JPH0973360A - 座標入力装置 - Google Patents

座標入力装置

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JPH0973360A
JPH0973360A JP23002395A JP23002395A JPH0973360A JP H0973360 A JPH0973360 A JP H0973360A JP 23002395 A JP23002395 A JP 23002395A JP 23002395 A JP23002395 A JP 23002395A JP H0973360 A JPH0973360 A JP H0973360A
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vibration
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transmission plate
signal
vibration transmission
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JP23002395A
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Katsuyuki Kobayashi
克行 小林
Yuichiro Yoshimura
雄一郎 吉村
Masaki Tokioka
正樹 時岡
Atsushi Tanaka
淳 田中
Ryozo Yanagisawa
亮三 柳沢
Hajime Sato
肇 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可搬性に優れかつ低コストで製造可能な座標
入力装置を提供することを目的としている。 【解決手段】 座標入力領域Aを含む第1の面と該第1
の面に対向する第2の面を有する圧電性を有する振動伝
達板8と、入力ペン3が座標入力領域Aの所望の位置に
電圧を印加する。電圧によって発生する振動を、座標入
力領域A外に配される振動検出用電極6a〜6dで電気
信号として検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力ペンによって
座標を入力する座標入力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、特公平5ー60615号
に開示されている座標入力装置は、図11に示すよう
な、入力ペン3に内蔵される振動子4を振動子駆動回路
2から入力される駆動信号によって発生する超音波等の
振動を利用して、入力ペン3の接触子5が指示する位置
から振動伝達板の端点に備えつけられる圧電センサ間の
距離Lを算出する。具体的には、座標入力面となる振動
伝達板8に、座標入力ペン3から振動を入力し、振動伝
達板8に取り付けられた複数の圧電センサでこの振動を
検出して、振動が各センサまで到達する時間を信号波形
検出回路9で計測し、その計測結果に基づいて、演算制
御回路1により振動が入力された座標位置の算出を行っ
ていた。また、入力ペン3で指示した位置座標を、例え
ば、入力した文字や図形をパーソナルコンピュータ等の
情報処理装置に出力することが可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の座標入力装置は以下のような問題点があった。入力
ペンから振動伝達板に入力する振動を、振動伝達板を介
して伝播する振動を振動伝達板に取り付けられた複数の
圧電センサ(振動検出素子)で検出する構成であるため
に、圧電センサの厚み分、装置自体が厚くなり、例え
ば、持ち運びし易い携帯型の装置として使用するための
可搬性に乏しいという問題点があった。
【0004】また、座標の位置の算出原理としては、入
力ペンが指示する入力点と各圧電センサ間の距離を各々
求め、その距離情報より入力ペンが指示する位置を出力
しているので、精度良く座標を算出するためには、各々
の圧電センサの絶対位置を精度良く位置決めして圧電セ
ンサを固定する必要があった。そのため、圧電センサの
位置を厳密に管理する必要があり、装置を大量に生産す
る際の量産性を低下させ、それに伴い低コストで製造す
ることができないという問題点があった。
