JPH097795A - Ecrプロセス装置 - Google Patents

Ecrプロセス装置

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JPH097795A
JPH097795A JP7154798A JP15479895A JPH097795A JP H097795 A JPH097795 A JP H097795A JP 7154798 A JP7154798 A JP 7154798A JP 15479895 A JP15479895 A JP 15479895A JP H097795 A JPH097795 A JP H097795A
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JP
Japan
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electron
ecr
gas
generator
energy
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Application number
JP7154798A
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English (en)
Inventor
Shinichi Miyakuni
晋一 宮国
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低ガス圧力,低マイクロ波電力条件下におけ
る放電の初期点火を確実に行うことができるECRプロ
セス装置を提供する。 【構成】 試料3を配置したプロセスチャンバー1と、
試料3を処理するためのプラズマを発生するECR共鳴
領域6と、ECR共鳴領域6に電子電流を供給するため
の電子発生装置7とを備えたECRプロセス装置におい
て、マイクロ波の周波数の1周期間の上記電子電流を
i,素電荷をe,ガス中での電子の平均自由工程をλ,
電子とガス分子との反応距離をΔL,マイクロ波の周波
数の周期をτとしたとき、式: i=(eλ/ΔL)/τ に基づき算出した電子電流値を、放電の初期点火時にE
CR共鳴領域6に供給する電子電流の下限値として運転
を行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ECRプロセス装置に
関し、特にプロセスチャンバー内に電子発生装置を設け
てなり、低ガス圧力,低マイクロ波電力条件下におい
て、その放電の初期点火を確実に行うことのできるEC
Rプロセス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は従来のECRプロセス装置の構造
を模式的に表した上面図であり、図において、1はプロ
セスチャンバー、1aはプロセスチャンバー1の側面に
突設されたマイクロ波導入部、10は該マイクロ波導入
部1aの先端に設けられたマイクロ波導入口、2はマイ
クロ波導入部1aの出口付近に配置された試料台、3は
該試料台2の表面に固定されたウエハ(試料)、4はプ
ロセスチャンバー1の,ウエハ3の図面下方の壁面に設
けられたガス導入口、5はプロセスチャンバーのマイク
ロ波導入部1aの周囲に配置されたソレノイドコイル、
6は電子サイクロトロン共鳴を利用したマイクロ波の放
電により,試料3を処理するためのプラズマを発生する
ECR共鳴領域、8はガス圧をモニターするための電離
真空計である。
【0003】次に、この従来のECRプロセス装置の動
作を説明する。まず、ガス導入口4からプロセスチャン
バー1内にガスが導入される。このガスには、例えば、
試料3をエッチングする場合は塩素(Cl2 )等、試料
3に膜形成を行う場合は水素(H2 )とモノシラン(S
iH4 )等のガスが使用される。このガスの圧力は電離
真空計8によりモニターされ、プロセスチャンバー1内
は所定の圧力Pに維持される。また、マイクロ波導入部
1aにマイクロ波が導入され、ソレノイドコイル5によ
り発生した磁場との相互作用でECR共鳴領域6が形成
され、該ECR共鳴領域6で電子サイクロトロン共鳴に
よるマイクロ波の放電によりプラズマが発生する。すな
わち、この電子サイクロトロン共鳴による放電はソレノ
イドコイル5による磁場とマイクロ波周波数の共鳴現象
を利用したもので、式(1) に従った等磁束面において電
