JPH097224A - 記録用部材とこれを用いた記録方法及び記録装置 - Google Patents

記録用部材とこれを用いた記録方法及び記録装置

Info

Publication number
JPH097224A
JPH097224A JP7158243A JP15824395A JPH097224A JP H097224 A JPH097224 A JP H097224A JP 7158243 A JP7158243 A JP 7158243A JP 15824395 A JP15824395 A JP 15824395A JP H097224 A JPH097224 A JP H097224A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
film
waveform
power level
recording film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7158243A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Miyauchi
靖 宮内
Motoyasu Terao
元康 寺尾
Tetsuya Nishida
哲也 西田
朱美 ▲廣▼常
Akemi Hirotsune
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd, Hitachi Maxell Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP7158243A priority Critical patent/JPH097224A/ja
Publication of JPH097224A publication Critical patent/JPH097224A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】エネルギービームの照射により、情報の記録お
よび書き換えを行うに際し、同一場所での反射率が多段
階的に変化し、しかも各記録層ともにほぼ同一形状の記
録マークを形成することができる多層化された記録用部
材を用いて再現性の良好な多値記録を確実に行うこと。 【構成】融解後の再結晶化時間が異なる相変化記録膜
(A)4、(B)6および(C)8を、誘電体層5、7
を挟んで多層化して記録用部材を構成する。この記録用
部材を用いて記録及び書き換えを行なうに際して、記録
波形としては、記録膜全体が融解し得るパワーレベル
で、しかもこの記録パルス直後に立ち下げるパワーレベ
ルか、立ち下げ後に低パワーレベルに保持する時間のい
ずれか、もしくは両者を記録する情報信号に応じて変化
する記録波形を用いる。これによって同一場所に、記録
波形に基づいた再現性の良い多値記録が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光等のエネルギ
ービームを記録用ビームとして使用する記録用部材と、
この記録用部材を使用した記録方法および記録装置に係
り、特に、記録膜を多層にして同一場所に多値の記録を
行うのに好適な記録用部材と、この記録用部材を使用し
た記録方法および記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、記録用ビームとして、例
えばレーザ光や荷電粒子線等のエネルギービームによっ
て、映像や音声などのアナログ信号をFM変調したもの
や、電子計算機のデータや、ファクシミリ信号やディジ
タルオーディオ信号などのディジタル情報を、リアルタ
イムで記録することが可能な情報の記録方法及び記録用
部材が各種提案され実用化されている。以下、レーザビ
ームを用いて情報記録を行う光デスクの場合を代表例と
して説明する。
【0003】近年、情報も多種多様化し、ユーザが情報
を記録または情報を書き換えることができる光ディスク
の要求が高まってきた。また、情報量も増大し、大容量
の光ディスクが必要になってきた。
【0004】この高密度化に対処する一つの方法とし
て、例えば特開昭62−250529号公報に記載のよ
うに、融点が異なる物質を何種類か含んだ単層の記録膜
を用いたり、融点が異なる記録膜をレーザビームの入射
側から融点の低いものから高いものの順に、SiO2
等の保護膜を介して多層化し、かつ記録時のエネルギー
レベルを、記録膜を構成する物質の融点に対応させて選
択することにより、結晶質状態から非晶質状態に段階的
に変化させて、同一場所に多値記録を行う試みが行われ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術におい
て、融点の異なる物質を何種類か含んだ単層記録膜を用
いた場合には、多数回の書き換えを繰り返すうちに融点
の異なる物質同志の結合の組み替えが偏析を起こして、
それぞれの物質の融点が変化することにより記録特性が
変わり、信頼性を著しく低下させるという問題があっ
た。
【0006】また、融点が異なる記録膜を多層化した場
合には、保護膜を介して各記録膜が積層されているため
書き換え操作によって状態変化を繰り返しても、それぞ
れの物質の融点が変化すると云う問題は解消されるが、
融点が異なる各記録膜の記録・消去特性を揃えることは
極めて難しい。このような特性不揃いのため、例えば記
録されたマーク(ピット)の形状、大きさを各記録膜ご
とに揃えることが難しく、多値記録のメリットを実用化
レベルまで発揮させることが困難であった。
【0007】さらにまた、この種の融点の異なる多層膜
を形成するためには、それぞれの記録膜を構成する材料
が異なるため、成膜装置も複雑化する。例えば記録膜の
積層数分に近い成膜室(スパッタ成膜室など)が必要に
なってくる。
【0008】したがって、本発明の目的は、上記従来技
術の問題点を解消することにあり、第1の目的は、繰り
返し書き換えても信頼性が高い多値記録を可能とする記
録膜を多層化した改良された記録用部材を、第2の目的
は、この記録用部材を使用した新規な記録方法を、そし
て第3の目的は、この記録方法を実現するための新規な
記録装置を、それぞれ提供することにある。
【0009】さらに具体的には、安価で高速記録・再生
が可能であり、記録および書き換えを多数回数繰り返し
ても信頼性が高く、特に記録膜を多層にして同一場所に
多値記録するのに好適な記録用部材、それを用いた記録
方法および記録装置をそれぞれ提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、記録
すべき情報に基づくエネルギービームの照射によって、
多層記録膜に多値記録を行う記録用部材であって、前記
多層記録膜を、融解後の冷却中に非晶質状態から結晶質
状態に変化するまでの再結晶化時間が異なる記録膜同士
を、誘電体層を介して積層した多層膜で構成して成る記
