JPH0980685A - 写真用支持体の製造方法 - Google Patents

写真用支持体の製造方法

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JPH0980685A
JPH0980685A JP23265995A JP23265995A JPH0980685A JP H0980685 A JPH0980685 A JP H0980685A JP 23265995 A JP23265995 A JP 23265995A JP 23265995 A JP23265995 A JP 23265995A JP H0980685 A JPH0980685 A JP H0980685A
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JP
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film
polyester film
polyester
layer
photographic
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JP23265995A
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English (en)
Inventor
Takatoshi Yajima
孝敏 矢島
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、ポリエステルフィルム表面
に発生する爪折れ状の変形が軽減され、塗布故障の発生
が軽減されたポリエステルフィルムからなる写真用支持
体の製造方法を提供することにある。 【構成】 二軸延伸に続いて熱固定されたポリエステル
フィルムをロール状に巻取った後、該ポリエステルフィ
ルムの表面に写真感光層を塗布するまでの間に、一回以
上巻返しを行うことを特徴とする写真用支持体の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真用支持体の製造方
法に関し、詳しくは塗布故障の発生が軽減されたポリエ
ステルフィルムからなる写真用支持体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、写真感光材料への要求は多様化し
ており、特にカメラの小型化を目的として、写真感光材
料の薄膜化および写真用カートリッジの巻芯の小径化の
要求がある。このために写真感光材料用の支持体として
は、優れた機械的強度、寸法安定性、さらに巻ぐせが付
きにくいなどの性質が要求されている。
【0003】これらの要求に対して、従来から使われて
きたトリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフ
ィルムと称する)に代わって、二軸延伸したポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと称
する)が、その優れた透明性、機械的強度、寸法安定性
から、フィルムの薄膜化が必要なマイクロフィルムや、
寸法安定性が厳しく要求される印刷感材、透明性や腰の
強さが要求されるレントゲン用フィルムの分野では、す
でに使用されている。また、公開技報94−6023に
はガラス転移温度(以下、Tgとも称する)以下で熱処
理することにより、巻ぐせが低減されたポリエチレンナ
フタレンジカルボキシレートフィルム(以下PENフィ
ルムと称する)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、優れた性
能を有するポリエステルフィルムではあるが、薄膜化し
ていくと、いかにポリエステルフィルムとはいえ、その
剛性が低下してしまい、写真用支持体の製造過程での取
扱いが難しくなり、ポリエステルフィルム表面に爪折れ
状の変形が多く発生するという問題が新たに生じてき
た。これらのポリエステルフィルムは、通常、ポリエス
テル樹脂ペレットを乾燥した後、Tダイなどを介してシ
ート状に溶融押出し、さらに二軸延伸、熱固定されてロ
ール状に巻き取られて製造される。巻き取られたポリエ
ステルフィルムは、繰り出しながら、その表面に必要に
応じて下引層、導電性層、保護層などを片面または両面
に順次塗布されて写真用支持体が形成され、さらに、写
真感光層が塗布され、最後に断裁加工されて最終製品形
態となる。上記の変形はポリエステルフィルムがロール
状に巻取られてから、次ぎに下引層などの塗布のために
繰り出すまでの間で発生したものと考えられる。このよ
うな変形は、ポリエステルフィルムの表面に、写真感光
層を塗布する際に塗布故障となり写真品質を著しく劣化
させるものである。また、公開技報94−6023記載
の、巻ぐせを低減するために、ガラス転移温度(Tg)
以下で熱処理する方法をロール状に巻取られたポリエス
テルフィルムに採用した場合は、変形がさらに増大し、
深刻な問題となる。
【0005】したがって、本発明の目的は、ポリエステ
ルフィルム表面に発生する爪折れ状の変形が軽減され、
塗布故障の発生が軽減されたポリエステルフィルムから
なる写真用支持体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0007】(1).二軸延伸に続いて熱固定されたポ
リエステルフィルムをロール状に巻取った後、該ポリエ
ステルフィルムの表面に写真感光層を塗布するまでの間
に、一回以上巻返しを行うことを特徴とする写真用支持
体の製造方法。
【0008】(2).二軸延伸に続いて熱固定されたポ
リエステルフィルムをロール状に巻取った後、該ポリエ
ステルフィルムの表面に写真用感光層を塗布する間に、
一回以上巻返しを行い、さらにロール状のままTg−3
0℃以上Tg以下で熱処理することを特徴とする写真用
支持体の製造方法。(但し、Tgはポリエステルフィル
ムのガラス転移温度である)。
【0009】(3).二軸延伸に続いて熱固定されたポ
リエステルフィルムをロール状に巻取った後、ロール状
のままTg−30℃以上Tg以下で熱処理し、さらに該
ポリエステルフィルムの表面に下引き層を塗布するまで
の間に、一回以上巻返しを行うことを特徴とする写真用
支持体の製造方法。(但し、Tgはポリエステルフィル
ムのガラス転移温度である)。
【0010】(4).前記ポリエステルフィルムを構成
するポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートを70重量%以上含有していること
を特徴とする(1)、(2)または(3)に記載の写真
用支持体の製造方法。
【0011】爪おれの発生するメカニズムの詳細は不明
であるが、次のように推察した。つまり、二軸延伸に続
き熱固定されたばかりのポリエステルフィルムは、その
内部の歪みがまだ十分に緩和された状態になく、徐々に
緩和している過程にあると考えられる。この現象は、例
えば巻ぐせの付き易さを経時変化で調べると、徐々に巻
ぐせが付き難くなるという現象からも推察できる。ポリ
エステルフィルムは、この様な状態のままロール状に巻
取られ、ロール状態のまま徐々に緩和することになる。
