JPH09803A - ボツリオコッカス属に属する微細藻類から炭化水素類を抽出する方法 - Google Patents

ボツリオコッカス属に属する微細藻類から炭化水素類を抽出する方法

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JPH09803A
JPH09803A JP15167895A JP15167895A JPH09803A JP H09803 A JPH09803 A JP H09803A JP 15167895 A JP15167895 A JP 15167895A JP 15167895 A JP15167895 A JP 15167895A JP H09803 A JPH09803 A JP H09803A
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botryococcus
hydrocarbons
extraction
algae
alga
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JP15167895A
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Nobuo Murakami
信雄 村上
Kenichi Hisatsuka
謙一 久塚
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CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU
CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU KENKYU KIKO
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU
CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU KENKYU KIKO
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボツリオコッカス属に属する微細藻類の培養
藻体から炭化水素類を抽出する方法において、目的物質
の炭化水素類を高収率で抽出でき、且つエネルギー消費
量の少ない抽出方法を提供する。 【構成】 ボツリオコッカス属に属する微細藻類の培養
藻体から炭化水素類を抽出する方法において、ボツリオ
コッカス属に属する微細藻類の湿藻体を、炭素数が6以
下で且つ少なくとも1つの酸素原子を含有し、水と均一
に混ざらない有機溶媒、好ましくは、酢酸エチル、酢酸
ブチル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテ
ル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールから
選ばれる有機溶媒に浸漬して、前記微細藻類の藻体から
炭化水素類を抽出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はボツリオコッカス属に属
する微細藻類から炭化水素類を抽出する方法に関し、詳
しくはボツリオコッカス属に属する微細藻類の培養湿藻
体から炭化水素類を高収率で抽出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、CO2による地球温暖化が問題と
なっている中で、光エネルギーによりCO2を固定化し
炭化水素類に変換する能力を有する微細藻類の利用に対
する期待が高まっている。この様に光エネルギーを用い
てCO2を固定化し炭化水素類を生産する微細藻類のう
ちでも、ボツリオコッカス属に属する微細藻類は特に、
炭化水素類を生産する能力に優れ、藻体全量に対する炭
化水素類の含有量も乾燥重量の20〜40%と際だって
高く、ボツリオコッカス属に属する微細藻類の培養藻体
から炭化水素類を取り出してこれを有効利用する様々な
研究が既に行われている。
【0003】ここで、ボツリオコッカス属に属する微細
藻類から炭化水素類を抽出する方法としては従来より、
ボツリオコッカス属に属する微細藻類の培養液から濾過
等で取り出した湿藻体を凍結乾燥または加温して乾燥し
た後、この藻体乾燥物をn−ヘキサン、メタノール−ク
ロロホルム(1:1)等に浸漬して炭化水素類を抽出す
る方法(Phytochemistry,vol.19,1081-1085,1980)が行
われているが、この方法では培養して得られた湿藻体を
乾燥する工程が必要なうえ、その乾燥には多くのエネル
ギーを必要とするという問題点があった。
【0004】また、ボツリオコッカス属に属する微細藻
類の培養液から濾過等で取り出した湿藻体に、ヘキサ
ン、ジヘキシルエーテル等の有機溶媒を加えて炭化水素
類を抽出しようとする方法(Biotechnology and Bioeng