子が磁力線に対して垂直方向に加速され、導入ガスと加
速電子との衝突によりプラズマが点火発生するものであ
る。 2πf=eB/m 式(1) ここで、fはマイクロ波周波数,eは素電荷,Bは共鳴
磁束密度,mは電子の質量を表す。
【0004】そして、この発生したプラズマによりウエ
ハ3がエッチング,又は膜形成される。ECR共鳴領域
6は、ソレノイドコイル5の径方向に面状に延在するよ
うに形成され、マイクロ波導入部1aの出口付近からウ
エハ3の表面付近にかけての空間を,必要に応じて移動
させることができるようになっている。
【0005】本装置では、このような電子サイクロトロ
ン共鳴による放電機構を利用しており、従来の有極放電
プロセス装置よりもさらに1桁〜2桁低いガス圧力下で
の放電が可能である。
【0006】しかしながら、10-4Torr台の低ガス圧力
下では、プロセスチャンバー1内部に存在する電子量が
微量であるために、放電の初期点火が困難になる傾向が
見られ、特に、電離電圧の高いガスを使用した場合にこ
の傾向が強い。そこで、従来は、初期点火を容易にする
ために、マイクロ波電力を増加したり、2段階放電方式
で第一段階に放電の容易な条件を設定する方法を用い
て、この問題を克服してきたが、微細なプロセスの制御
性を向上させるという観点からは、これらの方法は不適
当であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、放電の初期点
火時に、ECR共鳴領域6に電子を供給するための電子
発生装置をプロセスチャンバー1内に備え、これにより
放電の初期点火を容易にしたECRプロセス装置が提案
されている(特開平2−151021号公報参照)。
【0008】しかしながら、この電子発生装置を備えた
ECRプロセス装置により、単にECR共鳴領域6に電
子を供給しても放電の初期点火を確実に行うことはでき
ない。この放電の初期点火を確実に行うには、その初期
点火条件を明らかにし、そのような初期点火条件で運転
を行えるECRプロセス装置とする必要がある。また、
電子発生装置における電子の発生方式には種々の方式が
あり、その方式により、発生する電子のエネルギー等が
異なるので、かかるECRプロセス装置では、その放電
の初期点火条件を電子の発生方式に対応して設定する必
要がある。
【0009】本発明は、かかる問題点を解決するために
なされたもので、低ガス圧力,低マイクロ波電力条件下
における放電の初期点火を確実に行うことができるEC
Rプロセス装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るECRプロ
セス装置は、試料を配置し,かつガスが導入されるプロ
セスチャンバーと、該プロセスチャンバー内に上記試料
との間の間隔を変化可能に形成され,その領域で電子サ
イクロトロン共鳴を利用したマイクロ波の放電により上
記ガスとともに上記試料を処理するためのプラズマを発
生するECR共鳴領域と、上記プロセスチャンバー内に
設置された,上記ECR共鳴領域に電子電流を供給する
ための電子発生装置とを備えたECRプロセス装置にお
いて、上記マイクロ波の周波数の1周期の間の上記電子
電流をi,素電荷をe,上記ガス中での電子の平均自由
工程をλ,該電子とガス分子との反応距離をΔL,上記
マイクロ波の周波数の周期をτとしたとき、式: i=(eλ/ΔL)/τ に基づき算出した電子電流値を、上記放電の初期点火時
に上記ECR共鳴領域に供給する上記電子電流の下限値
として運転を行うものである。
【0011】また、上記ECRプロセス装置において、
上記電子発生装置として、通電加熱によりフィラメント
から電子を放出する電離真空計を用いたものである。
【0012】また、上記ECRプロセス装置において、
上記電子発生装置を、該電子発生装置から放出する電子
のエネルギーが,通電加熱によりフィラメントから放出
される電子のエネルギーと同程度である低いエネルギー
範囲を含み,可変できるようにしたものである。
【0013】また、上記ECRプロセス装置において、
上記電子発生装置として、電子銃を用いたものである。
【0014】また、上記ECRプロセス装置において、
上記電子発生装置として、ランタンヘキサブロマイドを
利用した装置を用いたものである。
【0015】また、上記ECRプロセス装置において、
上記電子発生装置として、光電効果を利用した装置を用
いたものである。
【0016】また、上記ECRプロセス装置において、
