JPH08102278A - イオンビーム発生装置及び方法 - Google Patents

イオンビーム発生装置及び方法

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JPH08102278A
JPH08102278A JP6236771A JP23677194A JPH08102278A JP H08102278 A JPH08102278 A JP H08102278A JP 6236771 A JP6236771 A JP 6236771A JP 23677194 A JP23677194 A JP 23677194A JP H08102278 A JPH08102278 A JP H08102278A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多価電離イオンの割合が高いイオンビームを
連続して発生することができ、電極の寿命が長く、安定
して作動でき、かつ小型で構造がシンプルであるイオン
ビーム発生装置及び方法を提供する。 【構成】 仕切り板21で第1チャンバー22と第2チ
ャンバー23に区分された真空容器24と、仕切り板を
貫通する開口孔25を有し正に印加されるアノード26
と、第1チャンバー内の開口孔の軸線Z上にアノードと
対向して配置され負に印加されるカソード27と、カソ
ードを間隔を隔てて囲み、該間隔がアノード側に漸増す
るように成形され、かつアノード及びカソードから電気
的に浮いた導電性フード28と、真空容器内にマイクロ
波を導入するマイクロ波導入部29と、第1チャンバー
及び第2チャンバー内に発生するプラズマを少なくとも
一時的に封じ込める磁場を発生させる磁場発生装置30
とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオンビーム発生装置
及び方法に係わり、更に詳しくは、多価電離イオンの割
合が高いイオンビームを連続して発生するイオンビーム
発生装置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】真空アーク放電によりカソードを構成す
る物質を気化し、かつイオン化して金属プラズマを形成
し、この金属プラズマからイオンビームを抽出する装置
が既に開示されている(例えば特開昭63−27685
8号公報)。このイオンビーム発生装置は、図5に例示
するように、真空室1、カソード2、アノード3、アノ
ード保持部材4、トリガー電極5、コイル6、イオン抽
出電極7、等から構成され、カソード2と同心状に配置
したトリガー電極5の間に微小放電を起こさせ、これに
よってカソード2とアノード3の間にアーク放電を発生
させ、このアーク放電によりカソード2の一部を気化さ
せてプラズマ8を形成し、コイル6により形成された磁
場によりプラズマ8をアノード3の開口部を通過させ、
更にイオン抽出電極7によりアノード3を通過したプラ
ズマ8からイオンビーム9を抽出するようになってい
た。
【0003】しかし、かかるイオンビーム発生装置で
は、真空アーク放電によって形成した金属プラズマ8か
らイオンビーム9を直接引き出しているため、イオンビ
ーム中の多価電離イオンの割合が非常に低く、このため
イオンビームに所定のエネルギーを付与するためのイオ
ン抽出系の電源容量を大きくしなければならないという
問題点があった。また、この装置は、数ミリ秒の短時間
のパルス波でしかイオンビームを発生できない問題点が
あった。更に、この装置は、構造が複雑である問題点が
あった。
【0004】かかる問題点を解決するために、本願発明
の発明者等は、マイクロ波を真空チャンバー内に導入す
ることにより、多価電離イオンの割合を高めることがで
きるイオンビーム装置を創案し、出願した(特開平5−
101799号公報)。このイオンビーム装置は、図6
に例示するように、カソード10、真空チャンバー1
1、マイクロ波導入部12、アーク電源13、マルチカ
スプ磁場を形成する磁石14、イオン抽出電極15等を
備えており、真空チャンバー11内を真空にし、マイク
ロ波導入部12よりマイクロ波を導入してマイクロ波プ
ラズマを発生させ、アーク電源13を作動させてマイク
ロ波プラズマをトリガーとしてカソード10とマイクロ