ineering,vol.34,755-762,1982)も試みられているが、
この方法では炭化水素類の抽出率が70%以下と満足で
きるものではない。
【0005】この様な状況の中、ボツリオコッカス属に
属する微細藻類の培養藻体から炭化水素類を抽出する
際、できるだけエネルギーを使うことなく、且つ高収率
で抽出できるような抽出方法が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、ボツリオコッカス属に属する微
細藻類の培養藻体から炭化水素類を抽出する方法におい
て、目的物質の炭化水素類を高収率で抽出でき、且つエ
ネルギー消費量の少ない抽出方法を提供することを課題
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意研究を重ねた結果、ボツリオコッカス
属に属する微細藻類の培養藻体を乾燥させることなく、
特定の有機溶媒に浸漬して炭化水素類を抽出処理する方
法をとれば、必要以上にエネルギーを消費することな
く、且つ炭化水素類を高収率に抽出できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、ボツリオコッカス属に
属する微細藻類の湿藻体を、炭素数が6以下で且つ少な
くとも1つの酸素原子を含有し、水と均一に混ざらない
有機溶媒に浸漬して、前記微細藻類の藻体から炭化水素
類を抽出する方法である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法においては、まず、ボツリオコッカス属に属する微
細藻類(以下、「ボツリオコッカス属藻類」という)を
液体培養する。本発明に用いるボツリオコッカス属藻類
としては、ボツリオコッカス属藻類であれば特に制限さ
れるものではなく、例えば、ボツリオコッカス・ブラウ
ニー(Botryococcus braunii)CCAP 807/1、
ボツリオコッカス・ブラウニー CCAP 807/2、
ボツリオコッカス・ブラウニー UTEXLB572、
ボツリオコッカス・ブラウニー UTEX2441等を
挙げることができる。
【0010】これらボツリオコッカス属藻類は、上述の
様にCO2を固定化し炭化水素類を生産する能力に優
れ、藻体内に乾燥重量で概ね20〜40重量%の割合で
炭化水素類を含有する。また、藻体内で生産される炭化
水素類としては、炭化水素、トリグリセライド、カロチ
ノイド、クロロフィル等が挙げられる。
【0011】また、この様なボツリオコッカス属藻類を
培養する際に用いる株については、再現性が高く、長期
間安定した培養を可能とするために、純化株を用いるこ
とが好ましい。
【0012】ボツリオコッカス属藻類を純化する方法と
して、いわゆるパスツールピペット洗浄法、すなわちボ
ツリオコッカス属藻類の培養液から、顕微鏡下でパスツ
ールピペットを用いて1コロニーづつ、滅菌した培養液
に移す操作を繰返して純化株を得る方法が一般的である
が、以下に述べる方法を用いれば、ボツリオコッカス属
藻類の純化株を簡便な操作で短期間に得ることができる
ので、本発明においてはこの方法で得られる純化株を用
いることが好ましいと言える。
【0013】純化株を得るためのボツリオコッカス属藻
類を含有する試料は、池、湖等からプランクトンネット
により採取することもできるが、Culture collection o
f Algae and Protozoaなどの微生物寄託機関から入手す
ることもできる。このような株として、上記ボツリオコ
ッカス・ブラウニー CCAP 807/1、ボツリオコ
ッカス・ブラウニー CCAP 807/2、ボツリオコ
ッカス・ブラウニーUTEXLB572、ボツリオコッ
カス・ブラウニー UTEX2441などが例示され
る。これらは、いずれもボツリオコッカス属藻類以外の
細菌あるいはカビ等の微生物が混在している。
【0014】まず、上記ボツリオコッカス属藻類を含有
する試料に有効塩素を作用させ、ボツリオコッカス属藻
類以外の微生物を殺菌する。この時、処理されるボツリ
オコッカス属藻類含有試料は、有効塩素処理及びその後
の処理をしやすくするために、予め適当な培地で培養し
て藻体量を増やしておいてもよい。培地としては、CH
U培地、JM培地、MDM培地など無機培地が挙げられ
るが、ボツリオコッカス属藻類の培養に適したものであ
れば、特に制限されない。また、有効塩素で処理するの
は培養液そのものでもよく、培養液から遠心分離等によ
り得た藻体又は濃縮液でもよい。
【0015】上記ボツリオコッカス属藻類を含む試料に
有効塩素を作用させるには、例えば、次亜塩素酸水溶
液、または次亜塩素酸ナトリウムもしくは次亜塩素酸カ
ルシウム等の次亜塩素酸塩の水溶液(以下、単に「次亜
塩素酸」という)に前記試料を懸濁させる方法が挙げら
れる。ボツリオコッカス属藻類含有試料の処理に用いる
次亜塩素酸の濃度は、通常、有効塩素の濃度として0.
