I)(II)のような新
たな問題が生じるために、厚みの大きいシート部材を積
層することは現実的には不可能である。
【0011】(I)積層されるシート部材の厚みが大き
くなると、得られる立体形状物の高さ方向における形状
変化が断続的なものとなり、立体形状物の側周面が滑ら
かな曲面形状を有するものとならない。
【0012】(II)感圧接着剤による接着力を確実に発
揮させるためには、積層されたシート部材を、加熱され
た加圧手段(例えば熱ローラ)を用いて加圧することに
より、感圧接着剤に熱エネルギーを付与することが好ま
しい。しかしながら、当該シート部材の厚みが大きい場
合には、熱ローラから感圧接着剤への伝熱効率が低いも
のとなるために所期の接着力が発揮されない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであって、本発明の目的
は、厚みの大きい板状材料を積層して、寸法精度の高い
立体形状物を効率的に製造することができる新規な製造
方法を提供することにある。本発明の他の目的は、斯か
る新規な製造方法を好適に遂行することのできる製造装
置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の立体形状物の製
造方法は、板状材料(n)を固定し、固定された板状材
料(n)を切削加工して成形加工板(n)を形成し、形
成された成形加工板(n)の上面に新たな板状材料(n
+1)を積み重ねて振動摩擦溶着させることにより固定
し、固定された板状材料(n+1)を切削加工して成形
加工板(n+1)を形成する工程を繰り返すことによ
り、成形加工板の積層体よりなる立体形状物を得ること
を特徴とする。
【0015】本発明の立体形状物の製造装置は、上記の
製造方法を遂行するための装置であって、板状材料の供
給手段(10)と、供給された板状材料を固定するため
の固定手段(20)と、固定された板状材料を切削加工
して成形加工板を形成するための切削加工手段(30)
と、形成された成形加工板の上面に新たな板状材料を溶
着させるための振動摩擦溶着手段(40)とを備えてな
ることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
<立体形状物の製造装置>図1は、本発明の製造装置の
一例の概略を示す説明図である。同図において、〔I〕
は板状材料の貯蔵ステーション、〔II〕は立体形状物の
製造ステーション、〔III 〕は切削加工手段の格納ステ
ーションである。
【0017】貯蔵ステーション〔I〕には、板厚の異な
る3種類の板状材料が貯蔵されている。これらの板状材
料は、切削加工されることによって、立体形状物を構成
する成形加工板となるものである。
【0018】板状材料の材質としては、振動摩擦熱によ
って積層界面が溶着しうるものであれば特に制限される
ものではなく、立体形状物に要求される仕様に基いて種
々の材料を選択することができ、例えば各種の熱可塑性
樹脂、樹脂発泡体、無機物質を高い充填率で含有する樹
脂組成物、紙材、木材、金属、炭素繊維、セラミック
ス、これらの複合材料などを挙げることができる。な
お、本発明においては、材質の異なる板状材料同士を溶
着させることもできるので、異なる材質の板状材料が貯
蔵ステーション〔I〕に貯蔵されていてもよい。
【0019】板状材料の厚みとしては、 積層回数を
減らして効率的に立体形状物を製造するという観点、
振動摩擦時に板状材料に撓み・変形を発生させないと
いう観点から1.5mm以上であることが好ましく、更
に好ましくは3mm以上とされる。一方、本発明は、厚
みの大きな板状材料を使用する点に特徴を有するもので
あるから、厚みの上限値は特に制限されるものではな
く、ブロック状の材料であってもよい。但し、 通常
の長さの切削刃物を備えた安価な加工手段によって切削
加工を可能とするという観点からは、板状材料の厚みは
100mm以下であることが好ましく、更に好ましくは
50mm以下とされる。このような厚みを有する板状材
料は、例えば押出成形によって容易に形成することがで
きる。また、貯蔵ステーション〔I〕に貯蔵されている
板状材料には、穴あけ加工など予備的な成形加工が施さ
れていてもよい。
【0020】10は板状材料の供給手段であり、貯蔵ス
テーション〔I〕に貯蔵されている板状材料は、供給手
段10によって製造ステーション〔II〕に搬送・供給さ
れる。供給手段10の構成としては特に制限されるもの
ではなく、例えばレール搬送機構、ベルトコンベア搬送
機構、ロボットハンド搬送機構、圧縮空気を利用した搬
送機構などを挙げることができる。
【0021】20は、供給手段10により供給された板
状材料を固定するための固定手段、30は、固定手段2
0により固定された板状材料を切削加工するための切削
加工手段、40は、切削加工手段30により形成された
成形加工板の上面に板状材料を溶着させるための振動摩
擦溶着手段、50は真空吸引手段である。
【0022】固定手段20は、成形加工板の積層体Mを
その最下層を挟持して固定する下側固定治具21と、積
層体Mの上面に溶着させる新たな板状材料を挟持して固
定する上側固定治具22とにより構成されている。な
お、固定手段としては、図示したような機械的な挟持機
構に限定されるものではなく、例えば、粘着テープなど
の粘着固定手段、真空吸着による固定手段、摩擦係数の
大きいゴムまたは樹脂よりなる薄板状の部材を介在させ
る固定手段、磁性体成分を含む板状材料を磁力を利用し
て固定する手段などを挙げることができる。
【0023】切削加工手段30は、振動摩擦溶着が行わ