波プラズマ間に真空アーク放電を発生させて、カソード
物質の金属プラズマ16を真空チャンバー11内に形成
し、磁石14により金属プラズマ16を一時的に封じ込
めて、マイクロ波により多価電離イオンの割合を増加さ
せ、イオン抽出電極15によってイオンのみを抽出し、
多価電離イオンの割合の高いイオンビーム17を形成す
るようになっていた。
【0005】すなわち、マイクロ波の印加によって、プ
ラズマ中の電子のエネルギーを増幅し、これにより、電
子とイオン、又は電子と中性粒子との衝突による多価電
離イオンの形成を促進し、金属プラズマ中の多価電離イ
オンの割合を高める装置であり、図5の装置に比較し
て、多価電離イオンの割合を高め、かつ長時間連続して
イオンビームを発生させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、かかるイオン
ビーム発生装置によっても、ガスの導入を停止或いは減
少させて真空度を下げて、アーク放電を持続させようと
すると、アークがカソードの先端部に集中しないでカソ
ードの根元部分や中程部分に発生してこの部分に深い窪
みが短時間ででき、カソードの局部損傷やこれによる破
断が生じやすく、長時間の使用に耐えられない問題点が
あった。ここで、多価電離イオンの発生には、ガスの導
入を停止させて真空度を下げることは不可欠のことであ
る。また、プラズマを一方の電極とするため、プラズマ
が変動すると、電極間の距離が変動し、制御が困難にな
り、再現性が悪い問題点があった。
【0007】本発明は、かかる種々の問題点を解決する
ために創案されたものである。すなわち、本発明の目的
は、多価電離イオンの割合が高いイオンビームを連続し
て発生することができ、電極の寿命が長く、安定して作
動でき、かつ小型で構造がシンプルであるイオンビーム
発生装置及び方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、仕切り
板で第1チャンバーと第2チャンバーに区分された真空
容器と、前記仕切り板を貫通する開口孔を有し正に印加
されるアノードと、第1チャンバー内の前記開口孔の軸
線上にアノードと対向して配置され負に印加されるカソ
ードと、前記カソードを間隔を隔てて囲み、該間隔がア
ノード側に漸増するように成形され、かつアノード及び
カソードから電気的に浮いた導電性フードと、真空容器
内にマイクロ波を導入するマイクロ波導入装置と、第1
チャンバー及び第2チャンバー内に発生するプラズマを
少なくとも一時的に封じ込める磁場を発生させる磁場発
生装置と、を備えたことを特徴とするイオンビーム発生
装置が提供される。
【0009】本発明の好ましい実施例によれば、前記カ
ソードは、アノードに対向する平面をもった軸線と同心
の切頭円錐形部分を有し、前記フードは、前記軸線と同
心の中空円筒形である。また、別の実施例によれば、前
記カソードは、アノードに対向する端面を有し前記軸線
と同心の円筒形であり、前記フードは、カソードを囲む
部分がアノード側に漸増する前記軸線と同心のロート形
状である。
【0010】また、前記カソードを内側に支持する中空
円筒形の絶縁性支持部材と、該支持部材に一端部が連結
され、他端部が軸線に沿ってアノードと反対側に延びる
中空円筒形の絶縁管と、を更に備え、前記導電性フード
は前記絶縁管の外側に間隔を隔てて取り付けられる。前
記支持部材はボロンナイトライドからなり、前記絶縁管
は石英ガラスからなる、ことが好ましい。また、前記ア
ノードは、中空円筒形でありかつ結晶成長カーボンから
なる。
【0011】更に、前記第1チャンバーと第2チャンバ
ーは、アノードの開口孔で連通し、かつ、それぞれ独立
に真空排気され、第2チャンバーの真空度が第1チャン
バーより高くなるように差動排気される。また、前記カ
ソードは、半導体又は導電性物質からなることが好まし
い。
【0012】また、本発明によれば、第1の真空チャン
バー内でアノードとカソード間に真空アーク放電を発生
させてカソード物質の金属プラズマを形成し、磁場によ
り金属プラズマを一時的に封じ込め、かつ第1真空チャ
ンバーと連通する第2の真空チャンバー内でマイクロ波
により金属プラズマを加熱して多価電離イオンの割合を