この過程で微小な寸法変化が生じ、ロール状に巻かれた
ポリエステルフィルムの表裏が強固に接触している部分
で、薄膜のため剛性の不十分なポリエステルフィルムが
耐え切れずに、爪おれとなるものと考えられる。
【0012】以上のような発生メカニズムに基づき、緩
和過程で、ロール状に巻かれたポリエステルフィルムの
表裏の強固な接触を防止することにより、爪折れを改良
できると考え、本発明に到達した。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明のポリエステルフィルムを構成する
ポリエステルは、特に限定されるものではないが、ジカ
ルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフ
ィルム形成性を有するポリエステルであることが好まし
い。
【0015】主要な構成成分のジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニル
ケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸な
どを挙げることができる。また、ジオール成分として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、テト
ラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロ
パン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
フェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジ
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイド
ロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることが
できる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの
中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及び/または
2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分とし
て、エチレングリコール及び/または1,4−シクロヘ
キサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステ
ルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートま
たはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタ
ル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリ
コールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポ
リエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とする
ポリエステルが好ましい。ポリエステルに対してエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートユニットを
70重量%以上含有していると、透明性、機械的強度、
寸法安定性などに高度に優れたフィルムが得られる。ポ
リエチレンテレフタレートを主構成成分とするフィルム
に比べポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レートを主構成成分とするフィルムの方が機械的強度や
耐熱性に優れていることは良く知られている。一方、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを
主構成成分とするフィルムには、蛍光を発光する性質や
樹脂の価格が高いなどの不利な面もある。従って、使用
される目的に応じて、通常はポリエチレンテレフタレー
トを主構成成分とするフィルムを使用し、特に高度に薄
膜化が必要な場合や高い温度で酷使されるような場合は
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
を主構成成分とするフィルムを使用すれば良い。さらに
両者を混合することによりお互いの欠点を補うこともで
きる。
【0016】本発明のポリエステルフィルムを構成する
ポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲であれ
ば、さらに他の共重合成分が共重合されていても良い
し、他のポリエステルが混合されていても良い。これら
の例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオール
成分、またはそれらから成るポリエステルを挙げること
ができる。
【0017】本発明のポリエステルフィルムを構成する
ポリエステルには、フィルムのデラミネーションを起こ
し難くするため、スルホネート基を有する芳香族ジカル
ボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシア
ルキレン基を有するジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオール
などを共重合してもよい。中でもポリエステルの重合反
応性やフィルムの透明性の点で、5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4
−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−
2,6−ナフタレンジカルボン酸およびこれらのナトリ
ウムを他の金属、(例えばカリウム、リチウムなど)や
アンモニウム塩、ホスホニウム塩などで置換した化合物
またはそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレング
リコール−ポリプロピレングリコール共重合体およびこ
れらの両端のヒドロキシル基を酸化するなどしてカルボ
キシル基とした化合物などが好ましい。この目的で共重
合される割合としては、ポリエステルを構成する二官能
性ジカルボン酸を基準として、0.1〜10モル%が好
ましい。また、フィルムの耐熱性を向上する目的では、
ビスフェノール系化合物、ナフタレン環またはシクロヘ
キサン環を有する化合物を共重合することができる。こ
れらの共重合割合としては、ポリエステルを構成する二
官能性ジカルボン酸を基準として、1〜20モル%が好
ましい。
【0018】本発明に用いられるポリエステルには、ラ
イトパイピング現象を防止する目的で、染料を含有させ
ることが好ましい。このような目的で配合される染料と
しては、その種類に特に限定があるわけではないが、フ
ィルムの製造上、耐熱性に優れていることが必要であ
り、アンスラキノン系やペリノン系の染料が挙げられ
る。また、色調としては、一般の写真感光材料に見られ