【0005】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、可搬性に優れかつ低コストで製造可能な座標
入力装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による座標入力装置は、以下の構成を備え
る。即ち、入力ペンによって座標を入力する座標入力装
置であって、座標入力領域を含む第1の面と該第1の面
に対向する第2の面を有する圧電性を有する振動伝達板
と、前記入力ペンを前記座標入力領域の所望の位置に接
触させることで前記振動伝達板に電圧を印加する印加手
段と、前記電圧によって発生する振動を、前記座標入力
領域外に配される電極位置で電気信号として検出する検
出手段とを備える。
【0007】また、好ましくは、前記検出手段のそれぞ
れに到達する時間を算出する第1算出手段と、前記第1
算出手段で算出される各時間に基づいて、前記入力ペン
が接触する位置を算出する第2算出手段と、前記第2算
出手段で算出される位置を出力する出力手段と更に備え
る。
【0008】また、好ましくは、前記入力ペンは、グラ
ンドに接地されている。また、好ましくは、前記座標入
力領域は、網目上の電極を有する。網目上にすること
で、電圧が印加される位置を特定することができるから
である。また、好ましくは、前記第2の面は、前記座標
入力領域と対向する位置に少なくとも該座標入力領域と
同じ大きさの電極を有する。
【0009】また、好ましくは、前記第2の面の電極
は、グランドに接地されている。また、好ましくは、前
記振動伝達板は、圧電性セラミックスからなる振動伝達
板である。
【0010】また、好ましくは、前記振動伝達板は、少
なくともPZT、ZnO、PLZT、PVDFのいずれ
かを含む。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施の形態を詳細に説明する。まず、図1を用いて
本実施の形態における座標入力装置の装置全体の構成に
ついて説明する。図1は本実施の形態の座標入力装置の
構成を示すブロック図である。
【0012】1は演算制御回路であり、座標入力装置全
体を制御すると共に座標を算出するために演算制御回路
である。2は駆動回路であり、振動伝達板8に振動を発
生させるための駆動信号を生成する。3は入力ペンであ
り、その先端が導電性の接触子5で構成され、入力ペン
3を後述する振動伝達板8に接触させることで、振動伝
達板8の板厚方向に電圧を付加し、その結果圧電性を有
する振動伝達板8より振動が発生する。また、座標の入
力は、図の破線で囲まれる領域A(以下、有効エリアと
呼ぶ)内を入力ペン3で指定することで行う。
【0013】8は振動伝達板であり、本実施の形態で
は、例えば、PZT(チタン・ジルコン酸鉛)からなる
圧電性セラミックスで構成されている。また、振動伝達
板8は所定の厚さを持っており、その上面(座標入力
面)の4隅に機械的振動を電気信号に変換する振動検出
用電極6a〜6dが構成されている。その具体的構成に
ついては、図2〜図5を用いて後述する。また、振動伝
達板8の外周には、反射した振動が中央部に戻るのを防
止(減少)させるための防振材7が設けられている。
【0014】次に図1を用いて、本実施の形態の座標入
力装置で実行される処理について説明する。振動検出用
電極6a〜6dが検出する機械的な振動は、電気的信号
に変換され、更に不図示の増幅回路で増幅された後、信
号波形検出回路9に入力される。そして、信号波形検出
回路9に入力された電気的信号は、後述する波形信号処
理により各振動検出用電極6a〜6dへの振動到達タイ
ミングを示す信号を演算制御回路1に出力する。そし
て、演算制御回路1は、入力された信号に基づいて各振
動検出用電極6a〜6dまでの振動到達時間の検出、入
力ペン3と各振動検出用電極6a〜6d間の距離を算出
し、後述する方法により座標を算出する。尚、信号検出
回路9、演算制御回路1の詳細な処理動作については、
別途後述する。
【0015】また、演算制御回路1は、シリアル、パラ
レル通信等によって外部機器(不図示)に対し、この算
出された座標値を出力することもできる。一方、振動伝
達板8を振動させるための駆動信号は、まず、演算制御
回路1から低レベルのパルス信号(例えば、5ms毎)
として供給すると共に、その内部タイマ(カウンタで構