れているときには格納ステーション〔III 〕において待
機しており、振動摩擦溶着が終了すると製造ステーショ
ン〔II〕に進入して、積層体Mの最上層(板状材料)の
切削加工を行う。切削加工手段30は、コントロールユ
ニット31と、多軸移動テーブル32と、切削刃物33
とを備えてなる。多軸移動テーブル32における制御軸
数としては、板状材料を曲面切削することから3軸以上
とされ、好ましくは5軸以上とされる。
【0024】なお、切削加工手段の構成としては機械的
刃物による手段に制限されるものではなく、例えばウォ
ータージェットを利用する手段、レーザを利用する手段
などであってもよい。レーザとしては、CO2 レーザ、
YAGレーザ、波長が270nm以下のエキシマレー
ザ、4逓倍のYAGレーザなどを好適に使用することが
できる。
【0025】振動摩擦溶着手段40は、下側振動盤41
と、上側振動盤42と、プレス手段43とにより構成さ
れる。下側振動盤41には、真空吸引手段50を介して
下側固定治具21が固定されており、この下側固定治具
21に挟持される積層体は、下側振動盤41によって水
平方向(X,Y方向)に振動可能となる。一方、上側振
動盤42には上側固定治具22が固定されており、この
上側固定治具22に挟持される板状材料は、上側振動盤
42によって水平方向(Y,X方向)に振動可能とな
る。そして、プレス手段43による加圧条件下におい
て、積層体の上面と、板状材料の下面とが擦り合わされ
ることによって摩擦熱が発生し、この摩擦熱によってこ
れら両面(積層界面)が溶融し、これにより、積層体の
上面に板状材料が溶着固定される。
【0026】ここで、下側振動盤41および上側振動盤
42による振動は、電磁気を利用して発生させてもよい
し(電磁気振動)、空気を利用して発生させてもよい
(空気振動)。使用可能な振動周波数としては、50〜
500Hzとされ、好ましくは50〜240Hzとされ
る。プレス手段43による加圧力としては、0.1〜3
0kg/cm2 とされ、好ましくは0.5〜15kg/
cm2 とされる。また、この加圧力は振動開始時には小
さく設定し、徐々に増加させていくことが、摩擦抵抗の
大きい初動時の駆動負荷を軽減することができることか
ら好ましい。
【0027】積層界面を溶着させるための摩擦熱は、下
側固定治具21に挟持された積層体と、上側固定治具に
挟持された板状材料とを共に振動させることによって発
生させることが好ましい。また、この場合において、積
層体をX方向に振動させ、板状材料をY方向(X方向と
直角方向)に振動させることが特に好ましく、これによ
り、最終的に得られる積層体の内部における残留応力を
低減させることができ、歪みのない立体形状物を作製す
ることができる。
【0028】なお、前記積層体の上面と前記板状材料の
下面との間における相対的な摩擦運動(一方の面を固定
した場合における他方の面の運動の軌跡)は、直線的な
ものであってもよいし、回転運動(円運動・楕円運動)
であってもよい。また、下側振動盤41および上側振動
盤42のいずれか一方だけを作動させ、静止状態の面に
振動状態の面を擦り合わせることによって摩擦熱を発生
させてもよい。
【0029】真空吸引手段50は、積層体上に板状材料
を溶着固定する際に、積層体の上面と板状材料の下面と
の間に負圧を作用させるための手段である。ここで、吸
引空気路としては、下側固定治具21の底板21Bに設
けられた貫通孔(図示省略)、および切削加工により積
層体Mに形成された貫通溝(図示省略)を利用すること
ができる。これにより、空気や溶融物残渣が積層界面に
混入された状態で溶着されることを防止することができ
る。ここで、真空吸引手段50による真空度は1Tor
r以上であることが好ましく、更に好ましくは5Tor
rである。
【0030】図2は、本発明の製造装置の他の例の概略
を示す説明図である。同図において、〔I'〕は板状材料
の貯蔵ステーション、〔II' 〕は立体形状物の製造ステ
ーション、〔III'〕は切削加工手段の格納ステーショ
ン、〔IV' 〕は振動摩擦溶着手段の退避ステーションで
ある。
【0031】この例の製造装置において、貯蔵ステーシ
ョン〔I'〕には、板厚の異なる3種類の板状材料と共
に、面積の異なる板状材料が貯蔵されている。
【0032】切削加工手段30は、振動摩擦溶着が行わ
れているときには格納ステーション〔III'〕内で待機し
ている。そして、振動摩擦溶着が終了すると、上側振動
盤42、プレス手段43および上側固定治具22が退避
ステーション〔IV' 〕内に移動すると共に、切削加工手
段30が製造ステーション〔II' 〕内に進入して、積層
体Mの最上層の切削加工が行われる。このような構成に
よれば、切削加工手段30の移動方向が上下方向のみと
なるので、図1に示した構成に比べて、切削加工手段3
0の位置合わせ精度を向上させることができる。
【0033】<立体形状物の製造方法> 〔第1の実施形態〕以下、本発明の製造方法について図
面を用いて具体的に説明する。図3〜図6は、図1に示
した製造装置を用い、図7に示すような立体形状物を製
造する方法における一連の過程を示す概略断面図であ
る。
【0034】(1)供給手段によって搬送された板状材
料rを、下側固定治具21で挟持することによって下側
振動盤(図示省略)に固定する〔図3−(1)参照〕。
ここで、下側固定治具21の底板21Bには、真空吸引
手段に連通する吸引空気路(図示省略)が形成されてい
る。
【0035】(2)切削加工手段により板状材料rの切
削加工を行い、切欠溝(rc,rd,re)が形成され