るようにグレー染色が好ましい。これらの染料として
は、Bayer社製のMACROLEXシリーズ、住友
化学株式会社製のSUMIPLASTシリーズ、三菱化
成株式会社製のDiaresinシリーズなどの中から
一種単独で、もしくは二種以上の染料を必要な色調とな
るように混合して用いることができる。この際、フィル
ムの分光透過率を400〜700nmの波長範囲で50
%以上85%以下とするように染料を用いることが、ラ
イトパイピング現象を防止し、かつ良好な写真プリント
を得る上で好ましい。
【0019】本発明のポリエステルフィルムには、必要
に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与手
段としては、特に限定はないが、ポリエステルに不活性
無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエステルの
合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、
あるいは界面活性剤などをフィルム表面に塗布する方法
などが一般的である。これらの中でも、析出する粒子を
比較的小さくコントロールできる内部粒子析出方法が、
フィルムの透明性を損なうことなく易滑性を付与できる
ので好ましい。触媒としては、公知の各種触媒が使用で
きるが、特にCa、Mnを使用すると高い透明性が得ら
れるので好ましい。これらの触媒は一種でも良いし、二
種以上を併用しても良い。
【0020】本発明のポリエステルフィルムは異種のポ
リエステルからなる多層構成であっても良い。例えば、
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートユニ
ットを主構成成分とするポリエステルからなる層をA
層、他のポリエステルからなる層をB層あるいはC層と
した場合、A層とB層とからなる二層構成でも良いし、
A層/B層/A層、A層/B層/C層、B層/A層/B
層またはB層/A層/C層などの三層構成でも良い。さ
らに四層以上の構成であってもかまわない。A層の厚み
は、ポリエステルフィルムの全体の厚みに対し、30%
以上の厚みであることが好ましく、さらに50%以上の
厚みであることが好ましい。B層あるいはC層を構成す
るポリエステルとして、透明性、機械的強度、寸法安定
性などの優れたポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレンジカルボキシレートあるいは他のホモポ
リエステル、あるいは他の共重合ポリエステルを用いる
ことで、A層単独では得られない、その他のポリマーの
特性を付与することができる。さらに、本発明のポリエ
ステルフィルムが多層構成を有する場合は、上記のライ
トパイピング防止、易滑性などの機能付与、または紫外
線吸収剤などの上記以外の各種添加剤は、表面層のみに
添加すればよいので、フィルムの透明性を高く維持でき
る。
【0021】本発明のポリエステルフィルムの原料のポ
リエステルの合成方法は、特に限定があるわけではな
く、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造で
きる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接
エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカル
ボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これと
ジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下
で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重
合させるエステル交換法を用いることができる。この
際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触
媒を用い、あるいは耐熱安定剤を添加することができ
る。また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、
結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫
外線吸収剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止
剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させてもよい。
【0022】本発明のポリエステルフィルムは、下記の
方法で求めたフィルムの巻ぐせカールが110m-1以下
であることが好ましい。フィルムの巻ぐせカールがあま
り大きいと、写真感光材料の現像処理工程で、プレスプ
ライス工程の搬送性や仕分け作業時の作業性が劣る。ま
た、巻ぐせカールは適度にある方が、フィルムカートリ
ッジからフィルム先端部を出させるのが容易となり、い
わゆるベロ出し性に優れるので好ましい。従って、フィ
ルムの巻ぐせカールのより好ましい範囲は5〜90m-1
である。
【0023】<巻ぐせカール>巾35mm、長さ120
0mmの寸法の写真感光材料を、23℃、55%RHの
条件下で1日調湿した後、その写真感光層側を内側にし
て直径7mmの巻き芯に巻き付け戻らないように固定す
る。次いで、このフィルムをポリエチレン製のパトロー
ネケースに入れ、50℃、20%RHの条件下で4時間
加熱処理し、さらに23℃、55%RHの条件下で1時
間放冷する。その後フィルムを巻き芯から解放し、フィ
ルムの巻きの外側の端を上にしてクリップでつまみ、ぶ
らさげる。この状態でさらに、23℃、55%RHの条
件下で1時間放置する。こうした後、フィルムの下端の
巻ぐせカールの程度を曲率半径の逆数で求める。単位は
-1である。
【0024】本発明のポリエステルフィルムの厚みは特
に限定がある訳ではない。その使用目的に応じて必要な
強度を有する様に設定すればよい。特にフィルムがカラ
ーネガやリバーサルなどに代表される撮影用ロール状写
真感光材料に用いられる場合は、20〜125μm、特
に40〜90μmであることが好ましい。また、医用や
印刷用写真フィルムに用いられる場合は、50〜200
μm、特に60〜150μmであることが好ましい。こ
の範囲より薄いと、必要な強度が得られない場合があ
り、厚いと従来の写真感光材料用支持体に対しての優位
性がなくなってしまう。
【0025】本発明のポリエステルフィルムには、巾方
向のカール(いわゆるアンチカール)を付与すること
が、写真印画紙への焼付け工程で、すり傷の発生やピン
トのぼけなどの問題がない写真感光材料を得る上で好ま
しい。なお、フィルムのカールの凸側に写真感光層を設
け、かつその面を内側にして巻いた場合にその効果が発
揮される。
【0026】この様な目的でフィルムに付与するカール
の程度は、設ける写真感光層の厚み、弾性率、吸湿膨張
係数などにより変化するので一概に決められないが、写
真感光材料としたときに写真感光層側が凸にならない範
囲でできるだけフラットになるように付与すればよく、
通常、23℃、20%RHの条件下で5m-1〜50m-1