01〜1000ppm、好ましくは0.1〜100pp
m、さらに好ましくは1〜20ppmである。この濃度
が0.01ppmよりも低いと雑菌が十分に殺菌されな
いことがあり、また、1000ppmを越えるとボツリ
オコッカス属藻類自体が死滅することがある。したがっ
て、上記範囲が好ましいが、最適な濃度はボツリオコッ
カス属藻類の種類、次亜塩素酸の処理時間等によっても
異なるので、処理濃度を変えて予備実験を行うことが好
ましい。
【0016】また、上記ボツリオコッカス属藻類含有試
料の培養液を次亜塩素酸で処理する場合には、次亜塩素
酸を上記濃度となるように加えればよく、また、藻体を
次亜塩素酸で処理する場合には、上記濃度となるように
希釈した次亜塩素酸水溶液あるいは培養液で希釈した次
亜塩素酸に藻体を懸濁させればよい。
【0017】上記のようにしてボツリオコッカス属藻類
含有試料を次亜塩素酸で処理した後に、藻体を濾過又は
遠心分離等により分離し、培養液又は緩衝液に懸濁する
操作を繰り返すことなどによって洗浄し、あるいはチオ
硫酸ナトリウム等を加えること等により有効塩素を除去
することが好ましい。加えるチオ硫酸ナトリウムの量
は、加えた次亜塩素酸から生じる有効塩素の全量を除去
するのに必要な量であることが好ましい。
【0018】続いて、次亜塩素酸処理を行ったボツリオ
コッカス属藻類含有試料を、ボツリオコッカス属藻類の
培養に適した平板培地、例えば、グルコース等の炭素源
を加えたCHU培地、JM培地、MDM培地などの無機
平板培地に塗布して培養を行う。ここで用いる培地に
は、ボツリオコッカス属藻類の生育に影響を与えない抗
生物質等を添加してもよい。また、平板培地に塗布する
際に、塗布量が多すぎると、平板培地に生じるコロニー
が近接し、コロニーを分離しにくくなるので、数段階で
希釈したものを塗布するとよい。
【0019】培養は、増殖を早めるために、蛍光灯等を
用いて光照射下で行うことが好ましいが、照射照度が高
すぎるとかえって増殖が阻害されるので、通常0〜10
0μE/m2・s、好ましくは5〜30μE/m2・sで
照射するのがよい。また、培養温度としては、通常0〜
80℃、好ましくは15〜35℃がよい。
【0020】培養は、通常1〜60日、好ましくは1〜
30日行う。培養中に生じるコロニーが、残存する雑菌
のコロニーであるか、あるいは単一のボツリオコッカス
属藻類のコロニーであるかを判明するにはある程度の培
養期間が必要であり、培養期間が長すぎると雑菌が繁茂
するので、上記期間内で培養するのが好ましいが、培地
や培養条件、雑菌の残存の程度等によっても異なるの
で、培養中にコロニーを観察し、適宜培養を打ち切れば
よい。
【0021】上記のようにして平板培地上に生じたボツ
リオコッカス属藻類の単一コロニーを採取することによ
り、ボツリオコッカス属藻類の純化株が得られる。平板
培地からコロニーを分離する際には、顕微鏡、好ましく
は実体顕微鏡観察下で行うと、ボツリオコッカス属藻類
のコロニーであることを確認しながら採取できる点で好
ましい。コロニーの採取の方法は特に問わず、例えば滅
菌した白金線でかき取り、あるいはパスツールピペット
で吸い上げればよい。この際、空中の雑菌による汚染を
防止するために、無菌室またはクリーベンチ内で操作を
行うとよい。
【0022】上記のようにして分離した株を再び培養
し、雑菌が生育しないことを確認することによって、純
化株であることを確認することができる。さらに、得ら
れた純化株が、ボツリオコッカス属藻類のみであること
を顕微鏡観察等により確認しておくとよい。
【0023】上記の微生物寄託機関から入手可能なボツ
リオコッカス属藻類の株や、好ましくは上記のようにし
て製造されたボツリオコッカス属藻類の純化株等をさら
に培養して増殖させることにより、本発明の方法に用い
るボツリオコッカス属藻類の培養物が得られる。ボツリ
オコッカス属藻類の培養方法について、特に制限はない
が、例えば、CHU−13*2培地、JM培地等の無機
培地に、上記ボツリオコッカス属藻類の純化株等を接種
し、10〜30℃に温度を制御し、光照射下、概ね15
%までのCO2を含む空気を通気することにより培養す
る方法が挙げられる。
【0024】次に、この様にして得られるボツリオコッ