成されている)による計時を開始させる。そして、駆動
回路2aによって所定のゲインで増幅された後、接触子
5に印加される。電気的な駆動信号は、接触子5が振動
伝達板8の有効エリアA内を接触することで、機械的な
超音波振動に変換される。入力ペン3の接触により発生
した振動は、振動検出用電極6a〜6dまでの各々の距
離に応じ遅延して到達する。
【0016】尚、駆動回路2aによって生成される駆動
パルスの周波数は、振動伝達板8で発生した振動が板波
(Lamb Wave)となって振動伝達板8を伝播するように選
択される。更に、振動伝達板8を伝播する弾性波は板波
であり、表面波などに比べて振動伝達板の表面の傷、障
害物等の影響を受けにくいという利点を有する。もちろ
ん、目的、用途によってはこれに限定されるものではな
く、他の振動モードを利用しても良いことは言うまでも
ない。
【0017】次に本実施の形態の振動伝達板8の上面に
固定される振動検出用電極6a〜6dの複数の構成につ
いて図2〜図5を用いて説明する。図2の(a)は振動
伝達板8の一部の第1の構成を示す外観斜視図であり、
(b)は矢印A1方向からの矢視図である。図2の
(a)の座標入力可能な有効エリアA内において、振動
伝達板8の下面には一様に電極が配されておりグランド
に接地されている。一方、その反対面である上面(座標
入力面)には、メッシュ状の電極が形成され、入力ペン
3の接触子5がこの上面電極の1つに接触することで、
振動伝達板8の板厚方向に振動伝達板8を駆動させるた
めの駆動信号としての電圧が駆動回路2aから供給さ
れ、その接触位置で振動伝達板8は振動を開始する。そ
の発生した振動は、あたかも水面に石を投下した時に発
生する波紋の様に振動伝達板8を伝播することになる。
【0018】振動伝達板8を伝播した振動は、やがて振
動伝達板8の4隅に到達する。そして、振動伝達板8の
4隅に設けられた振動検出用電極6a〜6dは、対向す
る面に各々グランドに接地される電極が固定されてい
る。尚、振動伝達板8に配される電極の形成は、予め圧
電体を板厚方向に分極するために形成した電極(振動伝
達板8の上下面一様に形成される電極)をエッチング等
により図に示されるような形状に形成したり、あるいは
印刷等により図に示すような形状に形成してから、それ
を分極用の電極として圧電体を分極して振動伝達板8を
製作しても良い。また、電極の構成は、図2にしめされ
るようなものに限定されるものではない。例えば、図3
に示すように、下面を一様に、上面(座標入力面)の電
極のみをエッチング等により形成してもよい。
【0019】図3の(a)は振動伝達板8の一部の第2
の構成を示す外観斜視図であり、(b)は矢印B方向か
らの矢視図である。図3に示されるように、下面全体を
電極とすることで、電気的なノイズに対してその影響を
除去することが可能となる。また、図2の構成に比べ、
上下面の電極の位置決め等が不用となり、比較的安価に
製造することもできる。更に、振動検出用電極6の位置
は振動伝達板8の隅に限定されるものでなく、振動伝達
板8毎に適宜設定されるものであり、その個数も4個に
限定されるものでなく、少なくとも2個以上の振動検出
用電極を固定する構成にしても良い。更に、例えば、図
4に示されるような電極配置にしても良い。
【0020】図4の(a)は振動伝達板8の一部の第3
の構成を示す外観斜視図であり、(b)は矢印C方向か
らの矢視図である。図4の示されるように、有効エリア
A内の接触面に電極が形成されていなくても、入力ペン
3を接触させることで十分な電圧を与えることができれ
ば、板厚方向に振動が発生するので座標の検出が可能と
なる。また、本実施の形態では、振動伝達板8をPZT
で構成しているが、これに制限されるものではなく、圧
電性を有するZnO、PLZT、PVDF等の材料を用
いても良い。また、図2〜図4は振動伝達板8の下面
(入力面と反対側)はグランドに接地されている構成
で、入力ペン3から電圧が与えられているが、これに限
定されるものではない。例えば、図5に示されるような
電極配置にしても良い。
【0021】図5の(a)は振動伝達板8の一部の第4
の構成を示す外観斜視図であり、(b)は矢印D方向か
らの矢視図である。図5は、下面側より振動伝達板8を
駆動させるための駆動信号が駆動回路2aから供給され