である。なお、カールの程度は、以下の様にして求めた
値である。
【0027】<巾方向のカール度>フィルムから巾35
mm、長さ2mmの寸法に切出した試験片を、23℃、
20%RHの条件下で1日調湿した後、サンプルの巾方
向のカールの曲率半径をメートルで求め、その逆数で巾
方向のカール度を表す。単位はm-1である。
【0028】フィルムに巾方向のカールを付与する方法
は、特に限定があるわけではなく、例えば、吸湿膨張係
数の異なる層を積層する方法、共重合成分や主構成成分
の異なるポリエステルを積層する方法、固有粘度の異な
る同種または異種のポリエステルを積層する方法、さら
に三層構成とし、両外層の厚みを変化させる方法、表裏
の延伸条件や熱固定条件を変化させフィルムの厚み方向
で分子配向や結晶化度の分布を持たせる方法などが挙げ
られる。また、レゾルシンなどで薬液処理する方法など
も挙げられる。
【0029】また、本発明のポリエステルフィルムは、
ヘーズが3%以下であることが好ましい。さらに好まし
くは1%以下0.1%以上である。ヘーズが3%より大
きいとフィルムを写真感光材料用支持体として用いた場
合、写真用印画紙に焼付けた画像がぼけてしまい不鮮明
になる。ヘーズがあまり小さすぎるとフィルムの取扱い
性が著しく悪くなる。上記ヘーズは、ASTM−D10
03−52に従って測定したものである。
【0030】本発明のポリエステルフィルムのTgは、
60℃以上が好ましく、さらに70℃以上が好ましい。
Tgは示差走査熱量計で測定するところのベースライン
が偏奇し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度
との平均値として求められる。Tgがこの値以上である
と、現像処理機の乾燥工程でのフィルムが変形がない感
光材料が得られる。
【0031】次に、本発明のポリエステルフィルムの製
造方法について説明する。
【0032】未延伸シートを得る方法および縦方向に一
軸延伸する方法は、従来公知の方法で行うことができ
る。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型
し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、Tダ
イよりシート状に押出して、静電印加法などにより冷却
ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得
る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群お
よび/または赤外線ヒーターなどの加熱装置を介してポ
リエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100
℃の範囲内に加熱し、一段または多段縦延伸する方法で
ある。延伸倍率は、通常2.5倍〜6倍の範囲で、続く
横延伸が可能な範囲とする必要がある。シートが多層構
成の場合の延伸温度の設定は各構成層のポリエステルの
Tgのなかで最も高いTgを基準にすることが好まし
い。
【0033】この際、ポリエステルを積層する場合も、
従来公知の方法でよい。例えば、複数の押出機およびフ
ィードブロック式ダイあるいはマルチマニフォールド式
ダイによる共押出法、積層体を構成する単層フィルムま
たは積層フィルム上に積層体を構成するその他の樹脂を
押出機から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化させる
押出ラミネート法、積層体を構成する単層フィルムまた
は積層フィルムを必要に応じてアンカー剤や接着剤を介
して積層するドライラミネート法などが挙げられる。中
でも、製造工程が少なくてすみ、各層間の接着性が良好
な共押出法が好ましい。
【0034】次に、上記の様にして得られた縦方向に一
軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm(融
点)−20℃の温度範囲内で、横延伸し、次いで熱固定
する。横延伸倍率は通常3〜6倍であり、また、縦、横
延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フィルムの物性を測
定し、好ましい特性を有するように適宜調整する。本発
明の場合、巾方向の弾性率が長手方向の弾性率より大き
くなるようにすることが好ましい。使用目的に応じて変
化させても良い。この時、2つ以上に分割された延伸領
域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延
伸すると巾方向の物性の分布が低減でき好ましい。さら
に横延伸後、フィルムを、その最終横延伸温度以下でT
g−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると巾
方向の物性の分布がさらに低減でき好ましい。
【0035】熱固定は、その最終横延伸温度より高温
で、Tm−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜30
0秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域
で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固
定することが好ましい。
【0036】熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで
冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし
ロール状に巻き取られる。この際、最終熱固定温度以
下、Tg以上の温度範囲内で、巾方向及び/または長手
方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。ま
た、冷却は、最終熱固定温度から室温までを毎秒1℃以
上100℃以下の冷却速度で徐冷することが寸法安定性
の点で好ましい。特に、Tg+50℃からTgまでを、
毎秒1℃以上100℃以下の冷却速度で徐冷することが
好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、
従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次
冷却しながら、これらの処理を行うことが、フィルムの
寸法安定性向上の点で好ましい。なお、冷却速度は、最
終熱固定温度をT1,フィルムが最終熱固定温度からT
gに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)
/tで求めた値である。これら熱固定条件、冷却、弛緩
処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリ
エステルにより異なるので、得られた二軸延伸フィルム
の物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整
することにより決定すればよい。また、上記フィルム製