録用部材によって、達成される。
【0011】ここで、再結晶化時間とは、記録膜固有の
特性で、エネルギービームの照射によって記録膜が融解
した後、その冷却過程において非晶質状態から結晶質状
態に変化(転移)するのに要する時間のことであり、再
結晶化時間が異なる記録膜とは、記録時における融解後
の冷却速度によって冷却後の結晶状態が異なる記録膜の
ことである。したがって、再結晶化時間がそれぞれ異な
る記録膜が積層された多層記録膜を、記録によって融解
した後、種々の冷却速度で冷却すれば、記録膜の層数に
対応して記録や書き換えによる多値記録を行うことがで
きる。
【0012】多層化する各記録膜は、材質として再結晶
化時間が異なるものであればよいので周知の記録膜から
種々選択できる。互いに構成元素が異なることで組成が
異なっていてもよいが、成膜工程の上からは同一元素系
で原子の組成比が異なる記録膜で構成するのが好まし
く、スパッタ成膜法、CVD成膜法、真空蒸着法等で容
易に原子比を制御できることから安価な記録部材が得ら
れる。
【0013】このような記録膜として例えば、すべてG
e−Sb−Te系記録膜を用いた場合には、Sbの含有
量を記録膜ごとに変化させることにより再結晶化時間を
容易に変えることができる。Sbの含有量の制御は、ス
パッタ条件を変化させるだけで容易であることから、同
一のスパッタ装置内でそれぞれの記録膜を形成すること
ができる。このように記録膜を構成している元素は実質
的に同じで、組成比だけが異なる方が好ましい(含有量
10at%以下の元素については異なっていてもよ
い)。
【0014】また、エネルギービームの入射側に近い記
録膜の光透過率が低い場合には、ビーム進行方向の奥側
の記録膜まで光が届かない可能性があるため、入射側に
近い記録膜の光透過率を高くする必要がある。奥側の記
録膜の光透過率は低くても良い。これを実現する記録膜
としては、例えば、GeTe記録膜にGeSeを添加し
た(GeTe)1-x(GeSe)x:(0≦X≦0.4)
で表せる組成のもの、およびこの組成の少なくとも2元
素の含有量が±10%以内変化したもの、および上記組
成に他の元素が全原子数の10%以下加わったものなど
がある(Se量が多い方が光透過率は高い)。
【0015】また、各記録膜の融点が互いに近いもので
あれば、記録時のパワーレベルの設定が容易であること
から、必要最小限の一定のパワーレベルで多層記録膜全
体を融解できるので好ましい。Ag−In−Sb−Te
系記録膜の膜組成を変化させた場合においても同様の効
果が得られている。
【0016】このような多層記録膜は、光学的に透明な
基板上に、直接、もしくは保護層を介して記録膜と誘電
体層とを交互に積層して形成される。保護膜は、無機物
および有機物のうち少なくとも一者からなり、上記の誘
電体層と同一物で構成することができる。
【0017】記録膜間に介在させる誘電体層は、各記録
膜間を隔絶するものであり、書き換えを頻繁に繰り返し
ても記録膜同士の溶融結合による組成変化や膜変形およ
び最適記録パワーの上昇による記録感度低下などの影響
が少なく、常に安定した記録特性が維持できるので好ま
しいものである。この種の誘電体層としては、例えばS
iO2単独層、ZnSとSiO2との混合層等が挙げられ
る。
【0018】また、誘電体層の膜厚については、薄すぎ
ると記録膜同士の溶融結合による組成変化や膜変形に対
する効果が不十分であり、厚すぎると記録感度低下など
の影響が無視できないことから、通常10〜200nm
程度であるが、実用的に好ましくは20〜100nmで
ある。記録膜間に介挿して多層化する際の各誘電体層の
膜厚は同じでなくても良い。
【0019】また、エネルギービームの入射側に最も近
い記録膜よりもさらにエネルギービーム入射側、つまり
基板と最初の記録膜との間に反射光の制御膜として例え
ば、Au−Ag系合金層のごとき透光性の薄い金属層を
設けると、記録情報を読み出す際にトータルの反射率を
高くすることができ、トラッキングの安定性や信号電圧
を大きく取ることができ好ましい。
【0020】また、少なくともエネルギービームの入射
側に一番近い記録膜は、記録しても反射率はほとんど変
化せず、反射率の位相が変化する位相差型の記録膜とす
る方が好ましい。こうすることにより、記録時の反射率
及び透過率が変化しないので、確実に記録が行える。
【0021】また、記録膜中に不純物として含まれるア
ルカリ金属元素は1at%以下であることが望ましい。
これにより、記録マークが結晶化して消えることが起こ
りにくい。これは、本発明の多層・多値記録用光ディス
クに限らず、一般の相変化光ディスクにとって重要であ
る。
【0022】さらに、保護層あるいは反射層中に含まれ
るAr含有量が5at%以下であることが望ましい。こ
れにより、多数回記録書き換えによってボイド(気泡)
が記録膜中に発生することが起こりにくくなる。これ
は、本発明の多層・多値記録用光ディスク(本発明の代
表的な記録用部材は、光ディスクである)に限らず、一
般の相変化光ディスクにとっても重要である。Arは、
スパッタリングによる成膜工程の雰囲気から成膜中に取
り込まれるので、例えばプラズマ生成雰囲気中に供給す
るArガス量を調整するなどの方法によりAr含有量を
制御すればよい。
【0023】上記第2の目的は、上記の記録用部材を用
いて、記録すべき情報に基づくエネルギービームを上記
多層記録膜に照射して多値記録を行う記録方法であっ
て、エネルギービームによる記録波形のパワーレベルを
いずれの記録膜をも融解し得る所定のレベルに設定する
と共に、融解後の冷却速度を記録符号に対応させて選択
することにより、各記録膜の固有の再結晶化時間と選択
された冷却速度に基づく冷却時間との組み合わせによ
り、冷却後の記録膜の状態変化を記録情報とする記録方
法によって、達成される。
【0024】そして、記録や書き換えに用いる記録波形
の中で少なくとも1つの記録符号に対応する記録波形
は、記録パルス直後に消去パワーレベルよりも低いパワ
ーレベルへ立ち下げる(以後、立ち下げパルスと呼ぶ)
記録波形を用いることにより、同一場所での反射率を多
段階的に変化させ、多値記録を行うことができるもので
ある。
【0025】この場合、記録波形は、少なくとも記録パ
ルス直後に消去パワーレベルよりも低いパワーレベルへ
立ち下げた時のパワーレベルを、記録すべき情報信号に
対応して記録パルス毎に変化させたり、記録パルス直後
に消去パワーレベルよりも低いパワーレベルへ立ち下げ
た時に、記録すべき情報信号に対応してその低いパワー
レベルに維持する時間(以後、立ち下げ幅という)を記
録パルス毎に変化させたりして、確実に多値記録を行
う。
【0026】また、用いる記録部材の記録膜の中で少な
くとも1層の記録膜の記録時における融解後の再結晶化
時間を、記録時の融点から結晶化温度まで下がるまでの
