JPH08278594A - 写真用支持体 - Google Patents

写真用支持体

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JPH08278594A
JPH08278594A JP8137595A JP8137595A JPH08278594A JP H08278594 A JPH08278594 A JP H08278594A JP 8137595 A JP8137595 A JP 8137595A JP 8137595 A JP8137595 A JP 8137595A JP H08278594 A JPH08278594 A JP H08278594A
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JP
Japan
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film
layer
temperature
photographic
polyester
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JP8137595A
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English (en)
Inventor
Takatoshi Yajima
孝敏 矢島
Masato Takada
昌人 高田
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性、強度、プレスプライス搬送性に優れ
ており、かつエンボス部分の波状変形が改良されて、平
面性にも優れている写真用支持体の提供。 【構成】 二軸延伸ポリエステルフィルムからなる写真
用支持体であって、該二軸延伸ポリエステルフィルムの
巾方向の両端に、処理温度がTg(Tgはガラス転移温
度)以下の温度でエンボス加工が施された後、Tg−3
0℃以上Tg以下で熱処理されていることを特徴とする
写真用支持体により達成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明性、機械的強度に
優れ、現像処理前のプレスプライス工程での搬送不良の
ない二軸延伸ポリエステルフィルムからなるハロゲン化
銀写真用支持体に関し、特にフィルム端部の波打ちのな
い、平面性が改良された二軸延伸ポリエステルフィルム
からなる写真用感光材料用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハロゲン化銀写真感光材料(以
下、感光材料という)の用途は多様化しており、撮影時
のフィルム巻き出しの高速化、撮影倍率の高倍率化、撮
影装置の小型化が著しく進んでいる。このため感光材料
用の写真用支持体(以下、支持体という)としては、優
れた機械的強度、寸法安定性などの性質が要求されてい
る。さらに、ロールフィルム状の感光材料では、その巻
芯の小径化が要求されている。
【0003】一般のカラーネガフィルムの様なロールフ
ィルム状の感光材料では、従来からトリアセチルセルロ
ースフィルム(以下、TACフィルムという)が使われ
てきた。ところが、TACフィルムは機械的強度が小さ
いうえに、吸湿による寸法変化が大きくフィルムを薄く
することができなかった。さらに、巻芯を小径化するこ
とにより巻ぐせカールは増大する。このため新たに、現
像処理前のプレスプライス工程での搬送不良が問題とな
った。つまり、大量に処理する現像所では、撮影済みの
写真フィルムを一本づつ処理するのではなく、まず何本
かを接合して長尺にしてから、一度に処理しているのが
普通であり、撮影済み写真フィルムの巻ぐせカールが大
きすぎると、写真フィルムの接合が困難となるのであ
る。
【0004】二軸延伸したポリエチレンテレフタレート
フィルム(以下PETフィルム)は、優れた透明性、機
械的強度、寸法安定性を有しており、フィルムの薄膜化
が必要なマイクロフィルムや、寸法安定性が厳しく要求
される印刷感光材料、透明性や腰の強さが要求されるレ
ントゲン用感光材料に使用されている。ところが、PE
Tフィルムには、TACフィルムにみられるような現像
処理後の巻きぐせ回復性がなく、ロールフィルム状の感
光材料に用いると、現像処理後の巻きぐせカールが大き
すぎ、やはり、現像処理前のプレスプライス工程での搬
送不良が問題である。
【0005】一般に、ポリエステルフィルムは機械的強
度や寸法安定性に優れている。従ってPETフィルムに
代表されるポリエステルフィルムの巻ぐせカールを低減
することにより、しいては、現像処理後の巻ぐせカール
も低減することができ、上記の種々の問題を解決できる
と思われる。
【0006】この様な観点から、公開技報94−602
3にはガラス転移温度(以下Tg)以下で熱処理するこ
とにより、巻ぐせが低減されたポリエチレンナフタレン
ジカルボキシレートフィルム(以下PENフィルム)が
提案されている。
【0007】この様な巻ぐせを低減するためのTg以下
の熱処理は、その効果を十分なものにするためには、数
時間以上の熱処理時間が必要である。従って通常はフィ
ルムをロール状に巻き取ってから熱処理することが必要
となる。
【0008】また、写真用支持体に用いられるフィルム
は、高度に透明性が要求されるので、フィルム表面は平
滑であり、フィルム同志のブロッキングが生じやすい。
このため、フィルムをロール状に巻取るには、フィルム
同志のブロッキングを防止するため、通常フィルムの巾
方向の少なくとも両端に凸凹を付与し端部を少し嵩高く
する、いわゆるエンボス加工を施すことが必要である。
【0009】ところが、エンボス加工が施されたフィル
ムロールに巻ぐせを低減するための熱処理をすると、エ
ンボス加工が施された部分が、波状に変形するという問
題があることが判明した。この波状の変形は、続く下引
き塗布工程、バック層塗布工程、写真感光層塗布工程な
どでフィルム搬送中に、フィルムのばたつきを起こし、
横段状の重大な塗布故障を引起こすのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題に対
して、本発明の課題は、透明性、強度、プレスプライス
搬送性に優れており、かつエンボス部分の波状変形が改
良されて、平面性も優れている写真用支持体を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、二
軸延伸ポリエステルフィルムからなる写真用支持体であ
って、該二軸延伸ポリエステルフィルムの巾方向の両端
に、処理温度がTg以下の温度でエンボス加工が施され
た後、Tg−30℃以上Tg以下で熱処理されているこ
とを特徴とする写真用支持体により達成される。
【0012】尚、上記二軸延伸ポリエステルフィルムが
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートユニ
ットを70重量%以上含有していることが本発明の好ま
しい態様である。
【0013】以下、本発明について具体的に説明する。
【0014】エンボス部分の波状の変形は、次の理由に
より生じたものと考えられる。つまり、エンボス加工が
施されている部分は、固く巻かれているので巻ぐせ低減
の熱処理中に寸法変化しないが、それ以外の部分は熱収
縮できるので寸法が短くなる。このため相対的に寸法の
長くなった分を吸収しようとエンボス部分が波状に変形
したものと考えられる。従って、エンボス部分も、それ