てなる成形加工板Rと、貫通溝raにより成形加工板R
から分割される支持板部R1 と、貫通溝rbにより成形
加工板Rから分割される支持板部R2 とを形成する〔図
3−(2)参照〕。
【0036】(3)成形加工板Rの上面および支持板部
(R1 ,R2 )の上面に、供給手段によって搬送された
板状材料sを積み重ね、この板状材料sを、上側固定治
具22で挟持することにより上側振動盤(図示省略)に
固定する。次いで、成形加工板Rおよび支持板部
(R1 ,R2 )を下側振動盤によってX方向(紙面の前
後方向)に振動させるとともに、板状材料sを上側振動
盤によってY方向(紙面の左右方向)に振動させること
により、成形加工板Rの上面および支持板部(R1 ,R
2 )の上面と、板状材料sの下面とを擦り合わせて振動
摩擦溶着させる〔図3−(3)参照〕。このとき、真空
吸引手段を作動させることによって、成形加工板Rの上
面と板状材料sの下面との間(切欠溝rc,rd,re
と前記下面とによって形成される空間)に存在する空気
は、貫通溝(ra,rb)および下側固定治具21に設
けられた吸引空気路を通って真空吸引手段に吸引され
る。
【0037】(4)上記の操作により、成形加工板Rの
上面および支持板部(R1 ,R2 )の上面に、板状材料
sが溶着固定された積層体が形成される〔図3−(4)
参照〕。
【0038】(5)切削加工手段により板状材料sの切
削加工を行い、成形加工板Sと、成形加工板S' と、貫
通溝saにより成形加工板Sから分割される支持板部S
1 と、貫通溝sbにより成形加工板Sから分割されると
共に貫通溝scにより成形加工板S' から分割される支
持板部S2 と、貫通溝sdにより成形加工板S' から分
割される支持板部S3 とを形成する〔図4−(5)参
照〕。
【0039】(6)成形加工板(S,S' )の上面およ
び支持板部(S1 〜S3 )の上面に、板状材料(r,
s)よりも厚みの小さい板状材料tを積み重ね、前記
(3)と同様にして振動摩擦溶着を行い、成形加工板
(S,S' )の上面および支持板部(S1 〜S3 )の上
面に、板状材料tが溶着固定された積層体を形成する
〔図4−(6)参照〕。
【0040】(7)切削加工手段により板状材料tの切
削加工(貫通溝の形成および表面切削)を行い、成形加
工板Tと、成形加工板T' と、貫通溝taにより成形加
工板Tから分割される支持板部T1 と、貫通溝tbによ
り成形加工板Tから分割されると共に貫通溝tcにより
成形加工板T' から分割される支持板部T2 と、貫通溝
tdにより成形加工板T' から分割される支持板部T3
とを形成する〔図4−(7)参照〕。
【0041】(8)下側固定治具21による積層体の挟
持を解除し、当該積層体を回転軸Kを中心に回動させる
〔図4−(8)参照〕。
【0042】(9)当該積層体を180度回動させるこ
とにより、積層体の上下を反転させ、当該積層体を、下
側固定治具21で再度挟持させることによって下側振動
盤(図示省略)に固定する〔図5−(9)参照〕。
【0043】(10)成形加工板Rの上面および支持板部
(R1 ,R2 )の上面に、供給手段によって搬送された
板状材料qを積み重ね、前記(3)と同様にして振動摩
擦溶着を行い、成形加工板Rの上面および支持板部(R
1 ,R2 )の上面に、板状材料qが溶着固定された積層
体を形成する〔図5−(10)参照〕。
【0044】(11)切削加工手段によって板状材料qの
切削加工を行うことにより、曲面−水平面−曲面が連続
するような外周形状を有する成形加工板Qと、支持板部
1 と、支持板部Q2 とを形成する〔図5−(11)参
照〕。
【0045】(12)成形加工板Qの上面および支持板部
(Q1 ,Q2 )の上面に、供給手段によって搬送された
板状材料pを積み重ね、前記(3)と同様にして振動摩
擦溶着を行い、成形加工板Qの上面および支持板部(Q
1 ,Q2 )の上面に、板状材料pが溶着固定された積層
体を形成する〔図6−(12)参照〕。
【0046】(13)切削加工手段によって板状材料pの
切削加工を行うことにより、曲面からなる外周形状を有
する成形加工板Pと、支持板部P1 と、支持板部P2
を形成する〔図6−(13)参照〕。以上のようにして形
成された立体形状物は、図6の(14)に示すように、成
形加工板(T,T' )、成形加工板(S,S' )、成形
加工板R、成形加工板Qおよび成形加工板Pが積層され
てなる部分積層体Aと、支持板部T1 、支持板部S1
支持板部R1 、支持板部Q1 および支持板部P1が積層
されてなる部分積層体Bと、支持板部T3 、支持板部S
3 、支持板部R2、支持板部Q2 および支持板部P2
積層されてなる部分積層体Cと、支持板部T2 および支
持板部S2 が積層されてなる部分積層体Dとの4つの部
分積層体よりなるものである。なお、4つの部分積層体
を分割する貫通溝の幅は0.1mm以上であることが好
ましく、更に好ましくは1mm以上とされる。
【0047】(14)部分積層体(B〜D)を取り除く。
これにより、図7に示すような立体形状物(最終製品)
が得られる。ここで、図7における数値は立体形状物の
寸法を示し、単位は(mm)である。部分積層体(B〜
D)は、手作業で容易に取り除くことができるが、真空
吸着治具などを用いて吸着除去することも可能である。
【0048】以上の方法によれば、5枚の板状材料
(t,s,r,q,p)を振動摩擦溶着することにより
300mmの高さを有する立体形状物を製造することが
できる。このように、積層固定方法として振動摩擦溶着
法を採用することにより、板状材料の厚みを大きく設定