時間(以後、冷却時間と呼ぶ)よりも短くすることによ
り、それぞれの記録膜の融解後の再結晶化時間と記録時
の記録パルスに対応する冷却時間との組合せより、トー
タルの反射率を変化させることができる。
【0027】例えば、レーザビームのようなエネルギー
ビームの入射側から順次融解後の再結晶化時間が長い記
録膜を誘電体層を挟んで積層し、この記録用部材に記録
パルスの記録パルス幅あるいは立ち下げ幅のどちらか、
または両方を変化させて冷却時間を変えることにより、
エネルギービームの入射側からの記録膜の結晶化する層
の数を変えればよい。
【0028】この時、記録パワーレベルを一定にし、記
録波形の記録パルス幅と立ち下げ幅の和を一定にすれ
ば、簡単な記録波形で確実な各層への記録が行え好まし
いが、記録パルス幅を一定にして立ち下げ幅などを変化
させても同様な効果がある。
【0029】また、特に立ち下げ幅が狭い時には、記録
膜の温度が下がり過ぎずに再結晶化し易い温度に長く保
たれるようにするため、立ち下げパルスの後に一旦消去
パワーパワーレベルよりも高いパワーレベルに一定時間
保ったり、あるいは立ち下げパルスの後に消去パワーレ
ベルに一定時間保った後、消去パワーパワーレベルより
も高いパワーレベルに一定時間保ったりしてもよい。ま
た、再結晶化した後の記録マークは完全な結晶質状態で
ある必要はなく、例えば、記録マークの中央部が非晶質
状態であっても反射率差が生じさえすれば問題はない。
【0030】本発明で用いる記録方法としては、連続サ
ーボ方式およびサンプルサーボ方式のどちらの方法でも
可能だが、既存の情報の影響を受けずに新しい情報を確
実に記録するには、同じ場所にレーザを照射するサンプ
ルサーブ方式の方が望ましい。
【0031】また、上記第3の目的は、上記の冷却速度
によって冷却後の状態が異なる記録膜を多層化した記録
用部材と、この記録用部材を回転あるいは移動させる手
段と、レーザ光源と、レーザ光源からのレーザ光を記録
用部材上に集光する手段と、記録すべき信号を変調符号
に変換する信号変調手段と、入ってきた変調符号と記録
パルス直後のパワー変化が異なる複数の記録波形に対応
する記録符号との変換テーブルを予め記憶している記憶
手段と、その記憶手段の出力に応じて記録符号に対応し
た記録波形を発生させる記録波形生成手段と、記録波形
によってレーザ光源を駆動するレーザ駆動手段と、記録
用部材から反射されたレーザ光を電気信号に変換する手
段と、電気信号を多値波形に整形する多値化手段と、多
値波形を2値波形変換する多値−2値変換手段と、2値
信号を復号して情報の信号とする手段とを有する記録装
置によって実現できる。
【0032】さらに、上記記録波形生成手段として、少
なくとも1つの記録波形は記録パルス直後に消去パワー
レベルよりも低いパワーレベルへ下げるものとし、上記
多値化手段は同一場所で反射率が多段階的に変化するこ
とにより強度が変動する再生電気信号を階段状多値波形
に変換するものであり、さらに、多値波形を2値波形に
変換する上記多値−2値変換手段を少なくとも有してい
る。
【0033】この時必要に応じて、記録波形生成手段
が、少なくとも記録パルス直後に消去パワーレベルより
も低いパワーレベルへ下げた時のパワーレベルを、記録
すべき情報信号に対応して変化させたり、また少なくと
も記録パルス直後に消去パワーレベルよりも低いパワー
レベルへ下げた時に、記録すべき情報信号に対応してそ
の低いパワーレベルに維持する時間を変化させたりして
いる。
【0034】ディスクの直径を3.5インチ以下とする
と装置やディスクが持ち運び容易となり、面積が小さく
なって記憶容量が低下する分は、ディスクの基板厚さを
0.3〜0.5mmの超薄型ディスクとすることにより、
集光レンズの開口数(NA)を大きくできるので記録単
位面積を小さくでき大容量の情報が記録できる。このよ
うな小型、超薄型ディスクとすることは、本発明の多層
・多値記録用光ディスクに限らず、一般の相変化光ディ
スクにとって重要である。
【0035】
【作用】本発明の再結晶化時間の異なる記録膜を多層化
した記録用部材は、従来の融点の異なる記録膜を多層化
したものと原理的に異なる。すなわち、隣接する記録膜
間に再結晶化時間の差をもたせた記録膜の多層化構造と
することによって、各層ともに、ほぼ同一形状の記録マ
ークを形成することができるため、情報の読み出しが容
易となる。
【0036】すなわち、本発明では、記録時あるいは書
き換え時に、昇温後の冷却速度が多種類となるように記
録すべき情報信号に対応させて記録波形を任意に選ぶ。
また、用いる記録膜の融解後の再結晶化時間を層ごとに
変化させ、例えばレーザビームの入射側から奥側に向か
って再結晶化時間が長くなるように記録膜を形成してい
ることにより、同一場所に多値の記録を行う。
【0037】これにより、記録膜全体が融点以上の温度
になるような記録パワーで記録を行うと、その後の冷却
時間よりも記録膜の融解後の再結晶化時間が短い記録膜
はその間に再結晶化が起こる。例えば、記録膜が3層で
互いに組成が異なり、レーザビームの入射側に近い記録
膜からそれぞれの再結晶化時間が50ns、100n
s、200nsで、記録パルスを照射した場合の冷却時
間が150nsの場合には、レーザビームの入射側から
2層目までの記録膜の記録パルスで融解した部分は、冷
却中に再結晶化して結晶状態になる(この時、3層目は
冷却時間の方が再結晶化時間よりも短いため非晶質状態
の部分が残る)。
【0038】ここで、冷却時間は記録波形を変化させる
ことにより変化する。特に、記録パルス直後に消去パワ
ーレベルよりも低いパワーレベルへ下げる記録波形を用
い、この記録パルス直後に消去パワーレベルよりも低い
パワーレベルへ下げた時のパワーレベルを、記録すべき
情報信号に対応して変化させたり、記録パルス直後に消
去パワーレベルよりも低いパワーレベルへ下げた時に、
記録すべき情報信号に対応してその低いパワーレベルに
維持する時間を変化させたりすると効果が大きい。
【0039】このようにして各層の記録膜の再結晶化時
間と記録時の記録パルスに対応する冷却時間との組合せ
より、非晶質化した層数に対応した複数種の反射率を得
ることができ、多値記録が実現する。
【0040】本発明で用いる記録用部材において、それ
ぞれの記録膜と記録膜との間の誘電体層の膜厚を10〜
200nmとすること(特に、20〜100nmが好ま
しい)により、記録時の記録膜同士の溶融混合による組
成変化や膜変形および記録感度低下などの影響が少なく
なる。
【0041】また、各層に用いる記録膜は実質的に同一
の構成元素を用い(含有量10at%以下の元素につい
ては異なっていてもよい)、その各元素の組成比の違い
により再結晶化時間を変化させると同一のスパッタ装置
内でそれぞれの記録膜を形成することができる。例えば
書き換え特性の良好なGe−Sb−Te系を用いた場合
には、Ge2Sb2Te5組成のターゲットとSbのター