以外の部分と同じ様に熱収縮ができれば、エンボス部分
の波状の変形が抑えられると考えた。
【0015】本発明は、特定の加工条件でエンボス加工
することにより、巻ぐせ低減の熱処理中にエンボスの嵩
高さが減少し、フィルムが熱収縮できるようにしたもの
である。
【0016】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルは、特に限定されるものではない
が、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分
とするフィルム形成性を有するポリエステルであること
が好ましい。
【0017】主要な構成成分のジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニル
ケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸な
どを挙げることができる。
【0018】また、ジオール成分としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリ
コール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノール
フルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、
シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。こ
れらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明
性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン
酸成分として、テレフタル酸及び/または2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレング
リコール及び/または1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
中でも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主要な構
成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−
ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる
共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二
種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが
好ましい。
【0019】ポリエステルに対してエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレートユニットが70重量%以
上含有していると、透明性、機械的強度、寸法安定性な
どに高度に優れたフィルムが得られる。ポリエチレンテ
レフタレートを主構成成分とするフィルムに比べポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主構
成成分とするフィルムの方が機械的強度や耐熱性に優れ
ていることは良く知られている。一方、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主構成成分と
するフィルムには、蛍光を発光する性質や樹脂の価格が
高いなどの不利な面もある。従って、使用される目的に
応じて、通常はポリエチレンテレフタレートを主構成成
分とするフィルムを使用し、特に高度に薄膜化が必要な
場合や高い温度で酷使されるような場合はポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主構成成分
とするフィルムを使用すれば良い。さらに両者を混合す
ることによりお互いの欠点を補うことができる。
【0020】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範
囲であれば、さらに他の共重合成分が共重合されていて
も良いし、他のポリエステルが混合されていても良い。
これらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジ
オール成分、またはそれらから成るポリエステルを挙げ
ることができる。
【0021】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルには、フィルムのデラミネーショ
ンを起こし難くするため、スルホネート基を有する芳香
族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリ
オキシアルキレン基を有するジカルボン酸またはそのエ
ステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有する
ジオールなどを共重合してもよい。
【0022】中でもポリエステルの重合反応性やフィル
ムの透明性の点で、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−ナトリウ
ムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナ
フタレンジカルボン酸およびこれらのナトリウムを他の
金属、(例えばカリウム、リチウムなど)やアンモニウ
ム塩、ホスホニウム塩などで置換した化合物またはその
エステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−
ポリプロピレングリコール共重合体およびこれらの両端
のヒドロキシ基を酸化するなどしてカルボキシル基とし
た化合物などが好ましい。この目的で共重合される割合
としては、ポリエステルを構成する二官能性ジカルボン
酸を基準として、0.1〜10モル%が好ましい。
【0023】また、フィルムの耐熱性を向上する目的で
は、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環またはシク
ロヘキサン環を有する化合物を共重合することができ
る。これらの共重合割合としては、ポリエステルを構成
する二官能性ジカルボン酸を基準として、1〜20モル
%が好ましい。
【0024】本発明に用いられるポリエステルには、ラ
イトパイピング現象を防止する目的で、染料を含有させ
ることが好ましい。このような目的で配合される染料と
しては、その種類に特に限定があるわけではないが、フ
ィルムの製造上、耐熱性に優れていることが必要であ
り、アンスラキノン系やペリノン系の染料が挙げられ
る。また、色調としては、一般の写真感光材料に見られ
るようにグレー染色が好ましい。これらの染料として
は、Bayer社製のMACROLEXシリーズ、住友
化学株式会社製のSUMIPLASTシリーズ、三菱化
成株式会社製のDiaresinシリーズなどの中から
一種単独で、もしくは二種以上の染料を必要な色調とな
るように混合して用いることができる。この際、フィル
ムの分光透過率を400〜700nmの波長範囲で60
%以上85%以下とし、さらに600〜700nmの波
長範囲で分光透過率の最大と最小の差が10%以内とす
るように染料を用いることが、ライトパイピング現象を
防止し、かつ良好な写真プリントを得る上で好ましい。