造に際し、延伸の前および/または後で帯電防止層、易
滑性層、接着層、バリアー層などの機能性層を塗設して
もよい。この様に延伸の前および/または後で塗設され
た機能性層は、続く熱固定の効果で、ポリエステルフィ
ルムとの接着性に優れるのである。この際、コロナ放電
処理、薬液処理などの各種表面処理を必要に応じて施す
ことができる。さらに、ポリエステルフィルムの強度を
向上させる目的で、多段縦延伸、再縦延伸、再縦横延
伸、横・縦延伸など公知の延伸フィルムに用いられる延
伸を行うこともできる。もちろんカットされたフィルム
両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、あるい
は必要に応じて造粒処理や解重合・再重合などの処理を
行った後、同じ品種のフィルム用原料としてまたは異な
る品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
【0037】ポリエステルフィルムをロール状に巻き取
るに際しては、そのポリエステルフィルムの幅方向の両
端部を嵩高くし、ポリエステルフィルムの表裏が接触し
にくくするためにエンボス加工を行うことが好ましい。
エンボス加工は、通常、金属やゴムなどのバックロール
上でポリエステルフィルムに刻印の刻まれたエンボスリ
ングを押し当てることで、加工できる。加工は常温でも
可能であるが、Tg+20℃以上、融点(Tm)+30
℃以下で加工することにより、エンボスの嵩高さの耐熱
性が向上するので好ましい。
【0038】本発明において、エンボス加工は、フィル
ムを巻き取る際にフィルム同志が強く密着するのを防止
できればよいので少なくともフィルムの両端に加工すれ
ばよいが、フィルム巾が広い場合は、必要に応じて中央
部分にも加工することが好ましい。フィルム巾方向に5
0cmから2mの間隔でエンボス加工することでフィル
ム同志が強く密着するのを防止できる。エンボスの幅
は、5mm以上50mm以下が好ましい。一ヶ所に加工
するエンボスの条数は、一条でも二条でもそれ以上であ
ってもかまわない。エンボスの嵩高さは、通常5〜10
0μmが好ましく、さらに好ましくは6〜30μmであ
る。低すぎるとフィルム同志の密着を防止できない場合
があり、高すぎるとフィルム端部が変形する場合があ
る。個々のエンボスの嵩高さの差は通常10μm以内が
巻きずれを防止することができるので好ましい。
【0039】本発明では、二軸延伸に続いて熱固定され
たポリエステルフィルムをロール状に巻取った後、ポリ
エステルフィルムの表面に写真感光層を塗布するまでの
間に、一回以上巻返しを行うことに特徴がある。
【0040】巻返しとは、ロール状に巻取られたポリエ
ステルフィルムを巻き解きながら、繰出されたポリエス
テルフィルムを別の巻芯に巻き取る操作を意味する。も
ちろん巻返されたポリエステルフィルムを再度元の巻芯
に巻き戻すことも含まれる。
【0041】巻芯の材質は特に限定はないが、巻かれる
ポリエステルフィルムの重量に耐えるだけの剛性が必要
であり、アルミ、ステンレス、真鍮、銅、鉄、ジュラル
ミン、チタンなどの金属製の巻芯、3Al23−2Si
2、BaTiO3、ZrO2などのセラミック製の巻
芯、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、ナイロン
繊維、ポリエステル繊維、綿、紙などにフェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹
脂、ナイロン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアクリ
ル樹脂、ポリメタクリル樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、セルロースエステル樹脂、ゴム、酢酸ビニル、塩化
ビニルおよびこれらの共重合体やブレンド物を含浸させ
た繊維強化樹脂製の巻芯、アルミの表面をAl23で被
覆した巻芯、ステンレスの表面をCrO2で被覆した巻
芯などが挙げられる。中でもステンレス、アルミ、鉄製
の巻芯、ステンレスの表面をCrO2で被覆した巻芯、
ガラス繊維またはポリエステル繊維で強化された繊維強
化樹脂製の巻芯などが好ましい。
【0042】巻芯の表面は平滑なほどよく、表面粗さ
(RMAX)で2.0μm以下が好ましい。これらの例と
しては上記の巻芯の表面を研磨したものが挙げられる。
【0043】巻芯の直径は、あまり小さすぎると巻芯部
にしわなどが発生しやすく、大きすぎると設備が大型に
なり過ぎるので、通常75mm以上、さらに200mm
以上、さらに400mm以上1000mm以内が好まし
い。もちろん断面は真円で偏芯が少ないほど好ましい。
【0044】巻芯の構造は、中空でも、中空でなくても
良いが、巻芯の軽量化の点から中空の方が好ましい。
【0045】巻返しを行う装置は、特別である必要はな
く、通常の巻返し装置が使用できる。つまり一対の繰出
し装置と巻取装置があり、巻取張力と繰出し張力を制御
できる機構を備えていれば良い。
【0046】巻取張力は、初期張力が10〜100kg
/m、最終張力が5〜95kg/mで初期張力を最終張
力より高く設定することが好ましい。張力パターンは、
テーパーテンションによる方法、定トルクによる方法、
円周方向の残留応力を一定にする方法などが好ましい。
初期張力が高過ぎると、巻芯とフィルムの接合部の転写
が発生しやすく、最終張力が高すぎると芯の近くが星形
になるトラブルが起こりやすい。
【0047】巻返しを行う時期は、ポリエステルフィル
ムがロール状に巻取られてから、ポリエステルフィルム
の表面に写真感光層を塗布するまでの間であれば、爪折
れ減少効果が得られるが、特にポリエステルフィルムが
ロール状に巻取られてから、0.5時間以上164時間
以内に1回以上巻返しを行うことが好ましい。この範囲
とすることで爪おれの発生を高度に防止することができ
る。ポリエステルフィルムがロール状に巻取られてから
あまり時間が経たないうちに巻返した場合は、巻返し後
に爪おれが発生する場合がある。また、あまり長時間経
過してから巻返した場合は、すでに爪折れが発生してし
まっているため十分な効果が得られない場合がある。
【0048】以上のようにして得られたポリエステルフ
ィルムは、まだ巻ぐせが付きやすい性質なので、さらに
ポリエステルフィルムを、そのTg以下、Tg−30℃
以上の温度で熱処理を行うことが好ましい。処理温度は
高いほど短時間で巻ぐせカールの低減効果が得られる
が、あまり高温では、フィルムのシワや押されや折れが
発生しやすくなる場合がある。処理温度が低いときは長
い処理時間が必要となるが、低すぎると十分な巻ぐせカ
ールの低減効果が得られなくなる。処理時間は、特に限
定はないが、0.1時間以上から巻ぐせカールの低減効
果が認められ、長時間にするほど高い効果が得られるの
で所望の効果が得られるように適宜設定することができ
るが、あまり長いと生産性に劣るので通常1500時間
までが現実的である。また、ポリエステルフィルムをロ
ール状で熱処理する場合、フィルムの自重のため、ロー
ルの上部に当たるフィルムの変形が強くなる場合があ
る。これを防止するには熱処理中にロールを連続で、ま