るような構成になっており、入力ペン3が振動伝達板8
に接触することで振動伝達板8に電圧が負荷され振動が
発生する。この時、上面の振動検出用電極6aに対向す
る下面側の電極はグランドに接地されているが、これに
限定されるものでない。例えば、下面側に振動検出用電
極6aを固定する構成にしても良いことは言うまでもな
い。この下面側に振動検出用電極を固定する場合は、図
5のように有効エリアA内の電極と、振動検出用電極は
電気的に接続されていない状態が好ましい。何故なら、
下面側に一様に配する電極に振動用電極を含ませてしま
うと、駆動回路2aから供給される駆動信号が振動検出
用電極の位置でも振動が発生してしまい、正確な座標検
出を行うことができなくなるからである。
【0022】<演算制御回路の説明>図6は本実施の形
態の演算制御回路1の詳細な構成を示すブロック図であ
る。図中、31は演算制御回路1及び座標入力装置全体
を制御するマイクロコンピュータであり、内部カウンタ
(不図示)、操作手順を記憶したROM(不図示)、そ
して座標算出さる際のデータ作業領域あるいは一時待避
領域として使用するRAM(不図示)、距離計算に必要
な定数(例えば、後述する周波数f、位相速度Vg、群
速度Vp等、波の音速に関わる定数)等を記憶する不揮
発性メモリ(不図示)等によって構成されている。
【0023】33a、33bは、基準クロックを計時す
るカウンタである。駆動回路2aに接触子5への駆動パ
ルスを発生させるためのスタート信号を入力すると、例
えば、振動検出用電極6aで検出される検出波形に基づ
いて算出される位相遅延時間tpを計時するためのカウ
ンタ33a、および群遅延時間tgを計時するためのカ
ウンタ33bが、その計時を開始する。これによって、
計時開始と入力ペン3の振動発生タイミングの同期がと
られ、電極により振動が検出されるまでの遅延時間が測
定できることになる。尚、図6では振動検出用電極6a
に対するカウンタ33a、33bの1組についてのみ示
しているが、本実施の形態のように4箇所の振動検出用
電極6a〜6dが配されている場合には、各々振動検出
用電極6a〜6dに対するカウンタが存在する。また、
後述する信号波形検出回路9で時系列的に、各振動検出
用電極6a〜6dからの信号を切り分けて座標算出に必
要な時間を検出する構成にしても良い。つまり、入力ペ
ン3が指示する位置から発生する振動ごとに別の振動検
出用電極からの信号を処理するように構成する。例え
ば、座標算出に必要な振動検出用電極からの信号が2つ
ならば、入力ペン3が指示する位置から振動が2回発生
されて初めて座標算出が可能となる。
【0024】信号波形検出回路9より出力される振動検
出用電極6aからの振動到達タイミング信号は(板波の
位相速度Vpに関わる位相遅延時間tp、および群速度
Vgに関わる群遅延時間tgの到達タイミング信号)
が、検出信号入力回路35を介してカウンタ33a、3
3bに各々入力される。カウンタ33a、33bは、振
動用電極6aよりのタイミング信号を受信すると、カウ
ンタ33a、33bをストップさせ、その時の計時値を
ラッチする。判定回路36は、これらのタイミング信号
が出力されたと判定する。そして、マイクロコンピュー
タ31が、この判定回路36からの信号を受信すると、
振動伝達時間をカウンタ33a、33bより読み取り所
定の計算を行なう。計算の結果に基づいて、振動伝達板
8の入力ペン3と振動検出用電極6aの間の距離、並び
に入力点位置座標を算出する。その算出結果は、I/O
ポート37を介して外部情報機器等に座標情報を出力す
る。また、新たに座標入力を行う際は、マイクロコンピ
ュータ31はリセット信号をカウンタ33a、33bに
出力し、カウンタ33a、33bの内容をゼロクリアす
る。
【0025】<振動伝搬時間検出の説明(図7、図8)
>次に、振動伝達板8上における振動伝達時間、すなわ
ち、座標入力面に入力ペン3がタッチされることによっ
て発生する振動が振動センサ6a〜6dがその振動を検
出するまでの時間を計測する原理について説明する。図
7は本実施の形態の振動波形検出回路9に入力される検
出波形と、それに基づく振動伝達時間の計測処理を説明
するための図である。
【0026】尚、ここでは振動検出用電極6a〜6dの
内、振動検出用電極6aを例にして説明する。残りの振
動検出用電極6b〜6dについては、同様なので省略す