上記電子発生装置として、β線発生装置を用いたもので
ある。
【0017】
【作用】本発明においては、ECRプロセス装置の放電
の初期点火を確実に行うためにECR共鳴領域に供給す
べき電子電流を、後述するように、式: i= (eλ/ ΔL)
/ τに基づき算出することができ、この式に基づき算出
した電子電流値を、上記放電の初期点火時にECR共鳴
領域に供給する電子電流の下限値として運転するように
したから、低ガス圧力,低マイクロ波電力条件下におけ
る上記放電の初期点火を確実に行うことができる。
【0018】また、本発明においては、上記電子発生装
置として、通電加熱によりフィラメントから電子を放出
する電離真空計を用いたので、該フィラメントから放出
される電子のエネルギーが低いことから、該電子の平均
自由工程λが小さくなり、ECR共鳴領域に供給すべき
電子電流が小さくなる。
【0019】また、本発明においては、上記電子発生装
置を、該電子発生装置から放出する電子のエネルギー
が,通電加熱によりフィラメントから放出される電子の
エネルギーと同程度である低いエネルギー範囲を含み,
可変できるようにしたから、ECR共鳴領域に供給すべ
き電子電流を小さくすることができる。
【0020】また、本発明においては、上記電子発生装
置として、電子銃を用い、該電子銃から放出する電子の
エネルギーが,通電加熱によりフィラメントから放出さ
れる電子のエネルギーと同程度である低いエネルギー範
囲を含み,可変できるようにしたから、ECR共鳴領域
に供給すべき電子電流値を小さくすることができる。
【0021】また、本発明においては、上記電子発生装
置として、ランタンヘキサブロマイドを利用した装置を
用い,該装置から放出する電子のエネルギーが,通電加
熱によりフィラメントから放出される電子のエネルギー
と同程度である低いエネルギー範囲を含み,可変できる
ようにしたから、ECR共鳴領域に供給すべき電子電流
値を小さくすることができ、かつ効率よく電子を発生さ
せることができる。
【0022】また、本発明においては、上記電子発生装
置として、光電効果を利用した装置を用い,該装置から
放出する電子のエネルギーが,通電加熱によりフィラメ
ントから放出される電子のエネルギーと同程度である低
いエネルギー範囲を含み,可変できるようにしたから、
ECR共鳴領域に供給すべき電子電流値を小さくするこ
とができる。
【0023】また、本発明においては、上記電子発生装
置を、β線発生装置としたから、ECR共鳴領域に供給
すべき電子電流は、該β線発生装置から放出する電子
の,高いエネルギーに応じた大きな値となり、これによ
り、放出する電子のエネルギーが高いβ線発生装置を用
いても、放電の初期点火を確実に行うことができる。
【0024】
【実施例】
実施例1.図1は本発明の第1の実施例によるECRプ
ロセス装置の構造を模式的に表した上面図であり、図に
おいて、1はプロセスチャンバー、1aはプロセスチャ
ンバー1の側面に突設されたマイクロ波導入部、10は
該マイクロ波導入部1aの先端に設けられたマイクロ波
導入口、2はマイクロ波導入部1aの出口付近に配置さ
れた試料台、3は該試料台2の表面に固定されたウエ
ハ、4はプロセスチャンバー1の,ウエハ3の図面下方
の壁面に設けられたガス導入口、5はプロセスチャンバ
ーのマイクロ波導入部1aの周囲に配置されたソレノイ
ドコイル、6は電子サイクロトロン共鳴を利用したマイ
クロ波の放電により試料3を処理するためのプラズマを
発生するECR共鳴領域である。そして、7は電子発生
装置として用いられる電離真空計、8はガス圧をモニタ
ーするための電離真空計である。電離真空計7、8は、
フィラメントとこのフィラメント近傍に設置された図示
されないコレクターとを備えており、フィラメントから
電子を放出し、この放出された電子がプロセスチャンバ
ー1内のガス分子に衝突して発生するイオン電流をコレ
クターで集め、そのイオン電流の大きさによりガスの圧
力(真空度)を検出するように構成されている。従っ
て、この電離真空計7、8はそのまま電子発生装置とし
て使用することができ、かつフィラメントから放出され
る際の電子のエネルギーが低いことから、後述するよう
に、電子発生装置として最適なものである。
【0025】次に、本発明によるECRプロセス装置の
運転方法、すなわちその放電の初期点火方法の原理を説
明する。まず、ECR共鳴領域6への電子の到達量がE