たは断続的に回転させることが好ましい。
【0049】この様な巻ぐせ低減のための熱処理を行っ
た後に巻返しを行うと、爪おれを低減できるので好まし
い。巻返しの方法は前記の方法が挙げられる。
【0050】本発明のポリエステルフィルムの表面に少
なくとも1層の下引き層を塗設することにより写真用支
持体を得ることができる。下引き層に用いることのでき
る素材は特に限定されないが、例えば塩化ビニル、塩化
ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、
イタコン酸、無水マレイン酸を出発原料とする共重合体
を始めとして、ポリエチレンイミン、ポリエステル、ポ
リスチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、グラフト化
ゼラチン、ニトロセルロースなどやこれらの混合物など
を挙げることができる。これら下引き層中には界面活性
剤、帯電防止剤、アンチハレーション剤、クロスオーバ
ーカット剤、着色染料、顔料、増粘剤、塗布助剤、カブ
リ防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、
エッチング処理剤、磁性粉、マット剤などの各種添加剤
を一種または二種以上含有していてもよい。
【0051】下引き層を塗設する方法は特に限定はな
く、従来から知られている各種の方法を用いることがで
きる。例えば上記の素材を適当な溶媒に溶かした溶液あ
るいは分散液とし、エアーナイフコーター、ディップコ
ーター、カーテンコーター、ワイヤーバーコーター、グ
ラビアコーター、エクストルージョンコーターなどを用
いてフィルム表面に塗布し、乾燥する方法が挙げられ
る。この際必要に応じてコロナ放電処理、紫外線処理、
グロー放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面活
性化処理する方法やレゾルシン処理、フェノール類処
理、アルカリ処理、アミン処理、トリクロル酢酸処理な
どのエッチング処理する方法を用いても良い。もちろん
これらの処理を組合せてもよい。中でもコロナ放電処理
が好ましく用いられる。また、作業環境の点から塗布液
は水分散液あるいは水溶液であることが好ましい。
【0052】下引き層は一層または二層以上から構成さ
れていてもよく、さらに、帯電防止層、易滑性層、バリ
アー層、アンチハレーション層、クロスオーバーカット
層、紫外線吸収層、磁気記録層などが含まれていても良
い。
【0053】次に、写真感光材料を形成する方法につい
て説明する。
【0054】写真感光材料は、本発明の写真用支持体の
少なくとも一方の側に写真乳剤層が設けられており、写
真乳剤層はハロゲン化銀乳剤を塗設することによって形
成することができる。写真乳剤層は、写真用支持体の片
面または両面に設けることができる。また、写真乳剤層
は、それぞれの面に一層または二層以上設けることがで
きる。ハロゲン化銀乳剤は、写真用支持体上に直接ある
いは他の層、例えば、ハロゲン化銀乳剤を含まない親水
性コロイド層を介して塗設することができる。また、ハ
ロゲン化銀乳剤層は、異なる感度、例えば高感度および
低感度の各ハロゲン化銀乳剤層に分けて塗設してもよ
い。この場合、各ハロゲン化銀乳剤層の間に中間層を設
けてもよい。さらに、ハロゲン化銀乳剤層の上や中間
層、あるいはハロゲン化銀乳剤層と写真用支持体の間の
任意の場所に親水性コロイド層、保護層、アンチハレー
ション層、バッキング層、マスキング層などの非感光性
層を設けてもよい。
【0055】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、
例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略
す。)No.17643、22〜23頁(1979年1
2月)の“1.乳剤製造法(Emulsion pre
paration andtypes)”、およびRD
No.18716、648頁、グラフキデ著「写真の
物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkide
s,Chemie et Phyzique Phot
ographique ,Paul Montel,1
967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプ
レス社刊(G.F.Daffin,Photograp
hic Emulsion Chemistry Fo
cal Press 1966)、ゼリクマン等著「写
真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.
L.Zelikman etal,Making an
d coating Photographic Em
ulsion,Focal Press 1964)な
どに記載された方法を用いて調製することができる。
【0056】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、
米国特許3,574,628号、同3,665,394
号および英国特許1,413,748号などに記載され
た単分散乳剤も好ましい。
【0057】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤に
は、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができ
る。このような工程で使用される添加剤は、RD N
o.17643、RD No.18716及びRD N
o.308119(それぞれ、以下、RD 1764
3、RD 18716及びRD 308119と略
す。)に記載されている。表1にその記載箇所を示す。
【0058】
【表1】
【0059】本発明の写真感光材料がカラー写真感光材
料である場合、使用することができる写真用添加剤は上
記RDに記載されている。表2にその関連のある記載箇
所を示す。
【0060】
【表2】
【0061】また本発明の写真感光材料がカラー写真感
光材料である場合、種々のカプラーを使用することがで
き、その具体例は下記RD 17643及びRD 30
8119に記載されている。表3にその関連ある記載箇
所を示す。
【0062】
【表3】
【0063】またこれら添加剤は、RD 308119
1007頁 XIV項に記載されている分散法などによ
り、写真感光層に添加することができる。
【0064】本発明の写真感光材料がカラー写真感光材
料である場合には、前述のRD 308119 VII−
K項に記載されているフィルター層や中間層などの補助
層を設けることができる。
【0065】上記カラー写真感光材料を構成する場合、
前述のRD 308119 VII−K項に記載されてい
る順層、逆層、ユニット構成などの様々な層構成をとる
ことができる。
【0066】本発明の写真感光材料を現像処理するに
は、例えばT.H.ジェームズ著、セオリイ オブ ザ
フォトグラフィック プロセス第4版(The Th
eory of The Photografic P
rocess Forth Edition)第291