増加させ、電界により金属プラズマからイオンを抽出
し、これによりイオンビームを発生させる、ことを特徴
とするイオンビーム発生方法が提供される。
【0013】本発明の好ましい実施例によれば、アノー
ドとカソードを結ぶ軸線方向を開口させてカソードを導
電性フードで間隔を隔てて囲み、該間隔をアノード側に
漸増するようにフードを成形し、かつ該フードを電気的
に浮かして浮動ポテンシャルに保持し、これによりカソ
ードとフード間に軸線にほぼ直交する電気力線を形成す
ることが好ましい。
【0014】
【作用】上記本発明の装置及び方法によれば、第1の真
空チャンバー内でアノードとカソード間に真空アーク放
電を発生させてカソード物質の金属プラズマを形成し、
磁場発生装置による磁場により金属プラズマを一時的に
封じ込め、かつマイクロ波により金属プラズマを加熱し
て多価電離イオンの割合を増加させ、イオン抽出電極に
よる電界により金属プラズマからイオンを抽出すること
により、多価電離イオンの割合が高いイオンビームを発
生させることができる。
【0015】また、カソードを間隔を隔てて囲み、この
間隔がアノード側に漸増するように成形され、かつアノ
ード及びカソードから電気的に浮いた導電性フードを備
えることにより、フードを電気的に浮動ポテンシャルに
保持し、カソードとフード間に軸線にほぼ直交する電気
力線を形成することができ、カソードの根元部分にアー
クが飛んでこの部分を損傷することを本質的に回避する
ことができ、カソードを長時間連続して使用することが
でき、かつ真空チャンバーを小型にし、カソードとアノ
ードの間隔を短くすることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して説明する。図1は、本発明によるイオンビーム発生
装置の全体構成図である。この図において、本発明のイ
オンビーム発生装置20は、仕切り板21で第1チャン
バー22と第2チャンバー23に区分された真空容器2
4と、仕切り板21を貫通する開口孔25を有しかつ正
(プラス)に印加されるアノード26と、第1チャンバ
ー22内の前記開口孔25の軸線Z上にアノード26と
対向して配置され、負(マイナス)に印加されるカソー
ド27と、カソード27を間隔を隔てて囲む導電性フー
ド28と、真空容器24すなわち第2チャンバー23内
にマイクロ波を導入するマイクロ波装置(導入部29と
図示しないマイクロ波発生装置からなる)と、第1チャ
ンバー22及び第2チャンバー23内に発生するプラズ
マを少なくとも一時的に封じ込める磁場を発生させる磁
場発生装置30とを備えている。
【0017】第1チャンバー22と第2チャンバー23
は、開口孔25を有するアノード26を隔壁として、図
示しない真空装置によりそれぞれ独立に真空排気され
る。この構成により、アークプラズマ32の発生時にカ
ソードが蒸発して金属イオンが発生する第1チャンバー
22よりも第2チャンバー23の真空度をより高く(圧
力が低く)なるように差動排気することができる。
【0018】マイクロ波導入部29は、図示のように、
軸線Zに垂直に設けてもよく、或いは、図6に示したよ
うに、真空チャンバーの側面に設けてもよい。磁場発生
装置30は、図6と同様に、マルチカスプ磁場を形成す
るための複数の永久磁石30aと、その両側に設けられ
たミラー磁場を形成するための空心コイル30b、30
cとからなり、これらの2つの磁場により、第1チャン
バー22にプラズマ閉じ込め空間を形成するようになっ
ている。なお、磁場発生装置30は、かかる構成に限定
されず、例えば、特開平5−101799号に開示した
ような種々の構成のものであってもよい。マイクロ波導
入部29から導入するマイクロ波と磁場発生装置30に
よる磁場とは、電子サイクロトロン共鳴(ECR)条件
を満たすように設定する。かかる構成により、マイクロ
波によるマイクロ波プラズマの発生、及び金属プラズマ
の加熱にECRを利用することができる。なお、図1に
おいて、41は、カソード27を負(マイナス)に印加
するアーク電源、42a,42bはイオンビーム抽出電
源である。
【0019】上述した装置は以下のように使用される。
すなわち、真空チャンバー22、23内を真空(例えば
10-2〜10-4Torr) に保持し、アノード26とカソー