【0025】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに
は、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑
性付与手段としては、特に限定はないが、ポリエステル
に不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエ
ステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析
出方法、あるいは界面活性剤などをフィルム表面に塗布
する方法などが一般的である。これらの中でも、析出す
る粒子を比較的小さくコントロールできる内部粒子析出
方法が、フィルムの透明性を損なうことなく易滑性を付
与できるので好ましい。触媒としては、公知の各種触媒
が使用できるが、特にCa、Mnを使用すると高い透明
性が得られるので好ましい。これらの触媒は一種でも良
いし、二種以上を併用しても良い。
【0026】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは
異種のポリエステルからなる多層構成であっても良い。
例えば、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ートユニットを主構成成分とするポリエステルからなる
層をA層、他のポリエステルからなる層をB層あるいは
C層とした場合、A層とB層とからなる二層構成でも良
いし、A層/B層/A層、A層/B層/C層、B層/A
層/B層またはB層/A層/C層などの三層構成でも良
い。さらに四層以上の構成であってもかまわない。A層
の厚みは、ポリエステルフィルムの全体の厚みに対し、
30%以上の厚みであることが好ましく、さらに50%
以上の厚みであることが好ましい。B層あるいはC層を
構成するポリエステルとして、透明性、機械的強度、寸
法安定性などの優れたポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレンジカルボキシレートあるいは他の
ホモポリエステル、あるいは他の共重合ポリエステルを
用いることで、A層単独では得られない、その他のポリ
マーの特性を付与することができる。
【0027】さらに、本発明の二軸延伸ポリエステルフ
ィルムが多層構成を有する場合は、上記のライトパイピ
ング防止、易滑性などの機能付与、または紫外線吸収剤
などの上記以外の各種添加剤は、表面層のみに添加すれ
ばよいので、フィルムの透明性を高く維持できる。
【0028】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
原料のポリエステルの合成方法は、特に限定があるわけ
ではなく、従来公知のポリエステルの製造方法に従って
製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分
と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めに
ジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、
これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを
減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することに
より重合させるエステル交換法を用いることができる。
この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反
応触媒を用い、あるいは耐熱安定剤を添加することがで
きる。
【0029】また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化
防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防
止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、
帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させて
もよい。
【0030】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム
は、下記の方法で求めたフィルムの巻ぐせカールが11
0m-1以下であることが好ましい。フィルムの巻ぐせカ
ールがあまり大きいと、プレスプライス工程での搬送性
や仕分け作業時の作業性が劣る。また、巻ぐせカールは
適度にある方が、フィルムカートリッジからフィルム先
端部を出させるのが容易となり、いわゆるベロ出し性に
優れるので好ましい。従って、フィルムの巻ぐせカール
のより好ましい範囲は5〜90m-1である。
【0031】<巻ぐせカールの測定法>巾35mm、長
さ1200mmの寸法の写真感光材料を、23℃、55
%RHの条件下で1日調湿した後、その写真感光層側を
内側にして直径7mmの巻き芯に巻き付け戻らないよう
に固定する。次いで、このフィルムをポリエチレン製の
パトローネケースに入れ、50℃、20%RHの条件下
で4時間加熱処理し、さらに23℃、55%RHの条件
下で1時間放冷する。その後フィルムを巻き芯から解放
し、フィルムの巻の外側の端を上にしてクリップでつま
み、ぶらさげる。この状態でさらに、23℃、55%R
Hの条件下で1時間放置する。こうした後、フィルムの
下端の巻ぐせカールの程度を曲率半径の逆数で求める。
単位はm-1である。
【0032】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
厚みは特に限定がある訳ではない。その使用目的に応じ
て必要な強度を有する様に設定すればよい。特にフィル
ムがカラーネガやリバーサルなどに代表される撮影用ロ
ール状写真フィルムに用いられる場合は、20〜125
μ、特に40〜90μであることが好ましい。また、医
用や印刷用写真フィルムに用いられる場合は、50〜2
00μ、特に60〜150μであることが好ましい。こ
の範囲より薄いと、必要な強度が得られない場合があ
り、厚いと従来の写真フィルム用支持体に対しての優位
性がなくなってしまう。
【0033】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに
は、巾方向のカール(いわゆるアンチカール)を付与す
ることが、写真印画紙への焼付け工程で、すり傷の発生
やピントのぼけなどの問題がない写真フィルムを得る上
で好ましい。なお、フィルムのカールの凸側に写真感光
層を設け、かつその面を内側にして巻いた場合にその効
果が発揮される。
【0034】この様な目的でフィルムに付与するカール
の程度は、設ける写真感光層の厚み、弾性率、吸湿膨張
係数などにより変化するので一概に決められないが、写
真フィルムとしたときに写真感光層側が凸にならない範
囲でできるだけフラットになるように付与すればよく、
通常、23℃、20%RHの条件下で5m-1〜50m -1
である。なお、カールの程度は、以下の様にして求めた
値である。
【0035】<巾方向のカール度の測定法>フィルムか
ら巾35mm、長さ2mmの寸法に切出した試験片を、
23℃、20%RHの条件下で1日調湿した後、サンプ
ルの巾方向のカールの曲率半径をメートルで求め、その
逆数で巾方向のカール度を表す。単位はm-1である。
【0036】フィルムに巾方向のカールを付与する方法