ゲットの2種類のターゲットを同一スパッタ室内に配置
し、Sbターゲットのスパッタパワーを変化させれば、
各記録膜中のSb量が変えられる(Sb量が多く含まれ
るほど記録膜の再結晶化時間は遅くなっていく)。この
ように多層記録膜を構成する元素が同一の場合は、同一
のスパッタ室内で各記録膜の成膜工程が行ないるので工
程を単純化できるという効果がある。
【0042】また、各記録膜の融点を互いに近いものと
すれば、記録時のパワーレベルの設定が容易であること
から、必要最小限の一定のパワーレベルで多層記録膜全
体を融解でき、記録波形を単純なものとすることができ
好ましい(同一温度であればさらに好ましい)。
【0043】また、エネルギービームの入射側に近い記
録膜の光透過率が低い場合には、奥側の記録膜まで光が
届かない可能性があるため、入射側に近い記録膜の光透
過率を高くし、奥側の記録膜の吸収率を段階的に高くす
る。これを実現する記録膜としては、例えば、GeTe
とGeSeとを所定の比率で混合したGe−Te−Se
系記録膜を用いる。この系ではSe量が多い程、光透過
率が高くなるため、エネルギービームの入射側の記録膜
ほどGeSeの比率を高くすれば良い。これにより、入
射側に近い記録膜では光をあまり吸収しないで透過し、
一番奥側の記録膜で光を多く吸収し、その熱で手前側の
記録膜が非晶質化する。
【0044】また、少なくともエネルギービームの入射
側に一番近い記録膜を位相差型とすることにより、記録
時の反射率及び透過率が変化しないので、確実に記録が
行える。
【0045】また、アルカリ金属元素は、記録膜の結晶
化を促進する可能性がある。もし、記録マーク中にアル
カリ金属元素が存在すると、時間が経つうちに記録マー
クが結晶化し情報が消えて問題となる。従って、用いる
記録膜中に含まれるアルカリ金属元素は1at%以下で
あることが望ましい。
【0046】さらに、保護層中に含まれるAr原子が、
多数回の記録書き換えによって記録膜中にしみだし、ボ
イドが形成されるのを防ぐために、保護層中に含まれる
Ar含有量が5at%以下であることが望ましい。同様
な理由で反射層中に含まれるAr含有量も5at%以下
であればさらに好ましい。
【0047】本発明で用いる記録方法としては、同じ場
所にレーザ光を照射するサンプルサーボ方式の方が望ま
しい。すなわち、書き換える度にレーザ光の照射領域が
ランダムにシフトする連続サーボ方式では、場合によっ
ては書き換える前の情報の影響を受けて再生信号波形の
ジッターが上昇する可能性があるが、同じ場所にレーザ
光照射を行うサンプルサーボ方式では、確実に情報の書
き換えが行える。
【0048】本発明は、結晶−非晶質間の変化によって
情報の記録を行う記録膜を用いる場合について主として
述べているが、冷却速度によって冷却後の状態が異なる
他の記録膜、あるいは、相変化記録膜とこれらとの層毎
の、あるいは同一層内での組み合わせを用いた記録用部
材(ディスク)としても良い。
【0049】冷却速度によって冷却後の状態が異なる他
の記録膜としては、サーモクロミック材料、フォトクロ
ミック材料などがある。光磁気記録膜でも、組成や基板
表面平坦度のために磁壁が移動し易いものであれば使用
可能である。相変化記録膜以外では、層間の誘電体層を
省略することもできる。また、本発明はディスク状のみ
ならず、カード状などの他の形態の記録用部材にも適用
可能である。
【0050】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面にしたがって
詳細に説明する。 〈実施例1〉 (1)記録用部材の構成例 図1は、記録用部材の代表例となる光ディスクの断面構
造図を示したものである。この例では、記録膜を3層に
したディスクの場合について説明する。以下、ディスク
の構成を製造工程と共に説明する。
【0051】先ず、直径3.5インチ、厚さ0.6mmの
サンプルサーボ用ポリカーボネイト基板1上に、マグネ
トロンスパッタ法によって、Au−Ag系合金層2を厚
さ約10nmに形成した。この合金層2は、反射光を制
御する金属層となるものである。次に、保護膜3として
厚さ約125nmのZnS−SiO2誘電体層を形成し
た。
【0052】次にZnS−SiO2誘電体層3上にGe2
Sb2Te5をターゲットとしてスパッタ法によりGe22
Sb22Te56組成の記録膜4(以後、記録膜Aと呼ぶ)
を約15nmの厚さに形成した。この上にZnS−Si
2誘電体層5を約30nmの膜厚に形成した。更に、
この上にGe2Sb2Te5ターゲットとSbターゲット
の同時スパッタ法によりGe21Sb26Te53組成の記録
膜6(以後、記録膜Bと呼ぶ)を約15nmの厚さに形
成した。
【0053】更に、この上にZnS−SiO2誘電体層
7を約30nmの膜厚に形成した。そして、ZnS−S
iO2誘電体層7上にGe2Sb2Te5ターゲットとSb
ターゲットの同時スパッタ法によりGe20Sb29Te51
組成の記録膜8(以後、記録膜Cと呼ぶ)を約15nm
の厚さに形成した。
【0054】更に、この上に保護膜としてZnS−Si
2誘電体層9を約100nmの膜厚に形成した後、A
l合金反射層10を約50nm形成した。これらの成膜
工程は同一のスパッタリング装置内で順次行った。
【0055】その後、この反射層10上に紫外線硬化樹
脂層11を塗布した後、ホットメルト接着剤12で基板
と同材質のポリカーボネイト製保護板13との密着張り
合わせを行った。なお、この記録用部材は片面記録の構
造例を説明しているが、両面記録構造とすることもで
き、その場合は保護板13を形成せずに、その前の段階
で得られた2枚の部材を、互いに成膜構造が対称となる
ように接着剤12で張り合わせることによって容易に製
造できる。
【0056】表1は、各層の記録膜の融解後の再結晶化
時間を示したものである。
【0057】
【表1】
【0058】(2)記録方法の例 このようにして製造したディスクに、図2に示したよう
な3種類の記録波形でピットポジション記録方式で記録
を行った(書き換え時も同様な波形)。すなわち、記録
すべき情報信号に応じてこれら3種類の記録波形を組み
合わせたパルス列となる。このような複数の記録波形を
用いることによって、冷却速度の違いによる冷却後の状
態を種々変えることができる。
【0059】ここで、各記録波形は、記録パワーレベル
から一旦消去パワーレベルよりも低いパワーレベルまで
立ち下げている。その立ち下げたパワーレベルの値を3
種類の記録波形毎に変化させ、記録時の冷却時間を制御
している。表2は、各記録波形(I、II、III)の冷却
時間を示したものである。この冷却時間と各層の記録膜
の再結晶化時間との組合せにより、多値記録が可能とな
る。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】すなわち、表3に示したように記録波形I