る。振動検出用電極6への振動伝達時間の計測は、振動
子駆動回路2へのスタート信号の出力と同時に開始す
る。この時、駆動回路2aから接触子5へは駆動信号4
1が印加されている。この信号41が、接触子5と振動
伝達板8が接触することによって、振動伝達板8に振動
を発生させ、その振動は振動検出用電極6までの距離に
応じた時間をかけて進行した後、振動検出用電極6aで
検出される。図信号42は振動検出用電極6aが検出し
た信号波形を示している。
【0027】尚、本実施の形態で用いられている振動は
上述のとおり板波であるため、検出波形のエンベロープ
421の伝播する速度(群速度Vg)と位相422の伝
播する速度(位相速度Vp)が異なる。従って、振動伝
達板8内での伝播距離に対して検出波形のエンベロープ
421と位相422の関係は振動伝達中に、その伝達距
離に応じて変化する。本実施の形態では、この群速度V
gに基づく群遅延時間Tg、及び位相速度Vpに基づく
位相遅延時間Tpから、入力ペン3と振動検出用電極6
間の距離を検出している。
【0028】図8は本実施形態の信号波形検出回路9の
詳細な構成を示すブロック図である。尚、図面において
は振動検出用電極6aに対する信号波形検出回路9を示
してるが、実際には各振動検出用電極6a〜6dに対応
して4つ存在する。図7とあわせて群遅延時間tg、位
相遅延時間tpを検出する方法について説明する。
【0029】振動検出用電極6aの出力信号42は、前
置増幅回路51により所定のレベルまで増幅される。増
幅された信号は、帯域通過フィルタ511により検出信
号の余分な周波数成分が除かれ、信号44を得る。この
信号44のエンベロープに着目すると、その波形が伝播
する音速は群速度Vgであり、ある特定の波形上の点、
例えばエンベロープのピークやエンベロープの変曲点を
検出すると、群速度Vgに関わる遅延時間tgが得られ
る。
【0030】信号44は、例えば、絶対値回路及び低域
通過フィルタ等により構成されるエンベロープ検出回路
52に入力され、検出信号のエンベロープ信号45のみ
が取り出される。取り出されたエンベロープ信号45に
対して予め設定されている閾値レベル441を越えた後
の一定期間を与えるゲート信号46を、マルチバイブレ
ータ等で構成されたゲート信号発生回路56が形成す
る。
【0031】群速度Vgに関わる群遅延時間tgを検出
するには、先に述べたようにエンベロープのピーク、も
しくは変曲点等を検出すれば良いが、本実施の形態の場
合、エンベロープの最初の変曲点(後述する信号43の
立ち下がりゼロクロス点)を検出している。そこで、エ
ンベロープ検出回路52で出力されたエンベロープ信号
45はエンベロープ変曲点検出回路53に入力され、エ
ンベロープの2回微分波形信号43を得る。そして、マ
ルチバイブレータ等から構成されたtg信号検出回路5
4によって、この2回微分波形信号43をゲート信号4
6によりマスクし、所定波形のエンベロープ遅延時間検
出信号であるtg信号49を形成し、演算制御回路1に
供給する。ここで、信号41の立ち下がりからtg信号
49の立ち上がりまでの時間をtgとする。
【0032】一方、位相速度Vpに関わる位相遅延時間
tpは、位相遅延時間tpを検出するためのゼロクロス
コンパレータ、マルチバイブレータ等で構成されたtp
信号検出回路57より、位相信号44の最初の立ち上が
りのゼロクロス点(位相が負から正へ変化する最初の
点)を検出する。更に、位相信号44をゲート信号46
によりマスクし、位相遅延時間検出信号であるtp信号
47を形成し、演算制御回路1に供給する。ここで、信
号41の立ち下がりからtp信号47までの立ち上がり
までの時間をtpとする。
【0033】<入力ペンと電極間の距離算出の説明(図
9)>このようにして得られた群遅延時間tgと位相遅
延時間tpとから入力ペンと各電極までの距離をそれぞ
れ算出する方法について説明する。図9は本実施の形態
の群遅延時間tg、位相遅延時間tpと入力ペン−振動
検出用電極間距離Lの関係を模式的に示したものであ
る。
【0034】群遅延時間tgと距離Lの関係は、連続的
ではあるものの、線形性には優れない。一方、位相遅延
時間Tpと距離Lの関係は、線形性には優れるものの、
連続的にはならない。連続的とならないのは、群速度V
gと位相速度Vpが異なる板波の性質により起こる。波