CR共鳴領域6と電子発生装置7との距離Lによってど
の程度異なるかを測定例により示す。この測定例では、
上記距離Lと、放電の初期点火の可否のガス圧力依存性
との関係について調べた。測定に際しては、図のECR
プロセス装置をエッチング装置として用い、エッチング
ガスにはCl2 ガスを使用した。そして、電子発生装置
として電離真空計7とともにガス圧モニター用の電離真
空計8を用い、両者の設置箇所の相違によるECR共鳴
領域6への距離差を利用して実験することとした。電離
真空計7とECR共鳴領域6との距離はおよそ30cm
であり、電離真空計8とECR共鳴領域6との距離はお
よそ80cmである。また、両電離真空計7、8のフィ
ラメントのエミッション電流量はともに同量とした。ま
た、マイクロ波の周波数は2.45GHZ 、マイクロ波電
力は200W一定としている。この測定結果を表1に示
す。
【0026】
【表1】
【0027】ここで、ガス圧力単位はmTorr であり、○
印は放電の初期点火が可能な場合を,×印は放電の初期
点火が不可能又は不安定な場合をそれぞれ表している。
【0028】表1において、初期点火可能なガス圧力の
下限は、電離真空計とECR共鳴領域との距離が、80
cmの場合は0.7mTorr 、30cmの場合は0.2mT
orrであり、電離真空計とECR共鳴領域との距離が小
さい場合の方が圧倒的に低いことが分かる。また、電離
真空計とECR共鳴領域との距離が30cmの場合で
も、0.2mTorr よりもガス圧力を低下させると、放電
を確実に行うことが困難になることから、ECR共鳴領
域6に供給すべき電子量に下限が存在することが分か
る。
【0029】次に、ECR共鳴領域6において放電させ
るのに必要な電子電流量iを以下に見積もる。ここで
は、Cl2 ガスを用い、ガス圧力を0.2mTorr とした
場合の電子電流量iを算出する。Cl2 ガスの分子数を
n,衝突断面積をσとすると、電子の平均自由行程λ
は、 λ=(nσ)-1 式(2) と表され、これは、0.2mTorr のガス圧力下では、お
よそ1.5mになる。
【0030】電子の平均自由行程λは、1個の電子がλ
の距離を進む間に1回ガス分子と衝突することを意味す
る。ここで、長さλで0.2mTorr のガスを封入した円
筒管を考える。電子は円筒管の片側の面から入って、も
う一方の面から出てくるまでに最低1回はガス分子と衝
突する。これは、λより短い長さである,電子とガス分
子の反応距離ΔLの円筒管を考えた場合に、λ/ΔL個
の電子が該円筒管の片側の面から入って、もう一方の面
から出てくるまでに、いずれか1個が1回ガス分子と衝
突することと等価である。反応距離ΔLは電離真空計の
フィラメントから放出された電子の熱速度をv,マイク
ロ波の周波数の1周期をτとすると、 ΔL=v・τ 式(3) となり、フィラメント温度を2000°C,マイクロ波
の周波数を2.45GHZとすると、ΔLはおよそ1.2
×10-4mとなる。
【0031】これより、λ/ΔL=1.25×104
となる。これをフィラメントからECR共鳴領域6への
電子電流量で表現すると、マイクロ波の周波数の1周期
間の電子電流量iは、 i=(eλ/ΔL)/τ 式(4) となり、この式(4) に上記数値を代入すると、 i=8.2×10-25 A となる。以上の結果から、マイクロ波の周波数の1周期
あたりに、フィラメントからECR共鳴領域6に電子電
流量として8.2×10-25 Aを供給すれば、放電の初
期点火が可能となり、これ以下になると初期点火に不確
実性が生じることが分かる。
【0032】上記の概算結果から、ガス圧力P、フィラ
メント電流量i、及びフィラメント−ECR共鳴領域間
距離Lの間には以下の関係が成立する。
【0033】P・i/L=一定 式(5) この式(5) に表1の結果を代入すると、電離真空計とE
CR共鳴領域との距離が80cmの場合、放電の初期点
火を確実に行うには、0.6mTorr以上のガス圧力が必
要であることがわかる。この値は表1の結果と非常に近
いものであり、上記の式(4) に基づく電子電流iの見積
りが妥当であることを表している。
【0034】次に、上記の原理を用いた本実施例のEC
Rプロセス装置の運転方法を説明する。まず、試料台2
にウエハ3が固定され、次いで、ガス導入口4からプロ
セスチャンバー1内に所定のガスが導入される。このガ
スには、例えば、試料3をエッチングする場合はCl2