で記録を行った場合の冷却時間は、50ns(表2参
照)であり、記録膜A、記録膜B、記録膜Cのいずれの
再結晶化時間よりも短いため急冷されて、3層とも照射
部分が非晶質状態(●印)となる。記録波形II(冷却時
間80ns、表2参照)で記録を行った場合には、記録
膜Aのみが冷却中に再結晶化し(○印、結晶化状態)、
その他の2層は非晶質状態となる。
【0063】更に記録波形III(冷却時間120ns、表
2参照)で記録を行った場合には、記録膜Aと記録膜B
が結晶状態となり、記録膜Cのみが非晶質状態となる。
そして、一度も記録を行っていない状態、あるいは消去
レベルでのレーザ光照射を行った消去後では3層とも結
晶化状態(○印、表3参照)である。この4種類の反射
率で、従来の記録膜が1層の場合に比べて、2倍の情報
を得ることができた。
【0064】なお、表2の記録波形の具体例を示すと以
下の通りである。レーザビーム照射による記録のパワー
レベルは14mW、消去レベルは7mW、再生レベルは
1mW、記録パルスの幅および立ち下げパルスの幅はい
ずれも45nsであり、立ち下げパルスのパワーレベル
は、記録波形Iの場合1mW、IIの場合3mW、IIIの
場合5mWと段階的に変化させた。これにより、同一場
所について1万回の書き換え記録を行っても各記録膜と
もにほぼ同一形状の記録マークを形成することができ
た。このように、多層記録膜の少なくとも1層の記録膜
の融解後の再結晶化時間が記録時の融点から結晶化温度
まで下がるまでの冷却時間よりも短い記録膜で構成すれ
ばよい。
【0065】図3は、他の記録波形の例を示したもので
ある。ここでは、記録パワーレベル及び、立ち下げパル
スのパワーレベルを一定とし、立ち下げパルスの幅を変
化させた例を示している。この時、この図のように記録
パルス幅を一定にして立ち下げパルス幅のみ変化させて
もよいが、記録パルス幅と立ち下げパルス幅との和を一
定にしてもよい。記録パルス幅を一定にした方が確実に
記録が行える点では好ましい。
【0066】また、記録波形IIIのように立ち下げパル
ス幅が狭いときに、記録膜の温度が下がり過ぎないよう
にしてさらに再結晶化を確実にするため、立ち下げパル
スの後に消去パワーレベルに一定時間保った後、消去パ
ワーパワーレベルよりも高いパワーレベルに一定時間保
ったり、図4(a)に示したように、立ち下げパルスの
後に一旦消去パワーパワーレベルよりも高いパワーレベ
ルに一定時間保ったり、あるいは図4(b)に示したよ
うに、立ち下げパルス無しで消去パワーパワーレベルよ
りも高いパワーレベルに一定時間保ったりすればよい。
ここでの消去パワーレベルよりも高いパワーレベルは必
ずしも記録パワーレベルと同じである必要はない。
【0067】また、本実施例で用いた各記録膜のように
融点の差が40℃以内であれば記録時のパワーレベルの
設定が容易であることから、必要最小限の一定のパワー
レベルで多層記録膜全体を融解できるので好ましい。
【0068】このように、記録パルス幅や立ち下げパル
ス幅及び各パワーレベルなど(エネルギー量)を制御
し、記録パルス毎に冷却時間を変えられる記録波形であ
れば、他の形状でも同様な効果が得られる。
【0069】本発明では、場合によっては再結晶化後の
記録マークは完全な結晶状態である必要はなく、例え
ば、記録マークの中央部が僅かに非晶質状態に近い状態
となっていても差し支えない。
【0070】(3)誘電体層の膜厚と記録特性について 次に、それぞれの記録膜と記録膜との間の誘電体層の膜
厚の異なる種々のディスクを作製し、それぞれのディス
クの記録感度および書き換えによるノイズ変化を調べ
た。その結果、記録膜と記録膜との間の誘電体層の膜厚
が10nmよりも薄いディスクは、書き換え1万回後
で、5dB以上のノイズ上昇が見受けられた。20nm
以上であればノイズ上昇はほとんどなかった。
【0071】また、それぞれの記録膜と記録膜との間の
誘電体層の膜厚が200nm以上のディスクは記録パワ
ーを20mWと大きくしても光入射側から遠い記録層に
形成される記録マークが小さく、変調度〔=(結晶状態
の反射率−非晶質状態の反射率)/(結晶状態の反射
率)〕が小さかった。誘電体層の膜厚を100nm以下
とすることにより最適記録パワーは15mW以下となり
記録感度は向上した。
【0072】以上のように、記録膜と記録膜との間の誘
電体層の膜厚を、10nm〜200nmとすることによ
り、記録時の記録膜同志の溶融混合による組成変化や膜
変形および最適記録パワーの低下による記録感度低下な
どの影響が少なく好ましい。特に誘電体層の膜厚は20
nm〜100nmが好ましい。各誘電体層の膜厚は上記
の範囲内にあれば、相互に同じでなくても良いことが確
認された。
【0073】(4)記録膜の構成について 本実施例のように、記録膜を構成している元素は実質的
に同じにして(含有量10at%以下の元素については
異なっていてもよい)、少なくとも記録膜中の各元素の
組成比を変化させることにより再結晶化時間を変えた方
が、同一のスパッタ装置内でそれぞれの記録膜を形成す
ることができるので好ましい。
【0074】また、本実施例では、Ge−Sb−Te系
記録膜のSbの含有量を変化させることにより結晶化時
間を変えたが、Ge−Sb−Te系記録膜以外の相変化
記録膜でも使用可能なものがある。特に、記録層数が多
いとエネルギービームの入射側に近い記録膜の透過率が
低い場合には、奥側の記録膜まで光が届かない可能性が
あるため、各記録膜の光透過率を高くするか、入射側の
記録膜の光透過率を高くする。奥側の記録膜の光透過率
は低くても良い。
【0075】これを実現する記録膜として、組成が(G
eTe)1-X(GeSe)X:(0≦X≦0.4)の記録
膜が有効であった。この時、Se量が多い方が光透過率
が高いので、各記録層をSeを20原子%以上を含む組
成にするか、光入射側の記録膜ほどSe含有量を多くし
た。
【0076】以上の結果、記録膜の各層の再結晶化時間
を変化させるために記録膜の組成比が異なるだけで構成
元素が同一の場合には、同一スパッタリング室が使用で
きることから成膜工程が単純となり、元素の異なる記録
膜を用いて層数に対応した数だけスパッタリング室を用
いる必要はなく、安価に記録用部材を作製することがで
きた。
【0077】また、少なくともエネルギービームの入射
側に一番近い記録膜は位相差型とした方が個々の層の反
射率及び透過率が情報信号によって変化しないので、複
数層に確実に記録が行えるので好ましい。
【0078】また、用いる記録膜中に含まれるアルカリ
金属元素を1at%以下とすることにより、記録マーク
が結晶化して消えることが起こりにくくなった。更に、
保護層、あるいは反射層中に含まれるAr含有量を5a
t%以下とすることにより、Arによる記録膜酸化など
が抑制され、信頼性の高いディスクが可能となった。
【0079】〈実施例2〉図5は、本発明の記録装置の