することができ、従って、少ない積層回数(4回)によ
り所期の立体形状物を効率的に製造することができる。
【0049】また、板状材料(t,s,r,q,p)
を、それぞれ、多軸制御機構を有する切削加工手段によ
って切削加工するので、高さ方向(Z軸方向)において
複雑な曲面形状を有する立体形状物であって、側周面の
滑らかなものを容易に製造することができる。
【0050】また、製造すべき立体形状物の成形加工
(切削)を、5枚の板状材料に分けて遂行するので、切
削加工手段として、従来の切削加工法(立体形状物を包
含する大きさのブロック状の材料を切削する加工法)で
使用される切削刃物よりも長さの短い切削刃物を有する
安価な加工手段を用いることができる。
【0051】また、図4(8)に示すように、製造過程
における中間製品(積層体)を回動させて当該中間製品
の上下を反転させることにより、オーバーハング状に切
削加工する必要がなくなり、この結果、切削加工を容易
に行うことができる。しかも、上下を反転させた中間製
品を固定治具により挟持(再固定)する場合において、
前記中間製品が支持板部の積層体を含む板状またはブロ
ック状であるので、当該中間製品を容易に挟持すること
ができる。従って、挟持操作を短時間で行うことがで
き、また、当該挟持操作の自動化も容易である。
【0052】また、積層工程において、切削加工によっ
て分割形成された支持板部を取り除くことなく残存さ
せ、この支持板部の上面および成形加工板の上面に、板
状材料を積み重ねて振動摩擦溶着させるので、当該板状
材料が支持板部(積層体)によって確実に支持される。
また、支持板部(積層体)を残存させることによって、
プレス手段による加圧力が積層界面全体に均一に作用す
ることになり、この結果、前記成形加工板の上面と前記
板状材料の下面との間に適正で均質な振動摩擦状態を付
与することができ、これにより、成形加工板(積層体)
の上面と、板状材料の下面とが確実に溶着されることに
なる。支持板部を取り除いた状態で振動摩擦溶着を行う
と、板状材料の両端部分〔成形加工板(積層体)上面と
接触していない部分〕がプレス手段からの加圧力によっ
て垂れ下がることになり、寸法精度の高い立体形状物を
製造することができず、また、溶着面における接着強度
の低下を招くおそれがある。
【0053】〔第2の実施形態〕図8〜図11は、図1
に示した製造装置を用い、図7に示すような立体形状物
を製造する他の方法における一連の過程を示す概略断面
図である。
【0054】(1)供給手段によって搬送された板状材
料mを、下側固定治具21で挟持することによって下側
振動盤(図示省略)に固定する〔図8−(1),(2)
参照〕。ここで、下側固定治具21の底板21Bには、
真空吸引手段に連通する吸引空気路(図示省略)が形成
されている。
【0055】(2)切削加工手段により板状材料mの切
削加工(貫通溝の形成)を行い、当該板状材料mを、成
形加工板(M,M' )と、支持板部(M1 ,M2
3 )とに分割形成する〔図8−(3)参照〕。
【0056】(3)成形加工板(M,M' )の上面およ
び支持板部(M1 ,M2 ,M3 )の上面に、供給手段に
よって搬送された板状材料lを積み重ね、この板状材料
lを、上側固定治具で挟持することにより上側振動盤
(図示省略)に固定する。次いで、成形加工板(M,
M' )および支持板部(M1 ,M2 ,M3 )を下側振動
盤によってX方向(紙面の前後方向)に振動させるとと
もに、板状材料lを上側振動盤によってY方向(紙面の
左右方向)に振動させることにより、成形加工板の上面
および支持板部の上面と、板状材料lの下面とを擦り合
わせて振動摩擦溶着を行い、成形加工板(M,M' )の
上面および支持板部(M1 ,M2 ,M3 )の上面に、板
状材料lが溶着固定された積層体を形成する〔図8−
(4)参照〕。このとき、真空吸引手段を作動させるこ
とによって、成形加工板(M,M' の上面と板状材料l
の下面との間に存在する空気は、貫通溝および下側固定
治具21に設けられた吸引空気路を通って真空吸引手段
に吸引される。
【0057】(4)切削加工手段により板状材料lの切
削加工(貫通溝の形成および表面切削)を行い、成形加
工板(L,L' )と、段差を有する支持板部(L1 ,L
3 )と、支持板部L2 とを形成する〔図9−(5)参
照〕。
【0058】(5)成形加工板(L,L' )の上面およ
び支持板部(L1 〜L3 )の上面に、板状材料kを積み
重ね、前記(3)と同様にして振動摩擦溶着を行い、成
形加工板(L,L' )の上面および支持板部(L1 〜L
3 )の上面に、板状材料kが溶着固定された積層体を形
成する〔図9−(6)参照〕。
【0059】(6)切削加工手段により板状材料kの切
削加工(貫通溝の形成)を行い、成形加工板Kと、貫通
溝により成形加工板Kから分割される支持板部(K1
2 )とを形成する〔図9−(7)参照〕。
【0060】(7)成形加工板Kの上面および支持板部
(K1 ,K2 )の上面に、板状材料jを積み重ね、前記
(3)と同様にして振動摩擦溶着を行い、成形加工板K
の上面および支持板部(K1 ,K2 )の上面に、板状材
料jが溶着固定された積層体を形成する〔図10−
(8)参照〕。
【0061】(8)切削加工手段により板状材料jの切
削加工を行い、垂直面−曲面−水平面−曲面−垂直面が
連続するような外周形状を有する成形加工板Jと、支持
板部J 1 と、支持板部J2 とを形成する〔図10−
(9)参照〕。
【0062】(9)成形加工板Jの上面および支持板部
(J1 ,J2 )の上面に、供給手段によって搬送された