の音速(群速度Vg、位相速度Vp)は、これらの関係
より得られ、次の様に定義する。群速度Vgは、群遅延
時間Tpと距離Lの関係からその傾きを1次の最小二乗
法より求めた速度と定義する。また、位相速度Vpは個
々の直線の傾きを1次の最小二乗法より求め、測定距離
範囲内で複数得られるこれらの値を平均化した速度と定
義する。更に、板波の周波数fは、先に定義された位相
速度Vpを用いて、位相遅延時間tpの各直線の切片を
1次の最小二乗法より求め、各直線の間隔を得る。測定
距離範囲内で複数得られるこれらの値を平均化したもの
を波長λと定義し、周波数fを位相速度Vp/波長λと
して定義する。この様に定義した位相速度Vp、群速度
Vg、周波数fを用いて後述する方法により距離計算を
行えば、最も距離測定精度が良くなることが理解され
る。
【0035】ここで具体的に距離計算アルゴリズムにつ
いて説明する。本実施の形態では検出波として板波を用
いており、出力される群遅延時間tgと距離Lの線形性
は良いとは言えない。従って入力ペン3及び振動検出用
電極6の間の距離Lを(1)式に示されるように群遅延
時間tgと群速度Vgの積として求めた場合、精度良く
距離Lを求めることができない。
【0036】 L=Vg・tg …(1) そこで、より高精度な座標決定をするために、線形性の
優れる位相遅延時間tpに基づき(2)式により演算処
理を行う。 L=Vp・tp+N・λp …(2) ここで、λpは弾性波の波長、Nは整数である。つまり
(2)式、右辺第1項は、図9に於て距離L0を示すも
のであり、求めたい距離Lと距離L0の差は図から明ら
かなように波長の整数倍(時間軸上での幅T*は、信号
波形44の1周期、従ってT*=1/周波数(f)、ま
た、距離で表せば幅は波長λp)となっている。従っ
て、整数Nを求めることによって精度良く入力ペン−振
動検出用電極間距離Lを正確に求めることができる。そ
こで前述の(1)式と(2)式から上記の整数Nは、
(3)式により求めることができる。
【0037】 N=INT[(Vg・tg−Vp・tp)/λp+0.5] …(3) この式は群遅延時間tgと距離の関係の線形性が良くな
っても、それによって発生する誤差が±1/2波長以内
であれば、Nを正確に決定することができることを示
す。上記のようにして求めたNを(2)式に代入するこ
とで、入力ペン3及び振動検出用電極6間の距離Lを精
度良く設定することができる。
【0038】ここで信号波形検出回路9によって出力さ
れる振動伝達時間は、位相回路遅延時間etpおよび群
回路遅延時間etgを含む。これらにより生じる誤差
は、入力ペン3から振動伝達板8、振動検出用電極6
a、信号処理と行なわれる一連の動作の際に必ず同じ量
が含まれる。そこで、例えば、図10において、振動検
出用電極6aから既知の距離(以後、この既知の距離を
原点O、既知の距離をRaと定義する)で実測される振
動伝達時間をtg0*、tp0*、また原点Oから電極
まで伝播体上を波が実際伝播するのにかかる伝達時間を
tg0、tp0とすれば、 tg0*=tg0+etg …(4) tp0*=tp0+etp …(5) の関係がある。
【0039】一方、任意の入力点P点での実測値tg
*、tp*は同様に、 tg*=tg+etg …(6) tp*=tp+etp …(7) となる。この(4)式と(6)、(5)式と(7)式の
差を各々求めると、 tg*−tg0*=(tg+et)−(tg0+etg)=tg−tg0 …(8) tp*−tp0*=(tp+etp)−(tp0+etp)=tp−tp0 …(9) となり各伝達時間に含まれる位相回路遅延時間etpお
よび群回路遅延時間etgが除去され、波が振動伝達板
上を伝播する真の伝達時間遅延を求めることができる。
従って、 tg=tg*−tg0* …(10) tp=tp*−tp0* …(11) として(1)、(2)、(3)式を用いて距離を計算
し、その値に振動検出用電極6aから原点O迄の距離R
aを最後に加えることで、入力ペン3と振動検出用電極
6aまでの距離を正確に求めることができる。つまり、
振動検出用電極6aから原点Oまでの距離、並びにその
点で計測される振動伝達時間tg0*、tp0*を予め
不揮発性メモリ等に記憶しておけば、入力ペン3と振動
検出用電極6間の距離を正確に決定できることが示され
る。
【0040】尚、本実施の形態では板波について説明し