頁〜第334頁およびジャーナル オブ ザ アメリカ
ン ケミカル ソサエティ(JournaI of t
he AmericanChemical Socie
ty)第73巻、第3,100頁(1951)に記載さ
れている、それ自体公知の現像剤を使用することができ
る。また前記カラー写真感光材料は前述のRD 176
43 28〜29頁、RD 18716615頁及びR
D 308119 XIXに記載された通常の方法によっ
て、現像処理することができる。
【0067】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
詳述するが、本発明の実施態様はこれに限定されない。
【0068】以下の実施例において、ガラス転移温度お
よび融点、フィルムヘーズ、固有粘度、弾性率、破断強
度の各物性値および爪折れ評価ランクは下記により求め
られたものである。
【0069】(1)ガラス転移温度(Tg)および融点
(Tm) フィルムあるいはペレット10mgを、毎分300cm
3の窒素気流中、300℃で溶融し、直ちに液体窒素中
で急冷する。この急冷サンプルを示差走査型熱量計(理
学電器社製、DSC8230型)にセットし、毎分10
0ccの窒素気流中、毎分10℃の昇温速度で昇温し、
TgおよびTmを検出する。Tgはベースラインが偏奇
し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度との平
均値、Tmはその吸熱ピークのピーク温度とした。な
お、測定開始温度は、測定されるTgより50℃以上低
い温度とする。
【0070】(2)フィルムヘーズ ASTM−D1003−52に従って測定した。
【0071】(3)固有粘度 フィルムあるいはペレットを、フェノールと1,1,
2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比60/
40)に溶かし、濃度0.2g/dl、0.6g/d
l、1.0g/dlの溶液を作製し、ウベローデ型粘度
計により、20℃で、それぞれの濃度(C)における比
粘度(ηsp)を求める。次いで、ηsp/CをCに対して
プロットし、得られた直線を濃度ゼロに補外して を求める。単位は、dl/gで示される。
【0072】(4)弾性率および破断強度 フィルムを、巾10mm、長さ200mmの大きさに切
出し、23℃、55%RHの条件下で12時間調湿した
後、(株)オリエンテック社製テンシロン(RTA−1
00)を用い、チャック間を100mmにし、引張り速
度100mm/分で引張り試験をし弾性率および破断強
度を求めた。
【0073】(5)爪折れ評価 フィルム10m2当たりの爪折れ発生個数を目視にて評
価し、以下の基準でランク付けした。なお、このランク
付けにおける実用性は、写真感光材料としての品質の許
容性に基づいて決定されており、ランク○以上であるこ
とが必要である。
【0074】 ランク 爪折れ個数 ◎ 0個 ○ 1〜3個 × 4個以上 実施例1 以下のようにして、ポリエステルフィルムを準備した。
【0075】(ポリエステルA)2,6−ナフタレンジ
カルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール
60重量部にエステル交換触媒として酢酸カルシウム水
和物0.1重量部を添加し、常法に従ってエステル交換
反応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン
0.05重量部、リン酸トリメチルエステル0.03重
量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、29
0℃、0.5mmHgで重合を行い、固有粘度0.60
のポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0076】(ポリエステルB)ポリエステルAにバイ
エル社製染料マクロレックス グリーンG、マクロレッ
クス レッド5Bを1:1の割合で添加し、押出し機を
用いて染料濃度が2000ppmのマスターペレットを
作製した。
【0077】以上のようにして得られた各々のポリエス
テルを用いて、以下のようにしてフィルムを得た。
【0078】ポリエステルAとポリエステルBを重量比
9:1の割合になるようにタンブラー型混合機でブレン
ドした。この後、150℃で8時間真空乾燥した後、3
00℃でTダイから層状に溶融押出し、50℃の冷却ド
ラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ,未
延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸
機を用いて、135℃で縦方向に3.3倍延伸した。
【0079】得られた一軸延伸フィルムをテンター式横
延伸機を用いて、第一延伸ゾーン145℃で総横延伸倍
率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン155℃で総
横延伸倍率3.3倍となるように延伸した。次いで、1
00℃で2秒間熱処理し、さらに第一熱固定ゾーン20
0℃で5秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン240℃で1
5秒間熱固定した。次いで横方向に5%弛緩処理しなが
らTgまで60秒かけて冷却し、さらに室温まで60秒
かけて冷却し、フィルムをクリップから解放し、巾1.
5mにスリットしその幅方向の両端部に270℃にコン
トロールされたエンボスリングを押込み量と押込み圧力
を調節して押付けながら高さ15μm、巾10mmのエ
ンボス加工を施した後、直径350mmのSUS製の巻
芯に、初期張力35kgf、最終張力30kgfとなる
ように張力を変化させながら1500m巻き5本を巻き
取った。得られたポリエステルフィルムの厚みは90μ
mで、物性値は以下のようであった。
【0080】 Tg 120 ℃ Tm 270 ℃ 固有粘度 0.58 dl/g ヘーズ 0.6 % 弾性率 タテ方向 650 kg/mm2 ヨコ方向 700 kg/mm2 破断強度 タテ方向 22 kg/mm2 ヨコ方向 24 kg/mm2 次いで3本はフィルムが巻き取られてから、24時間後
に、巻返し操作を行った。巻返しは、常温で直径350
mmのSUS製の巻芯に、初期張力30kgf、最終張
力25kgfとなるように張力を変化させながら行っ
た。この後、164時間、常温常湿下で保管した。他の
2本は、巻返し操作をしないでそのまま164時間、常
温常湿下で保管しておいた。
【0081】巻返しあり/なしそれぞれから各1本づつ
について、巻芯側から100m外側の部分をサンプリン
グし爪折れの評価を行った(水準1、2)。
【0082】残りの3本(巻返し有り2本、巻返しなし
1本)は、この後、巻ぐせ低減のための熱処理を施し
た。温度制御可能なオーブンを用いて48時間かけて室
温から110℃まで定速度で昇温し、そのまま24時間
保持し、さらに48時間かけて定速度で室温まで冷却し
た。この後、巻返しありの中の1本は、直ちに上記と同
様に再度巻返し操作を行い、さらに164時間、常温常