は、特に限定があるわけではなく、例えば、吸湿膨張係
数の異なる層を積層する方法、共重合成分や主構成成分
の異なるポリエステルを積層する方法、固有粘度の異な
る同種または異種のポリエステルを積層する方法、さら
に三層構成とし、両外層の厚みを変化させる方法、表裏
の延伸条件や熱固定条件を変化させフィルムの厚み方向
で分子配向や結晶化度の分布を持たせる方法などが挙げ
られる。また、レゾルシンなどで薬液処理する方法など
も挙げられる。さらに、これらの方法を適宜組合せた
り、四層以上の層構成のなかでこれらの方法を用いてカ
ールを付与することももちろん可能である。
【0037】また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィ
ルムは、ヘーズが3%以下であることが好ましい。さら
に好ましくは1%以下である。ヘーズが3%より大きい
とフィルムを写真感光材料用支持体として用いた場合、
写真用印画紙に焼付けた画像がぼけてしまい不鮮明にな
る。上記ヘーズは、ASTM−D1003−52に従っ
て測定したものである。
【0038】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
Tg(ガラス転移温度)は、60℃以上が好ましく、さ
らに70℃以上が好ましい。Tgは示差走査熱量計で測
定するところのベースラインが偏奇し始める温度と、新
たにベースラインに戻る温度との平均値として求められ
る。Tgがこの値以上であると、現像処理機の乾燥工程
でのフィルムが変形がなく、現像処理後の巻きぐせカー
ルの小さい感光材料が得られる。
【0039】次に、本発明のポリエステルフィルムの製
造方法について説明する。
【0040】未延伸シートを得る方法および縦方向に一
軸延伸する方法は、従来公知の方法で行うことができ
る。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型
し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、Tダ
イよりシート状に押出して、静電印加法などにより冷却
ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得
る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群お
よび/または赤外線ヒーターなどの加熱装置を介してポ
リエステルのTgからTg+100℃の範囲内に加熱
し、一段または多段縦延伸する方法である。延伸倍率
は、通常2.5倍〜6倍の範囲で、続く横延伸が可能な
範囲とする必要がある。シートが多層構成の場合の延伸
温度の設定は各構成層のポリエステルのTgのなかで最
も高いTgを基準にすることが好ましい。
【0041】この際、ポリエステルを積層する場合も、
従来公知の方法でよい。例えば、複数の押出機およびフ
ィードブロック式ダイあるいはマルチマニフォールド式
ダイによる共押出法、積層体を構成する単層フィルムま
たは積層フィルム上に積層体を構成するその他の樹脂を
押出機から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化させる
押出ラミネート法、積層体を構成する単層フィルムまた
は積層フィルムを必要に応じてアンカー剤や接着剤を介
して積層するドライラミネート法などが挙げられる。中
でも、製造工程が少なくてすみ、各層間の接着性が良好
な共押出法が好ましい。
【0042】次に、上記の様にして得られた縦方向に一
軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm−2
0℃の温度範囲内で、横延伸し、次いで熱固定する。こ
こでTmは融点を表す。横延伸倍率は通常3〜6倍であ
り、また、縦、横延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フ
ィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適
宜調整する。本発明の場合、巾方向の弾性率が長手方向
の弾性率より大きくなるようにすることが好ましい。使
用目的に応じて変化させても良い。この時、2つ以上に
分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次
昇温しながら横延伸すると巾方向の物性の分布が低減で
き好ましい。さらに横延伸後、フィルムを、その最終横
延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5
分間保持すると巾方向の物性の分布がさらに低減でき好
ましい。
【0043】熱固定は、その最終横延伸温度より高温
で、Tm−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜30
0秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域
で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固
定することが好ましい。
【0044】熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで
冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし
ロール状に巻き取られる。この際、最終熱固定温度以
下、Tg以上の温度範囲内で、巾方向及び/または長手
方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。ま
た、冷却は、最終熱固定温度から室温までを毎秒100
℃以下の冷却速度で徐冷することが寸法安定性の点で好
ましい。特に、Tg+50℃からTgまでを、毎秒10
0℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、
弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で
行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、こ
れらの処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上の
点で好ましい。なお、冷却速度は、最終熱固定温度をT
1 、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの
時間をtとしたとき、(T1 −Tg)/tで求めた値で
ある。これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最
適な条件は、フィルムを構成するポリエステルにより異
なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、
好ましい特性を有するように適宜調整することにより決
定すればよい。
【0045】また、上記フィルム製造に際し、延伸の前
および/または後で帯電防止層、易滑性層、接着層、バ
リアー層などの機能性層を塗設してもよい。この際、コ
ロナ放電処理、薬液処理などの各種表面処理を必要に応
じて施すことができる。さらに、強度を向上させる目的
で、多段縦延伸、再縦延伸、再縦横延伸、横・縦延伸な
ど公知の延伸フィルムに用いられる延伸を行うこともで