板状材料iを積み重ね、前記(3)と同様にして振動摩
擦溶着を行い、成形加工板Jの上面および支持板部(J
1 ,J2 )の上面に、板状材料iが溶着固定された積層
体を形成する〔図11−(10)参照〕。
【0063】(10)切削加工手段によって板状材料iの
切削加工を行うことにより、曲面からなる外周形状を有
する成形加工板Iと、支持板部(I1 ,I2 )とを形成
する〔図11−(11)参照〕。以上のようにして形成さ
れた立体形状物は、成形加工板が積層されてなる部分積
層体と、支持板部が積層されてなる3つの部分積層体と
よりなるものである。そして、支持板部の部分積層体を
取り除くことにより、図7に示すような、成形加工板の
部分積層体からなる立体形状物(最終製品)が得られ
る。
【0064】以上のような方法によれば、少ない積層回
数(4回)により所期の立体形状物を効率的に製造する
ことができ、また、複雑な曲面形状を有する立体形状物
であっても容易に製造することができる。
【0065】さらに、ブロック状の材料から立体形状物
を製造する従来の方法や第1の実施形態の方法のよう
に、製造過程における中間製品(積層体)を回動させて
当該積層体の上下を反転させる必要がなく、固定治具に
よる切削対象物の固定操作は1回行うだけででよい。従
って、固定操作を繰り返すことによる微小な位置ずれに
起因する切削誤差の発生を回避することができる。
【0066】〔第3の実施形態〕図12は、図1に示し
た製造装置を用い、楕円球状(回転楕円体状)の立体形
状物を製造する方法における一連の過程を示す概略断面
図である。
【0067】(1)供給手段によって搬送された板状材
料hを、下側固定治具21で挟持することによって下側
振動盤(図示省略)に固定する〔図12−(1)参
照〕。
【0068】(2)切削加工手段によって板状材料hの
切削加工を行い、球冠状の成形加工板Hと、支持板部H
1 とを形成する〔図12−(2)参照〕。同図におい
て、H2は、成形加工板Hと支持板部H1 との間に介在
する接続部であり、これにより、下側振動盤からの振動
を、支持板部H1 および接続部H2 を介して成形加工板
Hに伝達することができる。
【0069】(3)成形加工板Hの上面および支持板部
1 の上面に積み重ねられた板状材料を切削加工するこ
とにより、球分状の成形加工板Gと、支持板部G1 とを
形成する〔図12−(3)参照〕。同図において、G2
は、成形加工板Gと支持板部G 1 との間に介在する接続
部であり、この接続部G2 は、成形加工板Gの球帯から
水平方向に伸びて支持板部G1 に至るリブ状の部材であ
り、例えば90°ごとに4箇所形成されている。この接
続部G2 により、成形加工板Gと支持板部G1 とを一体
的に振動させることができ、適正で均質な振動摩擦状態
を確実に発現させることができる。
【0070】(4)成形加工板Gの上面および支持板部
1 の上面に積み重ねられた板状材料を切削加工するこ
とにより、球分状の成形加工板Fと、支持板部F1 とを
形成する〔図12−(4)参照〕。同図において、F2
は、成形加工板Fと支持板部F 1 との間に介在する接続
部であり、この接続部F2 は、成形加工板Fの球帯から
水平方向に伸びて支持板部F1 に至るリブ状の部材であ
り、例えば90°ごとに4箇所形成されている。この接
続部F2 により、成形加工板Fと支持板部F1 とを一体
的に振動させることができ、適正で均質な振動摩擦状態
を確実に発現させることができる。
【0071】(5)成形加工板Fの上面および支持板部
1 の上面に積み重ねられた板状材料を切削加工するこ
とにより、半楕円球状の成形加工板Eと、支持板部E1
とを形成する〔図12−(5)参照〕。
【0072】(6)以上のようにして形成された立体形
状物は、成形加工板H、成形加工板G、成形加工板Fお
よび成形加工板Eが積層されてなる部分積層体と、支持
板部H 1 、支持板部G1 、支持板部F1 および支持板部
1 が積層されてなる部分積層体とよりなるものであ
る。そして、成形加工板(H,G,F)と、支持板部
(H 1 ,G1 ,F1 )との間に介在する接続部(H2
2 ,F2 )を切除した後、支持板部の部分積層体を除
去することにより、成形加工板の部分積層体からなる楕
円球状の立体形状物が得られる。
【0073】
【実施例】
<実験例1>図1に示したような構成の製造装置を用い
て板状材料の振動摩擦溶着実験を行った。ここで、板状
材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)
よりなる透明板(50mm×50mm×3mm)を使用
し、これらの透明板を固定する下側固定治具21および
上側固定治具22としては、当該透明板を収容するため
の凹所(50mm×50mm×1mm)が形成されてな
るフェノール樹脂板を用いた。
【0074】プレス手段43による加圧力を0.1kg
/cm2 とし、下記の振動条件で板状材料同士を振動摩
擦溶着させて積層体(2層体)を作製した。得られた積
層体を目視により観察し、振動摩擦を行わせた積層界面
の面積(50mm×50mm)に対する溶着面の面積の
割合(以下「溶着面積割合」という。)を測定した。次
いで、プレス手段43による加圧力を下記表1に示すよ
うに変えたこと以外は上記と同様にして積層体を作製
し、各々の積層体について溶着面積割合を測定した。結
果を併せて下記表1に示す。
【0075】(振動条件)振動摩擦溶着手段40のうち
下側振動盤41のみを作動させることによって、上側固
定治具22に固定された静止状態の板状材料に対し、下
側固定治具21に固定された板状材料を、旋回半径1.