たものであるが、他の振動モードを選択した場合、つま
り、群遅延時間tgと距離Lの線形性が優れているよう
な振動モードを選択した場合には、(1)式に示される
ように群遅延時間tgと群速度Vgの積で距離を求めて
も良いことは言うまでもない。 <座標位置算出の説明(図10)>次に実際に入力ペン
3による振動伝達板8上の座標位置検出の原理を説明す
る。
【0041】図10は本実施の形態の座標入力装置によ
る座標位置の算出方法を説明するための図である。図1
0に示されるように、振動伝達板8上の有効領域Aを原
点Oを中心とするXY座標とし、有効領域Aの4隅の座
標S1〜S4に4つの振動検出用電極6a〜6dを固定
すると、先に説明した原理に基づいて、入力ペン3の位
置Pから各々の振動検出用電極6a〜6dの位置までの
直線距離da〜ddを求めることができる。更に演算制
御回路1でこの直線距離da〜ddに基づき、入力ペン
3の位置Pの座標(x,y)を3平方の定理から次式の
ようにして求めることができる。
【0042】また、振動検出用電極6a、6b間の距離
をX、6a、6c間の距離をYとする。 x=(da+db)・(da−db)/2X …(10) y=(da+dc)・(da−dc)/2Y …(11) 以上のようにして入力ペン3が指示する位置の座標をリ
アルタイムで検出することができる。
【0043】また、入力ペン3が指示する位置から3つ
の振動検出用電極6a〜6cまでの距離情報を用いて計
算しているが、本実施の形態では4箇所の電極が設置さ
れているので、残りの電極1個の距離情報を用いて、出
力座標の精度を検証している。検証方法としては、例え
ば、別の組合せの振動検出用電極6b〜6dを用いて座
標を算出し、その結果を比較して、座標位置の精度を確
認することができる。
【0044】更に、用途によっては、例えば、最も入力
ペン−振動検出用電極間距離Lが大きくなる振動検出用
電極の距離情報(距離Lが大きくいと、検出信号レベル
が低下しノイズの影響を受ける確立が大きくなる)を用
いず残りの電極3個、あるいは電極2個(計算式は示さ
れていないが、原理的に容易)で座標を算出することも
実施可能である。この場合、座標を入力することができ
る有効なエリアを大きくすることもできる。もちろん振
動検出用電極の数については、幾何学的には2箇所以上
の振動検出用電極で座標算出が可能であり、製品スペッ
クに応じて振動検出用電極の設置箇所が設定されること
は言うまでもない。
【0045】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、圧電性を有する素材を振動伝達板として構成し、入
力ペンから電圧を印加することによって振動伝達板を振
動させ、その振動を電極位置で電気信号として検出が可
能となるので、従来方式である振動センサ等の圧電素子
を用いた構成に比べ、装置を薄くすることができる。ま
た、入力ペン自体を振動させる必要がなくなるため入力
ペンの構造を簡素化することができ、生産性が向上す
る。更に、振動を利用して振動入力源と振動検出点の距
離を算出して座標を算出する座標入力装置において、振
動を検出するための検出素子の位置決め精度は直接座標
算出精度に影響を与えるので、検出素子の固定位置の位
置精度は厳密に管理する必要があったが、本発明によれ
ば、精度の良い位置決めは不要となるので、従来に比べ
その管理は容易となる。そのため、量産性に優れ低コス
トで、しかも高性能を有する座標入力装置を構成するこ
とができる。
【0046】また、本発明は、『ホストコンピュータ、
インタフェース、プリンタ等の』複数の機器から構成さ
れるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に
適用しても良い。また、本発明はシステム或は装置にプ
ログラムを供給することによって実施される場合にも適
用できることは言うまでもない。この場合、本発明に係
るプログラムを格納した記憶媒体が本発明を構成するこ
とになる。そして、該記憶媒体からそのプログラムをシ
ステム或は装置に読み出すことによって、そのシステム
或は装置が、予め定められた仕方で動作する。
【0047】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、可搬性に優れかつ低コストで製造可能な座