きる。もちろんカットされたフィルム両端のクリップ把
持部分は、粉砕処理された後、あるいは必要に応じて造
粒処理や解重合・再重合などの処理を行った後、同じ品
種のフィルム用原料としてまたは異なる品種のフィルム
用原料として再利用してもよい。
【0046】以上のようにして得られた二軸延伸ポリエ
ステルフィルムは、まだ巻ぐせが付きやすい性質なの
で、さらに二軸延伸ポリエステルフィルムを、そのTg
以下、Tg−30℃以上の温度で熱処理を行うことが好
ましい。処理温度は高いほど短時間で巻ぐせカールの低
減効果が得られるが、あまり高温では、フィルムのシワ
や押されや折れが発生しやすくなる場合がある。処理温
度が低いときは長い処理時間が必要となるが、低すぎる
と十分な巻ぐせカールの低減効果が得られなくなる。処
理時間は、特に限定はないが、0.1時間以上から巻ぐ
せカールの低減効果が認められ、長時間にするほど高い
効果が得られるので所望の効果が得られるように適宜設
定することができるが、あまり長いと生産性に劣るので
通常1500時間までが現実的である。
【0047】本発明では、上記の熱処理をする際に、そ
のフィルムの巾方向の少なくとも両端部に加工温度がT
g以下でエンボス加工を施してある点に特徴がある。T
g以下でエンボス加工を施した場合、その突起はエンボ
スリングと反対側に突き出した様に形成される。この突
起は、溶融や結晶化などの熱的な変化を伴わずに、主に
塑性変形により形成されているので、その後Tg近傍に
加熱されると容易にその高さが減少するのである。とこ
ろが、Tgを超えた温度でエンボス加工を施した場合
は、溶融や結晶化などの熱的な変化も加味されるので、
ある程度の耐熱性があり、容易には突起高さは減少しな
いのである。加工されたエンボスがTg以下で加工され
たものかどうかは容易に判別できる。例えばフィルムの
エンボス加工部分を130℃で30分間熱処理し、熱処
理前のエンボスの突起高さがどの位残っているかを評価
する。5%未満であればTg以下での加工と考えられ
る。また、エンボス加工温度の下限は特に限定はない
が、あまり低温では、加工時の圧力が大きくなり過ぎ、
エンボス加工した周辺のフィルムが変形する場合がある
ので、通常は、常温以上、好ましくはTg−30℃以上
である。
【0048】本発明のエンボス加工は、フィルムを巻き
取る際にフィルム同志が強く密着するのを防止できれば
よいので少なくともフィルムの両端に加工すればよい
が、フィルム巾が広い場合は、両端だけではフィルムを
支えきれないことがあるので、必要に応じて中央部分に
も加工することが好ましい。フィルム巾方向に50cm
から2mの間隔でエンボス加工することが本発明の効果
を得る上で好ましい。エンボスの幅は、フィルム同志が
強く密着するのを防止するためにはある程度の幅が必要
であり、通常5mm以上の幅であることが好ましい。一
ヶ所に加工するエンボスの条数は、一条でも二条でもそ
れ以上であってもかまわないが、複数条の場合は、それ
らの幅を足し合せた値が5mm以上であることが好まし
い。
【0049】また、効果は幅50mm程度で飽和する。
エンボス加工による嵩高さ(以後エンボス高さという)
は、通常5〜100μmである。さらに好ましくは6〜
30μである。低すぎるとフィルム同志の密着を防止で
きない場合があり、高すぎるとフィルム端部の波状が改
良されない場合がある。またそれぞれのエンボス高さの
差が大きすぎると、巻きズレが生じる場合があるので、
なるべく差を小さくすることが好ましい。エンボス高さ
の差は通常10μ以内である。
【0050】また、フィルムをロール状で熱処理する場
合、フィルムの自重のため、どうしてもロールの上部に
当たるフィルムの変形が強くなる。これを防止するには
熱処理中にロールを連続で、または断続的に回転させる
ことが好ましい。
【0051】本発明によりフィルム端部の平面性は改良
されるが、さらに高度な平面性が必要な場合は、フィル
ムを熱処理した後、エンボス部分を切除してから、続く
下引き塗布を行ってもよい。
【0052】熱処理する際使用する芯は特に限定されな
いが、フィルムが巻かれても撓みなどを起こさない強度
を備え、かつ熱処理温度に耐える材質、構造であること
が好ましい。芯の表面は平滑なほどよく、表面粗さ(R
MAX )で2.0μ以下が好ましい。これらの例としては
樹脂ロール、繊維強化樹脂ロール、SUSやアルミニウ
ムなどの金属ロール、セラミックコーティングロールな
どが挙げられる。芯径は、あまり小さすぎると巻芯部に
しわなどが発生しやすいので、大きい方が好ましく、通
常75mm以上、さらに200mm以上が好ましい。巻
き取られたフィルムロールのロール直径は、あまり大き
すぎると均一な処理が難しくなるので、ある程度小さい
方が好ましく、通常直径1000mm以下、さらに直径
850mm以下が好ましい。またフィルムロール巾は特
に限定はないが、生産性の点から広いほうが好ましく、
150mm以上3500mm以下が一般的である。
【0053】本発明では、フィルムの表面に少なくとも
1層の下引層を塗設することにより写真用支持体を得る
ことができる。下引層に用いることのできる素材は特に
限定されないが、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、
ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、
無水マレイン酸を出発原料とする共重合体を始めとし
て、ポリエチレンイミン、ポリエステル、ポリスチレ
ン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチ
ン、ニトロセルロースなどやこれらの混合物などを挙げ
ることができる。これら下引層中には界面活性剤、帯電
防止剤、アンチハレーション剤、クロスオーバーカット
剤、着色染料、顔料、増粘剤、塗布助剤、カブリ防止
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、エッチ
ング処理剤、磁性粉、マット剤などの各種添加剤を一種
または二種以上含有していてもよい。
【0054】下引層を塗設する方法は特に限定はなく、
従来から知られている各種の方法を用いることができ
る。例えば上記の素材を適当な溶媒に溶かした溶液ある
いは分散液とし、エアーナイフコーター、ディップコー
ター、カーテンコーター、ワイヤーバーコーター、グラ
ビアコーター、エクストルージョンコーターなどを用い
てフィルム表面に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
この際必要に応じてコロナ放電処理、紫外線処理、グロ
ー放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面活性化
処理する方法やレゾルシン処理、フェノール類処理、ア
ルカリ処理、アミン処理、トリクロル酢酸処理などのエ
ッチング処理する方法を用いても良い。もちろんこれら
の処理を組合せてもよい。中でもコロナ放電処理が好ま
しく用いられる。また、作業環境の点から塗布液は水分
散液あるいは水溶液であることが好ましい。下引層は一
層または二層以上から構成されていてもよく、さらに、
帯電防止層、易滑性層、バリアー層、アンチハレーショ
ン層、クロスオーバーカット層、紫外線吸収層、磁気記
録層などが含まれていても良い。
【0055】以上のようにして下引層が塗設されたフィ
ルムは常温まで冷却され巻き取られ、次工程に送られる
までの間保管される。この際、フィルムの水分率を0.