2mm、振動数(回転数)10,000rpmの条件で
10秒間回転運動させた。
【0076】
【表1】
【0077】<実験例2>実験例1で使用したものと同
様の板状材料(PMMAよりなる透明板)を下側固定治
具21によって固定し、固定した透明板を切削加工手段
30によって表面切削し、図13に示すように、幅20
mm、深さ0.1mmの凹部が形成された成形加工板を
作製した。次いで、この成形加工板の上面に、実験例1
で使用したものと同様の板状材料を積み重ね、実験例1
と同様の振動条件で、前記成形加工板の上面に板状材料
を溶着させて積層体(2層体)を作製した。なお、振動
摩擦溶着操作は、プレス手段43による加圧力を下記表
2に示すように変えて行った。
【0078】得られた積層体を観察したところ、成形加
工板の凹部においても板状材料の溶着が認められた。そ
こで、当該成形加工板の凹部上面と、板状材料の下面と
の間の剥離強度を測定した。測定結果を下記表2に示
す。
【0079】切削加工手段30によって形成される凹部
の深さを0.5mm、1.0mmに変えたこと以外は上
記と同様にして、成形加工板の上面に板状材料を溶着さ
せて積層体を作製し、得られた積層体の凹部における剥
離強度を測定した。さらに、実験例1と同様にして板状
材料同士を振動溶着させて積層体を作製し、得られた積
層体の剥離強度を測定した。結果を併せて下記表2に示
す。
【0080】
【表2】
【0081】上記表2の結果から理解されるように、成
形加工板と板状材料との間に非溶着部分を形成するため
には、当該非溶着部分となる上面と下面との間のギャッ
プを1.0mm以上とし、加圧力を5.0kg/cm2
以下とする必要がある。
【0082】<実験例3>下側固定治具21として、図
14に示すように、直径3mmの貫通孔が底板21Bに
16箇所設けられたフェノール樹脂板を用い、この下側
固定治具21によって、実験例1で使用したものと同様
の板状材料を固定した。この板状材料を、切削加工手段
30によって切削し、図15に示すように、上面から下
面に至る貫通溝が4個所に形成された成形加工板を作製
した。
【0083】この成形加工板の上面に、実験例1で使用
したものと同様の板状材料を積み重ねた。次いで、真空
吸引手段50を作動させ、下側固定治具21の底板21
Bに設けられた貫通孔および前記成形加工板の貫通溝を
通して、当該成形加工板の上面と前記シートの下面との
間に存在する空気を吸引してこの間に負圧を作用させな
がら、実験例1と同様の振動条件で、成形加工板の上面
に板状材料を溶着させて積層体(2層体)を作製した。
なお、プレス手段43による加圧力は0.5kg/cm
2 とし、負圧の程度(真空度)を変えて3種類の積層体
を作製し、更に比較のために、負圧を作用させないで
(真空度=0Torr)1種類の積層体を作製した。
【0084】上記のようにして得られた4種類の積層体
の各々について、溶着面積割合および溶着面の状態(気
泡発生の有無およびその程度)を目視によって観察し
た。結果を下記表3に示す。
【0085】
【表3】
【0086】<実施例>三次元切削装置を備えてなる図
1に示したような構成の製造装置を用いて、図7に示す
ような立体形状物を製造した。ここで、板状材料として
は、PMMAよりなる透明板(250mm×250mm
×50mm)を使用した。なお、積層工程においては、
第2の実施形態に記載の方法に準じて、中間製品である
積層体の反転・再固定操作は行わなかった。また、板状
材料の切削加工に際しては、成形加工板と支持板部とを
仕切る溝を貫通させず、当該板状材料の下面から1mm
の厚さに相当する部分を未貫通部分として残した。そし
て当該切削加工に続いて行われる振動摩擦溶着操作にお
いて、前記未貫通部分を「接続部」として利用すること
により成形加工板と支持板部とを一体的に振動させた。
図16は、未貫通部分を残して形成された立体形状物を
示す概略断面図である。なお、各層における未貫通部分
は、積層工程が終了した後に切除した。
【0087】本実施例において、振動条件および切削条
件は以下のとおりである。 (振動条件) 回転運動(旋回半径1.2mm) 振動数(回転数):10,000rpm 加圧力:0.5kg/cm2 真空吸引手段による真空度:10Torr
【0088】(切削条件) 切削刃物:高硬度鋼エンドミル(φ12) 回転数〔rpm〕:600(粗削り工程),140
0(仕上削り工程) 切込み〔mm〕 : 49(粗削り工程),
1(仕上削り工程) 送り速度〔mm/rev〕:2(粗削り工程),
0.5(仕上削り工程)
【0089】以上のようにして得られた立体形状物は、
溶着面において溶融物残渣や気泡が認められず一体性に
優れ、良好な外観状態および高い寸法精度を有してい
た。なお、この立体形状物の製造に要した時間は35分
間であった。
【0090】<比較例1>PMMAよりなる薄板状材料
(厚さ3mm)を、所定のスライス輪郭形状に裁断して
シート部材を100枚形成し、当該シート部材を積層す
ることにより、図7に示すような立体形状物の製造を試
みた。なお、シート部材の積層(接着)は、積み重ねら
れたシート部材の表面を熱板により10分間/(シート