カス属藻類の培養液から藻体を分離する。分離の方法に
ついては、濾過、遠心分離等の通常の分離方法を用いれ
ばよい。培養液から分離されたボツリオコッカス属藻類
の藻体は、水分含有量がおよそ50〜98%の湿藻体で
ある。本発明の抽出方法においてはこの湿藻体に、炭素
数が6以下で且つ少なくとも1つの酸素原子を含有し、
水と均一に混ざらない有機溶媒を添加して、ボツリオコ
ッカス属藻類の藻体に含有する炭化水素類を抽出する。
【0025】本発明の方法に抽出溶媒として用いるこの
様な有機溶媒としては、酢酸エステル類、エーテル類、
ケトン類、アルコール類等を好ましく挙げることができ
る。更に、酢酸エステル類としては酢酸エチル、酢酸ブ
チル等が、エーテル類としてはジエチルエーテル、メチ
ル−t−ブチルエーテル等が、ケトン類としてはメチル
エチルケトン等が、アルコール類としてはイソプロピル
アルコール等を好ましく挙げることができる。これらの
有機溶媒を抽出溶媒とする場合、これらの1種を単独で
用いてもよいし、あるいは2種以上の混合物として用い
てもよい。
【0026】抽出の具体的な方法としては、上記ボツリ
オコッカス属藻類の湿藻体に、この湿藻体の乾燥重量換
算で1〜100倍量の抽出溶媒を添加し、室温付近で3
0分〜24時間の抽出処理を行う。この時、必要に応じ
て撹拌等を行ってもよい。この様にして、ボツリオコッ
カス属藻類の湿藻体から抽出溶媒中に炭化水素類が抽出
される。
【0027】抽出処理後、抽出溶媒から炭化水素類を分
離する方法としては、一般的な方法を用いればよく、例
えば、抽出液から藻体を濾過等で除去し、続いて抽出溶
媒を減圧留去等で除去する等の方法が挙げられ、この様
にして、ボツリオコッカス属藻類が藻体内で生産した炭
化水素、トリグリセライド、カロチノイド、クロロフィ
ル等の炭化水素類を取り出すことができる。更に、得ら
れた炭化水素類からこれに含有する炭化水素を分離精製
するためには、カラムクロマトグラフィー、液体クロマ
トグラフィー等を用いて分離精製を行う方法等が挙げら
れる。
【0028】この様な本発明の方法を用いれば、ボツリ
オコッカス属藻類の湿藻体より、概ね90%以上の高抽
出率で上記炭化水素類を取り出すことが可能である。
【0029】
【作用】本発明の方法によれば、ボツリオコッカス属藻
類の湿藻体より、これまで70%以下の抽出率でしか抽
出できなかった炭化水素類を、概ね90%以上と乾燥藻
体を抽出した場合と同等の高抽出率で取り出すことが可
能である。この様に本発明の方法によれば、ボツリオコ
ッカス属藻類より炭化水素類を抽出する際に、藻体の乾
燥を必要とせずに炭化水素類を高抽出率で取り出すこと
ができるので、乾燥藻体から炭化水素類を抽出する方法
に比べ、少ないエネルギーで目的物である炭化水素類を
得ることが可能となる。
【0030】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。まずはじ
めに、ボツリオコッカス属藻類の純化株を製造した。
【0031】
【製造例1】ボツリオコッカス・ブラウニー CCAP
807/2をJM培地で培養した培養液を試験管に入
れ、これに有効塩素濃度が10ppmとなるように次亜
塩素酸ナトリウムを加え、10分間、室温で静置した。
その後、有効塩素を除去するためにチオ硫酸ナトリウム
を、有効塩素1mgあたり7.16gとなるように加え
た。
【0032】上記処理液を、グルコース0.1%、寒天
1.5%を含むJM培地の平板培地に塗布し、蛍光灯を
光源として約15μE/m2・sになるように照射し、
25℃にて1週間培養した。尚、JM培地の組成は以下
のとおりである。
【0033】〔JM培地の組成〕下記表1中1〜9のス
トック溶液1mLづつを混合し、蒸留水又は脱イオン水
を用いて1Lとし、pHを7付近に調整する。
【0034】
【表1】
【0035】培養後、クリーンベンチ内で実体顕微鏡
(倍率20倍)を用いて観察しながら単一コロニーを白
金線でかき取り、グルコース0.1%、寒天1.5%を
含むJM平板培地に移植した。これを、蛍光灯による約
15μE/m2・sの光照射下で、25℃で4週間培養
した。
【0036】得られたボツリオコッカス・ブラウニー
CCAP 807/2の藻体を白金線を用いてかき取