標入力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の座標入力装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図2】(a)は振動伝達板8の一部の第1の構成を示
す外観斜視図であり、(b)は矢印A1方向からの矢視
図である。
【図3】(a)は振動伝達板8の一部の第2の構成を示
す外観斜視図であり、(b)は矢印B方向からの矢視図
である。
【図4】(a)は振動伝達板8の一部の第3の構成を示
す外観斜視図であり、(b)は矢印C方向からの矢視図
である。
【図5】(a)は振動伝達板8の一部の第4の構成を示
す外観斜視図であり、(b)は矢印D方向からの矢視図
である。
【図6】本実施の形態の演算制御回路1の詳細な構成を
示すブロック図である。
【図7】本実施の形態の振動波形検出回路9に入力され
る検出波形と、それに基づく振動伝達時間の計測処理を
説明するための図である。
【図8】本実施形態の信号波形検出回路9の詳細な構成
を示すブロック図である。
【図9】本実施の形態の群遅延時間tg、位相遅延時間
tpと入力ペン−振動検出用電極間距離Lの関係を模式
的に示したものである。
【図10】本実施の形態の座標入力装置による座標位置
の算出方法を説明するための図である。
【図11】従来の座標入力装置の構成を示すブロック図
である。
【符号の説明】
1 演算制御回路 2 振動子駆動回路 2a 駆動回路 3 入力ペン 4 振動子 5 接触子 6a〜6d 振動検出用電極 7 防振材 8 振動伝達板 9 信号波形検出回路
フロントページの続き (72)発明者 田中 淳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 柳沢 亮三 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 佐藤 肇 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力ペンによって座標を入力する座標入
    力装置であって、 座標入力領域を含む第1の面と該第1の面に対向する第
    2の面を有する圧電性を有する振動伝達板と、 前記入力ペンを前記座標入力領域の所望の位置に接触さ
    せることで前記振動伝達板に電圧を印加する印加手段
    と、 前記電圧によって発生する振動を、前記座標入力領域外
    に配される電極位置で電気信号として検出する検出手段
    とを備えることを特徴とする座標入力装置。
  2. 【請求項2】 前記検出手段のそれぞれに到達する時間
    を算出する第1算出手段と、 前記第1算出手段で算出される各時間に基づいて、前記
    入力ペンが接触する位置を算出する第2算出手段と、 前記第2算出手段で算出される位置を出力する出力手段
    と更に備えることを特徴とする請求項1に記載の座標入
    力装置。
  3. 【請求項3】 前記入力ペンは、グランドに接地されて
    いることを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  4. 【請求項4】 前記座標入力領域は、網目上の電極を有
    することを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  5. 【請求項5】 前記第2の面は、前記座標入力領域と対
    向する位置に少なくとも該座標入力領域と同じ大きさの
    電極を有することを特徴とする請求項1に記載の座標入
    力装置。
  6. 【請求項6】 前記第2の面の電極は、グランドに接地
    されていることを特徴とする請求項5に記載の座標入力
    装置。
  7. 【請求項7】 前記振動伝達板は、圧電性セラミックス
    からなる振動伝達板であることを特徴とする請求項1に
    記載の座標入力装置。
  8. 【請求項8】 前記振動伝達板は、少なくともPZT、
    ZnO、PLZT、PVDFのいずれかを含むことを特
    徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
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