ド27との間に真空アーク放電31を発生させてカソー
ド物質の金属プラズマを形成し、この状態で真空チャン
バー22、23内の真空度を10-5〜10-6Torrに保
ち、磁場発生装置30による磁場により金属プラズマを
一時的に封じ込め、かつマイクロ波により金属プラズマ
を加熱して多価電離イオンの割合を増加させ、イオンビ
ーム抽出電極37による電界により金属プラズマからイ
オンビーム38を発生させる。このイオンビーム38
は、真空容器に設けられた開口24aを通して別の装置
に導入し、金属プラズマの分離、金属膜形成、基板内部
への異種金属の打ち込み、X線ソース、レーザ源、等の
用途に利用することができる。
【0020】図2は、図1の主要部の拡大図である。こ
の図において、アノード26は、カソード側に内向きの
鍔面26aを有する中空円筒形であり、内面に雌ネジが
設けられ、水冷されている仕切り板21に固定された中
空円筒形のステンレス管21aに螺合して取り付けられ
ている。このアノード26は、耐熱性の点で結晶成長カ
ーボンからなるのがよい。かかる構成により、軸線Z上
に十分な大きさの開口孔25(例えば直径55ミリ)を
形成し、上述した差動排気を行いながら、直径の比較的
大きいイオンビーム32(例えば直径20ミリ)を第2
チャンバー23に導くことができる。
【0021】フード28は、導電性(例えばステンレス
製)であり、アノード26及びカソード27から電気的
に浮かされている。すなわち、図2において、本発明の
装置は、更に、カソード27を内側に支持する中空円筒
形の絶縁性支持部材33と、支持部材33に一端部が連
結され、他端部が軸線Zに沿ってアノードと反対側に延
びる中空円筒形の絶縁管34とを備えている。絶縁管3
4はこの図では二重管であるが、本発明はこれに限定さ
れず、例えば図の外管がない単管であってもよい。ま
た、フード28は絶縁管34の外側に取付金具35(例
えばビス)により間隔を隔てて取り付けられている。こ
の構成により、フード28は、アノード26及びカソー
ド27から電気的に絶縁され、浮動ポテンシャルに保持
されている。
【0022】支持部材33は、カソード材料と反応しな
いように、水酸基(OH)を含まない絶縁材料、例えば
ボロンナイトライド(BN)からなるのがよい。また、
絶縁管34は、耐熱性の高い絶縁材料、例えば石英ガラ
スやセラミック等からなるのがよい。また、図に示すよ
うに、支持部材33の外周面を絶縁管34の外管で囲
み、蒸発又はアーク放電により発生したカソード材料の
飛沫が支持部材33の外周面に付着しないようにするの
がよい。
【0023】更に、図2において、カソード27は、ア
ノード26に対向する平面27aをもった軸線Zと同心
の切頭円錐形部分27bを有し、一方、フード28は軸
線Zと同心の中空円筒形に成形されている。この構成に
より、カソードとフード間の間隔をアノード側に漸増す
るようにすることができる。カソード27には、シリコ
ン等の半導体、又は銅、チタン、タンタル、鉄、等の導
電性物質、或いはこれらの粉末をある比率で混合し固化
したものを使用する。
【0024】上述した構成により、図3(A)に模式的
に示すように、カソード27とフード28の間に軸線Z
にほぼ直交する電気力線36を形成することができ、カ
ソードの平面27aとアノード26との間に、真空アー
ク放電31を発生させることができ、電極(カソード)
の寿命を長くし、かつ安定して作動させることができ
る。また、図6に示した従来例と比較してアノード、カ
ソード間を短くすることができるので、小型で構造がシ
ンプルな装置とすることができる。
【0025】一方、図3(B)は、フード28がない場
合を示しており、この場合には、カソードの根元付近で
真空アーク放電31が発生してしまい、根元付近が短時
間に損傷して窪んだり、破断する問題が発生する。更
に、カソードの根元付近でアーク放電により高熱が発生
するため、絶縁管34が破損しやすい問題も発生する。
従って、フード28は、本発明の装置を小型化し、安定
作動させ、かつカソード27の寿命を延ばすために、重
要な部品である。また、フード28を電気的に浮かせず
に、例えばアノードと電気的に連結すると、フード、カ
ソード間にアークが飛ぶおそれがあり、逆にカソードと