一実施例を示したブロック構成図であり、具体的には記
録再生装置における記録再生系の構成図の一例を示した
ものである。以下、この図にしたがって装置構成および
動作について順次説明する。
【0080】先ず、記録時は、記録すべき原信号(情
報)を変調器14に入力して、使用する変調符号に変換
する。そして、この変調符号と、表4に示したような、
記録パルス直後のパワー変化が異なる複数の記録波形
(I、II、III)に対応した記録符号との変換テーブル1
5により、目的の記録符号に対応した記録波形で記録を
行う。ここで、記録符号の「0」は消去パワーレベルの
レーザ光照射を意味している。
【0081】すなわち、変換テーブル15により記録符
号に対応した記録波形を記録波形生成器16により生成
し、種々のパワーの記録パルス信号として出力される。
そしてこの記録パルス信号に従ってレーザ駆動器17が
半導体レーザ18の駆動電流を変調して、光学ヘッド1
9を通って、回転しているディスク20上にレーザ光を
集光して照射し、記録マークを形成する。
【0082】再生時は、ディスク20の目的のアドレス
から反射されたレーザ光が受光器21に取り込まれ電気
信号に変換される。そしてこの電気信号は再生信号増幅
器22を通って波形等化器23に入力される。波形等化
器23を出た信号は、多値波形に整形する整形器24に
入力した後、多値−2値変換器25により多値波形を2
値波形に変換する。ここでの多値化手段は、同一場所で
反射率が多段的に変化することにより強度が変動する再
生電気信号を階段状多値波形に変換するものである。最
終的には、2値信号を弁別器26、復号器27によりデ
ータビット列(情報)となる。
【0083】
【表4】
【0084】なお、ディスク20としては、記録膜を3
層積層した実施例1で得られた記録用部材を用いた。記
録再生の性能を検証するため、この記録装置を用いて書
き換え操作を連続的に1万回繰り返したが、各記録膜に
記録されたマークの形状に変形はみられず、同一形状で
記録されており、高信頼の忠実な記録再生特性が計測さ
れた。
【0085】本実施例では、サンプルサーボ方式の例を
示したが、連続サーボ方式でも同様な効果が得られた。
【0086】記録装置の小型化のためにディスクの直径
を3.5インチ以下とし、ディスクの基板厚さを0.3
〜0.5mmの範囲とすると、ディスクのサイズが小さ
いので記録面積は小さくなるがレンズの開口数を大きく
できるので大容量超薄型ディスクが得られた。
【0087】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により所期
の目的を達成することができた。すなわち、冷却速度に
よって冷却後の状態の異なる記録膜を多層化した記録用
部材を用い、冷却条件の異なる記録波形との組合せによ
る記録方法により、同一場所での反射率が多段階に得ら
れるため多値記録が可能となった。そして、各記録層共
にほぼ同一形状の記録マークを形成することができるた
ため、記録情報の読み出しが確実となり、高信頼の多値
記録が実現可能となった。
【0088】また、本発明の記録装置は、上記記録用部
材を用いた記録方法を確実に実現可能とするものであ
り、信頼性の高い繰り返し書き換えの実用化を一層促進
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となる多層記録膜構造を有す
る記録用部材の断面図。
【図2】本実施例に用いた記録波形の模式図。
【図3】同じく本実施例に用いた他の記録波形の模式
図。
【図4】同じく本実施例に用いた他の記録波形の模式
図。
【図5】本発明の記録装置の一実施例となるブロック構
成図。
【符号の説明】
1…ポリカーボネート基板、 2…Au−Ag系合金層、 3…ZnS−SiO2誘電体層、 4…記録膜A(Ge22Sb22Te56組成)、 5…ZnS−SiO2誘電体層、 6…記録膜B(Ge21Sb26Te53組成)、 7…ZnS−SiO2誘電体層、 8…記録膜C(Ge20Sb29Te51組成)、 9…ZnS−SiO2誘電体層、 10…Al合金反射層、 11…紫外線硬化樹脂保護層、 12…ホットメルト接着層、 13…保護板、 14…変調器、 15…変換テーブル、 16…記録波形生成器、 17…レーザ駆動器、 18…半導体レーザ、 19…光学ヘッド、 20…ディスク、 21…受光器、 22…再生信号増幅器、 23…波形等化器、 24…整形器、 25…多値−2値変換器、 26…弁別器、 27…復号器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 哲也 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 ▲廣▼常 朱美 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録すべき情報に基づくエネルギービーム
    の照射によって、多層記録膜に多値記録を行う記録用部
    材であって、前記多層記録膜を、融解後の冷却中に非晶
    質状態から結晶質状態に変化するまでの再結晶化時間が
    異なる記録膜同士を、誘電体層を介して積層した多層膜
    で構成して成る記録用部材。
  2. 【請求項2】基板上に直接、もしくは無機物及び有機物
    のうちの少なくとも一者からなる保護層を介して多層記
    録膜を積層した記録用部材であって、前記多層記録膜
    を、融解後の冷却中に非晶質状態から結晶質状態に変化
    するまでの再結晶化時間が異なる記録膜同士を、誘電体
    層を介して積層した多層膜で構成して成る記録用部材。
  3. 【請求項3】上記多層記録膜の積層構造として、エネル
    ギービームの入射側からビームの進行方向に向かって各
    記録膜の融解後の再結晶化時間が順次長くなるように積
    層して成る請求項1もしくは2記載の記録用部材。
  4. 【請求項4】上記多層記録膜の積層構造として、エネル
    ギービームの入射側からビームの進行方向に向かって各
    記録膜の光透過率が順次低くなるように積層して成る請
    求項1もしくは2記載の記録用部材。
  5. 【請求項5】上記多層記録膜の積層構造として、隣合う
    記録膜間に存在する誘電体層の膜厚を、10nm〜20
    0nmとして成る請求項1乃至4いずれか一つに記載の
    記録用部材。
  6. 【請求項6】上記多層記録膜の各記録膜の融点の差が、
    40℃以内である請求項1乃至4いずれか一つに記載の
    記録用部材。
  7. 【請求項7】上記多層記録膜の各記録膜を構成している
    元素は実質的に同一であるが、各記録膜中の元素組成比
    が異なって再結晶化時間がそれぞれ異なる記録膜を構成
    している請求項1乃至4いずれか一つに記載の記録用部
    材。