湿下で保管した(水準5)。残りの巻返しあり/なしそ
れぞれ各1本づつについては、そのまま164時間、常
温常湿下で保管した(水準3、4)。各巻きについて、
巻芯側から100m外側の部分をサンプリングし爪折れ
の評価を行った。
【0083】実施例2 実施例1と同様にして厚み90μmのポリエステルフィ
ルム1500mを10本得た。続いて、巻き取られてか
ら巻返しを行うまでの時間を表4の様に変化しながら、
それぞれ巻返しあり/なしの水準を作製した。その後、
164時間、常温常湿下で保管した。各巻きについて、
巻芯側から100m外側の部分をサンプリングし爪折れ
の評価を行った(水準6〜13)。
【0084】実施例3 実施例1で、巻き取り直後に以下の表面加工を行った以
外は実施例1と同様にして処理し、各巻きについて、巻
芯側から100m外側の部分をサンプリングし爪折れの
評価を行った(水準14〜18)。但し水準18は巻ぐ
せ低減のため、熱処理の後、直ちに再度、巻き返し操作
を行った。
【0085】フィルムの写真乳剤側となる面に8W/
(m2・min)のコロナ放電処理を施し、その上に2
5℃、50%RHの雰囲気下でロールフィットコーティ
ングパン及びエアーナイフを使用して下記の塗布液A−
1を塗布し、乾燥温度115℃で1分間乾燥し、乾燥後
の厚み0.8μmの層を形成した。
【0086】 <塗布液A−1> ブチルアクリレート30重量%、t−ブチルアクリ レート20重量%、スチレン25重量%,及び2− ヒドロキシエチルアクリレート25重量%の共重合 体ラテックス液(固形分30%) 270g 化合物(UL−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.8g 水で仕上げる 1000ml さらにA−1塗布面に同様にして、下記の塗布液A−2
を塗布し、乾燥後の厚みが0.1μmの層を形成した。
【0087】 <塗布液A−2> ゼラチン 10g 化合物(UL−1) 0.2g 化合物(UL−2) 0.2g 化合物(UL−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径:3μm) 0.1g 水で仕上げる 1000ml 次にフィルムのバック層側となる面に、同様にして、下
記の塗布液B−1を塗布し、乾燥温度115℃で1分間
乾燥し、乾燥後の厚み0.8μmの層を形成した。
【0088】 <塗布液B−1> ブチルアクリレート40重量%、スチレン20重量% ,及びグリシジルアクリ レート40重量%の 共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g 化合物(UL−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.8g 水で仕上げる 1000ml 次いで、B−1塗布面に、同様にして下記の塗布液B−
2を塗布し、乾燥温度115℃で1分間乾燥し、乾燥後
の厚み0.8μmの層を形成した。
【0089】 <塗布液B−2> 化合物(UL−4) 60g 化合物(UL−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g 硫酸アンモニウム 0.5g 化合物(UL−6) 12g ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g 水で仕上げる 1000ml さらに、以下のようにしてバック層を塗設した。
【0090】B−2塗布面に30℃、50%RHの雰囲
気下でワイヤーバーを使用して下記の塗布液B−3を塗
布し、乾燥温度90℃で1分間乾燥し、乾燥後の厚み
0.1μmの層を形成した。
【0091】 <塗布液B−3> ジアセチルセルロース 10g アセトン 400ml メタノール 600ml さらに、B−3塗布面に30℃、50%RHの雰囲気下
でワイヤーバーを使用して下記の塗布液B−4を10m
l/m2塗布し、乾燥温度90℃で1分間乾燥し、バッ
ク層を仕上げた。
【0092】 <塗布液B−4> カルナバワックス 1g トルエン 700ml メチルエチルケトン 300ml
【0093】
【化1】
【0094】
【化2】
【0095】以上の評価結果を一括して表4に示した。
【0096】
【表4】
【0097】表4から明らかなように、本発明により巻
返しを行うことにより爪折れが軽減されていることが分
かる。
【0098】
【発明の効果】本発明により、ポリエステルフィルム表
面に発生する爪折れ状の変形が軽減され、塗布故障の発
生が軽減されたポリエステルフィルムからなる写真用支
持体の製造方法を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 67:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸延伸に続いて熱固定されたポリエス
    テルフィルムをロール状に巻取った後、該ポリエステル
    フィルムの表面に写真感光層を塗布するまでの間に、一
    回以上巻返しを行うことを特徴とする写真用支持体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 二軸延伸に続いて熱固定されたポリエス
    テルフィルムをロール状に巻取った後、該ポリエステル
    フィルムの表面に写真感光層を塗布するまでの間に、一
    回以上巻返しを行い、さらにロール状のままTg−30
    ℃以上Tg以下で熱処理することを特徴とする写真用支
    持体の製造方法。(但し、Tgはポリエステルフィルム
    のガラス転移温度である)。
  3. 【請求項3】 二軸延伸に続いて熱固定されたポリエス
    テルフィルムをロール状に巻取った後、ロール状のまま
    Tg−30℃以上Tg以下で熱処理し、さらに該ポリエ
    ステルフィルムの表面に下引き層を塗布するまでの間
    に、一回以上巻返しを行うことを特徴とする写真用支持
    体の製造方法。(但し、Tgはポリエステルフィルムの
    ガラス転移温度である)。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステルフィルムを構成するポ
    リエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
    ボキシレートを70重量%以上含有していることを特徴
    とする請求項1、2または3に記載の写真用支持体の製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009525895A (ja) * 2006-02-09 2009-07-16 デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ 低熱収縮を示すポリエステルフィルムの製造プロセス
JP2018130837A (ja) * 2017-02-13 2018-08-23 東洋紡株式会社 多層フィルムロール、および多層フィルムロールを製造する方法

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