2%以下に調節することにより、保管による巻ぐせを防
止することができるので好ましい。
【0056】次に、写真感光材料を形成する方法につい
て説明する。
【0057】写真感光材料は、本発明の写真用支持体の
少なくとも一方の側に写真乳剤層が設けられており、写
真乳剤層はハロゲン化銀乳剤を塗設することによって形
成することができる。写真乳剤層は、写真用支持体の片
面または両面に設けることができる。また、写真乳剤層
は、それぞれの面に一層または二層以上設けることがで
きる。ハロゲン化銀乳剤は、写真用支持体上に直接ある
いは他の層、例えば、ハロゲン化銀乳剤を含まない親水
性コロイド層を介して塗設することができる。また、ハ
ロゲン化銀乳剤層は、異なる感度、例えば高感度および
低感度の各ハロゲン化銀乳剤層に分けて塗設してもよ
い。この場合、各ハロゲン化銀乳剤層の間に中間層を設
けてもよい。さらに、ハロゲン化銀乳剤層の上や中間
層、あるいはハロゲン化銀乳剤層と写真用支持体の間の
任意の場所に親水性コロイド層、保護層、アンチハレー
ション層、バッキング層、マスキング層などの非感光性
層を設けてもよい。
【0058】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、
例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略
す。)No.17643、22〜23頁(1979年12月)の“1.乳剤製
造法(Emulsion preparation and types)”、およびR
D No.18716、648頁、グラフキデ著「写真の物理と化
学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chemie et Phyziq
ue Photographique ,Paul Montel,1967)、ダフィン著
「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Daffi
n,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press196
6)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォ
ーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coa
ting Photographic Emulsion,Focal Press 1964)など
に記載された方法を用いて調製することができる。
【0059】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、
米国特許3,574,628号、同3,665,394号および英国特許1,
413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
【0060】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤に
は、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができ
る。このような工程で使用される添加剤は、RD No.17
643、RD No.18716及びRD No.308119(それぞれ、以
下、RD 17643、RD 18716及びRD 308119と略
す。)に記載されている。表1にその記載箇所を示す。
【0061】
【表1】
【0062】本発明の写真感光材料がカラー写真感光材
料である場合、使用することができる写真用添加剤は上
記RDに記載されている。表2にその関連のある記載箇
所を示す。
【0063】
【表2】
【0064】また本発明の写真感光材料がカラー写真感
光材料である場合、種々のカプラーを使用することがで
き、その具体例は下記RD 17643及びRD 308119に記
載されている。表3にその関連ある記載箇所を示す。
【0065】
【表3】
【0066】またこれら添加剤は、RD 308119 1007
頁 XIV項に記載されている分散法などにより、写真感光
層に添加することができる。
【0067】本発明の写真感光材料がカラー写真感光材
料である場合には、前述のRD 308119 VII−K項に記載
されているフィルター層や中間層などの補助層を設ける
ことができる。
【0068】上記カラー写真感光材料を構成する場合、
前述のRD 308119 VII−K項に記載されている順層、逆
層、ユニット構成などの様々な層構成をとることができ
る。
【0069】本発明の写真感光材料を現像処理するに
は、例えばT.H.ジェームズ著、セオリイ オブ ザ フ
ォトグラフィック プロセス第4版(The Theory of Th
e Photografic Process Forth Edition)第291頁〜第33
4頁およびジャーナル オブ ザアメリカン ケミカル ソサエテ
ィ(JournaI of the American Chemical Society)第73
巻、第3,100頁(1951)に記載されている、それ自体公
知の現像剤を使用することができる。また前記カラー写
真感光材料は前述のRD 17643 28〜29頁、RD 18716
615頁及びRD 308119 XIXに記載された通常の方法に
よって、現像処理することができる。
【0070】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
詳述する。
【0071】以下の実施例において、ガラス転移温度お
よび融点、フィルムヘーズ、固有粘度、弾性率および破
断強度、平面性、プレスプライス搬送性は下記により求
められたものである。
【0072】(1)ガラス転移温度Tgおよび融点Tm フィルムあるいはペレット10mgを、毎分300cm
3の窒素気流中、300℃で溶融し、直ちに液体窒素中
で急冷する。この急冷サンプルを示差走査型熱量計(理