  8. 【請求項8】エネルギービームの入射側に最も近い記録
    膜と基板との間に、記録膜からの反射光を制御する金属
    層を配設して成る請求項2記載の記録用部材。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8いずれか一つに記載の記録
    用部材で構成して成る光ディスク。
  10. 【請求項10】請求項1乃至8いずれか一つに記載の記
    録用部材を用いて、記録すべき情報に基づくエネルギー
    ビームを上記多層記録膜に照射して多値記録を行う記録
    方法であって、前記エネルギービームによる記録波形の
    パワーレベルをいずれの記録膜をも融解し得る所定のレ
    ベルに設定すると共に、融解後の冷却速度を記録符号に
    対応させて選択することにより、各記録膜の固有の再結
    晶化時間と選択された冷却速度に基づく冷却時間との組
    み合わせにより、冷却後の記録膜の状態変化を記録情報
    とする記録方法。
  11. 【請求項11】記録すべき情報に基づくエネルギービー
    ムを、記録膜上に照射して情報記録を行う記録装置にお
    いて、冷却速度によって冷却後の状態が異なる記録膜を
    多層化した記録用部材と、前記記録用部材を回転あるい
    は移動させる手段と、レーザ光源と、前記レーザ光源か
    らのレーザ光を前記記録用部材の記録膜上に集光する手
    段と、記録すべき信号を変調符号に変換する信号変調手
    段と、変調符号と記録パルス直後のパワー変化が異なる
    複数の記録波形に対応する記録符号との変換テーブルを
    予め記憶している記憶手段と、その記憶手段の出力に応
    じて記録波形を発生させる記録波形生成手段と、前記記
    録波形によって前記レーザ光源を駆動するレーザ駆動手
    段と、前記記録用部材から反射されたレーザ光を電気信
    号に変換する手段と、前記電気信号を多値波形に整形す
    る多値化手段と、多値波形を2値波形変換する多値−2
    値変換手段と、前記2値信号を復号して情報の信号とす
    る手段とを有して成る記録装置。
  12. 【請求項12】上記記録用部材を請求項1乃至8いずれ
    か一つに記載の記録用部材で構成して成る請求項11記
    載の記録装置。
  13. 【請求項13】上記記録波形生成手段として、少なくと
    も1つの記録波形は記録パルス直後に消去パワーレベル
    よりも低いパワーレベルへ下げる記録波形生成手段と、
    上記多値化手段として同一場所で反射率が多段階的に変
    化することにより強度が変動する再生電気信号を階段状
    多値波形に変換する多値化手段と、多値波形を2値波形
    に変換する上記多値−2値変換手段とを有して成る請求
    項11もしくは12記載の情報の記録装置。
  14. 【請求項14】上記記録波形生成手段を、少なくとも記
    録パルス直後に消去パワーレベルよりも低いパワーレベ
    ルへ下げた時のパワーレベルを、記録すべき情報信号に
    対応して変化させる手段で構成して成る請求項13記載
    の記録装置。
  15. 【請求項15】上記記録波形生成手段を、少なくとも記
    録パルス直後に消去パワーレベルよりも低いパワーレベ
    ルへ下げた時に、記録すべき情報信号に対応してその低
    いパワーレベルに維持する時間を変化させる手段で構成
    して成る請求項13記載の記録装置。
JP7158243A 1995-06-26 1995-06-26 記録用部材とこれを用いた記録方法及び記録装置 Withdrawn JPH097224A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7158243A JPH097224A (ja) 1995-06-26 1995-06-26 記録用部材とこれを用いた記録方法及び記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7158243A JPH097224A (ja) 1995-06-26 1995-06-26 記録用部材とこれを用いた記録方法及び記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH097224A true JPH097224A (ja) 1997-01-10

Family

ID=15667393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7158243A Withdrawn JPH097224A (ja) 1995-06-26 1995-06-26 記録用部材とこれを用いた記録方法及び記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH097224A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000025308A1 (fr) * 1998-10-26 2000-05-04 Mitsubishi Chemical Corporation Procede d'enregistrement / reproduction a plusieurs valeurs et support d'enregistrement a plusieurs valeurs et variation de phase
US6500598B2 (en) 1997-02-26 2002-12-31 Kabushiki Kaisha Toshiba Multilevel phase change optical recording medium
WO2004021342A1 (ja) * 2002-08-28 2004-03-11 Nihon University 記録媒体、記録装置及び方法
WO2004032130A1 (ja) * 2002-10-01 2004-04-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 光学的情報記録媒体とその製造方法
US6835531B1 (en) * 1999-07-20 2004-12-28 Samsung Electronics, Co., Ltd. Phase change optical disc
US7572496B2 (en) 2002-05-16 2009-08-11 Samsung Electronics Co., Ltd. Recording medium having high melting point recording layer, information recording method thereof, and information reproducing apparatus and method therefor