連結すると、アークがフードに飛んでフードを損傷させ
るおそれがあるため、電気的に浮かせることも重要であ
る。
【0026】図4は、本発明の第2の実施例を示す図2
と同様の部分拡大図である。この図において、カソード
39は、アノード26に対向する端面39aを有し軸線
Zと同心の円柱形であり、フード40は、カソード39
を囲む部分がアノード側に漸増する軸線Zと同心のロー
ト形状である。その他の部分は、図1〜図3に示した第
1実施例と同様である。かかる構成により、図2と同様
に、カソードとフード間の間隔をアノード側に漸増する
ように成形することができ、カソード39とフード40
の間に軸線Zにほぼ直交する電気力線36を形成して、
カソードの端面39aとアノード26との間に、真空ア
ーク放電31を発生させることができ、電極(カソー
ド)の寿命を長くし、かつ安定して作動させることがで
きる。また、この構成のカソード39は、加工が容易で
安価に製造することができ、かつプラズマ径を一定にす
ることができ、より長時間安定したイオンビーム32を
発生させることができる。
【0027】上述したように、本発明の装置及び方法に
よれば、第1の真空チャンバー22内でアノードとカソ
ード間に真空アーク放電31を発生させてカソード物質
の金属プラズマを形成し、磁場発生装置30による磁場
により金属プラズマを一時的に封じ込め、かつマイクロ
波により金属プラズマを加熱して多価電離イオンの割合
を増加させ、イオン抽出電極による電界により金属プラ
ズマからイオンを抽出することにより、多価電離イオン
の割合が高いイオンビーム37を開口孔24aを通して
発生させることができる。
【0028】また、カソード27、39を間隔を隔てて
囲み、この間隔がアノード側に漸増するように成形さ
れ、かつアノード及びカソードから電気的に浮いた導電
性フード28、40を備えることにより、フードを電気
的に浮動ポテンシャルに保持し、カソードとフード間に
軸線にほぼ直交する電気力線36を形成することがで
き、カソードの根元部分にアークが飛んでこの部分を損
傷することを本質的に回避することができ、カソードを
長時間連続して使用することができ、かつ真空チャンバ
ーを小型にし、カソードとアノードの間隔を短くするこ
とができる。
【0029】更に、本発明は、アノード26を含む仕切
板21を除去し、マイクロ波導入部29からのマイクロ
波を導入し、プラズマを発生させこのプラズマと本発明
によって構成されるフード28を含むカソード27との
間に真空アーク放電を発生させることも可能である。な
お、本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の要
旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論であ
る。
【0030】
【発明の効果】上述したように、本発明のイオンビーム
発生装置及び方法は、多価電離イオンの割合が高いイオ
ンビームを連続して発生することができ、電極の寿命が
長く、安定して作動でき、かつ小型で構造がシンプルで
ある、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオンビーム発生装置の全体構成
図である。
【図2】図1の主要部の拡大図である。
【図3】フードの効果を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例を示す部分拡大図であ
る。
【図5】従来のイオンビーム発生装置の部分構成図であ
る。
【図6】本発明者等による別のイオンビーム発生装置の
全体構成図である。
【符号の説明】
1、11 真空チャンバー 2、10、27 カソード 3、26 アノード 4 アノード保持部材 5 トリガー電極 6、14 コイル(磁石) 7、15 イオン抽出電極 8 プラズマ 9、17 イオンビーム 12 マイクロ波導入部 13 アーク電源 16 金属プラズマ 20 イオンビーム発生装置 21 仕切り板 22 第1チャンバー 23 第2チャンバー 24 真空容器 25 開口孔 28 フード 29 マイクロ波導入部 30 磁場発生装置 31 真空アーク放電 32 アークプラズマ 33 支持部材 34 絶縁管 35 取付金具 36 電気力線 37 イオンビーム抽出電極系 38 イオンビーム 39 カソード 40 フード