り、JM液体培地に移し、光照射下でさらに2週間培養
した。白金耳で培養液の一部をとり、普通寒天培地(1
L中に、肉エキス:5g、ペプトン:10g、塩化ナト
リウム:5g、寒天:15gを含む;pH7.0)の平
板培地に塗布し、25℃で7日間培養し、雑菌が生育し
ないことを確認した。また、こうして得られた純化株を
顕微鏡観察し、ボツリオコッカス・ブラウニーのみであ
ることを、コロニー形状等の本藻類特有の性質により確
認した。
【0037】
【製造例2】ボツリオコッカス・ブラウニー CCAP
807/2の代わりにボツリオコッカス・ブラウニー
UTEX2441を用いた以外は製造例1と同様にし
て、ボツリオコッカス・ブラウニー UTEX2441
の純化株を得た。
【0038】
【実施例1】上記製造例1で得られたボツリオコッカス
・ブラウニー CCAP 807/2(純化株)を、表2
に組成を示すCHU−13*2培地(pH7)に0.4
g/Lの割合で接種して液体培養を行った。培養容器に
は、偏平フラスコ(液量:50mL)を用い、培養条件
は、蛍光灯で光照射しながらCO2濃度5%の空気を
0.5vvmで通気し25℃で6日間であった。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】上記で得られた培養液の50mLから濾紙
を用いて藻体を減圧濾過した。得られた湿藻体0.48
gに酢酸エチル4.8mLを加え、スターラーで20分
間撹拌した。これを30分間静置してから、分離した酢
酸エチル層を取り出した。残された藻体層に、再び酢酸
エチル4.8mLを加え、上記と同様にして2回目の抽
出処理を行った。1回目及び2回目の抽出処理で得られ
た酢酸エチル層を合わせてガスクロマトグラフィー(カ
ラム:SE30)で分析した結果、この酢酸エチル溶液
中に含有する炭化水素の量は22.1mgであった。ま
た、上記酢酸エチル溶液から溶媒である酢酸エチルを除
去して得られた濃縮乾固物の量は45.3mgであっ
た。
【0042】また、比較のために上記培養液の50mL
から濾紙を用いて藻体を減圧濾過して得られた湿藻体
0.48gを105℃で乾燥した後、この乾燥藻体をク
ロロホルム:メタノール(2:1)で上記と同様に2回
の抽出処理を行った。得られた抽出溶液中に含有する炭
化水素のガスクロマトグラフィー定量値は23.1mg
であった。また、抽出溶液から抽出溶媒を除去して得ら
れた濃縮乾固物の重量は46mgであった。
【0043】
【実施例2】上記実施例1において、抽出溶媒として酢
酸エチルの代わりにメチルエチルケトンを用いた以外は
全て実施例1と同様にしてボツリオコッカス・ブラウニ
ーCCAP 807/2(純化株)湿藻体の抽出処理を
行った。得られたメチルエチルケトン溶液中に含有する
炭化水素のガスクロマトグラフィー定量値は22.3m
gであった。また、抽出溶液からメチルエチルケトンを
除去して得られた濃縮乾固物の重量は45.7mgであ
った。
【0044】
【実施例3】上記実施例1において、抽出溶媒として酢
酸エチルの代わりにジエチルエーテルを用いた以外は全
て実施例1と同様にしてボツリオコッカス・ブラウニー
CCAP 807/2(純化株)湿藻体の抽出処理を行
った。得られたジエチルエーテル溶液中に含有する炭化
水素のガスクロマトグラフィー定量値は21.9mgで
あった。また、抽出溶液からジエチルエーテルを除去し
て得られた濃縮乾固物の重量は45.5mgであった。
【0045】
【実施例4】上記実施例1において、抽出溶媒として酢
酸エチルの代わりにイソプロピルアルコールを用いた以
外は全て実施例1と同様にしてボツリオコッカス・ブラ
ウニー CCAP 807/2(純化株)湿藻体の抽出処
理を行った。得られたイソプロピルアルコール溶液中に
含有する炭化水素のガスクロマトグラフィー定量値は2
2.3mgであった。また、抽出溶液からイソプロピル
アルコールを除去して得られた濃縮乾固物の重量は4
5.7mgであった。
【0046】
【実施例5】実施例1において、ボツリオコッカス・ブ
ラウニー CCAP 807/2の代わりに上記製造例2
で得られたボツリオコッカス・ブラウニー UTEX2
441(純化株)を用いた以外は、実施例1と全く同様