部材1枚)加熱加圧することにより行った。ここで、加
熱条件および加圧条件は下記表4に示すとおりである。
シート部材間の接着状態、立体形状物の外観状態を下記
表4に併せて示す。
【0091】
【表4】
【0092】<比較例2>PMMAよりなるブロック状
材料(250mm×250mm×300mm)を、三次
元切削装置により切削加工して図7に示すような立体形
状物を製造した。なお、切削条件は次のとおりである。
この立体形状物の製造に要した時間は、固定治具による
再固定時間を含めて190分間であった。
【0093】(切削条件) 切削刃物:超高硬度鋼エンドミル(φ38) 回転数〔rpm〕:600(粗削り工程),140
0(仕上削り工程) 切込み〔mm〕 : 49(粗削り工程),
1(仕上削り工程) 送り速度〔mm/rev〕:2(粗削り工程),
0.5(仕上削り工程) 固定治具による再固定回数:4回
【0094】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、以下のよう
な効果が奏される。 (1)成形加工板(n)と、板状材料(n+1)とを振
動摩擦溶着によって積層固定するので、積層体を構成す
る板状材料の厚みを、切削加工が可能な範囲内で大きく
設定することができる。この結果、少ない積層回数(2
〜100回程度)によって、あらゆる形状の立体形状物
を効率的に製造することができる。
【0095】(2)振動摩擦溶着においては、溶着固定
に要する時間が溶着面積に依存しないので、成形加工板
(n)の上面および板状材料(n+1)の下面の面積が
大きい場合であっても、短時間で確実に溶着固定するこ
とができる。
【0096】(3)振動による摩擦熱を利用するので、
積層界面(前記上面および前記下面)に熱エネルギーを
付与する必要がない。この結果、少ない投入エネルギー
で確実に溶着固定することができる。また、板状材料自
体を加熱する必要がないので、当該板状材料の熱変形お
よび熱劣化などは生じない。
【0097】(4)接着剤層を介在させないので、一体
性に優れた立体形状物を製造することができ、得られる
立体形状物は、良好な耐熱性や高い機械的強度を有する
ものとなる。
【0098】(5)振動摩擦溶着により積層固定された
板状材料を切削加工するので、高さ方向において複雑な
曲面形状を有する立体形状物であっても容易に製造する
ことができる。また、製造すべき立体形状物の成形加工
を、複数の板状材料に分けて遂行するので、切削加工手
段として、従来の切削加工法で使用される切削刃物より
も長さの短い切削刃物を有する安価な加工手段を用いる
ことができ、短い時間で加工することができる。
【0099】本発明の製造装置によれば、上記の方法を
好適に遂行することができ、所期の立体形状物を効率的
に製造することができる。
【0100】ここに、本発明の製造方法および製造装置
についての好適な形態を列挙する。〔1〕板状材料
(n)を固定し、固定された板状材料(n)を切削加工
して成形加工板(n)を形成し、形成された成形加工板
(n)の上面に、新たな板状材料(n+1)を積み重ね
て振動摩擦溶着させることにより固定し、固定された板
状材料(n+1)を切削加工して成形加工板(n+1)
を形成する工程を繰り返すことにより、成形加工板の積
層体よりなる立体形状物を得ることを特徴とする立体形
状物の製造方法。
【0101】〔2〕板状材料(n)を固定し、固定され
た板状材料(n)を切削加工することにより、当該板状
材料(n)を、成形加工板(n)と、支持板部(n)と
に分割し、前記成形加工板(n)の上面および前記支持
板部(n)の上面に、新たな板状材料(n+1)を積み
重ねて振動摩擦溶着させることにより固定し、固定され
た板状材料(n+1)を切削加工することにより、当該
板状材料(n+1)を、成形加工板(n+1)と、支持
板部(n+1)とに分割する工程を繰り返した後、支持
板部の積層体よりなる立体形状物を除去することによ
り、成形加工板の積層体よりなる立体形状物を得ること
を特徴とする立体形状物の製造方法。
【0102】〔3〕板状材料(n)を固定し、固定され
た板状材料(n)を切削加工して貫通溝(n)を形成す
ることにより、当該板状材料(n)を、成形加工板
(n)と、支持板部(n)とに分割し、前記成形加工板
(n)の上面および前記支持板部(n)の上面に、新た
な板状材料(n+1)を積み重ねて振動摩擦溶着させる
ことにより固定し、固定された板状材料(n+1)を切
削加工して、前記貫通溝(n)に連通する貫通溝(n+
1)を形成することにより、当該板状材料(n+1)
を、成形加工板(n+1)と、支持板部(n+1)とに
分割する工程を繰り返した後、支持板部の積層体よりな
る立体形状物を除去することにより、成形加工板の積層
体よりなる立体形状物を得ることを特徴とする立体形状
物の製造方法。
【0103】〔4〕板状材料(n)と、板状材料(n+
1)とが、互いに異なる板厚および/または形状を有す
ることを特徴とする上記〔1〕乃至〔3〕の何れかに記
載の立体形状物の製造方法。
【0104】〔5〕板状材料(n)と、板状材料(n+