等、試料3に膜形成を行う場合は水素とモノシラン等の
ガスが使用される。このガスの圧力は電離真空計8によ
りモニターされ、プロセスチャンバー1内は所定の圧力
Pに維持される。次に、ソレノイドコイル5により磁場
が発生させられ、次いで、電離真空計7が通電され、そ
のフィラメントから電子電流iが、ECR共鳴領域を形
成しようとしている領域6に向けて供給される。この
際、電子電流iは上述の式(4) に基づき算出された値以
上の値に設定される。そして、この状態で、マイクロ波
導入部1aにマイクロ波を導入し、このマイクロ波の電
力を零から徐々に増加していくと、ECR共鳴領域を形
成しようとしている領域6では、電子電流iにより供給
された電子の存在により、この電子電流iが供給されな
い場合より低いマイクロ波電力で放電が開始する。すな
わちマイクロ波とソレノイドコイル5により発生した磁
場との相互作用で、この領域6にECR共鳴領域が形成
され、電子サイクロトロン共鳴によりマイクロ波の放電
が開始し、プラズマが発生する。そしてこの時、放電を
開始するのに必要な電子電流iが確保されているので、
放電の初期点火が確実に行われる。次いで、この点火に
より発生したプラズマによりウエハ3の処理が行われ
る。
【0035】また、例えばウエハ3の加工条件を変更す
るために、ECR共鳴領域6を移動させたことにより、
該ECR共鳴領域6と電離真空計7との距離Lが変化し
た場合は、上記電子電流iの下限値を,上記距離Lの変
化に比例するように変化させて設定し、また、ガス圧力
Pを変化させた場合は、上記電子電流iの下限値を,該
ガス圧力Pの変化に反比例するように変化させて設定し
てもよい。これは、上述の式(5) から明らかなように、
上記電子電流iは上記距離Lに比例し、上記ガス圧力P
に反比例するからである。これにより、上記距離L,上
記ガス圧力Pを変化させた場合に、容易かつ確実に放電
の初期点火を行うことができる。
【0036】このように、本発明の実施例1によれば、
ECRプロセス装置の放電の初期点火を確実に行うため
にECR共鳴領域に供給すべき電子電流は、上述の式
(4) に基づき算出することができ、この式(4) に基づき
算出した電子電流値を、上記放電の初期点火時にECR
共鳴領域に供給する電子電流iの下限値とするようにし
たから、低ガス圧力,低マイクロ波電力条件下における
上記初期点火を確実に行うことができる。
【0037】実施例2.図2は本発明の第2の実施例に
よるECRプロセス装置の構造を模式的に表した上面図
であり、図において、図1と同一符号は同一又は相当す
る部分を示しており、17は電子発生装置としての電子
銃であり、該電子銃17から放出する電子のエネルギー
を自在に変化させることができる。ここで、ECR共鳴
領域6に供給すべき電子電流値iは、式(4) に示すよう
に、電子の平均自由工程λに比例する。そして、この電
子の平均自由工程λは、式(2) に示すように、電子の衝
突断面積σに反比例し、この電子の衝突断面積σは、電
子のエネルギーが高いと小さくなり、電子のエネルギー
が低いと大きくなる。従って、上記電子電流値iは電子
のエネルギーが高いと大きくなり、電子のエネルギーが
低いと小さくなる。
【0038】本実施例のECRプロセス装置では、この
電子銃17から放出する電子のエネルギーを、図1の電
離真空計7から放出される電子のエネルギーと同程度に
低くして使用するので、これにより、ECR共鳴領域6
に供給する電子電流値を、上記実施例1と同程度に小さ
くすることができ、かつ放電の初期点火を確実に行うこ
とができる。
【0039】実施例3.図3は本発明の第3の実施例に
よるECRプロセス装置の構造を模式的に表した上面図
であり、図において、図1と同一符号は同一又は相当す
る部分を示しており、28はプレート状に形成されたラ
ンタンヘキサブロマイド(LaB6 )、27はこのラン
タンヘキサブロマイドからなるプレート27の背面を加
熱してその表面から熱電子を放出するように構成した電
子発生装置である。ランタンヘキサブロマイドは熱電子
放出係数の非常に高い物質であり、かつこのランタンヘ
キサブロマイドを利用した電子発生装置27は、該ラン
タンヘキサブロマイドプレート27の表面から放出する
の電子のエネルギーを自在に変化させることができる。
本実施例のECRプロセス装置では、この装置27から
放出する電子エネルギーを、図1の電離真空計7から放
出される電子エネルギーと同程度に低くして使用するの