学電機社製、DSC8230型)にセットし、毎分10
0ccの窒素気流中、毎分10℃の昇温速度で昇温し、
TgおよびTmを検出する。Tgはベースラインが偏奇
し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度との平
均値、Tmはその吸熱ピークのピーク温度とした。な
お、測定開始温度は、測定されるTgより50℃以上低
い温度とする。
【0073】(2)フィルムヘーズ ASTM−D1003−52に従って測定した。
【0074】(3)固有粘度 フィルムあるいはペレットを、フェノールと1,1,
2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比60/
40)に溶かし、濃度0.2g/dl、0.6g/d
l、1.0g/dlの溶液を作製し、ウベローデ型粘度
計により、20℃で、それぞれの濃度(C)における比
粘度(ηsp)を求める。次いで、ηsp/CをCに対して
プロットし、得られた直線を濃度ゼロに補外して を求める。単位は、dl/gで示される。
【0075】(4)弾性率および破断強度 フィルムを、巾10mm、長さ200mmの大きさに切
出し、23℃、55%RHの条件下で12時間調湿した
後、(株)オリエンテック社製テンシロン(RTA−1
00)を用い、チャック間を100mmにし、引張り速
度100mm/分で引張り試験をし弾性率および破断強
度を求めた。
【0076】(5)平面性(エンボス部分の波状の変形
の程度で評価した) フィルムを長さ方向1mの寸法に切り出し、23℃、5
5%RHの条件下で12時間調湿した後に、平らな盤の
上に広げ、その波打ちの程度を目視にて評価し、以下の
基準でランク付けした。なお、このランク付けにおける
実用性は、写真感光材料としての品質の許容性に基づい
て決定されており、ランク○以上であることが必要であ
る。
【0077】 ランク 波打ちの程度 ◎ 良好 ○ 良く見ると波打ちが分かる × 波打ちが大きい (6)プレスプライス搬送性 巾35mm、長さ1200mmの寸法の写真感光材料
を、23℃、55%RHの条件下で1日調湿した後、そ
の写真感光層側を内側にして直径7mmの巻き芯に巻き
付け戻らないように固定する。次いで、このフィルムを
ポリエチレン製のパトローネケースに入れ、50℃、2
0%RHの条件下で4時間加熱処理し、さらに23℃、
55%RHの条件下で1時間放冷する。その後フィルム
を巻き芯から解放し、巻芯側が先頭になるようにしてノ
ーリツプレスプライサーPS−35−1(ノーリツ鋼機
株式会社製)に挿入した。各水準100本づつ通し搬送
不良の発生数により下記の基準でランク付けした。
【0078】 ランク 搬送不良の発生数 ◎ 0 本 ○ 1 本 × 2〜100本 実施例1 以下のようにして、ポリエステルフィルムを準備した。
【0079】(ポリエステルA)2−6ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール6
0重量部にエステル交換触媒として酢酸カルシウム水和
物0.1重量部を添加し、常法に従ってエステル交換反
応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.
05重量部、リン酸トリメチルエステル0.03重量部
を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、290
℃、0.5mmHgで重合を行い、固有粘度0.60の
ポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0080】(ポリエステルB)ポリエステルAにバイ
エル社製染料マクロレックス グリーンG、マクロレッ
クス レッド5Bを1:1の割合で添加し、押出し機を
用いて染料濃度が2000ppmのマスターペレットを
作製した。
【0081】以上のようにして得られた各々のポリエス
テルを用いて、以下のようにしてフィルムを得た。
【0082】ポリエステルAとポリエステルBを重量比
9:1の割合になるようにタンブラー型混合機でブレン
ドした。この後、150℃で8時間真空乾燥した後、3
00℃でTダイから層状に溶融押出し、50℃の冷却ド
ラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ,未
延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸
機を用いて、135℃で縦方向に3.3倍延伸した。
【0083】得られた一軸延伸フィルムをテンター式横
延伸機を用いて、第一延伸ゾーン145℃で総横延伸倍
率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン155℃で総
横延伸倍率3.3倍となるように延伸した。次いで、1
00℃で2秒間熱処理し、さらに第一熱固定ゾーン20
0℃で5秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン240℃で1
5秒間熱固定した。次いで横方向に5%弛緩処理しなが
らTgまで60秒かけて冷却し、さらに室温まで60秒
かけて冷却し、フィルムをクリップから解放し、巻き取
り、厚さ90μの二軸延伸フィルムを得た。以上のよう
にして得られたフィルムを巾1mにスリットし、水準1
から10ではその巾方向の両端部に表4に示す温度にコ
ントロールされたエンボスリングを押込み量と押込み圧
力を調節して押付けながら高さ10μ、巾10mmのエ
ンボス加工を施した後、また水準11ではエンボス加工
を施さずに、直径200mmのSUS製の巻芯に、初期
張力25kgf、最終張力20kgfとなるように張力
を変化させながら1000m巻き取った。
【0084】次いで、速やかにフィルムを巻芯に巻かれ
た状態のまま、110℃で24時間巻ぐせ低減のための
熱処理を行った。尚、熱処理は24時間かけて昇温し所
定温度で所定時間処理した後さらに24時間かけて常温