CN113921707A (zh) * 2021-09-14 2022-01-11 华中科技大学 一种基于异质堆叠的二位相变存储器及其阻值测量方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6500598B2 (en) 1997-02-26 2002-12-31 Kabushiki Kaisha Toshiba Multilevel phase change optical recording medium
WO2000025308A1 (fr) * 1998-10-26 2000-05-04 Mitsubishi Chemical Corporation Procede d'enregistrement / reproduction a plusieurs valeurs et support d'enregistrement a plusieurs valeurs et variation de phase
US6567367B2 (en) 1998-10-26 2003-05-20 Mitsubishi Chemical Corporation Multilevel recording and reproduction method and phase change multilevel recording medium
US6587425B2 (en) * 1998-10-26 2003-07-01 Mitsubishi Chemical Corporation Multilevel recording and reproduction method and phase change multilevel recording medium
KR100486324B1 (ko) * 1998-10-26 2005-04-29 미쓰비시 가가꾸 가부시키가이샤 다가 기록재생 방법 및 상 변화 다가 기록 매체
US6835531B1 (en) * 1999-07-20 2004-12-28 Samsung Electronics, Co., Ltd. Phase change optical disc
US7572496B2 (en) 2002-05-16 2009-08-11 Samsung Electronics Co., Ltd. Recording medium having high melting point recording layer, information recording method thereof, and information reproducing apparatus and method therefor
WO2004021342A1 (ja) * 2002-08-28 2004-03-11 Nihon University 記録媒体、記録装置及び方法
WO2004032130A1 (ja) * 2002-10-01 2004-04-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 光学的情報記録媒体とその製造方法
CN100373481C (zh) * 2002-10-01 2008-03-05 松下电器产业株式会社 光学信息记录介质及其制造方法
US7485355B2 (en) 2002-10-01 2009-02-03 Panasonic Corporation Optical information recording medium and method for manufacturing the same
CN113921707A (zh) * 2021-09-14 2022-01-11 华中科技大学 一种基于异质堆叠的二位相变存储器及其阻值测量方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0810590B1 (en) Optical data storage system with multiple rewritable phase-change recording layers
KR100477510B1 (ko) 광학적 정보 기록 방법, 광학적 정보 기록 재생 장치 및광학적 정보 기록 매체
US8075973B2 (en) Information recording medium and method for manufacturing the same
JP4022119B2 (ja) 光学的情報記録方法、光学的情報記録再生装置、および光学的情報記録媒体
US6744724B2 (en) Recording and reproducing method for optical information recording medium and optical information recording medium
CN1312686C (zh) 多堆叠光学数据存储介质和这种介质的使用
JP2001243655A (ja) 光学的情報記録媒体とその製造方法、記録再生方法及び記録再生装置
US7564769B2 (en) Phase-change recording medium having the relation between pulse patterns and reflectivity of un-recorded section
JPH11250502A (ja) 光ディスク
JPH097224A (ja) 記録用部材とこれを用いた記録方法及び記録装置
JP2002298439A (ja) 光記録媒体及び再生方法
JP3752177B2 (ja) 追記型光学的情報記録媒体、その製造方法
JP2642422B2 (ja) 情報記録再生装置
JP3277733B2 (ja) 光ディスクへの光学的情報の記録方法および記録装置
JPH10226173A (ja) 光記録媒体およびその製造方法
JP2001023236A (ja) 光学情報記録媒体およびその初期化方法
JPH04134643A (ja) 光学的情報記録媒体及び光学的記録・消去方法
JPH08329521A (ja) 光記録媒体
WO2003028021A1 (fr) Support d'enregistrement optique et systeme d'enregistrement associe
JP2000348378A (ja) 光記録媒体および該光記録媒体を使用した記録方法
JPS6144693A (ja) 書替型光記録媒体
JPH08249721A (ja) 光記録媒体
JPH0558048A (ja) 情報の記録・再生方法
JP2002519798A (ja) リライタブル光情報媒体
JPH04102228A (ja) 光ディスクの初期化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20020903