1)とが、互いに異なる材質よりなることを特徴とする
上記〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の立体形状物の製
造方法。
【0105】〔6〕成形加工板(n)の上面と、板状材
料(n+1)の下面との間に負圧を作用させながら振動
摩擦溶着させることを特徴とする上記〔1〕乃至〔4〕
の何れかに記載の立体形状物の製造方法。
【0106】〔7〕上記〔1〕乃至〔5〕の何れかに記
載の製造方法を遂行するための装置であって、板状材料
の供給手段(10)と、供給された板状材料を固定する
ための固定手段(20)と、固定された板状材料を切削
加工して成形加工板を形成するための切削加工手段(3
0)と、形成された成形加工板の上面に新たな板状材料
を溶着させるための振動摩擦溶着手段(40)とを備え
てなることを特徴とする立体形状物の製造装置。
【0107】〔8〕上記〔6〕に記載の製造方法を遂行
するための装置であって、成形加工板の上面と、板状材
料の下面との間に負圧を作用させるための真空吸引手段
(50)を備えてなることを特徴とす上記〔7〕に記載
の立体形状物の製造装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置の一例の概略を示す説明図で
ある。
【図2】本発明の製造装置の他の例の概略を示す説明図
である。
【図3】製造方法(第1の実施形態)における一連の過
程を示す概略断面図である。
【図4】製造方法(第1の実施形態)における一連の過
程を示す概略断面図である。
【図5】製造方法(第1の実施形態)における一連の過
程を示す概略断面図である。
【図6】製造方法(第1の実施形態)における一連の過
程を示す概略断面図である。
【図7】本発明の製造方法により得られる立体形状物の
一例を示す斜視図である。
【図8】製造方法(第2の実施形態)における一連の過
程を示す概略断面図である。
【図9】製造方法(第2の実施形態)における一連の過
程を示す概略断面図である。
【図10】製造方法(第2の実施形態)における一連の
過程を示す概略断面図である。
【図11】製造方法(第2の実施形態)における一連の
過程を示す概略断面図である。
【図12】製造方法(第3の実施形態)における一連の
過程を示す概略断面図である。
【図13】実験例2で作製された成形加工板を示す斜視
図である。
【図14】実験例3で使用した下側固定治具を示す平面
図である。
【図15】下側固定治具に固定された成形加工板を示す
平面図および断面図である。
【図16】未貫通部分を残して形成された立体形状物を
示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 板状材料の供給手段 20 固定手段 21 下側固定治具 22 上側固定治具 30 切削加工手段 31 コントロールユニット 32 多軸移動テーブル 33 切削刃物 40 振動摩擦溶着手段 41 下側振動盤 42 上側振動盤 43 プレス手段 50 真空吸引手段 M 積層体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状材料(n)を固定し、 固定された板状材料(n)を切削加工して成形加工板
    (n)を形成し、 形成された成形加工板(n)の上面に新たな板状材料
    (n+1)を積み重ねて振動摩擦溶着させることにより
    固定し、 固定された板状材料(n+1)を切削加工して成形加工
    板(n+1)を形成する工程を繰り返すことにより、成
    形加工板の積層体よりなる立体形状物を得ることを特徴
    とする立体形状物の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法を遂行するた
    めの装置であって、 板状材料の供給手段(10)と、 供給された板状材料を固定するための固定手段(20)
    と、 固定された板状材料を切削加工して成形加工板を形成す
    るための切削加工手段(30)と、 形成された成形加工板の上面に新たな板状材料を溶着さ
    せるための振動摩擦溶着手段(40)とを備えてなるこ
    とを特徴とする立体形状物の製造装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004001500A (ja) * 2002-04-26 2004-01-08 Ts Corporation シート積層造形装置およびシート積層造形方法
KR101234073B1 (ko) * 2005-08-18 2013-02-15 엘지전자 주식회사 세탁기 터브의 진동용착장치 및 그 장치에 의해 제작되는 터브 어셈블리
JP2017121719A (ja) * 2016-01-06 2017-07-13 パナソニック株式会社 3次元造形装置及び3次元造形方法
JP2019084832A (ja) * 2015-03-26 2019-06-06 セイコーエプソン株式会社 造形装置、造形物の造形方法

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