にして藻体を培養させた。
【0047】得られた培養液の10mLから濾紙を用い
て藻体を減圧濾過した。得られた湿藻体0.078gに
酢酸エチル1mLを加え、実施例1と同様に1回目の抽
出処理を行った。その後、実施例1と同様に酢酸エチル
1mLを用いて2回目の抽出処理を行い、1回目及び2
回目の抽出処理で得られた酢酸エチル層を合わせてガス
クロマトグラフィー(カラム:SE30)で分析した。
その結果、この酢酸エチル溶液中に含有する炭化水素の
量は0.43mgであった。また、上記酢酸エチル溶液
から溶媒である酢酸エチルを除去して得られた濃縮乾固
物の量は5.9mgであった。
【0048】また、比較のために上記培養液の10mL
から濾紙を用いて藻体を減圧濾過して得られた湿藻体
0.078gを105℃で乾燥した後、この乾燥藻体を
クロロホルム:メタノール(2:1)で上記と同様に2
回の抽出処理を行った。得られた抽出溶液中に含有する
炭化水素のガスクロマトグラフィー定量値は0.45m
gであった。また、抽出溶液から抽出溶媒を除去して得
られた濃縮乾固物の重量は6.2mgであった。
【0049】
【比較例1】上記実施例1において、抽出溶媒として酢
酸エチルの代わりにn−ヘキサンを用いた以外は全て実
施例1と同様にしてボツリオコッカス・ブラウニー C
CAP 807/2(純化株)湿藻体の抽出処理を行っ
た。得られたn−ヘキサン溶液中に含有する炭化水素の
ガスクロマトグラフィー定量値は15.6mgであっ
た。また、抽出溶液からn−ヘキサンを除去して得られ
た濃縮乾固物の重量は23.1mgであった。
【0050】
【比較例2】上記実施例1において、抽出溶媒として酢
酸エチルの代わりにジヘキシルエーテルを用いた以外は
全て実施例1と同様にしてボツリオコッカス・ブラウニ
ーCCAP 807/2(純化株)湿藻体の抽出処理を
行った。得られたジヘキシルエーテル溶液中に含有する
炭化水素のガスクロマトグラフィー定量値は18.3m
gであった。また、抽出溶液からジヘキシルエーテルを
除去して得られた濃縮乾固物の重量は33.1mgであ
った。
【0051】これらの結果から、本発明の方法によれ
ば、比較例の抽出方法の様に本発明の方法に用いられる
以外の有機溶媒を用いて抽出する方法に比べ、ボツリオ
コッカス属藻類の湿藻体から炭化水素類を高収率で抽出
することができ、これは、前記湿藻体を乾燥させた乾燥
藻体を抽出した場合と同等の高抽出率であることがわか
った。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ボツリオコッカ
ス属に属する微細藻類の湿藻体より炭化水素類を、乾燥
藻体を抽出した場合と同等の高抽出率で取り出すことが
可能である。また、本発明の方法においては、前記微細
藻類の藻体の乾燥を必要としないので、乾燥藻体から炭
化水素類を抽出する方法に比べ、少ないエネルギーで、
より簡単な工程で、前記微細藻類の藻体より目的物であ
る炭化水素類を得ることが可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボツリオコッカス属に属する微細藻類の
    湿藻体を、炭素数が6以下で且つ少なくとも1つの酸素
    原子を含有し、水と均一に混ざらない有機溶媒に浸漬し
    て、前記微細藻類の藻体から炭化水素類を抽出する方
    法。
  2. 【請求項2】 前記有機溶媒が、酢酸エステル類、エー
    テル類、ケトン類、アルコール類から選ばれる請求項1
    記載の抽出法。
  3. 【請求項3】 前記有機溶媒が、酢酸エチル、酢酸ブチ
    ル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、
    メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールから選ば
    れる請求項2記載の抽出法。
JP15167895A 1995-06-19 1995-06-19 ボツリオコッカス属に属する微細藻類から炭化水素類を抽出する方法 Pending JPH09803A (ja)

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