まで冷却した。
【0085】得られたフィルムの特性値は水準間で差は
なく次の様であった。
【0086】 Tg 120 ℃ Tm 270 ℃ 固有粘度 0.58 dl/g ヘーズ 0.6 % 弾性率 タテ方向 650 kg/mm ヨコ方向 700 kg/mm 破断強度 タテ方向 22 kg/mm2 ヨコ方向 24 kg/mm2 さらに、フィルムロールの巻外側からそれぞれサンプリ
ングし、エンボスの波状変形を平面性の評価方法によっ
て評価した。結果を表4に示した。また、エンボス加工
を施さなかった水準11は、フィルムの巾方向の両端の
波状の変形は認められなかったが、フィルム中央の製品
部分のブロッキングが甚だしく、以後の加工を中止し
た。
【0087】続いて、フィルムの写真乳剤側となる面に
8W/(m2 ・min)のコロナ放電処理を施し、その
上に25℃、50%RHの雰囲気下でロールフィットコ
ーティングパン及びエアーナイフを使用して下記の塗布
液A−1を塗布し、乾燥温度115℃で1分間乾燥し、
乾燥後の厚み0.8μの層を形成した。
【0088】 <塗布液A−1> ブチルアクリレート30重量%、t−ブチルアクリレート20重量%、 スチレン25重量%、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート25重量% の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g 化合物(UL−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.8g 水で仕上げる 1000ml さらにA−1塗布面に同様にして、下記の塗布液A−2
を塗布し、乾燥後の厚みが0.1μの層を形成した。
【0089】 <塗布液A−2> ゼラチン 10g 化合物(UL−1) 0.2g 化合物(UL−2) 0.2g 化合物(UL−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径:3μm) 0.1g 水で仕上げる 1000ml 次にフィルムのバック層側となる面に、同様にして、下
記の塗布液B−1を塗布し、乾燥温度115℃で1分間
乾燥し、乾燥後の厚み0.8μの層を形成した。
【0090】 <塗布液B−1> ブチルアクリレート40重量%、スチレン20重量%, 及びグリシジルアクリレート40重量%の共重合体ラテックス液 (固形分30%) 270g 化合物(UL−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.8g 水で仕上げる 1000ml 次いで、B−1塗布面に、同様にして下記の塗布液B−
2を塗布し、乾燥温度115℃で1分間乾燥し、乾燥後
の厚み0.8μの層を形成した。
【0091】 <塗布液B−2> 化合物(UL−4) 60g 化合物(UL−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g 硫酸アンモニウム 0.5g 化合物(UL−6) 12g ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g 水で仕上げる 1000ml さらに、以下のようにしてバック層を塗設した。
【0092】B−2塗布面に30℃、50%RHの雰囲
気下でワイヤーバーを使用して下記の塗布液B−3を塗
布し、乾燥温度90℃で1分間乾燥し、乾燥後の厚み
0.1μの層を形成した。
【0093】
【化1】
【0094】
【化2】
【0095】 <塗布液B−3> ジアセチルセルロース 10g アセトン 400ml メタノール 600ml さらに、B−3塗布面に30℃、50%RHの雰囲気下
でワイヤーバーを使用して下記の塗布液B−4を10m
l/m2 塗布し、乾燥温度90℃で1分間乾燥し、バッ
ク層を仕上げた。
【0096】 <塗布液B−4> カルナバワックス 1g トルエン 700ml メチルエチルケトン 300ml <写真感光層の塗設>続いて、上記のフィルムのA層の
表面に25W/(m2 /min)のコロナ放電処理を施
した後、コニカLV400写真乳剤を塗設しカラー写真
フィルムを作製した。
【0097】以上のようにして得られたカラー写真フィ
ルムを巾35mm、長さ1200mmに裁断し、その両
縁部にJIS7519−1982に記載されている様に
パーフォレーション加工を施した。この裁断されたれた
カラー写真フィルムについて、プレスプライス搬送性を
評価した。結果を表4に示した。
【0098】
【表4】
【0099】表4から明らかな様にエンボス加工温度を
本発明の範囲とした水準は、プレスプライス適性に優れ
ており、かつエンボス部分の波状変形が改良されて、平
面性にも優れていることが分かる。
【0100】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
り、透明性、強度、プレスプライス搬送性に優れてお
り、かつエンボス部分の波状変形が改良されて、平面性
にも優れている写真用支持体を提供することができた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸延伸ポリエステルフィルムからなる
    写真用支持体であって、該二軸延伸ポリエステルフィル
    ムの巾方向の両端に、処理温度がTg(Tgはガラス転
    移温度)以下の温度でエンボス加工が施された後、Tg
    −30℃以上Tg以下で熱処理されていることを特徴と
    する写真用支持体。
  2. 【請求項2】 二軸延伸ポリエステルフィルムがエチレ
    ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートユニットを
    70重量%以上含有していることを特徴とする請求項1
    に記載の写真用支持体。
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