で、これにより、ECR共鳴領域6に供給する電子電流
値を,上記実施例1と同様に小さくすることができ、ま
た、放電の初期点火を確実に行うことができ、さらに、
効率よく電子を発生させることができる。
【0040】実施例4.図4は本発明の第4の実施例に
よるECRプロセス装置の構造を模式的に表した上面図
であり、図において、図1と同一符号は同一又は相当す
る部分を示しており、37は紫外線発生装置、35はプ
ロセスチャンバー1の,紫外線発生装置37に対向する
壁面に配設された光電効果の高い光電子発生板であり、
これは紫外線発生装置37から出射された紫外線38を
受けてその表面から光電子36を放出するものである。
この光電効果を利用した電子発生装置によって、光電子
発生板37から放出される光電子36のエネルギーを自
在に変化させることができる。本実施例のECRプロセ
ス装置では、この光電子36のエネルギーが、図1の電
離真空計7から放出される電子のエネルギーと同程度に
低くなるようにするので、これにより、ECR共鳴領域
6に供給する電子電流値を、上記実施例1と同様に小さ
くすることができ、かつ放電の初期点火を確実に行うこ
とができる。
【0041】実施例5.図5は本発明の第5の実施例に
よるECRプロセス装置の構造を模式的に表した上面図
であり、図において、図1と同一符号は同一又は相当す
る部分を示しており、47はβ線発生装置である。この
β線発生装置47は、該β線発生装置47から放出され
る電子のエネルギーが非常に高いので、電子の衝突断面
積σが非常に小さくなり、平均自由行程λが長くなる。
そこで、上述のように、電子電流iを増加させることに
より、式(4) の初期点火の条件を満たすようにしてい
る。すなわち、本実施例のECRプロセス装置では、β
線発生装置47から放出される電子のエネルギーに応じ
てECR共鳴領域6に供給する電子電流を増加させるの
で、これにより、β線発生装置を用いて上記実施例1と
同様の効果を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ECRプ
ロセス装置の放電の初期点火を確実に行うためにECR
共鳴領域に供給すべき電子電流を所定の式に基づき算出
することができ、この所定の式に基づき算出した電子電
流値を、上記放電の初期点火時にECR共鳴領域に供給
する電子電流の下限値として運転するようにしたから、
低ガス圧力,低マイクロ波電力条件下における上記放電
の初期点火を確実に行うことができる効果を得ることが
できる。
【0043】また、本発明によれば、上記電子発生装置
として、通電加熱によりフィラメントから電子を放出す
る電離真空計を用いたから、該フィラメントから放出さ
れる電子のエネルギーが低く、ECR共鳴領域に供給す
べき電子電流が小さくなる効果を得ることができる。
【0044】また、本発明によれば、上記電子発生装置
を、該電子発生装置から放出する電子のエネルギーが,
通電加熱によりフィラメントから放出される電子のエネ
ルギーと同程度である低いエネルギー範囲を含み,可変
できるようにしたから、ECR共鳴領域に供給すべき電
子電流を小さくすることができる効果を得ることができ
る。
【0045】また、本発明によれば、上記電子発生装置
として、電子銃を用い、該電子銃から放出する電子のエ
ネルギーが,通電加熱によりフィラメントから放出され
る電子のエネルギーと同程度である低いエネルギー範囲
を含み,可変できるようにしたから、ECR共鳴領域に
供給すべき電子電流値を小さくすることができる効果を
得ることができる。
【0046】また、本発明によれば、上記電子発生装置
として、ランタンヘキサブロマイドを利用した装置を用
い,該装置から放出する電子のエネルギーが,通電加熱
によりフィラメントから放出される電子のエネルギーと
同程度である低いエネルギー範囲を含み,可変できるよ
うにしたから、ECR共鳴領域に供給すべき電子電流値
を小さくすることができ、かつ効率よく電子を発生させ
ることができる効果を得ることができる。
【0047】また、本発明によれば、上記電子発生装置
として、光電効果を利用した装置を用い,該装置から放
出する電子のエネルギーが,通電加熱によりフィラメン
トから放出される電子のエネルギーと同程度である低い
エネルギー範囲を含み,可変できるようにしたから、E
CR共鳴領域に供給すべき電子電流値を小さくすること
ができる効果を得ることができる。