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕切り板で第1チャンバーと第2チャン
    バーに区分された真空容器と、前記仕切り板を貫通する
    開口孔を有し正に印加されるアノードと、第1チャンバ
    ー内の前記開口孔の軸線上にアノードと対向して配置さ
    れ負に印加されるカソードと、前記カソードを間隔を隔
    てて囲み、該間隔がアノード側に漸増するように成形さ
    れ、かつアノード及びカソードから電気的に浮いた導電
    性フードと、真空容器内にマイクロ波を導入するマイク
    ロ波導入装置と、第1チャンバー及び第2チャンバー内
    に発生するプラズマを少なくとも一時的に封じ込める磁
    場を発生させる磁場発生装置と、を備えたことを特徴と
    するイオンビーム発生装置。
  2. 【請求項2】 前記カソードは、アノードに対向する平
    面をもった軸線と同心の切頭円錐形部分を有し、前記フ
    ードは、前記軸線と同心の中空円筒形である、ことを特
    徴とする請求項1に記載のイオンビーム発生装置。
  3. 【請求項3】 前記カソードは、アノードに対向する端
    面を有し前記軸線と同心の円筒形であり、前記フード
    は、カソードを囲む部分がアノード側に漸増する前記軸
    線と同心のロート形状である、ことを特徴とする請求項
    1に記載のイオンビーム発生装置。
  4. 【請求項4】 前記カソードを内側に支持する中空円筒
    形の絶縁性支持部材と、該支持部材に一端部が連結さ
    れ、他端部が軸線に沿ってアノードと反対側に延びる中
    空円筒形の絶縁管と、を更に備え、前記導電性フードは
    前記絶縁管の外側に間隔を隔てて取り付けられる、こと
    を特徴とする請求項1に記載のイオンビーム発生装置。
  5. 【請求項5】 前記支持部材はボロンナイトライドから
    なり、前記絶縁管は石英ガラスからなる、ことを特徴と
    する請求項4に記載のイオンビーム発生装置。
  6. 【請求項6】 前記アノードは、中空円筒形でありかつ
    結晶成長カーボンからなる、ことを特徴とする請求項1
    に記載のイオンビーム発生装置。
  7. 【請求項7】 前記第1チャンバーと第2チャンバー
    は、アノードの開口孔で連通し、かつ、それぞれ独立に
    真空排気され、第2チャンバーの真空度が第1チャンバ
    ーより高くなるように差動排気される、ことを特徴とす
    る請求項1に記載のイオンビーム発生装置。
  8. 【請求項8】 前記カソードは、半導体又は導電性物質
    からなる、ことを特徴とする請求項1に記載のイオンビ
    ーム発生装置。
  9. 【請求項9】 第1の真空チャンバー内でアノードとカ
    ソード間に真空アーク放電を発生させてカソード物質の
    金属プラズマを形成し、磁場により金属プラズマを一時
    的に封じ込め、かつ第1真空チャンバーと連通する第2
    の真空チャンバー内でマイクロ波により金属プラズマを
    加熱して多価電離イオンの割合を増加させ、電界により
    金属プラズマからイオンを抽出し、これによりイオンビ
    ームを発生させる、ことを特徴とするイオンビーム発生
    方法。
  10. 【請求項10】 アノードとカソードを結ぶ軸線方向を
    開口させてカソードを導電性フードで間隔を隔てて囲
    み、該間隔をアノード側に漸増するようにフードを成形
    し、かつ該フードを電気的に浮かして浮動ポテンシャル
    に保持し、これによりカソードとフード間に軸線にほぼ
    直交する電気力線を形成する、ことを特徴とする請求項
    9に記載のイオンビーム発生方法。
JP23677194A 1994-09-30 1994-09-30 イオンビーム発生装置及び方法 Expired - Fee Related JP3454384B2 (ja)

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