【0048】また、本発明によれば、上記電子発生装置
を、β線発生装置としたから、ECR共鳴領域に供給す
べき電子電流は、該β線発生装置から放出する電子の,
高いエネルギーに応じた大きな値となり、これにより、
放出する電子のエネルギーが高いβ線発生装置を用いて
も、放電の初期点火を確実に行うことができる効果を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例によるECRプロセス
装置の構造を模式的に表した上面図である。
【図2】 本発明の第2の実施例によるECRプロセス
装置の構造を模式的に表した上面図である。
【図3】 本発明の第3の実施例によるECRプロセス
装置の構造を模式的に表した上面図である。
【図4】 本発明の第4の実施例によるECRプロセス
装置の構造を模式的に表した上面図である。
【図5】 本発明の第5の実施例によるECRプロセス
装置の構造を模式的に表した上面図である。
【図6】 従来のECRプロセス装置の構造を模式的に
表した上面図である。
【符号の説明】
1 プロセスチャンバー、3 試料、6 ECR共鳴領
域、7 電子発生装置、17 電子銃、27 ランタン
ヘキサブロマイドを利用した装置、36,37光電効果
を利用した装置、47 β線発生装置。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料を配置し,かつガスが導入されるプ
    ロセスチャンバーと、 該プロセスチャンバー内に上記試料との間の間隔を変化
    可能に形成され,その領域で電子サイクロトロン共鳴を
    利用したマイクロ波の放電により上記ガスとともに上記
    試料を処理するためのプラズマを発生するECR共鳴領
    域と、 上記プロセスチャンバー内に設置された,上記ECR共
    鳴領域に電子電流を供給するための電子発生装置とを備
    えたECRプロセス装置において、 上記マイクロ波の周波数の1周期の間の上記電子電流を
    i,素電荷をe,上記ガス中での電子の平均自由工程を
    λ,該電子とガス分子との反応距離をΔL,上記マイク
    ロ波の周波数の周期をτとしたとき、式: i=(eλ/ΔL)/τ に基づき算出した電子電流値を、上記放電の初期点火時
    に上記ECR共鳴領域に供給する上記電子電流の下限値
    として運転を行うことを特徴とするECRプロセス装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のECRプロセス装置に
    おいて、 上記電子発生装置として、通電加熱によりフィラメント
    から電子を放出する電離真空計を用いたことを特徴とす
    るECRプロセス装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のECRプロセス装置に
    おいて、 上記電子発生装置は、該電子発生装置から放出する電子
    のエネルギーが,通電加熱によりフィラメントから放出
    される電子のエネルギーと同程度である低いエネルギー
    範囲を含み,可変できるものであることを特徴とするE
    CRプロセス装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のECRプロセス装置に
    おいて、 上記電子発生装置として、電子銃を用いたことを特徴と
    するECRプロセス装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のECRプロセス装置に
    おいて、 上記電子発生装置として、ランタンヘキサブロマイドを
    利用した装置を用いたことを特徴とするECRプロセス
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載のECRプロセス装置に
    おいて、 上記電子発生装置として、光電効果を利用した装置を用
    いたことを特徴とするECRプロセス装置。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のECRプロセス装置に
    おいて、 上記電子発生装置として、β線発生装置を用いたことを
    特徴とするECRプロセス装置。
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